このような従来の除湿機は、除湿ローターが吸湿した水分を回収するための顕熱交換器が必要であった。このため装置が大型化するという課題があった。
また、ヒーターと除湿ローターの再生部と顕熱交換器の一方通路を環状に接続した循環通路を形成する必要があった。このため装置構成が複雑化して高価になるという課題があった。
また、放熱器に供給される空気のエンタルピーを増加する手段を有していないため、低温環境下においてヒートポンプの作動圧力が低下し、吸熱能力が低下して除湿量が減少するという課題があった。
また、吸熱器に供給される空気のエンタルピーを増加する手段を有していないため、低温環境下では吸熱器と供給空気とのエンタルピー差が縮小して除湿量が減少するという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、小型で簡略な構成でヒートポンプと除湿ローターによる除湿運転を実現し、低温環境下でも除湿量を確保して年間を通じて効率の良い除湿運転を行い得る除湿機を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明が講じた第1の課題解決手段は、吸込口(2)と吹出口(4)を開口した本体(1)内に、吸熱器(10)において供給空気から吸熱し、放熱器(12)において供給空気に放熱するヒートポンプ(13)と、吸湿部(26)において供給空気から吸湿し、再生部(27)において加熱されることにより水分を放出して再生する除湿ローター(22)と、前記再生部(27)および前記再生部(27)に供給する空気を加熱するヒーター(23)と、前記吸込口(2)から空気を吸引し前記放熱器(12)に供給して前記吹出口(4)から排出する第1供給経路(16)と、前記吸込口(2)から空気を吸引し前記吸熱器(10)に供給して前記吹出口(4)から排出する第2供給経路(17)と、を備え、前記除湿ローター(22)を、前記放熱器(12)に供給される空気の少なくとも一部が前記吸湿部(26)を通り、前記吸熱器(10)に供給される空気の少なくとも一部が前記再生部(27)を通るように配設したものである。
そして、上記第1の課題解決手段は、次の作用を有する。すなわち、第1供給経路(16)においては、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気が放熱器(12)に供給されてヒートポンプ(13)の放熱により加熱される。この時、放熱器(12)に供給される空気の少なくとも一部は、除湿ローター(22)の吸湿部(26)に供給される。
吸湿部(26)に供給された空気は吸湿されて湿度が低下するとともに、除湿ローター(22)の吸着熱やヒーター(23)の余熱により温度が上昇してエンタルピーが増加する。このエンタルピーが増加した空気が放熱器(12)に供給されるので、ヒートポンプ(13)の作動圧力が上昇する。一方、第2供給経路(17)においては、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気が吸熱器(10)に供給されてヒートポンプ(13)の吸熱により冷却減湿される。この時、吸熱器(10)に供給される空気の少なくとも一部は、除湿ローター(22)の再生部(27)に供給される。再生部(27)に供給される空気は、ヒーター(23)により加熱されて高温になりエンタルピーが増加する。この高温空気が再生部(27)に供給されることにより、除湿ローター(22)は吸湿している水分を高温空気に放出して再生する。この放出した水分を含むことにより空気は加湿され顕熱の一部を潜熱に変換し高温高湿空気となる。この高温高湿空気が吸熱器(10)に供給されるのでエンタルピー差が拡大し、高効率な吸熱が行われて高温高湿空気は冷却される。この冷却過程で飽和した水分が結露水として回収される。この結露水には、除湿ローター(22)が吸湿部(26)において供給空気から吸湿した水分と、吸込口(2)から吸熱器(10)に供給した空気を冷却して除去した水分の両方が含まれる。
そして放熱器(12)で加熱された空気および吸熱器(10)で冷却減湿された空気は、吹出口(4)から本体(1)外部に排出される。上記作用においてヒートポンプ(13)の放熱に最適な風量と除湿ローター(22)の吸湿に最適な風量とは必ずしも一致しない。
そこで各々の最適風量の差を緩和するように放熱器(12)に供給する空気の一部を吸湿部(26)に供給することでヒートポンプ(13)の放熱と除湿ローター(22)の吸湿が効率よく行われる。また、ヒートポンプ(13)の吸熱に最適な風量と除湿ローター(22)の再生に最適な風量も必ずしも一致しない。そこで各々の最適風量の差を緩和するように吸熱器(10)に供給する空気の一部を再生部(27)に供給することでヒートポンプ(13)の吸熱と除湿ローター(22)の再生が効率よく行われる。
また、本発明が講じた第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段において、前記本体(1)の吹出口(4)開口面と異なる面に開口した排気口(3)と、前記第1供給経路(16)もしくは前記第2供給経路(17)の排出先を前記排気口(3)に切り換える切換手段(19)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、第1供給経路(16)において放熱器(12)で加熱された空気、あるいは第2供給経路(17)において吸熱器(10)で冷却減湿された空気が、切換手段(19)により排気口(3)から本体(1)外部に排出される。排気口(3)は、本体(1)の吹出口(4)開口面と異なる面に開口しているため、吹出口(4)から排出される空気と排気口(3)から排出される空気は異なる方向に排出される。したがって吹出口(4)から排出される空気と排気口(3)から排出される空気が混ざりにくくなる。ここで切換手段(19)が第1供給経路(16)の排出先を排気口(3)に切り換えた場合は、排気口(3)からは、除湿ローター(22)の吸着熱、ヒーター(23)の余熱、ヒートポンプ(13)の放熱などの除湿機の排熱を含んだ高温の空気が排出され、吹出口(4)からは、これら排熱を含まないヒートポンプ(13)の吸熱によって冷却された低温の空気が排出される。また、切換手段(19)が第2供給経路(17)の排出先を排気口(3)に切り換えた場合は、吹出口(4)からは、除湿ローター(22)の吸着熱、ヒーター(23)の余熱、ヒートポンプ(13)の放熱などの除湿機の排熱を含んだ高温の空気が排出され、排気口(3)からは、これら排熱を含まないヒートポンプ(13)の吸熱によって冷却された低温の空気が排出される。
また、本発明が講じた第3の課題解決手段は、上記第2の課題解決手段において、前記切換手段(19)によって前記第1供給経路(16)あるいは前記第2供給経路(17)の排出先を前記排気口(3)に設定した場合に、前記ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する制御手段(50)をさらに備えたものである。
そして、上記第3の課題解決手段は、上記第2の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、切換手段(19)が第1供給経路(16)あるいは第2供給経路(17)の排出先を排気口(3)に切り換えた場合に、制御手段(50)はヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少させる。このヒーター(23)の発熱の停止もしくは減少によってヒーター(23)に供給される空気の温度上昇が減少する。この温度上昇が減少した空気が再生部(27)に供給されるので、再生部(27)で除湿ローター(22)を再生し、顕熱を潜熱に変換した空気の温度が低下する。この温度が低下した空気が吸熱器(10)に供給されるので、吸熱器(10)で冷却減湿された空気も温度がより低下する。このより低温の空気が吹出口(4)あるいは排気口(3)から排出されるので、冷風感がさらに向上する。
また、本発明が講じた第4の課題解決手段は、上記第2または第3の課題解決手段において、前記排気口(3)に着脱自在な排気ダクト(53)をさらに備えたものである。
そして、上記第4の課題解決手段は、上記第2または第3の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、排気口(3)から排出される空気は、排気口(3)に接続された排気ダクト(53)により、吹出口(4)から遠方に、あるいは、本体(1)が配置される空間とは別の空間に排出される。したがって吹出口(4)から排出される空気との混合が更に抑制される。そして排気ダクト(53)の排出先を別の空間に設けた場合は、本体(1)が配置される空間には、除湿機の排熱を含んだ高温の空気、もしくは排熱を含まない低温の空気のみが供給される。
また、本発明が講じた第5の課題解決手段は、上記第1、第2、第3または第4の課題解決手段において、前記第1供給経路(16)および前記第2供給経路(17)に送風する送風手段(14、15)を備え、前記第1供給経路(16)に、前記吸込口(2)側から順番に、前記除湿ローター(22)、前記放熱器(12)、前記送風手段(14)を水平方向に並設するとともに、前記第2供給経路(17)に、前記吸込口(2)側から順番に、前記ヒーター(23)、前記除湿ローター(22)、前記吸熱器(10)、前記送風手段(15)を水平方向に並設したものである。
そして、上記第5の課題解決手段は、上記第1、第2、第3または第4の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、第1供給経路(16)では、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気の一部が、水平方向に並設された除湿ローター(22)、放熱器(12)を方向転換無く円滑に通って送風手段(14)に吸込まれる。したがって第1供給経路(16)の通風抵抗が減少して風量の確保が容易となる。また、第2供給経路(17)では、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気の一部が、水平方向に並設されたヒーター(23)、除湿ローター(22)、吸熱器(10)を方向転換無く円滑に通って送風手段(15)に吸込まれる。したがって第2供給経路(17)の通風抵抗が減少して風量の確保が容易となる。
また、本発明が講じた第6の課題解決手段は、上記第5の課題解決手段において、前記放熱器(12)の下方に前記吸熱器(10)を配設したものである。
そして、上記第6の課題解決手段は、上記第5の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、吸熱器(10)で冷却減湿することにより発生した結露水がその自重により下方に滴下する。吸熱器(10)は放熱器(12)の下方に配設されているので、滴下した結露水が放熱器(12)で加熱されて再放散することなく円滑に滴下する。
