JP4596348B2 - パンの製造方法 - Google Patents
パンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4596348B2 JP4596348B2 JP2006333093A JP2006333093A JP4596348B2 JP 4596348 B2 JP4596348 B2 JP 4596348B2 JP 2006333093 A JP2006333093 A JP 2006333093A JP 2006333093 A JP2006333093 A JP 2006333093A JP 4596348 B2 JP4596348 B2 JP 4596348B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- starch
- bread
- mass
- added
- dough
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
そして、健康志向やダイエットブームを背景にし、難消化性澱粉の整腸作用、便通作用、血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、脂肪蓄積抑制作用等を利用することを目的として、有効な難消化性澱粉の開発とともに、パン生地に難消化性澱粉を添加するパンの製法が検討されている。
具体的には、例えば、アミロース含量が30重量%以上の澱粉を耐圧性密閉容器内で減圧してから、蒸気等によって加圧状態下で湿熱処理することにより得られ、食物繊維含量が30重量%以上である澱粉素材の技術がある(特許文献4,5参照)。
また、約80%以上のアミロース含量を有し、化学的に修飾されていないトウモロコシ耐性澱粉を含有する食物繊維を高含量で含むパン等の食品組成物の技術がある(特許文献6参照)。
更にまた、ジャガイモ、タピオカ、トウモロコシ等の澱粉をα―アミラーゼ等の澱粉分解酵素によって部分的に加水分解して得た中間生成物、又は澱粉顆粒の水懸濁液をゲル化温度下で酸で処理した酸希釈澱粉を温水に溶解し、イソアミラーゼ、プルラナーゼ等の酵素によって脱分枝化し、老化させてから、酵素を不活性化し、若しくは酵素を不活性化してから老化させ、噴霧乾燥して得られる難消化性澱粉の技術がある(特許文献8,9参照)。
また、アミロース含量10〜30%を有する澱粉を澱粉分解酵素で限定加水分解した後、脱分枝化酵素を加えて反応させることにより得られる、水不溶性難消化性澱粉の技術がある(特許文献10参照)。
更には、難消化性澱粉とは異なる素材であるが、上記難消化性澱粉と同様の作用・効果を奏することが期待される素材として水溶性難消化性デキストリンが開発され、且つこれをパン生地の混捏工程で小麦粉の一部に置き換えて添加するパンの製法が開発されてきている(特許文献11乃至14参照)。
しかし、このように多量の難消化性澱粉を添加すると、混捏したパン生地の小麦蛋白質量の割合が小さくなるために、パン生地から伸展性、膨張性および弾力性が失われ、オーブンスプリング(窯伸び)の小さいパン生地となる。従って、このパン生地を焼成したパンは、ボリュームが小さく、形状が安定せずに均一性を欠き、またクラストに亀裂が発生したりする。そして、これらの弊害は、機械的大量生産によるパンの製造方法において著しい。
また、多量の難消化性澱粉を添加すると、焼成したパンは、すえたような澱粉臭が強くなり、また小麦粉醗酵風味を欠くようになる等の問題があった。
さらに、本発明は、上記のボリュームが小さい、形状が安定せず均一性を欠く、クラストに亀裂が発生するという弊害を解決するために、活性グルテンを添加するが、これにより、焼成したパンの弾力が強く、かつ食感が重くなるという問題があった。
また、本発明は、多量の難消化性澱粉を添加したとしても、焼成したパンがいやな澱粉臭がなく、小麦粉の焙焼香と醗酵風味を有し、また甘味を有するようになるパンの製造方法を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、多量の難消化性澱粉を添加するとともに活性グルテンを添加することにより、焼成したパンの弾力が強く、かつ食感が重くなることを防止することを目的としている。
また、活性グルテンを添加することにより、超強力粉と相俟って、多量の難消化性澱粉を添加して混捏したパン生地の小麦蛋白質量の不足分を補うことにより、該パン生地の弾力性を回復することがより確実に可能となる。そして、該パン生地を焼成したパンは、ボリュームがあり、形状が均一で安定し、またクラストに亀裂が発生することなくきれいな外観を有するようになる。
