JP4594837B2 - 多孔積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は多孔積層体の製造方法に関し、包装用品、衛生用品、畜産用品、農業用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シートまたは電池用セパレーターとして好適に利用されるものである。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔体は、超純水の製造、薬液の生成、水処理などに使用する分離膜、衣類・衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、あるいは電池などに使用する電池セパレーターなど各種の分野で利用されている。
この種の高分子に微細な連通孔を多数作る技術としては下記に記載するような、種々の技術が提案されている。
例えば、特開平5−25305号公報(特許文献1)では超高分子量ポリエチレンと溶媒を混練・シート化し、延伸処理したのち溶媒を抽出することにより多孔膜が得られることが提案されている。
当該方法では、段落番号0045等で記載されているように、溶媒の抽出が洗浄用の有機溶媒で洗浄することにより行われるため、有機溶媒が大量に必要となり、環境上で好ましくない。
特許3166279号(特許文献2)では、ポリオレフィン樹脂と充填剤等を含む樹脂組成物をインフレーション成形し、得られたフィルム又はシートをその引き取り方向に一軸延伸することにより連通性をもつ多孔性フィルム又はシートが得られることが提案されている。
同じく、特開2004−95550号公報(特許文献3)でもリチウム二次電池用セパレーターとして用いる多孔性フィルムを、熱可塑性樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物から成形したシートを少なくとも一軸方向に延伸することにより得ている。
これらの方法により得られる多孔性フィルム又はシートでは、表面に充填剤があることにより適度な凹凸が存在し、フィルムの滑り性が高くなるものの、全層に充填剤が存在していることにより、単位面積あたりの質量(坪量)が大きくなるため、改善の余地がある。
表面の粗面性をある程度保ちながら量を小さくするものとして、特開平11−060792号公報(特許文献4)では、表面のみに充填剤等の微粒子粗面化剤を含有させたポリエチレン樹脂製多孔性フィルムが提案されている(請求項11,12、0018欄)。
しかし、当該多孔性フィルムの製造において、多孔化は可塑剤の除去により行われており(請求項10〜12等)、特許文献1に記載の発明と同様、可塑剤の除去のために有機溶媒が大量に必要であるので環境への負荷がより少なくなるように改善する余地がある。
さらに、特開平10−50286号公報(特許文献5)では、高融点ポリオレフィンのフィルムと低融点ポリオレフィンのフィルムとを、それぞれ熱処理して複屈折および弾性回復率を調整した後、熱圧着して三層以上の積層フィルムを得、該積層フィルムを2段で延伸して多孔化した後熱固定することにより、電池用セパレーターとして用いる多孔性フィルムを製造することが提案されている。
一般的に単一ポリマーによる開孔延伸法と呼ばれている当該方法においては、延伸温度や延伸倍率、多段延伸等の延伸条件で好ましい多孔構造を得ることができる条件が非常に狭く(0025欄〜0028欄等)、工業的規模で生産する際の工程管理を考えると好ましくない。
また、亜臨界または超臨界流体を使用する発泡技術も知られている。具体的には、ポリマーに亜臨界または超臨界流体を含浸させ飽和状態にし、その後、急激な圧力の低下等で過飽和状態を作り出し、過飽和の気体が発泡するのを利用するものである。
当該方法は細かくて均質な発泡が得られ、また二酸化炭素や窒素等の不活性ガスの亜臨界または超臨界流体を用いれば環境への負荷が極めて少ないという利点がある。
しかしながら、ポリマーの表面付近では急激な圧力の低下等が起きたときに過飽和状態とならず、直ちに拡散・蒸発により表面から気体が放出されるため、発泡を生じない領域、所謂、スキン層が必ず存在する。このために、厚さ方向に連通性を有する微小孔をもつ多孔積層体を作ることは出来なかった。
特開平5−25305号公報 特許3166279号 特開204−95550号公報 特開平11−060792号公報 特開平10−50286号公報
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、亜臨界または超臨界流体を利用する際の課題であった表面のスキン層をなくして厚さ方向に連通性を持たせることができ、かつ、亜臨界または超臨界流体を利用することにより、環境に対する負荷が少なく、製造条件の幅が広くて工程管理が行いやすい多孔積層体の製造方法を提供することを課題としている
本発明は、上記課題を解決するために、
厚さ方向に連通性を有する微小孔が多数存在する多孔積層体の製造方法であって、
ハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性樹脂からなる中間層と、両側最外面に位置する樹脂組成物からなる無孔の両側外層との少なくとも3層からなる積層体を作製する工程と、
得られた積層体に超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させた後に、該超臨界状態または亜臨界状態から解放して前記流体を気化させることにより前記中間層に前記微小孔を形成して多孔化する工程と、
前記中間層を多孔化した後に前記両側外層に微小孔を形成して多孔化して該微小孔を前記中間層の微小孔と連通させる工程と、
を備えることを特徴とする多孔積層体の製造方法を提供している。
好ましくは、前記中間層はフィラーを含まないポリプロレン組成物からなる一方、前記両側外層は少なくともフィラーと熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなり、該両側外層は前記超臨界状態または亜臨界状態で含浸させた流体が該状態から解放した時に気化による孔は形成されないものとし、前記両側外層の多孔化は積層体を延伸させて前記フィラーと樹脂層との界面を剥離させて微小孔を形成している。
本発明は発明者らが鋭意研究および実験を繰り返して知見した結果に基づいてなされたものである。
即ち、本発明者らは、まず、亜臨界または超臨界流体を利用して多孔化する研究・実験を行い、種々の検討を加えたが、前記した問題の表面にスキン層が生じることは回避できなかった。
そこで、本発明者らは、亜臨界または超臨界流体を利用して多孔化する層の表面に無孔層を設けて、所謂、蓋をすることにより、中間層と外側表面の無孔層とに連通する微小孔を有する多孔積層体を得ることができることを知見した。
即ち、積層体に亜臨界または超臨界流体を含浸させ、次いで、急激な圧力の低下等を発生させた時に、中間層を外側の無孔層で蓋をしているため、中間層の表面から気体が蒸散することなく、中間層の表面において過飽和状態を作り出すことができ、その結果、中間層に微小孔を作製することに成功した。その後、蓋となる無孔層を公知技術で微小孔を設けて多孔化すると、中間層の微小孔と厚さ方向に連通性を有する微小穴を有する多孔積層体を得ることができた。
本発明の製造方法では、前記したように、まず、第1工程において、ハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性樹脂からなる中間層と、両側外面に位置する樹脂組成物からなる無孔の両側外層との少なくとも3層からなる積層体を作製している。
中間層を構成する熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントとソフトセグメントを有すれば公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
ハードセグメントは層の強度を保つ役割をし、ソフトセグメントは亜臨界または超臨界流体を含浸させる役割を有する。ぞれぞれのセグメントが前記役割を確実に果たすためには、ハードセグメントの比率が5〜95質量%であり、ソフトセグメントの比率が95〜5質量%であることが好ましい。ハードセグメントの比率が5質量%未満であると、中間層が柔らかすぎて強度が保てず、また亜臨界または超臨界流体が中間層にとどまることができず脱気してしまい、中間層が多孔化できないおそれがある。一方、ソフトセグメントの比率が5質量%未満であると、亜臨界または超臨界流体の含浸量が少なくなり、十分な連通性を得ることが困難となる。
中間層を構成する熱可塑性樹脂には、フィラーを含まないことが好ましい。これは、本発明が、単位面積あたりの質量が小さい多孔積層体を提供することを目的としているからである。
前記中間層を構成する熱可塑性樹脂のソフトセグメントとしては、例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン、アモルファスポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、エチレン−プロピレンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、フッ素ゴムまたはシリコーンゴム等が挙げられる。ハードセグメントとしては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレートまたはフッ素樹脂等が挙げられる。
