JP5466802B2 - 水性ポリウレタン樹脂及び積層フィルム - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂及び積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリア性及びプラスチックなどの基材への密着性に優れた水性ポリウレタン樹脂、この水性ポリウレタン樹脂で構成された組成物(又はコーティング組成物又はコーティング剤用水性樹脂組成物)、およびこの水性ポリウレタン樹脂(又はその組成物)を基材にコーティング又は積層したコーティングフィルム(又は積層フィルム)に関する。
ガスバリア性フィルムおよびそれを用いた包装材は既に知られている。最も優れた酸素ガスバリア性を有する包装材としてはアルミニウム箔が知られているが、アルミニウム箔単独では耐ピンホール性が弱いため、特殊な用途を除いては使用できず、殆どラミネートフィルムの中間層として使用される。アルミニウム箔を含むラミネートフィルムのガスバリア性は非常に優れているが、不透明のため内容物を視認できないだけでなく、確実にヒートシールされたか否か判断するのが難しい。
酸素ガスバリア性フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン又は塩化ビニリデン共重合体(以下、単にPVDCという)のフィルムおよびコーティングフィルムが知られている。特にPVDCのコーティングフィルムは、酸素ガスおよび水蒸気のバリア性の高い積層フィルムとして知られている。PVDCは吸湿性が殆どなく、高湿度下でも高いガスバリア性を有するため、湿度に関係なく種々のコーティング用の基材フィルムが使用できる。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(以下、単にOPPという)、二軸延伸ナイロン(以下、単にONという)、二軸延伸ポリエステル(以下、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを単にOPETという)、セロハンなどのフィルムが使用されている。そして、ラミネートされたフィルムはガスバリア性を生かし、乾燥品及び水物(湿潤収容物)を問わず、種々の食品包装に利用されている。これらの包装材料は利用された後、通常、家庭からは一般廃棄物として廃棄されるが、PVDCは燃焼により有害なガスを生じ、さらには低温での焼却により発ガン性の強い有機塩素化合物を発生させる原因ともなっている。このことから、PVDCから他の材料への移行が強く望まれている。しかし、性能やコスト面から、このPVDCに代わる素材はまだ現れていないのが現状である。
例えば、酸素ガスバリアフィルムとして、ポリビニルアルコール(以下、単にPVAという)系フィルムも知られている。PVAフィルムは吸湿の少ない状態では非常に優れた酸素ガスバリア性を有する。しかし、吸湿性が大きく、相対湿度が70%を越えると、酸素ガスバリア性は急激に低下し、内容物が乾燥物に限定されている。PVAの吸湿性を改良するため、エチレンと共重合させてエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、単にEVOHという)を形成する方法、PVAのアルコールの一部を変性して耐水化する方法などが検討されている。特開平4−345841号公報(特許文献1)には、アルコキシシラン、シランカップリング剤およびPVAをゾル−ゲル法によって重縮合させ、生成した複合ポリマーを、熱可塑性樹脂の基材フィルムに積層した積層フィルムが提案されている。しかし、何れの方法で得られた樹脂も満足する性能には至っていない。
また、特開平1−252631号公報(特許文献2)には、脂肪族ジカルボン酸と4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネート)とを反応させて得られるポリアミドで構成されたガスバリア性包装材が開示され、このフィルムが高湿度側で優れたガスバリア性を示すことが開示されている。特開平10−140072号公報(特許文献3)には、ポリアリルアルコールで構成されたガスバリアコーティング用水性分散液、および基材に前記水性分散液の皮膜層を形成した多層構造体が開示され、優れたガスバリア性及び透明性を示すことが開示されている。しかし、これらのフィルムでも、高湿度下におけるガスバリア性や耐水性において充分に満足する性能に至っていない。
最近、無機酸化物のフィルムへの蒸着により高度な酸素ガスバリア性を有するフィルムも生産されている。例えば、特公昭53−12953号公報(特許文献4)には、フレキシブルプラスチックフィルムの少なくとも片面に酸化珪素を厚さ100〜3000Åに蒸着して透明薄膜層を形成し、耐透湿気性と耐透湿性を有する透明フィルムが開示されている。特開昭62−179935号公報(特許文献5)には、透明プラスチック基体上に、非結晶性の酸化アルミニウム薄層を形成した包装用フィルムが開示されている。しかし、無機酸化物系のフィルムは、物理蒸着や化学蒸着などの方法を利用するため、基材フィルム自身に耐久性が要求され、限られた基材にしか適用されていない。また、無機酸化物であるため柔軟性が低く、フィルムの二次加工に伴ってクラックなどが生じやすくガスバリア性の低下を生じるケースもある。
特開平6−220221号公報(特許文献6)には、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸とを重量比95:5〜20:80で含有する混合物から形成されたフィルムであり、30℃及び80%相対湿度の条件下で測定した酸素透過係数が1.25×10-3ml(STP)・cm/m2・h・atm(Pa)以下であるガスバリア性フィルムが開示されている。この文献には、前記混合物からフィルムを形成し、次いでフィルムを特定の条件(例えば、100〜250℃)で熱処理し、ガスバリア性フィルムを得ることも記載されている。しかし、高温で熱処理する必要があるため、前記混合物を塗布する基材が大きく制約され、例えば、汎用的に使用されているポリプロピレンフィルムなどには適用できない。
特許第3275432号明細書(特許文献7)には、(A)アミノ基含有シラン化合物と、(B)このシラン化合物のアミノ基又はアルコキシ基と反応しうる官能基を分子内に2個以上有する有機化合物との反応生成物で構成された反応性化合物、陰イオン性界面活性剤及び水を含むガスバリア用水系表面処理用組成物が開示されている。この文献には、(A)アミノ基含有シラン化合物と(B)前記有機化合物と(C)有機金属化合物との反応生成物を用いてもよいこと、これらの反応生成物の加水分解反応生成物を用いてもよいことも記載されている。しかし、この組成物は陰イオン性界面活性剤を含むため、ガスバリア性を大きく向上させることが困難である。
特開2001−98047号公報(特許文献8)には、ジイソシアネート成分とC2-8アルキレングリコールとの反応で得られ、ウレタン基およびウレア基濃度の合計が15重量%以上であるガスバリア性ポリウレタン樹脂が開示されている。この文献には、ジメチロールプロピオン酸などのジヒドロキシカルボン酸とアルキレングリコールとを反応させ、生成したプレポリマーをアミンで中和し、ジアミンやヒドラジンなどの鎖伸長剤で鎖伸長させ、水性分散体を得ることも記載されている。この文献に記載のウレタン系樹脂を用いると、環境汚染の虞がなく、ガスバリア性を向上できる。しかし、前記水系ウレタン樹脂には、良好なガスバリア性はもちろんのこと、コーティング剤としての分散安定性、製膜後の透明性、基材に対する密着性などのフィルムコート適正も要望されている。
特開平4−345841号公報(特許請求の範囲) 特開平1−252631号公報(特許請求の範囲、発明の効果の欄) 特開平10−140072号公報(特許請求の範囲、発明の効果の欄) 特公昭53−12953号公報(特許請求の範囲) 特開昭62−179935号公報(特許請求の範囲) 特開平6−220221号公報(特許請求の範囲) 特許第3275432号明細書(特許請求の範囲) 特開2001−98047号公報(特許請求の範囲、段落番号[0035]〜[0039]、[0076]〜[0079])
従って、本発明の目的は、高湿度下であっても、酸素、水蒸気、香気成分などに対するガスバリア性に優れた水性ポリウレタン樹脂、この水性ポリウレタン樹脂で構成された樹脂組成物、およびこの樹脂組成物を用いた積層フィルム(又は積層体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、環境汚染の虞れがなく、高湿度下におけるガスバリア性が高い水性ポリウレタン樹脂、この水性ポリウレタン樹脂で構成された樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いた積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリイソシアネート化合物と、ポリヒドロキシ酸(ポリヒドロキシカルボン酸など)などとの反応により得られる酸基を有するポリウレタン樹脂(およびこの樹脂で構成された樹脂組成物)において、前記ポリイソシアネート化合物を、少なくとも架橋環式炭化水素(ノルボルナンなど)基を有する特定のポリイソシアネート化合物で構成すると、高湿度下におけるガスバリア性を著しく向上できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、少なくともポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸との反応により得られ、酸基を有する水性ポリウレタン樹脂であって、前記ポリイソシアネート化合物が、架橋環式炭化水素基を有するポリイソシアネート化合物(A1)で構成されている。前記水性ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性の観点から、通常、高いウレタン基およびウレア基濃度を有しており、例えば、ウレタン基およびウレア基濃度の合計が25〜55重量%程度であってもよい。また、前記水性ポリウレタン樹脂の酸価は、5〜50mgKOH/g程度であってもよい。
前記ポリイソシアネート化合物(A1)は、例えば、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0005466802