また、本発明が講じた第7の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5または第6の課題解決手段において、前記ヒーター(23)を、自己温度制御性を有するヒーターとしたものである。
そして、上記第7の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5または第6の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ヒーター(23)が自己温度制御性を有しているため、再生部(27)に供給する空気温度が略一定に制御される。これにより再生部(27)において常に安定した水分放出が行われる。また、ヒーター(23)に供給される空気が低温の場合は、ヒーター(23)の消費電力が増加し、ヒーター(23)に供給される空気が高温の場合は、ヒーター(23)の消費電力が減少する。このように多様な環境下の温度変化に応じて必要な電力が消費されるので省エネ性が向上する。
また、本発明が講じた第8の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の課題解決手段において、前記ヒーター(23)が放散する輻射熱を前記再生部(27)に反射する反射板(25)をさらに備えたものである。
そして、上記第8の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、反射板(25)がヒーター(23)が放散する輻射熱を除湿ローター(22)の再生部(27)に反射する。この輻射熱により再生部(27)における水分放出量が増加する。この水分放出が増加した分、再生部(27)から吸熱器(10)に供給される空気のエンタルピーがさらに上昇する。この高エンタルピー空気が吸熱器(10)に供給されるのでエンタルピー差がさらに拡大し、吸熱効率が向上する。また、再生部(27)における水分放出量が増加するので吸湿部(26)での吸湿量も増加する。これにより吸湿部(26)を通過した空気がさらに乾燥する。
また、本発明が講じた第9の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、前記吸込口(2)から吸引される空気の温度を検出する室温センサー(36)と、前記室温センサー(36)の値が所定値以上の場合に前記ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少し、前記室温センサー(36)の値が所定値未満の場合に前記ヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加する制御手段(50)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第9の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、室温センサー(36)が吸込口(2)から吸引される空気の温度を検出する。この検出温度が所定値以上の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する。これにより本体(1)外部に排出される空気の温度が低下する。したがって本体(1)が置かれている部屋の温度が低下して室温センサー(36)の検出温度も低下する。また、室温センサー(36)の検出温度が所定値未満の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加する。これにより本体(1)外部に排出される空気の温度が上昇する。したがって本体(1)が置かれている部屋の温度が上昇して室温センサー(36)の検出温度も上昇する。このようにして本体(1)が置かれている部屋の温度が所望の領域に調整される。
また、本発明が講じた第10の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、前記吸込口(2)から吸引される空気の湿度を検出する湿度センサー(37)と、前記湿度センサー(37)の値が所定値未満の場合に前記ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少し、前記湿度センサー(37)の値が所定値以上の場合に前記ヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加する制御手段(50)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第10の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、湿度センサー(37)が吸込口(2)から吸引される空気の湿度を検出する。この検出湿度が所定値未満の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する。これにより再生部(27)における水分放出量が低下する。したがって吸熱器(10)での水分回収量が減少して本体(1)外部に排出される空気の湿度が上昇する。したがって本体(1)が置かれている部屋の湿度が上昇して湿度センサー(37)の検出湿度も上昇する。また、湿度センサー(37)の検出湿度が所定値以上の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を開始もしくは上昇する。これにより再生部(27)における水分放出量が増加する。したがって吸熱器(10)での水分回収量が増加して本体(1)外部に排出される空気の湿度が低下する。したがって本体(1)が置かれている部屋の湿度が低下して湿度センサー(37)の検出湿度も低下する。このようにして本体(1)が置かれている部屋の湿度が所望の領域に調整される。
また、本発明が講じた第11の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、前記再生部(27)の風下側の温度を検出する再生サーミスタ(38)と、前記再生サーミスタ(38)の値が所定値以上の場合に前記ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する制御手段(50)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第11の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、再生サーミスタ(38)が再生部(27)の風下側の温度を検出する。この検出温度が所定値以上の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する。これにより再生部から排出される空気の温度が低下する。したがって再生部(27)の風下側の温度、例えば、再生部(27)と吸熱器(10)を接続して第1供給経路(16)の一画を形成する樹脂部品の温度が低下する。したがって再生部(27)の風下側に配置される部品の温度信頼性が確保される。
また、本発明が講じた第12の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、前記ヒーター(23)近傍の温度を検出するヒーターサーミスタ(39)と、前記ヒーターサーミスタ(39)の値が所定値以上の場合に前記ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する制御手段(50)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第12の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、ヒーターサーミスタ(39)がヒーター(23)近傍の温度を検出する。この検出温度が所定値以上の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少する。これによりヒーター(23)近傍の温度、例えば、ヒーター(23)の発熱部を覆うケース部の温度が低下する。したがってヒーター(23)の近傍に配置される部品の温度信頼性が確保される。
また、本発明が講じた第13の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、前記吸熱器(10)の温度を検出するコイル温度センサー(40)と、前記コイル温度センサー(40)の値が所定値未満の場合に前記ヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加する制御手段(50)と、をさらに備えたものである。
そして、上記第13の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、コイル温度センサー(40)が吸熱器(10)の温度を検出する。この検出温度が所定値未満の場合に制御手段(50)がヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加する。これにより再生部(27)を介して吸熱器(10)に付与される熱量が増加し、吸熱器(10)の温度が上昇する。したがって吸熱器(10)への氷結や着霜が抑制される。
また、本発明が講じた第14の課題解決手段は、上記第13の課題解決手段において、前記コイル温度センサー(40)の値が所定値未満の場合に前記ヒートポンプ(13)の動作を停止する制御手段(50)をさらに備えたものである。
そして、上記第14の課題解決手段は、上記第13の課題解決手段による作用に加えて、次の作用を有する。すなわち、コイル温度センサー(40)の検出温度が所定値未満の場合に制御手段(50)がヒートポンプ(13)の動作を停止する。これにより吸熱器(10)において供給される空気からの吸熱動作が停止する。したがって吸熱器(10)への氷結や着霜が抑制される。
本発明の請求項1記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、次に記載する効果を奏する。すなわち、除湿ローター(22)が吸湿した水分を吸熱器(10)で結露水として回収するので水分回収用の顕熱交換器が不要となり装置の小型化が図れる。また、装置内に環状の循環風路を形成せずにヒートポンプ(13)と除湿ローター(22)による除湿運転が可能なので、装置構成の簡素化が図れる。また、除湿ローター(22)の吸着熱やヒーター(23)の余熱によりエンタルピーが増加した空気を放熱器(12)に供給するので、ヒートポンプ(13)の作動圧力が上昇し、冬場の低温時でも吸熱能力が維持されて除湿量を確保することができる。さらに、ヒーター(23)および除湿ローター(22)の再生部(27)で加熱および加湿された高エンタルピーの空気を吸熱器(10)に供給するので、エンタルピー差が拡大して吸熱効率が向上し除湿能力が増加する。また、ヒートポンプ(13)の放熱に適した風量と除湿ローター(22)の吸湿に適した風量との差を放熱器(12)に供給する空気の一部を吸湿部(26)に供給することで緩和し、ヒートポンプ(13)の放熱と除湿ローター(22)の吸湿を効率的に行うことができる。また、ヒートポンプ(13)の吸熱に適した風量と除湿ローター(22)の再生に適した風量との差を吸熱器(10)に供給する空気の一部を再生部(27)に供給することで緩和し、ヒートポンプ(13)の吸熱と除湿ローター(22)の再生を効率的に行うことができる。
