JP4594547B2 - 引張材挿入工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引張材挿入工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば傾斜地の地盤を安定させて、偏土圧による地滑りを防止したり、その他、山留め壁の補強を図るためのものとして、傾斜地の地盤に所定の角度で挿入される引張材があり、この引張材の従来の挿入工法は、一般に以下のように行われていた。
【0003】
即ち、先端にビットを備えたロッドを用いて、地盤に孔を掘削しつつ掘削土を排除し、所定深さの掘削孔を形成した時点でロッドを掘削孔から引き抜いて、この掘削孔に、先端にアンカーを備えたシース管付きの引張材を挿入すると共に、セメントミルクを注入していたのである。そして、前記セメントミルクの硬化後には、前記引張材に緊張力が付与され、これによって、地盤に圧縮力が伝達されることとなっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の挿入工法では、地盤削孔の際に孔壁が崩れ落ちることがあり、この崩れ落ちた土(崩壊土)が引張材とセメントミルクとの定着を悪くし、引張材の緊張力ひいては地盤にかかる圧縮力が低下するということがあった。
【0005】
また、時には前記崩壊土のために、引張材の挿入やセメントミルクの注入が不能になるという問題が生じることがあった。
【0006】
なお、上述した挿入工法の他に、ビットを備えたロッドを掘削孔内に残して、この掘削孔にセメントミルクを注入する自穿孔ロックボルトの挿入工法があり、この工法では、引張材の挿入不能の問題は生じないが、引張材の緊張力の低下とセメントミルクの注入が不能になるという問題が生じるのは、同様であった。
【0007】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、地盤削孔の際に孔壁が大きく崩れ落ちることを確実に防止できる引張材挿入工法を安価に提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の引張材挿入工法は、グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ロッドをビットから脱離させて掘削孔から引き抜き、掘削孔に対して、前記グラウト材の注入と、引張材の挿入とを行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、
前記有孔管は樹脂からなり、その先端部に小径部分が形成されているとともに、
前記小径部分に、前記ロッドが挿通するスペースが確保されかつ必要な強度を小径部分に付与でき、さらに、前記有孔管よりも外周側へと突出しない形状の補強部材が取り付けられ、
前記小径部分にその後面側から係止する係止部が前記ロッドに形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記ビットとともに掘削孔内へと進むロッドの前記係止部が有孔管の前記小径部分に当接することによってなされるようにしたことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
上記の構成からなる本発明によれば、地盤削孔の際に孔壁が大きく崩れ落ちることを確実に防止できる引張材挿入工法を安価に提供することが可能となる。
【0010】
すなわち、上記の構成からなる本発明では、地盤削孔の際に孔壁が崩れ落ちても、崩れ落ちた土(崩壊土)は有孔管によって受け止められるため、孔壁の大きな崩れ落ちは確実に防止されるのである。
【0011】
また、掘削孔内への前記有孔管の挿入は、掘削孔内へと進入していくロッドの係止部に前記有孔管が引っ張られるようにして行われるため、有孔管の後端側に打撃を加えるなどによって掘削孔内へ挿入する場合に比べ、有孔管に加わる衝撃が軽減されることになり、有孔管をより低い強度で作成することが可能になる。よって、合成樹脂製の有孔管でも適用可能であり、低コストな引張材挿入工法とすることができる。
【0012】
また、本発明の引張材挿入工法は、グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ビットおよびロッドを掘削孔内に残して引張材とし、前記掘削孔に対しグラウト材の注入を行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、
前記有孔管は樹脂からなり、その先端部に小径部分が形成されているとともに、
前記小径部分に、前記ロッドが挿通するスペースが確保されかつ必要な強度を小径部分に付与でき、さらに、前記有孔管よりも外周側へと突出しない形状の補強部材が取り付けられ、