さらに、グリアジンを添加するので、超強力粉および活性グルテンを添加することにより生じる弊害を回避できる。即ち、超強力粉および活性グルテンを添加することにより、焼成したパンが強い弾力感と引きを感じさせるタフな食感となり、硬くて歯切れが悪くなり、口当たりが重くなり、また口溶けが悪くなることがあるが、これが回避される。
また、活性グルテンを過剰に添加する必要がなく、このことに起因して生じる、焼成したパンのクラストが硬くて噛み切れなくなるとか、クラムも引きと弾力が過度に強くなって、口当たりが重くなるとか、口溶けが悪くなるとかの現象も、より確実に回避することができるようになる。
超強力粉の添加量がこれよりも多過ぎるときには、パン生地中の小麦蛋白質量が多くなり過ぎて、該パン生地を焼成したパンは、過度の弾力感と引きを感じさせるタフな食感となり、硬くて歯切れが悪く、口当たりおよび口溶けも悪くなる。これに対し、超強力粉の添加量がこれよりも少な過ぎるときには、活性グルテンを多めに添加しないと、前記本発明の効果を奏しなくなるし、また活性グルテンの添加量が多くなり過ぎると、前記弊害が生じる。
上述した本発明の構成により、多量の難消化性澱粉を添加したとしても、機械耐性生地を製造することができるようになり、機械的大量生産によるパンの製造方法においても、上述した本発明の製パン性及び品質の改善効果を奏するようになる。
このように活性グルテンを添加することにより、上述したとおり超強力粉を併用する構成等と相俟って、多量の難消化性澱粉を添加して混捏したパン生地の小麦蛋白質量の不足分を補うことにより、該パン生地の弾力性を回復することがより確実に可能となる。そして、該パン生地を焼成したパンは、ボリュームがあり、形状が均一で安定し、またクラストに亀裂が発生することなくきれいな外観を有するようになる。
活性グルテンの添加量がこれよりも少なくなると、原料の種類やパン製法如何によっては、前記改善効果が乏しくなる。
このようにグリアジンを添加することにより、上述したとおり、前記超強力粉及び活性グルテンを添加することにより、焼成したパンが強い弾力感と引きを感じさせるタフな食感となり、硬くて歯切れが悪くなり、口当たりが重くなり、また口溶けが悪くなるのを確実に回避することができるようになる。
この場合、難消化性澱粉を添加する時期は、中種の混捏工程でも、また本捏生地の混捏工程でも、または該澱粉を二つに分割して両者の工程でもよいが、中種の混捏工程で添加する場合には、これにより、パン生地に多量の難消化性澱粉を添加しても、これを中種の混捏工程で添加することにより、焼成したパンは、いやな澱粉臭がなくなり、小麦粉の焙焼香と醗酵風味を有し、また甘味(あまみ)を有するようになる。
これにより、パン生地に多量の難消化性澱粉を添加しても、これを本捏工程で添加することにより、中種の混捏工程で添加するよりも一層、焼成したパンをボリュームがあり、安定した均一な形状のものとし、またクラストに亀裂が発生することを抑制することができるようになる。
これにより、難消化性澱粉を多量に添加した場合に発生するおそれのある澱粉臭をマスキングすることができ、従って、焼成したパンは、いやな澱粉臭の発生が抑制され、また甘味(あまみ)を有する。
これにより、より有効に、前記酒種を添加する効果を奏することができる。
本発明は、活性グルテンを添加するが、その弊害として焼成したパンの引きや弾力が強く歯切れも悪く、かつ口当たりや食感がタフで重くなる傾向が見られる場合があるが、前記架橋澱粉及び/又は増粘剤含有油脂を添加することにより、該弊害が解消され、焼成したパンを引きのない歯切れが良好で、かつ食感も軽いものにするとともに、口溶けを良好にし、口当たり及び食感をソフトで柔らかいものにすることができる。
これにより、前記架橋澱粉を添加する効果をより有効に奏することができる。
これにより、前記増粘剤含有油脂を添加する効果をより有効に奏することができる。
そして、難消化性澱粉の利点である整腸作用、便通作用、血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、脂肪蓄積抑制作用等を生かした有用なパンとすることができるようになる。
本発明の実施の形態に係るパンの製造方法について説明する。これは、パン生地の混捏工程で原料粉として小麦粉および難消化性澱粉を添加するパンの製造方法であり、該小麦粉の一部として小麦蛋白質量が15質量%を超える高蛋白質含有量の超強力粉を添加するとともに、活性グルテンおよびグリアジンを添加する構成のパンの製造方法である。
次に、難消化性澱粉とは、上述した効能・効果のうち少なくともいずれか一つを若干でも奏するような実質有効成分である難消化性成分(狭義の難消化性澱粉)を一部含有しているものを広く意味する。即ち、狭義の難消化性澱粉を一部含有する生成物又は調製物という広義のそれを意味する。
