JP4588913B2 - 部品搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップ等の電子部品を試験する部品試験装置に組込まれる部品搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置などの製造過程においては、最終的に製造されたICチップ等の電子部品に対して各種試験を施す必要があるが、そのような試験を自動的に行う装置として、従来特開平11−333775号公報に開示されるような装置がある。
【0003】
この装置は、トレイに収納された試験前のICチップを部品吸着用のノズル部材を有する第1搬送装置により吸着して第1バッファ装置に載せ、第1バッファ装置によりテストヘッド近傍まで搬送した後、部品吸着用のノズル部材を有する第2搬送装置により第1バッファ装置上のICチップを吸着してテストヘッドに移載して試験を行う。そして試験後は、第2搬送装置によりテストヘッドから第2バッファ装置にICチップを移載してトレイ載置部まで搬送した後、第1搬送装置によって試験結果に応じた所定のトレイ上にICチップを移し替えるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プリント基板の製造分野では、上述したような部品試験装置をプリント基板に対して電子部品を自動的に実装する表面実装機に近設し、予め電子部品をチェックしてから合格品だけを表面実装機に供給することが行われている。
【0005】
この場合、試験に合格した部品はトレイのまま部品試験装置から表面実装機に搬送されて実装に供されるのが一般的であり、従って、表面実装機側でのトレイからの部品の取出しを良好に行わせるにはトレイ上に区画形成されたスペース内に出来るだけ正確に部品が収納されているのが望ましい。つまり、部品がスペースからはみ出していたり、あるいは斜めに傾いた状態で収納されていると、部品の取出しの妨げとなったり、あるいは誤差を伴った状態で取出されて表面実装機側での部品認識において不良判定がなされることが考えられる。そのため、これを回避する必要がある。
【0006】
この点について、上記従来の部品試験装置では、第1搬送装置の各ノズル部材にチャック式の位置決め機構を設け、試験後の部品をトレイに戻す前に、吸着した部品をチャックによってその周囲から掴むことによりノズル部材に対する部品の吸着位置や方向を機械的に補正してから部品をトレイ上の所定のスペースに収納するように構成されている。
【0007】
このようなチャック式の位置決め機構によれば、特定の部品については部品の吸着状態を補正してからトレイ上の所定スペース内に部品を正確に収納することは可能である。しかしながら、位置決めに適したチャックの形状や大きさ等は部品の種類によって異なるため、一種類のチャックで対応できる部品の種類にも自ずと限界があり、部品に対する汎用性が低いという問題がある。従って、この点を改善する必要がある。
【0008】
なお、ノズル部材を交換可能(チャックを交換可能)に構成し、部品の種類に応じてノズル部材を付け替えることも考えられるが、この場合には、ノズル交換の際に一時的に試験を中断する必要が生じるため、部品の取出しから収納までの一連の試験動作を効率よく行う上で望ましくない。また、ノズル部材の脱着に伴い機械的な誤差が生じ、トレイに部品を収納する際の位置決め精度が低下するという懸念もある。
【0009】
一方、試験自体に合格した部品であってもその一部(例えばパッケージ部分等)が欠けていたり、あるいは傷がある等といった外観不良を伴う部品については表面実装機に供給すべきでなく、そのような不良部品を事前に選別する必要があるが、上記従来の部品試験装置においてそのような選別を自動的に行うには、特別な外観検査手段を設けることが必要であった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、本発明の第1の目的は、試験終了後のICチップ等の部品を所定の収納スペース内に適切に収納することができ、かつ構成部分の交換等を伴うことなく部品の種類に対する汎用性を高めることにあり、第2の目的は、試験自体に合格した部品であっても外観不良を伴う部品については、これを簡便に選別できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、基台上にテストヘッドと部品の収納スペースとが配備された部品試験装置に組込まれて部品を搬送する装置において、前記テストヘッドと前記収納スペースとの配列方向と直交する方向に互いに離間して設けられかつそれぞれ部品が載