JP4592005B2 - 偏光素子、液晶パネル、液晶テレビおよび液晶表示装置、ならびに偏光素子の製造方法 - Google Patents

偏光素子、液晶パネル、液晶テレビおよび液晶表示装置、ならびに偏光素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、偏光子、ポジティブAプレートおよびポジティブCプレートを備える偏光素子に関する。また本発明は、上記偏光素子を備える液晶パネル、液晶テレビおよび液晶表示装置に関する。
従来のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶セルを備えた液晶表示装置などの各種液晶表示装置は、偏光板の吸収軸に対して45度の角度(方位角45度、135度、225度、315度)において斜め方向から画面を見た場合に、コントラスト比が低下し、また、表示色が見る角度によって異なる現象(カラーシフトともいう)が大きくなるという問題があった。そこで、液晶セルの片側に複数枚の位相差フィルムを配置して、カラーシフトを改善する方法が開示されている(例えば、特許文献1参考)。しかし、このような技術では、カラーシフトは改善されるものの、斜め方向のコントラスト比の改善は、十分ではない。
特開平11−133408号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比を高めることができる偏光素子を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の位相差値を有する複数枚の光学素子を偏光子に積層した偏光素子を液晶セルの少なくとも片側に配置することにより、従来の偏光素子を用いたものに比べ、斜め方向のコントラスト比を高めた液晶表示装置を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の偏光素子は、偏光子と、下記式(1)を満足するポジティブAプレートと、下記式(2)を満足するポジティブCプレートとをこの順に備え、該ポジティブAプレートがホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含み、該ポジティブAプレートの遅相軸が該偏光子の吸収軸と実質的に直交である:
70nm≦Re[590]≦200nm …(1)
−200nm≦Rth[590]≦−30nm …(2)
[ただし、Re[590]、Rth[590]は、それぞれ23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値、厚み方向の位相差値とする。]。
好ましい実施形態においては、上記ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの、23℃における波長589nmの光で測定した異常光の屈折率(ne)と常光の屈折率(no)との差(ne−no)が、0.04〜0.20である。
好ましい実施形態においては、上記ポジティブCプレートが、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含む。
好ましい実施形態においては、上記偏光素子の全体厚みが20μm〜60μmである。
本発明の別の局面によれば、液晶パネルが提供される。この液晶パネルは、上記偏光素子と液晶セルとを備える。
好ましい実施形態においては、上記偏光素子が液晶セルの視認側に配置されてなる。
好ましい実施形態においては、上記液晶セルの駆動モードが、IPSモード、VAモードまたはOCBモードである。
本発明の別の局面によれば、液晶テレビが提供される。この液晶テレビは、上記液晶パネルを含む。
本発明の別の局面によれば、液晶表示装置が提供される。この液晶表示装置は、上記液晶パネルを含む。
本発明によれば、特定の構成部材(代表的には、位相差フィルム)を特定の位置関係で組み合わせて有する偏光素子を作製することにより、それぞれの構成部材の利点が相乗効果的に発揮される。その結果、このような偏光素子を用いた液晶パネル(結果的には、液晶表示装置)によれば、従来の液晶パネルに比べて格段に優れた斜め方向のコントラスト比が実現される。また、ポジティブAプレートとして、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを用いることによって、偏光素子を従来のものに比べ、薄型のものとし、結果として、液晶パネルおよび液晶表示装置の薄型化することができる。更に、上記液晶性組成物に、特定の範囲の複屈折率を有する液晶化合物を用いる場合には、面内の位相差値のバラツキが小さい位相差フィルムを得ることができる。
《A.偏光素子の概要》
図1は、本発明の好ましい実施形態による偏光素子の概略断面図である。図2は、この偏光素子の概略斜視図である。なお、見易くするために、図1および図2における各構成部材の厚みの比率は実際とは異なって記載されていることに留意されたい。図1および図2に示すように、偏光素子10は、偏光子11と、ポジティブAプレート12と、ポジティブCプレート13とをこの順に備える。ポジティブAプレート12は、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含み、上記ポジティブAプレート12の遅相軸は、偏光子11の吸収軸と実質的に直交である。実用的には、偏光子11の外側(ポジティブAプレート12が配置されない側)には、任意の適切な保護層(代表的には、高分子フィルム)が配置され得る。また、ポジティブCプレート13の外側(ポジティブAプレート12が配置されない側)には、液晶セルに貼着するための接着剤層または粘着剤層が配置され得る。なお、偏光子、ポジティブAプレート、ポジティブCプレートの詳細については、それぞれB項、C項、D項で後述する。
本発明の別の実施形態においては、図1に示した各構成部材の間に他の構成部材が配置され得る。他の構成部材としては、例えば、各構成部材を貼着するための接着剤層または粘着剤層や、等方性フィルムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においては、ポジティブAプレートは下記式(1)を満足し、ポジティブCプレートは下記式(2)を満足する。このような特定の光学素子を特定の順序で偏光子の少なくとも片側に配置することにより、極めて良好な光学補償が行われ、その結果、正面および斜め方向のコントラスト比を高め、且つ、斜め方向のカラーシフト量を小さい液晶表示装置を実現し得る偏光素子が得られ得る。
70nm≦Re[590]≦200nm …(1)
−200nm≦Rth[590]≦−30nm …(2)
[ただし、Re[590]、Rth[590]は、それぞれ23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値、厚み方向の位相差値とする。]
上記偏光素子の全体厚みとして好ましくは、20μm〜60μmであり、更に好ましくは25μm〜55μmであり、特に好ましくは30μm〜50μmである。上記の範囲であれば、非常に薄い液晶パネル(結果として、液晶表示装置)が得られ得る。
《B.偏光子》
本明細書においては、偏光子とは、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得るフィルムをいう。本発明に用いられる偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得るが、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものが好ましく用いられる。
上記偏光子の厚みとしては、任意の適切な厚みが採用され得る。偏光子の厚みは、代表的には5μm〜50μmであり、好ましくは10μm〜40μmであり、さらに好ましくは20μm〜30μmである。上記の範囲であれば、光学特性や機械的強度に優れる。
上記偏光子の23℃で測定した波長440nmの透過率(単体透過率ともいう)は、好ましくは41%以上、さらに好ましくは43%以上である。なお、単体透過率の理論的な上限は50%である。また、偏光度は、好ましくは99.8%〜100%であり、更に好ましくは、99.9%〜100%である。上記の範囲であれば、液晶表示装置に用いた際に正面方向のコントラスト比をより一層高くすることができる。
上記単体透過率および偏光度は、分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製 製品名「DOT−3」]を用いて測定することができる。上記偏光度の具体的な測定方法としては、上記偏光子の平行透過率(H0)および直交透過率(H90)を測定し、式:偏光度(%)={(H0−H90)/(H0+H90)}1/2×100より求めることができる。上記平行透過率(H0)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて作製した平行型積層偏光子の透過率の値である。また、上記直交透過率(H90)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて作製した直交型積層偏光子の透過率の値である。なお、これらの透過率は、JlSZ8701−1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
本発明に用いられる偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光度が高く特に好ましい。
また、本発明に用いられる偏光子としては、上述した偏光子の他に、例えば、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を含む高分子フィルムの延伸フィルム、二色性物質と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を一定方向に配向させたゲスト・ホストタイプのO型偏光子(米国特許5,523,863号)、およびリオトロピック液晶を一定方向に配向させたE型偏光子(米国特許6,049,428号)等も用いることができる。
図2を参照すると、偏光子11はポジティブAプレート12の片側に配置される。偏光子11を配置する方法としては、目的に応じて任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、偏光子11は、液晶セルに対向する側の表面に接着剤層または粘着剤層(図示せず)を設け、ポジティブAプレート12の表面に接着させる。各光学素子の間をこのように接着剤層または粘着剤層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光学軸の関係がずれることを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防ぐことができる。また、各光学素子の層間の界面反射を少なくし、液晶表示装置に用いた際にコントラストを高くすることもできる。
上記接着剤層または粘着剤の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、接着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、0.1μm〜50μmであり、好ましくは0.1μm〜20μmであり、特に好ましくは0.1μm〜10μmである。粘着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜80μmであり、特に好ましくは10μm〜50μmである。
上記接着剤層または粘着剤層を形成する接着剤または粘着剤としては、目的に応じて、任意の適切な接着剤または粘着剤が採用され得る。接着剤としては、接着性、作業性、環境性に優れる点で、水性接着剤が好ましく用いられる。特に好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤である。具体例としては、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールを主成分とする接着剤[日本合成化学(株)製 商品名「ゴーセファイマーZ200」]が挙げられる。粘着剤としては、特に光学的透明性に優れ、適度なぬれ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるという点で、アクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。具体例としては、アクリル系粘着剤を粘着剤層として備える光学用両面テープ[綜研化学(株)製 商品名「SK−2057」]が挙げられる。
《C.ポジティブAプレート》