従って、上述した、またはその他の難消化性澱粉の生理作用は、第一に胃および小腸で消化吸収されない性質と、第二に大腸の結腸で腸内細菌の醗酵基質となり醗酵する性質のうち少なくともいずれかの性質に由来すると推測される。そして、血糖値上昇抑制作用、インシュリン低下作用およびコレステロール低下作用等は、難消化性澱粉の前者の生理作用によるものであり、また潰瘍・腫瘍の治癒もしくは縮小等は、後者の生理作用によるものであると考えられる。
該超強力粉は、前記強力小麦粉のうちの17質量%〜27質量%の量を使用することが望ましく、20質量%〜24質量%の量を使用することがより一層望ましい。これにより、適当量の活性グルテンを添加する構成と相まって、多量の難消化性澱粉を添加して混捏したパン生地の小麦蛋白質量の不足分を補うことが、より確実に実現されるようになる。すなわち、多量の難消化性澱粉を添加しても、混捏したパン生地は伸展性、膨張性および弾力性を維持し、このパン生地を焼成したパンは、ボリュームが小さくなり、形状が安定せずに均一性を欠いたり、またはクラストに亀裂が発生したりすることを防止し、または抑制することができるようになる。
超強力粉の添加量がこれよりも多過ぎるときには、パン生地中の小麦蛋白質量が多くなり過ぎて、該パン生地を焼成したパンは、過度の弾力感と引きを感じさせるタフな食感となり、硬くて歯切れが悪く、口当たりおよび口溶けも悪くなる。これに対し、超強力粉の添加量がこれよりも少な過ぎるときには、活性グルテンを多めに添加しないと、前記本発明の効果を奏しなくなるし、また活性グルテンの添加量が多くなり過ぎると、前記弊害が生じる。
超強力粉は、上述した小麦蛋白質量の不足分を補うことを目的として添加するため、難消化性澱粉を添加する工程で添加して一緒に混捏することが望ましい。こうすることにより、超強力粉を添加することによる前記効果をより有効に奏することができる。
このように活性グルテンを添加することにより、上述したとおり超強力粉を併用する構成等と相俟って、多量の難消化性澱粉を添加して混捏したパン生地の小麦蛋白質量の不足分を補うことにより、該パン生地の弾力性を回復することがより確実に可能となる。そして、該パン生地を焼成したパンは、ボリュームがあり、形状が均一で安定し、またクラストに亀裂が発生することなくきれいな外観を有するようになる。
活性グルテンの添加量がこれよりも少なくなると、原料の種類やパン製法如何によっては、前記改善効果が乏しくなる。
また、活性グルテンは、前記活性グルテンを過剰に添加することに起因して生じる弊害を回避するためには、適宜量のグリアジンを併用することを前提として、原料粉全体に対して3質量%以下の量を添加することが望ましく、2.5質量%以下がより望ましく、2.2質量%以下がより一層望ましい。
このようにグリアジンを添加することにより、超強力粉を使用するとともに、活性グルテンを添加することと相俟って、焼成したパンが強い弾力感と引きを感じさせるタフな食感となり、硬くて歯切れが悪くなり、口当たりが重くなり、また口溶けが悪くなるのを回避することができるようになる。
また、グリアジンは、原料粉全体に対して5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下とすることが望ましい。これよりも多く添加しても、その効果が顕著に現れるわけではない。
活性グルテンおよびグリアジンは、難消化性澱粉を添加する工程で添加して一緒に混捏することが望ましい。こうすることにより、活性グルテンおよびグリアジンを添加したことによる効果をより有効に奏することができるようになる。
このように活性グルテンおよびグリアジンを添加することにより、上述した通りに超強力粉の使用とともに、混捏したパン生地に適度な伸展性、膨張性および弾力性を付与し、このパン生地を焼成したパンの食感が重くなるのを回避しつつ、該焼成パンをボリュームがあり、安定した均一な形状のものとし、またクラストに亀裂が発生することを抑制することができるようになる。
これに対し、本捏工程で添加する場合には、パン生地に多量の難消化性澱粉を添加しても、これを本捏工程で添加することにより、中種の混捏工程で添加するよりも一層、焼成したパンをボリュームがあり、安定した均一な形状のものとし、またクラストに亀裂が発生することを抑制することができるようになる。
従って、パン生地を構成する原料粉としての小麦粉は、一般的には、中種混捏工程では小麦粉全量の50〜100質量%の小麦粉を使用するが、本発明では、中種混捏工程では該小麦粉全量の60〜100質量%の小麦粉を使用することが望ましく、70〜100質量%の小麦粉を使用することがより一層望ましい。
中種混捏工程で添加するイーストは、通常、例えば、前記原料粉全体に対して2.0〜3.0質量%、好ましくは2.3〜2.7質量%である。