(式中、jは1以上の整数、k、mおよびnは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す。)
上記式(1)で表される代表的な化合物は、例えば、ポリイソシアネート化合物(A1)が、2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種の化合物などであってもよい。
前記ポリイソシアネート化合物(A)は、製膜性などの観点から、他のポリイソシアネート化合物を含んでいてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物(A)は、ポリイソシアネート化合物(A1)および芳香脂肪族ポリイソシアネート(特に、キシリレンジイソシアネート)で構成されていてもよい。また、前記ポリイソシアネート化合物(A)において、ポリイソシアネート化合物(A1)の割合は、例えば、ポリイソシアネート化合物(A)全体の15モル%以上(例えば、20〜95モル%程度)であってもよい。
代表的な前記水性ポリウレタン樹脂には、例えば、下記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および(D)成分から選択された少なくとも一方の成分との反応により得られ、かつ中和剤で中和されている水性ポリウレタン樹脂などが含まれる。
(A)2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種を15mol%以上含むポリイソシアネート化合物
(B)ポリヒドロキシアルカン酸化合物群から選択された少なくとも一種
(C)炭素数2〜8のポリオールを90重量%以上含むポリオール化合物
(D)ポリアミン、水、ヒドラジンおよびヒドラジン誘導体の群から選択された少なくとも一種の鎖伸長剤。
前記水性ポリウレタン樹脂は、水に分散した水性ディスパージョンであってもよく、水に溶解した水溶液であってもよい。
本発明の水性ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性に優れており、特に、高湿度下におけるガスバリア性が著しく高く、例えば、前記水性ポリウレタン樹脂の酸素透過度は、温度20℃および湿度90%RHの条件下、厚み1μmにおいて、50〜250ml/m2・atm・day程度を得ることができる。
本発明には、前記水性ポリウレタン樹脂で構成された水性ポリウレタン樹脂組成物も含まれる。このような樹脂組成物は、前記水性ポリウレタン樹脂と、膨潤性無機層状化合物(例えば、水膨潤性雲母およびモンモリロナイトから選択された少なくとも1種の膨潤性無機層状化合物)とで構成されていてもよい。このように水性ポリウレタン樹脂組成物において、膨潤性無機層状化合物と水性ポリウレタン樹脂との固形分比は、例えば、前者/後者(重量比)=1/100〜200/100程度であってもよい。
また、本発明には、基材フィルムの少なくとも片面に、前記水性ポリウレタン樹脂又は前記水性ポリウレタン樹脂組成物で構成された被覆層が積層されている積層フィルム(又は積層体)も含まれる。
本発明では、架橋環式炭化水素基を有する特定のポリイソシアネートによりポリウレタン樹脂を形成するため、高湿度下であっても、高いガスバリア性(酸素、水蒸気、香気成分などに対するガスバリア性)を実現できる。また、水性樹脂(又は水性組成物)であるため、環境汚染の虞れがない。
[水性ポリウレタン樹脂]
本発明の水性ポリウレタン樹脂(以下、単にポリウレタン樹脂、樹脂などということがある)は、特定のポリイソシアネート化合物(A1)で構成されたポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸との反応により得られる酸基を有するアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂である。そして、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性の観点から、通常、ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高い。
ポリウレタン樹脂(アニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂)の酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基などが例示できる。酸基は、ポリウレタン樹脂の末端又は側鎖(特に少なくとも側鎖)に位置していてもよい。この酸基は、通常、中和剤(塩基)により中和可能であり、塩基と塩を形成していてもよい。なお、酸基は、後述するポリアミン化合物のアミノ基(イミノ基又は第三級窒素原子)と結合可能である。
ポリウレタン樹脂の酸価は、水溶性又は水分散性を付与できる範囲で選択でき、通常、5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/g(例えば、10〜60mgKOH/g)、さらに好ましくは15〜60mgKOH/g(例えば、20〜50mgKOH/g)程度であり、通常、5〜50mgKOH/g程度であってもよい。
ポリウレタン樹脂のウレタン基およびウレア基の合計濃度は、前記のように比較的高く、例えば、15重量%以上(例えば、20〜60重量%)、好ましくは20重量%以上(25〜55重量%)、さらに好ましくは30重量%以上(例えば、35〜50重量%)程度である。なお、ウレタン基濃度及び尿素基(ウレア基)濃度とは、ウレタン基の分子量(59g/当量)又は尿素基の分子量(一級アミノ基(アミノ基):58g/当量、二級アミノ基(イミノ基):57g/当量)として、反応全成分の仕込量をベースとして算出する。なお、混合物を用いる場合、ウレタン基およびウレア基の濃度は、反応成分の仕込みベース、すなわち、各成分の使用割合をベースとして算出できる。
ポリウレタン樹脂は、通常、少なくとも剛直な単位(例えば、後述の架橋環式炭化水素基で構成された単位)と短鎖単位(例えば、炭化水素鎖で構成された単位)とを有していてもよい。すなわち、ポリウレタン樹脂の繰り返し構成単位は、通常、ポリイソシアネート成分、後述のポリヒドロキシ酸成分、ポリオール成分や鎖伸長剤成分(特に、少なくともポリイソシアネート成分)などに由来して、炭化水素環(架橋環式炭化水素環、芳香族炭化水素環、及び/又は非芳香族炭化水素環)を含んでいる。ポリウレタン樹脂の繰り返し単位における炭化水素環単位の割合は、10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%、さらに好ましくは20〜60重量%程度であってもよい。
前記ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、800〜1,000,000、好ましくは800〜200,000、さらに好ましくは800〜100,000程度の範囲から選択できる。
水性ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性を高めるため、結晶性であってもよい。また、水性ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、100℃以上(例えば、100〜200℃程度)、好ましくは110℃以上(例えば、110〜180℃程度)、さらに好ましくは120℃以上(例えば、120〜150℃程度)である。
このような本発明の水性ポリウレタン樹脂は、通常、少なくともポリイソシアネート化合物(A)(特にジイソシアネート化合物)と(B)ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリヒドロキシアルカン酸、特にジヒドロキシ酸)との反応により得ることができる。本発明の水性ポリウレタン樹脂は、前記(A)成分及び(B)成分に加えて、(C)ポリオール成分(特にアルキレングリコールなどのジオール成分)及び(D)鎖伸長剤(特に二官能性鎖伸長剤)から選択された少なくとも一種の成分との反応により得ることもできる。
(ポリイソシアネート化合物(A))
ポリイソシアネート化合物(A)は、架橋環式炭化水素基(又は架橋環式炭化水素環基)を有するポリイソシアネート化合物(A1)で構成されている。
架橋環式炭化水素基に対応する架橋環式炭化水素は、飽和炭化水素であってもよく、不飽和炭化水素であってもよい。このような架橋環式炭化水素としては、例えば、ビシクロアルカン類{例えば、ノルボルナン、ノルピナン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどのC6-20ビシクロアルカン、好ましくはC6-15ビシクロアルカン、さらに好ましくはC7-10ビシクロアルカン}、ビシクロアルケン類(ノルボルネンなどのC6-20ビシクロアルケン、好ましくはC6-15ビシクロアルケンなど)、トリシクロアルカン類(アダマンタンなどのC8-20トリシクロアルカン)などの架橋2乃至4環式炭化水素などが挙げられる。なお、前記架橋環式炭化水素は、通常、非隣接位に位置する炭素原子が直接結合して又は炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−2,2−ジイル基などのアルキレン又はアルキリデン基)を介して結合して環(炭化水素環)を形成した架橋環式炭化水素環を少なくとも含み、単に隣接する炭素原子が環を形成した縮合環のみを有する縮合環式炭化水素(例えば、デカリンなど)でない場合が多い。
前記架橋環式炭化水素は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-2アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロへキシル基などのC5-10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6-10アリール基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基などのC6-10アリール−C1-4アルキル基)などの炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1-4アルコキシ基);アシル基(例えば、アセチル基などのC1-6アシル基);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシカルボニル基);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。好ましい置換基には、アルキル基(C1-6アルキル基)などが含まれる。置換基は、単独で又は2種以上組みあわせて架橋環式炭化水素に置換していてもよい。また、置換基の置換数は、0又は1以上の整数(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4程度)であってもよい。