より具体的に、中間層を構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系熱可塑性樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂またはポリアミド系熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記オレフィン系熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントとしてポリエチレンまたはポリプロピレンを用い、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴム、水素添加ポリブタジエンまたは水素添加ポリイソプレンを用いたオレフィン系熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記スチレン系熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントとして、スチレンもしくはメチルスチレンなどのスチレン誘導体、インデンまたはビニルナフタレン等を構成単位として有する重合体、好ましくはポリスチレンを用い、ソフトセグメントとしてポリブタジエンもしくはポリイソプレンなどの共役ジエン系ポリマー、またはエチレン/ブチレン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体もしくはポリイソブテンなどのポリオレフィン系エラストマーを用いたスチレン系熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントとして芳香族ポリエステル、脂環族ポリエステルあるいはそれらの誘導体あるいはそれらの混合物などを用い、ソフトセグメントとしては、ポリテトラメチレングリコールやポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコールなどのポリアルキレングリコールなどを用いたポリエステル系熱可塑性樹脂が挙げられる。
前記ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントとして、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミドまたはこれらの共重合体を用い、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレングリコールやポリ(エチレン/プロピレン)ブロックポリグリコールなどのポリアルキレングリコールなどを用いたポリアミド系熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明において中間層を構成する熱可塑性樹脂としてはオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
オレフィン系熱可塑性樹脂を構成するハードセグメントとしては、
・エチレンの単独重合体樹脂、エチレンを主成分とし炭素数3以上のα−オレフィンを副成分とする共重合体樹脂;
・プロピレンの単独重合体樹脂、プロピレンを主成分としこれとエチレンもしくは炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体樹脂;
・1−ブテンの単独重合体樹脂、1−ブテンを主成分としこれとエチレン、プロピレンもしくは炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体樹脂;
・4−メチル−1−ペンテンの単独重合体樹脂、4−メチル−1−ペンテンを主成分とし、これとエチレン、プロピレン、1−ブテンもしくは炭素数6以上のα−オレフィンとの共重合体樹脂;
・上記樹脂の変性物
が挙げられる。これら2種類以上が混合されていても良い。
オレフィン系熱可塑性樹脂を構成するソフトセグメントとしては、例えばジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるものである。
オレフィンエラストマーは、2種類または3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレンもしくはプロピレン等のα−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
本発明の中間層を構成する樹脂としては、オレフィン系熱可塑性樹脂のなかでも、ハードセグメントとしてプロピレン系樹脂を有するオレフィン系熱可塑性樹脂がより好ましい。特に、ハードセグメントとしてプロピレン系樹脂を有し、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレンゴムを5〜95質量%の割合で有するオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ハードセグメントとしてのプロピレン系樹脂にはホモポリマーとコポリマーがあり、更にコポリマーにはランダムコポリマーとブロックコポリマーがある。ホモポリマーはプロピレン単独重合体であり、アイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレンである。一方、コポリマーとしては、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンもしくは1−デセン等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
プロピレン系樹脂には、プロピレン系単独重合体よりも融点が低い樹脂を混合することもできる。そのような融点が低い樹脂として、高密度あるいは低密度ポリエチレン等を例示することができその配合量は2〜50質量%であることが好ましい。
ソフトセグメントとしてのエチレン−プロピレンゴムには、エチレンとプロピレンの二元共重合体と、さらに第3成分としての非共役ジエンモノマーを少量含む三元重合体とがあるが、本発明においてはいずれを用いてもよい。前記非共役ジエンモノマーとしては、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンまたはヘキサジエンなどが挙げられる。
エチレン−プロピレンゴムとしては、ゴム全体に対するエチレン含有率が7〜80質量%であるエチレン−プロピレンゴムが好ましく、10〜60質量%であるエチレン−プロピレンゴムがより好ましい。
エチレン−プロピレンゴムの含有量またはエチレン−プロピレンゴム中のエチレン含有率を調整することにより中間層を構成する樹脂組成物全体に対するエチレン含有率を5〜95質量%とすることが好ましい。
上記中間層の樹脂の製造方法による種類分けとしては、ハードセグメントを構成するプロピレン系樹脂にソフトセグメントを構成するエチレン−プロピレンゴム等の軟質成分を二軸押出機のような混練機を用いてブレンドするコンパウンド型ポリマーと、エチレン等とプロピレンを直接重合させる重合型ポリマーが存在する。
ソフトセグメントを構成するエチレン−プロピレンゴム等の軟質成分の分散性の観点から、重合型ポリマーを用いる方が好ましい。
更にソフトセグメントの含有率を上げる方法として、市販のプロピレンコポリマーにエチレンプロピレンゴム等の軟質成分をブレンドする方法もある。この場合は、二軸押出機等の混練機を使うと簡単にソフトセグメントの含有率を上げることができる。
同様にプロピレンホモポリマーにエチレンプロピレンゴムやポリエチレン等を二軸押出機等の混練機を使ってブレンドすることにより、好ましいソフトセグメントの含有率をもつオレフィン系熱可塑性樹脂を得ることができる。
さらに、本発明の目的や中間層の特性を損なわない程度の範囲であれば、中間層を構成する熱可塑性樹脂に一般に樹脂組成物に配合される添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤または着色剤等を配合してもよい。
上述した中間層を挟んで両側の最外面に位置させる両側外層は、孔のない無孔の樹脂組成物からなる層としている。該両側外層は前記中間層を構成する熱可塑性樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂から構成されていることがより好ましい。
これは、両側外層を構成する熱可塑性樹脂と中間層を構成する熱可塑性樹脂とが相溶性を示さないと、亜臨界または超臨界流体を含浸させ、その後、急激な圧力の低下等を発生させても、両側外層と中間層の界面では過飽和状態になりにくく、界面から気体が拡散・蒸発により放出されるため、外層と中間層に連通する孔を形成できなくなる可能性があるからである。
前記両側外層を構成する熱可塑性樹脂としては具体的にはポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。電池用セパレーターとして使用する場合は、電解液との安定性の観点から特にポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンもしくは1−デセン等のモノオレフイン重合体、またはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンもしくは1−デセンと4−メチル−1−ペンテンもしくは酢酸ビニル等の他のモノマーとの共重合体等を主成分とするものが挙げられる。なかでも、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリブテン、プロピレンエチレンブロック共重合体、プロピレンエチレンランダム共重合体等が好ましい。
前記熱可塑性樹脂のうち、ポリエチレンを主とし、具体的には、ポリエチレンを該熱可塑性樹脂100質量部中に少なくとも50質量部、好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは95質量部以上含むことが好ましい。
ポリエチレンはポリエチレンホモポリマーまたはポリエチレンコポリマーのいずれであっても良いが、ポリエチレンホモポリマーであることが好ましい。前記ポリエチレンコポリマーとしてはα−オレフィンコモノマー含量が2モル%以下のポリエチレンコポリマーが好ましい。なお、前記α−オレフィンコモノマーの種類には特に制限はない。
ポリエチレンは、密度が0.92g/cm以上であることが好ましい。密度を0.92g/cm以上としているのは、層の厚さを5〜40μm程度の薄肉としても容易に裂けない所要の強度および剛性を付与するためである。ポリエチレンの密度はより好ましくは0.94g/cm以上であり、上限は特に限定されないが、0.97g/cm程度のものが好適である。