本発明の実施の形態で添加する酒種とは、米、米麹、水などを原料として、酵母を醗酵させた醗酵種である。具体的には、例えば、生米、蒸米、米麹、水を原料として酒種を作成する場合、蒸米に由来する澱粉を米麹が分解してブドウ糖などを生成し、ブドウ糖などの生成物を、生米の表面に付着した酵母の栄養源にして、酵母を増殖、醗酵させることにより酒種を作成するのである。また、酒種の酵母として、生米に付着した酵母に替えて、清酒酵母等を用いることも可能であり、その場合には、生米を添加するとともに、又は生米を添加する替わりに清酒酵母等を添加する。酒種を安定的に製造するためには、生米を添加する替わりに清酒酵母等を添加する方法を採用するのが望ましい。さらに、雑菌の繁殖を抑制するためにpHを低下させる目的で乳酸を添加することも可能である。そして、これら酒種原料を混合して醗酵させるのであるが、醗酵温度は、通常、24℃前後であるが、これに限定されない。
酒種は、難消化性澱粉に対して2〜20質量%の量を添加することが望ましく、また5〜17質量%の量を添加することがより望ましく、さらには8〜15質量%の量を添加することがより一層望ましい。また、酒種は、原料粉全体に対して0.1〜4質量%の量を添加することが望ましく、また0.5〜3.5質量%の量を添加することがより望ましく、さらには1〜3質量%の量を添加することがより一層望ましい。これにより、より有効に、焼成したパンからいやな澱粉臭が生ずるのを抑制し、また甘味(あまみ)を有するようにすることができる。
本発明の実施の形態で添加する架橋澱粉とは、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、甘薯澱粉等の澱粉を、好ましくはタピオカ澱粉を、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸、エピクロルヒドリン等の架橋剤を用いて常法に従って架橋したものであり、好ましくは該リン酸塩により架橋したリン酸架橋澱粉である。
その他の化工処理、例えば、ヒドロキシプロピル化等のエーテル化や、アセチル化等のエステル化を施した架橋澱粉でも、本発明の目的・効果を損なわない限りかまわないが、このような化工処理は必要ではない。また、α化処理は望ましくない。本発明でα化処理した架橋澱粉を添加すると、焼成したパンはネチャついた食感となり、本発明が目的とする引きのない良好な歯切れ感と軽い食感を実現できないおそれがある。
このように、本発明で架橋澱粉を添加することにより、焼成したパンを引きのない歯切れが良好で、かつ食感も軽いものにすることができる。
本発明の実施の形態では、増粘剤含有油脂を添加する。ここで増粘剤とは、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラヤガム、タマリンドシードガム、タラガム、グルコマンナン、プルラン、イオタカラギナン、HMペクチン、LMペクチン、トラガントガム、結晶性セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、水溶性大豆多糖類、ガティガム、メチルセルロース、サイリウムシードおよびカシャガム等があげられる。そして、これらの増粘剤の1種を単独で用いることができるし、また異なる2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。風味および食感の点で、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガムが好ましく、より好ましくはキサンタンガムである。
また、パン生地の混捏工程として中種混捏工程およびその後の本捏工程を備えた中種法を採用する場合には、両者を当該本捏工程で添加することが望ましい。
本発明の機械的大量生産によるパンの製造方法とは、具体的には、例えば、100kg以上の大量の生地の混捏を1バッチとし、1バッチごとに大型ミキサーで一度に大量の生地を混捏してから分割機(ディバイダー)で最終製品の生地重量に分割し、丸め機(ラウンダー)で丸め、必要に応じて中間醗酵させてから多段ローラー等により機械的にガス抜きをした後、整形工程、ホイロ工程、焼成工程をとる方法があげられる。また、必要に応じ、分割後の各工程間の生地の搬送は、ベルトコンベア等の機械的な手段にて行うことができる。
酒種は、蒸米、米麹、水、清酒酵母を混合して、22℃で120時間醗酵させた後、米粒を粉砕するために乳化し、乳成分を添加して成分調整し、殺菌、ろ過をして作成された液状種を使用した。
以下の実施例及び比較例では、全て上述した機械的大量生産によるパンの製造方法でパンを製造した。
まず、本発明の実施例1は、中種法を採用して、本捏で難消化性澱粉、超強力粉、活性グルテンおよびグリアジンを添加し、以下の機械的大量生産で、図1に示す配合と工程条件で角型食パンを製造した。
