JP7425242B1 - 水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材 - Google Patents

水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた外観を有する塗膜を得ることができ、増粘が抑制されている水系ディスパージョン、および、この水系ディスパージョンを含有するガスバリア性コート材を提供すること。【解決手段】水系ディスパージョンは、ガスバリア性樹脂と添加剤とを含有する。ガスバリア性樹脂は、アニオン性基を含有する。添加剤は、層状無機化合物と、増粘抑制剤とを含有する。増粘抑制剤が、無機塩基、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物、および、湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材に関する。
従来、基材の表面に、水系ディスパージョンを塗布および乾燥させ、樹脂層を形成することが知られている。樹脂層は、基材に各種機能性を付与する。機能性としては、例えば、ガスバリア性が挙げられる。
例えば、以下の水系ディスパージョンが、提案されている。すなわち、まず、水添キシリレンジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸およびエチレングリコールとを反応させ、カルボン酸基含有ポリウレタンプレポリマー溶液を得る。次いで、カルボン酸基含有ポリウレタンプレポリマー溶液を、トリエチルアミンで中和させ、水に分散させる。その後、水中で、カルボン酸基含有ポリウレタンプレポリマーを、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノールで鎖伸長反応させる。これにより、ポリウレタンディスパージョン(ポリウレタン樹脂の水分散体)が得られる。また、ポリウレタンディスパージョンには、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランが添加される(例えば、特許文献1(製造例10)参照。)。
また、上記の特許文献1には、ポリウレタンディスパージョンに、層状無機化合物を添加することが、開示されている。
特開2001-098047号公報
一方、上記のポリウレタンディスパージョンにおいて、ポリウレタン樹脂は、ジメチロールプロピオン酸に由来するカルボキシ基を有している。そして、カルボキシ基が、中和剤(トリエチルアミン)により中和されている。
このようなポリウレタンディスパージョンに、層状無機化合物を添加すると、ポリウレタンディスパージョンの不安定化および増粘を惹起する場合がある。
さらに、上記のポリウレタンディスパージョンは、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランが含まれている。
そのため、上記のポリウレタンディスパージョンに、層状無機化合物を添加すると、ポリウレタンディスパージョン中にダマ(異物)が生じる場合がある。このような場合、ポリウレタンディスパージョンの塗膜が、優れた外観を得られない場合がある。
本発明は、優れた外観を有する塗膜を得ることができ、増粘が抑制されている水系ディスパージョン、および、この水系ディスパージョンを含有するガスバリア性コート材である。
本発明[1]は、ガスバリア性樹脂と添加剤とを含有する水系ディスパージョンであって、前記ガスバリア性樹脂は、アニオン性基を含有し、前記添加剤は、層状無機化合物と、増粘抑制剤とを含有し、前記増粘抑制剤が、無機塩基、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物、および、湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、水系ディスパージョンを、含んでいる。
本発明[2]は、前記ガスバリア性樹脂は、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含有し、前記ガスバリア性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との反応生成物を含有し、前記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物を含有し、前記ポリイソシアネート成分は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含有し、前記活性水素基含有成分は、炭素数2~6の短鎖ジオールと、アニオン性基を含有する活性水素化合物とを含有する、上記[1]に記載の水系ディスパージョンを、含んでいる。
本発明[3]は、前記増粘抑制剤が、前記無機塩基を含有し、前記無機塩基が、アンモニアを含有する、上記[1]または[2]に記載の水系ディスパージョンを、含んでいる。
本発明[4]は、前記増粘抑制剤が、前記アミン化合物を含有し、前記アミン化合物の炭素数が、6以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の水系ディスパージョンを、含んでいる。
本発明[5]は、前記増粘抑制剤が、前記湿潤分散剤を含有し、前記湿潤分散剤が、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、エーテル系湿潤分散剤およびエステル系湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の水系ディスパージョンを、含んでいる。
本発明[6]は、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の水系ディスパージョンを含有する、ガスバリア性コート材を、含んでいる。
本発明の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材によれば、優れた外観を有する塗膜を得ることができ、かつ、増粘を抑制できる。
すなわち、本発明の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、ガスバリア性樹脂を含んでいる。さらに、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、上記のガスバリア性樹脂に加えて、層状無機化合物を含有している。そのため、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、優れたガスバリア性を有する塗膜を、得ることができる。
一方、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、ガスバリア性樹脂は、アニオン性基を有している。アニオン性基は、ガスバリア性樹脂を、水に分散させている。
しかし、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材が層状無機化合物を含有していると、アニオン性基によるガスバリア性樹脂の水分散性が、不安定化し、ガスバリア性樹脂が凝集する場合がある。
これに対して、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、増粘抑制剤を含有している。増粘抑制剤は、無機塩基、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物、および、湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
そのため、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、層状無機化合物による中和剤の脱離を抑制でき、アニオン性基によるガスバリア性樹脂の凝集を抑制できる。その結果、水系ディスパージョンの増粘を抑制できる。
また、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、増粘抑制剤がアミン化合物であっても、そのアミン化合物はアルコキシシリル骨格を有していない。そのため、水系ディスパージョン中にダマ(異物)が生じることを抑制できる。その結果、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材によれば、優れた外観を備える塗膜が形成される。
図1は、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材を使用して得られる積層体の一実施形態を示す概略図である。
1.水系ディスパージョン
水系ディスパージョンは、ガスバリア性樹脂と添加剤とを含有する。より具体的には、水系ディスパージョンは、ガスバリア性樹脂および添加剤の水分散体である。
(1)ガスバリア性樹脂
ガスバリア性樹脂は、アニオン性基を含有し、所定値以下の酸素透過度を有する樹脂である。より具体的には、ガスバリア性樹脂からなる厚み10μmのフィルムの酸素透過度は、例えば、室温下において、1(cc/m・day・atm)以下である。なお、酸素透過度は、JIS K7126(2006年)B法に準拠して、酸素透過度測定装置(MOCON社、OX-TRAN2/22H)を使用して、測定される。測定条件は、20℃および80%RH(相対湿度)である。
ガスバリア性樹脂は、特に制限されない。より具体的には、ガスバリア性樹脂としては、例えば、ガスバリア性ポリウレタン樹脂、および、ガスバリア性アクリル樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。ガスバリア性樹脂として、好ましくは、ガスバリア性ポリウレタン樹脂が挙げられる。すなわち、ガスバリア性樹脂は、好ましくは、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含有し、より好ましくは、ガスバリア性ポリウレタン樹脂からなる。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂は、アニオン性基を含有し、上記の所定値以下の酸素透過度を有する樹脂である。より具体的には、ガスバリア性樹脂としてのガスバリア性ポリウレタン樹脂は、水系ディスパージョンとしてのポリウレタンディスパージョン(PUD)に、含有される。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂は、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との反応生成物を含有し、好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との反応生成物からなる。イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応生成物を含有し、好ましくは、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応生成物からなる。
すなわち、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との一次反応生成物が、イソシアネート基末端プレポリマーである。そして、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との二次反応生成物が、ガスバリア性ポリウレタン樹脂である。