前記小径部分にその後面側から係止する係止部が前記ロッドに形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記ビットとともに掘削孔内へと進むロッドの前記係止部が有孔管の前記小径部分に当接することによってなされるようにしたことを特徴としている(請求項2)。
【0013】
さらに、前記ロッドに括れ部分が形成されており、前記係止部が、括れ部分から抜けないように構成された環状体からなるとしてもよい(請求項3)。
【0014】
また、前記ロッドが、段差部を有するとともに、この段差部よりも先端側の部分が段差部よりも後端側の部分に比べて細くなるように形成され、前記係止部が、前記ロッドに形成された前記段差部からなるとしてもよい(請求項4)。
【0015】
また、前記ロッドに括れ部分が形成されており、前記係止部が、前記括れ部分の後端側の段差部からなるとしてもよい(請求項5)。
【0016】
また、本発明の引張材挿入工法は、グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ロッドをビットから脱離させて掘削孔から引き抜き、掘削孔に対して、前記グラウト材の注入と、引張材の挿入とを行うか、あるいは、前記ビットおよびロッドを掘削孔内に残して引張材とし、前記掘削孔に対しグラウト材の注入を行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、前記有孔管の先端部に小径部分が形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記有孔管とロッドとの間に挿入可能な打ち込み管を、前記小径部分にその後面側から当接させた状態で打ち込むことによってなされるようにしたとしてもよい(請求項6)。この場合には、ロッドに係止部を設ける必要が無いため、ロッドの加工が不要であるという利点が得られる。また、打ち込み管は再利用が可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)および(B)は、本発明の第一実施例に係る引張材挿入工法の掘削孔形成工程および引張材固定工程の構成を概略的に示す説明図、図2(A)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す説明図、図2(B)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
引張材挿入工法は、セメントミルクなどのグラウト材(図示せず)の流通が可能な孔1,1…を有する有孔管2にロッド3を挿通し、かつ、このロッド3の先端にビット4を装着した状態で、前記ビット4によって地盤5を掘削して掘削孔6を形成するとともに、この掘削孔6への有孔管2の挿入と掘削孔6の形成時に生じる掘削土(図示せず)の排除とを行い、所定深さの掘削孔6を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ロッド3をビット4から脱離させて掘削孔6から引き抜き、掘削孔6に対して、前記グラウト材の注入と、引張材(図示せず)の挿入とを行う引張材固定工程とを有している。
【0018】
前記孔1は、地盤5を掘削して掘削孔6を形成するときに生じる掘削土や、地盤5を削孔する際に孔壁が崩れ落ちることで生じる崩壊土をほとんど通さず、かつ前記グラウト材が流通可能となる大きさに形成されている。
【0019】
前記有孔管2は、例えば、合成樹脂などの樹脂からなり、ほぼ円筒形状をしており、その周壁全体にわたって前記孔1を複数有している。また、有孔管2の先端部には、内径が小さくなる小径部分2aが形成されている。なお、前記小径部分2aの内径は、前記ロッド3が挿通できる大きさ、すなわち、ロッド3の外径よりも大きくなるように構成されている。
【0020】
また、ほぼ環状で薄板状の補強部材7,7が、前記小径部分2aをその両側から挟む状態でボルト8およびナット9などの固定手段により取り付けられており、これにより、前記小径部分2aの強度が補強されている。また、前記補強部材7の形状は、環状に限るものではなく、前記ロッド3が挿通するスペースが確保され、かつ必要な強度を小径部分2aに付与でき、さらに、前記有孔管2よりも外周側へと突出しない形状であれば、どのような形状でもよい。また、補強部材7の数も、二つに限るものではない。
【0021】
ここで、前記小径部分2aが前記有孔管2に最初から形成されていない場合には、例えば、図3に示すように、円筒形状となっている有孔管2の先端部分に適宜の長さの切り込みを数カ所入れ、この切り込みに沿って折り曲げ加工することなどによって形成してもよい。
【0022】
なお、前記有孔管2の周壁は、例えば、図2(A)および(B)に示すように、前記孔1を目合いとするネット状に形成されていてもよいし、図4(A)に示すように、ほぼ円形状の孔1,1…を有するように形成されていてもよいし、図4(B)に示すように、ほぼ長孔状の孔1,1…を有するように形成されていてもよいし、その他、楕円状やスリット状の孔1,1…を有するように形成されていてもよい。
