JP4595525B2 - 血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計 - Google Patents

血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計 Download PDF

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Description

本発明は、生体を圧迫することにより動脈を阻血するための流体袋を備えた血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計に関する。
通常、血圧値の測定に際しては、生体内部に位置する動脈を圧迫するための流体袋を内包するカフを生体の体表面に巻き付け、巻き付けた流体袋を加圧・減圧することによって動脈内に生じる動脈圧脈波の検出を行い、これによって血圧値の測定が行なわれる。ここで、カフとは、内腔を有する帯状の構造物であって生体の一部に巻き付けが可能なものを意味し、気体や液体等の流体を内腔に注入することによって上下肢の動脈圧測定に利用されるもののことを指す。したがって、カフは、流体袋とこの流体袋を生体に巻き付けるための巻付手段とを含めた概念を示す言葉であり、特に手首や上腕に巻き付けられて装着されるカフは、腕帯あるいはマンシェットと呼ばれることもある。
近年、血圧計は、病院等の医療施設において使用されるのみならず、家庭内において日々の健康状態を知る手段として頻繁に利用されている。したがって、血圧計に対する取扱い性の向上、特に装着作業の容易化への要請が強く、これを解決すべくカフの小型化が推し進められている。カフの小型化に際しては、幅方向(すなわち、カフが巻き付けられる被測定部位(たとえば手首や上腕等)の軸方向と平行な方向)における狭小化が必要である。
血圧計用カフの幅を狭小化する場合には、動脈を十分に圧迫阻血することができるかどうかが問題となる。幅広の血圧計用カフを用いた場合には、カフによって覆われる被測定部位の軸方向における長さが長く確保できるため、十分に動脈を圧迫阻血することが可能である。しかしながら、カフ幅を狭小化した場合には、これに伴ってカフで覆われる被測定部位の軸方向における長さも短くなるため、十分に動脈を圧迫阻血することが困難になる。
このカフ幅の狭小化に伴う阻血性能の低下の防止が図られた血圧計用のカフとして、たとえば特開平2−107226号公報(特許文献1)に開示の血圧計用カフや、特開2001−224558号公報(特許文献2)に開示の血圧計用カフが知られている。これら公報に開示の血圧計用カフは、カフ内に配置される流体袋としての空気袋の幅方向における両側端部に襠を設け、空気袋が膨張した際にこの襠が伸びることによって空気袋が幅方向においてより均等に膨張するように構成したものである。このように構成することにより、カフの両側端部およびその近傍においてもカフの中央部と同様に動脈の圧迫阻血が十分に行なえるようになるため、カフ幅を狭小化した場合にも精度よく血圧値を測定することができる。
特開平2−107226号公報 特開2001−224558号公報
しかしながら、このように空気袋の幅方向における両側端部に襠を設けた場合には、空気袋の膨張時において、空気袋の幅方向における両側端部の厚み方向における高さが大きくなるため、結果として後述する空気袋の横ずれ現象を誘発する原因となる。
図27は、一般的な手首式血圧計を被測定部位である手首に装着した状態を示す模式図であり、図28は、図27中に示す血圧計用カフのXXVIII−XXVIII線に沿った模式断面図である。また、図29は、図27に示す測定状態において手首式血圧計のカフに横ずれ現象が発生した場合の状態を示す模式図であり、図30は、図29中に示す血圧計用カフおよび手首のXXX−XXX線に沿った模式断面図である。
図27に示すように、手首式の血圧計100は、装置本体110とカフ130とを備える。手首式の血圧計100を用いて血圧値を測定する際には、被測定部位である手首300に血圧計100のカフ130が周方向に巻き付けられる。図28に示すように、カフ130は、袋状のカバー体140と、このカバー体140の内部に配置された空気袋150および当該カフを手首に仮装着させるための湾曲弾性のカーラ170とによって主に構成されている。これらカバー体140、空気袋150およびカーラ170は、カフ130の巻き付け方向を長手方向として延在している。
カバー体140は、伸縮性に富んだ布等からなる内側カバー141と伸縮性に乏しい布等からなる外側カバー142とを重ね合わせてその周縁を結合することによって袋状に形成されている。空気袋150は、装着状態において手首側に位置する内側壁部を形成する樹脂シート152と、内側壁部の外側に位置する外側壁部を形成する樹脂シート151とを重ね合わせてその周縁を溶着することにより袋状に形成されており、内部に膨縮空間166を有している。空気袋150の内側壁部を形成する樹脂シート152は、その両端部が折り返されて外側壁部を形成する樹脂シート151に溶着されており、これによって空気袋150の側壁部に襠が形成されている。空気袋150の外周面には、環状に巻き回されることによって径方向に弾性変形可能に構成された可撓性部材であるカーラ170が両面テープ181等の接着手段によって接着されている。
上記構成の手首式血圧計100にあっては、装置本体110の内部に設置された膨縮手段としてのポンプおよび弁等を用いてカフ130内に位置する空気袋150の膨縮空間166が加減圧されることにより空気袋150が膨縮し、この空気袋150の膨縮の際に検知される圧力情報を基に血圧値の算出が行なわれる。
空気袋150が膨張状態にある場合においてカバー体140の外側カバー142に手首300の軸方向と平行な方向に何らかの外力が加わった場合には、カフ130の外側部分が手首300の軸方向に横ずれすることになり、この際カフ130の内側部分は手首300と接触しているため横ずれを起こさず、結果としてカフ130に図29において符号190で示す如くのはみ出し部分が生じる。また、外力が加わらなくても、手首300表面の傾斜形状によって空気袋150の圧力バランスが崩れ、横ずれが生じる場合もある。
図30に示すように、上述の横ずれ現象は、膨張時における空気袋150の圧力バランスの崩れに伴い、カーラ170、外側カバー142および樹脂シート151が一体となって手首300の軸方向に移動することによって生じる。カーラ170が手首300の軸方向に移動した場合には、カーラ170の移動方向とは反対側に位置する空気袋150の端部に向かって空気袋150内の空気が逃げるため、空気袋150に変形が生じ、上述のはみ出し部分190が発生する。このはみ出し部分190が発生した場合には、手首300に対して空気袋150を効率よく均等に押圧することができなくなるため、十分な阻血性能を得ることができず、測定精度が低下する原因となる。また、空気袋150とカーラ170との接着部の両端(図中に示す領域A)においてカーラ170から空気袋150を引き剥がす方向に力が加わることになるため、接着部の信頼性が低下することが懸念される。
上述の横ずれ現象は、膨張時における空気袋150の幅に対する内部の膨縮空間166の厚みが大きければ大きいほど発生し易く、カフ130の幅を狭小化させることによって生じる測定精度の低下を防止すべく空気袋150の両側端部に襠を形成した構成において特に問題となる。しかしながら、上記問題は、このような構成の血圧計用カフに限定される問題ではなく、空気袋の両側端部に襠を形成していない血圧計用カフにおいても少なからず発生している問題であり、その解決が望まれるところである。
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、カフの横ずれ現象の発生が防止可能な血圧計用カフを提供することにより、高性能でかつ高信頼性の血圧計を実現することを目的とする。
本発明に基づく血圧計用カフは、流体が出入りすることによって膨縮する流体袋を備えたものであって、上記流体袋は、当該血圧計用カフが生体に巻き付けられた状態において内側に位置する内側壁部と、上記内側壁部よりも外側に位置する外側壁部と、上記内側壁部の側端部と上記外側壁部の側端部とを連結し、上記流体袋を加圧していない収縮状態において上記流体袋の幅方向内側に向かって折り畳まれることにより、上記流体袋の側端部において襠を形成する側壁部とを含み、上記流体袋の側端部の生体への巻き付け方向における一部の領域にのみ、上記側壁部によって形成される襠の広がりを減じる接合部が設けられてなる。
このように、流体袋の生体への巻き付け方向における一部の領域に、側壁部によって形成された襠の広がりを減じる接合部を形成することにより、流体袋の側端部の変形がこの接合部の存在によって制限されるようになるため、流体袋の横ずれが防止でき、被測定部位への圧迫力分布の均一化を図ることができる。したがって、高信頼性の血圧計用カフとすることができるとともに、高精度に血圧値を測定することが可能になる。なお、「襠の広がりを減じる」とは、襠の広がりを他の領域に比べて小さくすることのみならず、その領域において襠を完全に消滅させることをも含む意味である。
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記接合部が、上記側壁部が折り畳まれた状態において対面することとなる上記側壁部の壁面同士を接合することによって形成されていることが好ましい。また、上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記接合部が、上記側壁部の壁面と、上記側壁部が折り畳まれた状態において上記側壁部の壁面が対面することとなる上記外側壁部の壁面とを接合することによって形成されていてもよく、さらには、上記側壁部の壁面と、上記側壁部が折り畳まれた状態において上記側壁部の壁面が対面することとなる上記内側壁部の壁面とを接合することによって形成されていてもよい。