[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分は、例えば、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含んでいる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)としては、例えば、1,2-キシリレンジイソシアネート(o-XDI)、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)、および、1,4-キシリレンジイソシアネート(p-XDI)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。キシリレンジイソシアネート(XDI)として、好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)、および、1,4-キシリレンジイソシアネート(p-XDI)が挙げられ、より好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)が挙げられる。
水添キシリレンジイソシアネート(別名:ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)(HXDI)としては、例えば、1,2-水添キシリレンジイソシアネート(1,2-HXDI)、1,3-水添キシリレンジイソシアネート(1,3-HXDI)、および、1,4-水添キシリレンジイソシアネート(1,4-HXDI)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)として、好ましくは、1,3-水添キシリレンジイソシアネート(1,3-HXDI)、および、1,4-水添キシリレンジイソシアネート(1,4-HXDI)が挙げられ、より好ましくは、1,3-水添キシリレンジイソシアネート(1,3-HXDI)が挙げられる。
また、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート誘導体および/または水添キシリレンジイソシアネート誘導体が含まれる。誘導体としては、例えば、多量体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール付加体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、および、カルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、単量体が挙げられ、より好ましくは、キシリレンジイソシアネートの単量体が挙げられ、さらに好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)の単量体が挙げられる。
ポリイソシアネート成分は、必要に応じて、その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除くポリイソシアネート)を含有できる。
その他のポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く。)、芳香族ポリイソシアネート、および、芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く。)が挙げられる。
鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。また、鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状脂肪族ジイソシアネートの上記誘導体が含まれる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
脂環族ポリイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く。)としては、例えば、脂環族ジイソシアネート(水添キシリレンジイソシアネートを除く。)が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、および、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。また、脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂環族ジイソシアネートの上記誘導体が含まれる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、および、ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。また、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネートの上記誘導体が含まれる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く。)としては、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネート(キシリレンジイソシアネートを除く。)が挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。また、芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネートの上記誘導体が含まれる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
その他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。その他のポリイソシアネートとして、好ましくは、脂環族ポリイソシアネート、より好ましくは、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分として、ガスバリア性の観点から、とりわけ好ましくは、キシリレンジイソシアネート(XDI)と、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)との併用が挙げられる。
キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは、80質量%以上である。また、キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下、より好ましくは、95質量%以下、さらに好ましくは、90質量%以下である。
その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除くポリイソシアネート)の含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上である。また、その他のポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートおよび水添キシリレンジイソシアネートを除くポリイソシアネート)の含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、20質量%以下である。
[活性水素基含有成分]
活性水素基含有成分は、活性水素基を含有する有機化合物である。活性水素基としては、例えば、水酸基およびアミノ基が挙げられ、好ましくは、水酸基が挙げられる。
活性水素基含有成分は、例えば、炭素数2~6の短鎖ジオール、および、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を含んでいる。
炭素数2~6の短鎖ジオールは、1分子中に2つの水酸基を有する、炭素数2~6の有機化合物である。短鎖ジオールとしては、例えば、炭素数2~6のアルカンジオール、炭素数2~6のエーテルジオール、および、炭素数2~6のアルケンジオールが挙げられる。炭素数2~6のアルカンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、および、1,4-シクロヘキサンジオールが挙げられる。炭素数2~6のエーテルジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、および、ジプロピレングリコールが挙げられる。炭素数2~6のアルケンジオールとしては、例えば、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。ガスバリア性の観点から、好ましくは、炭素数2~6のアルカンジオールが挙げられ、より好ましくは、エチレングリコールが挙げられる。
炭素数2~6の短鎖ジオールの含有割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部以上である。炭素数2~6の短鎖ジオールの含有割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下である。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物は、1分子中に1つ以上のアニオン性基と2つ以上の活性水素基とを併有する有機化合物である。アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基(カルボン酸基)およびスルホ基(スルホン酸基)が挙げられ、好ましくは、カルボキシ基が挙げられる。活性水素基としては、例えば、水酸基およびアミノ基が挙げられ、好ましくは、水酸基が挙げられる。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物として、好ましくは、1分子中に1つのカルボキシ基と2つ以上の水酸基とを併有する有機化合物が挙げられ、より好ましくは、1分子中に1つのカルボキシ基と2つの水酸基とを併有する有機化合物が挙げられる。1分子中に1つのカルボキシ基と2つの水酸基とを併有する有機化合物としては、例えば、カルボキシ基含有ジオールが挙げられる。カルボキシ基含有ジオールとしては、例えば、ジヒドロキシアルカン酸が挙げられる。ジヒドロキシアルカン酸としては、例えば、2,2-ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸(別名:ジメチロールプロピオン酸)、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、および、2,2-ジメチロール吉草酸が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。水分散性の観点から、好ましくは、2,2-ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物の含有割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上である。また、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物の配合割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
活性水素基含有成分は、任意成分として、その他の低分子量ポリオールを含有できる。その他の低分子量ポリオールは、炭素数2~6の短鎖ジオール、および、親水性基を含有する活性水素基含有化合物を除く低分子量ポリオールである。その他の低分子量ポリオールとしては、例えば、炭素数7以上のジオール、および、3価以上の低分子量ポリオールが挙げられる。
炭素数7以上のジオールは、1分子中に2つの水酸基を有する、炭素数7以上の有機化合物である。炭素数7以上のジオールとしては、例えば、炭素数7~20のアルカンジオール、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、および、ビスフェノールAが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