また、前記ポリエチレンはメルトフローレートが10g/10分以下、好ましくは1g/10分以下である。メルトフローレートが10g/10分より大きいと多孔積層体の強度が低下する場合がある。
ポリエチレンの重合方法として、一段重合、二段重合もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法のポリエチレンも使用可能である。また、ポリエチレンの重合触媒には特に制限はなく、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、カミンスキー型触媒等いずれのものでも良い。
前記両側外層は、上述したポリエチレンを単独で用いても良いが、一般的な熱可塑性樹脂をポリエチレンに混合しても良い。
ポリエチレンに混合できる熱可塑性樹脂として、具体的にはポリエチレン以外のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂またはポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくはポリプロピレン、ポリブテン、プロピレンエチレンブロック共重合体、プロピレンエチレンランダム共重合体等が挙げられる。ポリエチレンに混合できる熱可塑性樹脂は融点が140℃以上であることが好ましい。
このように、ポリエチレンに他の熱可塑性樹脂を混合する場合は、当該他の熱可塑性樹脂の配合量はポリエチレン100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部としている。
前記両側外層を構成する組成物には、本発明の目的および最外層の特性を損なわない程度の範囲で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を配合してもよい。添加剤としては、中間層に配合することのできる添加剤と同じ添加剤が例示できる。これら添加剤の配合量は、最外層を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜30質量部程度であることが好ましい。
また、前記両側外層を構成する組成物には、下記に詳述する第3工程で多孔化のために延伸法を採用する場合には、必要な成分であるフィラーを配合している。
第3工程では、延伸法により両側外層を多孔化することが好ましく、その場合には、樹脂にフィラーを配合しておき、樹脂とフィラーとの界面を剥離させて多孔化している。
前記フィラーとしては、無機フィラーおよび有機フィラーの何れのフィラーも使用でき、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカなどの酸化物;タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、硫酸バリウムが好ましい。
無機フィラーは樹脂中の分散性向上のため、表面処理剤で無機フィラーの表面を被覆して疎水化してもよい。この表面処理剤としては、例えばステアリン酸またはラウリル酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩を挙げることができる。
有機フィラーとしては、延伸温度においてフィラーが溶融しないように、最外層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂粒子が好ましく、ゲル分が4〜10%程度の架橋した樹脂粒子がさらに好ましい。
該有機フィラーとしては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミンなどの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、特に架橋させたポリスチレンなどが好ましい。
前記フィラーの平均粒径としては0.01〜25μm程度、好ましくは0.05〜7μmであり、更に好ましくは0.1〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満の場合には、フィラー同士の凝集により分散性が低下して延伸むらを引き起こし、多孔化が困難になりやすい。一方、平均粒径が25μmを超えると、表面の凹凸を大きくすることは可能となるが、それと同時に表面の孔径の大きな不均一を発生させる可能性が高くなるので好ましくない。
フィラーの配合量はフィラーの種類により異なるので一概にはいえないが、両側外層を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対し25〜400質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましい。フィラーの配合量が前記樹脂100質量部に対し25質量部未満の場合には、目的とする良好な透気性が発現されにくくなり、外観や風合いも悪くなりやすい。また、フィラーの配合量が400質量部を超えると、積層体作製の際に樹脂焼けなど工程上の不具合を起こしやすくなるだけでなく、多孔積層体の強度も大幅に低下する。
さらに、前記両側外層には、樹脂中へのフィラーの分散性を高める目的で可塑剤を配合することが好ましい。
前記可塑剤としては、エステル化合物、アミド化合物、アルコール化合物、アミン塩、アミン化合物(ただしアミン塩は除く)、エポキシ化合物、エーテル化合物、鉱油、油脂、パラフィンワックス、液状シリコーン、フッ素オイル、液状ポリエーテル類、液状ポリブテン類、液状ポリブタジエン類、長鎖脂肪酸、カルボン酸塩、カルボン酸化合物(ただしカルボン酸塩は除く)、スルホン酸塩、スルホン化合物(ただしスルホン酸塩を除く)、フッ素系化合物等が挙げられる。
具体的にはプラスチック配合剤(株式会社 大成社発行 昭和62年11月30日 第2版発行)P31〜P64、P83、P97〜P100、P154〜P158、P178〜P182、P271〜P275、P283〜294に記載の化合物等が挙げられる。より具体的には、P29〜64の可塑剤の項目に記載され、P49からP50の表4と、P52〜P54の表6に列挙されている可塑剤(TCP,TOP,PS,ESBO等)が使用可能である。また新・界面活性剤入門(三洋化成工業株式会社発行 1992年8月 第3版発行)に挙げられている界面活性剤類の化合物も可塑剤として好適に使用できる。
前記エステル化合物としては、テトラグリセリントリステアレート、グリセリントリステアレート、ステアリルステアレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、エチレンカーボネート、ジステアリルカーボネートまたはジオクチルナフタレート等が挙げられる。
前記アミド化合物としては、エチレンビスステアリン酸アミドまたはヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
前記アルコール化合物としては、ステアリルアルコール、オレイルアルコールまたはドデシルフェノールなどが挙げられる。
前記アミン塩としては、ステアリルジメチルベタインまたはラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
前記アミン化合物としては、ジヒドロジエチルステアリルアミンまたはラウリルアミンなどが挙げられる。
前記エポキシ化合物としては、エポキシ大豆油などが挙げられる。
前記エーテル化合物としては、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記鉱油としては、灯油またはナフテン油などが挙げられる。
前記油脂としては、ひまし油もしくは硬化ひまし油またはこれらの誘導体が挙げられる。
前記脂肪酸としては、ステアリン酸またはカプロン酸などが挙げられる。
前記カルボン酸塩としては、ステアリン酸カルシウムまたはオレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、ステアリン酸もしくはオレイン酸、またはこれらのエステル体などの誘導体(ただし塩は除く。)などが挙げられる。
前記スルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記スルホン化合物としては、スルホン結合を有する化合物(ただし塩は除く。)であればよく、スルホランまたはジプロピルスルホン酸などが挙げられる。
前記可塑剤のうち、硬化ひまし油が配合されていることが好ましい。
硬化ひまし油とは、リシノール酸の二重結合部を水素添加し、飽和脂肪酸とした12−ヒドロキシオクタデカン酸を主成分とする脂肪酸混合物とグリセリンとのエステルのことである。このエステルにはモノエステル、ジエステルおよびトリエステルがあるが、これらの単独物であっても、また混合物であってもよい。なかでも、トリエステルを主成分とするものが好ましい。
また、前記脂肪酸混合物に含まれる12−ヒドロキシオクタデカン酸以外の他の脂肪酸としては、炭素数12〜22程度のヘキサデカン酸もしくはオクタデカン酸等が挙げられる。かかる硬化ヒマシ油は、工業的には不乾性油であるヒマシ油に水素添加することにより製造される。
可塑剤の配合量は、両側外層を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜30質量部程度であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることがとくに好ましい。可塑剤の配合量が1質量部未満の場合には、外観や風合いが悪くなりやすく、また最外層を延伸により多孔化する場合には目的とする良好な延伸性が発現されにくくなる。また、可塑剤の配合量が30質量部を超えると、積層体作製の際に樹脂焼けなど工程上の不具合を起こしやすくなる。
本発明の第1工程において作製される積層体は、上述した中間層と当該中間層を挟んで両側の最外面に位置する2つの無孔の両側外層の少なくとも3層からなれば、特にその構造は限定されない。