上述の接合部は、たとえば上記の如くの構成とすることにより、簡便に形成することが可能である。
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、流体袋が、上記流体袋内において上記内側壁部および上記外側壁部の間に位置し、かつ上記流体袋の両側端部に位置する一対の上記側壁部同士を連結する連結部をさらに有していることが好ましい。
このように構成することにより、流体袋が膨張状態から収縮状態に移行する際に、襠として機能する側壁部が確実に内側に折り畳まれて収納されるようになり、膨縮に伴う流体袋の変形が安定的に再現されるようになる。
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記接合部が、上記流体袋の生体への巻き付け方向の略中央部に位置していることが好ましい。
このように構成することにより、最も横ずれの発生し易い生体への巻き付け方向の中央部において流体袋の変形が制限されるようになるため、効果的に横ずれを防止することができる。
上記本発明に基づく血圧計用カフにあっては、上記接合部における接合が溶着によって行なわれていることが好ましい。
このように接合部を溶着によって形成することにより、容易に接合部を形成することができる。
本発明に基づく血圧計は、上述のいずれかの血圧計用カフと、上記流体袋を膨縮させる膨縮手段と、上記流体袋内の圧力を検知する圧力検知手段と、上記圧力検知手段によって検知された圧力情報に基づいて血圧値を算出する血圧値算出手段とを備える。
このように構成することにより、高性能でかつ高信頼性の血圧計とすることができる。
本発明によれば、血圧計用のカフにおいて、上述の横ずれ現象の発生が未然に防止できるようになるため、被測定部位への圧迫力分布の均一化を図ることができ、高性能でかつ高信頼性の血圧計とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、血圧計として手首式の血圧計を例示して説明を行なう。
図1は、本発明の実施の形態における血圧計の外観を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1における血圧計100は、装置本体110とカフ130とを備える。装置本体110の表面には、表示部111と操作部112とが配置されており、この装置本体110に上述のカフ130が取付けられている。
図2は、図1に示す血圧計用カフの内部構造を示す縦断面図である。図2に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ130は、伸縮性に富んだ布等からなる袋状のカバー体140と、このカバー体140の内部に配置された流体袋としての空気袋150と、カバー体140の内部に配置され、装着状態において空気袋150の外側に位置するカーラ170とを主に備える。これらカバー体140、空気袋150およびカーラ170は、カフ130の巻き付け方向を長手方向として延在している。
カバー体140は、装着状態において内側に位置する内側カバー141と、内側カバー141よりも外側に位置する外側カバー142とを備えており、これら内側カバー141と外側カバー142とを重ね合わせてその周縁を結合することによって袋状に形成されている。カバー体140の長手方向の一方端の内周面側には、面ファスナ175が設けられており、カバー体140の長手方向の他方端の外周面には、上記面ファスナ175と係合する面ファスナ176が貼り付けられている。これら面ファスナ175,176は、被測定部位である手首にカフ130を装着した状態において、血圧計100を手首に安定的に固定するための手段である。
空気袋150は、樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなる。たとえば、後述する本実施の形態に基づく実施例1に係る血圧計用カフに内包される空気袋150Aにあっては、カフ130を手首に巻き付けた状態において手首側に位置する内側壁部を形成する樹脂シート152と、内側壁部の外側に位置する外側壁部を形成する樹脂シート151とを重ね合わせ、その周縁を溶着することにより袋状に形成されており、内部に膨縮空間166を有している(詳細については、後述の実施例1を参照)。なお、膨縮空間166は、後述する装置本体110の血圧測定用エア系121と、配管120を介して接続される(図3参照)。
空気袋150を構成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んでおり溶着後において膨縮空間166からの漏気がないものであればどのようなものでも利用可能である。このような観点から、樹脂シートの最適な材質としては、エチレン−酢酸ビニール共重合体(EVA)、軟質塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、生ゴム等が挙げられる。
空気袋150の外側には、環状に巻き回されることによって径方向に弾性変形可能に構成された可撓性部材であるカーラ170が配置されている。カーラ170は、空気袋150の外周面に図示しない両面テープ等の接着手段によって接着されている。このカーラ170は、自身の環状形態を維持して手首に沿うように構成されており、測定者自身が被測定部位にカフ130を装着し易くするためのものである。このカーラ170は、十分な弾性力を発現するように、たとえばポリプロピレン等の樹脂部材にて形成される。
図3は、本実施の形態における血圧計の構成を示すブロック図である。図3に示すように、装置本体110は、上述の空気袋150に配管120を介して空気を供給または排出するための血圧測定用エア系121と、血圧測定用エア系121に関連して設けられる発振回路125、ポンプ駆動回路126および弁駆動回路127とを含む。これら各構成要素は、空気袋150を膨縮させるための膨縮手段として機能する。
また、装置本体110は、各部を集中的に制御および監視するためのCPU(Central Processing Unit)113と、CPU113に所定の動作をさせるプログラムや測定された血圧値などの各種情報を記憶するためのメモリ部114と、血圧測定結果を含む各種情報を表示するための表示部111と、測定のための各種指示を入力するために操作される操作部112と、操作部112からの電源ONの指示によりCPU113に電力を供給するための電源部115とを含む。CPU113は、血圧値を算出するための血圧値算出手段として機能する。
血圧測定用エア系121は、空気袋150内の圧力(以下、「カフ圧」という)により出力値が変化する圧力センサ122と、空気袋150に空気を供給するためのポンプ123と、空気袋150の空気を排出しまたは封入するために開閉される弁124とを有する。圧力センサ122は、カフ圧を検知するための圧力検知手段として機能する。発振回路125は、圧力センサ122の出力値に応じた発振周波数の信号をCPU113に出力する。ポンプ駆動回路126は、ポンプ123の駆動をCPU113から与えられる制御信号に基づいて制御する。弁駆動回路127は、弁124の開閉制御をCPU113から与えられる制御信号に基づいて行なう。
図4は、本実施の形態における血圧計の血圧測定処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに従うプログラムは、メモリ部114に予め記憶されて、CPU113がメモリ部114からこのプログラムを読出し実行することにより血圧測定処理が行なわれる。
図4に示すように、被験者が血圧計100の操作部112の操作ボタンを操作して電源ONすると血圧計100の初期化がなされる(ステップS102)。次に、CPU113は、測定可能状態になると、ポンプ123を駆動開始し、空気袋150のカフ圧を徐々に上昇させる(ステップS104)。徐々に加圧する過程において、血圧測定のための所定レベルにまでカフ圧が達すると、CPU113はポンプ123を停止し、次に閉じていた弁124を徐々に開いて、空気袋150の空気を徐々に排気し、カフ圧を徐々に減圧させる(ステップS106)。本実施の形態ではカフ圧の微速減圧過程において血圧を測定する。
次に、CPU113は公知の手順で血圧(最高血圧値、最低血圧値)を算出する(ステップS108)。具体的には、カフ圧が徐々に減圧する過程において、CPU113は発振回路125から得られる発振周波数に基づき脈波情報を抽出する。そして、抽出された脈波情報により血圧値を算出する。ステップS108において血圧値が算出されると、算出された血圧値を表示部111に表示する(ステップS110)。なお、以上において説明した測定方式は、空気袋の減圧時に脈波を検出するいわゆる減圧測定方式に基づいたものであるが、空気袋の加圧時に脈波を検出するいわゆる加圧測定方式を採用することも当然に可能である。
本実施の形態における血圧計100および血圧計用カフ130は、上述の空気袋150の形状において特徴を有している。以下においては、空気袋150の形状について、各実施例ごとに図を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図5(A)は、本実施の形態に基づく実施例1に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図5(B)は、図5(A)において示すVB−VB線に沿った概略断面図であり、図5(C)は、図5(A)において示すVC−VC線に沿った概略断面図である。また、図6は、図5(C)において示す領域VIの拡大図である。
図5(A)ないし図5(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Aは、2枚の樹脂シート151,152を用いて袋状に形成されている。より具体的には、空気袋150Aは、平面視略矩形形状の樹脂シート151と、この樹脂シート151よりも僅かに幅の広い平面視略矩形形状の樹脂シート152とを積層し、その周縁を溶着することによって形成されており、内部に膨縮空間166を有している。