3価以上の低分子量ポリオールは、分子中に水酸基を3つ以上有し、比較的低分子量の有機化合物である。比較的低分子量とは、分子量50以上650以下を示す。なお、低分子量ポリオールが分子量分布を有する場合、分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量を示す。3価以上の低分子量ポリオールとしては、例えば、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコール、6価アルコール、7価アルコール、および、8価アルコールが挙げられる。3価以上の低分子量ポリオールとして、好ましくは、3価アルコールおよび4価アルコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、および、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノールが挙げられる。4価アルコールとしては、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、および、ジグリセリンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
その他の低分子量ポリオールとして、好ましくは、3価以上の低分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、3価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、トリメチロールプロパンが挙げられる。
その他の低分子量ポリオールの含有割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、2質量部以上である。その他の低分子量ポリオールの含有割合は、活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、8質量部以下である。
また、炭素数2~6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、炭素数2~6の短鎖ジオールの含有割合が、例えば、80質量部以上、好ましくは、85質量部以上、より好ましくは、90質量部以上である。また、炭素数2~6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、炭素数2~6の短鎖ジオールの含有割合が、例えば、98質量部以下、好ましくは、95質量部以下である。また、炭素数2~6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、その他の低分子量ポリオールの含有割合が、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上である。また、炭素数2~6の短鎖ジオールとその他の低分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、その他の低分子量ポリオールの含有割合が、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
さらに、活性水素基含有成分は、任意成分として、高分子量ポリオールを含有できる。高分子量ポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的高分子量の有機化合物(重合物)である。高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、650を超過し、例えば、20000以下である。なお、数平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量を示す。高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用される。ガスバリア性の観点から、好ましくは、活性水素基含有成分は、高分子量ポリオールを含有しない。
活性水素基含有成分は、好ましくは、炭素数2~6の短鎖ジオールと、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物とからなるか、または、炭素数2~6の短鎖ジオールと、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物と、3価以上の低分子量ポリオールとからなる。活性水素基含有成分は、より好ましくは、炭素数2~6の短鎖ジオールと、アニオン性基を含有する活性水素基含有化合物と、3価以上の低分子量ポリオールとからなる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成する方法は、特に制限されない。例えば、上記した各成分を、所定の当量比で配合し、反応させる。
より具体的には、活性水素基含有成分中の活性水素基(水酸基およびアミノ基)に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、1を超過し、好ましくは、1.1以上である。また、活性水素基含有成分中の活性水素基(水酸基およびアミノ基)に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、20以下、好ましくは、10以下である。
[イソシアネート基末端プレポリマー]
イソシアネート基末端プレポリマーの合成では、公知の重合方法が採用される。重合方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。反応性を調整する観点から、重合方法として、好ましくは、溶液重合が採用される。バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して反応させる。反応温度は、例えば、75~85℃である。反応時間は、例えば、1~20時間である。溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を、有機溶剤中で配合して反応させる。反応温度は、例えば、20~80℃である。反応時間は、例えば、1~20時間である。有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。また、上記重合では、必要に応じて、触媒を添加できる。触媒としては、例えば、アミン系触媒および有機金属触媒が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。なお、触媒の添加量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、イソシアネート基末端プレポリマーの合成では、上記重合を、反応生成液のイソシアネート基濃度が、後述のイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基濃度に達するまで、継続させる。その後、必要に応じて、公知の除去方法で、反応生成液から、未反応のポリイソシアネート成分を除去する。除去方法としては、例えば、蒸留および抽出が挙げられる。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーが得られる。
イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基濃度は、例えば、4質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、6質量%以上である。また、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基濃度は、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、17質量%以下、さらに好ましくは、15質量%以下である。
また、イソシアネート基末端プレポリマーの平均イソシアネート基数は、例えば、1.5以上、好ましくは、1.9以上、より好ましくは、2.0以上である。また、イソシアネート基末端プレポリマーの平均イソシアネート基数は、例えば、3.0以下、好ましくは、2.5以下である。
上記のイソシアネート基末端プレポリマーは、アニオン性基を含有する活性水素化合物に由来するアニオン性基を有している。そこで、中和剤によって、イソシアネート基末端プレポリマーを中和し、アニオン性基の塩を形成させる。
中和剤としては、慣用の塩基が挙げられる。塩基として、具体的には、有機塩基および無機塩基が挙げられる。なお、塩基は、ルイス塩基を示す。有機塩基は、有機成分を含むルイス塩基である。有機塩基としては、例えば、3級アミンおよび2級アミンが挙げられる。3級アミンとしては、例えば、トリアルキルアミンおよびアルカノールアミンが挙げられる。トリアルキルアミンとしては、例えば、炭素数1~4のトリアルキルアミンが挙げられる。そのようなトリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミンが挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えば、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンが挙げられる。2級アミンとしては、例えば、複素環式アミンが挙げられる。複素環式アミンとしては、例えば、モルホリンが挙げられる。これら有機塩基は、単独使用または2種類以上併用できる。無機塩基は、無機成分からなるルイス塩基である。無機塩基としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、および、アルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが挙げられる。アルカリ金属炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、例えば、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。これら無機塩基は、単独使用または2種類以上併用できる。これらの中和剤は、単独使用または2種類以上併用できる。中和剤として、好ましくは、有機塩基が挙げられ、より好ましくは、3級アミンが挙げられ、さらに好ましくは、トリアルキルアミンが挙げられ、とりわけ好ましくは、トリエチルアミン(TEA)が挙げられる。
中和剤の添加量は、アニオン性基1当量に対して、例えば、0.4当量以上、好ましくは、0.6当量以上である。また、中和剤の添加量は、アニオン性基1当量に対して、例えば、1.2当量以下、好ましくは、1.0当量以下である。
次いで、この方法では、イソシアネート基末端プレポリマー(一次反応生成物)と、鎖伸長剤とを反応させて、ガスバリア性ポリウレタン樹脂(二次反応生成物)を得る。例えば、イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを、水中で反応させることにより、ガスバリア性ポリウレタン樹脂が生成するとともに水分散される。
[鎖伸長剤]
鎖伸長剤は、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長反応させる有機化合物である。鎖伸長剤は、複数の活性水素基を有している。