中種の混捏(中種配合原料を大型ミキサーで混捏)、中種醗酵、本捏(醗酵後の中種と本捏配合原料を大型ミキサーで混捏して750kgの生地を作成する)、フロアタイム、分割(ホッパー付きディバイダー使用)、丸め(ラウンダー使用)、ベンチタイム(オーバーヘッドプルファー使用)、圧延(ガス抜き。三段ローラーモルダー使用)、整形(機械的に巻き込み(カーリング)後M字に折り込む)、型詰め(自動機械)、ホイロ、焼成の各工程を経て角型食パンを製造した。尚、分割後の各工程間の生地の搬送は、ベルトコンベアで自動的に行った。
このようにして製造した食パンは、機械的大量生産によるものでも、多量の難消化性澱粉を添加しているにもかかわらず、混捏したパン生地から伸展性、膨張性および弾力性が失われることなく維持されており、このパン生地を焼成したパンは、オーブンスプリングが大きく、形状が安定して均一であり、またクラストに亀裂が発生しなかった。
特に、中種法により、難消化性澱粉を本捏で添加したことで、より有効にボリュームの増大、形状の安定・均一化及びクラストの亀裂発生抑制の効果を得ることができるようになった。
また、混捏したパン生地の小麦蛋白質の含有量を適度に調整していることから、小麦蛋白質を過剰に含有することに起因して生じる、焼成したパンのクラストが硬くて噛み切れなくなるとか、クラムも引きと弾力が過度に強くなって、口当たりが重くなるとか、口溶けが悪くなるとかの弊害も発生せず、良好な食感であった。
また、多量の難消化性澱粉を添加しているにもかからわず、パン生地の混捏工程で酒種を添加したことにより、いやな澱粉臭の発生が抑制され、また甘味(あまみ)を有するものであった。
さらに、架橋澱粉および増粘剤含有油脂を添加したことにより、超強力粉および活性グルテンを添加しているにもかかわらず、引きのない歯切れが良好で、かつ口当たりおよび食感が軽く、またソフトで柔らかいものであった。
実施例2としては、中種法を採用して、中種混捏工程で難消化性澱粉、
超強力粉、活性グルテンおよびグリアジンを添加し、実施例1と同様の
機械的大量生産により、図2に示す配合と実施例1と同じ工程条件で角
型食パンを製造した。
このようにして製造した食パンは、機械的大量生産によるものでも、多量の難消化性澱粉を添加しているにもかかわらず、混捏したパン生地から伸展性、膨張性および弾力性が失われることなく維持されており、このパン生地を焼成したパンは、オーブンスプリングが大きく、形状が安定して均一であり、またクラストに亀裂が発生しなかった。
また、混捏したパン生地の小麦蛋白質の含有量を適度に調整していることから、小麦蛋白質を過剰に含有することに起因して生じる、焼成したパンのクラストが硬くて噛み切れなくなるとか、クラムも引きと弾力が過度に強くなって、口当たりが重くなるとか、口溶けが悪くなるとかの弊害も発生せず、良好な食感であった。
特に、中種法により、難消化性澱粉を中種の混捏工程で添加していることにより、パン生地に多量の難消化性澱粉を添加しても、焼成したパンは、いやな澱粉臭がなくなり、小麦粉の焙焼香と醗酵風味を有し、また甘味(あまみ)を有するようになる。
また、多量の難消化性澱粉を添加しているにもかからわず、パン生地の混捏工程で酒種を添加したことにより、さらに一層、いやな澱粉臭の発生が抑制され、また甘味(あまみ)を有するものであった。
さらに、架橋澱粉および増粘剤含有油脂を添加したことにより、超強力粉および活性グルテンを添加しているにもかかわらず、引きのない歯切れが良好で、かつ口当たりおよび食感が軽く、またソフトで柔らかいものであった。
比較例1として、実施例1と同様の機械的大量生産により、実施例1
の配合のうち、中種配合の強力粉を64質量%から55質量%に減じ、
且つ、本捏配合の超強力粉を18質量%から7質量%に減じるとともに、
該減少分に相当する20質量%の強力粉を本捏で配合するようにした以
外は、実施例1と同様の配合及び工程条件で角型食パンを製造した。
比較例1で得られた食パンは、クラストには少し亀裂があった。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得られた食パンの外観、
内相、食感、風味を評価した結果を図3に示す。
Claims (9)
- パン生地の混捏工程で原料粉として小麦粉および難消化性澱粉を添加するパンの製造方法において、前記パン生地の混捏工程として中種混捏工程およびその後の本捏工程を備えた中種法を採用し、前記難消化性澱粉として、ジャガイモ、タピオカ、トウモロコシ等の澱粉をα―アミラーゼ等の澱粉分解酵素によって部分的に加水分解して得た中間生成物を温水に溶解し、イソアミラーゼ等の酵素によって脱分枝化するとともに、老化させてから、酵素を不活性化し、若しくは酵素を不活性化してから老化させ、噴霧乾燥することにより得た難消化性澱粉を使用し、これを前記原料粉全体に対して10質量%〜40質量%の量を添加し、該小麦粉の一部として小麦蛋白質量が15〜18質量%の高蛋白質含有量の超強力粉、活性グルテンおよびグリアジンを前記難消化性澱粉を添加する工程で添加して一緒に混捏すること、並びに前記パン生地の混捏工程で酒種及び、架橋澱粉及び/又は増粘剤含有油脂を添加することを特徴とする100kg以上の生地を1バッチとする機械的大量生産によるパンの製造方法。