また、架橋環式炭化水素は、少なくとも架橋環式炭化水素基(架橋環式炭化水素環ユニット)を有していればよく、隣接する炭素原子が縮合[オルソ縮合(ortho縮合)など]した環(縮合環)を1又は複数(例えば、2〜4程度)有していてもよい。
代表的な架橋環式炭化水素としては、置換基を有していてもよいビシクロアルカン類(例えば、ノルボルナン、2,2−ジメチルノルボルナン、ボルナンなどのアルキル基を有していてもよいビシクロアルカン)、縮合環を有するビシクロアルカン類(又は縮合環を形成したビシクロアルカン)(例えば、4,7−メタノパーヒドロインデン)などが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物(A1)において、イソシアネート基(−NCO)は、前記架橋環式炭化水素に直接的に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、二価の炭化水素基、例えば、アルキレン基又はアルキリデン基(例えば、メチレン基、エチレン基などのC1-10アルキレン又はアルキリデン基、好ましくはC1-6アルキレン又はアルキリデン基、さらに好ましくはC1-4アルキレン又はアルキリデン基など)などが挙げられる。
また、イソシアネート基(又はイソシアネート基が結合した連結基、例えば、イソシアネートメチル基など)の数は、複数(例えば、2〜4)であればよく、通常2である(すなわち、ジイソシアネートである)。なお、イソシアネート基(又はその連結基)の置換位置は、特に限定されないが、通常、架橋環式炭化水素の橋頭位であってもよい。例えば、ノルボルナン環では、2,3,5,6,7位の少なくとも2つの炭素原子(例えば、2および5位、2および6位など)に置換している場合が多い。
代表的なポリイソシアネート化合物(A1)には、下記式(1)で表される化合物などが含まれる。
Figure 0005466802
(式中、jは1以上の整数、k、mおよびnは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す。)
上記式(1)において、jは、1以上の整数であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に1である。また、kおよびmは、例えば、0〜6、好ましくは0〜4、さらに好ましくは1〜2、特に1である。縮合環の数nは、0又は1以上の整数であればよく、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2、特に0である。
上記式(1)で表される具体的なポリイソシアネート化合物(A1)には、jが1〜2、k=m=1、及びnが0又は1である化合物、例えば、2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5−ジイソシアナートメチルノルボルナン)、2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナン)、2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.2]オクタン、3(4),8(9)−ジ(シアナートメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、3(4),8(9)−ジ(シアナートメチル)トリシクロ[5.2.2.02.6]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、特に、2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種の化合物(ノルボルナンジイソシアネート)が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(A1)は、単独で又は2種以上組みあわせて使用できる。
ポリイソシアネート化合物(A)は、少なくとも前記ポリイソシアネート化合物(A1)で構成すればよく、他のポリイソシアネート化合物(前記ポリイソシアネート化合物(A1)以外のポリイソシアネート化合物)を含んでいてもよい。
このような他のポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
ポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4'−、または2,2'−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4'−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが例示できる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどが例示できる。
脂環族ジイソシアネートとしては、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4′−、2,4′−又は2,2′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(水添XDI)などを挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエートなどを挙げることができる。
他のポリイソシアネート化合物(特にジイソシアネート化合物)としては、炭化水素環を有する化合物を含むポリイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。前記ポリイソシアネート化合物(A)と炭化水素環を有する化合物とを組みあわせると、高いガスバリア性(特に、高湿度下でのガスバリア性)を付与しつつ、製膜性を向上できる。このような化合物としては、例えば、芳香族、芳香脂肪族および脂環族ポリイソシアネート(特にジイソシアネート)などが挙げられる。より具体的には、ジイソシアネート成分のうち芳香族ジイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDIなどが好ましく、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、XDI、TMXDIなどが好ましく、脂環族ジイソシアネートとしては、IPDI、水添XDI、水添MDIなどが好ましい。ガスバリア性の観点からは、芳香族ジイソシアネート(TDI、MDI、NDIなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDI、TMXDIなど)および脂環族ジイソシアネート(IPDI、水添XDI、水添MDIなど)が好ましく、特に、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDIなど)が好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのジイソシアネート成分は単独でまたは2種以上組み合わせて使用でき、さらに必要に応じて3官能以上のポリイソシアネートを併用することもできる。
ポリイソシアネート化合物(A1)の割合は、ポリイソシアネート化合物(A)全体の10モル%以上(例えば、10〜100モル%程度)の範囲から選択でき、例えば、15モル%以上(例えば、20〜95モル%程度)、好ましくは25モル%以上(例えば、30〜90モル%程度)、さらに好ましくは35モル%以上(例えば、40〜85モル%程度)、特に45〜80モル%(例えば、50〜70モル%程度)であってもよい。
(B)ポリヒドロキシ酸
本発明の水性ポリウレタン樹脂において、酸基の導入方法は特に制限されないが、通常、前記ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸との反応より酸基を導入できる。
ポリヒドロキシ酸には、カルボン酸やスルホン酸、特に、ポリヒドロキシカルボン酸及びポリヒドロキシスルホン酸から選択された少なくとも一種の有機酸が使用できる。
ポリヒドロキシカルボン酸(特にジヒドロキシカルボン酸)としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸などのジヒドロキシC2-10アルカン−カルボン酸、ジオキシマレイン酸などのジヒドロキシC4-10アルカン−ポリカルボン酸又はジヒドロキシC4-10アルケン−ポリカルボン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸などのジヒドロキシC6-10アレーン−カルボン酸などが例示できる。これらのポリヒドロキシ酸は単独または2種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリヒドロキシ酸は、ポリヒドロキシアルカンカルボン酸、特にジヒドロキシアルカン酸、例えば、ジヒドロキシC2-8アルカン−カルボン酸である。
ポリヒドロキシスルホン酸(特にジヒドロキシスルホン酸)としては、ジヒドロキシブタン−2−スルホン酸などのジヒドロキシC2-10アルカンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸などのジヒドロキシ芳香族スルホン酸などが例示できる。これらのポリヒドロキシスルホン酸も単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、前記ポリヒドロキシ酸は、塩の形態で使用してもよい。ポリヒドロキシ酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩、アミン塩(トリアルキルアミン塩など)、金属塩(ナトリウム塩など)などが例示できる。