本明細書において、ポジティブAプレートとは、面内の主屈折率をnx(遅相軸方向の屈折率)、ny(進相軸方向の屈折率)とし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性を示す光学素子(理想的には、正の一軸性を示す光学素子は、面内の一方向に光学軸を有する)をいう。なお、本明細書において、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、nyとnzとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、「nyとnzとが実質的に同一である場合」とは、例えば、面内の位相差値(Re[590])と、厚み方向の位相差値(Rth[590])との差の絶対値:|Rth[590]−Re[590]|が10nm以下であるものを包含する。
《C−1.ポジティブAプレートの光学特性》
本明細書において、Re[590]とは、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値をいう。Re[590]は、波長590nmにおける面内の遅相軸方向、進相軸方向の屈折率をそれぞれ、nx、nyとし、d(nm)を光学素子(又は位相差フィルム)の厚みとしたとき、式:Re[590]=(nx−ny)×dによって求めることができる。なお、遅相軸とは面内の屈折率の最大となる方向をいう。
本発明に用いられるポジティブAプレートのRe[590]は、70nm〜200nmであり、好ましくは100nm〜180nmであり、更に好ましくは120nm〜160nmであり、特に好ましくは130nm〜150nmである。上記Re[590]は、上記の範囲とすることによって、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比を高めることができる。
本明細書において、Rth[590]とは、23℃における波長590nmの光で測定した厚み方向の位相差値をいう。Rth[590]は、波長590nmにおける光学素子(又はフィルム)の遅相軸方向、厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nzとし、d(nm)を光学素子(又は位相差フィルム)の厚みとしたとき、式:Rth[590]=(nx−nz)×dによって求めることができる。なお、遅相軸とは、面内の屈折率の最大となる方向をいう。
本発明に用いられるポジティブAプレートのRe[590]とRth[590]との差の絶対値:|Rth[590]−Re[590]|は、好ましくは0nm〜5nmであり、更に好ましくは0nm〜2nmである。上記の範囲とすることによって、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比を高め、斜め方向のカラーシフト量を小さくすることができる。
Re[590]およびRth[590]は、王子計測機器(株)製 商品名「KOBRA21−ADH」〕を用いても求めることができる。23℃における波長590nmの面内の位相差値(Re)、遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値(R40)、位相差フィルムの厚み(d)及び位相差フィルムの平均屈折率(n0)を用いて、以下の式(i)〜(iv)からコンピュータ数値計算によりnx、ny及びnzを求め、次いで式(iv)によりRthを計算できる。ここで、φ及びny’はそれぞれ以下の式(v)及び(vi)で示される。
Re=(nx−ny)×d …(i)
R40=(nx−ny’)×d/cos(φ) …(ii)
(nx+ny+nz)/3=n0 …(iii)
Rth=(nx−nz)×d …(iv)
φ =sin-1[sin(40°)/n0] …(v)
ny’=ny×nz[ny2×sin2(φ)+nz2×cos2(φ)]1/2 …(vi)
上記ポジティブAプレートの23℃における波長590nmの光で測定した透過率としては、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
《C−2.ポジティブAプレートの配置手段》
図2を参照すると、ポジティブAプレート12を偏光子11とポジティブCプレート13との間に配置する方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記ポジティブAプレート12は、その両側に接着剤層または粘着剤層(図示せず)を設け、偏光子11およびポジティブCプレート13の表面に貼着される。各光学素子の隙間をこのように接着剤層または粘着剤層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光学軸の関係がずれるのを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防ぐことができる。また、各光学素子の層間の界面反射を少なくし、液晶表示装置に用いた際にコントラストを高くすることもできる。
上記接着剤層または粘着剤の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、接着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、0.1μm〜50μmであり、好ましくは0.1μm〜20μmであり、特に好ましくは0.1μm〜10μmである。粘着剤の好適な厚みの範囲は、一般には、1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜80μmであり、特に好ましくは10μm〜50μmである。
上記接着剤層または粘着剤層を形成する接着剤または粘着剤としては、目的に応じて、任意の適切な接着剤または粘着剤が採用され得る。接着剤としては、例えば、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤などが挙げられる。粘着剤としては、例えば、溶剤型粘着剤、非水系エマルジョン型粘着剤、水系型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、液状硬化型粘着剤、硬化型粘着剤、カレンダー法による粘着剤などが挙げられる。特に好ましくは、光学透明性に優れ、適度なぬれ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性に優れるという点で、アクリル系重合体をベースポリマーとする溶剤型粘着剤(アクリル系粘着剤ともいう)が好ましく用いられる。具体例としては、アクリル系粘着剤を粘着剤層として備える光学用両面テープ[綜研化学(株)製 商品名「SK−2057」]が挙げられる。
上述したように、ポジティブAプレート12は、その遅相軸が偏光子11の吸収軸と実質的に直交するように配置される。なお、本明細書において、「実質的に直交」とは、偏光子11の吸収軸とポジティブAプレート12の遅相軸とのなす角度が、90°±2.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°であり、更に好ましくは90°±0.5°である。これらの角度範囲から外れる程度が大きくなるほど、液晶表示装置に用いた際に、コントラストが低下する傾向がある。
《C−3.ポジティブAプレートの構成》
ポジティブAプレートの構成(積層構造)は、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含み、上記C−1項に記載の光学特性を満足するものであれば特に制限はない。具体的には、ポジティブAプレートは、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルム単独であってもよく、当該位相差フィルムと任意の他の位相差フィルムとを含む2枚以上で構成される積層体であってもよい。好ましくは、ポジティブAプレートは、単独のホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムである。偏光子の収縮応力やバックライトの熱による位相差値のズレやムラを低減し、かつ、液晶パネルを薄くすることができるからである。ポジティブAプレートが積層体である場合には、接着剤層や粘着剤層を含んでもよい。積層体が2枚以上の位相差フィルムを含む場合には、これらの位相差フィルムは同一であっても異なっていてもよい。なお、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの詳細については、C−4項で後述する。
ポジティブAプレートに用いられる位相差フィルムのRe[590]は、用いられる位相差フィルムの枚数によって、適宜選択することができる。例えば、ポジティブAプレートがホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルム単独で構成される場合には、当該位相差フィルムのRe[590]は、ポジティブAプレートのRe[590]と等しくすることが好ましい。従って、偏光子やポジティブCプレートに上記ポジティブAプレートを積層する際に用いられる接着剤層や粘着剤層の位相差値は、できる限り小さいことが好ましい。また、例えば、ポジティブAプレートが2枚以上の位相差フィルムを含む積層体である場合には、それぞれの位相差フィルムのRe[590]の合計が、ポジティブAプレートのRe[590]と等しくなるように設計することが好ましい。具体的には、2枚の位相差フィルムをそれぞれの遅相軸が平行となるように積層して、Re[590]が140nmのポジティブAプレートを作製する場合には、それぞれの位相差フィルムのRe[590]を70nmとすることができる。なお、ここでは簡単のため、位相差フィルムが2枚以下の場合についてのみ示したが、3枚以上の位相差フィルムを含む積層体についても本発明が適用可能であることはいうまでもない。
上記ポジティブAプレートの全体厚みは、1μm〜20μmであることが好ましく、更に好ましくは1.2μm〜10μmであり、特に好ましくは1.5μm〜5μmである。上記光学素子は、上記の厚みの範囲とすることによって、薄型で(結果として、液晶表示装置の薄型化に貢献し)、且つ、面内の位相差値バラツキが小さいものが得られ得る。
《C−4.ポジティブAプレートに用いられる位相差フィルム》
本発明において、ポジティブAプレートは、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含む。本明細書において、「ホモジニアス配列」とは、液晶性組成物に含まれる液晶化合物がフィルム平面に対して平行に、かつ同一方位に配列している状態をいう。また、「固化層」とは、軟化、溶融または溶液状態の液晶性組成物が冷却されて、固まった状態のものをいう。「硬化層」とは、上記液晶性組成物の一部または全部が、熱、触媒、光および/または放射線により架橋されて、不溶不融または難溶難融の安定した状態となったものをいう。なお、上記「硬化層」には、液晶性組成物の固化層を経由して、硬化層となったものも包含する。
また、「液晶性組成物」とは、液晶相を呈し液晶性を示すものをいう。液晶相としては、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相、カラムナー液晶相などが挙げられる。本発明に用いられる液晶性組成物として好ましくは、ネマチック液晶相を呈するものである。透明性の高い位相差フィルムが得られるからである。
上記液晶性組成物は、液晶化合物を含み、液晶性を示すものであれば特に制限はない。上記液晶性組成物中の液晶化合物の含有量は、液晶性組成物の全固形分100に対して、好ましくは、40〜100(重量比)であり、更に好ましくは50〜99(重量比)であり、特に好ましくは、70〜98(重量比)である。上記液晶性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、溶剤、レベリング剤、重合開始剤、配向剤、熱安定剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
本明細書において、「液晶化合物」とは、分子構造中にメソゲン基を有し、加熱、冷却などの温度変化によるか、またはある量の溶媒の作用により、液晶相を形成する分子をいう。また、「メソゲン基」とは、液晶相を形成するために必要な構造部分をいい、通常、環状単位を含む。上記メソゲン基の具体例としては、例えば、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基、フェニルシクロヘキサン基、アゾキシベンゼン基、アゾメチン基、アゾベンゼン基、フェニルピリミジン基、ジフェニルアセチレン基、ジフェニルベンゾエート基、ビシクロヘキサン基、シクロヘキシルベンゼン基、ターフェニル基等が挙げられる。なお、これらの環状単位の末端は、例えば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。なかでも、環状単位等からなるメソゲン基としては、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基を有するものが好ましく用いられる。
