JP4589486B2 - 脂肪族ポリエステルまたは組成物の洗浄処理方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステルまたは組成物の洗浄処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主としてグリコールと脂肪族二塩基酸から重縮合法で、また結合反応法を追加して化学合成される脂肪族ポリエステルを、脂肪族ケトン、環状脂肪族エーテル、脂肪族モノエステルで洗浄処理することにより、洗浄処理中または洗浄処理後、ポリエステルの加水分解を起こすことなく、該ポリエステルのブリードの原因となる環状オリゴマーを除去し表面光沢性を維持させる方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに主としてグリコールと脂肪族二塩基酸とから重縮合法で、数平均分子量10,000以上の脂肪族ポリエステルを製造する方法は知られている(例えば、特開平5−70566、特開平5−70572および特開平5−170891)。また、脂肪族ポリエステルをカップリング剤を用いて結合反応法によって高分子量化して数平均分子量10,000以上のウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルを製造する方法も知られている(例えば、特開平4−89822、特開平5−170891および特開平5−287043など)。
【0003】
これらの脂肪族ポリエステルは、射出成形、中空成形、押出成形などにより容器、ボトル、フィルム、繊維、発泡体などに機械成形が出来るとともに、使用後に堆肥中、土中、海水中、下水中などの微生物によって分解される特徴を有するので、地球環境に極めて有用な素材であると期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の脂肪族ポリエステルでウレタン結合を含まない種類も、含む種類もともに、その成形品を室温に放置すると、フィルムの場合は約1週間後、また容器やボトルなどでは数週間後に、それらの表面に曇り(ブリード、白化現象)が生じて表面光沢が消失するという問題が起こった。この問題に対しては、既にアルコール系溶剤によるペレットまたは成形品の洗浄処理により解決する方法を見出された(特開平7−316276)が、洗浄時、洗浄後の加水分解により著しい分子量低下が起き、特に分子量の大きなグレードにおいては物性維持に支障を来すとの問題が残された。
【0005】
本発明は、これら脂肪族ポリエステルの加水分解による分子量の低下がなく、さらに、成形品の表面光沢を消失する問題を解決することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が対象とする脂肪族ポリエステルは、全て重縮合反応を経由して化学合成されたものであるため、残留モノマーおよび低分子量物(オリゴマー)を含むものと予想され、中でも主として環状二量体が7,000〜10,000ppm定量分析の結果検出されている。脂肪族ポリエステルが成形加工されると、これらの低分子量物、特に環状二量体が成形品内部から表面に移行し、析出結晶化し、表面光沢性を低下または消失させるものと判断した。
【0007】
これらの低分子量物の発生防止または除去は、化学合成過程では困難であるので、本発明者らは脂肪族ポリエステルのペレットを処理する際、アルコール系溶剤と違い加水分解を起こさない溶剤として、脂肪族ケトン、環状脂肪族エーテル、脂肪族モノエステルと特定条件で接触させて低分子量物を抽出除去することにより、物性が低下することなく成形品の光沢が消失する問題を解決する方法を見出した。
【0008】
すなわち本発明は、その第1の局面において、
(1)脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと(2)脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物)とを主成分とし、少量の(3)3価以上の多価アルコール、多価オキジカルボン酸(またはその酸無水物)、または3価以上の多価カルボン酸(またはその酸無水物)の存在下または非存在下にエステル化反応を行って得られる数平均分子量が10,000以上の脂肪族ポリエステル(I)またそれを主成分とする組成物について、粉末、ペレットまたは成形品の状態にて(i)脂肪族ケトン、(ii)環状脂肪族エーテル及び(iii)脂肪族モノエステルから選ばれる1種又は1種以上の溶剤を、脂肪族ポリエステルの融点よりも低く、かつ該溶剤の沸点よりも低い温度にて接触させることによる、脂肪族ポリエステルまたは組成物の洗浄処理方法、を提供するものである。
【0009】
本発明はまた、その第2の局面において、