前記水性ポリウレタン樹脂は、通常、少なくとも(A)成分と(B)成分との反応により得ることができる。なお、前記ポリウレタン樹脂の酸価は、前記ポリヒドロキシ酸(B)の使用量により調整できる。そのため、ポリイソシアネート化合物(A)との反応において、ポリヒドロキシ酸はポリオール成分及び鎖伸長剤成分の全体に対して100モル%の割合で使用してもよいが、ポリオール成分及び又は鎖伸長剤成分と組み合わせて使用する場合が多い。ポリヒドロキシ酸の使用量は、通常、ポリヒドロキシ酸、ポリオール成分及び鎖伸長剤成分の全体に対して、1〜70モル%、好ましくは2〜50モル%(例えば、5〜50モル%)程度の範囲から選択できる。
(C)ポリオール成分
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2-10アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)などの低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C2-8ポリオール成分[例えば、C2-6アルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール)など]、ジ又はトリオキシC2-3アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)であり、特に好ましいジオール成分はC2-8アルキレングリコール(特にC2-6アルキレングリコール)である。
これらのジオール成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。さらに必要に応じて、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールA、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,3−又は1,4−キシリレンジオールもしくはその混合物など)、脂環族ジオール(例えば、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなど)などの低分子量ジオール成分を併用してもよい。さらに、必要により、3官能以上のポリオール成分、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのポリオール成分を併用することもできる。
ポリオール成分は、少なくともC2-8ポリオール成分[特に、C2-6アルキレングリコール]を含むのが好ましい。ポリオール成分全体に対するC2-8ポリオール成分[特に、C2-6アルキレングリコール]の割合は、50〜100重量%程度の範囲から選択でき、通常、70重量%以上(70〜100重量%)、好ましくは80重量%以上(80〜100重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(90〜100重量%)である。
(D)鎖伸長剤
鎖伸長剤には、ポリアミン、水、ヒドラジン及びヒドラジン誘導体の群から選択された少なくとも一種が使用でき、通常、活性水素原子を有する窒素含有化合物、特に、ジアミン、ヒドラジン及びヒドラジン誘導体から選択された少なくとも一種が使用される。
鎖伸長剤としてのジアミン成分としては、例えば、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどのC2-10アルキレンジアミンなど)、芳香族アミン(例えば、m−又はp−フェニレンジアミン、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物など)、脂環族アミン(例えば、水添キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなど)、ヒドロキシル基含有ジアミン(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、2−アミノエチルアミノプロパノール、3−アミノプロピルアミノエタノールなどのアミノC2-6アルキルアミノC2-3アルキルアルコールなど)、酸基含有ジアミン(例えば、3,4−ジアミノ安息香酸などのジアミノ芳香族カルボン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸などのジアミノスルホン酸など)などが挙げられる。
ヒドラジン、ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジン、ヒドロキシル基含有ヒドラジン(2−ヒドラジドエタノールなどのヒドラジドC2-3アルキルアルコールなど)、ジカルボン酸ヒドラジド[脂肪族ジカルボン酸ヒドラジド(コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジドなどのC4-20アルカン−ジカルボン酸ジヒドラジド)、芳香族ジカルボン酸ヒドラジド(イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジドなどのC6-10アレーン−ジカルボン酸ヒドラジドなど)など]などが挙げられる。これらの鎖伸長剤成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
これら鎖伸長剤のうち、ガスバリア性の観点から、通常、炭素数8以下(C2-8、特にC2-6)の低分子量の鎖伸長剤、例えば、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2-6アルキレンジアミン、2−アミノエチルアミノエタノール、キシリレンジアミンなど)、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体(例えば、2−ヒドラジノエタノール、アジピン酸ジヒドラジドなど)が使用される。なお、鎖伸長剤は、必要に応じて3官能以上のポリアミン成分(ポリアミン、ポリヒドラジドなど)を併用することができる。
なお、必要であれば、ポリウレタン樹脂の調製において、イソシアネート基に対する反応性基を有する化合物、例えば、酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸など)とイソシアネート基に対する反応性基を有する化合物(ジオールなどのジヒドロキシ化合物、ジアミンなど)との反応により生成するカルボキシル基を有する化合物、又はこれらのカルボキシル基を有する化合物を共重合して得られるオリゴエステルポリオール;オキシスルホン酸(例えば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸など)、スルホカルボン酸(例えば、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸など)、アミノ基含有スルホン酸(例えば、スルファニル酸など)などのスルホン酸基を有する化合物、又はこれらのスルホン酸基を有する化合物を共重合して得られるオリゴエステルポリオール;イソシアネート基に対する反応性基を含むポリオキシC2-4アルキレン化合物(例えば、エチレンオキシド単位を30重量%以上含有し、数平均分子量300〜10,000程度の化合物など)又はこれらのポリオキシアルキレン化合物を共重合して得られるオリゴエステルエーテルポリオールなどを用いてもよい。
ポリウレタン樹脂が水に溶解した水溶液や、ポリウレタン樹脂が水に分散した水性ディスパージョンを調製するため、前記水性ポリウレタン樹脂の酸基は、中和剤又は塩基で中和されていてもよい。中和剤としては、慣用の塩基、例えば、有機塩基[例えば、第3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1-4アルキルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの複素環式アミンなど)]、無機塩基[アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)]が挙げられる。これらの塩基は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
特にガスバリア性の観点からは、揮発性塩基、例えば、トリエチルアミンなどのトリC1-3アルキルアミン、ジメチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アンモニアが好ましい。
なお、中和剤による中和度は、例えば、30〜100%、好ましくは50〜100%、特に75〜100%程度であってもよい。
水性ポリウレタン樹脂は、通常、前記ポリウレタン樹脂、中和剤及び水性媒体とで構成してもよく、水性媒体としては、水、水溶性又は親水性溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、アセトニトリルなどのニトリル類など)、又はこれらの混合溶媒が例示できる。水性媒体は、通常、水、又は水を主成分として含む水性溶媒である。
水性ポリウレタン樹脂は、前記ポリウレタン樹脂が、水性媒体に溶解した水性溶液(例えば、水溶液)、又は水性媒体に分散した水性分散体(又は水性ディスパージョン、例えば、水分散体)のいずれの形態であってもよい。水性分散体において、分散粒子(ポリウレタン樹脂粒子)の粒子径は特に制限されず、例えば、平均粒子径20〜500nm、好ましくは25〜300nm、さらに好ましくは30〜200nm程度であってもよい。
水性ポリウレタン樹脂(又はその組成物)の製造法は特に限定されず、アセトン法、プレポリマー法など通常のポリウレタン樹脂の水性化技術を利用して調製できる。また、ウレタン化反応では必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒などウレタン化触媒を使用してもよい。例えば、不活性溶媒(アセトンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類など)中、ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸(B)と必要によりポリオール成分(C)及び/又は鎖伸長剤成分(D)とを反応させることによりポリウレタン樹脂を調製できる。より具体的には、不活性有機溶媒(特に、親水性又は水溶性有機溶媒)中、ポリイソシアネート化合物(A)とポリヒドロキシ酸(B)とポリオール成分(C)とを反応させ、末端イソシアネート基を有するプレポリマーを生成させ、中和剤で中和して水性媒体に溶解又は分散した後、鎖伸長剤成分(D)を添加して反応させ、有機溶媒を除去することにより水性ポリウレタン樹脂を調製できる。