上記液晶化合物は、温度変化によって液晶相が発現する温度転移形(サーモトロピック)液晶や、溶液状態で溶質の濃度によって液晶相が発現する濃度転移形(リオトロピック)液晶のいずれであっても良い。なお、上記温度転移形液晶は、結晶相(またはガラス状態)から液晶相への相転移が、可逆的な互変(エナンチオトロピック)相転移液晶や、降温過程にのみ液晶相が現れる単変(モノトロピック)相転移液晶を包含する。好ましくは、上記液晶化合物は、温度転移形(サーモトロピック)液晶である。フィルム成形の生産性、作業性、品質に優れるからである。
上記液晶化合物は、メソゲン基を主鎖および/または側鎖に有する高分子物質(高分子液晶)であっても良いし、分子構造の一部分にメソゲン基を有する低分子物質(低分子液晶)であっても良い。高分子液晶は、液晶状態から冷却しただけで、分子の配向状態が固定化できるため、フィルム成形の生産性が高いことや、耐熱性、機械的強度、耐薬品性等に優れるという特徴を有する。低分子液晶は、配向性に優れるため、透明性の高いフィルムが得られやすいという特徴を有する。
上記液晶化合物として好ましくは、分子構造の一部分に少なくとも1つ以上のメソゲン基と、重合性官能基とをそれぞれ有する低分子物質(低分子液晶)である。更に好ましくは、分子構造の一部分に、1つ以上のメソゲン基と、2つ以上の重合性官能基を有する低分子液晶である。配向性に優れ、光学均一性や透明性の極めて高い位相差フィルムが得られるからである。また、重合反応によって、重合性官能基を架橋させれば、位相差フィルムの機械的強度が増し、耐久性、寸法安定性に優れた位相差フィルムが得られ得る。分子構造の一部分に、1つ以上のメソゲン基と、2つ以上の重合性官能基を有する低分子液晶の具体例としては、BASF社製 商品名「Paliocolor LC242」や、HUNTSMAN社製 商品名「CB483」などが挙げられる。
上記重合性官能基としては、任意の適切な官能基が選択され得る。例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ビニルエーテル基等が挙げられる。なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。反応性に優れるほか、透明性の高い位相差フィルムが得られるからである。
上記ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの、23℃における波長589nmで測定した異常光の屈折率(ne)と常光の屈折率(no)との差:ΔnLC=ne−no(複屈折率ともいう)として好ましくは、0.04〜0.20である。更に好ましくは0.05〜0.15であり、特に好ましくは0.05〜0.09である。上記の範囲であれば、面内で位相差値のバラツキの小さい薄型の位相差フィルムを得ることができる。上記複屈折率は、アッベ屈折計を用いて、松本正一著「液晶の基礎と応用」p.45に記載の方法によって求めることができる。
上記ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの厚みは、1μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.2μm〜5μmであり、特に好ましくは1.5μm〜3μmである。上記光学素子は、上記の厚みの範囲とすることによって、液晶表示装置の薄型化に貢献し得る。
《C−5.ポジティブAプレートに用いられる位相差フィルムの製造方法》
ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの製造方法として好ましくは、(工程A−1)基材(仮支持体ともいう)の表面に、水平配向処理を施す工程、(工程A−2)当該水平配向処理が施された基材の表面に、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工し、当該液晶性組成物をホモジニアス配列に配向させる工程、および(工程A−3)当該液晶性組成物を乾燥させて、固化させる工程を含む。更に好ましくは、本発明の製造方法は、上記(工程A−1)〜(工程A−3)の後に、(工程A−4)紫外線を照射して、当該液晶性組成物を硬化させる工程、を含む。なお、通常、基材は位相差フィルムを実用に供する前に、剥離される。
図3〜図5は、好ましい実施態様の一例として、ポジティブAプレートの製造方法の概要を説明する模式図である。図3は、上記(1)基材の表面に、水平配向処理を施す工程の概要を説明する模式図であり、後述する溶液塗布法および光配向法を採用する場合を例示する。この工程では、基材102が、繰り出し部101から供給され、ガイドロール103で搬送され、コータ部104において配向剤の溶液または分散液が塗工される。配向剤が塗工された基材は乾燥手段105に送られ、溶媒を蒸発させて配向膜が形成される。次いで、この配向膜が形成された基材が紫外線照射部109に送られ、配向膜の表面に、偏光紫外光が照射される。紫外線照射部109は、代表的には、紫外線ランプ107と偏光フィルタ108と温度制御手段106とを備える。偏光子108は液晶性組成物の配向方法を制御するために用いられる。次いで、この水平配向処理が施された基材は、巻き取り部110で巻き取られ、液晶性組成物の塗工・乾燥工程へと供される。
図4は、上記(工程A−2)当該水平配向処理が施された基材の表面に、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工し、当該液晶性組成物をホモジニアス配列に配向させる工程、上記(工程A−3)当該液晶性組成物を乾燥させて、固化させる工程、および上記(工程A−4)紫外線を照射して、当該液晶性組成物を硬化させる工程の概要を説明する模式図である。これらの工程では、水平配向処理が施された基材202が、繰り出し部201から供給され、ガイドロール203で搬送され、コータ部204において、液晶性組成物の溶液または分散液が塗工される。液晶性組成物が塗工された基材は、乾燥手段205に送られ、溶媒を蒸発させて、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層が形成される。次いで、このホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層が形成された基材が紫外線照射部208に送られ、当該固化層の表面に、紫外光が照射されてホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層が形成される。紫外線照射部208は、代表的には紫外線ランプ207と温度制御手段206を備える。次いで、この液晶性組成物が塗工された基材は、巻き取り部209で巻き取られ、偏光素子の製造工程へと供される。なお、液晶性組成物が高分子液晶を含む場合など、上記固化層であっても、実用上十分な機械的強度を有する位相差フィルムが得られる場合は、上記紫外線照射工程は、省略され得る。
《C−5−1.水平配向処理》
上記(工程A−1)基材の表面に、水平配向処理を施す工程において、水平配向処理は、液晶性組成物をホモジニアス配列に配向させるために用いられる。上記水平配向処理としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が選択され得る。具体例としては、(A)基材の表面に配向剤を吸着させて、配向膜(配向剤層ともいう)を形成する方法、(B)基材(または配向膜)の表面を形状的に変化させる方法などが挙げられる。好ましくは、上記水平配向処理は、基材の表面に配向剤を吸着させて、当該配向膜を形成した後、配向膜の表面を形状的に変化させる方法である。液晶性組成物の配向欠陥(ディスクリネーション)が極めて少ない位相差フィルムを作製することができるからである。
上記基材の表面に配向剤を吸着させる方法としては、溶液塗布法、プラズマ重合法、スパッタリング法などが挙げられる。これらの方法のなかで、本発明としては、溶液塗布法が好ましく用いられる。連続生産性、作業性、経済性に優れ、液晶性組成物を均一に配向させることができるからである。本明細書において、「溶液塗布法」とは、基材の表面に、配向剤の溶液または分散液を塗工し乾燥させて、配向膜を形成する方法をいう。
水平配向処理に用いられる配向剤としては、任意の適切なものが選択され得る。具体例としては、カーボン、ポリオキシエチレン、バーサミド125、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ニ塩基性カルボン酸クロム錯体、有機シラン、アセチレン、二塩基性脂肪酸、クラウンエーテル等が挙げられる。
上記配向剤の溶液または分散液を調整する方法としては、市販の配向剤の溶液または分散液を用いても良く、市販の配向剤の溶液または分散液に更に溶剤を添加して用いてもよい。また、配向剤の固形分を各種溶剤に溶解させて用いてもよく、配向剤と各種添加剤と溶剤とを混合し溶解させて用いてもよい。
上記配向剤の溶液の全固形分濃度は、溶解性、塗工粘度、基材上へのぬれ性、塗工後の厚みなどによって異なるが、通常、溶剤100に対して固形分を0.05〜20(重量比)、更に好ましくは0.5〜10(重量比)、特に好ましくは1〜5(重量比)である。上記の範囲であれば、表面均一性の高い位相差フィルムを得ることができる。
上記基材(または配向膜)の表面を形状的に変形させる方法としては、ラビング法、光配向法、斜め蒸着法、イオンビーム法、プラズマ法、引き上げ塗布法などが挙げられる。これらの方法のなかでも、本発明としては、光配向法が好ましく用いられる。本明細書において、「光配向法」とは、分子構造中に少なくとも1つ以上の光反応性官能基を有する化合物を含む配向膜(光配向膜ともいう)の表面に光を照射し、当該光反応性官能基を立体的に変化させて、液晶化合物を一様に配向させる方法をいう。なお、本明細書において、「光化学反応」とは、光反応性官能基を立体的に変化させる反応をいう。
上記光配向法は、静電気、塵、埃などの発生が非常に少ないプロセスであるため、品質に優れた位相差フィルムを作製することができる。さらに、光を照射する向き・方向によって、位相差フィルムの遅相軸が生じる方向を面内の任意な方向に制御できる。例えば、長手方向に対して直交する方向に遅相軸を有し、ポジティブAプレートとして用いられる位相差フィルムをロール作製することができ、当該ロール状の位相差フィルムと、長手方向と平行に吸収軸を有するロール状の偏光子とを、ロール・ツゥ・ロールで連続的に積層して、本発明の偏光素子を作製することができるため、偏光素子の生産性を大幅に向上させ得る。
図5は、光配向法に用いられる代表的な紫外線照射部(配向膜に偏光光を照射する場合)の概略斜視図である。紫外線照射部300は、放電容器にキセノンと塩素の混合ガスを封入した、棒状の誘電体エキシマ放電ランプ301と、断面が円形または楕円形の集光鏡302と、偏光フィルタ303(代表的には、ワイヤーグリッド偏光子)と、温度制御手段(図示せず)を備える。上記偏光フィルタ303は、その長手方向が、上記ランプ301の長手方向と一致するように配置されている。別の実施態様においては、配向剤や光化学反応の種類によって、配向膜に非偏光光が照射される場合は、偏光フィルタ303は省略され得る。
上記光配向膜に用いられる配向剤としては、分子構造中に少なくとも1つ以上の光反応性官能基を有する化合物を含むものであれば、適宜、適切なものが選択され得る。例えば、光異性化反応、光開閉環反応、光二量化反応、光分解反応、光フリース転移反応などの光化学反応を生じる光反応性官能基を有する化合物を含むものが用いられる。これらのなかで好ましくは、光異性化反応および/または光二量化反応を生じる光反応性官能基を有する化合物である。表面均一性の高い位相差フィルムが得られ得るからである。
光異性化反応を生じる光反応性官能基の具体例としては、アゾベンゼン基、スチルベン基、α−ヒドラゾノ−β−ケトエステル基、シンナメート基、ベンジリデンフタルイミジン基、レチノイン酸等が挙げられる。光二量化反応を生じる光反応性官能基の具体例としては、シンナメート基、ベンジリデンフタルイミジン基、カルコン基、クマリン基、スチリルピリジン基、アントラセン基等が挙げられる。
上記光反応性官能基を有する化合物の具体例としては、HUNTSMAN社製 商品名「Staralignシリーズ(2100、2110)」、Chem.Mater.2001,13,p.695の表1に記載のクマリン基を有する化合物、JSR TECHNICAL REVIEW No.106(1999)の図1に記載のポリイミド、JSR TECHNICAL REVIEW No.107(2000)の図2に記載のカルコン基を有する化合物などが挙げられる。
上記光配向膜に用いられる配向剤として特に好ましくは、シンナメート基、カルコン基およびアゾベンゼン基から選ばれる少なくとも一種の光反応性官能基を有する化合物を含む配向剤である。光化学反応の効率に優れ、液晶性組成物を均一に配向させることができるので、結果として、光学的均一性に優れ、透明性の高い位相差フィルムが得られるからである。特に、4−カルコン基は、光分解反応による劣化が生じにくい長波長の紫外光で良好な反応性を有し、耐熱性に優れるという特徴を有する。
