図1において、積層体1は、紙基材2と、紙基材2の上に積層される第1層3と、第1層3の上に積層される第2層4とを備えている。
紙基材2は、紙から形成される基材であって、例えば、天然パルプや合成パルプを抄造した紙などが挙げられ、使用目的や用途に応じて適宜選択される。
紙基材2は、単層であってもよく、また、同種または2種以上の多層であってもよい。
なお、紙基材2の形状は、特に制限されないが、例えば、シート状、ボトル状、カップ状などが挙げられる。好ましくは、シート状が挙げられる。
紙基材2には、表面処理(コロナ放電処理など)、アンカーコートまたはアンダーコート処理がなされていてもよく、さらに、アルミニウムなどの金属、シリカ、アルミナ、シリカとアルミナとの混合物などの金属酸化物の蒸着処理がなされていてもよい。
紙基材2の厚みは、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
また、紙基材2の坪量は、例えば、20g/m2以上、好ましくは、30g/m2以上であり、また、例えば、400g/m2以下、好ましくは、300g/m2以下である。
第1層3は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネート、および、ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤との反応により得られる第1ポリウレタン樹脂に、層状無機化合物が分散されることにより形成されている。このような第1層3は、製造効率の観点から、好ましくは、上記の第1ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンと、層状無機化合物との混合物を紙基材2に塗布および乾燥させることにより、形成されている。
第1ポリウレタン樹脂をポリウレタンディスパージョンとして調製するには、第1ポリウレタン樹脂を水性ポリウレタン樹脂として合成するとともに、得られた水性ポリウレタン樹脂を、水分散させる。
より具体的には、この方法では、例えば、まず、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと、ポリオール(親水性基を含有する活性水素基含有化合物を除く)と、親水性基を含有する活性水素基含有化合物とを反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを合成する。
キシリレンジイソシアネート(XDI)として、1,2−キシリレンジイソシアネート(o−XDI)、1,3−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネート(p−XDI)が、構造異性体として挙げられる。
これらキシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3−キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
また、水添キシリレンジイソシアネート(別名:ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)(H6XDI)として、1,2−水添キシリレンジイソシアネート(o−H6XDI)、1,3−水添キシリレンジイソシアネート(m−H6XDI)、1,4−水添キシリレンジイソシアネート(p−H6XDI)が、構造異性体として挙げられる。
これら水添キシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。水添キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3−水添キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
また、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとしては、それらの誘導体が含まれる。
キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの誘導体としては、例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと、後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
これらの誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、これらキシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを併用することができる。
キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを併用することにより、紙基材との密着性の向上を図ることができる。
キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを併用する場合、それらの併用割合は、キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートの総量100質量部に対して、キシリレンジイソシアネートが、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、93質量部以下、より好ましくは、90質量部以下である。また、水添キシリレンジイソシアネートが、例えば、5質量部以上、好ましくは、7質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
また、必要に応じて、その他のポリイソシアネートを併用することもできる。
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く)、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く)などのポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く)としては、例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:ヘキサメチレンジイソシアネート)(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く)としては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。好ましくは、4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが挙げられる。
その他のポリイソシアネートには、上記と同種の誘導体が含まれる。
これらその他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられ、より好ましくは、脂環族ポリイソシアネート、さらに好ましくは、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが挙げられる。
その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除く)が配合される場合には、その配合割合は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネート(併用される場合にはそれらの総量)100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
また、好ましくは、キシリレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンの併用が挙げられる。
キシリレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンを併用することにより、ガスバリア性、紙基材との密着性を向上させることができる。
キシリレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンを併用する場合、キシリレンジイソシアネートおよびビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンの総量100質量部に対して、キシリレンジイソシアネートが、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、93質量部以下、より好ましくは、90質量部以下である。また、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが、例えば、5質量部以上、好ましくは、7質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
ポリオールは、必須成分として、炭素数2〜6のジオールを含んでいる。
炭素数2〜6のジオールは、水酸基を2つ有する炭素数2〜6の有機化合物であって、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールなどの炭素数2〜6のアルカンジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のエーテルジオール、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどの炭素数2〜6のアルケンジオールなどが挙げられる。