なお、前記ポリイソシアネート化合物(A)と活性水素原子を有する各成分[ポリヒドロキシ酸(B)、ポリオール成分(C)および鎖伸長剤成分(D)]の総量との割合は、ガスバリア性および水性化を損なわない範囲で選択でき、ポリイソシアネート化合物(A)のイソシアネート基1モルに対して、各成分(B)、(C)及び(D)の活性水素原子(又は活性水素原子を有する有機基)の総量0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.3モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モル程度である。また、活性水素原子を有する化合物(B)、(C)および(D)のうち、ポリヒドロキシ酸(B)のヒドロキシル基とポリオール成分(C)のヒドロキシル基との割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜5/95、好ましくは80/20〜5/95、さらに好ましくは60/40〜10/90程度である。ポリヒドロキシ酸(B)およびポリオール成分(C)の合計ヒドロキシル基と鎖伸長剤成分(D)の活性水素原子(特にアミノ基)との割合(モル比)は前者/後者=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜25/75、さらに好ましくは95/5〜40/60程度である。
本発明の水性ポリウレタン樹脂は、ガスバリア性(特に高湿度下でのガスバリア性)が著しく高く、例えば、前記水性ポリウレタン樹脂の酸素透過度(単位ml/m2・atm・day)は、温度20℃および湿度80%RHの条件下、厚み1μmにおいて、例えば、200以下(例えば、10〜200)、好ましくは150以下(例えば、20〜140)、さらに好ましくは50〜130程度である。
特に、前記水性ポリウレタン樹脂は、著しく高湿度においても高いガスバリア性を有しており、例えば、前記水性ポリウレタン樹脂の酸素透過度(単位ml/m2・atm・day)は、温度20℃および湿度90%RHの条件下、厚み1μmにおいて、350以下(例えば、20〜320程度)の範囲から選択でき、例えば、300以下(例えば、30〜280程度)、好ましくは270以下(例えば、50〜250程度)、さらに好ましくは100〜230程度である。なお、後述するように、前記水性ポリウレタン樹脂と他の成分(膨潤性無機層状化合物や架橋剤など)とを組み合わせると、より一層ガスバリア性(特に、高湿度下でのガスバリア性)を向上できる。
[水性ポリウレタン樹脂組成物]
前記水性ポリウレタン樹脂は、他の成分と樹脂組成物(水性ポリウレタン樹脂組成物)を構成することもできる。例えば、本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物は、前記水性ポリウレタン樹脂と、膨潤性無機層状化合物(水膨潤性の無機層状化合物)とで構成してもよい。このような膨潤性無機層状化合物は、水性ポリウレタン樹脂のガスバリア性をさらに向上させるのに有効である。
(膨潤性無機層状化合物)
膨潤性無機層状化合物は、極薄の単位結晶からなり、当該単位結晶層間に溶媒が配位又は吸収・膨潤する性質を有する粘土鉱物である。膨潤性無機層状化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物など)、例えば、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライトなど)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイルなど)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライトなど)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母などの雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)などが例示できる。これら粘土鉱物は天然粘土鉱物であってもよく合成粘土鉱物であってもよい。膨潤性無機層状化合物は単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機層状化合物のうち、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、マイカ族粘土鉱物(水膨潤性雲母など)が特に好ましい。
膨潤性無機層状化合物の平均粒径は、通常、10μm以下(例えば、50nm〜5μm)、好ましくは100nm〜3μm程度であってもよい。膨潤性無機層状化合物のアスペクト比は、例えば、50〜5000、好ましくは100〜3000、さらに好ましくは200〜2000程度であってもよい。
前記樹脂組成物において、膨潤性無機層状化合物と水性ポリウレタン樹脂(樹脂成分又は固形分換算、以下、割合において同じ)との重量割合(固形分)は、前者/後者=1/100〜200/100、好ましくは3/100〜100/100、さらに好ましくは5/100〜50/100程度であってもよい。
[架橋剤]
前記樹脂組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。特に、架橋剤としてのポリアミン化合物によりポリウレタン樹脂の酸基と結合させることにより、より一層の高いガスバリア性を発現させることができる。なお、ポリアミン化合物とポリウレタン樹脂の酸基との結合は、イオン結合(例えば、第三級アミノ基とカルボキシル基とのイオン結合など)であってもよく共有結合(例えば、アミド結合など)であってもよい。そのため、ポリアミン化合物としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基から選択された複数の塩基性窒素原子を有する種々のポリアミン類が使用できる。なお、ポリアミン化合物について、アミノ基(−NH2)の窒素原子、イミノ基(>NH)の窒素原子及び第三級窒素原子(>N−)を単に塩基性窒素原子と総称する場合がある。また、イオン結合(又は塩形成反応による結合)及び共有結合(アミド結合形成反応、イミド結合成形反応などによる共有結合)を含めて単に「結合」という場合がある。
ポリアミン化合物としては、酸基と結合し、かつガスバリア性を向上できる限り種々の化合物が使用でき、通常、アミン価100〜1900mgKOH/g、好ましくは150〜1900mgKOH/g(例えば、200〜1700mgKOH/g)、さらに好ましくは200〜1900mgKOH/g(例えば、300〜1500mgKOH/g)程度のポリアミンが使用でき、アミン価は300〜1900mgKOH/g程度であってもよい。
ポリアミン化合物としては、アルキレンジアミン類(エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンなどのC2-10アルキレンジアミンなど)、ポリアルキレンポリアミン類(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのジ乃至テトラアルキレンポリアミンなど)、N−アルキル置換アルキレンジアミン類(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル−1,2−エチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンなど)、N−アルキル置換ポリアルキレンポリアミン類などの脂肪族ポリアミン類;イソホロンジアミン、メンセンジアミン、メタキシリレンジアミンの水素添加物、N−アミノエチルピペラジン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの脂環族ポリアミン類;ジアミノベンゼン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミン類;これらポリアミン化合物にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドEOやプロピレンオキサイドPOなどのC2-4アルキレンオキサイド)が付加した付加体(1〜6モル程度のアルキレンオキサイドが付加した付加体、例えば、エチレンジアミンEO4モル付加物、キシリレンジアミンEO4モル付加物など)などが例示できる。
また、ポリアミン化合物としては、複数の塩基性窒素原子(アミノ基などの窒素原子を含む)を有するケイ素化合物(シランカップリング剤など)、例えば、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランなどの[(2−アミノC2-4アルキル)アミノC1-4アルキル]トリC1-2アルコキシシラン、これらのトリアルコキシシランに対応する[(アミノC2-4アルキル)アミノC2-4アルキル]C1-4アルキルジC1-2アルコキシシランなども使用できる。
さらに、ポリアミン化合物としては、変性ポリアミン化合物、例えば、ウレタン変性ポリアミン化合物としても使用できる。前記ウレタン変性ポリアミン化合物は、ポリイソシアネート化合物(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート又はその変性体)とアルコール性ポリアミン(ジメチルエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミンなどのヒドロキシル基含有第3級アミン(特にジアルキルC2-4アルカノールアミン)など)とを付加反応させることにより調製できる。なお、ウレタン変性ポリアミン化合物の調製においては、前記例示のポリイソシアネート化合物(A)に限らず、ポリイソシアネート化合物(A)の変性体(二量体、三量体、アロファネート体、ビュレット体など)も使用できる。
さらに、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンなどのオリゴマーまたは高分子化合物なども用いることができる。