樹脂シート152は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、内側に位置する内側壁部162を形成している。また、樹脂シート151は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、上記内側壁部162よりも外側に位置する外側壁部161を形成している。
空気袋150Aの内側壁部162を形成する樹脂シート152は、その両端部が折り返されて外側壁部161を形成する樹脂シート151に溶着されており、これによって空気袋150Aの側壁部163に襠が形成されている。この側壁部163によって形成された襠は、空気袋150Aが収縮状態にある場合において、空気袋150Aの内側に向かって折り畳まれるように構成される。収縮状態において折り畳まれていたこの襠は、空気袋150Aが膨張状態にある場合において、空気袋150Aの厚み方向に広がるため、この襠の作用によって空気袋150Aの幅方向における両側端部およびその近傍においても空気袋150Aが十分に膨張するようになる。このため、空気袋150Aの幅方向における両側端部およびその近傍においても動脈の圧迫阻血が十分に行なえるようになり、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
図5(A)ないし図5(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Aにあっては、空気袋150Aの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Aの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Aの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図6に示すように、この溶着部168は、空気袋150Aを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものであり、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Aにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着することによってこの溶着部168が形成されている。
このように構成することにより、図5(B)および図5(C)に示すように、空気袋150Aを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Aの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt1Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt1Bよりも小さくなる。
このように、空気袋150Aの長手方向における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じる溶着部168を形成することにより、空気袋150Aの側端部の変形がこの溶着部168の存在によって制限されるようになり、空気袋150Aの横ずれが防止されるようになる。その一方、溶着部168が形成されていない領域においては、側壁部163によって形成される襠が空気袋150Aの幅方向における両側端部およびその近傍における膨張を促進するため、動脈の圧迫阻血が十分に行なえるようになる。
したがって、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
なお、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Aにあっては、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Aの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。このように構成することにより、空気袋150Aの側端部のうち、上記溶着部168が設けられなかった場合に最も厚み方向に膨らむ領域である空気袋150Aの生体への巻き付け方向における略中央部の膨張が制限されるようになるため、横ずれ現象が発生することを効果的に防止することができる。
また、通常、手首式の血圧計にあっては、手首にカフを巻き付けた状態において、手首の掌側部分に空気袋の長手方向の略中央部が位置するように構成される。この手首の掌側部分の皮下には、手首の他の部分よりも比較的硬い腱が位置しているため、上述のように、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が空気袋150Aの長手方向の略中央部に設けられることにより、他の部位に上記溶着部168を設けた場合に比べて動脈の圧迫阻血に対する影響を小さくすることができる。したがって、上記溶着部168を設けることによって生じる圧迫阻血の性能低下の影響を最小限に抑えることが可能になる。
(実施例2)
図7(A)は、本実施の形態に基づく実施例2に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図7(B)は、図7(A)において示すVIIB−VIIB線に沿った概略断面図であり、図7(C)は、図7(A)において示すVIIC−VIIC線に沿った概略断面図である。また、図8は、図7(C)において示す領域VIIIの拡大図である。
図7(A)ないし図7(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Bは、4枚の樹脂シート151,152,153,154を用いて袋状に形成されている。より具体的には、空気袋150Bは、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート151,154を積層し、これら2枚の樹脂シート151,154の両側端部を、幅の狭い平面視略矩形形状の樹脂シート152,153を用いて連結することによって形成されている。これら樹脂シート151,152,153,154は、隣り合う樹脂シートの周縁を溶着することによって連結される。
樹脂シート154は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、内側に位置する内側壁部162を形成している。また、樹脂シート151は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、上記内側壁部162よりも外側に位置する外側壁部161を形成している。
さらに、樹脂シート152,153は、上述の内側壁部162と外側壁部161とを連結する側壁部163を形成する。これら空気袋150Bの側壁部163を形成する樹脂シート152,153は、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aの側壁部と同様に、襠として機能する。
図7(A)ないし図7(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Bにあっては、空気袋150Bの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Bの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Bの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図8に示すように、この溶着部168は、空気袋150Bを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものであり、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Bにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着することによって形成されている。
このように構成することにより、図7(B)および図7(C)に示すように、空気袋150Bを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Bの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt2Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt2Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Bにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Bの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例3)
図9(A)は、本実施の形態に基づく実施例3に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図9(B)は、図9(A)において示すIXB−IXB線に沿った概略断面図であり、図9(C)は、図9(A)において示すIXC−IXC線に沿った概略断面図である。また、図10は、図9(C)において示す領域Xの拡大図である。