【0023】
また、前記有孔管2の周壁における前記孔1の単位面積当たりに占める面積の割合や個数等は、前記有孔管2の周壁の内外にかけての、前記掘削土や崩壊土の流通をできるだけ防止し、かつグラウト材の流通をできるだけ妨げないようにすることなどを考慮して適宜に設定すればよい。
【0024】
前記ロッド3は、その先端に、前記ビット4が螺着などによって装着され、その後端に、ロッド3にその軸心回りの回転やその軸心方向の打撃を加えるための駆動手段である削岩機本体10が固定されている。また、ロッド3の先端部付近には、前記有孔管2の小径部分2aにその後面側から係止する係止部Kが形成されている。
【0025】
詳述すると、前記ロッド3の先端部付近には括れ部分3aが形成されており、前記係止部Kは、括れ部分3aから抜けないように構成された環状体11からなっている。
【0026】
前記環状体11は、着脱自在な二つの分割体12,12からなり、各分割体12は、ほぼC字型形状をした部材である。そして、二つの分割体12,12は、例えば、ネジ12a,12a…などにより、前記ロッド3の括れ部分3aを挟んだ状態で固定される。なお、環状体11は、前記括れ部分3aに対して、スライド可能に固定されていてもよいし、スライドしないように固定されていてもよい。また、環状体11の前記括れ部分3aへの取り付け方は、上記の構成のものに限られず、例えば、溶接や接着剤などによって取り付けてもよい。
【0027】
前記ビット4は、その掘削外径(すなわちビット4によって掘削形成できる掘削孔6の外径)が前記有孔管2の外径とほぼ同じか、または若干大きくなるように構成されており、例えば、前記ロッド3の先端に螺着することによって装着することができる。なお、ロッド3に対するビット4の装着方法は、螺着に限るものではなく、例えば、ビット4にロッド3を挿入するだけで行えるようにしてもよい。
【0028】
前記グラウト材は、セメントミルクに限られず、前記掘削孔形成工程で形成された掘削孔6内への注入時には、掘削孔6内の隅々にまで滞りなく進入できる程度の流動性を有し、時間の経過とともに、前記引張材を掘削孔6内に保持できる程度に硬化する性状を備えた材料であればよい。
【0029】
前記引張材は、前記有孔管2よりもやゝ長尺のものであって、例えば雄ねじ形状の鉄筋からなる。引張材の先端側には、前記グラウト材に埋設されるアンカー(図示せず)が、例えば、ナット(図示せず)と長尺ナット(図示せず)とによって取り付けられると共に、このアンカーの取り付け部を除く範囲にわたって引張材にシース管(図示せず)が被せられる。このシース管の内部には、必要に応じてグリース(図示せず)が充填される。
【0030】
また、前記引張材には、例えば、その中央部が前記有孔管2の内径よりもやゝ小径となっているコイルスプリング(図示せず)からなるスペーサーが設けられており、このスペーサーを前記シース管のアンカー近傍に、例えばテープ(図示せず)によって止着することにより、前記引張材が有孔管2のほゞ中心に位置させることができる。
【0031】
前記引張材としては、本実施例では鉄筋を使用しているが、これに限るものではなく、PC鋼棒,PC鋼撚線,アラミド繊維製,カーボン繊維製等を使用してもよい。
【0032】
そして、前記掘削孔形成工程では、前記ビット4によって地盤5を掘削して掘削孔6が形成されるのであるが、このとき、ビット4には、前記削岩機本体10からロッド3を介して、前記ロッド3に装着するときの螺着方向とは逆方向の回転と、打撃とが加わるのである。
【0033】
また、前記掘削孔形成工程では、前記ビット4に回転と打撃を加えることで、地盤5に掘削孔6を形成しつつ、その掘削孔6に有孔管2を挿入するのであるが、掘削孔6の掘削途中に必要に応じて、掘削孔6内の掘削土を排除するのである。
【0034】
さらに、前記掘削孔形成工程では、前記掘削孔6への有孔管2の挿入が、前記ビット4とともに掘削孔6内へと進むロッド3の係止部K(環状体11)が有孔管2の小径部分2aに当接することによってなされるのである。
【0035】
なお、地盤5を掘削して掘削孔6を形成する際に生じる孔壁の崩れをできる限り減らすには、前記有孔管2の外径とビット4の掘削外径との差を、掘削孔6に対する有孔管2の挿入が容易な範囲内で出来るだけ小さくすることが望ましく、例えば外径が54〜57mmの有孔管2を選択した場合は、掘削外径が70〜75mmのビット4を選択するものとする。
【0036】
そして、前記引張材固定工程では、前記ロッド3をビット4から脱離させるのであるが、このときには、前記ロッド3を掘削孔6内に挿入した状態にして、ビット4を掘削孔6の底部に押圧した状態でロッド3を逆回転させて、ビット4をロッド3から螺脱・脱離し、このビット4を残してロッド3を掘削孔6から引き抜くのであって(図1(B)参照)、この際のロッド3の逆回転によって孔底がやゝ掘削されることで、地盤5には、所定深さの掘削孔15が形成されることになる。