これらのポリアミン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリアミン化合物のうち、短鎖脂肪族ポリアミン類(C2-8アルキレンジアミン、ジ又はトリC2-3アルキレンポリアミンなどのジアミン類、これらのジアミン類の窒素原子にメチル基が置換したアルキレンジアミン類又はジ又はトリC2-3アルキレンポリアミン)、単環式ポリアミン類(ジアミノベンゼン、キシリレンジアミンなどのジアミン類)、これらポリアミン化合物にC2-3アルキレンオキサイド1〜4モルが付加した付加体、複数の塩基性窒素原子を有するケイ素化合物(シランカップリング剤など)、ウレタン変性ポリアミン化合物などが好ましい。
さらに、これらのポリアミン化合物のうち好ましい化合物は、水性溶媒に可溶又は分散可能であり、特に水溶性又は水分散性である。さらに、前記中和剤よりも塩基性の高いポリアミンであるのが好ましい。特に、中和剤が前記揮発性塩基(アンモニアやアミン類)であるとき、塩基性の強いポリアミンを用いると、ポリウレタン樹脂の酸基を中和する中和剤を遊離させ、ポリウレタン樹脂の酸基とポリアミンとの結合を容易に実現できる。
前記水性ポリウレタン樹脂とポリアミン化合物との割合は、ガスバリア性を向上できる限り特に制限されず、酸基と塩基性窒素原子(アミノ基などの窒素原子)との当量比として、例えば、10/1〜0.1/1、好ましくは5/1〜0.2/1、さらに好ましくは3/1〜0.3/1(例えば、2/1〜0.5/1)程度であってもよい。
さらに、水性ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じてガスバリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、シランカップリング剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤などが例示できる。
シランカップリング剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物、例えば、ハロゲン含有アルコキシシラン(クロロトリエトキシシランなどのクロロトリC1-2アルコキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロC2-4アルキルトリC1-2アルコキシシランなど)、エポキシ基含有アルコキシシラン[2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-2アルコキシシラン、これらのトリアルコキシシランに対応するグリシジルオキシジC2-4アルキルジC1-2アルコキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどの(エポキシシクロアルキル)C2-4アルキルトリC1-2アルコキシシランなど]、アミノ基含有アルコキシシラン[2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノC2-4アルキルトリC1-2アルコキシシラン、これらのトリアルコキシシランに対応するアミノC2-4アルキルC2-4アルキルジC1-2アルコキシシラン、メルカプト基含有アルコキシシラン(2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトC2-4アルキルトリC1-2アルコキシシラン、これらのトリアルコキシシランに対応するメルカプトジC2-4アルキルC1-4アルキルジC1-2アルコキシシランなど)、ビニル基又はエチレン性不飽和結合基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルトリC1-2アルコキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシC2-4アルキルトリC1-2アルコキシシラン、これらのトリアルコキシシランに対応する(メタ)アクリロキシC2-4アルキルC1-2アルキルジC1-2アルコキシシランなど)などが例示できる。シランカップリング剤としては、前記ポリアミン化合物の項で記載した複数の塩基性窒素原子を有するケイ素化合物も含まれる。これらのシランカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
シランカップリング剤の割合は、水性ポリウレタン樹脂(固形分)100重量部に対して、30重量部以下(例えば、0.1〜30重量部)、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である。
本発明の水性ポリウレタン樹脂(又は水性ポリウレタン組成物)は、基材(木材、紙、布帛、金属、ガラスなどのセラミックス、プラスチックなど)に対する密着性およびガスバリア性が高いので、種々のコーティング剤用水性樹脂又はその組成物として有用であり、例えば、塗料、印刷インキ、コーティング剤などとして利用できる。特に、水性樹脂(又は水性組成物)であっても高いガスバリア性を示すため、バリア性樹脂成形体を形成するのに有用であり、例えば、水性ポリウレタン樹脂(又はその組成物)は単独でフィルム成形品として用いてもよい。好ましい形態では、水性ポリウレタン樹脂(又は組成物)は、フィルムや容器などの基材に対して高いガスバリア性を付与するためのガスバリア性コーティング剤として有用である。特に、本発明の水性ポリウレタン樹脂[又は組成物(水溶液あるいは水分散体)]は、基材フィルムの少なくとも片面に、水性ポリウレタン樹脂(又は組成物)で構成された被覆層が積層された積層フィルム(又は積層体)を形成するのに適している。
積層フィルム(積層体)の基材フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂で構成されたフィルムが使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリC2-10オレフィン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどの芳香族ポリアミドなど)、ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体)、セロファンなどが例示できる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材フィルムとしては、単一の樹脂で構成された単層フィルムや複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルムが使用できる。また、基材としては、これらの樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックスなど)に積層した積層基材を使用してもよい。
好ましい基材フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特にポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂フィルム(特にポリエチレンテレフタレート系樹脂)、ポリアミド系樹脂フィルム(特にナイロンフィルム)が例示できる。
このような基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸又は二軸延伸配向フィルムであってもよく、表面処理(コロナ放電処理など)やアンカーコート又はアンダーコート処理したフィルムであってもよい。さらに、基材フィルムは複数の樹脂や金属などを積層した積層フィルムであってもよい。特に、前記水性ポリウレタン樹脂(組成物)を基材フィルムのアンカーコート剤又アンダーコート剤として用い、アルミニウムなどの金属、アルミナ、シリカなどの金属酸化物を蒸着やスパッタリングなどで無機質層を積層した複合フィルムや、基材フィルムに形成された前記金属や金属酸化物の無機質層を前記水性ポリウレタン樹脂(組成物)でトップコート又はオーバーコートした複合フィルムでは、ガスバリア性をより一層向上させることができる。無機蒸着層の厚みは、例えば、100〜3000オングストローム、好ましくは200〜2000オングストローム、さらに好ましくは300〜1500オングストローム程度であってもよい。
基材フィルムの厚みは、1〜200μm、好ましくは5〜120μm、さらに好ましくは10〜100μm程度である。
水性ポリウレタン樹脂(組成物)を含む塗布層(乾燥後の塗布層)の厚みは、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.2〜30μm、さらに好ましくは0.5〜10μm(例えば、1〜8μm)程度であり、通常、1〜5μm程度である。
基材フィルムなどへの積層方法は特に制限されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ディッピング法などの慣用の方法が採用でき、これらを適当に組み合わせて積層することもできる。水性ポリウレタン樹脂(組成物)を基材に塗布又は積層した後、乾燥工程で溶媒を除去して製膜することにより積層フィルム(又は積層体)を形成できる。
なお、水性ポリウレタン樹脂(組成物)を基材プラスチックフィルムへ積層した後、少なくとも一方向に延伸することにより、延伸効果による結晶化度を向上させてガスバリア性を向上することもできる。
また、水性ポリウレタン樹脂(組成物)は、種々の態様で使用でき、例えば、複合フィルムにおいて、複合フィルムの表面層を構成するためのオーバーコート剤や、基材フィルム層と樹脂層との間や複数の樹脂層の間に介在するアンカーコート剤としてコーティングしてもよい。さらに、ポリウレタン樹脂自身が接着力を有する場合は接着剤としてコーティングしてもよい。