例えば、中間層が組成の異なる複数層から構成されていてもよいし、最外層の一方または両方が組成の異なる複数層から構成されていてもよい。また、中間層の間に最外層と同じ組成を有する無孔層が挟まれている5層構造としていてもよい。その場合、組成の異なる2種類の中間層が積層され、連続してフィラーを含有しない層でもよい。
さらに、両側外層の組成または構造は同一であってもよいし、異なっていても良い。例えば、2つの両側外層のそれぞれが異なる物質と接触する場合は、それぞれの特性に合わせた熱可塑性樹脂の選定が必要となる。例えば、一方の層が水と接触し他方の層が有機溶媒と接触する場合は、水と接触する最外層を構成する熱可塑性樹脂を耐水性のあるポリスチレンとし、有機溶媒と接触する最外層を構成する熱可塑性樹脂を耐有機溶媒性の高いポリプロピレンとすることができる。
両側外層に配合するフィラーに関しても同様で、例えば、両側外層がそれぞれ中性と酸性の液体に接触する場合、中性の液体に接触する外層では炭酸カルシウムを配合し、酸性の液体に接触する外層においては硫酸バリウムを配合することができる。
本発明の第1工程において作製される積層体においては、第3工程において延伸処理した場合に、該延伸処理後における全層の厚みtに対する両最外層の厚みの合計toの割合tr(=to/t)が0.05〜0.95、好ましくは0.10〜0.90、さらに好ましくは0.15〜0.80となるように調整している。
trが0.05より小さければ、最外層の実質的な厚みが極端に薄くなってしまい、結果的に最外表面の多孔構造が極端に不均一になりやすい。また、最外層の厚みが極端に薄いと蓋の役割を果たさない。すなわち、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させ、次いで超臨界状態または亜臨界状態から逸脱させたときに、中間層の表面から気体が薄い最外層を通り抜けて拡散・蒸発により放出されるため、中間層に発泡を生じない領域、いわゆるスキン層が生じるおそれがあるので好ましくない。
一方、trが0.95より大きければ、中間層が極端に薄くなってしまい実質的には全層にフィラーを含有している多孔性フィルムと大きく変わらず、特に単位面積あたりの質量(坪量)が大きくなってしまうという問題点が生じる。
前記両側外層と中間層の少なくとも3層からなる積層体の作製方法としては公知の技術を用いてよい。例えば以下の方法で作成することができる。
まず、各層を構成する成分をヘンシェルミキサー等の粉体混合機や、一軸あるいは二軸混練機もしくはニーダー等の混練機を用いて混合し、一旦造粒してもよい。
両側外層を構成する樹脂組成物または造粒物と、中間層を構成する樹脂組成物または造粒物とを用いて前記積層体を作製する。
積層体の作製方法としては、熱接着法、押出しラミネーション法、ドライラミネーション法、共押出法等が挙げられる。なかでも、Tダイ成形法またはインフレーション成形法による共押出法が特に好適に用いられる。これは、中間層および最外層を別々に製膜してから熱ロールなどで融着させる方法は均一な接着強度で接着させにくく、皺などの欠陥も発生しやすいからである。特にフィルムなどの厚さが薄い場合はこの傾向が顕著であるため、通常は共押出法を用いる。
本発明の多孔積層体の製造方法においては、第2工程として、前記第1工程で得られた積層体に、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させ、次いで該超臨界状態または亜臨界状態から解放させて、前記流体を気化させることにより中間層を多孔化している。
亜臨界または超臨界流体として使用できる気体は、以下のものに限定されるものではないが、例えば二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、エチレン、エタン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロエタン、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1−ジフルオロエチレン、トリフルオロアミドオキシド、シス−ジフルオロジアジン、トランス−ジフルオロジアジン、塩化二フッ化窒素、3重水素化リン、四フッ化二窒素、オゾン、ホスフィン、ニトロシルフルオライド、三フッ化窒素、塩化重水素、塩化水素、キセノン、六フッ化硫黄、フルオロメタン、パーフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1−ジフルオロエテン、エチン、ジボラン、水、テトラフルオロヒドラジン、シラン、四フッ化ケイ素、四水素化ゲルマニウム、三フッ化ホウ素、フッ化カルボニル、クロロトリフルオロメタン、ブロモトリフルオロメタンおよびフッ化ビニル等が挙げられる。
なかでも好ましい気体としては、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、エチレン、エタン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロエタン、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタンおよび1,1−ジフルオロエチレンが挙げられる。
このうち不活性ガスである二酸化炭素と窒素は非可燃性であり非毒性であり、かなりの安価であり、さらに、ほとんどのポリマーに対して非反応性であるという点で特に好ましい。
前記「超臨界状態」とは気体と液体が共存できる限界の温度(臨界温度)および圧力(臨界圧力)を超えた状態をいう。「亜臨界状態」とは、圧力または温度が臨界圧力または臨界温度の近傍にある状態を意味する。
好ましくは、臨界温度をTc、臨界圧力をPcとすると、温度が0.7Tc以上または/および圧力が0.7Pc以上である状態(但し、温度がTc以上および圧力がPc以上の場合を除く。)である。特に圧力または温度のいずれか一方が臨界圧力または臨界温度を越えていることがより好ましい。
超臨界状態または亜臨界状態の流体は通常の気体や液体とは異なる性質を示す特殊な流体であり、非常に含浸性が高い。従って、前記第1工程で得られた積層体に超臨界状態または亜臨界状態の流体を接触させれば、前記積層体に前記流体が含浸される。
積層体に超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる具体的な方法は公知の方法に従って良い。
例えば、積層体をオートクレーブ等の耐圧容器に入れ、上に例示したような流体にして積層体に含浸させる気体状または液体状の物質を封入する。ついで、耐圧容器内の温度または/および圧力を上げて超臨界状態または亜臨界状態をつくる。すなわち、耐圧容器内の温度を0.7Tc以上、好ましくは臨界温度以上に上げるか、または耐圧容器内の圧力を0.7Pc以上、好ましくは臨界圧力以上に上げる。特に、耐圧容器内の温度を臨界温度以上に上げるとともに圧力を臨界圧力以上に上げることがより好ましい。
具体的には、例えば二酸化炭素を使用した場合、二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.38MPaであるから、温度は常温のまま圧力を7MPa以上とすることが好ましい。
窒素を使用した場合、窒素の臨界温度が−147℃、臨界圧力が3.40MPaであるから、温度は常温のまま圧力を3MPa以上とすることが好ましい。
亜酸化窒素を使用した場合、亜酸化窒素の臨界温度が36.4℃、臨界圧力が7.24MPaであるから、温度は常温のまま圧力を7MPa以上とすることが好ましい。
エチレンを使用した場合、エチレンの臨界温度が9.2℃、臨界圧力が5.04MPaであるから、温度を10℃以上とし、圧力を5MPa以上とすることが好ましい。
エタンを使用した場合、エタンの臨界温度が32℃、臨界圧力が4.88MPaであるから、温度は常温のまま圧力を4.5MPa以上とすることが好ましい。
超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる時間は、中間層を構成する樹脂の組成、目的とする透気度や空孔率などにより異なるので一概にはいえないが、1分以上であることが好ましい。1分未満であると前記流体を中間層に十分含浸させることができなからである。上限値は生産効率の観点から10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である。
ついで、超臨界状態または亜臨界状態から解放(逸脱)させて流体を気化させることにより中間層を多孔化している。
このとき温度または圧力は急激に常温または常圧まで戻しても良いし、徐々に下げていっても良い。また、常温以下の温度または常圧以下の圧力にまで一端下げてから、常温または常圧まで戻しても良い。
本発明においては、第2工程で厳密に中間層のみを多孔化することに限定しているわけでなく、中間層に接している層において中間層と接している面およびその近傍で多孔化が起っていても全く問題はない。
本発明の多孔積層体の製造方法においては、第3工程として、多孔化された中間層を有する積層体の両側外層に位置する2つの無孔層を多孔化している。
無孔層を多孔化する方法としては特に限定されず、例えば、延伸法、相分離法、抽出法、化学処理法、照射エッチング法、発泡法、またはこれらの技術の組み合わせなど公知の方法を用いることができるが、その中でも延伸法が好ましい。
延伸法は、延伸処理により細孔を形成する方法である。具体的には、
(a)樹脂にフィラーを混合した組成物を用いて最外層を形成させ、延伸することにより樹脂とフィラーの界面を剥離させて微細孔を形成する方法;
(b)最外層を構成する樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の結晶化構造を有する樹脂を用い、延伸することにより結晶と非晶の界面を剥離させて微細孔を形成する方法に大別され、その中でも前記(a)の方法が好適である。