鎖伸長剤としては、例えば、ポリアミンおよびアミノアルコールが挙げられる。ポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、および、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンが挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジアミンおよびトリレンジアミンが挙げられる。芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3-キシリレンジアミンおよび1,4-キシリレンジアミンが挙げられる。脂環族ポリアミンとしては、例えば、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよび1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパンおよび1,3-ジアミノペンタンが挙げられる。ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシアルキレンエーテルジアミンが挙げられる。ポリオキシアルキレンエーテルジアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミンが挙げられる。アミノアルコールとしては、例えば、2-((2-アミノエチル)アミノ)エタノールおよび2-((2-アミノエチル)アミノ)-1-メチルプロパノールが挙げられる。
また、鎖伸長剤としては、例えば、第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物が挙げられる。第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランおよびN-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。さらに、鎖伸長剤としては、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物が挙げられる。第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物としては、例えば、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランおよびN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
鎖伸長剤は、単独使用または2種類以上併用できる。鎖伸長剤として、好ましくは、アミノアルコールが挙げられ、より好ましくは、2-((2-アミノエチル)アミノ)エタノールが挙げられる。
イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤とを水中で反応させる方法は、特に制限されない。例えば、まず、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させる。次いで、イソシアネート基末端プレポリマーが分散された水に、鎖伸長剤を添加し、水中で、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長させる。イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させる方法は、特に制限されない。例えば、水を撹拌しながら、水にイソシアネート基末端プレポリマーを添加する。この場合、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、水が、100~1000質量部である。その後、イソシアネート基末端プレポリマーが水分散された水を撹拌しながら、その水中に、鎖伸長剤を滴下する。この場合、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基に対する鎖伸長剤の活性水素基の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0.8~1.2である。鎖伸長反応は、例えば、常温にて完結する。反応完結までの時間は、例えば、0.1~10時間である。また、この方法では、固形分濃度を調整するために、反応完結後、有機溶剤および/または水を除去できる。また、この方法では、固形分濃度を調整するために、反応完結後、水を添加できる。
[一次水系ディスパージョン]
上記の鎖伸長反応により、ガスバリア性ポリウレタン樹脂の一次水系ディスパージョン(以下、一次ポリウレタンディスパージョン、一次PUD)が得られる。一次ポリウレタンディスパージョン(一次PUD)は、層状無機化合物および増粘抑制剤を含有せず、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含有する水分散体である。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂のウレタン基・ウレア基濃度は、例えば、30質量%以上、好ましくは、34質量%以上、より好ましくは、38質量%以上である。また、ガスバリア性ポリウレタン樹脂のウレタン基・ウレア基濃度は、例えば、50質量%以下、好ましくは、46質量%以下、より好ましくは、42質量%以下である。なお、ガスバリア性ポリウレタン樹脂のウレタン基・ウレア基濃度は、原料成分の仕込み比から算出できる。
一次ポリウレタンディスパージョンの固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上である。また、一次ポリウレタンディスパージョンの固形分濃度は、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
一次ポリウレタンディスパージョンのpHは、例えば、5以上、好ましくは、6以上である。また、一次ポリウレタンディスパージョンのpHは、例えば、11以下、好ましくは、10以下である。
一次ポリウレタンディスパージョンの平均粒子径は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上、より好ましくは、50nm以上である。また、一次ポリウレタンディスパージョンの平均粒子径は、例えば、500nm以下、好ましくは、300nm以下、より好ましくは、200nm以下である。
なお、上記のガスバリア性ポリウレタン樹脂に限定されず、ガスバリア性樹脂は、好ましくは、ガスバリア性樹脂の水系ディスパージョン(一次水系ディスパージョン)として、調製される。
ガスバリア性樹脂の水系ディスパージョン(一次水系ディスパージョン)の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上である。また、ガスバリア性樹脂の水系ディスパージョン(一次水系ディスパージョン)の固形分濃度は、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
(2)添加剤
添加剤は、必須成分として、層状無機化合物と、増粘抑制剤とを含有する。以下、層状無機化合物および増粘抑制剤を、必須添加剤と総称する。
[層状無機化合物]
層状無機化合物は、バリアコート層(後述)のガスバリア性を向上させるために、水系ディスパージョンに添加される。層状無機化合物としては、例えば、膨潤性の層状無機化合物、および、非膨潤性の層状無機化合物が挙げられる。層状無機化合物として、ガスバリア性の観点から、好ましくは、膨潤性の層状無機化合物が挙げられる。
膨潤性の層状無機化合物は、極薄の単位結晶からなる粘土鉱物である。膨潤性の層状無機化合物は、単位結晶層間に溶媒が配位および/または吸収して、膨潤する性質を有する。膨潤性の層状無機化合物は、天然粘土鉱物であってもよく、また、合成粘土鉱物であってもよい。膨潤性の層状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩、カオリナイト族粘土鉱物、アンチゴライト族粘土鉱物、スメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト族粘土鉱物、および、マイカ族粘土鉱物が挙げられる。含水ケイ酸塩としては、例えば、フィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。カオリナイト族粘土鉱物としては、例えば、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトおよびナクライトが挙げられる。アンチゴライト族粘土鉱物としては、例えば、アンチゴライトおよびクリソタイルが挙げられる。スメクタイト族粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトおよびスチブンサイトが挙げられる。バーミキュライト族粘土鉱物としては、例えば、バーミキュライトが挙げられる。マイカ族粘土鉱物としては、例えば、雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライトおよび合成マイカが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用できる。膨潤性の層状無機化合物として、好ましくは、スメクタイト族粘土鉱物、マイカ族粘土鉱物、および、合成マイカが挙げられ、より好ましくは、合成マイカが挙げられる。
層状無機化合物の平均粒径は、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上である。また、層状無機化合物の平均粒径は、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下、より好ましくは、3μm以下である。
層状無機化合物のアスペクト比は、例えば、50以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、200以上である。また、層状無機化合物のアスペクト比は、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下、より好ましくは、2000以下である。
層状無機化合物は、固形分100%として使用されてもよく、また、層状無機化合物を溶剤に分散させた分散液として使用されてもよい。好ましくは、層状無機化合物は、層状無機化合物を溶剤に分散させた分散液として使用される。溶剤の種類は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。分散液の固形分濃度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
層状無機化合物の含有割合は、特に制限されない。例えば、層状無機化合物の含有割合(固形分基準)は、ガスバリア性樹脂100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上である。また、層状無機化合物の含有割合(固形分基準)は、ガスバリア性樹脂100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
[増粘抑制剤]
増粘抑制剤は、層状無機化合物に由来する水系ディスパージョンの増粘を抑制するために、水系ディスパージョンに添加される。増粘抑制剤としては、無機塩基、アミン化合物、および、湿潤分散剤が挙げられる。すなわち、増粘抑制剤は、無機塩基、アミン化合物、および、湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
無機塩基は、無機成分からなるルイス塩基である。無機塩基としては、例えば、中和剤として上記した無機塩基が挙げられる。無機塩基として、より具体的には、アンモニア、上記アルカリ金属水酸化物、上記アルカリ土類金属水酸化物、上記アルカリ金属炭酸塩、上記アルカリ金属炭酸水素塩、および、上記アルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。無機塩基として、好ましくは、アンモニアが挙げられる。アンモニアは、例えば、アンモニアガスとして使用されてもよく、また、アンモニアを水に溶解させたアンモニア水として使用されてもよい。好ましくは、アンモニアは、アンモニアを水に溶解させたアンモニア水として使用される。アンモニア水のアンモニア濃度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