これら炭素数2〜6のジオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素数2〜6のジオールとして、好ましくは、炭素数2〜6のアルカンジオール、より好ましくは、エチレングリコールが挙げられる。
また、ポリオールは、さらに、任意成分として、その他のポリオール化合物(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)を含有することもできる。そのようなポリオール化合物としては、例えば、上記した炭素数2〜6のジオールを除く低分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)とは、数平均分子量が400以下のポリオール化合物である。数平均分子量が400を超えると、ポリウレタン積層体1(後述)のガスバリア性が低下する場合がある。
低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)として、例えば、炭素数7〜20のアルカン−1,2−ジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAなどの炭素数7以上の2価アルコール(ジオール)、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール(トリオール)、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
また、低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)としては、例えば、数平均分子量400以下のポリアルキレンオキサイドなども挙げられる。そのようなポリアルキレンオキサイドは、例えば、上記した低分子量ポリオール、または、公知のポリアミンを開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)などとして得ることができる。また、例えば、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られる数平均分子量400以下のポリテトラメチレンエーテルグリコールなども挙げられる。
これら低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)として、好ましくは、3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、グリセリン、トリメチロールプロパンが挙げられる。
また、好ましくは、炭素数2〜6のジオールと3価アルコールとを併用する。炭素数2〜6のジオールと3価アルコールとを併用することにより、上記第1ポリウレタン樹脂を高分子量化することができ、塗膜強度の向上が期待できる。
炭素数2〜6のジオールと3価アルコールとを併用する場合、それらの併用割合は、炭素数2〜6のジオールと3価アルコールとの総量100質量部に対して、3価アルコールが、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
低分子量ポリオール(上記した炭素数2〜6のジオールを除く)が配合される場合には、その配合割合は、ポリオールの総量100質量部に対して、例えば、90質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。
親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、ノニオン性基またはイオン性基などの親水性基を含有し、アミノ基または水酸基などの活性水素基を含有する化合物であって、具体的には、例えば、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物が挙げられる。
ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン側鎖を含有するポリオールなどが挙げられる。
ポリオキシエチレン側鎖を含有するポリオールは、側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の水酸基を有する化合物であって、次のように合成することができる。
すなわち、まず、上記したジイソシアネートと、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール(例えば、炭素数1〜4のアルキル基で片末端封鎖したアルコキシポリオキシエチレンモノオールであって、数平均分子量200〜6000、好ましくは300〜3000)とを、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールの水酸基に対して、ジイソシアネートのイソシアネート基が過剰となる割合でウレタン化反応させ、必要により未反応のジイソシアネートを除去することにより、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得る。
次いで、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートと、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミンなど)とを、ジアルカノールアミンの2級アミノ基に対して、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートのイソシアネート基がほぼ等量となる割合でウレア化反応させる。
なお、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物において、ノニオン性基、具体的には、ポリオキシエチレン基の数平均分子量は、例えば、600〜6000である。
ポリオキシエチレン側鎖を含有するポリオールを得るためのジイソシアネートとして、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボナン(NBDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
イオン性基を含有する活性水素基含有化合物は、例えば、カルボン酸などのアニオン性基や、4級アミンなどのカチオン性基と、2つ以上の水酸基またはアミノ基などの活性水素基とを併有する化合物であって、好ましくは、アニオン性基と2つ以上の水酸基とを併有する化合物、より好ましくは、カルボン酸と2つの水酸基とを併有する化合物(カルボキシ基を含有する活性水素基含有化合物(例えば、カルボキシ基含有ポリオールなど))が挙げられる。
カルボキシ基含有ポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(別名:ジメチロールプロピオン酸)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのポリヒドロキシアルカン酸などが挙げられ、好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
これら親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、単独使用または併用することができ、好ましくは、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物、より好ましくは、カルボキシ基含有ポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリヒドロキシアルカン酸が挙げられる。
ポリヒドロキシアルカン酸を用いることにより、ガスバリア性、紙基材との密着性のさらなる向上を図ることができる。
そして、イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、上記各成分を、活性水素基(水酸基およびアミノ基)に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)において、1を超える割合、好ましくは、1.1〜10の割合で配合する。そして、バルク重合や溶液重合などの公知の重合方法、好ましくは、反応性および粘度の調整がより容易な溶液重合によって、上記各成分を反応させる。
バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して、反応温度75〜85℃で、1〜20時間程度反応させる。
溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、有機溶媒に、上記成分を配合して、反応温度20〜80℃で、1〜20時間程度反応させる。
有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で、かつ、親水性に富む、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが挙げられる。
この重合反応は、反応溶液中のイソシアネート基含有率が15質量%以下、好ましくは、10質量%以下になるまで反応させる。