前記(a)のフィラーを有する両側外層を多孔化するための延伸処理は、一軸延伸または二軸延伸どちらでも構わないが、好ましくはその等方性の点から二軸延伸の方が好ましい。二軸延伸は同時二軸延伸でも、縦方向(長手方向)に延伸してから横方向に延伸する逐次二軸延伸でのよい。延伸手法としては、ロール延伸機やテンター延伸機等の一般的な装置を用いる手法で構わない。延伸倍率としては、面積倍率で少なくとも2倍、好ましくは4〜25倍、さらに好ましくは9〜16倍である。
延伸温度は特に限定されるものではないが、両側外層を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度、好ましくは融点より30℃以下で延伸することが好ましい。延伸温度が融点に近づきすぎると、最外層の部分での連通性の発現が困難となる。
また、必要に応じて延伸後に融点近傍で熱固定を行ったり、弛緩を行ったりして、熱収縮や寸法安定性等の対策をとってもよい。
さらに、必要に応じて、上記のようにして得られた多孔積層体に対して、熱寸法安定性を付与するため熱処理を行ってもよい。
前記熱処理は、加熱ロールによる接触加熱、オーブン中での空気中加熱等、公知の任意の方法で行うことができる。また、前述の延伸装置を転用することも可能である。熱処理温度は、中間層および最外層を構成する熱可塑性樹脂の融点未満の任意の温度で行うことができるが、好ましくは100℃以上で前記樹脂の融点未満、より好ましくは110℃以上130℃以下としている。
前記相分離法は、転換法またはミクロ相分離法とも呼ばれる技術で、高分子溶液の相分離現象にもとづき細孔を形成する。具体的には、(a)高分子の相分離により細孔を形成する方法、(b)重合時に細孔を形成させながら多孔化する方法に大別される。前者の方法としては溶媒を用いる溶媒ゲル化法と熱溶融急冷凝固法があり、いずれを用いてもよい。後者の方法ではモノマーからポリマーになる重合過程でのポリマー濃度の増加により相分離をさせるのだが、本発明では中間層を多孔化する第2工程において最外層が無孔状態でなければならないので当該方法は通常は用いられない。
前記抽出法では、後工程で除去可能な添加剤を最外層を構成する組成物に混合し、本第3工程で前記添加剤を薬品などで抽出して細孔を形成する。添加剤としては高分子添加剤、有機物添加剤、無機物添加剤などが挙げられる。
高分子添加剤を用いた例としては、有機溶媒に対する溶解性が異なる2種のポリマーを用いて上記最外層を形成し、第1,2工程を経て得られた積層体を前記2種のポリマーのうち一方のポリマーのみが溶解する有機溶媒に浸漬して当該一のポリマーを抽出する方法が挙げられる。より具体的にはポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニルからなる最外層を形成し、アセトンおよびn−ヘキサンを用いてポリ酢酸ビニルを抽出する方法、ブロックあるいはグラフト共重合体に親水性重合体を含有させて最外層を形成し、水を用いて親水性重合体を除去する方法などが挙げられる。
有機物添加剤を用いた例としては、両側外層を構成するポリマーが不溶である有機溶媒に可溶な物質を配合して両側外層を形成し、第1,2工程を経て得られた積層体を前記有機溶媒に浸漬して前記物質を抽出除去する方法が挙げられる。
前記物質としては、例えばステアリルアルコールもしくはセリルアルコールなどの高級脂肪族アルコール、n−デカンもしくはn−ドデカンなどのn−アルカン類、パラフィンワックス、流動パラフィンまたは灯油等が挙げられ、これらはイソプロパノール、エタノール、ヘキサンなどの有機溶媒で抽出できる。または、前記物質としてショ糖や砂糖などの水可溶性物質が挙げられ、これらは水で抽出できるため環境への負担が少ないという利点がある。
前記化学処理法は、高分子基体の一部分を化学的に結合を切断したり、逆に結合反応を行ったりすることにより、細孔を形成する方法である。より具体的には、酸化還元剤処理、アルカリ処理、酸処理などの薬品処理により細孔を形成する方法が挙げられる。
前記照射エッチング法は中性子線またはレーザーなどを照射して微少な穴を形成させる方法である。当該方法を用いる場合、最外層はポリカーボネートやポリエステル等から構成されていることが好ましい。
前記融着法は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリマー微細パウダーを用い、成形後に前記ポリマー微細パウダーを焼結する方法である。
前記発泡法としては機械的発泡法、物理的発泡法、化学的発泡法等があり、本発明においてはいずれも用いることができる。
前記した本発明の製造方法で製造された多孔積層体(以下、本発明の多孔積層体と略称する)は、連通性の指標である透気度を1〜10,000秒/100mlの範囲としている。これは透気度が10,000秒/100mlより大きければ、測定上透気度の数値は出るものの、連通性のかなり乏しい構造であることを意味しているので、実質的には連通性がないことに等しいとしてもよい。
好ましくは1〜5,000秒/100ml、より好ましくは50〜5,000秒/100ml、特に、100〜5,000秒/100mlが好ましい。
なお、透気度はJIS P 8117に準拠して測定している。
また、中間層にポリプロピレン樹脂組成物を用いると、従来のポリエチレン樹脂のみからなる多孔性フィルムより高い耐熱性を発揮することができる。つまり、高温に曝されてもその形状が保持できる。耐熱性の指標として熱収縮率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
本発明の多孔積層体において、空孔率も多孔構造を限定する為には重要なファクターである。空孔率の測定方法は後述するが、本発明の多孔積層体の空孔率は5〜80%の範囲とすることが好ましい。これは空孔率が5%未満であれば実質的に連通性を得ることは困難である。また、空孔率が80%よりも大きければ、強度的な点からハンドリングが難しくなってしまうので好ましくない。
空孔率はより好ましくは20〜70%、特に、40〜60%が好ましい。
前記透気度や空孔率は用途によって要求される範囲が異なるので、用途に合わせて透気度や空孔率を適宜調整している。
例えば、おむつや生理用品などの衛生用品に使用する場合、透気度は1〜2,000秒/100mlであることが好ましい。
また、電池用セパレーターとして用いる場合、透気度は1〜500秒/100mlであることが好ましい。
透気度や空孔率は、例えば、中間層を構成する熱可塑性樹脂におけるソフトセグメントの含有量、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる時間、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる際の温度または圧力を調整することにより制御することができる。
中間層を構成する熱可塑性樹脂におけるソフトセグメントの含有量が多くなれば、超臨界状態または亜臨界状態の流体が含浸しやすくなるから、透気度や空孔率は大きくなる。また、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる時間を長くしたり、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させる際の温度または圧力を大きくしたりしても、透気度や空孔率を大きくすることができる。
本発明の多孔積層体については、厚さまたは形状等は特に限定されない。例えば本発明の多孔積層体は、平均厚さが1μm以上250μm未満のフィルム状、厚さが250μm以上数mm未満のシート状、厚さが数mm以上の成形体のいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択できる。
なかでも、本発明の多孔積層体はフィルム状を呈することが好ましい。即ち、多孔積層体の平均厚みは1〜250μmで、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは50〜150μmである。
なお、平均厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて面内を不特定に5箇所測定し、その平均を算出して得られる値である。
本発明の多孔積層体は表面は凹凸面とし、表面からの最大高さ(Rmax)値が2μm以上であるが好ましい。これは、表面の最大高さ値が2μm以上であれば、多孔積層体の表面に適度な凹凸が存在し、多孔積層体の滑り性が高くなるからである。好ましくは、表面の最大高さ(Rmax)値は3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、上限値については特に制限はないが、通常7μm以下である。
なお、表面の最大高さはJIS B 0601記載の方法に準拠して測定している。
また、本発明の多孔積層体は、25μmあたりの厚みに換算したときの単位面積あたりの質量(量という)が10〜30g/mであることが好ましく、10〜25g/mであることがより好ましい。量を小さくすることにより、本発明の多孔積層体を搭載する装置の軽量化を図ることができる。
前記量を示すためには、本発明の多孔積層体の全質量に対するフィラーの質量の割合、つまり前記積層体全体を100質量部とするとフィラーの含有、5〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部である。
前記特性を有する本発明の多孔積層体は、透気性が要求される種々の用途に応用することができる。電池用セパレーター;使い捨て紙オムツ、生理用品等の体液吸収用パットもしくはベッドシーツ等の衛生材料;手術衣もしくは温湿布用基材等の医療用材料;ジャンパー、スポーツウエアもしくは雨着等の衣料用材料;壁紙、屋根防水材、断熱材、吸音材等の建築用材料;乾燥剤;防湿剤;脱酸素剤;使い捨てカイロ;鮮度保持包装もしくは食品包装等の包装材料等の資材として極めて好適に使用できる。
なかでも、本発明の多孔積層体は各種電子機器等の電源として利用されるリチウムイオン二次電池等の非水電解液電池用セパレーターとして好適に用いられる。