図9(A)ないし図9(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Cは、4枚の樹脂シート151,152,153,154を用いて袋状に形成されている。より具体的には、空気袋150Cは、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート151,152を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第1の膨縮空間166aを有する第1の袋体を形成し、さらに平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート153,154を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第2の膨縮空間166bを有する第2の袋体を形成し、これら第1の袋体と第2の袋体とを積層して所定の部位を溶着することにより、第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとを有する2層の一体化された袋体として形成される。なお、上記4枚の樹脂シートのうち、第1の袋体と第2の袋体の接続部に位置する2枚の樹脂シート152,153の所定位置には、予めそれぞれ対応して孔が穿たれており、これら孔は、空気袋150Cの形成後において第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとを連通する連通孔165となる。
樹脂シート154は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、内側に位置する内側壁部162を形成している。また、樹脂シート151は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、上記内側壁部162よりも外側に位置する外側壁部161を形成している。さらに、樹脂シート152,153の幅方向における両側端部は、上述の内側壁部162と外側壁部161とを連結する側壁部163を形成する。これら空気袋150Cの側壁部163を形成する樹脂シート152,153の両側端部は、上述の実施の形態1に係る血圧計用カフの空気袋150Aの側壁部と同様に、襠として機能する。
また、樹脂シート152,153は、空気袋150C内において、上記外側壁部161および上記内側壁部162の間に位置し、かつ空気袋150Cの両側端部に位置する一対の側壁部163同士を連結する連結部164を形成している。なお、この連結部164は、空気袋150Cが膨張状態から収縮状態に移行する際に、襠として機能する側壁部163が確実に内側に折り畳まれるように導くためのものである。
図9(A)ないし図9(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Cにあっては、空気袋150Cの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Cの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Cの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図10に示すように、この溶着部168は、空気袋150Cを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものであり、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Cにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着することによって形成されている。
このように構成することにより、図9(B)および図9(C)に示すように、空気袋150Cを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Cの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt3Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt3Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Cにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Cの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例4)
図11(A)は、本実施の形態に基づく実施例4に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図11(B)は、図11(A)において示すXIB−XIB線に沿った概略断面図であり、図11(C)は、図11(A)において示すXIC−XIC線に沿った概略断面図である。また、図12は、図11(C)において示す領域XIIの拡大図である。
図11(A)ないし図11(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Dは、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。より具体的には、空気袋150Dは、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート151,152を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第1の膨縮空間166aを有する第1の袋体を形成し、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート153,154を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第2の膨縮空間166bを有する第2の袋体を形成し、これら第1の袋体と第2の袋体とを積層して所定の部位を溶着することにより、第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとを有する2層の一体化された袋体として形成し、さらに平面視略矩形形状の僅かに幅の狭い樹脂シート155を上述の一体化された袋体と積層し、樹脂シート155の周縁を一体化された袋体の樹脂シート154の外表面の所定の位置に溶着することにより、上述の第1の膨縮空間166aおよび第2の膨縮空間166bに加えて第3の膨縮空間166cを有する3層の一体化された袋体として形成される。なお、上記5枚の樹脂シートのうち、第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとの間を隔てる2枚の樹脂シート152,153の所定位置には、予めそれぞれ対応して孔が穿たれており、これら孔は、空気袋150Dの形成後において第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとを連通する連通孔165aとなる。また、上記5枚の樹脂シートのうち、第2の膨縮空間166bと第3の膨縮空間166cとの間を隔てる1枚の樹脂シート154の所定位置には、予め孔が穿たれており、この孔は、空気袋150Dの形成後において第2の膨縮空間166bと第3の膨縮空間166cとを連通する連通孔165bとなる。
樹脂シート155は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、内側に位置する内側壁部162を形成している。また、樹脂シート151は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、上記内側壁部162よりも外側に位置する外側壁部161を形成している。さらに、樹脂シート152,153の幅方向における両側端部は、上述の内側壁部162と外側壁部161とを連結する側壁部163を形成する。これら空気袋150Dの側壁部163を形成する樹脂シート152,153の両側端部は、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aの側壁部と同様に、襠として機能する。
さらに、樹脂シート152,153は、空気袋150D内において、上記外側壁部161および上記内側壁部162の間に位置し、かつ空気袋150Dの両側端部に位置する一対の側壁部163同士を連結する連結部164aを形成している。また、樹脂シート154は、空気袋150D内において、上記外側壁部161および上記内側壁部162の間に位置し、かつ空気袋150Dの両側端部に位置する一対の側壁部163同士を連結する連結部164bを形成している。なお、この連結部164a,164bは、空気袋150Dが膨張状態から収縮状態に移行する際に、襠として機能する側壁部163が確実に内側に折り畳まれるように導くためのものである。
図11(A)ないし図11(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Dにあっては、空気袋150Dの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Dの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Dの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図12に示すように、この溶着部168は、空気袋150Dを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものであり、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Dにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着することによって形成されている。
このように構成することにより、図11(B)および図11(C)に示すように、空気袋150Dを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Dの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt4Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt4Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Dにあっても、上述の実施例1実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Dの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例5)