また、上記重合では、必要に応じて、例えば、アミン系、スズ系、鉛系などの反応触媒を添加してもよく、また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから未反応のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含む)を、例えば、蒸留や抽出などの公知の方法により、除去することもできる。
また、例えば、アニオン性基が含まれている場合には、好ましくは、中和剤を添加して中和し、アニオン性基の塩を形成させる。
中和剤としては、慣用の塩基、例えば、有機塩基(例えば、第3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの炭素数1〜4のトリアルキルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの複素環式アミンなど))、無機塩基(アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど))が挙げられる。これらの塩基は、単独使用または2種類以上併用できる。
中和剤は、アニオン性基1当量あたり、0.4当量以上、好ましくは、0.6当量以上の割合で添加し、また、例えば、1.2当量以下、好ましくは、1当量以下の割合で添加する。
このようにして得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、その分子末端に、2つ以上の遊離のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、そのイソシアネート基の含有量(溶剤を除いた固形分換算のイソシアネート基含量)が、例えば、0.3質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1.0質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、12質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。
また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.5以上、好ましくは1.9以上、より好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、3.0以下、好ましくは、2.5以下である。
イソシアネート基の平均官能基数が上記範囲にあれば、安定した上記ポリウレタンディスパージョンを得ることができ、紙基材との密着性、ガスバリア性などを確保することができる。
また、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、500以上、好ましくは、800以上であり、また、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下である。
また、イソシアネート基末端プレポリマーの親水性基濃度は、例えば、0.1mmol/g以上、好ましくは、0.2mmol/g以上であり、また、例えば、1.2mmol/g以下、好ましくは、1.0mmol/g以下、より好ましくは、0.8mmol/g以下である。
イソシアネート基末端プレポリマーの親水性基濃度が上記範囲にあれば、安定した上記ポリウレタンディスパージョンを得ることができる。
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを、例えば、水中で反応させ、第1ポリウレタン樹脂のポリウレタンディスパージョンを得る。
鎖伸長剤は、必須成分として、ポリアミンを含有している。
ポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンなどが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物などが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
アミノアルコールとしては、例えば、2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール(別名:N−(2−アミノエチル)エタノールアミン)、2−((2−アミノエチル)アミノ)−1−メチルプロパノール(別名:N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン)などが挙げられる。
第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有モノアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(別名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン)などが挙げられる。
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンなどのポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。より具体的には、例えば、日本油脂製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のジェファーミンED―2003、EDR−148、XTJ−512などが挙げられる。
これらポリアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリアミンとして、好ましくは、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物と、アミノアルコールとの併用や、アミノアルコールの単独使用が挙げられ、より好ましくは、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物と、アミノアルコールとの併用が挙げられる。
また、鎖伸長剤はポリアミンの他に、ヒドラジンまたはヒドラジド誘導体を含有することもできる。ヒドラジンまたはヒドラジド誘導体としては、ヒドラジン(水和物を含む)、2−ヒドラジドエタノール、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
これらヒドラジンまたはヒドラジド誘導体は、単独使用または2種以上併用することができ、また、ポリアミンと併用することもできる。
イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させるには、例えば、まず、水にイソシアネート基末端プレポリマーを添加することにより、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させ、次いで、それに鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長剤により鎖伸長する。
イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させるには、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、水100〜1000質量部の割合において、水を攪拌下、イソシアネート基末端プレポリマーを添加する。
その後、鎖伸長剤を、イソシアネート基末端プレポリマーが水分散された水中に、攪拌下、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基に対する鎖伸長剤の活性水素基(アミノ基および水酸基)の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0.6〜1.2の割合となるように、滴下する。
鎖伸長剤は、滴下することで反応させ、滴下終了後は、さらに撹拌しつつ、例えば、常温にて反応を完結させる。反応完結までの反応時間は、例えば、0.1時間以上であり、また、例えば、10時間以下である。
なお、上記とは逆に、水をイソシアネート基末端プレポリマー中に添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させ、次いで、それに鎖伸長剤を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長剤により鎖伸長することもできる。
また、この方法では、必要に応じて、有機溶媒や水を除去することができ、さらには、水を添加して固形分濃度を調整することもできる。
得られる第1ポリウレタン樹脂のポリウレタンディスパージョンの固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、45質量%以下である。
ポリウレタンディスパージョンのpHは、例えば、5以上、好ましくは、6以上、また、例えば、11以下、好ましくは、10以下である。
ポリウレタンディスパージョンの25℃における粘度は、例えば、3mPa・s以上、好ましくは、5mPa・s以上であり、また、例えば、2000mPa・s以下、好ましくは、1000mPa・s以下である。
ポリウレタンディスパージョンの平均粒子径は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、500nm以下、好ましくは、300nm以下である。