本発明では、環境を汚染する塩素系化合物や揮発性有機化合物を使用することなく、ガスバリア性(特に高湿度下におけるガスバリア性)の高い水性ポリウレタン樹脂(又はその組成物)およびこれを積層したガスバリア性積層体を得ることができる。また、水性ポリウレタン樹脂(又はその組成物)はプラスチックや金属酸化物の積層された基材フィルムに対して、密着性が優れ、印刷や接着などの加工適性に優れているため、各種包装材料や成形材料などの種々の分野に利用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ノルボルナンジイソシアネート(2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合物、以下、NBDIという)87.4g、キシリレンジイソシアネート79.8g(ポリイソシアネート化合物中のNBDIは50mol%で配合)、エチレングリコール29.4g、ジメチロールプロピオン酸14.8g及び溶剤としてメチルエチルケトン95.4gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。ついでこのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン11.2gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を750gの水にホモディスパーにより分散させ、2−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン27.4gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径52nmの凝集物のない安定した水性ポリウレタン樹脂1を得た。この樹脂の酸価は24.8mgKOH/gであり、ウレタン基・ウレア基(ウレタン基およびウレア基)濃度の合計は39.8重量%であった。
次いでこの水性ポリウレタン樹脂を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm、PET、♯12PETという)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、150℃で30秒間乾燥して、積層フィルム1を得た。得られた積層フィルム1の酸素ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、MOCON OXTRAN10/50A)を用い、温度20℃、65%RHおよび90%RH雰囲気下での酸素透過度を測定したところ、それぞれ17.0ml/m2・atm・day、29.6ml/m2・atm・dayであった。
(実施例2)
実施例1で作製した水性ポリウレタン樹脂1と膨潤性無機層状化合物としての合成マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフME−100」)とを樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/10となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み20μm、OPP、♯20OPPという)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム2を得た。得られた積層フィルム2の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では7.2ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では19.9ml/m2・atm・dayであった。
(実施例3)
ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)106.4g、キシリレンジイソシアネート64.7g(ポリイソシアネート化合物中のNBDIは60mol%で配合)、エチレングリコール34.6g、ジメチロールブタン酸13.1g及び溶剤としてメチルエチルケトン97.6gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。ついでこのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン9.0gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を750gの水にホモディスパーにより分散させ、2−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン22.2gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径67nmの凝集物のない安定した水性ポリウレタン樹脂2を得た。この樹脂の酸価は19.9mgKOH/gであり、ウレタン基・ウレア基濃度の合計は40.4重量%であった。
次いでこの水性ポリウレタン樹脂2を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(#12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、150℃で30秒間乾燥して、積層フィルム3を得た。得られた積層フィルム3の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では17.0ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では25.7ml/m2・atm・dayであった。
(実施例4)
実施例3で作製した水性ポリウレタン樹脂2と膨潤性無機層状化合物としての合成マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフME−100」)を樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/10となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム4を得た。得られた積層フィルム4の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では11.9ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では23.3ml/m2・atm・dayであった。
(実施例5)
実施例3で作製した水性ポリウレタン樹脂2と膨潤性無機層状化合物としてのモンモリロナイト(クニミネ鉱業社製、高純度モンモリロナイト「クニピアF」)を樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/20となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム5を得た。得られた積層フィルム5の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では12.2ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では24.1ml/m2・atm・dayであった。
(比較例1)
キシリレンジイソシアネート165.2g(ポリイソシアネート化合物中にNBDIを含まず)、エチレングリコール31.3g、ジメチロールブタン酸15.0g及び溶剤としてメチルエチルケトン76.0g、トルエン19.0gを混合し、窒素雰囲気下65℃で4時間反応させた。ついでこの生成したカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン10.2gにて中和した。このウレタンプレポリマー溶液を750gの水にホモディスパーにより分散させ、2−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン28.4gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンおよびトルエンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径108nmの水性ポリウレタン樹脂5を得た。この樹脂の酸価は22.6mgKOH/gであり、ウレタン基・ウレア基濃度の合計は41.2重量%であった。
次いでこの水性ポリウレタン樹脂5を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm、PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5μmとなるようにマイヤーバーで塗布した後、150℃で30秒間乾燥して、積層フィルム10を得た。得られた積層フィルム10の酸素透過度を測定したところ、温度20℃、相対湿度65%雰囲気下では11.6ml/m2・atm・day、相対湿度90%雰囲気下では40.9ml/m2・atm・dayであった。
(比較例2)
1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)84.2g、キシリレンジイソシアネート81.6g(ポリイソシアネート化合物中にNBDIは含まず)、エチレングリコール30.2g、ジメチロールプロピオン酸14.9g及び溶剤としてメチルエチルケトン95.1gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。ついでこのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン11.2gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を750gの水にホモディスパーにより分散させ、2−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン28.0gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径68nmの凝集物のない安定した水性ポリウレタン樹脂3を得た。この樹脂の酸価は24.8mgKOH/gであり、ウレタン基・ウレア基濃度の合計は40.7重量%であった。
次いでこの水性ポリウレタン樹脂3を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(#12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、150℃で30秒間乾燥して、積層フィルム6を得た。得られた積層フィルム6の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では14.0ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では42.2ml/m2・atm・dayであった。