置されることが可能な2つの部品載置部と、これら部品載置部と前記収納スペースとの間を移動可能な部品保持用のヘッドと、前記各部品載置部の間の位置に配置され、前記ヘッドに保持されている部品を撮像可能な撮像手段と、この撮像手段による撮像結果に基づいて前記ヘッドに保持されている部品の外観の良否を判別する判別手段と、前記撮像手段による撮像結果に基づいて前記ヘッドに保持されている部品の保持状態の誤差を求める誤差演算手段と、前記ヘッドを制御し、前記部品載置部に置かれた試験終了後の部品を保持した後、この部品を撮像すべく、前記ヘッドを撮像手段の被撮像位置を経由させてから前記収納スペースに収納する収納動作を実行するとともに、当該収納動作を前記各部品載置部に対して交互に実行する制御手段とを備えており、この制御手段は、前記判別手段により部品が外観上良品と判別された場合に前記誤差演算手段に前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記収納スペースに部品を収納すべく前記ヘッドの動作を制御する一方、前記判別手段により部品が外観上不良品と判別された場合には、前記誤差演算手段に誤差の演算を行わせることなく、不良品専用の前記収納スペースに部品を収納するものである。
【0012】
この装置によると、部品載置部に置かれた試験終了後の部品はヘッドにより保持された状態で搬送され、撮像手段による撮像結果に基づき部品が外観不良を伴わないと判別された場合にのみ部品の保持状態の誤差が求められ、部品の保持状態に誤差(ずれ)がある場合には、該誤差を是正するようにヘッドが動作制御され、これにより部品の保持状態が補正されてから収納スペースに部品が収納される。つまり、部品の画像認識に基づいて外観不良を伴う部品の選別が行われるとともに部品の保持状態に誤差がある場合には、併せて部品の保持状態がソフト的に補正されることとなる。従って、部品の種類に拘わらず、しかも装置構成部分の交換等を伴うことなく部品の吸着状態を良好に補正してから収納することができる。他方、部品が外観不良を伴うと判別された場合には、部品の保持状態の誤差が求められることなく当該部品が収納ボックス等の不良品専用の収納スペースに部品される。
なお、この構成において、前記ヘッドは部品を保持することが可能な複数のノズル部材を有するものであり、前記制御手段は、前記ヘッドの各ノズル部材に保持された部品のうち外観上良品の部品については、前記誤差演算手段による前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記収納スペースに部品を収納する一方、前記ヘッドの各ノズル部材に保持された部品のうち外観上不良品の部品については、前記誤差演算手段に誤差の演算を行わせることなく、不良品専用の前記収納スペースに部品を収納するものであってもよい。
さらにこの構成において、前記制御手段は、前記ヘッドを制御し、前記収納スペースに収納されている試験前の部品を保持した後、この部品を撮像すべく、前記ヘッドを撮像手段の被撮像位置を経由させてから前記部品載置部に移載するものであり、この制御手段は、前記判別手段により試験前の部品が外観上良品と判別された場合には、前記ヘッドに保持されている試験前の部品を前記部品載置部に載置する一方、外観上不良品と判別された場合には、前記ヘッドに保持されている試験前の部品を不良品専用の前記収納スペースに収納すべく前記ヘッドを制御するものであってもよい。
また、前記制御手段は、前記判別手段により部品が外観上良品と判別された場合には、前記誤差演算手段に前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記部品載置部に試験前の部品を載置すべく前記ヘッドの動作を制御するものであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中には方向性を明確にするためにX軸、Y軸を示している。
【0020】
図1及び図2は、本発明に係る部品搬送装置が搭載された部品試験装置を概略的に示している。これらの図に示すように、部品試験装置1(以下、試験装置1と略す)は、部品の搬送及び試験中の部品保持(固定)という機械的な役割を担うハンドラ2と、このハンドラ2に組込まれる試験装置本体3とから構成されている。
【0021】
試験装置本体3は、上面にテストヘッド4を備えた箱型の装置で、テストヘッド4に設けられたソケット(図示省略)に部品をセットして該部品の入力端子にテスト電流を供給しつつ部品の出力端子からの出力電流を受けることにより部品の品質を判断するように構成されている。
【0022】