【0037】
また、前記引張材固定工程では、前記掘削孔6からロッド3を引き抜いた後、掘削孔6に対して、前記グラウト材の注入と、引張材の挿入とを行うのであるが、より詳述すると、まず、有孔管2の後端側にセメントミルク注入用のアタッチメント(図示せず)を取り付けて、掘削孔6内に所定量のグラウト材を注入し、この後、アタッチメントを取り外して、アンカーを有孔管2の先端側に位置させるように、引張材を有孔管2に挿入し、必要に応じてグラウト材を追加注入し、かつ、引張材の基部側に、受圧プレート(図示せず)を設けると共に、シース管を剥がしてワッシャ及びダブルナットを取り付けるのである。
【0038】
そして、前記グラウト材の硬化後に、前記ダブルナットの一方を締め込んで、引張材に緊張力を付与し、かつ、ダブルナットの他方によってダブルナットの一方の緩み止めを効かせて、地盤5に圧縮力を伝達させることで、引張材の挿入を完了するのである。
【0039】
なお、前記引張材固定工程において、長大な引張材を挿入する場合は、有孔管2も長大になって、長い作業スペースを要する上に、有孔管2をロッド3に装着しづらくなるが、このような場合には、例えばネジ式の接合部を短尺の有孔管2に設けて、この有孔管2の複数本をネジで接合しながら連接すると、長大な引張材の挿入にもスムーズに対応できる。
【0040】
上記の構成からなる引張材挿入工法によれば、有孔管2と掘削孔6との間に隙間が殆どないことから、挿入完了までの間に掘削孔6の孔壁が崩れ落ちたとしても、これが直ぐに有孔管2によって受け止められるので、孔壁の大きな崩れ落ちが確実に防止されることになる。
【0041】
また、有孔管2の周壁には、地盤5を掘削して掘削孔6を形成するときに生じる掘削土や、地盤5を削孔する際に孔壁が崩れ落ちることで生じる崩壊土をほとんど通さず、かつ前記グラウト材が流通可能となる大きさに形成された前記孔1,1…が設けられているだけであるため、掘削土や崩壊土が有孔管2内に入り込むこともほとんどなく、従って、有孔管2への引張材の挿入が容易であると共に、グラウト材については、これが孔1,1…を通して掘削孔6内の全体に万遍なく行き渡ることから、グラウト材の硬化後に引張材に緊張力を付与し、地盤に圧縮力を伝達させることで、高強度の引張材を得ることができるのである。
【0042】
さらに、上記の構成からなる引張材挿入工法では、掘削孔6内への前記有孔管2の挿入は、掘削孔6内へと進入していくロッド3の係止部Kに前記有孔管2が引っ張られるようにして行われるため、有孔管2の後端側に打撃を加えるなどによって掘削孔6内へ挿入する場合に比べ、有孔管2に加わる衝撃が軽減されることになり、有孔管2をより低い強度で作成することが可能になる。したがって、合成樹脂製の有孔管をも用いることができ、低コストな引張材挿入工法とすることが可能となる。
【0043】
なお、上記実施例では、ビット4を掘削孔6内に残して、掘削孔6からロッド3を引き抜いた後、掘削孔6にグラウト材を注入し、次いで有孔管2に引張材を挿入しているが、有孔管2に引張材を挿入した後に、掘削孔6にグラウト材を注入する手順をとってもよい。
【0044】
また、上記実施例では、掘削孔6を形成するために使用したロッド3と、引張材とを別に用意しているが、前記ロッド3をビット4とともに掘削孔6内に残して引張材として用いてもよい。
【0045】
さらに、上記実施例では、前記ロッド3に括れ部分3aを形成し、この括れ部分3aに前記環状体11を取り付けるようにしているが、このような構成に限るものではなく、例えば、図5に示すように、ロッド3に前記括れ部分3aを設けず、ロッド3の先端部付近の適宜の箇所に、前記環状体11を取り付けるようにしてもよい。この場合には、前記ロッド3に対して環状体11がスライドしないように、例えば、溶接や接着材などによって環状体11をロッド3に固定すればよい。
【0046】
図6は、第二実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図である。なお、上記第一実施例に示したものと同一構造の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
第二実施例の引張材挿入工法は、第一実施例の引張材挿入工法に比して、前記ロッド3が、前記括れ部分3aに代えて段差部13を有するとともに、この段差部13よりも先端側の部分が段差部13よりも後端側の部分に比べて細くなるように形成されており、また、前記環状体11が設けられておらず、前記係止部Kが、前記ロッド3に形成された前記段差部13からなる点で異なる。
【0047】
その他の構成および得られる効果については、上記第一実施例と同じであるので、その説明を省略する。
【0048】