アミン化合物としては、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物(以下、アルコキシシリル不含有アミン化合物)が挙げられる。なお、アルコキシシリル骨格は、[-Si(OR)]で示される。式中、Rはアルキル基を示し、好ましくは、炭素数1~9のアルキル基を示す。また、式中、nは、1~3の整数を示す。
より具体的には、アルコキシシリル骨格を有しているアミン化合物(以下、アルコキシシリル含有アミン化合物)は、水系ディスパージョン中にダマ(異物)を発生させる。そのため、アミン化合物は、アルコキシシリル不含有アミン化合物を含み、好ましくは、アルコキシシリル不含有アミン化合物からなる。
アルコキシシリル不含有アミン化合物としては、例えば、アルコキシシリル不含有1級アミン化合物、アルコキシシリル不含有2級アミン化合物、および、アルコキシシリル不含有3級アミン化合物が挙げられる。
アルコキシシリル不含有1級アミン化合物としては、例えば、モノアルキルアミン、および、アルカノールアミンが挙げられる。モノアルキルアミンとしては、例えば、炭素数1~9のアルキル基を1つ有するアミンが挙げられる。モノアルキルアミンとして、より具体的には、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、および、t-ブチルアミンが挙げられる。アルカノールアミノとしては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、および、プロパノールアミンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
アルコキシシリル不含有2級アミン化合物としては、例えば、ジアルキルアミンおよびジアルカノールアミンが挙げられる。ジアルキルアミンとしては、例えば、炭素数1~9のアルキル基を2つ有するアミンが挙げられる。ジアルキルアミンとして、より具体的には、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、メチエルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチル、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、および、プロピルブチルアミンが挙げられる。ジアルカノールアミンとしては、例えば、ジメタノールアミン、および、ジエタノールアミンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
アルコキシシリル不含有3級アミン化合物としては、例えば、トリアルキルアミン、および、トリアルカノールアミンが挙げられる。トリアルキルアミンとしては、例えば、炭素数1~9のアルキル基を3つ有するアミンが挙げられる。トリアルキルアミンとして、より具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、および、トリプロピルアミンが挙げられる。トリアルカノールアミンとしては、例えば、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、および、トリイソプロパノールアミンが挙げられる。
アルコキシシリル不含有アミン化合物は、単独使用または2種類以上併用できる。アルコキシシリル不含有アミン化合物として、増粘抑制の観点から、好ましくは、アルコキシシリル不含有3級アミン化合物が挙げられ、より好ましくは、トリアルキルアミンが挙げられる。
また、増粘抑制、および、ダマ(異物)の発生の抑制の観点から、アルコキシシリル不含有アミン化合物として、好ましくは、中和剤として使用される有機塩基と、同種のアミン化合物が挙げられ、より好ましくは、中和剤として上記した3級アミンおよび2級アミンが挙げられ、さらに好ましくは、3級アミンが挙げられ、とりわけ好ましくは、トリエチルアミンが挙げられる。
アルコキシシリル不含有アミン化合物の炭素数の合計は、増粘抑制、および、ダマ(異物)の発生の抑制の観点から、例えば、12以下、好ましくは、8以下、より好ましくは、6以下である。アルコキシシリル不含有アミン化合物の炭素数の合計は、水系ディスパージョンの増粘抑制および安定性の観点から、例えば、1以上、好ましくは、2以上である。
湿潤分散剤は、界面活性作用を有する湿潤剤である。また、湿潤分散剤は、電気作用および/または立体障害作用により粒子の凝集を防ぐ分散剤(凝集抑制剤)である。湿潤分散剤としては、例えば、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、エーテル系湿潤分散剤およびエステル系湿潤分散剤が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。つまり、湿潤分散剤は、例えば、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、エーテル系湿潤分散剤およびエステル系湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。湿潤分散剤として、増粘抑制の観点から、好ましくは、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤およびエステル系湿潤分散剤が挙げられ、より好ましくは、エステル系湿潤分散剤が挙げられる。
湿潤分散剤は、固形分100%として使用されてもよく、また、湿潤分散剤を溶剤に分散させた分散液として使用されてもよい。好ましくは、湿潤分散剤は、湿潤分散剤を溶剤に分散させた分散液として使用される。溶剤の種類は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。分散液の固形分濃度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、湿潤分散剤およびその分散液は、市販品として入手可能である。市販品としては、例えば、Disp.Byk190(商品名、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、BYK社製)、Disp.Byk192(商品名、エーテル系湿潤分散剤、BYK社製)、および、Disp.Byk193(商品名、エステル系湿潤分散剤、BYK社製)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
増粘抑制剤は、単独使用または2種類以上併用できる。増粘抑制剤は、好ましくは、無機塩基を含有し、無機塩基が、アンモニアを含有する。また、増粘抑制剤は、好ましくは、上記炭素数を有するアミン化合物を含有する。また、増粘抑制剤は、好ましくは、上記の湿潤分散剤を含有する。
ガスバリア性、増粘抑制、および、ダマ(異物)の発生の抑制の観点から、より好ましくは、増粘抑制剤は、無機塩基および/またはアルコキシシリル不含有アミン化合物を含有し、さらに好ましくは、無機塩基を含有し、さらに好ましくは、アンモニアを含有し、とりわけ好ましくは、アンモニアからなる。増粘抑制剤がアンモニアを含有していれば、比較的少量の増粘抑制剤によって、とりわけ良好に、優れたガスバリア性が得られ、水系ディスパージョンの増粘を抑制でき、ダマ(異物)の発生を抑制できる。
増粘抑制剤の含有割合(有効成分量基準)は、特に制限されず、増粘抑制剤の種類、および、所望の粘度に応じて、適宜設定される。
増粘抑制剤の含有割合(有効成分量基準)は、ガスバリア性樹脂100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.10質量部以上、さらに好ましくは、0.5質量部以上である。また、増粘抑制剤の含有割合(有効成分量基準)は、ガスバリア性樹脂100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下、さらに好ましくは、5質量部以下、とりわけ好ましくは、2.5質量部以下である。
また、増粘抑制剤の含有割合(有効成分量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、1質量部以上、さらに好ましくは、1質量部以上、とりわけ好ましくは、5.5質量部以上である。また、増粘抑制剤の含有割合(有効成分量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、例えば、120質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、60質量部以下、さらに好ましくは、40質量部以下、とりわけ好ましくは、20質量部以下である。
また、増粘抑制剤が無機塩基および/またはアミン化合物である場合、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ガスバリア性樹脂のアニオン性基1モルに対して、例えば、0.001モル以上、好ましくは、0.01モル以上である。また、増粘抑制剤が、無機塩基および/またはアミン化合物である場合、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ガスバリア性樹脂のアニオン性基1モルに対して、例えば、50モル以下、好ましくは、25モル以下である。
また、増粘抑制剤が無機塩基および/またはアミン化合物である場合、中和剤として使用される有機塩基と、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ガスバリア性樹脂のアニオン性基1モルに対して、例えば、0.5モル以上、好ましくは、1モル以上である。また、増粘抑制剤が無機塩基および/またはアミン化合物である場合、中和剤として使用される有機塩基と、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ガスバリア性樹脂のアニオン性基1モルに対して、例えば、51モル以下、好ましくは、26モル以下である。
また、添加剤は、上記の必須添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)に加えて、その他の添加剤(以下、任意添加剤)を含有できる。任意添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料および結晶核剤が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。任意添加剤の添加量および添加のタイミングは、任意添加剤の種類に応じて、適宜設定される。
(3)二次水系ディスパージョン
上記のガスバリア性樹脂と、上記の必須添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)とを含有する水系ディスパージョンは、任意の方法で調製される。
好ましくは、ガスバリア性樹脂と層状無機化合物とが増粘抑制剤の存在下で混合される。ガスバリア性樹脂と層状無機化合物とが増粘抑制剤の存在下で混合されていれば、例えば、ガスバリア性樹脂と層状無機化合物とが増粘抑制剤の不存在下で混合され、その後、増粘抑制剤が添加される場合に比べて、水系ディスパージョンの増粘が抑制される。
より具体的には、この方法では、まず、上記の添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)の分散液を調製する。添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)の分散液は、特に制限されず、公知の方法で調製される。例えば、水に、添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)を添加し、混合および撹拌する。これにより、添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)の分散液が得られる。