また、本発明の請求項2記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、除湿ローター(22)の吸着熱、ヒーター(23)の余熱、ヒートポンプ(13)の放熱などの除湿機の排熱を含んだ高温の空気とヒートポンプ(13)の吸熱により冷却された低温の空気の排出先を切換手段(19)によって切換可能にしたので、排熱を含んだ高温空気と冷却された低温空気の双方を吹出口(4)から供給する運転形態と、排熱を含んだ高温空気を吹出口(4)から供給し、冷却された低温空気を排気口(3)から排出する運転形態と、冷却された低温空気を吹出口(4)から供給し、排熱を含んだ高温空気を排気口(3)から排出する運転形態との切換を行うことができる。これにより使用者が好みに応じて上記運転形態を選択でき、使い勝手を向上することができる。また、吹出口(4)と排気口(3)を本体(1)の異なる面に開口したので、吹出口(4)から排出される空気と排気口(3)から排出される空気を混ざりにくくできる。これにより吹出口(4)から排熱を含んだ高温空気を供給すると温風感を得ることができ、吹出口(4)から冷却された低温空気を供給すると冷風感を得ることができる。
また、本発明の請求項3記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項2記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、切換手段(19)が第1供給経路(16)あるいは第2供給経路(17)の排出先を排気口(3)に設定した場合に、ヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少させるので、吹出口(4)あるいは排気口(3)から供給する空気の温度をより低くして冷風感を向上することができる。
また、本発明の請求項4記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項2または3記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、排気ダクト(53)によって排気口(3)から排出する空気を吹出口(4)から遠方に排出できるので、温風感や冷風感をより向上できる。さらに排気ダクト(53)によって排気口(3)からの空気を本体(1)が配置される空間とは別の空間に排出した場合には、本体(1)が置かれている空間に、除湿機の排熱を含んだ高温の空気、もしくは冷却された低温の空気のみを供給して空間温度を調整することができる。
また、本発明の請求項5記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3または4記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、第1供給経路(16)では、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気の一部を、水平方向に並設された除湿ローター(22)および放熱器(12)に方向転換無く円滑に供給することができる。これにより第1供給経路(16)の通風抵抗が減少して風量確保が容易となり低騒音化が図れる。また、第2供給経路(17)では、吸込口(2)から本体(1)内に吸引された空気の一部を、水平方向に並設されたヒーター(23)、除湿ローター(22)および吸熱器(10)に方向転換無く円滑に供給することができる。これにより第2供給経路(17)の通風抵抗が減少して風量確保が容易となり低騒音化が図れる。
また、本発明の請求項6記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項5記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、放熱器(12)の下方に吸熱器(10)を配設したので、吸熱器(10)で冷却減湿することにより発生した結露水の再放散を防ぎ円滑に滴下回収することができる。
また、本発明の請求項7記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5または6記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生部(27)に供給する空気温度を略一定に制御して再生部(27)において常に安定した水分放出を行うことができる。したがって年間を通じて安定した除湿性能を確保できる。また、供給される空気温度に応じてヒーター(23)の消費電力を調整できるので省エネ性を向上することができる。
また、本発明の請求項8記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6または7記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ヒーター(23)が放散する輻射熱を反射板(25)により除湿ローター(22)の再生部(27)に反射するので、再生部(27)における水分放出量を増加することができる。これにより吸熱器(10)における結露水回収量、すなわち除湿量を増加することができる。
また、本発明の請求項9記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、吸込口(2)から吸引される空気の温度を検出する室温センサー(36)の値が所定値以上の場合にヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少し、室温センサー(36)の値が所定値以下の場合にヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加するので、本体(1)が置かれている部屋の温度を所望の領域に調整することができる。
また、本発明の請求項10記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、吸込口(2)から吸引される空気の湿度を検出する湿度センサー(37)の値が所定値以下の場合にヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少し、湿度センサー(37)の値が所定値以上の場合にヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加するので、本体(1)が置かれている部屋の湿度を所望の領域に調整することができる。
また、本発明の請求項11記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、再生部(27)の風下側の温度を検出する再生サーミスタ(38)の値が所定値以上の場合にヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少するので、再生部(27)の風下側に配置される部品の温度信頼性を確保することができる。
また、本発明の請求項12記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、ヒーター(23)近傍の温度を検出するヒーターサーミスタ(39)の値が所定値以上の場合にヒーター(23)の発熱を停止もしくは減少するので、ヒーター(23)の近傍に配置される部品の温度信頼性を確保することができる。
また、本発明の請求項13記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、吸熱器(10)の温度を検出するコイル温度センサー(40)の値が所定値未満の場合に前記ヒーター(23)の発熱を開始もしくは増加するので、吸熱器(10)への氷結や着霜を抑制することができる。
また、本発明の請求項14記載の除湿機は、かかる構成とすることにより、上記請求項13記載の除湿機が奏する効果に加えて、次に記載する効果を奏する。すなわち、吸熱器(10)の温度を検出するコイル温度センサー(40)の値が所定値未満の場合にヒートポンプ(13)の動作を停止するので、吸熱器(10)への氷結や着霜を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態1を図1〜8に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる除湿機の概略断面図である。
図1に示すように、大略直方体状に形成した本体1の一側面に吸込口2、吸込口2の上部に排気口3、排気口3の反対側の側面に吹出口4を開口し、吸込口2の開口面に異物を補足するフィルター5を配設するとともに、吹出口4には空気の排出方向を変更する風向変更手段6を配設している。また、本体1内には、底板7上に圧縮機8、その上方に支持板9を介して吸熱器10、吸熱器10の上方に隔壁11を介して放熱器12を配設しており、この圧縮機8、吸熱器10、放熱器12を配管接続して密閉回路を形成し、この密閉回路内に作動流体である冷媒、例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などを充填して蒸気圧縮式のヒートポンプ13を構成している。
吸熱器10および放熱器12は、ヘアピンチューブに複数枚のフィンを嵌入して空気流通を可能に構成したフィンチューブ型の熱交換器で構成し、吸熱器10と放熱器12を接続する配管中には、図示しない絞り機構、例えば、キャピラリチューブや膨張弁等を介在させている。
また、吸込口2から見て、放熱器12の後段側に送風手段14、吸熱器10の後段側には送風手段15を各々配設して隔壁11によって送風手段14の送風路である第1供給経路16と送風手段15の送風路である第2供給経路17とを分離形成している。この送風手段14および送風手段15にはファン、モータ、ケーシング等から構成される一般的な送風機が用いられる。
送風手段14は、吸込側が放熱器12と連通し、吐出側が吹出口4と連通しているので、送風手段14を作動すると、吸込口2から空気を吸引して放熱器12に供給し吹出口4から排出する送風動作が行われる。また、送風手段15は、吸込側が吸熱器10と連通し、吐出側が吹出口4と連通しているので、送風手段15を作動すると、吸込口2から空気を吸引して吸熱器10に供給し吹出口4から排出する送風動作が行われる。