(1)脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと(2)脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物)とを主成分として少量の(3)3価以上の多価アルコール、多価オキシカルボン酸(またはその酸無水物),または3価以上の多価カルボン酸(またはその酸無水物)の存在下または非存在下にエステル化反応させて得られるヒドロキシ末端を有する脂肪族ポリエステル(B)に、さらに2価以上の多官能イソシアネートを反応させて得られる数平均分子量10,000以上のウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル(II)または、それを主成分とする組成物について、粉末、ペレットまたは成形品の状態にて(i)脂肪族ケトン、(ii)環状脂肪族エーテル及び(iii)脂肪族モノエステルから選ばれる1種又は1種以上の溶剤を、脂肪族ポリエステルの融点よりも低く、かつ該溶剤の沸点よりも低い温度にて接触させることによるウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルまたは組成物の洗浄処理方法、を提供するものである。
【0010】
本発明が対象とする脂肪族ポリエステル(I)は、(1)脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと(2)脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物)とを主成分とし、少量の(3)3価以上の多価アルコール、多価オキシカルボン酸(またはその酸無水物)、または3価以上の多価カルボン酸(またはその酸無水物)の存在下または非存在下にエステル化反応を行い、生成したポリエステル(A)を触媒の存在下180〜280℃の温度および0.005〜5mmHgの高真空下で脱グリコール反応を行って製造されることができる。このものは一般式:
【0011】
【化1】
Figure 0004589486
【0012】
(式中、mは、上記式のポリエステルの数平均分子量が10,000以上となるのに必要な重合度。R1およびR2は炭素数2〜10のアルキル基、シクロ環基、またはシクロアルキレン基(ただし、分岐もあり得る)である。)で示される樹脂であり、クロロホルム又はヘキサフロロイソプロピルアルコール(HFIPA))を溶剤としてGPCで測定した数平均分子量(Mn)が10,000以上、重量平均分子量(Mw)が20,000以上のものであり得る。またはそれを主成分とする組成物であってもよい。
【0013】
また、本発明が対象とするウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル(II)は、(1)脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと(2)脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物)とを主成分とし、少量の(3)3価以上の多価アルコール、多価オキシカルボン酸(またはその酸無水物)、または3価以上の多価カルボン酸(またはその酸無水物)、の存在下または非存在下にエステル化反応および脱グリコール反応させて得られるヒドロキシ基末端を有する脂肪族ポリエステル(B)に、さらに2価以上の多官能イソシアネートを反応させて得ることができる。このものは、一般式:
【0014】
【化2】
Figure 0004589486
【0015】
(mは、上記式の数平均分子量が10,000以上となるのに必要な重合度であり、Mは0または1以上の数である。R1およびR2は炭素数2〜10のアルキレン基、シクロ環基、またはシクロアルキレン基であり分岐もあり得るし、R3はジ又はポリイソシアナート残基である。)
で示される樹脂であり、数平均分子量(Mn)が10,000以上、重量平均分子量(Mw)が20,000以上のものであり得る。またはそれを主成分とする組成物であってもよい。
【0016】
脂肪族ポリエステルは、微量の酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、および帯電防止剤など、また0.5〜65重量%の無機フィラー例えばタルク、炭酸カルシュウム、ガラス、マイカー、酸化アルミなどを含むことも、またまったくそれらの添加材を含まないこともできる。
【0017】
洗浄処理を受ける脂肪族ポリエステルは粉末状またはペレット状であることが望ましいが、成形品でも可能である。通常ペレットは、直径1〜8mm、長さ1〜10mmの円柱状であるが、実用的な取扱いの容易さから直径2〜4mm、長さ2〜4mmが好ましい。また水中カット方式のペレタイザーを用いることにより直径1〜8mm、好ましくは直径2〜4mmの球形または碁石状ペレットであってもよい。もちろんそれ以外の形状、例えば四角形、楕円柱形、三角柱形、さらにフィルム状のものも可能である。粉末は洗浄効率が良いが、粉砕費用を考えると通常コスト高となる。