図13(A)は、本実施の形態に基づく実施例5に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図13(B)は、図13(A)において示すXIIIB−XIIIB線に沿った概略断面図であり、図13(C)は、図13(A)において示すXIIIC−XIIIC線に沿った概略断面図である。また、図14は、図13(C)において示す領域XIVの拡大図である。なお、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図13(A)ないし図13(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Eは、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Eにあっては、空気袋150Eの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Eの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Eの幅方向における両側端部に一対設けられており、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dの側端部に設けられた溶着部168に比べ、より空気袋150Eの内側にまで延在している。
図14に示すように、この溶着部168は、空気袋150Eを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものである。図14に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Eにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着するのみならず、襠を形成する側壁部163の壁面と、側壁部163が折り畳まれた状態において側壁部163の壁面が対面することとなる内側壁部162の壁面および外側壁部161の壁面とを溶着することにより、上記溶着部168が形成されている。なお、これら側壁部163の壁面同士の溶着、側壁部163の壁面と外側壁部161の壁面との溶着、および側壁部163の壁面と内側壁部162の壁面との溶着は、一度の溶着処理によって一体的に行なわれる。
このように構成することにより、図13(B)および図13(C)に示すように、空気袋150Eを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Eの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt5Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt5Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。なお、本実施例における血圧計用カフの空気袋150Eに設けられる溶着部168は、上述の実施例4における血圧計用カフの空気袋150Dに設けられる溶着部168よりも空気袋の幅方向においてより内側にまで達している。したがって、より確実に横ずれを防止することが可能である。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Eにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Eの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例6)
図15(A)は、本実施の形態に基づく実施例6に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図15(B)は、図15(A)において示すXVB−XVB線に沿った概略断面図であり、図15(C)は、図15(A)において示すXVC−XVC線に沿った概略断面図である。また、図16は、図15(C)において示す領域XVIの拡大図である。なお、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図15(A)ないし図15(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Fは、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Fにあっては、空気袋150Fの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Fの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Fの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図16に示すように、この溶着部168は、空気袋150Fを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものである。図16に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Fにおいては、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと異なり、襠を形成する側壁部163の壁面と、側壁部163が折り畳まれた状態において側壁部163の壁面が対面することとなる外側壁部161の壁面とを溶着することにより、上記溶着部168が形成されている。したがって、空気袋150F内において積層配置された第1ないし第3の膨縮空間166a,166b,166cのうち、最も外側に位置する第1の膨縮空間166aの膨張のみが溶着部168によって制限されることになる。
このように構成することにより、図15(B)および図15(C)に示すように、空気袋150Fを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Fの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt6Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt6Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Fにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様に、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Fの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。このように構成することにより、効果的に横ずれ現象の発生が防止できるとともに、溶着部168を設けることによる阻血性能の低下の影響を最小限に抑えることができる。
しかしながら、手首の掌側部分の皮下に位置する腱が全く押圧されないように構成した場合には、腱の側方に位置する動脈が空気袋によって押圧されることにより、腱の裏側の手首の中心部に廻り込んでしまうおそれがある。このように、動脈が腱の裏側に廻り込んだ状態となった場合には、空気袋が膨張することによって生じる圧迫力が動脈に対して十分に伝わらず、阻血性能が逆に低下してしまうおそれもある。したがって、手首の腱が位置する部分に対しても空気袋によってある程度圧迫することが必要である。
本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Fにあっては、上述のように、厚み方向に積層された第1ないし第3の膨縮空間166a,166b,166cのうち、最も外側に位置する第1の膨縮空間166aの膨張のみが溶着部168によって制限されるように構成されているため、他の膨縮空間166b,166cは十分に膨張する。したがって、膨張時において手首の腱が位置する部分についても空気袋150Fによってある程度圧迫することが可能であるため、上述のような阻血性能の低下が起こることが回避される。
(実施例7)
図17(A)は、本実施の形態に基づく実施例7に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図17(B)は、図17(A)において示すXVIIB−XVIIB線に沿った概略断面図であり、図17(C)は、図17(A)において示すXVIIC−XVIIC線に沿った概略断面図である。また、図18は、図17(C)において示す領域XVIIIの拡大図である。なお、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図17(A)ないし図17(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Gは、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Gにあっては、空気袋150Gの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Gの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Gの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図18に示すように、この溶着部168は、空気袋150Gを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものである。図18に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Gにおいては、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと異なり、襠を形成する側壁部163の壁面と、側壁部163が折り畳まれた状態において側壁部163の壁面が対面することとなる内側壁部162の壁面とを溶着することにより、上記溶着部168が形成されている。したがって、空気袋150G内において積層配置された第1ないし第3の膨縮空間166a,166b,166cのうち、真中に位置する第2の膨縮空間166bの膨張のみが溶着部168によって制限されることになる。