ポリウレタンディスパージョンのウレタン基濃度とウレア基濃度との合計値は、仕込み計算値で、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、45質量%以下である。
また、必要に応じて、各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、分散安定剤、着色剤(顔料、染料など)、フィラー、コロイダルシリカ、無機粒子、無機酸化物粒子、結晶核剤などが挙げられる。
なお、添加剤は、上記各原料成分に予め配合してもよく、また、合成後のイソシアネート基末端プレポリマーや、ポリウレタン樹脂に配合してもよく、さらに、それら各成分の配合時に同時に配合してもよい。
また、添加剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、必要に応じて、ガスバリア性が損なわれない範囲で、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂を配合してもよい。
ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンまたは塩化ビニリデン共重合体、でんぷん、セルロースなどの多糖類などが挙げられる。
層状無機化合物としては、例えば、膨潤性の層状無機化合物、非膨潤性の層状無機化合物などが挙げられる。ガスバリア性の観点から、好ましくは、膨潤性の層状無機化合物が挙げられる。
膨潤性の層状無機化合物は、極薄の単位結晶の層が積層した構造を有し、単位結晶層間に溶媒が配位または吸収されることにより、膨潤する性質を有する粘土鉱物である。
膨潤性の層状無機化合物として、具体的には、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物など)、例えば、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライトなど)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイルなど)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライトなど)、雲母またはマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母などの雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、合成マイカなどが挙げられる。
これら膨潤性の層状無機化合物は、天然粘土鉱物であってもよく、また、合成粘土鉱物であってもよい。また、単独または2種以上併用することができ、好ましくは、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、マイカ族粘土鉱物(水膨潤性雲母など)、合成マイカなどが挙げられ、より好ましくは、合成マイカが挙げられる。
層状無機化合物の平均粒径は、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上であり、また、通常、100μm以下であり、例えば、75μm以下、好ましくは、50μm以下である。また、層状無機化合物のアスペクト比は、例えば、10以上、好ましくは20以上、より好ましくは、100以上であり、また、例えば、5000以下、好ましくは、4000以下、より好ましくは、3000以下である。
そして、第1層3を形成するには、例えば、まず、第1ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンと、層状無機化合物とを混合し、混合物として、第1コート液を調製する。そして、得られた第1コート液を紙基材2の上に塗布し、乾燥させる。
混合物(第1コート液)を調製するには、まず、水に層状無機化合物を分散させ、次いで、その分散液に、第1ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンを添加する。
第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との配合割合は、第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量100質量部に対して、層状無機化合物が、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下である。
第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との配合割合が上記範囲であれば、ガスバリア性、紙基材との密着性および低コスト性の向上を図ることができる。
得られる混合物(第1コート液)における、第1ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
なお、混合物(第1コート液)において、層状無機化合物は、2次凝集するおそれがあるため、好ましくは、層状無機化合物を溶媒に分散または混合した後、せん断力が作用する機械的な強制分散処理、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、ジェットミル、ニーダー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、3本ロール、超音波分散装置などによる分散処理を利用して、分散させる。
また、第1コート液には、必要に応じて、硬化剤を配合することができる。
硬化剤としては、例えば、エポキシ硬化剤、メラミン硬化剤、カルボジイミド硬化剤、アジリジン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、イソシアネート硬化剤などが挙げられる。この中で、イソシアネート硬化剤については、より具体的には、水分散性のイソシアネート硬化剤(例えば、ブロックイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート系のブロックイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックイソシアネート、キシリレンジイソシアネート系のブロックイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート系のブロックイソシアネートなど)、親水性基を含有する非ブロックポリイソシアネートなど)が挙げられる。
硬化剤を配合する場合には、その配合割合は、第1ポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、硬化剤が、固形分換算で、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
また、第1コート液の塗布方法としては、特に制限されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ディッピング法などの公知のコーティング方法が挙げられる。
また、乾燥条件は、乾燥温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、0.1分以上、好ましくは、0.2分以上であり、例えば、10分以下、好ましくは、5分以下である。
これにより、紙基材2の上に、第1ポリウレタン樹脂および層状無機化合物からなる第1層3を形成することができる。
第1層3の厚みは、第1ポリウレタン樹脂および層状無機化合物(乾燥後)の積層量として、例えば、0.1g/m2以上、好ましくは、0.2g/m2以上、より好ましくは、0.6g/m2以上であり、また、例えば、20g/m2以下、好ましくは、10g/m2以下、より好ましくは、8g/m2以下である。
第2層4は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネート、および、ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤との反応により得られる第2ポリウレタン樹脂に、必要に応じて、上記層状無機化合物が分散されることにより、形成されている。このような第2層4は、製造効率の観点から、好ましくは、上記第2ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンと、上記層状無機化合物との混合物、または、上記第2ポリウレタン樹脂を含む一方、上記層状無機化合物を含まないポリウレタンディスパージョンを、第1層3の上に塗布および乾燥させることにより、形成されている。
好ましくは、第2層4は、上記層状無機化合物が分散されている上記第2ポリウレタン樹脂からなり、このような第2層4は、上記第2ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンと上記層状無機化合物との混合物を第1層3の上に塗布および乾燥させることにより、形成されている。
第2ポリウレタン樹脂をポリウレタンディスパージョンとして調製する方法は、上記第1ポリウレタン樹脂をポリウレタンディスパージョンとして調製する方法と同様である。