前記電池用セパレーターとして使用する場合は、透気度を50〜500秒/100mlにすることが好ましく、100〜300秒/100mlがより好ましい。透気度を50秒/100ml未満にすると、電解液保持性が低下して二次電池の容量が低くなったり、サイクル性が低下したりするおそれがある。一方、透気度が500秒/100mlを超えると、イオン伝導性が低くなり十分な電池特性を得ることができない。
また本発明の多孔積層体を電池用セパレーターとして使用する場合、空孔率は30〜70%であることが好ましく、更には35〜65%であることがより好ましい。空孔率が30%未満ではイオン透過性が低く十分な電池性能を得ることが困難である。また空孔率が70%を越えると電池の安全性の観点から好ましくない。
電池用セパレーターとしてはシャットダウン特性の必要性からポリエチレン樹脂を主成分とした多孔性フィルムが用いられるが、中間層にポリプロピレン樹脂組成物を用いることによりシャットダウン以降の寸法安定性を向上させ、電池として不安定な状態に陥りにくくすることができる。
耐熱性は熱収縮率にてその評価を行うことができる。熱収縮率としては0〜25%が好ましいが、更に好ましくは0〜10%である。熱収縮率が25%よりも大きいと多孔積層体の端部にて正極と負極が接触し、短絡してしまうことが懸念される。
本発明の多孔積層体の製造方法は、亜臨界または超臨界流体を利用する際の課題であった表面のスキン層をなくして厚さ方向の連通性を確保できる。
中間層の多孔化のために亜臨界または超臨界流体を用い、有機溶媒を大量に使用したりしないので環境に対する負荷を軽減できる。特に亜臨界または超臨界流体として二酸化炭素や窒素などの無毒な不活性ガスを用いればさらに環境に対する負荷を軽減できる。さらに、本発明の多孔積層体の製造方法は、製造条件の幅が広く、工程管理が行いやすい利点がある。
また、可塑剤や溶媒を除去することにより多孔化する方法においては当該可塑剤や溶媒が除去されずに残存する可能性があるが、本発明では中間層の多孔化の際に亜臨界または超臨界流体を利用することから少なくとも中間層においては前記のような残存の問題は生じず、全体として不純物のより少ない多孔積層体が製造できる。
特に各種電子機器等の電源として利用されるリチウムイオン二次電池等の非水電解液電池用セパレーターとして好適に用いられるものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1〜図3は、それぞれ、後述する本発明の製造方法により製造されたフィルム状の樹脂製の多孔積層体の第1〜第3実施形態を示す。該第1〜第3実施形態の多孔積層体は、積層枚数を相違させた多孔積層体1(1−1、1−2、1−3)からなるが、いずれも後述する同一の製造方法で製造している。
図1に示す第1実施形態の多孔積層体1は3層構造とし、中間層2と、その両側外面に位置する一対の両側外層3、4を厚さ方向に積層一体化としている。中間層2と両側外層3、4にはそれぞれ微小孔2a、3a、4aを多数存在し、これら微小孔2a、3a、4aは厚ささ方向に連通させている。両側外層3、4は同一の樹脂組成物からなり、中間層2は両側外層3、4とは異なる樹脂からなる。
なお、両側外層3、4の樹脂組成物は相違させてもよい。
図2に示す第2実施形態の多孔積層体は1は4層構造とし、2層の中間層2(2A、2B)と、これら2層の中間層2の両側外面に両側外層3、4を備え、第1実施形態と同様に、これら各層に微小孔2a〜4aを厚さ方向に連通させている。
図3に示す第3実施形態の多孔積層体1は5層構造とし、2層の中間層2(2Aと2B)の間に両側外層3、4と同一組成物からなる中央中間層5を備え、かつ、前記中間層2A、2Bの外側に両側外3、4を備え、第1実施形態と同様に、これら各層に微小孔2a〜5aを厚さ方向に連通させている。
前記第1〜第3の実施形態の多孔積層体1は、いずれも両側外層3、4および第3実施形態の中央中間層5はフィラー7を含有する熱可塑性樹脂からなり、中間層2はフィラーを含まないハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性樹脂からなる。
以下に、3層構造の第1実施形態の多孔積層体1の製造方法について説明する。
なお、前記したように、第2、第3実施形態の多孔積層体の製造方法は第1実施形態と同様な下記の工程からなる。
前記多孔積層体1の製造方法は、
フィラーをポリプロピレンに配合したポリプロピレン樹脂組成物からなる無孔の両側外層3、4の間に、ポリプロピレン樹脂組成物からなる中間層2を配置して積層体を作製する第1工程と、
前記工程で得られた積層体に、超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させ、次いで該状態から解放して前記流体を気化させることにより中間層を多孔化する第2工程と、
中間層を多孔化した後に、積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより両側外層3、4のフィラーと熱可塑性樹脂との界面を剥離させて、無孔の両側外層3、4を多孔化する第3工程からなる。
中間層2を構成するポリプロピレン樹脂組成物としては、本実施形態では、ポリプロピレンホモポリマーにエチレン−プロピレンゴムが配合されている樹脂組成物を用いている。エチレン−プロピレンゴムの含有量は5〜95質量%であることが好ましく、15〜75質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。
エチレン−プロピレンゴムとしては、ゴム全体に対するエチレン含有率が30〜55質量%であるエチレン−プロピレンゴムが特に好ましい。
エチレン−プロピレンゴムの含有量およびエチレン−プロピレンゴム中のエチレン含有率を調整することにより、中間層を構成するポリプロピレン樹脂組成物全体に対するエチレン含有率が5〜70質量%となることが好ましく、5〜50質量%となることがより好ましく、10〜30質量%となることが特に好ましい。
前記両側外層3、4を構成するポリプロレンとしては、密度が0.94g/cm以上、好ましくは0.95〜0.97g/cmの高密度ポリエチレンが好適であり、かつ、そのメルトフローレートが1g/10分以下であることが好ましい。
両側外層3、4に配当するフィラー7としては、本実施形態では無機フィラーを用いている。該無機フィラーとしては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、またはこれら2種以上の組み合わせとしても良いが、硫酸バリウムが特に好ましい。さらに、フィラー7の平均粒径が0.1〜5μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましい。
フィラーの含有量は、多孔積層体1の熱可塑性樹脂100質量部に対して50〜300質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。
さらに、両側外層3、4にはフィラーの分散性を向上させる目的で、前記したエステル化合物、アミド化合物、アルコール化合物等から選択される可塑剤を、両側外層3、4を構成する熱可塑性樹脂100質量部にして1〜30質量部を配合している。
なお、両側外層3、4は、熱可塑性樹脂とフィラーの組み合わせが同一であっても良いが、必ずしも同一とする必要はない。
前記中間層2と、中間層2を挟むように配置する両側外層3、4の3層からなる積層体を作製する方法として、下記方法を用いている。
まず、両側外層3、4に関しては、熱可塑性樹脂、フィラー、可塑剤をヘンシェルミキサー等の粉体混合機で混合し、一軸あるいは二軸混練機、ニーダー等で加熱混練し、ペレットを形成している。なお、フィラー充填剤の分散状態を考えると、二軸混練機を使用することが更に好ましい。
前記ペレットの水分率は1000ppm以下、好ましくは700ppm以下に制御している。これは、ペレットの水分が1000ppmより大きいとゲル、ピンールが極度に発生して好ましくないためである。
前述のように調製した両側外層用のペレットと中間層用のポリプロピレン樹脂組成物とを共押出で3層状に積層したフィルムを押出成形する。
より具体的には、多層成形用のインフレーションダイまたはTダイを用いて、150〜250℃、好ましくは190〜220℃の温度条件下で積層する。
前記第1工程で得られた積層体を耐圧容器に入れ、該耐圧容器に二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを封入する。耐圧容器内の圧力を上げ、二酸化炭素ガスまたは窒素ガスを超臨界状態または亜臨界状態とする。
より具体的には、二酸化炭素ガスを使用する場合は圧力を7Ma以上、好ましくは20Ma以上に上げている。窒素ガスを使用する場合は圧力を3Ma以上、好ましくは15Ma以上に上げている。
耐圧容器内の温度は常温でよいが、加熱することもできる。
耐圧容器内の圧力および温度を保つことにより、超臨界状態または亜臨界状態の二酸化炭素ガスまたは窒素ガスが積層体に含浸される。含浸時間は10分〜2時間、好ましくは30分〜2時間である。
その後、耐圧容器内の圧力または温度を常圧または常温に戻すことにより、含浸された二酸化炭素ガスまたは窒素ガスが気化して、中間層2に微小孔2aが形成されて、多孔化される。耐圧容器内の圧力または温度は漸減させてもよいし、一気に常圧または常温に戻してもよい。
この第2工程では、中間層2が多孔化されるが、両側外層3、4では含浸したガスは外面から解放されて孔は形成されず無孔のままである。よって、この無孔の両側外層3、4は中間層2に対してガスを解放させない「蓋」の役割を果たすこととなる。
このように、第2工程で中間層2は多孔化される一方、両側外層3、4は無孔のままである積層体を、第3工程で延伸処理する。該延伸処理で、両側外層3、4内に分散配置されているフィラー7と樹脂との界面で剥離が発生して、両側外層3、4に微小孔3a、4aが形成する。該微小孔3a、4aは中間層2の両側表面に開口する微小孔2aと連通される。
第3工程の延伸方法は、縦方向(長手方向)に延伸してから横方向に延伸する逐次二軸延伸が好ましい。延伸倍率としては、面積倍率で4〜25倍、好ましくは9〜16倍とする。延伸温度は40〜80℃であることが好ましい。