このように構成することにより、図17(B)および図17(C)に示すように、空気袋150Gを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Gの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt7Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt7Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Gにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様に、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Gの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。このように構成することにより、効果的に横ずれ現象の発生が防止できるとともに、溶着部168を設けることによる阻血性能の低下の影響を最小限に抑えることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Gにあっては、上述のように、厚み方向に積層された第1ないし第3の膨縮空間166a,166b,166cのうち、真中に位置する第2の膨縮空間166bの膨張のみが溶着部168によって制限されるように構成されているため、他の膨縮空間166a,166cは十分に膨張する。したがって、上述の実施例6に係る血圧計用カフの空気袋150Fと同様に、膨張時において手首の腱が位置する部分についても空気袋150Gによってある程度圧迫することが可能であるため、阻血性能の低下が起こることが回避される。
(実施例8)
図19(A)は、本実施の形態に基づく実施例8に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図19(B)は、図19(A)において示すXIXB−XIXB線に沿った概略断面図であり、図19(C)は、図19(A)において示すXIXC−XIXC線に沿った概略断面図である。また、図20は、図19(C)において示す領域XXの拡大図である。なお、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図19(A)ないし図19(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Hは、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Hにあっては、空気袋150Hの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Hの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Hを形成する5枚の樹脂シートのうち、樹脂シート151,152にて形成される第1の袋体と、樹脂シート153,154にて形成される第2の袋体とを接続する際の溶着対象である樹脂シート152,153に設けられ、より具体的には、空気袋150Hの長手方向に延在する、第1の袋体と第2の袋体との接続のための溶着部167の一部を、空気袋150Hの両側端部側に向かって広げることによって形成されるものである。
図20に示すように、この溶着部168は、空気袋150Hを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものであり、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Hにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士を溶着することによって形成されている。
このように構成することにより、図19(B)および図19(C)に示すように、空気袋150Hを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Hの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt8Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt8Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Hにあっては、側壁部によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部が、第1の袋体と第2の袋体とを気密に封止するための溶着処理時に同時に形成可能となるため、製造作業が簡略化される。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Hにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Hの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例9)
図21(A)は、本実施の形態に基づく実施例9に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図21(B)は、図21(A)において示すXXIB−XXIB線に沿った概略断面図であり、図21(C)は、図21(A)において示すXXIC−XXIC線に沿った概略断面図である。また、図22は、図21(C)において示す領域XXIIの拡大図である。
図21(A)ないし図21(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Iは、6枚の樹脂シート151,152,153,154,155,156を用いて袋状に形成されている。より具体的には、空気袋150Iは、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート151,152を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第1の膨縮空間166aを有する第1の袋体を形成し、平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート153,154を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第2の膨縮空間166bを有する第2の袋体を形成し、さらに平面視略矩形形状の2枚の樹脂シート155,156を積層し、その周縁を溶着することによって内部に第3の膨縮空間166cを有する第3の袋体を形成し、これら第1の袋体、第2の袋体および第3の袋体を積層して所定の部位を溶着することにより、第1の膨縮空間166a、第2の膨縮空間166bおよび第3の膨縮空間166cを有する3層の一体化された袋体として形成される。なお、上記6枚の樹脂シートのうち、第1の袋体と第2の袋体の接続部に位置する2枚の樹脂シート152,153の所定位置には、予めそれぞれ対応して孔が穿たれており、これら孔は、空気袋150Iの形成後において第1の膨縮空間166aと第2の膨縮空間166bとを連通する連通孔165aとなる。また、上記6枚の樹脂シートのうち、第2の袋体と第3の袋体の接続部に位置する2枚の樹脂シート154,155の所定位置には、予めそれぞれ対応して孔が穿たれており、これら孔は、空気袋150Iの形成後において第2の膨縮空間166bと第3の膨縮空間166cとを連通する連通孔165bとなる。
樹脂シート156は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、内側に位置する内側壁部162を形成している。また、樹脂シート151は、血圧計用カフ130を手首に装着した状態において、上記内側壁部162よりも外側に位置する外側壁部161を形成している。さらに、樹脂シート152,153,154,155の幅方向における両側端部は、上述の内側壁部162と外側壁部161とを連結する側壁部163を形成する。これら空気袋150Iの側壁部163を形成する樹脂シート152,153,154,155の幅方向における両側端部は、上述の実施の形態1に係る血圧計用カフの空気袋150Aの側壁部と同様に、襠として機能する。
また、樹脂シート152,153は、空気袋150I内において、上記外側壁部161および上記内側壁部162の間に位置し、かつ空気袋150Iの両側端部に位置する一対の側壁部163同士を連結する連結部164aを形成している。また、樹脂シート154,155は、空気袋150I内において、上記外側壁部161および上記内側壁部162の間に位置し、かつ空気袋150Iの両側端部に位置する一対の側壁部163同士を連結する連結部164bを形成している。なお、これら連結部164a,164bは、空気袋150Iが膨張状態から収縮状態に移行する際に、襠として機能する側壁部163が確実に内側に折り畳まれるように導くためのものである。