試験装置本体3は、前記ハンドラ2に対して脱着可能に構成されており、図示を省略するが、例えば試験装置本体3を専用の台車に載せた状態でハンドラ2の下側から所定の挿着位置に挿入し、テストヘッド4をハンドラ2の基台2aに形成された開口部から後記テスト領域Taに臨ませた状態で固定することによりハンドラ2に対して組付けられている。なお、テストヘッド4と試験装置本体3とは必ずしも一体である必要はなく、テストヘッド4のみをハンドラ2に組付け、その他の部分をハンドラ2から離間した位置に配置してテストヘッド4に対して電気ケーブル等で電気的に接続するようにしてもよい。この場合には、試験装置本体3を除くハンドラ2そのものを本発明の部品試験装置とみなすことができる。
【0023】
ハンドラ2は、同図に示すように、上部が側方に迫出した略箱型の装置で、トレイに収納された部品を取出して前記テストヘッド4に搬送し、さらに試験後の部品をその試験結果に応じて仕分けするように構成されている。以下、その構成について具体的に説明する。
【0024】
ハンドラ2の基台2a上は、大きく分けて、トレイTrが収納されるトレイ収納領域Saと、テストヘッド4等が配置されるテスト領域Taの二つの領域に分けられている。
【0025】
トレイ収納領域Saには、X軸方向に複数のトレイ収納部が並設されており、当実施形態では、図2の左側から順に第1〜第5の5つのトレイ収納部11〜15が並設されている。そして、第2トレイ収納部12及び第4トレイ収納部14に試験前(未検査)の部品を載せたトレイTrが、第1トレイ収納部11に空のトレイTrが、第3トレイ収納部13に試験後の部品のうち合格品(Pass)を載せたトレイTrが、第5トレイ収納部15に試験後の部品のうち不合格品(Fail)を載せたトレイTrが夫々収納されている。なお、各トレイTrは何れも共通の構造を有しており、図示を省略するが、例えばその表面には複数の部品収納凹部(収納スペース)が区画形成されており、ICチップ等の部品が各部品収納凹部内に収納されるように構成されている。
【0026】
各トレイ収納部11〜15は、夫々昇降可能なテーブル上に複数のトレイTrを積み重ねた状態で収納するように構成されており、最上位のトレイTrのみを基台2a上に臨ませた状態で配置し、それ以外のトレイTrを基台下のスペースに収納するように構成されている。
【0027】
具体的には、図3及び図4に示すように、各トレイ収納部11〜15には、上下方向(Z軸方向)に延びるレール17が設けられ、このレール17にテーブル16が移動可能に装着されている。また、サーボモータ18により作動するレール17と平行なボールねじ軸19が設けられ、このボールねじ軸19がテーブル16のナット部分16aに螺合装着されている。そして、テーブル16上に複数のトレイTrが積み重ねられた状態で載置され、サーボモータ18によるボールねじ軸19の回転駆動に伴いテーブル16が昇降することにより、テーブル16上に積み重ねられたトレイTrの数に応じてその最上位のものが各開口部11a〜15aを介して基台上に配置されるように構成されている。
【0028】
また、ハンドラ2の側壁には、図1に示すように各トレイ収納部11〜15に対応して扉11b〜15bが設けられており、これらの扉11b〜15bを開くことにより各トレイ収納部11〜15に対してトレイTrを出し入れできるように構成されている。
【0029】
なお、試験に供される部品のうち大部分は合格品であることを考慮して、上記トレイ収納部11〜15のうち合格部品を収納する第3トレイ収納部13は他のトレイ収納部11,12,14,15に比べてトレイTrの収納容量が大きく設定されている。これにより第3トレイ収納部13に対するトレイTrの出し入れ頻度が他のトレイ収納部に比べてあまりに多くなることがないように構成されている。
【0030】
トレイ収納領域Saには、さらに図1及び図2に示すようにP&Pロボット(Pick & Place Robot)20が設けられている。
【0031】
P&Pロボット20は、移動可能なヘッド23を有しており、このヘッド23によって第2又は第4トレイ収納部12,14のトレイTrから部品を取出して後述するシャトルロボット30A,30Bに受け渡すとともに、試験後の部品をシャトルロボット30A,30Bから受け取って第3トレイ収納部13又は第5トレイ収納部15のトレイTrに移載するもので、さらに第1トレイ収納部11とその他のトレイ収納部12〜15との間でトレイTrを搬送するトレイ搬送装置としても機能するように構成されている。
【0032】