上記光配向膜の表面に光を照射する方法としては、光配向膜に用いられる光反応性官能基を有する化合物の光化学反応の種類や、目的とする位相差フィルムの遅相軸の方向に応じて、適宜、適切な方法が選択され得る。光照射に用いられる光源としては、超高圧水銀ランプ、誘電体エキシマ放電ランプ、フラッシュUVランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ及びメタルハライドランプなどが挙げられる。
上記光照射に用いられる光源の波長は、光配向膜に用いられる光反応性官能基を有する化合物が光学吸収を有する波長領域に応じて、適宜、適切なものが選択され得る。好ましくは、光源の波長は、好ましくは210nm〜380nmであり、更に好ましくは230nm〜380nmであり、特に好ましくは250nm〜380nmである。上記光源の波長は、光配向膜の光分解反応を抑えるために、100nm〜200nmの領域をフィルタ等でカットして用いることが好ましい。上記の範囲であれば、液晶性組成物を均一にホモジニアス配列に配向させることができる。
上記光の照射光量として好ましくは、波長310nmで測定した値が、5mJ/cm2〜500mJ/cm2 であり、更に好ましくは5mJ/cm2〜500mJ/cm2であり、特に好ましくは10mJ/cm2〜300mJ/cm2である。上記範囲の照射光量であれば、上記の範囲であれば、液晶性組成物を均一にホモジニアス配列に配向させることができる。
光の照射時における照射装置内の温度(照射温度ともいう)は、上記液晶性組成物の液晶相−等方相転移温度(Ti)以下に保持することが好ましい。更に好ましくはTi−5℃以下の範囲であり、特に好ましくはTi−10℃以下の範囲である。具体的には、上記照射温度は、好ましくは15℃〜90℃であり、更に好ましくは15℃〜60℃である。上記の温度範囲であれば、均一性の高い位相差フィルムを作製することができる。
上記液晶相−等方相転移温度(Ti)は、本発明に用いられる液晶性組成物を2枚のスライドガラスで挟持し、温度コントローラー(例えばジャパンハイテック(株)製 製品名「LK−600PM」)上に配して、2枚の偏光子をクロスニコル配置にした偏光顕微鏡にて、昇温しながら観察したときに、明視野から暗視野が得られたときの温度を測定することによって求めることができる。
上記照射温度を一定に保持する方法としては、例えば、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルトなどの加熱方法や温度制御方法から、適宜、適切なものが選択され得る。
《C−5−2.液晶性組成物の溶液または分散液の塗工方法》
上記(工程A−2)水平配向処理が施された基材の表面に、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工し、当該液晶性組成物をホモジニアス配列に配向させる工程において、上記基材としては、適宜、適切なものが選択され得る。具体例としては、ガラス板や石英基板などのガラス基材、フィルムやプラスチックス基板などの高分子基材、アルミや鉄などの金属基材、セラミックス基板などの無機基材、シリコンウエハーなどの半導体基材などが挙げられる。好ましくは、上記基材は、高分子基材である。基材表面の平滑性や、液晶性組成物のぬれ性に優れるほか、ロールによる連続生産が可能で、生産性を大幅に向上させ得るからである。
上記高分子基材を形成する材料としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、生分解性プラスチック等が挙げられる。なかでも、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。上記熱可塑性樹脂は、非晶性ポリマーであっても、結晶性ポリマーであってもよい。非晶性ポリマーは、透明性に優れるため、本発明の位相差フィルムを基材から剥離せずに、そのまま液晶パネル等に用いることができるという利点を有する。一方、結晶性ポリマーは、剛性、強度、耐薬品性に優れるため、本発明の位相差フィルムを製造する際の生産安定性に優れるという利点を有する。上記高分子基材として好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。表面均一性、強度、耐薬品性、生産安定性等に優れるからである。上記ポリエチレンテレフタレートは、通常、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムが実用に供する前に剥離される。
液晶性組成物の溶液または分散液を調製する方法としては、市販の液晶性組成物の溶液または分散液を用いても良く、市販の液晶性組成物の溶液または分散液に更に溶剤を添加して用いてもよい。また、液晶性組成物の固形分を各種溶剤に溶解させて用いてもよく、配向剤と各種添加剤と溶剤とを混合し溶解させて用いてもよい。
上記液晶性組成物の溶液の全固形分濃度は、溶解性、塗工粘度、基材上へのぬれ性、塗工後の厚みなどによって異なるが、通常、溶剤100に対して固形分を20〜100(重量比)、更に好ましくは30〜80(重量比)、特に好ましくは40〜60(重量比)である。上記の範囲であれば、表面均一性の高い位相差フィルムを得ることができる。
上記溶剤としては、液晶性組成物を均一に溶解して溶液とする液体物質が好ましく用いられる。上記溶剤は、ベンゼンやヘキサンなどの非極性溶媒であってもよいし、水やアルコールなどの極性溶媒であってもよい。また、上記溶剤は、水などの無機溶剤であってもよいし、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、セロソルブ類などの有機溶剤であってもよい。好ましくは、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランから選ばれる少なくとも1種の溶剤である。これらの溶剤は、基材に対して実用上悪影響を及ぼすような侵食をせず、上記組成物を十分に溶解することができるため好ましい。
液晶性組成物の溶液または分散液を塗工する方法としては、適宜、適切なコータを用いた塗工方式を選択して、用いることができる。上記コータの具体例としては、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータ等が挙げられる。これらのなかでも、コータとして好ましくは、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、スピンコータである。上記のコータを用いた塗工方式であれば、非常に薄く、かつ、表面均一性、光学的均一性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
《C−5−3.液晶性組成物の溶液または分散液の乾燥方法》
上記(工程A−3)ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物を乾燥させて、固化させる工程において、当該液晶性組成物を乾燥させる方法(乾燥手段ともいう)としては、例えば、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルトなどの加熱方法や温度制御方法から、適宜、適切なものが選択され得る。
上記乾燥手段における温度(乾燥温度)としては、特に制限はないが、上記液晶性組成物の液晶相を示す温度範囲で行うことが好ましい。また、基材のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましい。乾燥温度の好ましい範囲としては、50℃〜130℃である。更に好ましくは、80℃〜120℃である。上記の温度範囲であれば、均一性の高い位相差フィルムを作製することができる。
上記乾燥処理する時間(乾燥時間)は、特に制限されるものではないが、良好な光学的均一性を有する位相差フィルムを得るためには、例えば1分〜20分であり、好ましくは1分〜10分、更に好ましくは、1分〜5分である。
《C−5−4.液晶性組成物の硬化方法》
上記(工程A−4)ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物に紫外光を照射して、硬化させる工程において、当該液晶性組成物を硬化させる方法としては、例えば、超高圧水銀ランプ、誘電体エキシマ放電ランプ、フラッシュUVランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプなどを光源とする照射装置を用いる方法から、適宜、適切なものが選択され得る。
上記紫外光の照射に用いられる光源の波長は、本発明に用いられる液晶化合物の重合性官能基が光学吸収を有する波長領域に応じて決定できるが、通常、210nm〜380nmであるものが用いられる。更に好ましくは、250nm〜380nmである。また、上記光源の波長は、液晶化合物の光分解反応を抑えるために、100nm〜200nmの真空紫外線領域をフィルタ等でカットして用いることが好ましい。上記の範囲であれば、液晶性組成物が重合反応によって十分に架橋し、機械的強度に優れた位相差フィルムが得られ得る。
上記紫外光の照射光量として好ましくは、波長365nmで測定した値が、30mJ/cm2〜1000mJ/cm2 であり、更に好ましくは、50mJ/cm2〜800mJ/cm2であり、特に好ましくは100mJ/cm2〜500mJ/cm2である。上記範囲の照射光量であれば、液晶性組成物が重合反応によって十分に架橋し、機械的強度に優れた位相差フィルムが得られ得る。
上記紫外光の照射時における照射装置内の温度(照射温度ともいう)は、上記液晶性組成物の液晶相−等方相転移温度(Ti)以下に保持することが好ましい。更に好ましくはTi−5℃以下の範囲であり、特に好ましくはTi−10℃以下の範囲である。具体的には、上記照射温度は、好ましくは15℃〜90℃であり、更に好ましくは15℃〜60℃である。上記の温度範囲であれば、均一性の高い位相差フィルムを作製することができる。
上記照射温度を一定に保持する方法(温度制御手段ともいう)としては、例えば、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルトなどの加熱方法や温度制御方法から、適宜、適切なものが選択され得る。
《D.ポジティブCプレート》
本明細書において、ポジティブCプレートとは、面内の主屈折率をnx(遅相軸方向)、ny(進相軸方向)とし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnz>nx=nyを満足する正の一軸性を示す素子をいう。正の一軸性を示す素子は、理想的には、法線方向に光学軸を有する。なお、本明細書において、nx=nyとは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、nxとnyとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、「nxとnyとが実質的に同一である場合」とは、面内の位相差値(Re[590])が、10nm以下であるものを包含する。
《D−1.ポジティブCプレートの光学特性》
本発明に用いられるポジティブCプレートのRe[590]は、好ましくは0nm〜5nmであり、更に好ましくは0nm〜2nmである。上記の範囲とすることによって、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比を高めることができる。
本発明に用いられるポジティブCプレートのRth[590]は、好ましくは−200nm〜−30nmであり、更に好ましくは−180nm〜−40nmであり、特に好ましくは−150nm〜−50nmであり、最も好ましくは−130nm〜−70nmである。上記の範囲とすることによって、液晶表示装置の斜め方向のコントラスト比を高めることができる。
上記ポジティブCプレートの23℃における波長590nmの光で測定した透過率としては、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
《D−2.ポジティブCプレートの配置手段》
図2を参照すると、ポジティブCプレート13をポジティブAプレート12と液晶セル20との間に配置する方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が選択され得る。好ましくは、上記ポジティブCプレート11は、その両側に接着剤層または粘着剤層(図示せず)を設け、ポジティブAプレート12および液晶セル20の表面に貼着される。各光学素子の隙間をこのように接着剤層または粘着剤層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光学軸の関係がずれるのを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防ぐことができる。また、各光学素子の層間の界面反射を少なくし、液晶表示装置に用いた際にコントラストを高くすることもできる。
上記粘着剤層または接着剤層の厚み、および粘着剤層または接着剤層を形成する接着剤または粘着剤の種類は、上記C−2項に記載のとおりである。