図21(A)ないし図21(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Iにあっては、空気袋150Iの生体への巻き付け方向(すなわち、空気袋150Iの長手方向)における一部の領域に、側壁部163によって形成された襠の広がりを減じるための接合部としての溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Iの幅方向における両側端部に一対設けられている。
図22に示すように、この溶着部168は、空気袋150Iを気密に封止するための溶着部167とは区別されるものである。図22に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Iにおいては、襠を形成する側壁部163が折り畳まれた状態において対面することとなる側壁部163の壁面同士のうち、樹脂シート152および樹脂シート153によって形成される側壁部163部分を溶着することによって溶着部168が形成されている。
このように構成することにより、図21(B)および図21(C)に示すように、空気袋150Iを単体で膨張させた状態においては、空気袋150Iの長手方向における厚みが一定とならず、溶着部168が形成された領域において他の領域よりも膨張時の厚みが小さくなる。すなわち、溶着部168が形成された領域における膨張時の厚みt9Cが、溶着部168が形成されていない領域における膨張時の厚みt9Bよりも小さくなる。
このため、上述の実施例1と同様に、空気袋の横ずれを防止しつつ、空気袋の幅方向において均等に被測定部位を圧迫し、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することが可能なカフとすることができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Iにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様に、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるための溶着部168が、空気袋150Iの生体への巻き付け方向の略中央部に設けられることが好ましい。このように構成することにより、効果的に横ずれ現象の発生が防止できるとともに、溶着部168を設けることによる阻血性能の低下の影響を最小限に抑えることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Iにあっては、上述のように、厚み方向に積層された第1ないし第3の膨縮空間166a,166b,166cのうち、外側に位置する第1および第2の膨縮空間166a,166bの膨張のみが溶着部168によって制限されるように構成されているため、他の膨縮空間166cは十分に膨張する。したがって、膨張時において手首の腱が位置する部分についても空気袋150Iによってある程度圧迫することが可能であるため、阻血性能の低下が起こることが回避される。
なお、本実施例においては、空気袋150Iの幅方向における両側端部に位置する側壁部163の一部を溶着することにより、側壁部163によって形成される襠の広がりを減じるように空気袋を構成した場合を例示して説明を行なったが、本実施例の如く複数の樹脂シートを積層して多層の膨縮空間を有する多層空気袋層をもつ空気袋とする場合には、膨縮空間を気密に封止するための接合部と区別される接合部を、上記膨縮空間を気密に封止するための接合部の内側に設けることによって横ずれの防止を図ることも可能である。すなわち、空気袋内に形成された連結部の一部を、空気袋の他の部位に接合することにより、接合された樹脂シート同士の位置ずれを防止することによって横ずれの防止を図ることが可能である。その場合、膨縮空間を気密に封止するための接合部と区別される位置ずれ防止のための接合部は、上記膨縮空間を気密に封止するための接合部に空気袋の幅方向内側から接続されていてもよいし、上記膨縮空間を気密に封止するための接合部に接続されることなく別途独立して空気袋中に設けられていてもよい。また、この位置ずれ防止のための接合部は、必ずしも連結部を構成する樹脂シートと外側壁部または内側壁部を形成する樹脂シートとを接合することによって形成されている必要もなく、接合部を形成する樹脂シート同士を接合した接合部であってもよい。
(実施例10)
図23(A)は、本実施の形態に基づく実施例10に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図23(B)は、図23(A)において示すXXIIIB−XXIIIB線に沿った概略断面図であり、図23(C)は、図23(A)において示すXXIIIC−XXIIIC線に沿った概略断面図である。また、図24は、図23(C)において示す領域XXIVの拡大図である。なお、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図23(A)ないし図23(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Jは、上述の実施例4に係る血圧計用カフの空気袋150Dと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Jにあっては、空気袋150Jの長手方向における一部の領域に、外側壁部161の壁面と連結部164aの壁面とが溶着されることによって形成された溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Jの幅方向における略中央部に設けられている。
この溶着部168は、空気袋150Jを気密に封止するための溶着部とは区別されるものである。図24に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Jにおいては、第1の袋体を形成する2枚の樹脂シート151,152が溶着されることにより、上記溶着部168が形成されている。
このように構成することにより、空気袋150Jが膨張した状態において、空気袋150Jの幅方向における外側壁部161と連結部164aとの位置ずれが生じ難くなるため、空気袋150Jの横ずれを防止しすることができる。また、空気袋150Jの幅方向において均等に被測定部位を圧迫することができるため、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Jにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、横ずれを防止するための溶着部168が、空気袋150Jの長手方向の略中央部に設けられることが好ましい。
(実施例11)
図25(A)は、本実施の形態に基づく実施例11に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図である。図25(B)は、図25(A)において示すXXVB−XXVB線に沿った概略断面図であり、図25(C)は、図25(A)において示すXXVC−XXVC線に沿った概略断面図である。また、図26は、図25(C)において示す領域XXVIの拡大図である。なお、上述の実施例10に係る血圧計用カフの空気袋150Jと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図25(A)ないし図25(C)に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Kは、上述の実施例10に係る血圧計用カフの空気袋150Kと同様に、5枚の樹脂シート151,152,153,154,155を用いて袋状に形成されている。また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Kにあっては、空気袋150Kの長手方向における一部の領域に、連結部164aの壁面と連結部164bの壁面とが溶着されることによって形成された溶着部168が設けられている。この溶着部168は、空気袋150Kの幅方向における略中央部に設けられている。
この溶着部168は、空気袋150Kを気密に封止するための溶着部とは区別されるものである。図26に示すように、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Kにおいては、第2の袋体を形成する2枚の樹脂シート153,154が溶着されることにより、上記溶着部168が形成されている。
このように構成することにより、空気袋150Kが膨張した状態において、空気袋150Kの幅方向における連結部164aと連結部164bとの位置ずれが生じ難くなるため、空気袋150Kの横ずれを防止しすることができる。また、空気袋150Kの幅方向において均等に被測定部位を圧迫することができるため、被測定部位の皮下に位置する動脈を確実に圧迫阻血することができる。そのため、カフを狭小化した場合にも高い阻血性能を得ることができる。
また、本実施例に係る血圧計用カフの空気袋150Kにあっても、上述の実施例1に係る血圧計用カフの空気袋150Aと同様の理由により、横ずれを防止するための溶着部168が、空気袋150Kの長手方向の略中央部に設けられることが好ましい。
上述の実施の形態においては、樹脂シート同士の接合をすべて溶着で行なった場合を例示して説明を行なったが、必ずしも溶着にて接合される必要はなく、接着剤を用いた接着等の接合方法を利用することも当然に可能である。
また、上述の実施の形態においては、両面テープを用いて空気袋にカーラを接着した場合を例示して説明を行なったが、必ずしも接着等することによってこれらを固着する必要はなく、他の手段を用いてこれらを固着してもよいし、あるいは全く固着しない構成としてもよい。
また、上述の実施の形態においては、複数の樹脂シートを積層して溶着することにより空気袋を形成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしも複数枚の樹脂シートが用いられる必要はなく、一枚の筒状のシートを用いて空気袋を形成することも可能であり、この場合にも本発明の適用は可能である。