ここで圧縮機8を運転すると、放熱器12、図示しない膨張機構、吸熱器10の順に冷媒が密閉回路内を循環し、圧縮機8で圧縮された高温高圧の冷媒が放熱器12において送風手段14によって供給される空気に放熱し、膨張機構で膨張した低温低圧の冷媒が吸熱器10において送風手段15によって供給される空気から吸熱してヒートポンプ13が作動することになる。
また、吹出口4と排気口3を連通する風路18には、第1供給経路16の排出先を吹出口4または排気口3の何れかに切り換える切換手段19が配設されている。切換手段19は風路18を閉塞するダンパー機構を有しており、切換手段19を位置Aに設定すると、送風手段14の吐出側と吹出口4が連通して排気口3への通路は閉塞状態になる。また、切換手段19を位置Bに設定すると、送風手段14の吐出側と排気口3が連通して吹出口4への通路が閉塞状態になる。このようにして切換手段19は、第1供給経路16の排出先を吹出口4または排気口3の何れかに切り換えるように構成されている。切換手段19の位置変更を実行するには、本体1の上面にある操作部20にダンパー機構に連動したレバー部を設けて使用者が手動で実行してもよく、あるいは、ダンパー機構に電動モータを連動させ、操作部20に設けた操作ボタン等により電動モータを作動して実行しても良い。そしてレバー操作により切換手段19を手動で操作する場合には、切換手段19に磁石を設け、何れかの位置、例えば位置A側にホール素子などの位置検出器21を配設して、切換手段19の位置を検出可能に構成することが好ましい。
また、本体1内の吸熱器10および放熱器12の風上側には、第1供給経路16と第2供給経路17を跨るように除湿ローター22を回動可能に配設しており、この除湿ローター22の第2供給経路17側の風上にヒーター23を配設している。除湿ローター22は、軸方向に通風可能なハニカム構造もしくはコルゲート構造の円筒構造体に吸湿剤を担持して構成されている。この吸湿剤は、高い吸湿性があり再生時にヒーター23の発熱に耐え得る耐熱性を有しているものが好ましく、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機質の吸着型吸湿剤、有機高分子電解質(イオン交換樹脂)などの吸湿剤、塩化リチウムなどの吸収型吸湿剤等を用いることができる。この吸湿剤は1種類のみに限定されるものではなく、上述した吸湿剤の2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、除湿ローター22の回転軸部には駆動モータ24が連結されており、この駆動モータ24の回転に伴って除湿ローター22が回転する。この時、除湿ローター22の回転速度は毎時10回転から40回転程度に設定される。
ヒーター23は、除湿ローター22に近接して配設されており、このヒーター23の発熱によってヒーター23を通って除湿ローター22に供給される空気および除湿ローター22自身が加熱される。また、ヒーター23の除湿ローター22反対側には反射板25を配設しており、この反射板25によってヒーター23が放散する輻射熱を除湿ローター22に反射させている。このヒーター23は発熱動作を行い得るものであれよく、例えば、ニクロムヒーター、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーター、PTCヒーター等を用いることができる。特にPTCヒーターを採用した場合は、このPTCヒーターの自己温度制御性によって供給される空気温度に応じて発熱量が調整され、除湿ローター22に供給される空気温度が略一定に制御されることになる。例えば、PTCヒーターに供給される空気温度が低い場合、すなわち冬場にはPTCヒーターの発熱量が増加して消費電力も増加し、また、PTCヒーターに供給される空気温度が高い場合、すなわち夏場にはPTCヒーターの発熱量が低下して消費電力も減少する。このようにしてPTCヒーターを採用した場合は、年間を通じて除湿ローター22に安定した熱量を供給することができる。また、反射板25は、ヒーター23が放散する輻射熱を反射できるものであればよく、光沢性のある金属板、例えばアルミニウム板やステンレス板に曲げ加工などを施して形設することができる。さらに反射板25をヒーター23の固定を兼ねるように形成すれば、ヒーター23の固定具が不要となり構成を簡略化できる。また、反射板25は、ヒーター23の発熱に伴う発光を吸込口2から漏れるのを遮るための遮光板としての作用も行い得る。
このように吸熱器10と放熱器12の上流側に除湿ローター22とヒーター23を配設しているので、送風手段14が送風動作を実行すると、吸込口2から吸引された空気が第1供給経路16に導かれ、一部が除湿ローター22に供給されて残りが放熱器12に供給される。また、送風手段15が送風動作を実行すると、吸込口2から吸引された空気が第2供給経路17に導かれ、一部がヒーター23を介して除湿ローター22に供給されて残りが吸熱器10に供給される。このようにして除湿ローター22は、第1供給経路16内においては吸込口2から吸引された空気と直接接触し、第2供給経路17内においては、ヒーター23で加熱されて高温となった空気と接触する。除湿ローター22に担持されている吸湿剤は、相対的に湿度が高く温度の低い空気から吸湿し、相対的に湿度が低く温度が高い空気に水分を放出する特性を有しているので、除湿ローター22が第1供給経路16において供給される空気から吸湿し、第2供給経路17においてヒーター23で加熱された空気に水分を放出して再生することになる。したがって除湿ローター22の第1供給経路16内に位置する部分が供給空気から吸湿する吸湿部26として働き、第2供給経路17内に位置する部分が供給空気に水分を放出して再生する再生部27として働くことになる。さらに再生部27には反射板25によってヒーター23が放散する輻射熱が供給されるので、より水分が放出しやすくなり除湿ローター22の再生が促進する。また、除湿ローター22は駆動モータ24によって回転しているので、除湿ローター22に担持されている吸湿剤は、第1供給経路16と第2供給経路17を連続的に移動し、吸湿部26における吸湿動作と再生部27における水分放出動作を連続的に実行することになる。
そして吸湿部26において吸湿されて水分を除去された空気は、除湿ローター22の吸着熱やヒーター23の余熱により温度およびエンタルピーが上昇し、風下側にある放熱器12に供給される。このエンタルピーが増加した空気が放熱器12に供給されることにより、ヒートポンプ13の作動圧力が上昇し、特に冬場などの低温時には吸熱能力を確保することができる。また、再生部27において水分を放出された空気は、高温高湿状態となりエンタルピーが増加して風下側にある吸熱器10に供給される。この高エンタルピーの空気が吸熱器10に供給されるので、エンタルピー差が拡大して高効率な吸熱動作が行われ、供給空気がその飽和温度以下に冷却される。この冷却過程で飽和した水分は結露水として下方に滴下し、図示しないドレンパンで受け止められた後に、底板7と支持板9の間に着脱自在に配設された排水タンク28に貯留される。この結露水には除湿ローター22が吸湿部26において吸湿した水分と、吸込口2から直接吸熱器10に供給された空気を冷却して除去した水分の両方が含まれる。また、排水タンク28に所定量の結露水が溜まると水位検出手段29としてのフロートスイッチが動作し、除湿機の運転は停止して排水タンク28からの溢水が防止される。
第1供給経路16において放熱器12を通過した空気は、吸湿部26における吸着熱やヒーター23の余熱、また放熱器12におけるヒートポンプ13の放熱などの排熱を含んだ高温空気となって送風手段14に吸込まれる。そして送風手段14から吹出した高温空気は、切換手段19が位置Aに設定されているときは、吹出口4から本体1外部に排出され、切換手段19が位置Bに設定されているときは、排気口3から本体1外部に排出される。また、第2供給経路17において吸熱器10を通過して冷やされた低温空気は、送風手段15に吸込まれた後、吹出口4から本体1外部に排出されることになる。したがって切換手段19が位置Bに設定されているときは、吸熱器10を通過した低温の空気のみが吹出口4から排出されることになる。このように本体1内には吸込口2側から順にヒーター23、除湿ローター22、放熱器12および吸熱器10、送風手段14および送風手段15が水平方向に順番に並設されており、送風手段14によって第1供給経路16内に吸引された空気は、その風向きを大きく変更することなく送風手段14に吸込まれて排出されるため、第1供給経路16における通風抵抗が減少して風量確保が容易となり送風騒音も低減される。また、送風手段15によって第2供給経路17内に吸引された空気も、その風向きを大きく変更することなく送風手段15に吸込まれるので、同様に通風抵抗が減少して風量確保が容易となり送風騒音が低減されることになる。
図2は、図1に示した除湿機の吸込口開口面の概略断面図である。
図2に示すように、吸込口2の開口部には、除湿ローター22が全周見えるように配設されており、その奥側に吸熱器10および放熱器12が各々の一部を吸込口2の開口部に臨むように上下方向に並設されている。また、除湿ローター22の背面部には、第1供給経路16と第2供給経路17を区分する隔壁11が吸込口2の開口面を横断するように架設されており、この隔壁11によって放熱器12を保持している。したがってこの隔壁11の上方が第1供給経路16、隔壁11の下方が第2供給経路17となり、除湿ローター22の第1供給経路16内に配設された部分が吸湿部26となる。
この第1供給経路16において放熱器12に直接供給される空気と吸湿部26を介して放熱器12に供給される空気の風量比率は適宜設計可能であるが、ヒートポンプ13の放熱と除湿ローター22の吸湿を効果的に行うには、放熱器12に供給する空気全体の10%から70%を吸湿部26に供給することが望ましい。この供給比率の調整は、吸込口2側から見て放熱器12全体の前面面積の中に占める除湿ローター22が覆蓋する面積の割合を調整することで比較的容易に可能であり、例えば、放熱器12全体に供給する空気の50%を吸湿部26に供給するには、放熱器12の前面面積の約50%を除湿ローター22で覆蓋するように構成すればよい。また、除湿ローター22を通過した空気を全て放熱器12に供給するのではなく、除湿ローター22の吸湿部26を通過した空気の一部を、放熱器12をバイパスさせて直接本体1外部に排出するように構成してもよい。この場合、隔壁11の面積を広くして、この隔壁11に開口を設け、吸湿部26を通過した空気の一部を直接送風手段14に吸込ませるように構成すればよい。このように構成すると放熱器12に与えるエンタルピーが減少して低温時のヒートポンプ13の吸放熱能力は低下するが、高温時は逆にヒートポンプ13の動作圧力を下げることが可能になり圧縮機8の仕事量を低減して省エネを図ることができる。