水100質量部に対して、層状無機化合物の量(固形分基準)は、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上である。また、水100質量部に対して、層状無機化合物の量(固形分基準)は、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
水100質量部に対して、増粘抑制剤の量(固形分基準)は、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上である。また、水100質量部に対して、増粘抑制剤の量(固形分基準)は、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.1質量部以下である。
次いで、添加剤の分散液と、上記の一次水系ディスパージョンとを混合する。これにより、ガスバリア性樹脂および必須添加剤を含有する水系ディスパージョン(二次水系ディスパージョン)が得られる。好ましくは、添加剤の分散液と、上記の一次ポリウレタンディスパージョンとを混合する。これにより、ガスバリア性ポリウレタン樹脂および必須添加剤を含有するポリウレタンディスパージョン(二次ポリウレタンディスパージョン、二次PUD)が得られる。
添加剤の分散液と、上記の一次水系ディスパージョンとの混合割合は、適宜設定される。より具体的には、二次水系ディスパージョン中において、ガスバリア性樹脂の量と、層状無機化合物の量と、増粘抑制剤の量とが、それぞれ上記の割合となるように、添加剤の分散液の量および固形分濃度と、一次水系ディスパージョンの量および固形分濃度とが、調整される。
また、この方法では、二次水系ディスパージョンの固形分濃度を調整するために、公知の方法で、二次水系ディスパージョンから水を除去できる。また、この方法では、固形分濃度を調整するために、二次水系ディスパージョンに、水を添加できる。
二次水系ディスパージョンの固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上である。また、二次水系ディスパージョンの固形分濃度は、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
なお、一次水系ディスパージョンと層状無機化合物と増粘抑制剤との混合順序は、上記に限定されない。例えば、まず、一次水系ディスパージョンと増粘抑制剤とを混合し、次いで、これらの混合物に対して、層状無機化合物を、添加することもできる。また、まず、一次水系ディスパージョンと増粘抑制剤とを混合し、次いで、これらの混合物を、層状無機化合物に対して、添加することもできる。さらに、一次水系ディスパージョンと層状無機化合物と増粘抑制剤とを一括混合することもできる。これらの方法でも、二次水系ディスパージョンが調製される。
上記の二次水系ディスパージョンは、ガスバリア性樹脂を含有する。そのため、上記の二次水系ディスパージョンは、ガスバリア性コート材として、好適に使用される。
2.ガスバリア性コート材
ガスバリア性コート材は、上記の水系ディスパージョンを含有する。好ましくは、ガスバリア性コート材は、上記の水系ディスパージョンからなる。
ガスバリア性コート材は、上記のガスバリア性樹脂と、上記の必須添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)を含有している。ガスバリア性コート材は、必要に応じて、上記の任意添加剤を含有できる。
また、ガスバリア性コート材は、さらに、硬化剤を含有できる。硬化剤としては、例えば、エポキシ硬化剤、メラミン硬化剤、カルボジイミド硬化剤、アジリジン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、および、イソシアネート硬化剤が挙げられる。硬化剤の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、必要に応じて、ガスバリア性コート材の固形分濃度を調整できる。例えば、ガスバリア性コート材の固形分濃度をするために、公知の方法で、二次水系ディスパージョンから水を除去できる。また、ガスバリア性コート材の固形分濃度をするために、固形分濃度を調整するために、二次水系ディスパージョンに、水を添加できる。
ガスバリア性コート材の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上である。また、ガスバリア性コート材の固形分濃度は、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
上記のガスバリア性コート材は、ガスバリア性樹脂を含有する。そのため、上記のガスバリア性コート材は、優れたガスバリア性を有するコート層(バリアコート層)を形成できる。
3.作用効果
上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材によれば、優れた外観を有する塗膜を得ることができ、かつ、増粘を抑制できる。
すなわち、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、ガスバリア性樹脂を含んでいる。さらに、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、上記のガスバリア性樹脂に加えて、層状無機化合物を含有している。そのため、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、優れたガスバリア性を有する塗膜を、得ることができる。
一方、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、ガスバリア性樹脂は、アニオン性基を有している。アニオン性基は、ガスバリア性樹脂を、水に分散させている。
しかし、水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材が層状無機化合物を含有していると、アニオン性基によるガスバリア性樹脂の水分散性が、不安定化し、ガスバリア性樹脂が凝集する場合がある。
これに対して、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、増粘抑制剤を含有している。増粘抑制剤は、無機塩基、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物、および、湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
そのため、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、層状無機化合物による中和剤の脱離を抑制でき、アニオン性基によるガスバリア性樹脂の凝集を抑制できる。その結果、水系ディスパージョンの増粘を抑制できる。
また、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材では、増粘抑制剤がアミン化合物であっても、そのアミン化合物はアルコキシシリル骨格を有していない。そのため、水系ディスパージョン中にダマ(異物)が生じることを抑制できる。その結果、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材によれば、優れた外観を備える塗膜が形成される。
そのため、上記の水系ディスパージョンおよびガスバリア性コート材は、バリアコート層を備える積層体の製造において、好適に用いることができる。
4.積層体
図1において、積層体1は、基材2と、目止め層3と、バリアコート層4とを備えている。
(1)基材
基材2は、特に制限されず、例えば、プラスチック基材、繊維基材、金属基材およびセラミック基材が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。基材2として、好ましくは、プラスチック基材および繊維基材が挙げられる。
プラスチック基材は、例えば、プラスチックからなるフィルムである。プラスチックとしては、例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびセルロース樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。熱可塑性樹脂として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂が挙げられる。また、プラスチック基材としては、例えば、無延伸基材、一軸延伸基材および二軸延伸基材が挙げられ、好ましくは、二軸延伸基材が挙げられる。繊維基材としては、例えば、紙、布および木が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
なお、基材2は、単層であってもよく、複数層であってもよい。また、基材2は、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、蒸着処理、コロナ放電処理およびアンカーコート処理が挙げられる。基材2の形状は、例えば、シート状、ボトル状およびカップ状が挙げられる。
基材2の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上である。また、基材2の厚みは、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
(2)目止め層
目止め層3は、基材2の少なくとも一方側の表面に配置される。目止め層3は、基材2に対するガスバリア性コート材(二次水系ディスパージョン)の含浸を抑制するために、基材2に積層される。目止め層3は、基材2の両面に配置されていてもよい。目止め層3は、好ましくは、基材2の一方側の表面にのみ、配置される。
目止め層3は、例えば、基材2の表面に、目止めコート材を塗布および乾燥することにより、形成される。
目止めコート材としては、特に制限されず、公知の目止めコート材が挙げられる。目止めコート材として、より具体的には、目止め樹脂を溶剤に分散させて得られる分散液(樹脂エマルジョン)が挙げられる。目止め樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびセルロース樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。目止め樹脂として、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。溶剤としては、特に制限されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルが挙げられる。これら溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。目止めコート材(樹脂エマルジョン)の固形分濃度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
目止めコート材(樹脂エマルジョン)の塗布方法は、特に制限されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法およびエアナイフコート法が挙げられる。目止めコート材(樹脂エマルジョン)の乾燥条件は、特に制限されない。例えば、乾燥温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上である。また、乾燥温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、1秒以上、好ましくは、30秒以上である。また、乾燥時間は、例えば、10分以下、好ましくは、5分以下である。