ポジティブCプレート13は、nxとnyが完全に同一である場合は、面内に位相差値を生じないため、遅相軸は検出されず、偏光子11の吸収軸、ポジティブCプレート13の遅相軸、および液晶セル20内の液晶分子の配向方向とは無関係に配置され得る。nxとnyとが実質的に同一であっても、nxとnyが僅かに異なる場合は、遅相軸が検出される場合がある。この場合、好ましくは、上記ポジティブCプレート13は、その遅相軸が、偏光子11の吸収軸と実質的に平行または直交するように配置される。なお、本明細書において、「実質的に平行」とは、ポジティブCプレート13の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度が、0°±2.0°である場合を包含し、好ましくは0°±1.0°であり、更に好ましくは0°±0.5°である。また、「実質的に直交」とは、ポジティブCプレート13の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度が、90°±2.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°であり、更に好ましくは90°±0.5°である。これらの角度範囲から外れる程度が大きくなるほど、液晶表示装置に用いた際に、コントラストが低下する傾向がある。
《D−3.ポジティブCプレートの構成》
ポジティブCプレートの構成(積層構造)は、上記D−1項に記載の光学特性を満足するものであれば特に制限はない。具体的には、ポジティブCプレートは、位相差フィルム単独であってもよく、2枚以上の位相差フィルムで構成される積層体であってもよい。好ましくは、ポジティブCプレートは、単独の位相差フィルムである。偏光子の収縮応力やバックライトの熱による位相差値のズレやムラを低減し、かつ、液晶パネルを薄くすることができるからである。ポジティブCプレートが積層体である場合には、接着剤層や粘着剤層を含んでもよい。積層体が2枚以上の位相差フィルムを含む場合には、これらの位相差フィルムは同一であっても異なっていてもよい。なお、位相差フィルムの詳細については、D−4項で後述する。
ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムのRth[590]は、用いられる位相差フィルムの枚数によって、適宜選択することができる。例えば、ポジティブCプレートが位相差フィルム単独で構成される場合には、当該位相差フィルムのRth[590]は、ポジティブCプレートのRth[590]と等しくすることが好ましい。従って、ポジティブAプレートや液晶セルに上記ポジティブCプレートを積層する際に用いられる接着剤層や粘着剤層の位相差値は、できる限り小さいことが好ましい。また、例えば、ポジティブCプレートが2枚以上の位相差フィルムを含む積層体である場合には、それぞれの位相差フィルムのRth[590]の合計が、ポジティブCプレートのRth[590]と等しくなるように設計することが好ましい。具体的には、2枚の位相差フィルムを積層して、Rth[590]が−100nmのポジティブCプレートを作製する場合には、それぞれの位相差フィルムのRth[590]を−50nmとすることができる。あるいは、一方の位相差フィルムのRth[590]を−160nmとし、他方の位相差フィルムのRth[590]を60nmとすることもできる。2枚の位相差フィルムを積層する場合は、それぞれの位相差フィルムの遅相軸が互いに直交するように配置することが好ましい。面内の位相差値(Re[590])を小さくすることができるからである。なお、ここでは簡単のため、位相差フィルムが2枚以下の場合についてのみ示したが、3枚以上の位相差フィルムを含む積層体についても本発明が適用可能であることはいうまでもない。
上記ポジティブCプレートの全体厚みは、1μm〜20μmであることが好ましく、更に好ましくは1.2μm〜10μmであり、特に好ましくは1.5μm〜5μmである。上記光学素子は、上記の厚みの範囲とすることによって、液晶表示装置の薄型化に貢献し得る。
《D−4.ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルム》
ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れるものが好ましく用いられる。好ましくは、上記ポジティブCプレートは、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含む。本明細書において、「ホメオトロピック配列」とは、液晶性組成物に含まれる液晶化合物がフィルム法線方向に対し、平行かつ一様に配向した状態をいう。上記ポジティブCプレートに用いられる、液晶性組成物および液晶化合物としては、特に制限はなく、例えばC−4項に記載のものが挙げられる。
上記液晶性組成物は、液晶化合物を含み、液晶性を示すものであれば特に制限はない。上記液晶性組成物中の液晶化合物の含有量は、液晶性組成物の全固形分100に対して、好ましくは、40〜100(重量比)であり、更に好ましくは50〜99(重量比)であり、特に好ましくは、70〜98(重量比)である。上記液晶性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、溶剤、レベリング剤、重合開始剤、配向剤、熱安定剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
上記液晶組成物としては、上記C−4項に記載したものと同様の液晶化合物を含むものが用いられる。ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムとして好ましくは、特開2002−174725号公報に記載の液晶化合物を含む液晶性組成物であって、該液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させた固化層又は硬化層である。更に好ましくは、下記一般式(3)で表される高分子液晶を含む液晶性組成物であって、該液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させた固化層又は硬化層である。特に好ましくは、下記一般式(3)で表される高分子液晶、および、分子構造の一部分に1つ以上のメソゲン基と、2つ以上の重合性官能基とを有する低分子液晶を含む液晶性組成物であって、該液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させた硬化層である。このような液晶性組成物であれば、光学的均一性に優れ、透明性の高い位相差フィルムを得ることができる。
式中、lは14〜20の整数であり、mとnとの和を100とした場合に、mは50〜70であり、nは30〜50である。
上記液晶組成物中の下記一般式(1)で表される高分子液晶の含有量として好ましくは、液晶性組成物の全固形分100に対して、10〜100(重量比)であり、更に好ましくは10〜60(重量比)であり、特に好ましくは、10〜40(重量比)である。
《D−5.ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムの製造方法》
ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの製造方法として好ましくは、(工程B−1)基材(仮支持体ともいう)の表面に、垂直配向処理を施す工程、(工程B−2)当該垂直配向処理が施された基材の表面に、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工し、当該液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させる工程、および(工程B−3)当該液晶性組成物を乾燥させて、固化させる工程を含む。更に好ましくは、本発明の製造方法は、上記(工程B−1)〜(工程B−3)の後に、(工程B−4)紫外線を照射して、当該液晶性組成物を硬化させる工程、を含む。なお、通常、基材は位相差フィルムを実用に供する前に、剥離される。
図6は、好ましい実施態様の一例として、ポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムの製造方法の概要を説明する模式図である。この工程では、基材402が繰り出し部401から供給され、ガイドロール403で搬送され、第1のコータ部404において配向剤の溶液または分散液が塗工される。配向剤が塗工された基材は第1の乾燥手段405に送られ、溶媒を蒸発させて配向膜が形成される。次いで、この配向膜が形成された基材406が、第2のコータ部407において、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工され、第2の乾燥手段408にて、溶媒を蒸発させて、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層が形成される。次いで、このホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層が形成された基材409が紫外線照射部411に送られ、当該固化層の表面に紫外光が照射されて、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の硬化層が形成される。なお、紫外線照射部411は、代表的には紫外線ランプ412と温度制御手段410を備える。次いで、この硬化層が形成された基材は、巻き取り部413で巻き取られ、偏光素子の製造工程へと供される。なお、上記基材402は、C−5項で記載したホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層が形成された基材が代用され得る。この場合は、後述する貼着工程の一部が省略されることとなり、生産性が向上され得る。
《D−5−1.垂直配向処理》
上記(工程B−1)基材の表面に、垂直配向処理を施す工程において、垂直配向処理は、液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させるために用いられる。上記垂直配向処理としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が選択され得る。具体例としては、基材の表面に配向剤を吸着させて、配向膜(配向剤層ともいう)を形成する方法が挙げられる。液晶性組成物の配向欠陥(ディスクリネーション)が極めて少ない位相差フィルムを作製することができるからである。
上記基材の表面に配向剤を吸着させる方法としては、C−5−1項に記載したものと同様の方法が用いられる。好ましくは、基材の表面に、配向剤の溶液または分散液を塗工し乾燥させて、配向膜を形成する「溶液塗布法」である。連続生産性、作業性、経済性に優れ、液晶性組成物を均一に配向させることができるからである。
垂直配向処理に用いられる配向剤としては、任意の適切なものが選択され得る。具体例としては、レシチン、ステアリン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルアミンハイドロクロライド、一塩基性カルボン酸クロム錯体(例:ミリスチン酸クロム錯体、パーフルオロノナン酸クロム錯体等)、有機シラン(例:シランカップリング剤、シロキサン等)、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。上記配向剤として特に好ましくは、有機シランである。作業性、製品の品質、液晶化合物の配向能に優れるからである。有機シランの配向剤の具体例としては、テトラエトキシシランを主成分とする配向剤[コルコート(株) 商品名「エチルシリケート」]が挙げられる。
上記配向剤の溶液または分散液を調整する方法としては、市販の配向剤の溶液または分散液を用いてもよく、市販の配向剤の溶液または分散液に更に溶剤を添加して用いてもよい。また、配向剤の固形分を各種溶剤に溶解させて用いてもよく、配向剤と各種添加剤と溶剤とを混合し溶解させて用いてもよい。
上記配向剤の溶液の全固形分濃度は、溶解性、塗工粘度、基材上へのぬれ性、塗工後の厚みなどによって異なるが、通常、溶剤100に対して固形分を0.05〜20(重量比)、更に好ましくは0.5〜10(重量比)、特に好ましくは1〜5(重量比)である。上記の範囲であれば、表面均一性の高い位相差フィルムを得ることができる。
《D−5−2.液晶性組成物の溶液または分散液の塗工方法》
上記(工程B−2)垂直配向処理が施された基材の表面に、液晶性組成物の溶液または分散液を塗工し、当該液晶性組成物をホメオトロピック配列に配向させる工程において、上記基材の種類、基材を形成する材料としては、C−5−2項に記載したものなどから適宜、適切なものが選択され得る。好ましくは、上記基材は、高分子基材である。基材表面の平滑性や、液晶性組成物のぬれ性に優れるほか、ロールによる連続生産が可能で、生産性を大幅に向上され得るからである。
液晶性組成物の溶液または分散液を調製する方法としては、市販の液晶性組成物の溶液または分散液を用いても良く、市販の液晶性組成物の溶液または分散液に更に溶剤を添加して用いてもよい。また、液晶性組成物の固形分を各種溶剤に溶解させて用いてもよく、配向剤と各種添加剤と溶剤とを混合し溶解させて用いてもよい。