また、第2供給経路17内に位置する除湿ローター22の風上側にはヒーター23を具設しており、そのヒーター23の風上側にヒーター23を保持するとともにヒーター23の輻射熱を除湿ローター22側に反射する扇形の反射板25を配設している。したがって吸込口2の開口部から見て除湿ローター22の反射板25で覆われる部分が再生部27になる。この反射板25は吸込口2の開口部からみてヒーター23全体を覆うように形設するのが好ましく、このように構成するとヒーター23の輻射熱を漏れなく除湿ローター22側に反射できるとともに、ヒーター23の発光が吸込口2から漏れるのを遮光することができる。この第2供給経路17において吸熱器10に直接供給される空気と再生部27を介して吸熱器10に供給される空気の風量比率は適宜設計可能であるが、ヒートポンプ13の吸熱と除湿ローター22の再生を効果的に行うには、吸熱器10に供給する空気全体の10%から70%を再生部27に供給することが望ましい。この供給比率の調整は、吸込口2側から見て吸熱器10全体の前面面積の中に占める反射板25が覆蓋する面積の割合を調整することで比較的容易に可能であり、例えば、吸熱器10全体に供給する空気の30%を再生部27に供給するには、吸熱器10の前面面積の約30%を反射板25で覆蓋するように構成すればよい。
また、第2供給経路17内の除湿ローター22の回転方向における再生部27の前段側および後段側には吸込口2からの空気を直接除湿ローター22に供給する領域を設けており、再生部27の前段側が除湿ローター22の予熱部30、再生部27の後段側は除湿ローター22の冷却部31となる。予熱部30には吸込口2から吸引されてヒーター23近傍を通過する際に若干加熱されて温度が上昇した空気が供給される。この空気が除湿ローター22を加熱することにより再生部27において除湿ローター22の顕熱上昇に使われる熱量が減少してヒーター23の熱がより有効に水分放出に使用されることになる。また、冷却部31では再生部27においてヒーター23により加熱された除湿ローター22の供給空気による冷却が行われる。これにより冷却部31の回転方向後段に位置する吸湿部26において除湿ローター22が早い段階から吸湿を開始できる。このように予熱部30ではヒーター23の余熱を除湿ローター22に与えて除湿ローター22の再生動作を速め、冷却部31ではヒーター23の余熱を除去して除湿ローター22の吸湿動作を速める作用を行う。そして除湿ローター22の吸湿および再生を効率的に行うには、吸湿部26、再生部27、予熱部30、冷却部31の面積比を次のように設定すればよい。すなわち除湿ローター22の中心角として、吸湿部26の為す角度が120度から270度の範囲、再生部27の為す角度が60度から120度の範囲、予熱部30および冷却部31の為す角度が0度から90度の範囲に設定すればよい。
吸熱器10の下側には吸熱器10の下端を覆うようにドレンパン32を配設しており、吸熱器10で結露した水滴が漏れなくドレンパン32に滴下するように構成されている。このドレンパン32の下面は滴下した水滴をドレン口33に導くように勾配をつけており、ドレン口33の下方に水滴を貯留する排水タンク28の水受け部が配設されている。このように放熱器12の下方に吸熱器10、吸熱器10の下方にドレンパン32、ドレンパン32の下方に排水タンク28を配設することにより、吸熱器10で発生した結露水を円滑に排水タンク28に誘導して回収することができる。
さらに本体1の上面には、操作部20の周囲に収納可能な把持部34を付設するとともに本体1の下面に本体1を接地状態で移動可能なように可動部35を複数設けている。これにより使用者が本体1を移動させる際に把持部34を掴んで接地状態のまま本体1を移動することが可能となり運搬性が向上する。
また、吸込口2の開口部の隅には、吸込口2から吸引される空気の温度を検出する室温センサー36と空気の湿度を検出する湿度センサー37を配設しており、再生部27の裏面には再生部27の風下側の温度を検出する再生サーミスタ38、反射板25のヒーター23裏面に位置する部分にヒーター23近傍の温度を検出するヒーターサーミスタ39を配設している。そして吸熱器10の側部配管に吸熱器10の温度を検出するコイル温度センサー40を着設して、これら室温センサー36、湿度センサー37、再生サーミスタ38、ヒーターサーミスタ39、コイル温度センサー40の検出値を、図示していないが、制御手段に出力するように構成している。
図3は、本発明の実施の形態1の除湿機の操作部20の概略構成を示す図である。
図3に示すように操作部20には、複数の操作ボタンおよび表示ランプを配設しており、また、切換手段19を操作するためのレバー部41を付設している。レバー部41は、図1で示したように切換手段19のダンパー機構と連動しており、レバー部41を「除湿運転」の位置に設定すると、切換手段19が図1における位置Aに切り換って送風手段14の吐出側と吹出口4が連通し排気口3への通路が閉塞状態になる。また、レバー部41を「冷風運転」の位置に設定すると、切換手段19が図1における位置Bに切り換って送風手段14の吐出側が排気口3と連通し吹出口4への通路が閉塞状態となる。
操作ボタン42は、除湿機の主電源の入切スイッチであり、この操作ボタン42を入にして除湿機の運転が可能となる。また、操作ボタン43は、運転切換スイッチであり、この操作ボタン43を操作することにより、「低温モード」、「標準モード」、「自動モード」の三種類の運転モードを選択できる。この運転モードの選択状態は操作ボタン43の上部にある表示ランプの点灯状況によって確認することができる。また、操作ボタン44は、吹出口4に配設した風向変更手段6の風向変更範囲を設定するためのスイッチである。風向変更手段6は、吹出口4から排出される空気の風向を規定するルーバー部とルーバー部の角度を変更する駆動部を具備している。そして操作ボタン44の操作により駆動部によるルーバー部角度変更範囲を設定して、吹出口4からの排出空気の風向変更範囲を、広角、上方向、下方向の三段階に切り換えるようにしている。この風向変更範囲の選択状態は操作ボタン44の上部にある表示ランプの点灯状況によって確認することができる。また、操作ボタン45は、除湿機のタイマー運転を設定するスイッチであり、操作ボタン45の操作により、2時間後、4時間後、8時間後に除湿機の運転を停止させることができる。この切タイマー選択状態は、操作ボタン45の上部にある表示ランプの点灯状況によって確認することができる。
また、操作ボタン46は、本体1内部、特に吸熱器10に発生した水滴を乾燥させるための内部乾燥運転の選択スイッチである。この内部乾燥運転の実行中は操作ボタン46内の表示ランプが点灯して目視確認ができる。表示部47は、本体1が設置されている空間の湿度状態を表示するもので、湿度センサー37の検出値に基づいて、高湿状態、適湿状態、低湿状態の3段階の表示を行うものである。また、表示ランプ48は、排水タンク28の満水状態もしくは排水タンク28の未設置状態を水位検出手段29で検出して異常報知を行うものであり、水位検出手段29によりこれらの異常が検出された場合は表示ランプ48を点灯させて報知するようにしている。表示ランプ49は、再生サーミスタ38、ヒーターサーミスタ39、コイル温度センサー40の検出値によって異常状態を検出して異常報知を行うものであり、異常状態が検出された場合に表示ランプ49を点灯させて報知するようにしている。
図4は、本発明の実施の形態1の除湿機の制御ブロック図である。
図4に示すように制御手段50としてのマイクロコンピュータが、室温センサー36、湿度センサー37、再生サーミスタ38、ヒーターサーミスタ39、コイル温度センサー40、水位検出手段29、位置検出器21の各々の検出値および操作部20の指示内容を入力して、圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23、風向変更手段6の各々の動作を制御することにより除湿機の運転制御を行うようにしている。例えば、除湿機の運転中に操作部20上の操作ボタン44の操作により風向変更手段6の風向変更範囲が指示された場合は、制御手段50が風向変更手段6の駆動部を指示された角度変更範囲内で動作するように制御することになる。
図5は、本発明の実施の形態1の除湿機の各々の運転モードにおける制御動作を示す一覧表である。この一覧表に示した制御動作を実行するように制御手段50にプログラミングがされている。
図5に示すように操作部20上のレバー部41を「除湿運転」の位置に設定した場合、すなわち、切換手段19が位置Aに切り換った場合は、この切換手段19の位置を位置検出器21が検出し、制御手段50によって操作ボタン43の操作により「低温モード」、「標準モード」、「自動モード」の三種類の運転モードが選択できるように設定される。ここで「低温モード」が選択された場合は、制御手段50が、圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23を作動させる。したがって第1供給経路16および第2供給経路17に吸込口2から空気が供給され、第1供給経路16では駆動モータ24により回転している除湿ローター22が供給空気から吸湿し、第2供給経路17では、ヒーター23により加熱された空気に対して除湿ローター22が吸湿した水分を放出して再生する。第1供給経路16において除湿ローター22を通過した空気は、吸着熱やヒーター23の余熱により温度が上昇し、吸込口2から直接供給された空気とともに放熱器12に供給される。放熱器12では圧縮機8の作動により循環する冷媒が供給空気に対して放熱する。この供給空気には吸湿部26においてエンタルピーを上昇した空気が含まれているので、冬場等の低温条件下においてもヒートポンプ13の作動圧力が上昇する。一方、第2供給経路17の再生部27において水分を放出されて高温高湿となった空気は、吸込口2から直接供給された空気とともに吸熱器10に供給されて冷媒の吸熱により冷却される。この冷却過程で飽和した水分は排水タンク28に回収され、吸熱器10で水分を冷却除去された空気は、第1供給経路16で放熱器12により加熱された空気とともに吹出口4から本体1外部に排出される。