【0018】
本発明における洗浄溶剤しては、脂肪族ケトン、環状脂肪族エーテル、脂肪族モノエステルを使用することができる。脂肪族ケトン類としては主にアセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノンなど、またはそれらの混合液を使用することができる。環状脂肪族エーテル類としては主にテトラヒドロフラン、2‐メチル-1,3-ジオキソランなど、またはそれらの混合液を使用することができる。脂肪族モノエステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチルなどが有用である。その中でも特に、取扱い易さ、価格、洗浄効率、安全性などの面からアセトンは最も有用である。
【0019】
洗浄溶剤と脂肪族ポリエステルの接触条件は、樹脂のグレード、特に融点の高低と、洗浄溶剤の種類によって異なる。接触温度は、ペレットの互着、ペレットの白化、ペレットの部分粉化などが起こらない領域を選択する必要がある。
【0020】
接触温度は、一般に脂肪族ポリエステルの融点より十分低く、かつ、洗浄溶剤の沸点よりも低いことが必要である。溶剤の回収を考慮すると、通常その沸点はポリエステルの融点よりも低いので、接触温度は溶剤の沸点を考慮して行うのがよい。一般に脂肪族ポリエステルの融点の約10〜60℃以下、好ましくは20〜40℃以下の温度が可能であり、通常は室温から90℃の温度領域で実施される。例えば、融点114℃のポリブチレンサクシネート(PBSU)の場合、アセトンでは55℃以下、メチルエチルケトンの場合70℃以下が好ましい。
【0021】
接触時間は脂肪族ポリエステルのグレードと洗浄溶剤の種類と攪拌の状態などによって異なるが、ブリードの主要因となる環状二量体の含有量7,000〜10,000ppmを3,000ppm以下好ましくは1,000ppm以下にするのに必要な時間として、通常は2〜12時間で行われる。例えば洗浄能力の高いアセトン単独による場合接触時間は短くて済むが、洗浄能力の低い3−ペンタノンや酢酸エチルでは接触時間を長くする必要がある。
【0022】
本発明の脂肪族ポリエステルは、主にグリコール類と脂肪族ジカルボン酸類の重縮合反応を経て合成されるため、ポリマー中にモノマーまたはオリゴマーが残留している。オリゴマーの中で特に環状二量体(シクロダイマー)が結晶性ポリマー中を固相拡散して表面に析出し、結晶化するのが、成形品の表面光沢性を低下させる原因である。この拡散現象は、溶剤の飽和蒸気中に成形品を曝すことにより加速されることが見出された。これら成形品を溶剤の中に浸すことにより、シクロダイマーを溶剤で置換し表面に追い出すことが考案された。
【0023】
【実施例】
次に本発明の理解を助けるために、以下に実施例および比較例を示す。ただし、本発明はこの実施例だけに限定されるものではない。なお、実施例1は参考例である。
【0024】
脂肪族ポリエステル中に存在しブリードの原因となる環状二量体(シクロダイマー)の濃度を測定する手段としてガスクロマトグラフ分析を用いた。
【0025】
フィルムの曇り(ブリード、白化現象)は、次のように光線透過率測定法によった。
使用機種:島津分光度計UV−120−02
透過率測定波長:500nm
プレス・フィルム : 成形温度180℃、予備加熱1分間Kg/cm2加圧30秒プレス・フィルムは、通常約120μmの厚みを持ち、末延伸であり、結晶化度は低い。これを、柴山科学器械製作所のフィルム成形機にて、室温にて一軸方向に2倍延伸して、より透明な厚み約60μmのフィルム(延伸)を製作した。
【0026】
(実施例1)
高分子量脂肪族ポリエステル(I―1)の合成
エステル化反応によるポリエステルA−1の合成
70リットルの反応機を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール21.8Kg(105モル%)と無水コハクサン23.1Kg(100モル%)とトリメチロールプロパン0.16Kg(0.5モル%)を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、192〜220℃、攪拌速度80rpmにて4.4時間脱水縮合によるエステル化反応を行った。生成した脂肪族ポリエステル(A−1)は、酸価が12.5mgKOH/g、数平均分子量(Mn)が4,800、また重量平均分子量(Mw)が20,870であった。
【0027】
脱グリコール反応によるポリエステル(I―1)の合成
引続いて、常圧の窒素気流下に触媒テトラプロポキシチタニウム4.5g(ポリマー100部に対し 0.01部)を添加した。温度を215〜220℃にし、真空ポンプにて2.0〜0.3mmHgの真空下で12.5時間脱グリコール反応を行った.