さらに、第3工程の後、必要に応じて、多孔積層体に対し熱寸法安定性を付与するため熱処理を行ってもよい。熱処理は、加熱ロールによる接触加熱、オーブン中での空気中加熱等、公知の任意の方法で行うことができる。熱処理温度は、中間層2および両側外層3、4を構成する熱可塑性樹脂の融点未満の任意の温度で行うことができるが、好ましくは100℃以上前記樹脂の融点未満、より好ましくは110℃以上130℃以下としている。
第2実施形態の多孔積層体1−2では、2つの中間層2A、2Bに第2工程で連通した微小孔2aが形成でき、その後の第3工程で両側外層3、4に形成される微小孔3a、4aと連通する。
第3実施形態の多孔積層体1−3では、2つの中間層2A、2Bに第2工程でそれぞれ微小孔2aが形成でき、その後の第3工程で、中央中間層5および両側外層3、4に微小孔5a、3a、4aが形成され、前記中間層2の微小孔2aと連通する。
前記のように製造された多孔積層体1は、連通性の指標である透気度が50〜5,000秒/100mlとしており、好ましくは、100〜5,000秒/100mlとしている。空孔率は30〜70%とし、好ましく40〜60%としている。
また、両側外層3、4はフィラーが配合されたポリプロピレン樹脂組成物なると共に中間層2もポリプロピレン樹脂からなるため、従来のポリエチレン樹脂のみからなる多孔性フィルムより高い耐熱性を発揮することができる。つまり、高温に曝されてもその形状が保持できる。耐熱性の指標として熱収縮率は20%以下とし、好ましくは、15%以下としている。なお、熱収縮率は実施例に記載の方法で測定できる。
前記多孔積層体1はフィルム状を呈し、平均厚みを1〜250μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは50〜150μmとし、該多孔積層体の用途に応じて調製している。この平均厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて面内を不特定に5箇所測定し、その平均を算出して得られる値である。
さらに、前記多孔積層体1は両側外層3、4にフィラーが配合されているため平滑面とならず微小な凹凸がある粗面として滑り性を高めている。即ち、表面からの最大高さ(Rmax)値が2μm以上、好ましくは5μm以上としている。
さらに、前記多孔積層体1は、中間層2にはフィラーを配合しないことで、25μmあたりの厚みに換算したときの単位面積あたりの質量(量という)を10〜30g/m、好ましく10〜25g/mとして、多孔積層体1を軽量化している。なお、特に、軽量化を図るためには、多孔積層体1の全質量に対するフィラーの含有率は5〜40質量%、好ましく5〜30質量%としている。
前記した多孔積層体1は透気性が要求される種々の用途に用いることができるが、なかでも電池用セパレーターとして使用することが好ましい。
本発明の多孔積層体1を電池用セパレーターとして使用する場合は、透気度を50〜500秒/100mlとしている。これは、透気度を50秒/100ml未満にすると、電解液保持性が低下して二次電池の容量が低くなったり、サイクル性が低下したりするおそれがある。一方、透気度が500秒/100mlを超えると、イオン伝導性が低くなり十分な電池特性を得ることができないことによる。好ましくは100〜300秒/100mlである。
また、空孔率は30〜70%としている。これは、空孔率が30%未満ではイオン透過性が低く十分な電池性能を得ることが困難である一方、空孔率が70%を越えると電池の安全性の観点から好ましくないことによる。より好ましくは35〜65%である。
電池用セパレーターとしてはシャットダウン特性の必要性からポリエチレン樹脂を主成分とした多孔性フィルムが用いられるが、本発明の多孔積層体1は中間層2にポリプロピレン樹脂組成物を用いることによりシャットダウン以降の寸法安定性を向上させ、電池として不安定な状態に陥りにくくすることができる。
耐熱性は熱収縮率にてその評価を行うことができ、熱収縮率は0〜25%、好ましくは0〜10%としている。これは熱収縮率が25%よりも大きいと多孔積層体の端部にて正極と負極が接触し、短絡してしまうことが懸念されることによる。
次に、本発明の前記多孔積層体を電池用セパレーターとして収容している非水電解液電池について、図4参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極をセパレーター10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体としている。この渦巻き状に巻回する際、セパレーター10は厚さが5〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。厚みが5μm未満であるとセパレーターが破れやすくなり、40μmを越えると電池用セパレーターとして所定の電池缶に捲回して収納する際、電池面積が小さくなり、ひいては電池容量が小さくなるからである。
前記正極板21、セパレーター10および負極板22を一体的に巻き付けた捲回体を有底円筒状の電池ケース内に収容し、正極および負極のリード体24、25と溶接する。ついで、上記電解質を電池缶内に注入し、セパレーター10などに十分に電解質が浸透した後、電池缶の開口周縁にガスケット26を介して正極蓋27を封口し、予備充電、エージングを行い、筒型の非水電解液電池を作製している。
電解液としては、リチウム塩を電解液とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランもしくは4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、またはスルホランなどが挙げられ、これらを単独でまたは二種類以上を混合して用いることができる。
なかでも、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.4mol/Lの割合で溶解した電解質が好ましい。
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化させたものが用いられる。前記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属を含む化合物としては、例えばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが挙げられる。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
本実施形態では、負極として、フッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液に平均粒径10μmの炭素材料を混合してスラリーとし、この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚さ18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の負極板としたものを用いている。
正極としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウムもしくはクロム酸化物などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
本実施形態では、正極としては、下記のようにして作製される帯状の正極板を用いている。即ち、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)に導電助剤としてリン状黒鉛を質量比90:5で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにした。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の正極板としている。
以下、本発明を多孔積層体の実施例を説明する。
(実施例1)
両側外層を構成する樹脂組成物の準備として、高密度ポリエチレン100質量部と硫酸バリウム100質量部をブレンドしてコンパウンドを行った。ついで、該コンパウンドを両最外層とし、中間層のポリプロピレン樹脂組成物としてポリプロピレンにエチレンプロピレンゴムを含有させた熱可塑性樹脂組成物を使用し、層比が外層1/中間層/外層2=25/50/25となるように調整しながら、多層成型用のTダイを用いて200℃の温度下で成形し、2種3層の積層体を得た。
得られた積層体を圧力容器に仕込み、常温下で圧力容器内に不活性ガスである二酸化炭素を封入した。ついで圧力を24MPaまで上げて二酸化炭素を亜臨界状態または超臨界状態とし、この状態を1時間保持して積層体に亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素を含浸させた。その後、圧力容器のバルブを全開放して容器内の圧力を解放した。
得られた積層体をストレッチャーにて延伸温度70℃で、縦方向(長手方向)に2倍、横方向に2倍の延伸倍率で逐次延伸を行い、その後125℃で熱固定を行い、実施例1の多孔積層体を得た。
(実施例2〜5)
両側外層を構成する樹脂組成物および延伸条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施例2〜5の多孔積層体を得た。
Figure 0004594837
表中に記載した成分の詳細を下記に示す。
「7000FP」;高密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製「HI−ZEX7000FP」、密度;0.954g/cm、メルトフローレート;0.04g/10分)
「HY430P」;高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックHY430P」、密度:0.955g/cm、メルトフローレート:0.8g/10分)