また、操作ボタン43の操作により「標準モード」が選択された場合は、室温センサー36の検出値により更に場合わけされる。室温センサー36の検出値が所定値、例えば15℃未満の場合は、前述した「低温モード」と同じ制御動作が行われる。室温センサー36の検出値が所定値以上、例えば15℃以上である場合には、圧縮機8、送風手段14、送風手段15を作動し、駆動モータ24とヒーター23の作動を停止する。これにより除湿ローター22は吸湿再生動作を行わなくなり、ヒートポンプ13のみの除湿運転が行われる。すなわち放熱器12では吸込口2から第1供給経路16を通って供給される空気に対して冷媒が放熱し、吸熱器10では吸込口2から第2供給経路17を通って供給される空気から冷媒が吸熱する。そして放熱器12および吸熱器10を通った空気はともに吹出口4から本体1外部へ排出される。ここでヒートポンプ13の除湿能力は室温条件に大きく依存し、温度が高くなるに従って除湿能力は増加する傾向を示す。したがって室温センサー36により室温を検出し、その検出値が所定値、この例では15℃以上の場合にはヒートポンプ13のみで除湿運転を行うことにより、ヒーター23に投入するエネルギーを削減して効率の良い除湿が実行できるのである。また、ヒートポンプ13のみの除湿運転では、除湿ローター22とヒーター23を作動させた場合に比べて、吹出口4から排出される空気の温度は低くなる。したがって室温センサー36の検出値が所定値以上、例えば15℃以上になると吹出口4からの排出温度を下げて室温上昇を抑え、逆に室温センサー36の検出値が所定値未満、例えば15℃未満になると吹出口4からの排出温度を上げて室温を上昇させる温度調整動作が行われることになる。これにより本体1が置かれている部屋の温度が所望の領域、すなわち15℃前後に調整されることになる。
また、操作ボタン43の操作により「自動モード」が選択された場合は、湿度センサー37の検出値により更に場合わけされる。湿度センサー37の検出値が所定値、例えば55%以上の場合には、前述した「標準モード」と同じ制御動作が行われ、室温が所定値未満、すなわち15℃未満で圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23が作動し、室温が所定値以上、すなわち15℃以上で圧縮機8、送風手段14、送風手段15のみが作動してヒートポンプ13のみの除湿運転が行われる。また、湿度センサー37の検出値が所定値、例えば55%未満の場合には、適切湿度と判断して除湿運転を停止する。すなわち、圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23の全ての作動を停止して待機状態となる。除湿運転の停止により湿度が上昇して湿度センサー37の検出値が所定値、例えば55%以上となれば、また、除湿運転が再開される。このように「自動モード」の場合は、湿度センサー37の検出値に基づいて湿度調整動作が行われることになり、本体1が置かれている空間の湿度が所望の領域、すなわち55%前後に調整されることになる。
また、操作部20上のレバー部41を「冷風運転」の位置に設定した場合、すなわち、切換手段19が位置Bに切り換った場合は、この切換手段19の位置を位置検出器21が検出し、制御手段50によって操作ボタン43の操作により「標準モード」と「自動モード」のニ種類の運転モードを選択可能に設定し、「低温モード」は選択不可に設定する。ここで「標準モード」が選択された場合は、制御手段50が、圧縮機8、送風手段14、送風手段15を作動させる。これにより第1供給経路16および第2供給経路17に吸込口2から空気が供給され、第1供給経路16では放熱器12において冷媒が供給空気に対して放熱し、第2供給経路17では、吸熱器10において供給空気から冷媒が吸熱する。したがって第1供給経路16の排出先である排気口3からは放熱器12で加熱された高温の空気が排出され、第2供給経路17の排出先である吹出口4からは吸熱器10で冷却された低温の空気が排出される。この低温の空気により使用者が冷風感を得ることができる。
また、操作ボタン43の操作により「自動モード」が選択された場合は、湿度センサー37の検出値により場合分けされる。湿度センサー37の検出値が所定値以上、例えば55%以上の場合には、前述した「標準モード」と同じ制御動作が実行され、また、湿度センサー37の検出値が所定値未満、例えば55%未満の場合には、適切湿度と判断して除湿運転を停止する。すなわち、圧縮機8、送風手段14、送風手段15の作動を停止して待機状態となる。除湿運転の停止により湿度が上昇して湿度センサー37の検出値が所定値以上、すなわち55%以上となれば、また、除湿運転が再開される。このように「自動モード」の場合は、「除湿運転」時と同様に湿度センサー37の検出値に基づいて湿度調整動作が行われることになり、本体1が置かれている空間の湿度が所望の領域、すなわち55%前後に調整されることになる。以上のようにレバー部41を「冷風運転」の位置に設定した場合には、操作ボタン43でどのモードを選択してもヒーター23が作動しないので、吹出口4からは吸熱器10で冷却された室温よりも温度の低い空気が常に供給されることになり冷風感が常に維持される。
また、操作ボタン46の操作により、「内部乾燥」運転が設定された場合は、制御手段50が、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23を作動させて、圧縮機8のみ停止する。圧縮機8を停止することによりヒートポンプ13が作動しなくなり吸熱器10における供給空気からの冷却減湿動作が停止して水滴が発生しなくなる。そしてヒーター23で加熱した高温空気を、除湿ローター22を介して吸熱器10に供給することで吸熱器10に残留している結露水滴の乾燥を行う。ここでヒーター23に輻射成分の強いヒーター、例えばニクロムヒーター等を用いた場合は、除湿ローター22の回転を停止したままだと再生部27に位置する除湿ローター22および再生部27の風下側の温度が異常温度、例えば80℃以上まで上昇するので、駆動モータ24と送風手段14を作動させることによって除湿ローター22に蓄積されたヒーター23の熱を第1供給経路16に排出して再生部27周辺の温度上昇を抑制するようにしている。ここで除湿ローター22を連続回転させたままだと、吸湿部26で吸湿した水分を再生部27で放出する吸放湿動作が常に行われるので、吸熱器10に供給する空気が高湿になって乾燥効率が悪くなる場合がある。このような場合は駆動モータ24を間欠的に動作させて除湿ローター22の吸放湿を抑制することが有効である。この間欠運転のタイミングは、タイマーによって時間設定を行ってもよく、また、再生部27の風下に設けた再生サーミスタ38の検出温度に基づいて決定してもよい。例えば、再生サーミスタ38の検出温度が設定値以上、例えば80℃以上となった場合に駆動モータ24を作動させて除湿ローター22を回転し、再生サーミスタ38の検出温度が設定値未満、例えば80℃未満で駆動モータ24を停止して除湿ローター22の回転を止めるようにしてもよい。
このように各運転モードに応じて制御手段50が、圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23を制御することにより使用環境や使用者の好みに適した多様な運転形態を実現することができる。
図6は、本発明の実施の形態1の除湿機の各運転モードにおける除湿能力特性を示すグラフである。
図6のグラフにおいて横軸は除湿機が設置される部屋の温度、縦軸は除湿能力である。また、破線のデータは、レバー部41を「除湿運転」に切り換えて操作ボタン43で「低温モード」を設定したときの除湿能力特性、点線のデータはレバー部41を「冷風運転」に切り換えて操作ボタン43で「標準モード」を設定したときの除湿能力特性、実線のデータはレバー部41を「除湿運転」に切り換えて操作ボタン43で「標準モード」を設定したときの除湿能力特性である。図6に示すように「冷風運転」―「標準モード」では、ヒートポンプ13の吸熱作用のみで除湿するため除湿能力の温度依存性が高く、特に低温条件では除湿能力が大きく低下する。「除湿運転」―「低温モード」では、ヒーター23と駆動モータ24を作動することにより除湿ローター22の吸放湿作用が加わり、除湿能力が向上する。特に低温条件では、除湿ローター22の吸着熱やヒーター23の余熱により温度が上昇した空気を放熱器12に供給することにより、ヒートポンプ13の作動圧力を上昇するとともに、ヒーター23および再生部27において加熱加湿された高エンタルピーの空気を吸熱器10に供給することにより、吸熱器10内の冷媒とのエンタルピー差を確保して除湿能力の低下を抑制することができる。また、「除湿運転」―「標準モード」では、室温センサー36の検出値が15℃未満でヒーター23と駆動モータ24を作動させ、15℃以上でヒーター23と駆動モータ24を停止させている。したがって室温が15℃未満では、「除湿運転」―「低温モード」と同一の除湿能力となり、15℃以上では、「冷風運転」―「標準モード」と同一の能力となる。このように室温センサー36の検出値に基づき制御することにより、温度条件に依らず年間を通じて安定した除湿を行うことができる。
図7は、本発明の実施の形態1の除湿機の各種異常モードの検出とその時の制御動作を示す一覧表である。この一覧表に示した制御動作を実行するように制御手段50にプログラミングがされている。
図7に示すように、排水タンク28が満水となった場合あるいは排水タンク28が未設置の場合は、水位検出手段29により排水タンク28の水位異常を検出し、この検出結果に基づき制御手段50が、表示ランプ48を点灯して異常報知を行うとともに、圧縮機8、送風手段14、送風手段15、駆動モータ24、ヒーター23の動作を停止させる。これにより除湿運転が停止して結露水の溢水が防止される。
また、除湿ローター22の回転に不具合が生じた場合、例えば、除湿ローター22の脱輪や駆動モータ24の動作不良が発生した場合には、再生部27の風下側の温度が上昇する。この温度上昇を再生サーミスタ38により検出し、再生サーミスタ38の検出温度が所定値以上、例えば80℃以上となった場合に制御手段50が、表示ランプ49を点灯して異常報知を行うとともに、圧縮機8、駆動モータ24、ヒーター23の動作を停止して更なる温度上昇を抑制する。そして送風手段14および送風手段15を所定時間、例えば1分間動作させて本体1内の熱を外部に排出した後に、送風手段14および送風手段15を停止して待機状態に移行する。これにより再生部27の風下側の温度上昇が収まる。このようにして再生サーミスタ38で再生部27風下側の温度を検出し、この検出値が所定値未満、例えば80℃未満である場合、つまり除湿ローター22が問題なく回転している場合にヒーター23を作動させて除湿ローター22の吸放湿作用によって除湿能力を増加し、検出値が所定値以上、例えば80℃以上の場合には、除湿ローター22の回転に不具合が生じたと判断し、ヒーター23の作動を停止して再生部27風下側の温度上昇を抑制して温度信頼性を確保する制御動作が行われる。