図7(A)は、第三実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図、図7(B)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す分解斜視図である。なお、上記第一実施例に示したものと同一構造の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
第三実施例の引張材挿入工法は、第一実施例の引張材挿入工法に比して、前記係止部Kが、前記括れ部分3aの後端側の段差部14からなり、また、前記有孔管2の小径部分2aを、ロッド3の括れ部分3aのみが挿通可能であり、ロッド3の他の部分が挿通できないように構成されている点で異なる。
【0049】
すなわち、前記有孔管2の小径部分2a付近の内側に形成される穴2bが、前記ロッド3の括れ部分3aを通し、ロッド3の他の部分を通さないような形状・大きさとなっているのである。このような穴2bを形成するには、例えば、小径部分2aの内側の穴15と、前記二枚の補強部材7,7の内側の穴16,16とから穴2bを構成するようにし、各穴15,16を前記ロッド3が通る大きさとしておくのであり、ロッド3を各穴15,16に通したあと、前記括れ部分3aを小径部分2a付近に位置させ、この状態で、前記二枚の補強部材7,7をそれぞれロッド3の軸心と垂直な方向にずらして、前記穴2bが、前記括れ部分3aを通し、ロッド3の他の部分を通さなくなるように位置調整したあと、ボルト8およびナット9などで二枚の補強部材7,7を固定するようにすればよい。
【0050】
上記の構成からなる第三実施例では、前記掘削孔形成工程のあとに、ロッド3を掘削孔6から抜くことができなくなるため、必然的に、ロッド3を前記引張材として用いることになる。
【0051】
その他の構成および得られる効果については、上記第一実施例と同じであるので、その説明を省略する。
【0052】
図8は、第四実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図である。なお、上記第一実施例に示したものと同一構造の部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
第四実施例の引張材挿入工法は、第一実施例の引張材挿入工法に比して、前記ロッド3が括れ部分3aおよび係止部Kを有しておらず、前記掘削孔形成工程における掘削孔6への有孔管2の挿入が、前記有孔管2とロッド3との間に挿入可能な打ち込み管17を、前記小径部分2aにその後面側から当接させた状態で打ち込むことによってなされるようにしてある点で異なる。
【0053】
前記打ち込み管17は、例えば、円筒形状をしており、前記ロッド3の外壁に沿って摺動可能に設けられている。そして、打ち込み管17の後端部側には、打ち込み管17を掘削孔6内へと打ち込むための力を加えるための鍔部分17aが設けられている。
【0054】
上記の構成からなる第四実施例の引張材挿入工法では、前記打ち込み管17が、上記第一実施例における前記係止部Kと同様の役割を果たすことになるのであり、打ち込み管17の打ち込みは、前記ビット4の掘削孔6内への進入に合わせて行えばよい。
【0055】
上記の構成からなる第四実施例の引張材挿入工法では、前記ロッド3に係止部を設ける必要が無いため、ロッド3の加工が不要であるという利点が得られる。また、前記打ち込み管17は再利用が可能であるという利点を有する。
【0056】
その他の構成および得られる効果については、上記第一実施例と同じであるので、その説明を省略する。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地盤削孔の際に孔壁が大きく崩れ落ちることを確実に防止できる引張材挿入工法を安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)および(B)は、本発明の第一実施例に係る引張材挿入工法の掘削孔形成工程および引張材固定工程の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】 (A)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す説明図、(B)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】 上記実施例における有孔管の小径部分の形成方法の一例を概略的に示す斜視図である。
【図4】 (A)および(B)は、上記実施例における有孔管の孔の他の例およびさらに他の例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】 上記実施例におけるロッドに対する環状体の取り付け方の変形例を概略的に示す説明図である。
【図6】 第二実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図である。