すなわち、ポリウレタンディスパージョンとして調製される第2ポリウレタン樹脂は、上記したキシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネート(および、必要に応じて用いられる上記その他のポリイソシアネート)と、上記したポリオール(および、必要に応じて用いられる上記その他のポリオール化合物)と、親水性基を含有する活性水素基含有化合物との反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーを、鎖伸長剤(および、必要に応じて用いられる上記炭素数2〜6のジオールや上記その他の低分子量ポリオール)と反応させることにより得ることができる。
第1ポリウレタン樹脂の原料組成と、第2ポリウレタン樹脂の原料組成とは、互いに異なっていてもよいが、好ましくは、互いに同一である。
第1ポリウレタン樹脂の原料組成と、第2ポリウレタン樹脂の原料組成とが、互いに同一であれば、基材との密着性のさらなる向上を図ることができる。
そして、層状無機化合物が分散されている第2層4を形成するには、上記した第1コート液の調製方法により上記第2ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンと、上記層状無機化合物との混合物(第2コート液)を調製する。そして、得られた混合物(第2コート液)を、第1層3の上に塗布し、乾燥させる。
第2ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との配合割合は、第2ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量100質量部に対して、層状無機化合物が、1質量部以上、好ましくは、6質量部以上、より好ましくは、10質量部以上、さらに好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
第2ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との配合割合が上記範囲であれば、ガスバリア性、基材との密着性および低コスト性の向上を図ることができる。
また、第2ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量に対する層状無機化合物の配合割合は、第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量に対する層状無機化合物の配合割合と同じであるか、第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量に対する層状無機化合物の配合割合よりも多いことが好適である。さらには、第2ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量に対する層状無機化合物の配合割合は、第1ポリウレタン樹脂と層状無機化合物との質量の総量に対する層状無機化合物の配合割合よりも多いことが好適である。
得られる混合物(第2コート液)における、第2ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
また、第2コート液には、必要に応じて、上記硬化剤を配合することができる。
硬化剤を配合する場合には、その配合割合は、第2ポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、硬化剤が、固形分換算で、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
また、このような第2コート液は、第1コート液と、層状無機化合物の質量割合が同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。好ましくは、第1コート液と第2コート液とは、層状無機化合物の質量割合が互いに異なる。
また、第2コート液の塗布方法としては、特に制限されず、上記した公知のコーティング方法が挙げられる。
乾燥条件は、乾燥温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、0.1分以上、好ましくは、0.2分以上であり、例えば、10分以下、好ましくは、5分以下である。
また、層状無機化合物が含まれていない第2層4、すなわち、第2ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンのみからなる第2層4を形成するには、例えば、上記方法により得られた第2ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンディスパージョンの濃度を調整し、また、必要により硬化剤を上記割合で配合して、層状無機化合物を含まない第2コート液を調製する。そして、得られた第2コート液を、上記と同様にして、第1層3の上に塗布し、乾燥させる。
層状無機化合物を含まない第2コート液のポリウレタン固形分濃度は、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
これにより、第1層3の上に、第2ポリウレタン樹脂、または、第2ポリウレタン樹脂および層状無機化合物からなる第2層4を形成することができる。
第2層4の厚みは、第2ポリウレタン樹脂(乾燥後)の積層量として、例えば、0.05g/m2以上、好ましくは、0.1g/m2以上、より好ましくは、0.2g/m2以上であり、また、例えば、15g/m2以下、好ましくは、10g/m2以下、より好ましくは、8g/m2以下、さらに好ましくは、5g/m2以下である。
また、第2層4の厚みが、第1層3の厚みと同じか、第1層3の厚みよりも薄いことが好適である。さらには、第2層4の厚みが、第1層3の厚みより薄いことが好適である。
そして、上記のように、紙基材2の上に第1層3を形成し、第1層3の上に第2層4を形成し、必要に応じて、例えば、30〜50℃で、2〜5日間程度養生させることにより、積層体1を得ることができる。
積層体1の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、1mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
また、積層体1において、第1層3と第2層4との総厚みは、乾燥後の積層量として、例えば、0.1g/m2以上、好ましくは、0.2g/m2以上、より好ましくは、0.8g/m2以上であり、また、例えば、30g/m2以下、好ましくは、20g/m2以下、より好ましくは、15g/m2以下である。
また、第1層3と第2層4との厚み割合は、第1層3と第2層4との総厚みに対して、高さ(μm)基準で、第1層3が、例えば、10%以上、好ましくは、15%以上、より好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、60%以上であり、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下である。また、第2層4が、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、例えば、90%以下、好ましくは、85%以下、より好ましくは、70%以下、さらに好ましくは、40%以下である。
第1層3と第2層4との質量割合は、それらの質量の総量100質量部に対して、第1層3の質量が、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上、より好ましくは、30質量部以上、さらに好ましくは、60質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。また、第2層4の質量が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、85質量部以下、より好ましくは、70質量部以下、さらに好ましくは、40質量部以下である。
第1層3と第2層4との質量割合が上記範囲であれば、ガスバリア性や、基材との密着性の向上を図ることができる。
また、積層体1において、層状無機化合物の質量割合は、第1層3の質量と、第2層4の質量との総量100質量部に対して、層状無機化合物の質量が、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、25質量部以下である。
層状無機化合物の質量割合が上記範囲であれば、層状無機化合物の配合割合を少なくできるため、低コスト性の向上を図ることができる。
また、積層体1において、第1層3に含まれる層状無機化合物の質量と、第2層4に含まれる層状無機化合物の質量との割合は、第1層3に含まれる層状無機化合物の質量と、第2層4に含まれる層状無機化合物の質量との総量100質量部に対して、第1層3に含まれる層状無機化合物の質量が、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、60質量部以下、より好ましくは、20質量部未満であり、また、第2層4に含まれる層状無機化合物の質量が、例えば、10質量部以上、好ましくは、40質量部以上、より好ましくは、80質量部を超えており、例えば、99質量部以下、好ましくは、95質量部以下、より好ましくは、90質量部以下である。
第1層3に含まれる層状無機化合物の質量と、第2層4に含まれる層状無機化合物の質量との比率が上記範囲であれば、ガスバリア性、基材との密着性の向上を図ることができる。