なお、上述の実施の形態においては、被測定部位として手首を想定した手首式の血圧計に用いられる血圧計用カフに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、上腕式のものや指式のもの等どのような形式の血圧計用カフについても本発明の適用が可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の実施の形態における血圧計の外観を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における血圧計用カフの内部構造を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態における血圧計の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態における血圧計の血圧測定処理の流れを示すフローチャートである。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例1に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すVB−VB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すVC−VC線に沿った概略断面図である。 図5(C)において示す領域VIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例2に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すVIIB−VIIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すVIIC−VIIC線に沿った概略断面図である。 図7(C)において示す領域VIIIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例3に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すIXB−IXB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すIXC−IXC線に沿った概略断面図である。 図9(C)において示す領域Xの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例4に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXIB−XIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXIC−XIC線に沿った概略断面図である。 図11(C)において示す領域XIIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例5に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXIIIB−XIIIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXIIIC−XIIIC線に沿った概略断面図である。 図13(C)において示す領域XIVの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例6に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXVB−XVB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXVC−XVC線に沿った概略断面図である。 図15(C)において示す領域XVIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例7に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXVIIB−XVIIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXVIIC−XVIIC線に沿った概略断面図である。 図17(C)において示す領域XVIIIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例8に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXIXB−XIXB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXIXC−XIXC線に沿った概略断面図である。 図19(C)において示す領域XXの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例9に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXXIB−XXIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXXIC−XXIC線に沿った概略断面図である。 図21(C)において示す領域XXIIの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例10に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXXIIIB−XXIIIB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXXIIIC−XXIIIC線に沿った概略断面図である。 図23(B)において示す領域XXIVの拡大図である。 (A)は、本発明の実施の形態に基づく実施例11に係る血圧計用カフに内包される空気袋の一部を破断させて示した概略斜視図であり、(B)は、(A)において示すXXVB−XXVB線に沿った概略断面図、(C)は、(A)において示すXXVC−XXVC線に沿った概略断面図である。 図25(B)において示す領域XXVIの拡大図である。 一般的な手首式血圧計を被測定部位である手首に装着した状態を示す模式図である。 図27中に示す血圧計用カフのXXVIII−XXVIII線に沿った模式断面図である。 図27に示す測定状態において手首式血圧計のカフに横ずれ現象が発生した場合を示す模式図である。 図29中に示す血圧計用カフおよび手首のXXX−XXX線に沿った模式断面図である。
符号の説明
100 血圧計、110 装置本体、111 表示部、112 操作部、113 CPU、114 メモリ部、115 電源部、120 配管、121 血圧測定用エア系、122 圧力センサ、123 ポンプ、124 弁、125 発振回路、126 ポンプ駆動回路、127 弁駆動回路、130 カフ、140 カバー体、141 内側カバー、142 外側カバー、150,150A〜150K 空気袋、151〜156 樹脂シート、161 外側壁部、162 内側壁部、163 側壁部、164,164a,164b 連結部、165,165a,165b 連通孔、166,166a〜166c 膨縮空間、167 (空気袋を封止するための)溶着部、168 (横ずれ防止のための)溶着部、170 カーラ、175,176 面ファスナ、190 はみ出し部分、300 手首、301 掌、302 腕。

Claims (8)

  1. 流体が出入りすることによって膨縮する流体袋を備えた血圧計用カフであって、
    前記流体袋は、当該血圧計用カフが生体に巻き付けられた状態において内側に位置する内側壁部と、前記内側壁部よりも外側に位置する外側壁部と、前記内側壁部の側端部と前記外側壁部の側端部とを連結し、前記流体袋を加圧していない収縮状態において前記流体袋の幅方向内側に向かって折り畳まれることにより、前記流体袋の側端部において襠を形成する側壁部とを含み、
    前記流体袋の側端部の生体への巻き付け方向における一部の領域にのみ、前記側壁部によって形成される襠の広がりを減じる接合部が設けられている、血圧計用カフ。
  2. 前記接合部が、前記側壁部が折り畳まれた状態において対面することとなる前記側壁部の壁面同士を接合することによって形成されている、請求項1に記載の血圧計用カフ。
  3. 前記接合部が、前記側壁部の壁面と、前記側壁部が折り畳まれた状態において前記側壁部の壁面が対面することとなる前記外側壁部の壁面とを接合することによって形成されている、請求項1または2に記載の血圧計用カフ。
  4. 前記接合部が、前記側壁部の壁面と、前記側壁部が折り畳まれた状態において前記側壁部の壁面が対面することとなる前記内側壁部の壁面とを接合することによって形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の血圧計用カフ。
  5. 前記流体袋が、前記流体袋内において前記内側壁部および前記外側壁部の間に位置し、かつ前記流体袋の両側端部に位置する一対の前記側壁部同士を連結する連結部をさらに有している、請求項1から4のいずれかに記載の血圧計用カフ。
  6. 前記接合部が、前記流体袋の生体への巻き付け方向の略中央部に位置している、請求項1から5のいずれかに記載の血圧計用カフ。
  7. 前記接合部における接合が、溶着によって行なわれている、請求項1から6のいずれかに記載の血圧計用カフ。
  8. 請求項1ないしのいずれかに記載の血圧計用カフと、
    前記流体袋を膨縮させる膨縮手段と、
    前記流体袋内の圧力を検知する圧力検知手段と、
    前記圧力検知手段によって検知された圧力情報に基づいて血圧値を算出する血圧値算出手段とを備えた、血圧計。
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