【図7】 (A)は、第三実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図、(B)は、上記実施例における要部の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図8】 第四実施例に係る引張材挿入工法の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…孔、2…有孔管、2a…小径部分、3…ロッド、4…ビット、5…地盤、6…掘削孔、7,7…補強部材、K…係止部。
Claims (6)
- グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ロッドをビットから脱離させて掘削孔から引き抜き、掘削孔に対して、前記グラウト材の注入と、引張材の挿入とを行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、
前記有孔管は樹脂からなり、その先端部に小径部分が形成されているとともに、
前記小径部分に、前記ロッドが挿通するスペースが確保されかつ必要な強度を小径部分に付与でき、さらに、前記有孔管よりも外周側へと突出しない形状の補強部材が取り付けられ、
前記小径部分にその後面側から係止する係止部が前記ロッドに形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記ビットとともに掘削孔内へと進むロッドの前記係止部が有孔管の前記小径部分に当接することによってなされるようにしたことを特徴とする引張材挿入工法。 - グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ビットおよびロッドを掘削孔内に残して引張材とし、前記掘削孔に対しグラウト材の注入を行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、
前記有孔管は樹脂からなり、その先端部に小径部分が形成されているとともに、
前記小径部分に、前記ロッドが挿通するスペースが確保されかつ必要な強度を小径部分に付与でき、さらに、前記有孔管よりも外周側へと突出しない形状の補強部材が取り付けられ、
前記小径部分にその後面側から係止する係止部が前記ロッドに形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記ビットとともに掘削孔内へと進むロッドの前記係止部が有孔管の前記小径部分に当接することによってなされるようにしたことを特徴とする引張材挿入工法。 - 前記ロッドに括れ部分が形成されており、前記係止部が、括れ部分から抜けないように構成された環状体からなる請求項1または2に記載の引張材挿入工法。
- 前記ロッドが、段差部を有するとともに、この段差部よりも先端側の部分が段差部よりも後端側の部分に比べて細くなるように形成され、前記係止部が、前記ロッドに形成された前記段差部からなる請求項1または2に記載の引張材挿入工法。
- 前記ロッドに括れ部分が形成されており、前記係止部が、前記括れ部分の後端側の段差部からなる請求項1または2に記載の引張材挿入工法。
- グラウト材の流通が可能な孔を有する有孔管にロッドを挿通し、かつ、このロッドの先端にビットを装着した状態で、前記ビットによって地盤を掘削して掘削孔を形成するとともに、この掘削孔への有孔管の挿入と掘削土の排除とを行い、所定深さの掘削孔を形成する掘削孔形成工程と、この掘削孔形成工程のあと、前記ロッドをビットから脱離させて掘削孔から引き抜き、掘削孔に対して、前記グラウト材の注入と、引張材の挿入とを行うか、あるいは、前記ビットおよびロッドを掘削孔内に残して引張材とし、前記掘削孔に対しグラウト材の注入を行う引張材固定工程とを有する引張材挿入工法であって、前記有孔管の先端部に小径部分が形成されており、前記掘削孔形成工程における掘削孔への有孔管の挿入が、前記有孔管とロッドとの間に挿入可能な打ち込み管を、前記小径部分にその後面側から当接させた状態で打ち込むことによってなされるようにしたことを特徴とする引張材挿入工法。
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JPH04323496A (ja) * | 1991-04-19 | 1992-11-12 | Nit Co Ltd | 切羽安定工法とその装置 |
JPH05295730A (ja) * | 1992-04-17 | 1993-11-09 | Yuji Etsuno | アースアンカーの打設工法 |
JPH07279170A (ja) * | 1994-04-11 | 1995-10-24 | Minoru Fukuda | Pc杭 |
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