- 前記超強力粉は、前記小麦粉のうちの17質量%〜27質量%の量を使用することを特徴とする請求項1に記載のパンの製造方法。
- 前記活性グルテンは、前記原料粉全体に対して1質量%以上の量を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のパンの製造方法。
- 前記グリアジンは、前記原料粉全体に対して0.1質量%以上の量を添加することを特徴とする請求項1、2または3に記載のパンの製造方法。
- 前記酒種は、前記難消化性澱粉に対して2〜20質量%の量、及び/又は前記原料粉全体に対して0.1〜4質量%の量を添加することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のパンの製造方法。
- 前記架橋澱粉は、前記パン生地を構成する前記原料粉に対して0.1質量%〜3質量%の量を添加することを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載のパンの製造方法。
- 前記増粘剤含有油脂は、前記パン生地を構成する前記原料粉に対して1質量%以上の量を添加することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載のパンの製造方法。
- 前記中種混捏工程で前記難消化性澱粉を添加することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のパンの製造方法。
- 前記本捏工程で前記難消化性澱粉を添加することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のパンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006333093A JP4596348B2 (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | パンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006333093A JP4596348B2 (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | パンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008142016A JP2008142016A (ja) | 2008-06-26 |
JP4596348B2 true JP4596348B2 (ja) | 2010-12-08 |
Family
ID=39602897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006333093A Active JP4596348B2 (ja) | 2006-12-11 | 2006-12-11 | パンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4596348B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5824198B2 (ja) * | 2009-08-05 | 2015-11-25 | Mcフードスペシャリティーズ株式会社 | パン生地改良剤 |
JP6168765B2 (ja) * | 2012-12-21 | 2017-07-26 | 江崎グリコ株式会社 | 経時的劣化の抑制されたベーカリー食品 |
JP5369244B1 (ja) * | 2013-04-03 | 2013-12-18 | 日本食品化工株式会社 | 食品の製造方法、食品および食品用食感改良剤 |
JP2016158607A (ja) * | 2015-03-05 | 2016-09-05 | 日清製粉株式会社 | ベーカリー食品用組成物 |
JP7293073B2 (ja) * | 2019-09-27 | 2023-06-19 | 日清製粉株式会社 | ホイロ発酵済みパン用冷凍生地の製造方法及びパン類の製造方法 |