上記液晶性組成物の溶液の全固形分濃度は、溶解性、塗工粘度、基材上へのぬれ性、塗工後の厚みなどによって異なるが、通常、溶剤100に対して固形分を20〜100(重量比)、更に好ましくは30〜80(重量比)、特に好ましくは40〜60(重量比)である。上記の範囲であれば、表面均一性の高い位相差フィルムを得ることができる。
上記溶剤の種類、液晶性組成物の溶液または分散液の塗工方法としては、C−5−2項に記載したものなどから適宜、適切なものが選択され得る。好ましくは、溶剤は、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランから選ばれる少なくとも1種の溶剤である。これらの溶剤は、基材に対して実用上悪影響を及ぼすような侵食をせず、上記組成物を十分に溶解することができるため好ましい。
《D−5−3.液晶性組成物の乾燥方法》
上記(工程B−3)ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物を乾燥させて、固化させる工程において、当該液晶性組成物を乾燥させる方法、乾燥温度、及び乾燥時間としては、C−5−4項に記載したものと同様のもの及び条件から、適宜、適切なものが選択され得る。
《D−5−3.液晶性組成物の硬化方法》
上記(工程B−4)ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物に紫外光を照射して、硬化させる工程において、当該液晶性組成物を硬化させる方法、光源の波長、照射光量、照射温度、及び乾燥方法としては、C−5−4項に記載したものと同様のもの及び条件から、適宜、適切なものが選択され得る。
《E−1.偏光素子の製造方法》
上記偏光子、ポジティブAプレート、およびポジティブCプレートの貼り合わせ順序は、本発明を満足させる限りにおいて、特に制限されない。例えば、偏光子、ポジティブAプレートおよびポジティブCプレートをこの順に積層してもよいし、ポジティブCプレート、ポジティブAプレートおよび偏光子の順に積層してもよい。
図7は、好ましい実施態様の一例として、偏光素子の製造工程(偏光子とポジティブAプレートの貼り合わせ工程)の概要を説明する模式図である。この工程では、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層を備える基材501が第1の繰り出し部501から供給され、ガイドロール503で搬送され、コータ部504において、上記固化層または硬化層の表面に、接着剤または粘着剤が塗工される。接着剤または粘着剤が塗工された基材は、乾燥手段505に送られ、溶媒を蒸発させて、接着剤層または粘着剤層が形成される。次いで、この接着剤層または粘着剤層と、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層とを備える基材は、第2の繰り出し部509から供給される偏光子506と、ラミネートロール507、508にて、上記固化層または硬化層が偏光子506と接するように圧着される。このとき、基材511は剥離され、第1の巻き取り部510に巻き取られる。偏光子と、接着剤層または粘着剤層と、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層とを備える積層体512は、第2の巻き取り部513で巻き取られる。なお、積層体512と、ポジティブCプレートの積層も、ここで述べた方法と同様の方法で貼り合わせることができる。
上記偏光子、ポジティブAプレート、およびポジティブCプレートのそれぞれを貼り合わせる方法としては、上記図示例に限定されず、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、ホットメルトラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーション、ドライラミネーション等が挙げられる。本発明においては、図7に示すように、ドライラミネーションが好ましく用いられる。接着性、作業性に優れ、かつ、良好な外観均一性を有する偏光素子が得られるからである。なお、本明細書において、「ドライラミネーション」とは、一方のフィルムに接着剤(または粘着剤)の溶液または分散液等を塗工し、次に乾燥手段で溶剤を蒸発乾燥させた後、他方のフィルムとラミネートロールで圧着する方法をいう。
上記接着剤または粘着剤の塗工方法としては、接着剤または粘着剤の種類、厚み、粘度等によって、適宜、適切なものが選択され得る。具体的には、C−5−2項に記載したものと同様の方法を用いることができる。
上記接着剤または粘着剤の乾燥温度は、好ましくは30℃〜180℃であり、更に好ましくは40℃〜150℃であり、特に好ましくは50℃〜130℃である。上記の範囲であれば、表面均一性の優れた接着剤層または粘着剤層を得ることができる。
上記接着剤または粘着剤の乾燥時間としては、任意の適切な乾燥時間が採用され得る。乾燥時間は、好ましくは1分〜20分であり、更に好ましくは1分〜15分であり、特に好ましくは1〜10分である。上記の範囲であれば、表面均一性に優れた接着剤層または粘着剤層が得られ、結果として、偏光素子の耐久性が向上するからである。
《F.液晶パネル》
本発明の偏光素子は、好ましくは液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとして用いられる。好ましくは、上記偏光素子は、液晶表示装置の斜め方向のコントラストを大きく高めるために、液晶セルの視認側に配置される。上記液晶セルの種類には、特に限定はなく、透過型、反射型、反射半透過型のいずれの形でも使用することができる。上記液晶セルの駆動モードとしては、例えば、ツイスティッドネマチック(TN)モード、スーパーツイスティッドネマチック(STN)モードや、水平配向(ECB)モード、垂直配向(VA)モード、インプレーンスイッチング(IPS)モード、ベンドネマチック(OCB)モード、ハイブリッド配向(HAN)モード、強誘電性液晶(SSFLC)モード、反強誘電性液晶(AFLC)モード等が挙げられる。好ましくは、本発明の偏光素子は、IPSモード、VAモードまたはOCBモードの液晶セルに用いられる。
前記ツイスティッドネマチック(TN)モードの液晶セルとは、2枚の基材の間に正の誘電異方性のネマチック液晶をはさんだものであり、ガラス基材の表面配向処理によって液晶分子配向を90度ねじらせてあるものをいう。具体的には、培風館株式会社「液晶辞典」158ページ(1989年)に記載の液晶セルや、特開昭63−279229公報に記載の液晶セルが挙げられる。
上記垂直配向(VA)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、透明電極間に誘電率異方性が負のネマチック液晶が、電圧無印加時において、垂直配列した液晶セルのことをいう。具体的には、特開昭62−210423公報や、特開平4−153621公報に記載の液晶セルが挙げられる。また、上記VAモードの液晶セルは、特開平11−258605公報に記載されているように、視野角拡大のために、画素内にスリットを設けたものや、表面に突起を形成した基材を用いることによって、マルチドメイン化したMVAモードの液晶セルであってもよい。更に、特開平10−123576公報に記載されているように、液晶中にカイラル剤を添加し、ネマチック液晶電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるVATNモードの液晶セルであってもよい。
上記インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、2枚の平行な基板の間に液晶を封入したいわゆるサンドイッチセルにおいて、電界が存在しない状態でホモジニアス配向させたネマチック液晶を基板に平行な電界(横電界ともいう)で応答させるものをいう。具体的には、テクノタイムズ社出版「月刊ディスプレイ7月号」p.83〜p.88(1997年版)や、日本液晶学会出版「液晶vol.2 No.4」p.303〜p.316(1998年版)に記載されているように、液晶分子の長軸と入射側偏光板の偏光軸と一致させて、上下の偏光板を直交配置させると、電界のない状態で完全に黒表示になり、電界があるときは、液晶分子は基板に平行を保ちながら回転動作することによって、回転角に応じた透過率を得ることができるものをいう。
上記ベンドネマチック(OCB:Optically Compensated Bend or Optically Compensated Birefringnence)モードの液晶セルとは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、透明電極間に誘電率異方性が正のネマチック液晶が、電圧無印加時において、中央部にねじれ配向が存在するベンド配向した液晶セルのことをいう。上記OCBモードの液晶セルは、「πセル」とも言われる。具体的には、共立出版株式会社「次世代液晶ディスプレイ」(2000年)11ページ〜27ページに記載のものや、特開平7−084254公報に記載のものが挙げられる。
図8は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略斜視図である。この液晶パネル600は、液晶セル20と、液晶セル20の一方の側に配置された偏光素子10と、液晶セルの他方の側に配置された偏光子11’と、位相差フィルム14とを備える。偏光子11および11’は、それぞれの吸収軸が互いに直交するように配置される。上記位相差フィルム14は、液晶セルの駆動モードに応じて、適宜、適切なものが選択されるか、または省略される。好ましくは、位相差フィルム14は液晶セル20の面内および/または厚み方向の位相差値をキャンセルするような位相差値を有する。また、好ましくは、位相差フィルム14は、図8中(a)および(b)に示すように、液晶セル20に隣接して配置される。上記偏光素子10は、偏光子11と、ポジティブAプレート12と、ポジティブCプレート13とをこの順に備える。上記ポジティブAプレート12の遅相軸は、偏光子11の吸収軸と直交である。好ましくは、上記偏光素子10は液晶セル20の視認側に配置される。
上記液晶セル20は、一対のガラス基板と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層とを有する(いずれも図示せず)。一方のガラス基板(アクティブマトリクス基板)には、液晶の電気光学効果を制御するアクティブ素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルタ基板)には、カラーフィルタとしての着色層と、遮光層(ブラックマトリクスともいう)と、ITO層が設けられる(いずれも図示せず)。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。ガラス基板の液晶層と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
《G.液晶表示装置》
本発明の偏光素子および液晶パネルは、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の液晶表示装置や、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機EL)、プロジェクター、プロジェクションテレビ、プラズマテレビ等の画像表示装置に用いることができる。なかでも、本発明の偏光素子および液晶パネルは、液晶表示装置に好適に用いられ、液晶テレビに特に好適に用いられる。
図9は、本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。この液晶表示装置700は、本発明の偏光素子を含む液晶パネル600と、液晶パネル600の両側に配置された保護層30、30’と、保護層30、30’の更に外側に配置された表面処理層40、40’と、表面処理層40'の外側(バックライト側)に配置された、輝度向上フィルム50、プリズムシート60、導光板70およびバックライト80とを備える。上記表面処理層40、40’としては、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、拡散処理(アンチグレア処理ともいう)などを施した処理層が用いられる。また、上記輝度向上フィルム50としては、偏光選択層を有する偏光分離フィルム(例:住友3M(株)製 商品名「D−BEFシリーズ」)などが用いられる。これらの光学部材を用いることによって、更に表示特性の高い表示装置を得ることができる。また、別の実施形態においては、図9に例示した光学部材は、本発明を満足する限りにおいて、用いられる液晶セルの駆動モードや用途に応じて、その一部が省略されるか、若しくは他の光学部材に代替され得る。
本発明の液晶パネルを備えた液晶表示装置の方位角45°方向、極角60°方向におけるコントラスト比(YW/YB)として好ましくは10〜200であり、更に好ましくは15〜200であり、特に好ましくは40〜200である。