これにより、目止め層3が形成される。目止め層3の量(乾燥質量)は、例えば、1g/m以上、好ましくは、3g/m以上である。また、目止め層3の量(乾燥質量)は、例えば、30g/m以下、好ましくは、15g/m以下である。
(3)バリアコート層
バリアコート層4は、ガスバリア性を有する樹脂層である。なお、ガスバリア性とは、酸素の透過率を低下させる性質である。より具体的には、バリアコート層4は、所定値以下の酸素透過度を有するガスバリア性樹脂からなる。例えば、厚み10μmのバリアコート層4の酸素透過度は、例えば、室温下において、1(cc/m・day・atm)以下である。なお、酸素透過度は、JIS K7126(2006年)B法に準拠して、酸素透過度測定装置(MOCON社、OX-TRAN2/22H)を使用して、測定される。測定条件は、20℃および80%RH(相対湿度)である。
バリアコート層4は、目止め層3の一方側の表面に配置される。つまり、基材2に対して目止め層3が配置される側において、目止め層3の表面に、バリアコート層4が配置される。バリアコート層4は、目止め層3とともに、基材2の両面に配置されていてもよい。バリアコート層4は、好ましくは、目止め層3とともに、基材2の一方側の表面にのみ、配置される。
バリアコート層4は、上記のガスバリア性樹脂から形成されている。より具体的には、バリアコート層4は、上記のガスバリア性コート材(二次水系ディスパージョン)を、目止め層3に塗布および乾燥させることにより、形成される。
ガスバリア性コート材の塗布方法は、特に制限されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法およびエアナイフコート法が挙げられる。ガスバリア性コート材の乾燥条件は、特に制限されない。例えば、乾燥温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上である。また、乾燥温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。また、乾燥時間が、例えば、1秒以上、好ましくは、30秒以上である。また、乾燥時間は、例えば、10分以下、好ましくは、5分以下である。
これにより、バリアコート層4が形成される。バリアコート層4の量(乾燥質量)は、例えば、0.1g/m以上、好ましくは、0.2g/m以上である。バリアコート層4の量(乾燥質量)は、例えば、10g/m以下、好ましくは、7g/m以下である。
(4)機能層
積層体1は、さらに、機能層5(破線参照)を備えることができる。機能層5は、例えば、積層体1に、所望の機能性を付与するための樹脂層である。機能層5は、バリアコート層4の一方面側、および/または、基材2の他方面側に、公知の方法で配置される。機能層により付与される機能性としては、例えば、耐水性、耐油性およびヒートシール性が挙げられる。好ましくは、ヒートシール性が挙げられる。すなわち、機能層5として、好ましくは、ヒートシール層が挙げられる。機能層5は、例えば、アイオノマーの塗布および乾燥により、形成される。機能層5の厚みは、所望の機能性に応じて、適宜設定される。
(5)積層体
積層体1の合計厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。また、積層体1の合計厚みは、例えば、1mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
このような積層体1は、バリアコート層4が、上記のガスバリア性コート材(二次水系ディスパージョン)を使用して形成されている。そのため、積層体1は、優れたガスバリア性を有する。また、積層体1は、優れた外観を有する。さらに、積層体1の製造において、増粘に由来する作業性の低下を抑制できる。つまり、積層体1は、優れた製造作業性を有する。そして、水系ディスパージョン、ガスバリア性コート材、および、積層体1は、優れたガスバリア性を有するため、各種産業分野において、好適に使用される。好ましくは、水系ディスパージョン、ガスバリア性コート材、および、積層体1は、食品包装材分野において、使用される。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
合成例1(一次PUD)
下記の成分を混合し、窒素雰囲気下、65~70℃で、イソシアネート基濃度(NCO%)が9.53質量%以下になるまで反応させた。これにより、透明なイソシアネート基末端プレポリマー反応生成液を得た。
1,3-キシリレンジイソシアネート
(タケネート500、1,3-XDI、三井化学社製)148.2質量部
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)
(VestanatH12MDI、H12MDI、エボニック社製)25.8質量部
エチレングリコール29.9質量部
トリメチロールプロパン2.3質量部
ジメチロールプロピオン酸17.0質量部
メチルエチルケトン(溶剤)126.9質量部
次いで、反応生成液を40℃まで冷却した。次いで、反応生成液にトリエチルアミン(TEA)12.6質量部を添加した。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーを中和させた。トリエチルアミンの添加量は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、1モルであった。
次いで、ホモディスパーを使用し、反応生成液を、1000.0質量部のイオン交換水に分散させた。次いで、得られた分散液にアミン水溶液を添加し、鎖伸長反応させた。また、鎖伸長反応の反応生成液を、1時間熟成(エージング)させた。これにより、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を得た。なお、アミン水溶液は、イオン交換水50.0質量部と、エチレンジアミン14.3質量部との混合液であった。その後、エバポレーターを使用し、メチルエチルケトンおよびイオン交換水を、反応生成液から留去した。これにより、固形分濃度を30質量%に調整した。
以上により、ガスバリア性ポリウレタン樹脂が水分散されてなる一次ポリウレタンディスパージョン(一次PUD)を得た。
一次ポリウレタンディスパージョン(一次PUD)のpHは、8.6であった。また、一次ポリウレタンディスパージョン(一次PUD)の平均粒子径(FPAR(大塚電子製)測定)は、58nmであった。
合成例2(目止めコート材)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水2193質量部と、ドデシル硫酸ナトリウム2.5質量部とを仕込んだ。反応容器の内容物を、撹拌および窒素置換しながら、温度が75℃に至るまで加熱した。
反応容器の内温を75℃に維持しながら、反応容器に、重合開始剤としての過硫酸カリウム7.5質量部を添加し、反応容器の内容物に溶解させた。その後、予め調製したモノマー乳化物を、反応容器に5時間かけて連続的に滴下した。なお、モノマー乳化物は、イオン交換水900質量部およびドデシル硫酸ナトリウム5質量部と、アクリルアミド25質量部、メチルメタクリレート175質量部、2-エチルヘキシルアクリレート1088質量部、メタクリル酸80質量部、および、スチレン1133質量部とを、混合した混合物であった。
モノマー乳化物の滴下が終了した後、反応容器の内容物を、3時間熟成させた。これにより、水性エマルジョンを得た。次いで、水性エマルジョンを常温まで冷却した。その後、水性エマルジョンに、イオン交換水およびアンモニウム水溶液を添加して、固形分濃度を41質量%に調整し、pHを8.0に調整した。これにより、目止めコート材としてのアクリルエマルジョンを得た。アクリルエマルジョンの動的光散乱法(測定装置FPAR-1000、大塚電子社製)による平均粒子径は、140nmであった。
準備例1(増粘抑制剤)
以下の増粘抑制剤を準備した。
(1)25%アンモニア水(無機塩基、東京化成工業製)
(2)Disp.Byk190(商品名、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、BYK社製、固形分濃度100質量%)
(3)Disp.Byk192(商品名、エーテル系湿潤分散剤、BYK社製、固形分濃度100質量%)
(4)Disp.Byk193(商品名、エステル系湿潤分散剤、BYK社製、固形分濃度約85質量%、溶剤;ポリプロピレングリコール)
(5)トリエチルアミン(東京化成工業製、アルコキシシリル不含有3級アミン化合物、固形分濃度100%)
(6)エチルアミン(モノエチルアミン水溶液、アルコキシシリル不含有1級アミン化合物、固形分濃度33%)
(7)プロピルアミン(モノプロピルアミン、アルコキシシリル不含有1級アミン化合物、固形分濃度100%)
(8)ジエチルアミン(モノプロピルアミン、アルコキシシリル不含有2級アミン化合物、固形分濃度100%)
(9)3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン(アルコキシシリル含有アミン化合物)
(10)水酸化ナトリウム水溶液(無機塩基、アルカリ金属水酸化物、固形分濃度20質量%)
(11)水酸化カリウム水溶液(無機塩基、アルカリ金属水酸化物、固形分濃度20質量%)
(12)水酸化カルシウム水溶液(無機塩基、アルカリ土類金属水酸化物、固形分濃度0.16質量%)
(13)炭酸ナトリウム水溶液(無機塩基、アルカリ金属炭酸塩、固形分濃度1.7質量%)
(14)炭酸水素ナトリウム水溶液(無機塩基、アルカリ金属炭酸水素塩、固形分濃度1.4質量%)
準備例2(層状無機化合物)
以下の層状無機化合物を準備した。
(1)ME-300-B4T(商品名、合成マイカ、片倉コープアグリ社製、固形分濃度7.8%、溶剤;水)
実施例1~13、16~19および比較例1~2(二次PUD)
表1~表3に示す処方で、水と、膨潤性の層状無機化合物(商品名:ME-300-B4T、合成マイカ、片倉コープアグリ社製、固形分濃度7.8%)と、増粘抑制剤とを配合し、これらをミキサーで5分混合した。これにより、添加剤の分散液を得た。なお、表1には、増粘抑制剤の有効成分量(濃度100%に換算した配合量。以下、濃度換算値)を示す。
その後、表1に示す処方で、添加剤の分散液と、一次PUDとを配合し、これらをミキサーで5分混合した。
以上により、ガスバリア性ポリウレタン樹脂と、添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)とが水分散されてなる二次ポリウレタンディスパージョン(二次PUD)を得た。二次PUDの固形分濃度を、表1~表3に示す。
実施例14
実施例1と同じ処方において、各成分の配合順序を変更した。より具体的には、まず、表1に示す処方で、一次PUDに対して、水と、増粘抑制剤(アンモニア水)とを配合し、これらをミキサーで5分混合した。
次いで、上記混合で得られた混合物に対して、層状無機化合物(商品名:ME-300-B4T、合成マイカ、片倉コープアグリ社製、固形分濃度7.8%)を配合し、これらをミキサーで5分混合した。
以上により、ガスバリア性ポリウレタン樹脂と、添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)とが水分散されてなる二次ポリウレタンディスパージョン(二次PUD)を得た。二次PUDの固形分濃度を、表3に示す。
実施例15
実施例1と同じ処方において、各成分の配合順序を変更した。より具体的には、まず、表1に示す処方で、一次PUDに対して、水と、増粘抑制剤(アンモニア水)とを配合し、これらをミキサーで5分混合した。
次いで、層状無機化合物(商品名:ME-300-B4T、合成マイカ、片倉コープアグリ社製、固形分濃度7.8%)に対して、上記混合で得られた混合物を配合し、これらをミキサーで5分混合した。