そして、このようにして得られる積層体1は、ガスバリア性のみならず、低コスト性に優れる。そのため、ガスバリア性積層体の分野、具体的には、食品包装用紙基材、工業用紙基材などにおいて好適に使用される。
また、本発明の基材は紙であるため、第1層3には、層状無機化合物を分散させることが必須である。例えば、基材が樹脂フィルムである場合には、第1層3には層状無機化合物を含ませず第2層4に層状無機化合物を分散させるほうが透明性や、基材との密着性が良好となる場合がある。一方、基材が紙であると、第1層3に層状無機化合物が分散されていない場合には、ガスバリア性の不具合を生じるおそれがある。しかし、本発明では、基材が紙であっても、第1層3に層状無機化合物を分散させるので、ガスバリア性が良好である。
なお、上記した実施例では、第1層3および第2層4は、基材2の厚み方向一方面全面に積層されているが、これに限定されず、例えば、図示しないが、基材2の厚み方向両面、さらには、第1層3および第2層4を部分的に積層することができる。
また、第1層3および第2層4の上に、さらに、第1層3および/または第2層4を積層することもできる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
<ポリウレタンディスパージョン(PUD)の調製>
(調製例1(PUD1の調製))
1,3−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)(商品名:タケネート500、三井化学社製)169.9質量部、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(m−H6XDI)(商品名:タケネート600、三井化学社製)29.2質量部、エチレングリコール35.9質量部、トリメチロールプロパン3.4質量部、ジメチロールプロピオン酸18.2質量部および溶剤としてメチルエチルケトン115.8質量部を混合して、窒素雰囲気下65〜70℃で、反応溶液のイソシアネート基含有率が6.79質量%以下になるまで反応させた。これによって、カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマー(イソシアネート基末端プレポリマー)を合成した。なお、この反応における活性水素基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)は、1.4であった。また、合成したカルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基の平均官能基数は、2.05であり、親水性基濃度は、0.53mmol/gであった。
次いで、カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーの溶液を40℃まで冷却した後、トリエチルアミン13.6質量部にて中和させた。カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーの溶液をイオン交換水751.5質量部にホモディスパーにより分散させ、イオン交換水59.6質量部に2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール29.8質量部を溶解したアミン水溶液を添加して鎖伸長反応させた。なお、この反応におけるイソシアネート基に対する活性水素基の当量比(活性水素基/イソシアネート基)は、0.95であった。
鎖伸長反応後、1時間熟成反応させ、その後、メチルエチルケトンおよびイオン交換水をエバポレーターにより留去し、ポリウレタン樹脂固形分が30質量%となるようにイオン交換水で調製し、ポリウレタンディスパージョン(PUD1)を得た。
なお、PUD1のpH(測定方法は、JIS Z 8802に準拠、以下同様。)は8.5であり、25℃での粘度(測定方法は、JIS K 7117に準拠、以下同様。)は15mPa・sであり、平均粒子径は80nm(測定機器:コールターカウンターN5、ベックマン社製、以下同様。)であった。また、ウレタン基濃度とウレア基濃度との合計値(仕込み計算値、以下同様。)は、40.7質量%であった。
(調製例2(PUD2の調製))
1,3−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)(商品名:タケネート500、三井化学社製)143.3質量部、4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)(商品名:VestanatH12MDI、エボニック社製)25.0質量部、エチレングリコール28.1質量部、トリメチロールプロパン5.5質量部、ジメチロールプロピオン酸13.1質量部および溶剤としてメチルエチルケトン121.0質量部を混合して、窒素雰囲気下65〜70℃で、反応溶液のイソシアネート基含有率が6.12質量%以下になるまで反応させた。これによって、カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーを合成した。なお、この反応における活性水素基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)は、1.4であった。また、合成したカルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基の平均官能基数は、2.1であり、親水性基濃度は、0.46mmol/gであった。
次いで、カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーの溶液を40℃まで冷却した後、トリエチルアミン9.8質量部にて中和させた。カルボキシ基およびイソシアネート基含有プレポリマーの溶液をイオン交換水839.9質量部にホモディスパーにより分散させ、イオン交換水46.5質量部に2−((2−アミノエチル)アミノ)エタノール23.2質量部を溶解したアミン水溶液を添加し、次いで、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−603、信越化学社製)2.1質量部を添加して鎖伸長反応させた。なお、この反応におけるイソシアネート基に対する活性水素基の当量比(活性水素基/イソシアネート基)は、0.95であった。
鎖伸長反応後、1時間熟成反応させ、その後、メチルエチルケトンおよびイオン交換水をエバポレーターにより留去し、ポリウレタン樹脂固形分が25質量%となるようにイオン交換水で調製し、ポリウレタンディスパージョン(PUD2)を得た。
なお、PUD2のpHは8.6であり、25℃での粘度は15mPa・sであり、平均粒子径は60nmであった。また、ウレタン基濃度とウレア基濃度との合計値は、39.7質量%であった。
<層状無機化合物分散コート液の調製>
(調製例3(層状無機化合物分散コート液(コート液)A1の調製))
イオン交換水12.00質量部に、0.63質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、12.38質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度15質量%のコート液A1を得た。なお、コート液A1における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、1質量部である。
(調製例4(コート液A2の調製))
イオン交換水13.00質量部に、6.67質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、5.33質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A2を得た。なお、コート液A2における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、20質量部である。
(調製例5(コート液A3の調製))
イオン交換水11.56質量部に、4.30質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、9.14質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度12質量%のコート液A3を得た。なお、コート液A3における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、8.6質量部である。
(調製例6(コート液A4の調製))
イオン交換水12.70質量部に、2.88質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、9.43質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度12質量%のコート液A4を得た。なお、コート液A4における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、5.75質量部である。
(調製例7(コート液A5の調製))