「B55」;硫酸バリウム(堺化学株式会社製「B−55」、平均粒径0.66μm)
「30NC」;硫酸バリウム(堺化学株式会社製「30NC」、平均粒径0.3μm)
「B54」;硫酸バリウム(堺化学株式会社製「B−54」、平均粒径1.2μm)
「HCOP」;硬化ひまし油(豊国製油株式会社製「HCOP」、密度0.88g/cm
「ゼラス5013」;ポリプロピレンにエチレンプロピレンゴムを含有させた熱可塑性エラストマー(三菱化学株式会社製「Zelas5013」、密度0.88g/cm、メルトフローレート0.8g/10分)
(比較例1)
比較例1は前記特許文献1の特開平5−25305号公報の実施例1に記載の方法で多孔膜を作製した。
即ち、重量平均分子量が2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)20質量%と、重量平均分子量が3.9×10の高密度ポリエチレン(HDPE)66.7質量%と、メルトインデックス(190℃、2.16kg荷重)2.0g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)13.3質量%とを混合した原料樹脂15質量部と、流動パラフィン(64cst/40℃)85質量部とを混合し、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。 次に、このポリエチレン組成物の溶液100質量部に、2,5−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(「BHT」、住友化学工業(株)製)0.125質量部と、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)−プロピオネート〕メタン(「イルガノックス1010」、チバガイギー製)0.25質量部とを酸化防止剤として加えた。この混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填し、200℃で90分間撹拌して均一な溶液を得た。
この溶液を直径45mmの押出機により、Tダイから押出し、冷却ロールで引取りながらゲル状シートを成形した。
得られたシートを二軸延伸機にセットして、温度115℃、延伸速度0.5m/分で5×5倍に同時二軸延伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去した後、100℃で30秒熱セットすることによってポリエチレン微多孔膜を得た。
(比較例2)
比較例2は前記特許文献3の特開2004−95550号公報の実施例1に記載の方法で多孔性フィルムを作製した。
高密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製「HI−ZEX7000FP」、密度;0.956g/cm、メルトフローレート;0.04g/10分)100質量部、軟質ポリプロピレン(出光石油化学社製「PER R110E」)15.6質量部、硬化ひまし油(豊国製油株式会社製「HY−CASTOR OIL」、分子量938)9.4質量部、硫酸バリウム(堺化学社製「B−55」)187.5質量部をブレンドしてコンパウンドを行った。
次に、得られたコンパウンドを用いて温度210℃でインフレーション成形を行い、原反シートを得た。
次に得られた原反シートを70℃でシートの長手方向(MD)に1.23倍、次いでll5℃て横方向(TD)に2.86倍の逐次延伸を行い、多孔性フィルムを得た。
(比較例3)
比較例3は前記特許文献4の特開平11−60792号公報の実施例1に記載の方法で多孔性フィルムを作製した。
粘度平均分子量50万のポリエチレン樹脂8質量部、粘度平均分子量100万のポリエチレン樹脂16質量部(前記両者の混合組成物の粘度平均分子量はおよそ80万となる)、パラフィンワックス(平均分子量389)76質量部、および炭酸カルシウム粒子(平均粒径18μm)20質量部の混合物を、40mmφ二軸押出機を用い押出温度170℃、押出量10kg/hで押出し、インフレーション法で原反フィルムを成形した。
得られた原反フィルムをロール延伸機を用い40℃にて縦方向に2.5倍延伸後、テンタ延伸機を用い110℃の温度にて横方向に8倍延伸した。
得られたフィルムを60℃のイソプロパノール中に浸漬して、パラフィンワックスを抽出除去した。
得られたフィルムをロール延伸機を用い、115℃の温度で熱固定を行った。熱固定に際してはロール速比を調整し、縦方向の延伸倍率が1.2倍となるようにした。
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた多孔積層体について下記物性を測定した。
(測定1;厚み)
1/1000mmのダイアルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(測定2;透気度(ガーレ値))
JIS P 8117に準拠して透気度(秒/100ml)を測定した。
(測定3;空孔率)
空孔率は多孔積層体中の空間部分の割合を示す数値である。空孔率の算出方法は、多孔積層体の実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、多孔積層体の実質量との差から下記式に基づき空孔率を算出する。
空孔率Pv(%)={(W0−W1)/W0}×100
(測定4;坪量)
坪量は単位面積あたりの質量を表す数値である。その測定方法は、多孔積層体を10cm角に切り出し、その質量を測定する。厚みによる依存性が大きいので、今回は25μmあたりの厚みに換算し、この操作を3回繰り返し、その平均を坪量とした。
(測定5;Rmax(表面の凹凸性))
JIS B 0601記載の方法に準拠して多孔積層体の表面の最大高さ(Rmax)値を測定した。
(測定6;熱収縮率(耐熱性))
多孔積層体を100mm×200mmに切り出し、150mm角のガラス板に巻き付け、100mm幅の2辺のみを固定する。この際、ガラス板の150mm長さの半分の位置に固定した2辺と平行な向きに印を入れておく。次に、120℃のオーブンの中に2分間放置し、オーブンから取り出した後に、印を入れておいた部分の幅H1を測定する。下記式により得られる熱による収縮率Sを耐熱性の指標とした。
熱収縮率S(%)={(100−H1)/100}×100
(測定7;充填剤含有率)
多孔積層体の質量Waを測定し、るつぼにて高温で樹脂を全量炭化させ、残った充填剤の質量Wbを測定する。
フィラー含有率(%)=(Wb/Wa)×100
上記測定の結果を下記表に示す。
Figure 0004594837
比較例1の多孔膜では表面に充填剤が無いので表面の凹凸性が小さい。これでは、多孔膜の滑り性が悪くなる。また、比較例1の多孔膜は耐熱性にも劣る。
比較例2の多孔性フィルムでは、全層に充填剤が存在しているため坪量が大きく、重たくなってしまうことがわかる。また、比較例2の多孔膜は耐熱性にも劣る。
比較例3の多孔性フィルムではポリエチレン樹脂がベースとなっているため、耐熱性が十分ではない。
これら比較例に対し、実施例1〜5の多孔積層体は透気度が480〜4,900秒/100ml、空孔率が42〜55%と確実な透気性を示し、実用に十分適するものである。さらに、表面のみに充填剤が局在しているので、表面の凹凸性を示し、優れた滑り性を発揮できるにもかかわらず、量は小さく、軽量化が可能である。そのうえ、中間層にポリプロピレン組成物を用いているので耐熱性が高く、高温にさらされても形状を保持することができる。
本発明の多孔積層体は、電池用セパレータの他、おむつ等の衛生用品、包装材料、農業・畜産用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シート等として好適に利用できる。
第一実施形態の多孔積層体の概略断面図である。 第二実施形態の多孔積層体の概略断面図である。 第三実施形態の多孔積層体の概略断面図である。 本発明の多孔積層体を非水電解質電池セパレーターとして収容している非水電解液電池の一部破断斜視図である。
符号の説明
1 多孔積層体
2 中間層
3、4 両側外層
2a、3a、4a 微小孔
10 セパレーター
20 非水電解質電池
21 正極板
22 負極板

Claims (4)

  1. 厚さ方向に連通性を有する微小孔が多数存在する多孔積層体の製造方法であって、
    ハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性樹脂からなる中間層と、両側最外面に位置する樹脂組成物からなる無孔の両側外層との少なくとも3層からなる積層体を作製する工程と、
    得られた積層体に超臨界状態または亜臨界状態の流体を含浸させた後に、該超臨界状態または亜臨界状態から解放して前記流体を気化させることにより前記中間層に前記微小孔を形成して多孔化する工程と、
    前記中間層を多孔化した後に前記両側外層に微小孔を形成して多孔化して該微小孔を前記中間層の微小孔と連通させる工程と、
    を備えることを特徴とする多孔積層体の製造方法。
  2. 前記中間層はフィラーを含まないポリプロピレン組成物からなる一方、前記両側外層は少なくともフィラーと熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなり、該両側外層は前記超臨界状態または亜臨界状態で含浸させた流体該状態から解放した時に微小孔は形成されないものとし、前記両側外層の多孔化は積層体を延伸させて前記フィラーと樹脂層との界面を剥離させて微小孔を形成している請求項1に記載の多孔積層体の製造方法。
  3. 前記超臨界状態または亜臨界状態で含浸させる流体が、二酸化炭素または窒素である請求項1または請求項2に記載の多孔積層体の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法で製造される多孔積層体であって、透気度が1〜10,000秒/100mlであることを特徴とする多孔積層体。
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