CN111567592A (zh) * | 2020-06-16 | 2020-08-25 | 莱州宏源面粉有限公司 | 一种专用面粉及其制备方法和应用 |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58183030A (ja) * | 1982-04-16 | 1983-10-26 | 花王株式会社 | 製菓・製パン用練り込み油脂組成物 |
JPH02171136A (ja) * | 1988-12-22 | 1990-07-02 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 製パン用乳化油脂組成物およびパンの製造方法 |
JPH02227020A (ja) * | 1989-03-01 | 1990-09-10 | Nippon Saafuakutanto Kogyo Kk | 食物繊維入りパンの製造法 |
JPH09271313A (ja) * | 1996-04-09 | 1997-10-21 | Matsutani Chem Ind Ltd | パ ン |
JPH10191931A (ja) * | 1996-12-03 | 1998-07-28 | Cerestar Holding Bv | 高度に発酵するレジスタントでんぷん |
JPH10234290A (ja) * | 1997-02-28 | 1998-09-08 | Nisshin Oil Mills Ltd:The | 食感の改良されたパンおよび饅頭類およびその製造方法 |
JPH119174A (ja) * | 1997-06-24 | 1999-01-19 | Matsutani Chem Ind Ltd | 食パン類 |
JP2000106816A (ja) * | 1998-10-06 | 2000-04-18 | Asama Kasei Kk | パンの製造方法 |
JP2004290176A (ja) * | 2003-03-10 | 2004-10-21 | Nisshin Seifun Group Inc | 製パン用添加剤および製パン用組成物 |
JP2007124928A (ja) * | 2005-11-02 | 2007-05-24 | Yamazaki Baking Co Ltd | パンの製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20050013900A1 (en) * | 2003-07-15 | 2005-01-20 | Dohl Christopher T. | High-protein, low-carbohydrate bakery products |
-
2006
- 2006-12-11 JP JP2006333093A patent/JP4596348B2/ja active Active
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58183030A (ja) * | 1982-04-16 | 1983-10-26 | 花王株式会社 | 製菓・製パン用練り込み油脂組成物 |
JPH02171136A (ja) * | 1988-12-22 | 1990-07-02 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 製パン用乳化油脂組成物およびパンの製造方法 |
JPH02227020A (ja) * | 1989-03-01 | 1990-09-10 | Nippon Saafuakutanto Kogyo Kk | 食物繊維入りパンの製造法 |
JPH09271313A (ja) * | 1996-04-09 | 1997-10-21 | Matsutani Chem Ind Ltd | パ ン |
JPH10191931A (ja) * | 1996-12-03 | 1998-07-28 | Cerestar Holding Bv | 高度に発酵するレジスタントでんぷん |
JPH10234290A (ja) * | 1997-02-28 | 1998-09-08 | Nisshin Oil Mills Ltd:The | 食感の改良されたパンおよび饅頭類およびその製造方法 |
JPH119174A (ja) * | 1997-06-24 | 1999-01-19 | Matsutani Chem Ind Ltd | 食パン類 |
JP2000106816A (ja) * | 1998-10-06 | 2000-04-18 | Asama Kasei Kk | パンの製造方法 |
JP2004290176A (ja) * | 2003-03-10 | 2004-10-21 | Nisshin Seifun Group Inc | 製パン用添加剤および製パン用組成物 |