本発明について、以上の実施例および比較例を用いて更に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
(1)偏光子の単体透過率、偏光度の測定方法:
分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製 製品名「DOT−3」]を用いて、23℃で測定した。
(2)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(3)位相差値(Re、Rth)の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。なお、位相差値の平均値およびバラツキは、図10のようなサンプルを作製し、等間隔に面内9箇所のRe[590]を測定して求めた。
(4)フィルムの屈折率の測定方法:
アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて、23℃における波長589nmの光で測定した屈折率より求めた。
(5)透過率の測定方法:
紫外可視分光光度計[日本分光(株)製 製品名「V−560」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(6)光弾性係数の測定方法:
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、サンプル(サイズ2cm×10cm)の両端を挟持して応力(5〜15N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長590nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
(7)液晶表示装置のコントラスト比の測定方法:
以下の方法、液晶セル、測定装置を用いて23℃の暗室で測定した。液晶表示装置に、白画像および黒画像を表示させ、ELDIM社製 製品名「EZ Contrast160D」により、表示画面の方位角45°方向、極角60°方向におけるXYZ表示系のY値を測定した。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。なお、方位角45°とは、パネルの長辺を0°としたときに反時計周りに45°回転させた方位を表し、極角60°とは表示画面の正面方向を0°としたときに、角度60°に傾斜した方向を表す。
・液晶セル:SONY製 KLV−17HR2に搭載されているもの
・パネルサイズ: 375mm×230mm
《液晶化合物の合成》
[製造例1]
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノール(53.60g、0.25mol)、2−クロロエタノール(59.30g、0.74mol)、炭酸カリウム(101.70g、0.74mol)、ヨウ化カリウム(12.20g、73.6mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(250mL)をナスフラスコ中で混合し、90℃に保持して8時間攪拌した。上記反応溶液に酢酸エチル(400mL)を加えた後、酢酸エチルを主成分とする有機相を水で3回(300mL×3回)、飽和食塩水で1回(50mL)洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記有機相から酢酸エチルを減圧下で除去して薄茶色の粗精製物を得た。上記粗精製物はヘキサンで再結晶し、乾燥後、白色結晶の2−[4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノキシ]エタノールを42.6g(収率:66重量%)得た。
2−[4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノキシ]エタノール(30.20g、0.12mol)、重合禁止剤としてBHTを微量に含む脱水テトラヒドロフラン(120mL)、トリエチルアミン(32.1mL、0.23mol)を500mLの三口フラスコ中で混合し、攪拌しながら氷水で冷却した。そこに蒸留したアクリル酸クロリド(14.6ml、0.18mol)を少量づつ入れ、室温に保持しながら8時間攪拌した。反応溶液を500mLの飽和食塩水に注ぎ、そこに1Nの塩酸を、上記反応溶液が酸性(pH1〜4)になるまで加えた。上記反応溶液に酢酸エチル(400mL×2回)で抽出し、酢酸エチルを主成分とする有機相を分取した。上記有機相は、水で3回(300mL×3回)、飽和食塩水で1回(50mL)洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。上記有機相から酢酸エチルを減圧下で除去して、粗精製物を得た。その後、上記粗精製物を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタンを減圧下で除去して、白色結晶の下記式(4)で表される液晶化合物(I)を30.6g(収率:84重量%)得た。
前記式(4)で表される化合物の核磁気共鳴スペクトルデータ(1H−NMR)を以下に示す。ここで、1H−NMRの測定は、日本電子(株)製(LA400)を用い、少量の試料を、観測核:1H、周波数:400MHz、パルス幅:45度、パルスの繰り返し時間:10秒、ケミカルシフトの基準:7.25ppm、測定溶媒:重クロロホルム、測定温度:室温の条件で測定したものである。
1H−NMR(400Hz、CDCl2):δ 0.89(t、3H、J=7.2Hz)、0.97−1.08(m、2H)、1.17−1.45(m、7H)、1.81−1.88(m、4H)、2.40(tt、1H、J=3.2、12.2Hz)、4.18(t、2H、J=4.8Hz)、4.49(t、2H、J=4.8Hz)、5.84(dd、1H、J=1.2、10.3Hz)、6.15(dd、1H、J=10.3、17.4Hz)、6.43(dd、1H、J=1.2、17.4Hz)、6.82−6.86(m、2H)、7.09−7.14(m、2H)
《光配向膜の作製》
[製造例2]
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製 商品名「S−27E」(厚み:75μm)]の表面に、シンナメート基を有する化合物を含む配向剤[HUNTSMAN社製 商品名「Staralign2100」(全固形分濃度:2wt%)]を、グラビアコータを用いて塗工し、90℃±1℃の空気循環式恒温オーブン内で2分間乾燥して、厚み0.3μmの光配向膜を形成した。次いで、高圧水銀ランプを光源とし、ワイヤーグリッド偏光子(波長210nm〜380nmで偏光分離機能を有するもの)を備える紫外線照射装置を用いて、30℃の空気雰囲気下で、上記光配向膜の表面に、100mJ/cm2(波長310nmの値を測定)の照射光量の偏光紫外光を、偏光紫外光の偏光の電界ベクトルが、フィルムの長手方向と直交するように照射して、水平配向処理を施した。
《偏光子の作製》
[参考例1]
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ(株)製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、けん化度99.9モル%)」]を30℃±3℃に保持したヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴にて、ロール延伸機を用いて、染色しながら2.5倍に一軸延伸した。次いで、60±3℃に保持したホウ酸とヨウ化カリウム配合の水溶液中で、架橋反応を行いながら、ポリビニルアルコールフィルムの元長の6倍となるように一軸延伸した。得られたフィルムを50℃±1℃の空気循環式恒温オーブン内で30分間乾燥させて、水分率26%,厚み28μm、偏光度99.9%、単体透過率43.5%の偏光子を得た。
《ポジティブAプレートの作製》
[参考例2]
製造例1で得られた液晶化合物(I)を35重量部、液晶化合物[BASF社製 商品名「PaliocolorLC242」]を60重量部、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート[大阪有機化学工業(株)製 商品名「ビスコート3PA」]を5重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、液晶化合物を92(重量比)含むもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部に溶解して溶液を調整した。
次いで、上記溶液を、製造例2で作製した光配向膜を備える基材の光配向膜の表面に、ロッドコータを用いて塗工し、90℃±1℃の空気循環式恒温オーブン内で3分間乾燥して、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層を形成した。次いで、30℃の空気雰囲気下で、上記固化層に、400mJ/cm2(波長365nmの値を測定)の照射光量の紫外線を照射して、液晶化合物を重合反応により硬化させて、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を形成した。このホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を位相差フィルムAとした。上記位相差フィルムAの特性は、表1の通りである。
[参考例3]
液晶化合物[大日本インキ化学工業(株)製 商品名「UCL−001」]を100重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、液晶化合物を97(重量比)含むもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部にして溶液を調整した。次いで、上記溶液を、参考例2と同様の方法で塗工・乾燥・硬化させて、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を形成した。このホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を位相差フィルムBとした。上記位相差フィルムBの特性は、表1の通りである。
[参考例4]
液晶化合物[BASF(株)製 商品名「PaliocolorLC242」]を100重量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカルズ(株)製 商品名「イルガキュア907」]を3重量部、およびレベリング剤[ビックケミー社製 商品名「BYK361」]を0.05重量部混合した液晶性組成物(上記液晶性組成物100に対して、液晶化合物を97(重量比)含むもの)を、シクロペンタノン(沸点131℃)200重量部にして溶液を調整した。次いで、上記溶液を、参考例2と同様の方法で塗工・乾燥・硬化させて、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を形成した。このホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を位相差フィルムCとした。上記位相差フィルムCの特性は、表1の通りである。
[参考例5]
参考例2で調整した溶液を用いて、塗工厚みを変化させた以外は、参考例2と同様の方法で塗工・乾燥・硬化させて、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を形成した。このホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を位相差フィルムXとした。上記位相差フィルムPの特性は、表1の通りである。
[参考例6]
ポリノルボルネンを主成分とする市販の高分子フィルム[日本ゼオン(株)製 商品名「ゼオノア」(厚み:100μm)]をテンター延伸機でフィルムの長手方向を固定して、175℃の空気循環式恒温オーブン内(フィルム裏面から3cmの距離の温度を測定、温度バラツキ±1℃)で、幅方向に1.40倍に横一軸延伸し、位相差フィルムQを作製した。得られた位相差フィルムQの特性は、表1の通りである。なお、上記高分子フィルム(延伸前)のRe[590]は5nm、Rth[590]は9nmであった。
《ポジティブCプレートの作製》
[参考例7]
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製 商品名「S−27E」(厚み:75μm)]にエチルシリケート溶液[コルコート(株)製(酢酸エチル、イソプロピルアルコールの混合溶液、全固形分濃度:2wt%)]をグラビアコータで塗工し、130℃の空気循環式恒温オーブン(温度バラツキ±1℃)で1分間乾燥させて、厚み0.1μmのガラス質高分子膜を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを作製した。