【0028】
反応釜を窒素で3気圧に加圧して樹脂を出し、笠松化工研究所製の35mm直径のニーダールーダーにて水冷方式でペレット化した。このポリエステルは、凝集水と余剰グリコールを除いた理論収量は39.8Kgであるが、得られたペレットの良品収量は35.3Kgであった。高分子量脂肪族ポリエステル(I−1)は、90℃で4時間真空乾燥した後、次の基本物性値:MFR 28g/10分、Mn27,800、Mw 120,000、融点 114℃、密度 1.26/mm3を示した。
【0029】
ポリエステル(I−1)のペレットの洗浄処理および表面光沢の評価
1リットルのガラスフラスコを2個用意し、ポリエステル(I−1)のペレット(円柱形:直径約3mm*長さ約4mm)200gを、それぞれに入れ、工業用アセトンおよび工業用メチルエチルケトンをそれぞれ 400cc加え、アセトンは52℃で、メチルエチルケトンは65℃で6時間攪拌した。フラスコを水冷しペレットをアセトンならびにメチルエチルケトンから分離してから、70℃で5時間真空乾燥した。また、比較例としてメタノールについての洗浄処理をアセトン洗浄と全く同じ条件で処理しGPCによる分子量の比較を行った。
【0030】
比較例の未洗浄ペレットならびにメタノール洗浄ペレットおよび実施例のアセトンならびにメチルエチルケトン洗浄処理ペレットの各2gから各々プレス・フィルム(厚み約120μm)を作成した。フィルムの一端をクリップで挟み、20℃の恒温室の針金に吊るした。各フィルムの初日と6日後の光線透過率を測定した。また、未洗浄ペレットおとびアセトンならびにメチルエチルケトン洗浄処理ペレットについてGC(ガスクロマトグラフィー)法によりシクロダイマ−(CD)濃度およびGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量を測定した。6日後の光線透過率の低下度は、洗浄しない比較例1とともに下記の通りであり、洗浄によりくもりの発生が防止された。また、CD濃度についてもアセトン洗浄により、大幅に減少していることが確認された。アセトン洗浄より劣るがメチルエチルケトン洗浄でもブリードの発生しないレベルまでCD濃度が減少していることが確認された。また、分子量においてはメタノール洗浄処理品に低下が見られるのに対し、アセトンならびにメチルエチルケトン洗浄処理品には殆ど変化は見られなかった。
【0031】
【表1】
Figure 0004589486
【0032】
(実施例2)
ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル(II−1)の合成
例1と同様の操作に準じて、原料を変えて行った。
エステル化反応によるポリエステルB−1の合成
70リットルの反応機を窒素置換してから、1,4−ブタンジオール20.0Kg(105モル%)とコハク酸25.0Kg(100モル%)を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、192〜220℃、攪拌速度80rpmにて4.1時間脱水縮合によるエステル化反応を行った。生成した脂肪族ポリエステル(B−1)は、酸価が18.6mmgKOH/g、数平均分子量(Mn)が5,000、また重量平均分子量(Mw)が17,000であった。
【0033】
引続いて、常圧の窒素気流下に触媒テトラプロポキシチタニュウム3.6g(ポリマー100部に対し 0.1部)を添加した。温度を215〜220℃にし、真空ポンプにて2.0〜0.3mmHgの真空下で12.0時間脱グリコール反応を行った。採取されたサンプルは、Mnが17,000、またMwが37,500であった。この脂肪族ポリエステル(B−1)は、凝集水と余剰グリコールの理論量8.6Kgを除くとその理論収量は34.4Kgとなる。
【0034】
結合反応によるによるポリエステル(II―1)の合成
ポリエステル(B―1)34.4Kgの入った反応器に脱色剤としてとして亜燐酸を9.1g(0.025部)、抗酸化剤としてIRGANOX B225を36g(0.1部)を加えて、約30分攪拌を続けた。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート437g(1.2部)を添加して170〜190℃で1.5時間カップリング反応を行った。
【0035】
反応釜を窒素で3気圧に加圧してこの反応混合物を出し、笠松化工研究所製の35mm直径のニーダールーダーにて水冷方式でペレット化した。このポリエステル(II−1)の得られたペレットの良品収量は36.3Kgであった。このペレットは、90℃で4時間真空乾燥した後、次の基本物性値: MFR 2.3g/10分、Mn33,300、Mw 610,000、融点 114℃、密度 1.26/mm3を示した。
【0036】
ウレタン結合を含むポリエステル(II−1)のペレットの洗浄処理および表面光沢の評価
1リットルのガラスフラスコを2個用意し、ポリエステル(I−1)のペレット(円柱形:直径約3mm×長さ約4mm)200gを、それぞれに入れ、工業用アセトンおよびテトラヒドロフランをそれぞれ400cc加え、ともに52℃で6時間攪拌した。フラスコを水冷しペレットをアセトンならびにテトラヒドロフランから分離してから、70℃で5時間真空乾燥した。また、比較例としてメタノールについての洗浄処理をアセトン洗浄と全く同じ条件で処理しGPCによる分子量の比較を行った。
【0037】