イオン交換水13.08質量部に、2.40質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、9.52質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度12質量%のコート液A5を得た。なお、コート液A5における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、4.8質量部である。
(調製例8(コート液A6の調製))
イオン交換水12.25質量部に、0.31質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、12.44質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度15質量%のコート液A6を得た。なお、コート液A6における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、0.5質量部である。
(調製例9(コート液A7の調製))
イオン交換水12.46質量部に、7.34質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、5.20質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A7を得た。なお、コート液A7における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、22.03質量部である。
(調製例10(コート液A8の調製))
イオン交換水12.60質量部に、3.00質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、9.40質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度12質量%のコート液A8を得た。なお、コート液A8における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、6質量部である。
(調製例11(コート液A9の調製))
イオン交換水9.53質量部に、0.63質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、14.85質量部のPUD2を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度15質量%のコート液A9を得た。なお、コート液A9における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、1質量部である。
(調製例12(コート液A10の調製))
イオン交換水11.93質量部に、6.67質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、6.40質量部のPUD2を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A10を得た。なお、コート液A10における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、20質量部である。
(調製例13(コート液A11の調製))
イオン交換水12.16質量部に、0.47質量部の合成マイカ(商品名:MEB−3、平均粒子径3μm、コープケミカル社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、12.38質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度15質量%のコート液A11を得た。なお、コート液A11における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、1質量部である。
(調製例14(コート液A12の調製))
イオン交換水14.67質量部に、5.00質量部の合成マイカ(商品名:MEB−3、平均粒子径3μm、コープケミカル社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、5.33質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A12を得た。なお、コート液A12における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、20質量部である。
(調製例15(コート液A13の調製))
イオン交換水11.93質量部に、8.00質量部の合成マイカ(商品名:NTS−5、平均粒子径11μm、トピー工業社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、5.07質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A13を得た。なお、コート液A13における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂および層状無機化合物の総量100質量部に対して、24質量部である。
(調製例16(コート液A14の調製))
イオン交換水13.21質量部に、0.47質量部の合成マイカ(商品名:MEB−3、平均粒子径3μm、コープケミカル社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、10.88質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させた。その後、0.45質量部の水分散性イソシアネート(硬化剤、商品名:タケネートWD−725、三井化学社製)を添加し、室温で攪拌子により20分間混合させ、固形分濃度15質量%のコート液A14を得た。なお、コート液A14における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂、水分散性イソシアネートおよび層状無機化合物の総量100質量部に対して、1質量部である。
(調製例17(コート液A15の調製))
イオン交換水15.23質量部に、5.00質量部の合成マイカ(商品名:MEB−3、平均粒子径3μm、コープケミカル社製)を室温で攪拌子により20分間混合させ、分散させた。次いで、4.53質量部のPUD1を添加し、室温で30分間混合させた。その後、0.24質量部の水分散性イソシアネート(硬化剤、商品名:タケネートWD−725、三井化学社製)を添加し、室温で攪拌子により20分間混合させ、固形分濃度8質量%のコート液A15を得た。なお、コート液A15における、層状無機化合物の質量割合は、ポリウレタン樹脂、水分散性イソシアネートおよび層状無機化合物の総量100質量部に対して、20質量部である。
<層状無機化合物不含有コート液の調製>
(調製例18(B1の調製))
10.0質量部のPUD1にイオン交換水15.00質量部を添加し、室温で攪拌子により20分間混合させ、固形分濃度12質量%の層状無機化合物不含有コート液B1を得た。なお、層状無機化合物不含有コート液B1は、層状無機化合物を含んでいない。
<積層体の作成>
(実施例1(積層体1の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A1を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A2を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A2を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体1を得た。
(実施例2(積層体2の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A1を用い、第1層として乾燥時の厚みが2.5g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A3を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A3を乾燥時の厚みが2.5g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体2を得た。
(実施例3(積層体3の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A1を用い、第1層として乾燥時の厚みが1g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A4を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A4を乾燥時の厚みが4g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体3を得た。
(実施例4(積層体4の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A5を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A5を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A5を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A5を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A5を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体4を得た。
