JP2740261B2 - 手首用血圧計のカフ帯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は手首に装着される手首用血圧計のカフ帯に関
する。

【従来の技術】

血圧計は一般に上腕にカフ帯を装着して血圧の測定を
行なうのであるが、血圧の測定をオシロメトリック法で
行なう血圧計が実用に供されるに従い、手首で血圧測定
を行えるようにしたものが登場している。

【発明が解決しようとする課題】 ところで、手首の内部には第10図に示すように、橈骨
動脈41、尺骨動脈42、橈骨43、尺骨44があるほか、上記
両動脈41,42がある手首内側の表面近くに、手根屈筋腱
や長掌筋腱、指屈筋腱、浅指屈筋腱、深指屈筋腱といっ
た腱45が通っている。これら腱45はかなり硬いものであ
るために、カフ帯を膨張させて手首内の両動脈41,42を
阻血するにあたり、圧力伝搬を阻害してしまう。 本発明はこのような点に鑑み為されたものであって、
その目的とするところは腱に邪魔されることなく動脈を
確実に圧迫阻血して正確な血圧測定を行うことができる
手首用血圧計のカフ帯を提供するにある。

【課題を解決するための手段】

しかして本発明は、手首部の動脈を圧迫阻血して血圧
測定を行う血圧計のカフ帯において、周方向の一部で且
つ軸方向の一端側に、膨張が制限された膨張制限部を備
えていることに特徴を有している。 〈作用〉 本発明によれば、膨張制限部が腱のところに合致する
ように手首に装着すれば、カフ帯は腱に邪魔されことな
く膨張して動脈の圧迫阻血を行うことできる。 〈実施例〉 以下本発明を図示の実施例に基づいて説明すると、こ
の手首用血圧計のカフ帯１は、第３図及び第４図に示す
ように、外布10とこれの内周面側に位置する内布11との
周縁を接合することによって、空気の供給で膨張する環
状の袋とされたもので、その周方向の中央部で且つ軸方
向の一端側の半分ほどが、外布10と内布11との接合によ
って、膨張が制限された膨張制限部２とされている。 そして、このカフ帯１は、第１図及び第２図に示すよ
うに、その膨張制限部２が手首の内側で且つ掌側にくる
ように手首に装着されて、手首の内側に位置する腱45の
上に膨張制限部２が配設され、この状態で内部に空気が
供給されて膨張するものである。 この膨張にあたり、腱45の上に位置するのは膨張が制
限されている膨張制限部２であるために、カフ帯１が手
首に与える圧迫力は、腱45の押圧に消費されることな
く、確実に動脈41,42に伝達されて阻血を行う。 また、上記腱45は、肘側においては骨格筋46となって
いるわけであるが、さほど堅くはない骨格筋46の部分の
上に位置するのは、膨張を行うところであって圧迫を行
うために、手首に加えられた力が逃げたりすることな
く、この点においても動脈41,42の圧迫阻血を確実とす
ることができると同時に、カフ帯１がずれ動いたりする
ことが防止される。 膨張制限部２は、上述のように、周方向中央部に形成
することが好ましい。腱45の上に位置させることが容易
となるからである。また、膨張制限部２の幅Ｄは、２〜
10mmであることが好ましい。この値より狭いと、膨張制
限部２付近のカフ帯１の歪みが大きくなるとともに腱45
の影響を受けることになり、上記値より大きいと、両動
脈41,42の圧迫阻血が難しくなる。 膨張制限部２は、上記実施例では外布10と内布11とを
接合することによって形成したが、第５図に示すよう
に、外布10の外面に配されてカフ帯１の膨張が内周側へ
となされるようにする押え板12からカフ帯１の内面側へ
折り返される折り返し部13を突設して、押え板12と折り
返し部13との間で外布10と内布11とを挟持することによ
って、膨張を制限した膨張制限部２を形成してもよい。 また、第６図に示すように、内布10の一部に肉厚であ
ることから膨張しにくくなっている部分を設けて、ここ
を膨張制限部２とすることもできる。 第７図〜第９図に示すように、コ字形のクリップ３を
カフ帯１に取り付けてカフ帯１を挟み込むことによって
膨張制限部２を形成してもよく、この時、クリップ３と
して、その長さｌや幅ｗの異なるものを用意しておけ
ば、膨張制限部２の長さや幅を被測定者の手首の大きさ
のような個人差に応じたものとすることができる。

【発明の効果】

以上のように本発明においては、周方向の一部で且つ
軸方向の一端側に、膨張が制限された膨張制限部を設け
ていることから、この膨張制限部が腱のところに合致す
るように手首に装着することによって、腱に邪魔される
ことなく膨張して圧迫力を確実に手首内組織に伝達し、
動脈の確実な圧迫阻血を行うことができるものであり、
また膨張制限部は腱の部分にのみ対応しており、他の部
分は膨張して手首を圧迫することから、この点において
も確実な圧迫阻血を行うことができるとともに、手首か
ら不用意にずれたりすることがないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明一実施例の手首装着時の縦断面図、第２
図（ａ）（ｂ）は第１図中のＸ−Ｘ線断面図とＹ−Ｙ線
断面図、第３図（ａ）（ｂ）は同上の斜視図、第４図
（ａ）（ｂ）は第３図（ｂ）中のＡ−Ａ線断面図とＢ−
Ｂ線断面図、第５図は他の実施例の縦断面図、第６図
（ａ）（ｂ）は更に他の実施例の縦断面図、第７図は別
の実施例の分解斜視図、第８図及び第９図は同上の斜視
図と縦断面図、第10図は手首内組織を示す斜視図であっ
て、１はカフ帯、２は膨張制限部、10は外布、11は内布
を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】手首部の動脈を圧迫阻血して血圧測定を行
   う血圧計のカフ帯であって、周方向の一部で且つ軸方向
   の一端側に、膨張が制限された膨張制限部を備えている
   ことを特徴とする手首用血圧計のカフ帯。