下記式(5)で表される高分子液晶(重量平均分子量:5,000)を5重量部、メソゲン基としてフェニルベンゾエート基を有し、分子構造中に2つの重合性官能基を有する市販の低分子液晶[BSAF社製、商品名「PaliocolorLC242」]20重量部、および光重合開始剤[チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名「イルガキュア907」]1.25重量部を混合して、液晶性組成物を調製し、これをシクロヘキサノン75重量部に溶解して、塗工溶液を作製した。上記塗工溶液を、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス質高分子膜上にロッドコータを用いて塗工し、80℃の空気循環式恒温オーブン(温度バラツキ±1℃)で2分間乾燥後、室温(23℃)に冷却して、基材上に、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層を形成した。次いで、30℃の空気雰囲気下、メタルハライドランプを光源とした照射装置を用いて、上記固化層の表面に、400mJ/cm2(波長365nmの値を測定)の照射光量の紫外光を照射して、基材上に、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を形成した。このホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の硬化層を位相差フィルムDとした。上記位相差フィルムDの特性は、表2の通りである。
[参考例8]
塗工溶液の塗工厚みを代えた以外は、参考例5と同様の方法で位相差フィルムEを作製した。上記位相差フィルムEの特性は、表2の通りである。
[参考例9]
塗工溶液の塗工厚みを代えた以外は、参考例5と同様の方法で位相差フィルムFを作製した。上記位相差フィルムFの特性は、表2の通りである。
《IPSモードの液晶セルの作製》
[参考例10]
IPSモードの液晶セルを含む液晶表示装置[SONY製 KLV−17HR2]から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板を取り除いて、上記液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。
《偏光素子の作製》
[実施例1]
参考例1で作製した偏光子の表面に、イソシアネート系接着剤[三井武田ケミカル(株)製 商品名「タケネート631」]をファウンテンコータにて塗工し、90℃±1℃の空気循環式乾燥オーブンにて3分間乾燥させて、厚み5μmの接着剤層を形成した。次いで、上記接着剤層の表面に、参考例2で作製した位相差フィルムAを、上記位相差フィルムAの遅相軸が上記偏光子の吸収軸と直交(90°±0.5°)となるように、ラミネートロールで圧着して(このとき、基材は剥離した)、偏光子と位相差フィルムAの積層体を作製した。次いで、上記積層体の表面に、イソシアネート系接着剤[三井武田ケミカル(株)製 商品名「タケネート631」]をファウンテンコータにて塗工し、90℃±1℃の空気循環式乾燥オーブンにて3分間乾燥させて、厚み5μmの接着剤層を形成した。次いで、上記接着剤層の表面に、参考例8で作製した位相差フィルムEを、上記位相差フィルムEの遅相軸が上記偏光子の吸収軸と平行(0°±0.5°)となるように、ラミネートロールで圧着して(このとき、基材は剥離した)、偏光子と、位相差フィルムAと、位相差フィルムEとをこの順に備える偏光素子Aを作製した。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、偏光子と、位相差フィルムBと、位相差フィルムEとをこの順に備える偏光素子Bを作製した。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、偏光子と、位相差フィルムCと、位相差フィルムEとをこの順に備える偏光素子Cを作製した。
[実施例4]
実施例1と同様の方法で、偏光子と、位相差フィルムBと、位相差フィルムDとをこの順に備える偏光素子Dを作製した。
[実施例5]
実施例1と同様の方法で、偏光子と、位相差フィルムBと、位相差フィルムFとをこの順に備える偏光素子Fを作製した。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で、偏光子と、位相差フィルムEと、位相差フィルムBとをこの順に備える偏光素子Xを作製した。この偏光素子Xは、実施例2の偏光素子Bにおける、位相差フィルムBおよび位相差フィルムEの積層順序が逆であることだけが異なる。
[実施例6]
図11に示すように、参考例10で作製した液晶セルの視認側の表面に、実施例2で作製した偏光素子Bを、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を用いて貼着し、液晶セルのバックライト側に、参考例1で作製した偏光子を、その吸収軸が上記偏光素子の吸収軸と直交するように(90°±0.5°)、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を用いて貼着して、液晶パネルBを作製した。この液晶パネルBを、元の液晶表示装置に組み込み、バックライトを点灯させて10分後に斜め方向のコントラスト比を測定した。得られた特性は表3の通りである。
[実施例7]
実施例6と同様の方法で、液晶セルの視認側の表面に、実施例1で作製した偏光素子Aを備え、バックライト側に偏光子を備える液晶パネルAを作製した。得られた特性は表3の通りである。
[実施例8]
実施例6と同様の方法で、液晶セルの視認側の表面に、偏光素子Cを備え、バックライト側に偏光子を備える液晶パネルCを作製した。得られた特性は表3の通りである。
[実施例9]
実施例6と同様の方法で、液晶セルの視認側の表面に、偏光素子Dを備え、バックライト側に偏光子を備える液晶パネルDを作製した。得られた特性は表3の通りである。
[実施例10]
実施例6と同様の方法で、液晶セルの視認側の表面に、偏光素子Eを備え、バックライト側に偏光子を備える液晶パネルEを作製した。得られた特性は表3の通りである。
[比較例2]
液晶セルの視認側の表面に、参考例1で作製した偏光子を、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を用いて貼着し、液晶セルのバックライト側に、参考例1で作製した偏光子を、その吸収軸が上記偏光素子の吸収軸と直交するように(90°±0.5°)、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を用いて貼着して、液晶パネルIを作製した。
[比較例3]
実施例6と同様の方法で、液晶セルの視認側の表面に、偏光素子Xを備え、バックライト側に偏光子を備える液晶パネルJを作製した。得られた特性は表3の通りである。
[評価]
実施例6〜10に示すように、偏光子と、ポジティブAプレートと、ポジティブCプレートとをこの順に備える偏光素子を視認側に配置した液晶パネルは、斜め方向のコントラスト比が高い液晶表示装置を得ることができた。また、上記ポジティブAプレートに、ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層からなる位相差フィルムを用いることによって、薄型の偏光素子が得られ、結果として液晶パネルおよび液晶表示装置の厚みを薄くすることができた。参考例2〜5を考慮すると、ポジティブAプレートとして用いたホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の硬化層からなる位相差フィルムは、面内の複屈折率(Δn)が、0.04〜0.20の範囲で小さいほど、面内の位相差値(Re[590])のバラツキが小さいものを得られることが分かる。これに対し、参考例6に示すように、高分子フィルムをテンター延伸機で、横一軸延伸した位相差フィルムでは、(フィルム巾方向に遅相軸を有するものであるが)分厚いことに加え、Rth[590]がRe[590]よりも大きくなり、ポジティブAプレートを得ることさえもできなかった。
比較例2は、光学素子を配置せず、偏光子のみを液晶セルの両側に配置した液晶パネルであるが、斜め方向のコントラスト比が低い液晶表示装置しか得ることができなかった。また、比較例3は、ポジティブAプレートとポジティブCプレートの積層順序を逆にしたものであり、偏光子と、ポジティブCプレートと、ポジティブAプレートとをこの順に備える偏光素子を用いた液晶パネルであるが、この場合も、斜め方向のコントラスト比が低い液晶表示装置しか得ることができなかった。
以上のように、本発明の液晶パネルによれば、斜め方向のコントラスト比を高めることができるため、液晶表示装置の表示特性向上に、極めて有用であると言える。本発明の液晶パネルは、液晶表示装置および液晶テレビに好適に用いられる。
本発明の好ましい実施形態による偏光素子の概略断面図である。 本発明の偏光素子の好ましい実施形態の代表例を液晶パネルとの位置関係を含めて説明する概略断面図である。 本発明の製造方法における代表的な配向膜形成工程の概要を説明する模式図である。 本発明の製造方法における代表的な液晶性組成物の塗工・乾燥工程の概要を説明する模式図である。 本発明の製造方法における代表的な紫外線照射部の概略斜視図である。 本発明の好ましい実施態様によるポジティブCプレートに用いられる位相差フィルムの製造方法の概要を説明する模式図である。 本発明の好ましい実施態様による偏光素子の製造工程の概略を説明する模式図である。 本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略斜視図である。 本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。 本発明の位相差フィルムの面内の位相差値を測定するためのサンプルの概略図である。
符号の説明
1 測定箇所
10 偏光素子
11、11’ 偏光子
12 ポジティブAプレート
13 ポジティブCプレート
20 液晶セル
30、30’ 保護層
40、40’ 表面処理層
50 輝度向上フィルム
60 プリズムシート
70 導光板
80 バックライト
101、201、401 繰り出し部
102、202、402、502 基材
103、203、403、503 ガイドロール
104、204、504 コータ部
105、205、505 乾燥手段
106、206、410 温度制御手段
107、207、412 紫外線ランプ
108、303 偏光フィルタ
109、208、411 紫外線照射部
110、209、413 巻き取り部
301 誘電体エキシマ放電ランプ
302 集光鏡
404 第1のコータ部
407 第2のコータ部
405 第1の乾燥手段
408 第2の乾燥手段
501 第1の繰り出し部
507、508 ラミネートロール
509 第2の繰り出し部
510 第1の巻き取り部
513 第2の巻き取り部
600 液晶パネル
700 液晶表示装置


Claims (8)

  1. 偏光子と、下記式(1)を満足するポジティブAプレートと、下記式(2)を満足するポジティブCプレートとをこの順に備え、該ポジティブAプレートがホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含み、該ポジティブAプレートの遅相軸が該偏光子の吸収軸と実質的に直交であり、該ホモジニアス配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムの、23℃における波長589nmの光で測定した異常光の屈折率(ne)と常光の屈折率(no)との差(ne−no)が、0.04〜0.09である、偏光素子:
    70nm≦Re[590]≦200nm ・・・(1)
    −200nm≦Rth[590]≦−30nm ・・・(2)
    [ただし、Re[590]、Rth[590]は、それぞれ23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値、厚み方向の位相差値とする。]。
  2. 前記偏光素子の全体厚みが20μm〜60μmである、請求項1に記載の偏光素子。
  3. 前記ポジティブCプレートが、ホメオトロピック配列に配向させた液晶性組成物の固化層または硬化層からなる位相差フィルムを含む、請求項1または2に記載の偏光素子。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の偏光素子と液晶セルとを備える、液晶パネル。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の偏光素子が液晶セルの視認側に配置されてなる、請求項に記載の液晶パネル。
  6. 前記液晶セルの駆動モードが、IPSモード、VAモードまたはOCBモードである、請求項またはに記載の液晶パネル。
  7. 請求項からのいずれかに記載の液晶パネルを含む、液晶テレビ。
  8. 請求項からのいずれかに記載の液晶パネルを含む、液晶表示装置。
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