また、送風手段14の送風動作に不具合が生じた場合、例えば、ファンモータの動作不良が発生した場合には、放熱器12に空気が供給されないため冷媒が放熱できなくなりヒートポンプ13の高圧側の圧力および温度が上昇する。この温度上昇を圧縮機8に具設したサーモスタットにより検出し、この検出結果に基づき制御手段50が、表示ランプ49を点灯して異常報知を行うとともに、圧縮機8、駆動モータ24、ヒーター23の動作を停止して更なるヒートポンプ13の圧力および温度上昇を抑制する。そして送風手段15を所定時間、例えば1分間動作させて本体1内の熱を外部に排出した後に、送風手段15を停止して待機状態に移行する。これによりヒートポンプ13の圧力上昇、温度上昇が収まる。
また、送風手段15の送風動作に不具合が生じた場合、例えば、ファンモータの動作不良が発生した場合にヒーター23を作動させていると、ヒーター23への通風が無くなりヒーター23近傍の温度が上昇する。この温度上昇をヒーターサーミスタ39により検出し、ヒーターサーミスタ39の検出温度が所定値以上、例えば105℃以上となった場合に制御手段50が、表示ランプ49を点灯して異常報知を行うとともに、圧縮機8、駆動モータ24、ヒーター23の動作を停止して更なる温度上昇を抑制する。そして送風手段14を所定時間、例えば1分間動作させて本体1内の熱を外部に排出した後に、送風手段14を停止して待機状態に移行する。これによりヒーター23近傍の温度上昇が収まる。このようにしてヒーターサーミスタ29でヒーター23近傍の温度を検出し、この検出値が所定値未満、例えば105℃未満である場合、つまり送風手段15の送風動作が問題なく行われている場合にヒーター23を作動させて除湿ローター22の吸放湿作用によって除湿能力を増加し、検出値が所定値以上、例えば105℃以上の場合には、送風手段15の送風動作に不具合が生じたと判断し、ヒーター23の作動を停止してヒーター23近傍の温度上昇を抑制して温度信頼性を確保する制御動作が行われる。
また、ヒーター23が停止状態において送風手段15の送風動作に不具合が生じた場合は、吸熱器10に空気が供給されないため冷媒が吸熱できなくなり吸熱器10の圧力および温度が低下する。この温度低下を吸熱器10の側部配管に具設したコイル温度センサー40により検出し、この検出結果に基づき制御手段50が、表示ランプ49を点灯して異常報知を行うとともに、圧縮機8および送風手段14を停止してヒートポンプ13の動作を停止させる。これによりヒートポンプ13の圧力低下を抑制し、吸熱器10の氷結が抑制される。
また、低温条件においてヒートポンプ13のみの除湿運転、すなわち「冷風運転」を行った場合などは、吸熱器10に着霜してヒートポンプ13の吸熱能力10が低下し、吸熱器10の温度が除々に低下する。この温度低下を吸熱器10の側部配管に具設したコイル温度センサー40により検出し、コイル温度センサー40の検出温度が第1の設定値未満、例えば1℃未満となった場合に制御手段50がヒーター23と駆動モータ24を作動させ、除湿ローター22を介してヒーター23の熱量を吸熱器10や放熱器12に供給する。これにより吸熱器10に高温の空気が供給されるとともにヒートポンプ13の作動圧力が上昇し、吸熱器10に付着した霜の除去動作が行われる。この除去動作により十分に霜が除去された場合には吸熱器10の温度が上昇し、コイル温度センサー40の検出温度が第1の設定値以上、例えば1℃以上に回復する。このように検出温度が回復した場合は、制御手段50がヒーター23と駆動モータ24を停止して再び「冷風運転」を再開する。また、上述した除去動作を行っても霜が十分に除去できずに吸熱器10の温度が更に低下する場合は、この温度低下をコイル温度センサー40により検出し、この検出温度が第1の設定値よりも低い第2の設定値未満、例えば―3℃未満となった場合に制御手段50が圧縮機8を停止する。これによりヒートポンプ13の動作が停止し、吸熱器10での吸熱動作が停止して吸熱器10の温度が上昇する。更に除湿ローター22を介してヒーター23で加熱された空気が吸熱器10に供給されるため、吸熱器10に付着した霜の除去が促進される。そして吸熱器10の霜が完全に除去されて吸熱器10の温度が所定値以上、例えば1℃以上に回復したら、制御手段50が再び圧縮機8を作動させてヒートポンプ13の運転を再開させる。このようにして低温時に吸熱器10に付着した霜を効率的に除去する制御動作が行われる。
図8(a)(b)(c)は、本発明の実施の形態1の除湿機の使用形態を示す概略図である。
図8(a)は、本発明の実施の形態1の除湿機を用いて室内に干した洗濯物51を乾かす場合の使用形態を示している。この場合は切換手段19を位置Aに切り換えて第1供給経路16の排出先を吹出口4に設定することが好ましい。このように設定すると、第1供給経路16から排出される空気と第2供給経路17から排出される空気が共に吹出口4から排出されるので、吹出口4からの風量や風速が増加して洗濯物51がより乾きやすくなる。そして吹出口4を洗濯物51の方向に向けて風向変更手段6により洗濯物51全体に風が行き届くように風向を調整すればより効果的に洗濯物51の乾燥が行える。また、設定される運転モードは「低温モード」であることが好ましい。これにより除湿ローター22の吸放湿作用が常に行われるので、除湿能力が増加し、洗濯物51がより早く乾くことになる。
図8(b)は、本発明の実施の形態1の除湿機を用いて、使用者52が風呂上りなどに冷風感を得たい場合の使用形態を示している。この場合は、切換手段19を位置Bに切り換えて「冷風運転」に設定することが好ましい。このように設定するとヒーター23の作動が停止して第2供給経路17において吸込口2から吸込まれた室内の空気が吸熱器10で吸熱されて室温より低い温度となって吹出口4から排出される。この低温空気を風向変更手段6により使用者52に向けて供給することにより使用者52が冷風感を得ることができる。また、第1供給経路16において放熱器12の放熱により加熱された空気は、吹出口4の反対面に開口した排気口3から排出される。これにより吹出口4から排出される低温の空気に排気口3から排出される高温の空気が混ざりにくくなり冷風感が一層向上することになる。
図8(c)は、本発明の実施の形態1の除湿機を用いた図8(b)に示した運転形態において、排気口3に排気ダクト53を接続したものである。これにより排気口3から排出される高温の空気を使用者52の居る室内以外の空間、例えば室外に排出することができる。これにより吹出口4から低温空気を使用者52に供給して冷風感を与えるだけでなく、使用者52が存在する空間の温度自体を下げることもできる。また、排気ダクト53は排気口3に対して螺子止め、あるいはスライド挿嵌などにより着脱自在に配設するのが好ましい。このように構成すると、排気ダクト53を用いない使用形態、例えば、図8(a)や図8(b)に示した使用形態への変更が容易となり、また、排気ダクト53を取り外して収納しておけるので、設置スペースが少なくて済むのである。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の除湿機は、以下の効果を奏するものである。
除湿ローター22が吸湿した水分を吸熱器10で結露水として回収するので水分回収用の顕熱交換器が不要となり装置の小型化が図れる。
また、装置内に環状の循環風路を形成せずにヒートポンプ13と除湿ローター22による除湿運転が可能なので、装置構成の簡素化が図れる。
また、除湿ローター22の吸着熱やヒーター23の余熱によりエンタルピーが増加した空気を放熱器12に供給するので、ヒートポンプ13の作動圧力が上昇し、冬場の低温時でも吸熱能力が維持されて除湿量を確保することができる。
また、ヒーター23および除湿ローター22の再生部27で加熱および加湿された高エンタルピーの空気を吸熱器10に供給するので、エンタルピー差が拡大して効率の良い除湿運転を行うことができる。
また、ヒートポンプ13の放熱に適した風量と除湿ローター22の吸湿に適した風量との差を放熱器12に供給する空気の一部、例えば10%から70%を吸湿部26に供給することで緩和し、ヒートポンプ13の放熱と除湿ローター22の吸湿を効率的に行うことができる。
また、ヒートポンプ13の吸熱に適した風量と除湿ローター22の再生に適した風量との差を吸熱器10に供給する空気の一部、例えば10%から70%を再生部27に供給することで緩和し、ヒートポンプ13の吸熱と除湿ローター22の再生を効率的に行うことができる。
また、除湿ローター22の吸着熱、ヒーター23の余熱、ヒートポンプ13の放熱など除湿機の排熱を含んだ高温の空気と、ヒートポンプ13の吸熱により冷却された低温の空気の排出先を切換手段19によって切換可能にしたので、排熱を含んだ高温空気と冷却された低温空気の双方を吹出口4から供給する運転形態、すなわち「除湿運転」形態と、冷却された低温空気を吹出口4から供給し、排熱を含んだ高温空気を排気口3から排出する運転形態、すなわち「冷風運転」形態との切換を行うことができる。これにより使用者が好みに応じて上記運転形態を選択でき、使い勝手を向上することができる。
また、吹出口4と排気口3を本体1の異なる面に開口したので、吹出口4から排出される空気と排気口3から排出される空気が混ざりにくくなり、吹出口4から冷却された低温空気のみを供給する「冷風運転」形態において使用者がより冷風感を得ることができる。
また、切換手段19が第1供給経路16の排出先を排気口3に設定した場合、すなわち「冷風運転」形態に設定した場合に、ヒーター23の発熱を停止させるので、吹出口4から供給する空気の温度をより低くして冷風感をさらに向上することができる。
また、排気ダクト53によって排気口3から排出する空気を吹出口4から遠方に排出できるので、冷風感をより向上できる。さらに排気ダクト53によって排気口3からの空気を本体1が配置される空間とは別の空間に排出した場合には、本体1が置かれている空間に、冷却された低温の空気のみを供給して空間温度を調整することができる。
また、第1供給経路16では、吸込口2から本体1内に吸引された空気の一部を、水平方向に並設された除湿ローター22、放熱器12に方向転換無く円滑に供給することができる。これにより第1供給経路16の通風抵抗が減少して風量確保が容易となり低騒音化が図れる。
また、第2供給経路17では、吸込口2から本体1内に吸引された空気の一部を、水平方向に並設されたヒーター23、除湿ローター22、吸熱器10に方向転換無く円滑に供給することができる。これにより第2供給経路17の通風抵抗が減少して風量確保が容易となり低騒音化が図れる。
また、放熱器12の下方に前記吸熱器10を配設したので、吸熱器10で発生した結露水を放熱器12で再放散させることなく円滑に回収することができる。
また、ヒーター23に自己温度制御性を有するヒーター、例えばPTCヒーターを用いた場合には、再生部27に供給する空気温度を略一定に制御して再生部27において常に安定した水分放出を行うことができる。したがって年間を通じて安定した除湿性能を確保できる。さらに供給される空気温度に応じてヒーター23の消費電力が調整されるので省エネ性を向上することができる。