JP2007124928A (ja) * | 2005-11-02 | 2007-05-24 | Yamazaki Baking Co Ltd | パンの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008142016A (ja) | 2008-06-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2006232333B2 (en) | Food product | |
JP5710057B1 (ja) | イースト発酵食品用組成物及びイースト発酵食品 | |
JP6803658B2 (ja) | 食品用組成物 | |
EP2809162A1 (fr) | Produits de cuisson ne contenant pas de gluten | |
JP4596348B2 (ja) | パンの製造方法 | |
CN110050815A (zh) | 一种低gi高膳食纤维全麦面包的制作方法 | |
JP4478953B2 (ja) | パンの製造方法 | |
CN109567006A (zh) | 一种无麸质谷物发酵型面制品及其制备方法 | |
JPWO2019013315A1 (ja) | ベーカリー食品用ミックス | |
JP3534401B2 (ja) | 電子レンジ加熱食品用の食感改良剤 | |
JP6845735B2 (ja) | ベーカリー製品用改質剤とそれを用いたベーカリー生地およびベーカリー製品の製造方法 | |
JP4432849B2 (ja) | パンの製造方法 | |
EP0528902B1 (en) | A dough or batter composition, a process for making a fat-reduced bakery product, and a fat-reduced bakery product | |
JP2011087515A (ja) | 湯種生地及びその製造方法 | |
JP2004065245A (ja) | パン類およびドーナツ類用の生地改良剤 | |
WO2007063349A1 (en) | Diabetic finished flours or flour mixtures or additive mixtures made from mostly whole-grain and whole-grain cereals | |
JP5067063B2 (ja) | 低吸油性フライ用パン粉の製造方法及びフライ食品 | |
JP3514942B2 (ja) | 加工食品用の品質改良剤 | |
JP2018186771A (ja) | 低糖質パン用食品素材及び低糖質パン | |
JP2006271329A (ja) | 吸油量の少ないパン粉 | |
JP4432836B2 (ja) | パンの製造方法 | |
JP2003325140A (ja) | 菓子又はパン用品質改良剤及び菓子又はパン | |
JP6756668B2 (ja) | 含気泡食品用食感改良剤及びその製造方法、並びに含気泡食品の製造方法 | |
CN111034979A (zh) | 复合风味料、面食品及其制备方法 | |
KR100549437B1 (ko) | 쌀빵의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080425 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100108 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100122 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100318 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100603 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100802 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100820 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100910 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4596348 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20161001 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |