JP2004363048A - セパレータ及び非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部短絡及び漏液を防止する。
【解決手段】セパレータ4が耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを接着させた構造となっていることから、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れたものとなり、特に高温時にセパレータが劣化して起こる内部短絡や、内部短絡に伴う漏液を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】セパレータ4が耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを接着させた構造となっていることから、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れたものとなり、特に高温時にセパレータが劣化して起こる内部短絡や、内部短絡に伴う漏液を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池温度上昇による漏液をより確実に防止することのできる高信頼性のセパレータ及びそれを用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などを含むポータブル情報機器の普及が著しい。マルチメディアとしてのこれらの機器は多機能であることが望まれるため、電源に用いられる二次電池には小型、軽量でありながら大容量であること、即ち高エネルギー密度であることが求められている。この点において、従来の鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池等の水溶液系二次電池は満足できるものではなく、より高いエネルギー密度を実現できるリチウムイオン二次電池、特にコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムマンガンスピネル等のリチウム複合酸化物を正極活物質とし、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材を負極活物質とするリチウムイオン二次電池の研究開発がさかんに行われている。
【0003】
他の二次電池に比べ、リチウムイオン二次電池は重量当たりのエネルギー密度が高く、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル電子機器用途では必須の電源といえる。
【0004】
ところで、車載向けの電子機器の使用条件の中では、真夏の車中ダッシュボード上の環境温度が最も高く、100℃以上になる場合もあると言われている。特に電子機器を突発的に前記環境に置いた場合、熱衝撃によって環境以上の温度に達することがある。その原因は不明ではあるが、活性な電極材料が急激な温度変化におかれた場合、自己放電などの何らかの反応が加速され、一部反応熱を発し、環境温度以上に電池温度が上昇することが考えられる。そして、ポリエチレン製のセパレータが部分的に溶融し、正負極間での微少短絡が起こり、温度上昇を助長する。その際には、現在の製品では急激な安全性の低下に至るということはないが、電池封口部分より電解液の漏液が起こり、周囲の電子機器等に影響を与えてしまう信頼性の問題が生じることがある。
【0005】
特許文献1には、シャットダウン層と耐熱多孔質層とを有するセパレータが開示されている。このセパレータは、どちらか一方を基体として、他方を溶液状態で塗工することにより積層体を形成している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−266949号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように塗布液を塗布することにより作製されたセパレータでは、強度、特に突き刺し強度が十分ではなく、正負極の微弱なショートが起こり、例えば充放電に伴う析出物等によりセパレータが破損し、内部での微小短絡を引き起こしてしまうおそれがある。
【0008】
また、セパレータの配し方によっては、充放電反応の影響により、セパレータ材質が劣化してしまい、十分な強度を保つことができない場合もある。
【0009】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱収縮率が小さく、十分な強度を有するセパレータ、及び急激な電池温度上昇が起こったとしても、漏液などが起こらない高信頼性の非水電解質電電池を提供することを目的とする。また、本発明は、セパレータの優れた強度を長期間に亘って維持することができる高信頼性の非水電解質電電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のセパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする。
【0011】
上述したような本発明に係るセパレータは、フィルムに絶縁バリアと保液との機能をそれぞれ持たせるとともに、フィルムを張り合わせることで、熱収縮率が小さく、強度に優れたものとなる。
【0012】
また、本発明の非水電解質電池は、正極と負極とがセパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする。
【0013】
上述したような本発明に係る非水電解質電池は、セパレータが、フィルムに絶縁バリアと保液との機能をそれぞれ持たせるとともに、フィルムを張り合わせることで、熱収縮率が小さく、耐熱性に優れ、突き刺し強度が高いものとなる。これにより高温時にセパレータが劣化して起こる内部短絡や漏液がほぼ確実に防止される。
【0014】
また、本発明の非水電解質電池は、正極と負極とが、セパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、耐熱性バリア層フィルムが、正極側に配されていることを特徴とする。
【0015】
上述したような本発明に係る非水電解質電池では、耐熱性バリア層フィルムが、正極側となるようにセパレータが配されているので、充放電反応の影響によりセパレータ材質が劣化することがなく、十分な強度を保つことができる。これにより、長期間にわたって内部短絡や漏液がほぼ確実に防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセパレータ及び非水電解液電池の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明のセパレータ4を用いた、本発明の非水電解質電池の一構成例を示す縦断面図である。この非水電解液電池1は、フィルム状の正極2と、フィルム状の負極3とが、セパレータ4を介して密着状態で巻回された巻層体が、電池缶5内部に装填されてなる。
【0018】
正極2は、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤を集電体上に塗布、乾燥することにより作製される。集電体には例えばアルミニウム箔等の金属箔が用いられる。
【0019】
正極活物質には、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物又は特定の高分子を用いることができる。
【0020】
例えば、リチウム一次電池を構成する場合、正極活物質としては、TiS2、MnO2、黒鉛、FeS2等を使用することができる。また、リチウム二次電池を構成する場合、正極活物質としては、LiMxO2(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xはMの価数であって電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上、1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO2、LiNiO2、LiNiyCo1−yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。また、正極活物質として、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等の金属硫化物あるいは酸化物も使用することができる。正極2には、これらの正極活物質の複数種をあわせて使用してもよい。
【0021】
また、正極合剤の結着剤としては、通常、電池の正極合剤に用いられている公知の結着剤を用いることができるほか、正極合剤に導電剤等、公知の添加剤を添加することができる。
【0022】
負極3は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を、集電体上に塗布、乾燥することにより作製される。集電体には、例えば銅箔等の金属箔が用いられる。
【0023】
リチウム一次電池又はリチウム二次電池を構成する場合、負極材料としては、リチウム、リチウム合金、又はリチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することが好ましい。リチウムをドープ、脱ドープできる材料として、例えば、難黒鉛化炭素系材料やグラファイト系材料等の炭素材料を使用することができる。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。コークス類には、ピッチコークス、ニートルコークス、石油コークス等がある。また、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものを示す。
【0024】
上述した炭素材料のほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料として、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することもできる。また、リチウム合金として、リチウム−アルミニウム合金等を使用することができる。
【0025】
また、負極合剤の結着剤としては、通常リチウムイオン電池の負極合剤に用いられている公知の結着剤を用いることができるほか、負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0026】
非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解して調製される。電解質としては、通常、電池電解液に用いられている公知の電解質を使用することができる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6等のリチウム塩を挙げることができる。その中でも特にLiPF6、LiBF4が酸化安定性の点から望ましい。
【0027】
このような電解質は、非水溶媒中に0.1モル/リットル〜3.0モル/リットルの濃度で溶解されていることが好ましい。さらに好ましくは、0.5モル/リットル〜2.0モル/リットルである。
【0028】
また、非水溶媒としては、従来より非水電解液に使用されている種々の非水溶媒を使用することができる。例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の環状炭酸エステルや、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の鎖状炭酸エステル、プロピオン酸メチルや酪酸メチル等のカルボン酸エステル、γ−ブチルラクトン、スルホラン、2−メチルテトラヒドロフランやジメトキシエタン等のエーテル類等を使用することができる。これらの非水溶媒は単独で使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。その中でも特に、酸化安定性の点からは、炭酸エステルを用いることが好ましい。
【0029】
つぎに、本発明のセパレータ4について説明する。本発明のセパレータ4は、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが貼り合わされてなる。
【0030】
まず、耐熱性バリア層フィルムについて説明する。耐熱性バリア層フィルムは、高温時における形状安定性が必要である。これを達成するためにはマクロな熱機械強度、高温化学安定性などの性質を一定範囲内に規定する必要がある。
【0031】
マクロな熱機械強度においては、まず耐熱性バリア層フィルム自身の形態を規定することが重要である。一定以上の強度を得るには、一定以上の厚みを持つ均質なフィルム状であることが好ましい。
【0032】
耐熱性バリア層フィルムの厚みとしては、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上、25μm以下の範囲であることがより好ましく、2μm以上、15μm以下の範囲であることがさらに好ましい。厚みが薄すぎると、シャットダウン機能が不充分だったり、巻回時に正極2と負極3とが短絡する虞があり、厚みが厚すぎると、電気化学反応に寄与しないセパレータ4の体積が占める割合が多くなって高電気容量化が達成できない場合がある。
【0033】
また、耐熱性バリア層フィルムは、正極2と負極3との間に配置するため、反応イオン種の移動を妨げないように、最小限の貫通孔を有する必要がある。まず、厚み方向から見た孔の形状としては、いずれの形状も使用可能であるが、長方形、台形、三角形などの矩形や少なくとも一部が曲線で囲まれる形状であることが好ましい。また、それらが2種以上含まれていてもよい。面方向から見た孔の形状としては、厚み方向から見た孔の形状と同様、いずれの形状も使用可能であるが、長方形、台形、三角形などの矩形、円形、楕円形や少なくとも一部が曲線で囲まれる形などが好ましい。また、それらが2種以上含まれていてもよい。
【0034】
耐熱性バリア層フィルムにおいて、孔の大きさとしては、0.1μm以上、50μm以下の範囲が好ましく、1μm以上、20μm以下の範囲がより好ましく、1μm以上、10μm以下の範囲がさらに好ましい。耐熱性バリア層フィルムの孔径が50μmより大きいと、膜強度が下がって正極2と負極3との間で短絡が起きやすくなる。一方、耐熱性バリア層フィルムの孔径が0.1μmより小さいと、イオン透過性が悪くなる。孔の大きさは水銀ポロシメータなどで測定することができる。孔の形成方法としては、延伸、微粒子を混ぜる、レーザーで孔をあける等の方法が挙げられる。
【0035】
耐熱性バリア層フィルムの空隙率は、30%以上、90%以下の範囲が好ましく、35%以上、70%以下の範囲がより好ましく、40%以上、60%以下の範囲がさらに好ましい。空隙率が30%未満では反応イオン種が十分に移動できない場合があり、90%を超えると強度が不十分となり、またシャットダウン機能が低下する場合がある。なお、空隙率とはフィルムの単位体積当たりに占める空隙の割合であり、貫通孔部分も含むものである。
【0036】
耐熱性バリア層フィルムの材質としては、JIS K7207準拠の18.6kg/cm2荷重時の測定における加熱ひずみ温度が100℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂が好ましい。さらに、過酷な使用による高温下でもより安全であるために、本発明における耐熱樹脂は、荷重たわみ温度が170℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂であることがより好ましい。
【0037】
また、耐熱性バリア層フィルムの材質は、軟化点が100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることがさらに好ましい。
【0038】
このような耐熱性バリア層フィルムの材質として、具体的には、例えばポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート、エチレン−シクロオレフィン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、芳香族ポリエステルからなる群から選ばれる有機高分子化合物等が好ましいものとして挙げられる。また、高温環境下における化学的安定性(耐溶剤性、耐薬品性、耐酸化還元性、耐酸塩基性)に優れたものが好ましい。
【0039】
また、耐熱性バリア層フィルムの熱収縮率は、150℃で30分放置した状態で、10%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。
【0040】
本発明で使用される耐熱性バリア層フィルムは、孔構造をできるだけ保つ、変形の少ないもの、もしくは、変形してもできるだけ孔形状が元に戻る弾性の高いものが好ましい。電池内部では充放電を繰り返すことによって、電極材質が膨れ、それによるセパレータ4への圧力上昇があるからである。このような樹脂としては、ゲル状、ゴム状、形状記憶の性質をもつ物質などがあげられる。
【0041】
耐熱性バリア層フィルムの作製方法としては、上述した厚みのものが得られればいかなる方法も利用可能である。押し出し成型、キャスト、圧延、繊維の編み込みなどの方法があるが、特に、押し出し成型による方法が好ましい。これらは、1層からなるものでも良いし、2層以上であってもかまわない。
【0042】
また、耐熱性バリア層フィルムは、無機微粉末を含有していてもよい。無機微粉末の含有量は、耐熱樹脂100重量部に対して1重量部〜1500重量部、好ましくは5重量部〜100重量部である。無機微粉末の粒径は、耐熱性バリア層フィルムの膜厚より小さいことが好ましく、一次粒子の平均粒径が1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下の粉末であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。
【0043】
無機微粉末の種類は特に限定はされないが、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は炭酸カルシウムが好ましい。これらの無機微粉末は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。また、無機微粉末の含有量によって耐熱性バリア層フィルムの空隙率を制御し、イオン透過性を向上させることが可能である。
【0044】
つぎに、保液層フィルムについて説明する。保液層フィルムは、高分子量ポリオレフィンからなる。高分子量ポリオレフィンとしては、重合平均分子量が5×106以上、好ましくは1×106〜15×106の範囲のものである。重合平均分子量が5×105未満では、高強度の多孔質フィルムが得にくい。一方、分子量の上限は特に限定しないが、15×106を超える場合にはシート状に成形しにくい。
【0045】
高分子量ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した高分子量の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのうちプロピレンを主体とするポリプロピレンであると強度も高く、工業的で入手しやすく、エチレンを主体とする高分子量ポリエチレンであると吸熱性も高く安全性も高まる。利用目的において最適なものが選択可能である。
【0046】
本発明で使用される保液層フィルムは、単一物質からなるものでも、必要に応じて異なるポリオレフィンが何層にも積層されていてもよい。
【0047】
保液層フィルムの空隙率は、30体積%〜80体積%が好ましく、さらに好ましくは40体積%〜70体積%である。空隙率が30体積%未満では電解液の保持量が少なくなる場合があり、80%を超えると強度が不十分となり、またシャットダウン機能が低下する場合がある。なお、ここでの空隙率は、保液層フィルムに含まれる隙間の度合、すなわち、保液層フィルム全容積に対する空間の容積の割合である。
【0048】
また、保液層フィルムの厚みは、5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。厚みが薄すぎると、シャットダウン機能が不充分だったり、巻回時に正極2と負極3とが短絡する虞があり、厚すぎると高電気容量化が達成できない場合がある。
【0049】
保液層フィルムの孔径としては、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。保液層フィルムの孔径が0.1μmより大きい場合、膜強度が下がり、正極2と負極3との間で短絡が起きやすくなる。保液層フィルムにおいては、孔径が小さくなることによって同じ透気度でも膜抵抗の値が小さな多孔質フィルムとなる。
【0050】
そして、本発明のセパレータ4は、上述したような耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが積層されてなる構造であることを特徴とする。このような複数層構造のセパレータ4は、熱収縮が少なく、耐熱性に優れ、突き刺し強度が高いものとなる。
【0051】
特に、本発明のセパレータ4では、突き刺し強度が400gf以上である。突き刺し強度を400gf以上とすることで、充放電に伴う析出物等がセパレータ4を貫通する等して起こるセパレータ4の破損を防ぐことができ、内部での微小短絡を防ぐことができる。
【0052】
また、このセパレータ4の膜抵抗は、5Ω以下であることが好ましい。膜抵抗が5Ωよりも大きいと、イオン透過性が十分でなく、反応イオン種の移動を妨げ、高容量を得ることができない。セパレータ4の膜抵抗を5Ω以下とすることで、十分なイオン透過性を有し、高容量を得ることができる。
【0053】
そして、このようなセパレータ4を用いた本発明の非水電解液電池1は、漏液や内部短絡が抑えられて、信頼性に優れたものとなる。
【0054】
セパレータ4の製造方法としては、例えば、上述したような耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを接着剤、熱融着、圧力、分子間力、水素結合、静電気等により張り合わせる方法や、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを単純に重ねる方法などが挙げられる。
【0055】
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ビニリデンフロライドの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフロロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0056】
また、本発明のセパレータ4は、必要に応じて、耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムが、異なる材料からなる複数の層が積層されていてもよい。耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムを積層構造とすることで、強度をさらに優れたものとすることができる。好ましくは2層若しくは3層である。上限は特に限定しないが、4層以上となると膜厚が大きくなり、電池内部に占めるセパレータ4の体積が大きくなり、大きな電池容量を得にくくなる。
【0057】
また、耐熱性バリア層フィルム及び保液層フィルムには、必要に応じて本発明の目的を損じない範囲で一般に使用される添加剤(帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、造核剤等)を加えてもよい。
【0058】
そして、このような非水電解液電池1は、つぎのようにして製造される。
【0059】
正極2は、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤を、正極集電体となる例えばアルミニウム箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成することにより作製される。正極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、正極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0060】
負極3は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を、負極集電体となる例えば銅箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成することにより作製される。負極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0061】
以上のようにして得られる正極2と、負極3とを、上述した耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが積層されてなるセパレータ4を介して積層、密着させ、渦巻型に多数回巻回することにより巻層体が構成される。
【0062】
このとき、本発明では、耐熱性バリア層フィルムが正極2側となるように、セパレータ4を配している。保液層フィルムが正極2側となるようにセパレータ4を配した場合、保液層フィルムの材料であるポリオレフィンが、高温時に正極2から放出される酸素により劣化してしまう。これによりセパレータ4の強度が低下してしまい、微小な内部短絡の発生が増加してしまう。
【0063】
正極2と負極3とをセパレータ4を介して積層する際に、保液層フィルムが正極2側ではないように、すなわち、耐熱性バリア層フィルムが正極2側となるように配することで、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられた、信頼性の高い非水電解液電池が得られる。
【0064】
次に、その内側にニッケルメッキを施した鉄製の電池缶5の底部に絶縁板6を挿入し、さらに巻層体を収納する。そして負極3の集電をとるために、例えばニッケルからなる負極リード7の一端を負極3に圧着させ、他端を電池缶5に溶接する。これにより、電池缶5は負極3と導通をもつこととなり、非水電解液電池1の外部負極となる。また、正極2の集電をとるために、例えばアルミニウムからなる正極リード8の一端を正極2に取り付け、他端を電流遮断用薄板9を介して電池蓋10と電気的に接続する。この電流遮断用薄板9は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋10は正極2と導通をもつこととなり、非水電解液電池1の外部正極となる。
【0065】
次に、この電池缶5の中に非水電解液を注入する。この非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解させて調製される。
【0066】
次に、アスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット11を介して電池缶5をかしめることにより電池蓋10が固定されて円筒型の非水電解液電池1が作製される。
【0067】
なお、この非水電解液電池1においては、図1に示すように、例えば巻層体の巻芯等になるセンターピン12が設けられているとともに、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁装置13及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC素子14が設けられている。
【0068】
上述したような本発明の非水電解液電池1では、セパレータ4が、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着してなる構造とされていることによって、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れることから、特に高温時にセパレータ4が劣化して起こる内部短絡や、内部短絡に伴う漏液が防止されて、信頼性に優れたものとなる。
【0069】
また、この非水電解液電池1では、耐熱性バリア層が正極2側となるようにセパレータ4が配されているので、高温時に正極2から放出される酸素による劣化がなく、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられて、特に信頼性の高いものとなる。
【0070】
さらに、この非水電解液電池1では、セパレータ4が耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを接着することで形成されており、例えば保液層フィルム上に耐熱性バリア層フィルムの原料となるような塗液を塗布することで形成する場合に比べ、セパレータ4の厚み等のバラツキを抑制でき、セパレータ4の製造歩留まりを向上できる。
【0071】
なお、上述した実施の形態では、非水電解液を用いた非水電解液電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性高分子化合物の単体あるいは混合物を含有する高分子固体電解質を用いた固体電解質電池や、膨潤溶媒を含有するゲル状の固体電解質を用いたゲル状電解質電池についても適用可能である。
【0072】
固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも用いることができる。無機固体電解質として、窒化リチウム、よう化リチウムが挙げられる。高分子固体電解質は電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物はポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系などを単独あるいは分子中に共重合、又は混合して用いることができる。
【0073】
ゲル状電解質のマトリックスとしては非水電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子が利用できる。たとえばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリル)などを使用できる。特に酸化還元安定性から、フッ素系高分子を用いることが望ましい。電解質塩を含有させることによりイオン導電性を賦与する。
【0074】
また、上述した実施の形態では、二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述したセパレータ4を用いるものであれば、一次電池についても適用可能である。また、本発明の電池は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等、その形状については特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認すべく行ったサンプルについて説明するが、本発明がこの例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0076】
<サンプル1>
サンプル1では、負極を作製するに際し、まず、以下のようにして負極活物質を得た。フィラーとなる石炭系コークスの100重量部に、バインダーとしてコールタール系ピッチを30重量部加え、約100℃で混合した後、プレスにて圧縮成型し、炭素成型体の前駆体を得た。この前駆体を1000℃以下で熱処理して得た炭素材料成型体に、さらに、200℃以下で溶融させたバインダーピッチを含浸し、1000℃以下で熱処理するという、ピッチ含浸/焼成工程を数回繰り返した。その後、この炭素成型体を不活性雰囲気下2800℃にて熱処理し、黒鉛化成型体を得た後、粉砕分級し試料粉末を作製した。
【0077】
なお、このとき得られた黒鉛材料についてX線回折測定を行った結果、(002)面の面間隔は0.337nm、(002)面のC軸結晶子厚みが50.0nm、ピクノメータ法による真密度は2.23、BET法による比表面積が1.6m2/g、レーザー回折法による粒度分布は平均粒径が33.0μm、累積10%粒径が13.3μm、累積50%粒径が30.6μm、累積90%粒径が55.7μm、黒鉛粒子の破壊強度の平均値が7.1gf/mm2で、嵩密度が0.98g/cm3であった。
【0078】
そして、つぎのようにして負極を作製した。混合試料粉末を90重量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を10重量部とを混合して負極合剤を調製し、溶剤となるN−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0079】
負極集電体として厚さ10μmの帯状の銅箔を用い、負極合剤スラリーをこの集電体の両面に塗布、乾燥させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状負極を作製した。
【0080】
正極を作製するに際し、まず、正極活物質を以下のようにして得た。炭酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1モルとを混合し、この混合物を、空気中、温度880℃で5時間焼成した。得られた材料についてX線回折測定を行った結果、JCPDSファイルに登録されたLiCoO2のピークと良く一致していた。
【0081】
そして、以下のようにして正極を作製した。得られたLiCoO2を粉砕し、平均粒径が8μmの粉末とした。そして、このLiCoO2粉末を95重量部と炭酸リチウム粉末を5重量部混合し、この混合物の91重量部と、導電剤として鱗片状黒鉛を6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3重量部とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0082】
正極集電体として厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔を用い、正極合剤スラリーをこの集電体の両面に均一に塗布、乾燥させた後、圧縮成型して帯状正極を作製した。
【0083】
セパレータを以下のようにして作製した。耐熱性バリア層フィルムとして、ポリエチレンテレフタラート(東レ:ルミラー)を用い、レーザーを用いて孔をあけた。セパレータの空隙率に関しては、水銀圧入法ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製:ポアマスター)で測定した。このときの空隙率は60%であった。融点は265℃であった。
【0084】
一方、保液層フィルムとして、微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用いた。そして、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。セパレータの融点に関しては、セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220U(DSC:Differential Scanning Calorimeter)で昇温速度5℃/分で行ない、吸熱ピーク温度を融点とした。
【0085】
次いで、以上のようにして作製された帯状負極、帯状正極を、上述した2層フィルムよりなるセパレータを介して積層し、長手方向に巻回することにより外径18mmの渦巻型電極体を作製した。このとき、耐熱性バリア層フィルム側が正極側となるように、セパレータを配した。
【0086】
このようにして作製した渦巻型電極体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納した。そして、渦巻式電極上下両面には絶縁板を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から導出して電池蓋に溶接し、ニッケル製負極リードを負極集電体から導出して電池缶に溶接した。
【0087】
この電池缶5の中に、ジメチルカーボネート(DMC)を50重量部と、エチレンカーボネートを40重量部と、LiPF6を10重量部とを混合、溶解して調製した非水電解液を注入した。
【0088】
次いで、アスファルトで表面を塗布した絶縁封口ガスケットを介して電池缶をかしめることにより、電流遮断機構を有する安全弁装置、PTC素子並びに電池蓋を固定し、電池内の気密性を保持させ、直径18mm、高さ65mmの円筒型非水電解液二次電池を作製した。
【0089】
<サンプル2>
サンプル2では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ:トレリナ)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0090】
<サンプル3>
サンプル3では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリイミドフィルム(東レデュポン:カプトン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0091】
<サンプル4>
サンプル4では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0092】
<サンプル5>
サンプル5では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0093】
<サンプル6>
サンプル6では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムと微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムの2層フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この3層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0094】
<サンプル7>
サンプル7では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムと微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムと微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムとの3層フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この4層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0095】
<サンプル8>
サンプル8では、微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムのみからなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0096】
<サンプル9>
サンプル9では、保液層フィルムとなる微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムに、耐熱性バリア層としてアラミド樹脂を塗布してフィルム化させて耐熱性バリア層と保液層フィルムとからなるセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0097】
<サンプル10>
サンプル10では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリエチレンテレフタラート(東レ:ルミラー)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。
【0098】
そして、負極と正極とをセパレータを介して積層、巻回して電極体を作製する際に、耐熱性バリア層フィルム側が負極側となるように、セパレータを配したこと以外は、サンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0099】
(評価)
以上のようにして作製された各サンプルの電池について、充放電試験を行った。
【0100】
各サンプルの電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.3A、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、23℃雰囲気中で1ヶ月間保存した。その後にOCV測定を行ない、4.15V以下の電池を不良品とした。
【0101】
また、漏液発生率を次のように評価した。各サンプルの電池に対して、上限電圧4.2V、電流0.3A、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、110℃雰囲気中で10時間保存、いわゆる高温貯蔵中に漏液した電池を漏液品とした。また、このときOCV測定を行い、4.15V以下の電池を不良品とした。また、突き刺し強度は以下のようにして測定した。カトーテック製KES−G5ハンディー圧縮試験機を用い、突き刺し針の直径が1mm、先端形状を曲率半径0.5mmとし、突き刺し速度を2mm/secとする条件で各サンプルのセパレータを突き刺し、機器が示す最大突き刺し荷重を測定した。
【0102】
各サンプルのセパレータ及び電池についての評価結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1から明らかなように、ポリエチレンフィルムだけからなるセパレータを用いたサンプル8では、耐熱性が十分ではなく、高温貯蔵での漏液やOCV不良率が多くなってしまっている。また、2枚のフィルムを貼り合わせるのではなく、フィルム上に樹脂溶液を塗布することにより2層構造として形成したセパレータを用いたサンプル9では、突き刺し強度が耐熱性バリア層フィルムを貼り合わせた物に比べて小さいことから、高温貯蔵時の漏液やOCV不良率が多くなってしまう。
【0105】
これに対し、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを張り合わせて作製したサンプル1〜サンプル7では、耐熱性が向上しており、高温貯蔵時の漏液発生率やOCV不良発生率が低く抑えられていることが明らかである。また、サンプル6及びサンプル7では、保液層フィルムを2層、3層構造とすることで、高温貯蔵時に漏液をほぼ完全に抑えることができていることがわかる。なお、耐熱性バリア層フィルムにおいて、サンプル3〜サンプル7の材質をポリイミド、アラミドとするものは、PETやPPSでの融点に相当する物が無く、分解温度が550℃であるが、耐熱性はPETやPPSと同等以上である。
【0106】
以上の結果より、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを貼り合わせることで、熱収縮が小さく、強度に優れたものとなり、特に高温時での漏液を防止できることがわかった。耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを貼り合わせたセパレータは、保液層フィルムに耐熱性バリア層を塗布して作製したセパレータに比べて突き刺し強度を向上できることがわかった。
【0107】
また、同じセパレータを用いて、その配し方をサンプル1に対して逆にしたサンプル10では、耐熱性バリア層フィルムが正極側となるように配したサンプル1に比べ、高温強度が低く、微小な内部短絡の発生による不良が多くなっている。
【0108】
保液層フィルムが正極側となるように配したサンプル10では、セパレータの強度が低下してしまい、微小な内部短絡の発生により不良率が増加してしまっている。これは、保液層フィルムの材料であるポリエチレンが、高温時に正極から放出される酸素により劣化してしまうためと推察される。
【0109】
以上の結果より、正極と負極とをセパレータを介して積層する際に、保液層フィルムが正極側にない、すなわち、耐熱性バリア層フィルムを正極側に配することで、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられた、信頼性の高い非水電解液電池が得られることがわかった。
【0110】
【発明の効果】
本発明では、セパレータを、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着してなる構造としているので、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れたものとなる。そしてこのセパレータを用いた本発明の非水電解質電池は、特に高温時での漏液が防止されて、信頼性に優れたものとなる。
【0111】
また、本発明では、耐熱性バリア層が正極側となるようにセパレータを配しているので、高温時に正極から放出される酸素による劣化がなく、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられて、特に信頼性の高い非水電解質電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水電解液電池の一構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池、 2 正極、 3 負極、 4 セパレータ、 5 電池缶、 6 絶縁板、 7 負極リード、 8 正極リード、 9 電流遮断用薄板、 10 電池蓋、 11 絶縁封口ガスケット、 12 センターピン、13 安全弁装置、 14 PTC素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池温度上昇による漏液をより確実に防止することのできる高信頼性のセパレータ及びそれを用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などを含むポータブル情報機器の普及が著しい。マルチメディアとしてのこれらの機器は多機能であることが望まれるため、電源に用いられる二次電池には小型、軽量でありながら大容量であること、即ち高エネルギー密度であることが求められている。この点において、従来の鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池等の水溶液系二次電池は満足できるものではなく、より高いエネルギー密度を実現できるリチウムイオン二次電池、特にコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムマンガンスピネル等のリチウム複合酸化物を正極活物質とし、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材を負極活物質とするリチウムイオン二次電池の研究開発がさかんに行われている。
【0003】
他の二次電池に比べ、リチウムイオン二次電池は重量当たりのエネルギー密度が高く、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル電子機器用途では必須の電源といえる。
【0004】
ところで、車載向けの電子機器の使用条件の中では、真夏の車中ダッシュボード上の環境温度が最も高く、100℃以上になる場合もあると言われている。特に電子機器を突発的に前記環境に置いた場合、熱衝撃によって環境以上の温度に達することがある。その原因は不明ではあるが、活性な電極材料が急激な温度変化におかれた場合、自己放電などの何らかの反応が加速され、一部反応熱を発し、環境温度以上に電池温度が上昇することが考えられる。そして、ポリエチレン製のセパレータが部分的に溶融し、正負極間での微少短絡が起こり、温度上昇を助長する。その際には、現在の製品では急激な安全性の低下に至るということはないが、電池封口部分より電解液の漏液が起こり、周囲の電子機器等に影響を与えてしまう信頼性の問題が生じることがある。
【0005】
特許文献1には、シャットダウン層と耐熱多孔質層とを有するセパレータが開示されている。このセパレータは、どちらか一方を基体として、他方を溶液状態で塗工することにより積層体を形成している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−266949号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように塗布液を塗布することにより作製されたセパレータでは、強度、特に突き刺し強度が十分ではなく、正負極の微弱なショートが起こり、例えば充放電に伴う析出物等によりセパレータが破損し、内部での微小短絡を引き起こしてしまうおそれがある。
【0008】
また、セパレータの配し方によっては、充放電反応の影響により、セパレータ材質が劣化してしまい、十分な強度を保つことができない場合もある。
【0009】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱収縮率が小さく、十分な強度を有するセパレータ、及び急激な電池温度上昇が起こったとしても、漏液などが起こらない高信頼性の非水電解質電電池を提供することを目的とする。また、本発明は、セパレータの優れた強度を長期間に亘って維持することができる高信頼性の非水電解質電電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のセパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする。
【0011】
上述したような本発明に係るセパレータは、フィルムに絶縁バリアと保液との機能をそれぞれ持たせるとともに、フィルムを張り合わせることで、熱収縮率が小さく、強度に優れたものとなる。
【0012】
また、本発明の非水電解質電池は、正極と負極とがセパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする。
【0013】
上述したような本発明に係る非水電解質電池は、セパレータが、フィルムに絶縁バリアと保液との機能をそれぞれ持たせるとともに、フィルムを張り合わせることで、熱収縮率が小さく、耐熱性に優れ、突き刺し強度が高いものとなる。これにより高温時にセパレータが劣化して起こる内部短絡や漏液がほぼ確実に防止される。
【0014】
また、本発明の非水電解質電池は、正極と負極とが、セパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、耐熱性バリア層フィルムが、正極側に配されていることを特徴とする。
【0015】
上述したような本発明に係る非水電解質電池では、耐熱性バリア層フィルムが、正極側となるようにセパレータが配されているので、充放電反応の影響によりセパレータ材質が劣化することがなく、十分な強度を保つことができる。これにより、長期間にわたって内部短絡や漏液がほぼ確実に防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセパレータ及び非水電解液電池の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明のセパレータ4を用いた、本発明の非水電解質電池の一構成例を示す縦断面図である。この非水電解液電池1は、フィルム状の正極2と、フィルム状の負極3とが、セパレータ4を介して密着状態で巻回された巻層体が、電池缶5内部に装填されてなる。
【0018】
正極2は、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤を集電体上に塗布、乾燥することにより作製される。集電体には例えばアルミニウム箔等の金属箔が用いられる。
【0019】
正極活物質には、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物又は特定の高分子を用いることができる。
【0020】
例えば、リチウム一次電池を構成する場合、正極活物質としては、TiS2、MnO2、黒鉛、FeS2等を使用することができる。また、リチウム二次電池を構成する場合、正極活物質としては、LiMxO2(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xはMの価数であって電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上、1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO2、LiNiO2、LiNiyCo1−yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。また、正極活物質として、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等の金属硫化物あるいは酸化物も使用することができる。正極2には、これらの正極活物質の複数種をあわせて使用してもよい。
【0021】
また、正極合剤の結着剤としては、通常、電池の正極合剤に用いられている公知の結着剤を用いることができるほか、正極合剤に導電剤等、公知の添加剤を添加することができる。
【0022】
負極3は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を、集電体上に塗布、乾燥することにより作製される。集電体には、例えば銅箔等の金属箔が用いられる。
【0023】
リチウム一次電池又はリチウム二次電池を構成する場合、負極材料としては、リチウム、リチウム合金、又はリチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することが好ましい。リチウムをドープ、脱ドープできる材料として、例えば、難黒鉛化炭素系材料やグラファイト系材料等の炭素材料を使用することができる。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。コークス類には、ピッチコークス、ニートルコークス、石油コークス等がある。また、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものを示す。
【0024】
上述した炭素材料のほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料として、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することもできる。また、リチウム合金として、リチウム−アルミニウム合金等を使用することができる。
【0025】
また、負極合剤の結着剤としては、通常リチウムイオン電池の負極合剤に用いられている公知の結着剤を用いることができるほか、負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0026】
非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解して調製される。電解質としては、通常、電池電解液に用いられている公知の電解質を使用することができる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6等のリチウム塩を挙げることができる。その中でも特にLiPF6、LiBF4が酸化安定性の点から望ましい。
【0027】
このような電解質は、非水溶媒中に0.1モル/リットル〜3.0モル/リットルの濃度で溶解されていることが好ましい。さらに好ましくは、0.5モル/リットル〜2.0モル/リットルである。
【0028】
また、非水溶媒としては、従来より非水電解液に使用されている種々の非水溶媒を使用することができる。例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の環状炭酸エステルや、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の鎖状炭酸エステル、プロピオン酸メチルや酪酸メチル等のカルボン酸エステル、γ−ブチルラクトン、スルホラン、2−メチルテトラヒドロフランやジメトキシエタン等のエーテル類等を使用することができる。これらの非水溶媒は単独で使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。その中でも特に、酸化安定性の点からは、炭酸エステルを用いることが好ましい。
【0029】
つぎに、本発明のセパレータ4について説明する。本発明のセパレータ4は、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが貼り合わされてなる。
【0030】
まず、耐熱性バリア層フィルムについて説明する。耐熱性バリア層フィルムは、高温時における形状安定性が必要である。これを達成するためにはマクロな熱機械強度、高温化学安定性などの性質を一定範囲内に規定する必要がある。
【0031】
マクロな熱機械強度においては、まず耐熱性バリア層フィルム自身の形態を規定することが重要である。一定以上の強度を得るには、一定以上の厚みを持つ均質なフィルム状であることが好ましい。
【0032】
耐熱性バリア層フィルムの厚みとしては、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上、25μm以下の範囲であることがより好ましく、2μm以上、15μm以下の範囲であることがさらに好ましい。厚みが薄すぎると、シャットダウン機能が不充分だったり、巻回時に正極2と負極3とが短絡する虞があり、厚みが厚すぎると、電気化学反応に寄与しないセパレータ4の体積が占める割合が多くなって高電気容量化が達成できない場合がある。
【0033】
また、耐熱性バリア層フィルムは、正極2と負極3との間に配置するため、反応イオン種の移動を妨げないように、最小限の貫通孔を有する必要がある。まず、厚み方向から見た孔の形状としては、いずれの形状も使用可能であるが、長方形、台形、三角形などの矩形や少なくとも一部が曲線で囲まれる形状であることが好ましい。また、それらが2種以上含まれていてもよい。面方向から見た孔の形状としては、厚み方向から見た孔の形状と同様、いずれの形状も使用可能であるが、長方形、台形、三角形などの矩形、円形、楕円形や少なくとも一部が曲線で囲まれる形などが好ましい。また、それらが2種以上含まれていてもよい。
【0034】
耐熱性バリア層フィルムにおいて、孔の大きさとしては、0.1μm以上、50μm以下の範囲が好ましく、1μm以上、20μm以下の範囲がより好ましく、1μm以上、10μm以下の範囲がさらに好ましい。耐熱性バリア層フィルムの孔径が50μmより大きいと、膜強度が下がって正極2と負極3との間で短絡が起きやすくなる。一方、耐熱性バリア層フィルムの孔径が0.1μmより小さいと、イオン透過性が悪くなる。孔の大きさは水銀ポロシメータなどで測定することができる。孔の形成方法としては、延伸、微粒子を混ぜる、レーザーで孔をあける等の方法が挙げられる。
【0035】
耐熱性バリア層フィルムの空隙率は、30%以上、90%以下の範囲が好ましく、35%以上、70%以下の範囲がより好ましく、40%以上、60%以下の範囲がさらに好ましい。空隙率が30%未満では反応イオン種が十分に移動できない場合があり、90%を超えると強度が不十分となり、またシャットダウン機能が低下する場合がある。なお、空隙率とはフィルムの単位体積当たりに占める空隙の割合であり、貫通孔部分も含むものである。
【0036】
耐熱性バリア層フィルムの材質としては、JIS K7207準拠の18.6kg/cm2荷重時の測定における加熱ひずみ温度が100℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂が好ましい。さらに、過酷な使用による高温下でもより安全であるために、本発明における耐熱樹脂は、荷重たわみ温度が170℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂であることがより好ましい。
【0037】
また、耐熱性バリア層フィルムの材質は、軟化点が100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることがさらに好ましい。
【0038】
このような耐熱性バリア層フィルムの材質として、具体的には、例えばポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート、エチレン−シクロオレフィン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、芳香族ポリエステルからなる群から選ばれる有機高分子化合物等が好ましいものとして挙げられる。また、高温環境下における化学的安定性(耐溶剤性、耐薬品性、耐酸化還元性、耐酸塩基性)に優れたものが好ましい。
【0039】
また、耐熱性バリア層フィルムの熱収縮率は、150℃で30分放置した状態で、10%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。
【0040】
本発明で使用される耐熱性バリア層フィルムは、孔構造をできるだけ保つ、変形の少ないもの、もしくは、変形してもできるだけ孔形状が元に戻る弾性の高いものが好ましい。電池内部では充放電を繰り返すことによって、電極材質が膨れ、それによるセパレータ4への圧力上昇があるからである。このような樹脂としては、ゲル状、ゴム状、形状記憶の性質をもつ物質などがあげられる。
【0041】
耐熱性バリア層フィルムの作製方法としては、上述した厚みのものが得られればいかなる方法も利用可能である。押し出し成型、キャスト、圧延、繊維の編み込みなどの方法があるが、特に、押し出し成型による方法が好ましい。これらは、1層からなるものでも良いし、2層以上であってもかまわない。
【0042】
また、耐熱性バリア層フィルムは、無機微粉末を含有していてもよい。無機微粉末の含有量は、耐熱樹脂100重量部に対して1重量部〜1500重量部、好ましくは5重量部〜100重量部である。無機微粉末の粒径は、耐熱性バリア層フィルムの膜厚より小さいことが好ましく、一次粒子の平均粒径が1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下の粉末であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。
【0043】
無機微粉末の種類は特に限定はされないが、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は炭酸カルシウムが好ましい。これらの無機微粉末は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。また、無機微粉末の含有量によって耐熱性バリア層フィルムの空隙率を制御し、イオン透過性を向上させることが可能である。
【0044】
つぎに、保液層フィルムについて説明する。保液層フィルムは、高分子量ポリオレフィンからなる。高分子量ポリオレフィンとしては、重合平均分子量が5×106以上、好ましくは1×106〜15×106の範囲のものである。重合平均分子量が5×105未満では、高強度の多孔質フィルムが得にくい。一方、分子量の上限は特に限定しないが、15×106を超える場合にはシート状に成形しにくい。
【0045】
高分子量ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した高分子量の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのうちプロピレンを主体とするポリプロピレンであると強度も高く、工業的で入手しやすく、エチレンを主体とする高分子量ポリエチレンであると吸熱性も高く安全性も高まる。利用目的において最適なものが選択可能である。
【0046】
本発明で使用される保液層フィルムは、単一物質からなるものでも、必要に応じて異なるポリオレフィンが何層にも積層されていてもよい。
【0047】
保液層フィルムの空隙率は、30体積%〜80体積%が好ましく、さらに好ましくは40体積%〜70体積%である。空隙率が30体積%未満では電解液の保持量が少なくなる場合があり、80%を超えると強度が不十分となり、またシャットダウン機能が低下する場合がある。なお、ここでの空隙率は、保液層フィルムに含まれる隙間の度合、すなわち、保液層フィルム全容積に対する空間の容積の割合である。
【0048】
また、保液層フィルムの厚みは、5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。厚みが薄すぎると、シャットダウン機能が不充分だったり、巻回時に正極2と負極3とが短絡する虞があり、厚すぎると高電気容量化が達成できない場合がある。
【0049】
保液層フィルムの孔径としては、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。保液層フィルムの孔径が0.1μmより大きい場合、膜強度が下がり、正極2と負極3との間で短絡が起きやすくなる。保液層フィルムにおいては、孔径が小さくなることによって同じ透気度でも膜抵抗の値が小さな多孔質フィルムとなる。
【0050】
そして、本発明のセパレータ4は、上述したような耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが積層されてなる構造であることを特徴とする。このような複数層構造のセパレータ4は、熱収縮が少なく、耐熱性に優れ、突き刺し強度が高いものとなる。
【0051】
特に、本発明のセパレータ4では、突き刺し強度が400gf以上である。突き刺し強度を400gf以上とすることで、充放電に伴う析出物等がセパレータ4を貫通する等して起こるセパレータ4の破損を防ぐことができ、内部での微小短絡を防ぐことができる。
【0052】
また、このセパレータ4の膜抵抗は、5Ω以下であることが好ましい。膜抵抗が5Ωよりも大きいと、イオン透過性が十分でなく、反応イオン種の移動を妨げ、高容量を得ることができない。セパレータ4の膜抵抗を5Ω以下とすることで、十分なイオン透過性を有し、高容量を得ることができる。
【0053】
そして、このようなセパレータ4を用いた本発明の非水電解液電池1は、漏液や内部短絡が抑えられて、信頼性に優れたものとなる。
【0054】
セパレータ4の製造方法としては、例えば、上述したような耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを接着剤、熱融着、圧力、分子間力、水素結合、静電気等により張り合わせる方法や、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを単純に重ねる方法などが挙げられる。
【0055】
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ビニリデンフロライドの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフロロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0056】
また、本発明のセパレータ4は、必要に応じて、耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムが、異なる材料からなる複数の層が積層されていてもよい。耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムを積層構造とすることで、強度をさらに優れたものとすることができる。好ましくは2層若しくは3層である。上限は特に限定しないが、4層以上となると膜厚が大きくなり、電池内部に占めるセパレータ4の体積が大きくなり、大きな電池容量を得にくくなる。
【0057】
また、耐熱性バリア層フィルム及び保液層フィルムには、必要に応じて本発明の目的を損じない範囲で一般に使用される添加剤(帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、造核剤等)を加えてもよい。
【0058】
そして、このような非水電解液電池1は、つぎのようにして製造される。
【0059】
正極2は、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤を、正極集電体となる例えばアルミニウム箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成することにより作製される。正極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、正極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0060】
負極3は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を、負極集電体となる例えば銅箔等の金属箔上に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成することにより作製される。負極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0061】
以上のようにして得られる正極2と、負極3とを、上述した耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとが積層されてなるセパレータ4を介して積層、密着させ、渦巻型に多数回巻回することにより巻層体が構成される。
【0062】
このとき、本発明では、耐熱性バリア層フィルムが正極2側となるように、セパレータ4を配している。保液層フィルムが正極2側となるようにセパレータ4を配した場合、保液層フィルムの材料であるポリオレフィンが、高温時に正極2から放出される酸素により劣化してしまう。これによりセパレータ4の強度が低下してしまい、微小な内部短絡の発生が増加してしまう。
【0063】
正極2と負極3とをセパレータ4を介して積層する際に、保液層フィルムが正極2側ではないように、すなわち、耐熱性バリア層フィルムが正極2側となるように配することで、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられた、信頼性の高い非水電解液電池が得られる。
【0064】
次に、その内側にニッケルメッキを施した鉄製の電池缶5の底部に絶縁板6を挿入し、さらに巻層体を収納する。そして負極3の集電をとるために、例えばニッケルからなる負極リード7の一端を負極3に圧着させ、他端を電池缶5に溶接する。これにより、電池缶5は負極3と導通をもつこととなり、非水電解液電池1の外部負極となる。また、正極2の集電をとるために、例えばアルミニウムからなる正極リード8の一端を正極2に取り付け、他端を電流遮断用薄板9を介して電池蓋10と電気的に接続する。この電流遮断用薄板9は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋10は正極2と導通をもつこととなり、非水電解液電池1の外部正極となる。
【0065】
次に、この電池缶5の中に非水電解液を注入する。この非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解させて調製される。
【0066】
次に、アスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット11を介して電池缶5をかしめることにより電池蓋10が固定されて円筒型の非水電解液電池1が作製される。
【0067】
なお、この非水電解液電池1においては、図1に示すように、例えば巻層体の巻芯等になるセンターピン12が設けられているとともに、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁装置13及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC素子14が設けられている。
【0068】
上述したような本発明の非水電解液電池1では、セパレータ4が、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着してなる構造とされていることによって、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れることから、特に高温時にセパレータ4が劣化して起こる内部短絡や、内部短絡に伴う漏液が防止されて、信頼性に優れたものとなる。
【0069】
また、この非水電解液電池1では、耐熱性バリア層が正極2側となるようにセパレータ4が配されているので、高温時に正極2から放出される酸素による劣化がなく、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられて、特に信頼性の高いものとなる。
【0070】
さらに、この非水電解液電池1では、セパレータ4が耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを接着することで形成されており、例えば保液層フィルム上に耐熱性バリア層フィルムの原料となるような塗液を塗布することで形成する場合に比べ、セパレータ4の厚み等のバラツキを抑制でき、セパレータ4の製造歩留まりを向上できる。
【0071】
なお、上述した実施の形態では、非水電解液を用いた非水電解液電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導電性高分子化合物の単体あるいは混合物を含有する高分子固体電解質を用いた固体電解質電池や、膨潤溶媒を含有するゲル状の固体電解質を用いたゲル状電解質電池についても適用可能である。
【0072】
固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも用いることができる。無機固体電解質として、窒化リチウム、よう化リチウムが挙げられる。高分子固体電解質は電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物はポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系などを単独あるいは分子中に共重合、又は混合して用いることができる。
【0073】
ゲル状電解質のマトリックスとしては非水電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子が利用できる。たとえばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリル)などを使用できる。特に酸化還元安定性から、フッ素系高分子を用いることが望ましい。電解質塩を含有させることによりイオン導電性を賦与する。
【0074】
また、上述した実施の形態では、二次電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述したセパレータ4を用いるものであれば、一次電池についても適用可能である。また、本発明の電池は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等、その形状については特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認すべく行ったサンプルについて説明するが、本発明がこの例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0076】
<サンプル1>
サンプル1では、負極を作製するに際し、まず、以下のようにして負極活物質を得た。フィラーとなる石炭系コークスの100重量部に、バインダーとしてコールタール系ピッチを30重量部加え、約100℃で混合した後、プレスにて圧縮成型し、炭素成型体の前駆体を得た。この前駆体を1000℃以下で熱処理して得た炭素材料成型体に、さらに、200℃以下で溶融させたバインダーピッチを含浸し、1000℃以下で熱処理するという、ピッチ含浸/焼成工程を数回繰り返した。その後、この炭素成型体を不活性雰囲気下2800℃にて熱処理し、黒鉛化成型体を得た後、粉砕分級し試料粉末を作製した。
【0077】
なお、このとき得られた黒鉛材料についてX線回折測定を行った結果、(002)面の面間隔は0.337nm、(002)面のC軸結晶子厚みが50.0nm、ピクノメータ法による真密度は2.23、BET法による比表面積が1.6m2/g、レーザー回折法による粒度分布は平均粒径が33.0μm、累積10%粒径が13.3μm、累積50%粒径が30.6μm、累積90%粒径が55.7μm、黒鉛粒子の破壊強度の平均値が7.1gf/mm2で、嵩密度が0.98g/cm3であった。
【0078】
そして、つぎのようにして負極を作製した。混合試料粉末を90重量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を10重量部とを混合して負極合剤を調製し、溶剤となるN−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0079】
負極集電体として厚さ10μmの帯状の銅箔を用い、負極合剤スラリーをこの集電体の両面に塗布、乾燥させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状負極を作製した。
【0080】
正極を作製するに際し、まず、正極活物質を以下のようにして得た。炭酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1モルとを混合し、この混合物を、空気中、温度880℃で5時間焼成した。得られた材料についてX線回折測定を行った結果、JCPDSファイルに登録されたLiCoO2のピークと良く一致していた。
【0081】
そして、以下のようにして正極を作製した。得られたLiCoO2を粉砕し、平均粒径が8μmの粉末とした。そして、このLiCoO2粉末を95重量部と炭酸リチウム粉末を5重量部混合し、この混合物の91重量部と、導電剤として鱗片状黒鉛を6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3重量部とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0082】
正極集電体として厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔を用い、正極合剤スラリーをこの集電体の両面に均一に塗布、乾燥させた後、圧縮成型して帯状正極を作製した。
【0083】
セパレータを以下のようにして作製した。耐熱性バリア層フィルムとして、ポリエチレンテレフタラート(東レ:ルミラー)を用い、レーザーを用いて孔をあけた。セパレータの空隙率に関しては、水銀圧入法ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製:ポアマスター)で測定した。このときの空隙率は60%であった。融点は265℃であった。
【0084】
一方、保液層フィルムとして、微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用いた。そして、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。セパレータの融点に関しては、セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220U(DSC:Differential Scanning Calorimeter)で昇温速度5℃/分で行ない、吸熱ピーク温度を融点とした。
【0085】
次いで、以上のようにして作製された帯状負極、帯状正極を、上述した2層フィルムよりなるセパレータを介して積層し、長手方向に巻回することにより外径18mmの渦巻型電極体を作製した。このとき、耐熱性バリア層フィルム側が正極側となるように、セパレータを配した。
【0086】
このようにして作製した渦巻型電極体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納した。そして、渦巻式電極上下両面には絶縁板を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から導出して電池蓋に溶接し、ニッケル製負極リードを負極集電体から導出して電池缶に溶接した。
【0087】
この電池缶5の中に、ジメチルカーボネート(DMC)を50重量部と、エチレンカーボネートを40重量部と、LiPF6を10重量部とを混合、溶解して調製した非水電解液を注入した。
【0088】
次いで、アスファルトで表面を塗布した絶縁封口ガスケットを介して電池缶をかしめることにより、電流遮断機構を有する安全弁装置、PTC素子並びに電池蓋を固定し、電池内の気密性を保持させ、直径18mm、高さ65mmの円筒型非水電解液二次電池を作製した。
【0089】
<サンプル2>
サンプル2では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ:トレリナ)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0090】
<サンプル3>
サンプル3では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリイミドフィルム(東レデュポン:カプトン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0091】
<サンプル4>
サンプル4では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0092】
<サンプル5>
サンプル5では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0093】
<サンプル6>
サンプル6では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムと微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムの2層フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この3層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0094】
<サンプル7>
サンプル7では、耐熱性バリア層フィルムとしてアラミドフィルム(東レ:ミクトロン)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムと微多孔性ポリプロピレン(PP)フィルムと微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムとの3層フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。この4層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0095】
<サンプル8>
サンプル8では、微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムのみからなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0096】
<サンプル9>
サンプル9では、保液層フィルムとなる微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムに、耐熱性バリア層としてアラミド樹脂を塗布してフィルム化させて耐熱性バリア層と保液層フィルムとからなるセパレータを作製した。この2層フィルムよりなるセパレータを用いたこと以外はサンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0097】
<サンプル10>
サンプル10では、耐熱性バリア層フィルムとしてポリエチレンテレフタラート(東レ:ルミラー)を用い、保液層フィルムとして微多孔性ポリエチレン(PE)フィルムを用い、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを熱溶着してセパレータを作製した。
【0098】
そして、負極と正極とをセパレータを介して積層、巻回して電極体を作製する際に、耐熱性バリア層フィルム側が負極側となるように、セパレータを配したこと以外は、サンプル1と同様にして円筒型非水電解液電池を作製した。
【0099】
(評価)
以上のようにして作製された各サンプルの電池について、充放電試験を行った。
【0100】
各サンプルの電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.3A、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、23℃雰囲気中で1ヶ月間保存した。その後にOCV測定を行ない、4.15V以下の電池を不良品とした。
【0101】
また、漏液発生率を次のように評価した。各サンプルの電池に対して、上限電圧4.2V、電流0.3A、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った後、110℃雰囲気中で10時間保存、いわゆる高温貯蔵中に漏液した電池を漏液品とした。また、このときOCV測定を行い、4.15V以下の電池を不良品とした。また、突き刺し強度は以下のようにして測定した。カトーテック製KES−G5ハンディー圧縮試験機を用い、突き刺し針の直径が1mm、先端形状を曲率半径0.5mmとし、突き刺し速度を2mm/secとする条件で各サンプルのセパレータを突き刺し、機器が示す最大突き刺し荷重を測定した。
【0102】
各サンプルのセパレータ及び電池についての評価結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1から明らかなように、ポリエチレンフィルムだけからなるセパレータを用いたサンプル8では、耐熱性が十分ではなく、高温貯蔵での漏液やOCV不良率が多くなってしまっている。また、2枚のフィルムを貼り合わせるのではなく、フィルム上に樹脂溶液を塗布することにより2層構造として形成したセパレータを用いたサンプル9では、突き刺し強度が耐熱性バリア層フィルムを貼り合わせた物に比べて小さいことから、高温貯蔵時の漏液やOCV不良率が多くなってしまう。
【0105】
これに対し、耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとを張り合わせて作製したサンプル1〜サンプル7では、耐熱性が向上しており、高温貯蔵時の漏液発生率やOCV不良発生率が低く抑えられていることが明らかである。また、サンプル6及びサンプル7では、保液層フィルムを2層、3層構造とすることで、高温貯蔵時に漏液をほぼ完全に抑えることができていることがわかる。なお、耐熱性バリア層フィルムにおいて、サンプル3〜サンプル7の材質をポリイミド、アラミドとするものは、PETやPPSでの融点に相当する物が無く、分解温度が550℃であるが、耐熱性はPETやPPSと同等以上である。
【0106】
以上の結果より、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを貼り合わせることで、熱収縮が小さく、強度に優れたものとなり、特に高温時での漏液を防止できることがわかった。耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとを貼り合わせたセパレータは、保液層フィルムに耐熱性バリア層を塗布して作製したセパレータに比べて突き刺し強度を向上できることがわかった。
【0107】
また、同じセパレータを用いて、その配し方をサンプル1に対して逆にしたサンプル10では、耐熱性バリア層フィルムが正極側となるように配したサンプル1に比べ、高温強度が低く、微小な内部短絡の発生による不良が多くなっている。
【0108】
保液層フィルムが正極側となるように配したサンプル10では、セパレータの強度が低下してしまい、微小な内部短絡の発生により不良率が増加してしまっている。これは、保液層フィルムの材料であるポリエチレンが、高温時に正極から放出される酸素により劣化してしまうためと推察される。
【0109】
以上の結果より、正極と負極とをセパレータを介して積層する際に、保液層フィルムが正極側にない、すなわち、耐熱性バリア層フィルムを正極側に配することで、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられた、信頼性の高い非水電解液電池が得られることがわかった。
【0110】
【発明の効果】
本発明では、セパレータを、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着してなる構造としているので、熱収縮が小さく、突き刺し強度に優れたものとなる。そしてこのセパレータを用いた本発明の非水電解質電池は、特に高温時での漏液が防止されて、信頼性に優れたものとなる。
【0111】
また、本発明では、耐熱性バリア層が正極側となるようにセパレータを配しているので、高温時に正極から放出される酸素による劣化がなく、特に高温時の強度を維持することができ、漏液及び不良の発生が抑えられて、特に信頼性の高い非水電解質電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水電解液電池の一構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池、 2 正極、 3 負極、 4 セパレータ、 5 電池缶、 6 絶縁板、 7 負極リード、 8 正極リード、 9 電流遮断用薄板、 10 電池蓋、 11 絶縁封口ガスケット、 12 センターピン、13 安全弁装置、 14 PTC素子
Claims (31)
- 耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とするセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムは、レーザー加工、延伸加工法の何れか1種以上を用いることにより孔あけ加工されていることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムは、上記孔あけ加工による孔径が0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項2記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの厚さが、0.5μm以上、25μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる有機高分子化合物及びその誘導体、又は電気化学的に安定な無機化合物を含む有機高分子化合物及びその誘導体からなることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、JIS K7207準拠の18.6kg/cm2荷重時の測定における荷重たわみ温度が100℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの、150℃、30分雰囲気下における熱収縮率が、10%未満であることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記保液層フィルムが、重合平均分子量が5×106以上の高分子量ポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとは、熱融着により接着されていることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 上記耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムが、2層以上のフィルムからなることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
- 正極と負極とがセパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、
上記セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする非水電解質電池。 - 上記耐熱性バリア層フィルムは、レーザー加工、延伸加工法の何れか1種以上を用いることにより孔あけ加工されていることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムは、上記孔あけ加工による孔径が0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項12記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの厚さが、0.5μm以上、25μm以下の範囲であることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる有機高分子化合物及びその誘導体、又は電気化学的に安定な無機化合物を含む有機高分子化合物及びその誘導体からなることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、JIS K7207準拠の18.6kg/cm2荷重時の測定における荷重たわみ温度が100℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂からなることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの、150℃、30分雰囲気下における熱収縮率が、10%未満であることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記保液層フィルムが、重合平均分子量が5×106以上の高分子量ポリオレフィンからなることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとは、熱融着により接着されていることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムが、2層以上のフィルムからなることを特徴とする請求項11記載の非水電解質電池。
- 正極と負極とが、セパレータを介して積層されてなる電極体と、非水電解質とを備え、
上記セパレータは、耐熱性バリア層フィルムと、保液層フィルムとが接着されてなり、上記耐熱性バリア層が、正極側に配されていることを特徴とする非水電解質電池。 - 上記セパレータは、突き刺し強度が400gf以上であることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムは、レーザー加工、延伸加工法の何れか1種以上を用いることにより孔あけ加工されていることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムは、上記孔あけ加工による孔径が0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項23記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの厚さが、0.5μm以上、25μm以下の範囲であることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドからなる群から選ばれる有機高分子化合物及びその誘導体、又は電気化学的に安定な無機化合物を含む有機高分子化合物及びその誘導体からなることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムが、JIS K7207準拠の18.6kg/cm2荷重時の測定における荷重たわみ温度が100℃以上の樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱樹脂からなることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムの、150℃、30分雰囲気下における熱収縮率が、10%未満であることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記保液層フィルムが、重合平均分子量が5×106以上の高分子量ポリオレフィンからなることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルムと保液層フィルムとは、熱融着により接着されていることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
- 上記耐熱性バリア層フィルム及び/又は保液層フィルムが、2層以上のフィルムからなることを特徴とする請求項21記載の非水電解質電池。
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