以上により、ガスバリア性ポリウレタン樹脂と、添加剤(層状無機化合物および増粘抑制剤)とが水分散されてなる二次ポリウレタンディスパージョン(二次PUD)を得た。二次PUDの固形分濃度を、表3に示す。
なお、実施例1、14および15において、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、1モルであった。また、中和剤として使用されるトリエチルアミンと、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、2モルであった。また、実施例1において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、5.56質量部であった。
また、実施例2において、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、0.1モルであった。また、中和剤として使用されるトリエチルアミンと、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、1.1モルであった。また、実施例1において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、0.56質量部であった。
また、実施例3~4、6および8~9において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、22.2質量部であった。
また、実施例5において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、約18.9質量部であった。
また、実施例7において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、7.33質量部であった。
また、実施例12において、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、0.01モルであった。また、中和剤として使用されるトリエチルアミンと、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、1.01モルであった。また、実施例12において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、0.056質量部であった。
また、実施例13において、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、10モルであった。また、中和剤として使用されるトリエチルアミンと、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、11モルであった。また、実施例13において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、55.6質量部であった。
また、実施例16において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、0.036質量部であった。
また、実施例17において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、0.038質量部であった。
また、実施例18において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、0.031質量部であった。
また、実施例19において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、120質量部であった。
比較例1では、増粘抑制剤を添加しなかった。
また、比較例2では、増粘抑制剤として、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン(アルコキシシリル含有アミン化合物)を使用した。比較例2において、増粘抑制剤の含有割合(モル基準)は、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、0.5モルであった。また、中和剤として使用されるトリエチルアミンと、増粘抑制剤との合計量(モル基準)が、ジメチロールプロピオン酸に由来するアニオン性基1モルに対して、1.5モルであった。また、比較例1において、増粘抑制剤の含有割合(質量基準)は、層状無機化合物100質量部に対して、22.2質量部であった。
また、上記の二次PUDを、ガスバリア性コート材として使用して、積層体を得た。より具体的には、製造直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して、以下の方法で、積層体を製造した。また、上記の製造直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)をミキサーで30分混合した。その後、混合後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して、以下の方法で、積層体を製造した。
すなわち、紙基材として、晒し片艶紙(製品名;白銀、日本製紙製、坪量67g/m)を準備した。
次いで、紙基材の艶面に、目止めコート材(合成例2)を、バーコーターで塗布した。なお、乾燥質量が8g/mとなるように、塗布量を調整した。次いで、目止めコート材の塗膜を120℃で60秒乾燥させた。これにより、目止め層を形成した。
次いで、目止め層の表面に、製造直後の二次PUDまたは混合後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を、バーコーターで塗布した。なお、乾燥質量が2.5g/mとなるように、塗布量を調整した。次いで、二次PUD(ガスバリア性コート材)の塗膜を120℃で60秒乾燥させた。これにより、バリアコート層を形成した。
以上により、積層体を得た。積層体の層構成は、以下の通りであった。
紙基材/目止め層/バリアコート層
<評価>
(1)ガスバリア性コート材の外観
配合および混合した直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)の外観を、目視で観察した。その結果を、表1~表3に示す。
なお、表1~表3において、○は、二次PUD(ガスバリア性コート材)中に異物が確認されなかったことを示す。また、表1~表3において、×は、二次PUD(ガスバリア性コート材)中に異物が確認されたことを示す。
(2)ガスバリア性コート材の粘度(mPa・s)、および、安定性(増粘抑制)
上記の製造直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)の25℃における粘度(η1)を、下記の条件で測定した。
また、二次PUD(ガスバリア性コート材)をミキサーで30分混合した。その後、二次PUD(ガスバリア性コート材)の25℃における粘度(η2)を、下記の条件で測定した。
そして、混合前後における粘度の増加率(=100×混合後の粘度(η2)/混合前の粘度(η1))を算出した。粘度の増加率が200%以下である場合、二次PUDの安定性を○と評価した。また、粘度の増加率が200%を超過している場合、二次PUDの安定性を×と評価した。
測定方法;ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定
装置;B型粘度計(型番RB-85)、東機産業社製
ローター;No.2(M2)
回転数;60rpm
(3)バリアコート層の外観
各積層体のバリアコート層の外観を、目視で評価した。
(4)バリアコート層のコート量(乾燥質量)
紙基材に目止め層のみを形成した積層体の質量を測定した。また、紙基材に目止め層およびバリアコート層を形成した積層体の質量を測定した。これらの測定結果に基づいて、バリアコート層のコート量(乾燥質量)を算出した。
(5)積層体の酸素透過度(OTR)
製造直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して得られた積層体の酸素透過度を、以下の条件で測定した。また、混合後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して得られた積層体の酸素透過度を、以下の条件で測定した。
装置;酸素透過度測定装置(MOCON社、OX-TRAN 2/22H)
温度;20℃
相対湿度;80%
なお、1m、1日および1気圧当たりの酸素の透過量(cc/m・day・atm)を測定した。その結果を、表1~表3に示す。
(6)積層体の水蒸気透過度(WVTR)
製造直後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して得られた積層体の水蒸気透過度を、以下の条件で測定した。また、混合後の二次PUD(ガスバリア性コート材)を使用して得られた積層体の水蒸気透過度を、以下の条件で測定した。
装置;水蒸気透過度測定装置(MOCON社、PARMATRAN-W 3/34 G)
温度;40℃
相対湿度;90%
なお、1mおよび1日当たりの水蒸気の透過量(g/m・day)を測定した。その結果を、表1~表3に示す。
1 積層体
2 基材
3 目止め層
4 バリアコート層
5 機能層

Claims (6)

  1. ガスバリア性樹脂と添加剤とを含有する水系ディスパージョンであって、
    前記ガスバリア性樹脂は、中和剤により中和されたアニオン性基を含有し、
    前記ガスバリア性樹脂は、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含有し、
    前記ガスバリア性ポリウレタン樹脂は、
    イソシアネート基末端プレポリマーと鎖伸長剤との反応生成物を含有し、
    前記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物を含有し、
    前記添加剤は、層状無機化合物と、増粘抑制剤(前記アニオン性基を中和する中和剤および、前記イソシアネート基末端プレポリマーの末端イソシアネート基を封止する末端封止剤を除く。)とを含有し、
    前記増粘抑制剤が、
    無機塩基、
    前記中和剤による中和に関与しない、アルコキシシリル骨格を有していないアミン化合物(ポリアミン化合物を除く。)
    および、湿潤分散剤
    からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、水系ディスパージョン。
  2. 記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物を含有し、
    前記ポリイソシアネート成分は、キシリレンジイソシアネートおよび/または水添キシリレンジイソシアネートを含有し、
    前記活性水素基含有成分は、炭素数2-6の短鎖ジオールと、アニオン性基を含有する活性水素化合物とを含有する、請求項1に記載の水系ディスパージョン。
  3. 前記増粘抑制剤が、前記無機塩基を含有し、
    前記無機塩基が、アンモニアを含有する、請求項1に記載の水系ディスパージョン。
  4. 前記増粘抑制剤が、前記アミン化合物を含有し、
    前記アミン化合物の炭素数が、6以下である、請求項1に記載の水系ディスパージョン。
  5. 前記増粘抑制剤が、前記湿潤分散剤を含有し、
    前記湿潤分散剤が、スチレン-マレイン酸系湿潤分散剤、エーテル系湿潤分散剤およびエステル系湿潤分散剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の水系ディスパージョン。
  6. 請求項1に記載の水系ディスパージョンを含有する、ガスバリア性コート材。
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