(実施例5(積層体5の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A6を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A6を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A6を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A7を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A7を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体5を得た。
(実施例6(積層体6の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A5を用い、第1層として乾燥時の厚みが2.5g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A5を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A5を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A5を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A5を乾燥時の厚みが2.5g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体6を得た。
(実施例7(積層体7の調製))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A8を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A8を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A8を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液として層状無機化合物不含有コート液B1を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層として層状無機化合物不含有コート液B1を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体7を得た。
(実施例8(積層体8の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A1を用い、第1層として乾燥時の厚みが8g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A2を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A2を乾燥時の厚みが2g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体8を得た。
(実施例9(積層体9の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A5を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A5を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A5を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A2を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A2を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体9を得た。
(実施例10(積層体10の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A9を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A9を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A9を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A10を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A10を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体10を得た。
(実施例11(積層体11の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A11を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A11を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A11を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A12を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A12を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体11を得た。
(実施例12(積層体12の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A14を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A14を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A14を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A15を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A15を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布して、40℃で、3日間養生させ、積層体12を得た。
(比較例1(積層体13の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液としてコート液A5を用い、第1層として乾燥時の厚みが5g/m2となるように、バーコーターを用いてコート液A5を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、コート液A5を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体13を得た。
(比較例2(積層体14の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液として層状無機化合物不含有コート液B1を用い、第1層として乾燥時の厚みが4g/m2となるように、バーコーターを用いて層状無機化合物不含有コート液B1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、層状無機化合物不含有コート液B1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。次いで、第2コート液としてコート液A13を用い、得られた第1層の上に、上記と同様の塗布方法および乾燥条件で、第2層としてコート液A13を乾燥時の厚みが1g/m2となるように塗布および乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体14を得た。
(比較例3(積層体15の作成))
基材としての坪量70g/m2の未塗工紙に、第1コート液として層状無機化合物不含有コート液B1を用い、第1層として乾燥時の厚みが5g/m2となるように、バーコーターを用いて層状無機化合物不含有コート液B1を塗布した。
次いで、80℃に設定した乾燥オーブンに、層状無機化合物不含有コート液B1を塗布した紙を3分間入れて乾燥させた。その後、40℃で、3日間養生させ、積層体15を得た。
(評価)
得られた各積層体について、酸素透過度および水蒸気透過度を、下記の方法により測定した。その結果を表1および2に示す。
<酸素透過度測定>
酸素透過測定装置(OX−TRAN2/20、MOCON社製)を用いて、JIS K 7126−2に準拠して、各積層体それぞれの20℃における、相対湿度80%(80%RH)での1m2、1日および1気圧当たりの酸素透過量(cc)を測定した。
<水蒸気透過度測定>
透湿カップ(テスター産業社製)を用いて、防湿包装材料の透湿度試験法(カップ法、JIS Z 0208に準拠)により、各積層体それぞれの40℃における、相対湿度90%(90%RH)での1m2および1日当たりの水蒸気透過量(g)を測定した。