(比較例3)
比較例2で作製した水性ポリウレタン樹脂3と膨潤性無機層状化合物としての合成マイカ(コープケミカル社製、ソマシフME−100)を樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/10となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。
次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム7を得た。得られた積層フィルム7の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では6.4ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では39.7ml/m2・atm・dayであった。
(比較例4)
4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)51.9g、キシリレンジイソシアネート(XDI)18.6g(ポリイソシアネート化合物中にNBDIは含まず)、ネオペンチルグリコール5.2g、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量2000、保土ヶ谷化学工業社製、「PTG2000SN」)149.7g、ジメチロールブタン酸12.9g及び溶剤としてアセトニトリル106.0gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。ついでこのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン8.8gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を750gの水にホモディスパーにより分散させ、ヒドラジン一水和物4.2gで鎖伸長反応を行い、アセトニトリルを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径45nmの凝集物のない安定した水性ポリウレタン樹脂4を得た。この樹脂の酸価は19.6mgKOH/g、ウレタン基・ウレア基濃度の合計は13.9重量%であった。
次いでこの水性ポリウレタン樹脂を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(#12PET)のコロナ放電処理面上に乾燥厚み5g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、150℃で30秒間乾燥して、積層フィルム8を得た。得られた積層フィルム8の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では110ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では88ml/m2・atm・dayであった。
(比較例5)
比較例4で作製した水性ポリウレタン樹脂4と膨満性無機層状化合物である合成マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフME−100」)とを樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/10となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1g/m2となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム9を得た。得られた積層フィルム9の酸素透過度を測定したところ、温度20℃で、65%RH雰囲気下では1000ml/m2・atm・day以上、90%RH雰囲気下でも1000ml/m2・atm・day以上であった。
(比較例6)
比較例1で作製した水性ポリウレタン樹脂5と膨潤性無機層状化合物である合成マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフME−100」)を樹脂/無機層状化合物の固形分比(重量比)が100/10となるように混合し、最終的に塗剤の固形分が10重量%となるよう水で調整した。次いでこの塗剤を2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)のコロナ放電処理面上に乾燥厚みが1μm(1g/m2)となるようにマイヤーバーで塗布した後、90℃で30秒間乾燥して積層フィルム11を得た。得られた積層フィルム11の酸素透過度を測定したところ、温度20℃、相対湿度65%雰囲気下では6.4ml/m2・atm・day、相対湿度90%雰囲気下では40.4ml/m2・atm・dayであった。
結果を表1に示す。
なお、実施例1,実施例3,比較例2および比較例4で使用した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(#12PET)の20℃、65%RH雰囲気下での酸素透過度は110ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では90ml/m2・atm・dayである。また、実施例2,実施例4,実施例5,比較例3、比較例5および比較例6で使用した2軸延伸ポリプロピレンフィルム(#20OPP)の20℃、65%RH雰囲気下での酸素透過度は約1500ml/m2・atm・day、90%RH雰囲気下では約1500ml/m2・atm・dayである。
Figure 0005466802
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では高湿度環境下でもガスバリア性が高い。

Claims (10)

  1. 少なくともポリイソシアネート化合物(A)と複数のヒドロキシル基を有する酸(B)と酸基を有さないポリオール成分(C)との反応により得られ、酸基を有する水性ポリウレタン樹脂であって、
    前記ポリイソシアネート化合物(A)が、架橋環式炭化水素基を有するポリイソシアネート化合物(A1)および芳香脂肪族ポリイソシアネートで構成され、前記ポリイソシアネート化合物(A1)の割合が、前記ポリイソシアネート化合物(A)全体の20〜95モル%であり、
    前記ポリオール成分(C)が、酸基を有さないポリオール成分全体に対してC2−8ポリオール成分を70重量%以上含み、
    ウレタン基およびウレア基濃度の合計が25〜55重量%である水性ポリウレタン樹脂。
  2. 酸価が5〜50mgKOH/gである請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂。
  3. ポリイソシアネート化合物(A1)が、下記式(1)で表される化合物である請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂。
    Figure 0005466802
    (式中、jは1以上の整数、k、mおよびnは同一又は異なって0又は1以上の整数を示す。)
  4. ポリイソシアネート化合物(A1)が、2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種の化合物である請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂。
  5. 下記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分との反応により得られ、かつ中和剤で中和されており、ウレタン基およびウレア基濃度の合計が35〜50重量%である請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂。
    (A)2,5−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ジイソシアナートメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択された少なくとも1種のポリイソシアネート化合物(A1)および芳香脂肪族ポリイソシアネートで構成され、前記ポリイソシアネート化合物(A1)の割合が全体の30〜90モル%であるポリイソシアネート化合物
    (B)複数のヒドロキシル基を有するアルカンカルボン酸
    (C)ポリオール成分全体に対してC2−8ポリオール成分を90重量%以上含むポリオール成分
    (D)ポリアミン、水、ヒドラジンおよびヒドラジン誘導体の群から選択された少なくとも一種の鎖伸長剤
  6. 請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂が水に分散した水分散体。
  7. 請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂が水に溶解した水溶液。
  8. 請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂で構成された樹脂組成物であって、請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂と、水膨潤性雲母およびモンモリロナイトから選択された少なくとも1種の膨潤性無機層状化合物とで構成されている水性ポリウレタン樹脂組成物。
  9. 膨潤性無機層状化合物と水性ポリウレタン樹脂との固形分比が、前者/後者(重量比)=1/100〜200/100である請求項8記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
  10. 基材フィルムの少なくとも片面に、請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂又は請求項8記載の水性ポリウレタン樹脂組成物で構成された被覆層が積層されている積層フィルム。
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