また、ヒーター23が放散する輻射熱を反射板25によって除湿ローター22の再生部27に反射するので、再生部27における水分放出量を増加することができる。これにより吸熱器10における結露水回収量、すなわち除湿量を増加することができる。
また、反射板25を吸込口2側から見てヒーター23の全面を覆うように配設したので、ヒーター23の発光が吸込口2から漏れるのを遮光することができる。
また、吸込口2から吸引される空気の温度を検出する室温センサー36の値が所定値以上、例えば15℃以上の場合にヒーター23と駆動モータ24を停止して除湿ローター22の吸放湿動作を停止し、室温センサー36の値が所定値未満、例えば15℃未満の場合にヒーター23と駆動モータ24を作動して除湿ローター22の吸放湿動作を行う「標準モード」を設けたので、本体1が置かれている部屋の温度を所望の領域、例えば15℃前後に調整することができる。さらに年間を通じて安定した除湿能力を得ることができる。
また、吸込口2から吸引される空気の湿度を検出する湿度センサー37の値が所定値未満、例えば55%未満の場合にヒーター23と駆動モータ24を停止して除湿ローター22の吸放湿動作を停止するとともにヒートポンプ13の作動を停止し、湿度センサー37の値が所定値以上、例えば55%以上の場合にヒーター23と駆動モータ24を作動して除湿ローター22の吸放湿動作を行うとともにヒートポンプ13を作動させて除湿運転を実行させる「自動モード」を設けたので、本体1が置かれている部屋の湿度を所望の領域、例えば55%前後に調整することができる。
また、再生部27の風下側の温度を検出する再生サーミスタ38の値が所定値以上、例えば80℃以上の場合にヒーター23と駆動モータ24の作動を停止するので、再生部27の風下側に配置される部品の温度信頼性を確保することができる。
また、ヒーター23近傍の温度を検出するヒーターサーミスタ39の値が所定値以上、例えば105℃以上の場合にヒーター23と駆動モータ24の作動を停止するので、ヒーター23の近傍に配置される部品の温度信頼性を確保することができる。
また、吸熱器10の温度を検出するコイル温度センサー40の値が第1の設定値未満、例えば1℃未満となった場合に、ヒーター23と駆動モータ24を作動させ、吸熱器10に付着した霜の除去を行うことができる。
また、吸熱器10の温度を検出するコイル温度センサー40の値が第1の設定値よりも低い第2の設定値未満、例えば―3℃未満となった場合に、圧縮機8を停止してヒートポンプ13の動作を停止し、吸熱器10に付着した霜の除去を効果的に行うことができる。
また、再生サーミスタ38の検出値が所定値以上、例えば80℃以上となり、圧縮機8、ヒーター23、駆動モータ24を停止した後に、送風手段14および送風手段15を一定時間、例えば1分間動作させることにより、本体1内の熱を外部に排出し、本体1を早期に冷却することができる。
また、ヒーターサーミスタ39の検出値が所定値以上、例えば105℃以上となり、圧縮機8、ヒーター23、駆動モータ24を停止した後に、送風手段15を一定時間、例えば1分間動作させることにより、本体1内の熱を外部に排出し、本体1を早期に冷却することができる。
また、圧縮機8を停止してヒートポンプ13の作動を停止し、送風手段14、送風手段15、ヒーター23、駆動モータ24を運転して吸熱器10を乾燥させる運転モード、すなわち「内部乾燥」運転を設けたので、吸熱器10に付着した水滴を乾かして黴や臭いの発生を抑制することができる。
また、吸熱器10を乾燥させる際に除湿ローター22の回転を間欠させることにより、本体1内部の温度上昇を抑制しながらヒーター23の熱を効果的に吸熱器10に与えることができる。そしてこの間欠のタイミングを再生サーミスタ38の検出温度に基づいて実行することにより、より効果的にヒーター23の熱を吸熱器10に与えることができる。
また、第2供給経路17内の除湿ローター22の回転方向における再生部27の前段側に吸込口2から吸引した空気を直接除湿ローター22に供給する予熱部30を設けたので、ヒーター23の余熱を除湿ローター22に与えて除湿ローター22の再生動作を速めることができる。
また、第2供給経路17内の除湿ローター22の回転方向における再生部27の後段側に吸込口2から吸引した空気を直接除湿ローター22に供給する冷却部31を設けたので、ヒーター23の余熱を除去して除湿ローター22の吸湿動作を速めることができる。
また、本体1の上面に把持部34を設け、本体1の下面に可動部35を複数設けたので、本体1を接地状態で容易に移動することができる。
また、吸熱器10に発生した結露水を貯留する排水タンク28と、この排水タンク28の水位を検出する水位検出手段29を設け、この水位検出手段29により満水もしくは排水タンク28未設置を検出値して制御手段50によりヒートポンプ13の運転を停止するようにしたので、結露水の溢水を防止することができる。
また、吸湿部26に供給した空気の一部を直接本体1外部に排出するように構成した場合には、ヒートポンプ13の作動圧力を低下させてヒートポンプ13の消費電力を低減することができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、第1供給経路16の送風動作を行う送風手段14と第2供給経路17の送風動作を行う送風手段15の2組の送風手段を備える構成としたが、送風手段は上記2組に限るものではない。例えば、第1供給経路16の送風動作を行う送風手段を2組にして合計3組の送風手段を設けてもよく、また、第1供給経路16の送風動作と第2供給経路17への送風動作を単一の送風手段によって行うように構成しても良い。この場合、放熱器12と吸熱器10の風下側に第1供給経路16と第2供給経路17を跨るように送風手段の吸込側を配設して送風手段の吐出側を吹出口4と連通するように設ければ、構成の簡素化が大幅に図れる。
また、上記実施の形態では、切換手段19を第1供給経路16の排出先を吹出口4側に設定する位置Aと、第1供給経路16の排出先を排気口3側に設定する位置Bの2段階の切換を行うように構成したが、切換手段19の切換パターンは上記2段階にとどまるものではない。例えば、位置Aと位置Bの中間位置Cに設定可能に構成して、第1供給経路16の排出先を吹出口4と排気口3の双方に設定するようにしてもよい。この場合、送風手段14から吐出した空気の一部が吹出口4から排出されて残りが排気口3から排出される。そして切換手段19の切換パターンは、位置Aと位置Cの2段階切換、位置Bと位置Cの2段階切換、位置Aと位置Bと位置Cの3段階切換など様々な切換パターンを適用することができるのである。
また、上記実施の形態では、切換手段19を第1供給経路16の排出先を吹出口4もしくは排気口3に切換可能に構成したが、切換手段19により第2供給経路17の排出先を吹出口4もしくは排気口3に切り換えるように構成しても良い。そして第2供給経路17の排出先を排気口3に切り換えた場合には、吹出口4からは、除湿ローター22の吸着熱、ヒーター23の余熱、ヒートポンプ13の放熱などの排熱を含んだ高温の空気のみを供給することが可能となり、洗濯物の乾燥等に有効に活用することができる。さらに切換手段19を第1供給経路16と第2供給経路17の各々の排出先を吹出口4と排気口3の何れかに個別に切換可能に構成しても良い。この場合、吹出口4からは、吸熱器10で冷却された低温の空気、あるいは除湿機の排熱を含んだ高温の空気、もしくは低温の空気と高温の空気の双方を供給することが可能となり、使い勝手をさらに向上できる。
また、上記実施の形態では、除湿ローター22の回転軸部に駆動モータ23を連結し、除湿ローター22の回転動作を実行するように構成したが、除湿ローター22を回転させる構成はこれに限るものではない。例えば、除湿ローター22の外周にギアが形成された部品を配設して、このギアに駆動モータ23を連結して除湿ローター22の回転動作を為すようにしてもよく、あるいは除湿ローター22の外周に周設したギアにベルトをかけて、ベルトを介して駆動モータ23を連結し除湿ローター22の回転動作を為すように構成しても良い。
また、上記実施の形態では、第2供給経路17内に除湿ローター22の回転方向における再生部27前段に予熱部30、回転方向後段に冷却部31を設ける構成としたが、予熱部30および冷却部31の配設は装置構成により適宜自由に設計して構わない。例えば予熱部30あるいは冷却部31の何れか一方のみを設けてもよく、また予熱部30および冷却部31の双方を設けない構成としても良い。
また、上記実施の形態では、室温センサー36の検出値が所定値未満、すなわち15℃未満でヒーター23および駆動モータ24を停止し、室温センサー36の検出値が所定値以上、すなわち15℃以上でヒーター23および駆動モータ24を作動させて除湿ローター22の吸放湿動作を行う2段階の制御としたが、所定値の設定や制御の段階数はこれに限るものではない。例えば、ヒーター23の出力を大、小の2段階に設定可能に構成し、室温センサー36の値が第1の所定値未満、例えば10℃未満でヒーター23の出力を大、室温センサー36の値が第1の所定値以上かつ第2の所定値未満、例えば10℃以上かつ20℃未満でヒーター23の出力を小、室温センサー36の値が第2の所定値以上、例えば20℃以上でヒーター23を停止など、室温センサー36の検出値に応じた所定値の設定方法や制御の段階数は多様な構成が可能である。
また、上記実施の形態では、「除湿運転」において湿度センサー37の検出値が所定値未満、すなわち55%未満でヒーター23およびヒートポンプ13を停止し、湿度センサー37の検出値が所定値以上、すなわち55%以上でヒーター23およびヒートポンプ13を作動させる2段階の制御としたが、所定値の設定方法や制御段階数および制御動作は、これに限るものではない。例えば、湿度センサー37の値が第1の所定値未満、例えば50%未満でヒーター23およびヒートポンプ13を停止し、湿度センサー37の値が第1の所定値以上かつ第2の所定値未満、例えば、50%以上かつ60%未満でヒートポンプ13のみ作動し、湿度センサー37の値が第2の所定値以上、例えば60%以上でヒーター23とヒートポンプ13の双方を作動してヒートポンプ13の吸熱と除湿ローター22の吸放湿作用により急速に除湿を行うようにしてもよい。このように湿度センサー37の検出値に応じた所定値の設定方法や制御の段階数および制御動作は多様に構成可能である。
また、上記実施の形態では、切換手段19が位置Bに設定されたとき、すなわち「冷風運転」が設定されたときはヒーター23を停止するように制御したが、ヒーター23を多段階の出力が可能なように構成して切換手段19が位置Bに設定されたときはヒーター23の出力を低下させるように制御してもよい。その場合は、駆動モータ24を回転させて除湿ローター22の吸放湿作用を継続させてもよい。