比較例の未洗浄ペレットならびにメタノール洗浄処理ペレットおよび実施例のアセトンならびにテトラヒドロフラン洗浄処理ペレットの各2gから各々プレス・フィルム(厚み約120μm)を作成した。フィルムの一端をクリップで挟み、20℃の恒温室の針金に吊るした。各フィルムの初日と6日後の光線透過率を測定した。また、未洗浄ペレットおとびアセトンならびにテトラヒドロフラン洗浄処理ペレットについてGC法によりシクロダイマ−(CD)濃度を測定した。6日後の光線透過率の低下度は、洗浄しない比較例1とともに下記の通りであり、洗浄によりくもりの発生が防止された。また、CD濃度についてもアセトンならびにテトラヒドロフラン洗浄により、大幅に減少していることが確認された。また、分子量においてはメタノール洗浄処理品に低下が見られるのに対し、アセトンならびにテトラヒドロフラン洗浄処理品には殆ど変化は見られなかった。
【0038】
【表2】
Figure 0004589486
【0039】
(実施3)
ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル共重合体(II−2)の合成
エステル化反応によるポリエステルB−1の合成
実施例2において1ブタンジオール21.7Kg(105モル%)とコハク酸21.6Kg(80モル%)とアジピン酸6.7Kg(20モル%)を原料として仕込んだ以外は同様に行った。凝集水と余剰グリコールの理論量8.6Kgを除くとその理論収量は40.7Kgとなる。エステル化反応後の分子量は、Mn 5300、Mw 11,000であり、また脱グリコール反応後はMn 20300、Mw 40,000、であった(ポリエステルB−2)。
【0040】
結合反応によるポリエステル共重合体(II−2)の合成
ポリエステル(B−2)を亜燐酸0.025部、 B225 0.1部の存在下に、ヘキサメチレンジイソシアネート370g(0.92部)と反応させニーダールーダーにてペレット化をし、ポリエステル(II−2)35.3Kg を得た。このペレットは、70℃で4時間真空乾燥した後、次の基本物性値: MFR 8.3g/10分、Mn 28300、Mw210,000、融点 95℃、密度 1.23/mm3を示した。
【0041】
ウレタン結合を含むポリエステル(II−1)のペレットの洗浄処理および表面光沢の評価
ポリエステル(II−1)のペレット(円柱形:直径約3mm×長さ約4mm)200gを、1リットルのガラスフラスコに入れ、工業用アセトン400ccとともに35℃で6時間攪拌した。フラスコを水冷しペレットをアセトンから分離してから、60℃で5時間真空乾燥した。これと同じ条件で、以下に示す溶剤を用いた洗浄処理についても試み、フィルムにした際の6日後の表面光沢性を評価した。また、GPCによる分子量の確認も行った。(3−ペンタノン、2-メチル‐1,3-ジオキソラン、酢酸エチル)
結果を表2に示したが、未洗浄品に比較して各溶剤の洗浄処理品は、6日後も表面光沢性が良好で、曇りの発生がほとんど無いことが確認された。また分子量の変化も全ての洗浄処理ペレットにおいて見られなかった。
【0042】
【表3】
Figure 0004589486
【0043】
【発明の効果】
本発明によって洗浄処理された高分子量脂肪族ポリエステルは、射出成形、中空成形、押出成形、などによるフィルム、シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不職布、フラットヤーン、ステープル、並び繊維、筋付テープ、スプリットヤーン、複合繊維、ラミネート、ブローボトル、板、延伸シート、発泡体などの成形品として表面光沢性が持続され、製品の外観を損ねることが無い。その際樹脂に滑剤、着色剤、他ポリマー、離型剤、フィラー、補強剤などを必要に応じ混合使用できることは勿論である。
【0044】
さらに、本発明の洗浄処理された高分子量脂肪族ポリエステルは、生分解性を有しており、土中のバクテリアによって2ヶ月〜2年で大部分が生分解する特性があり、地球環境上極めて有用なポリマーである。従って、今後ショッピングバグ、ゴミ袋、農業用フィルム、化粧品容器、洗剤容器、飲料容器、釣り糸、魚網、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材および食品包装などの用途に大いに期待される。

Claims (2)

  1. (1)脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと(2)脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物)とを主成分として少量の(3)3価以上の多価アルコール、多価オキシカルボン酸(またはその酸無水物),または3価以上の多価カルボン酸(またはその酸無水物)の存在下または非存在下にエステル化反応させて得られるヒドロキシ末端を有する脂肪族ポリエステル(B)に、さらに2価以上の多官能イソシアネートを反応させて得られる数平均分子量10,000以上のウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル(II)または、それを主成分とする組成物について、粉末、ペレットまたは成形品の状態にて(i)脂肪族ケトン、(ii)環状脂肪族エーテル及び(iii)脂肪族モノエステルから選ばれる1種又は1種以上の溶剤を、脂肪族ポリエステルの融点よりも低く、かつ該溶剤の沸点よりも低い温度にて接触させることによるウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルまたは組成物の洗浄処理方法。
  2. アセトン、テトラヒドロフラン、3−ペンタノン、2−メチル−1,3−ジオキソランまたは酢酸エチルを前記溶剤として使用し、該ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルまたは組成物中の環状二量体の含有量が3,000ppm以下になるまで接触させる請求項1に記載の洗浄処理方法。
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