詳しく説明すると、上記基台2a上にはY軸方向に延びる一対の固定レール21が設けられ、これら固定レール21にヘッド支持部材22が移動可能に装着されている。また、図示を省略するが、サーボモータにより回転駆動されて前記固定レール21と平行に延びるボールねじ軸が基台2a上に設けられ、このボールねじ軸が前記支持部材22に設けられたナット部材(図示省略)に螺合装着されている。さらに、詳しく図示していないが、前記支持部材22にX軸方向に延びる固定レールが設けられてこの固定レールにヘッド23が移動可能に装着されるとともに、サーボモータにより回転駆動されて前記固定レールと平行に延びるボールねじ軸が設けられ、このボールねじ軸がヘッド23に設けられたナット部分に螺合装着されている。そして、上記各サーボモータによるボールねじ軸の回転駆動に応じて支持部材22がY軸方向に、ヘッド23がX軸方向に夫々移動することにより、ヘッド23が前記トレイ収納部11〜15及びシャトルロボット30A,30Bの後記部品受渡し位置P1を含む範囲で平面的に移動(X−Y平面上を移動)し得るように構成されている。
【0033】
ヘッド23には、複数のノズル部材が搭載されており、当実施の形態では部品吸着用の一対のノズル部材24a,24b(第1ノズル24a,第2ノズル24b)とトレイ吸着用のノズル部材25(トレイ用ノズル部材25という)との合計3つのノズル部材が搭載されている。
【0034】
部品吸着用の各ノズル部材24a,24bは、ヘッド23に対して昇降及び回転(ノズル軸回りの回転)が可能となっており、図示を省略するがサーボモータを駆動源とする駆動機構により夫々作動するように構成されている。そして、第2トレイ収納部12等のトレイTr上、あるいはシャトルロボット30A,30Bの後記テーブル32の上方にヘッド23が配置された状態で、各ノズル部材24a,24bの昇降動作に伴いトレイTrに対する部品の出し入れ等を行うように構成されている。なお、トレイTrへの部品の収納に際しては、このようなノズル昇降動作に加えて各ノズル部材24a,24bが回転することによりトレイTrに対して予め定められた方向で部品を収納し得るように構成されている。
【0035】
トレイ用ノズル部材25は、ヘッド23に対して昇降動作のみが可能となっており、サーボモータを駆動源とする駆動機構により作動するように構成されている。そして、部品の取出しに伴い空になったトレイTrを吸着した状態で、ヘッド23の移動に伴い第2及び第4トレイ収納部12,14から第1トレイ収納部11にトレイTrを移送するとともに、必要に応じて第1トレイ収納部11に収納されている空のトレイTrを吸着して第3又は第5のトレイ収納部13,15に移送するように構成されている。なお、トレイ用ノズル部材25については、トレイTrを良好に吸着すべくその先端部(下端部)に例えば矩形板型の吸着パッドが組付けられることにより広い吸着面積が確保されている。
【0036】
トレイ収納領域Saには、さらに各シャトルロボット30A,30Bの部品受渡し位置P1の間にCCDエリアセンサからなる部品認識カメラ34(撮像手段)が配設されている。このカメラ34は、P&Pロボット20の前記ヘッド23に吸着されている部品を下側から撮像するもので、試験終了後の部品をトレイTrへの収納に先立って撮像するように構成されている。なお、該部品認識カメラ34は、ヘッド23の各ノズル部材24a,24bに吸着されている2つの部品を同時に撮像し得るように構成されている。
【0037】
一方、テスト領域Taには、前記テストヘッド4、一対のシャトルロボット30A,30B(第1シャトルロボット30A,第2シャトルロボット30B)及びテストロボット40が配設されている。
【0038】
テストヘッド4は、上述の通り基台2aに形成された開口部からテスト領域Taの略中央部分に露出した状態で配設されている。テストヘッド4の表面には、部品をセットするための複数のソケット(図示省略)が配設されており、当試験装置1においては2つのソケットがX軸方向に並んだ状態で設けられている。
【0039】
各ソケットには、それぞれ部品(ICチップ等)の各リードに対応する接触部(図示せず)が設けられており、各ソケットに部品を夫々位置決めすると、部品の各リードとこれに対応する接触部とが接触して該部品に対して導通試験や、入力電流に対する出力特性試験等の電気的試験が施されるように構成されている。
【0040】
シャトルロボット30A,30Bは、トレイ収納領域Saとテスト領域Taとの間で部品を搬送しつつ前記P&Pロボット20およびテストロボット40に対して部品の受渡しを行う装置で、図2に示すように夫々Y軸方向に延びる固定レール31と、サーボモータを駆動源とする駆動機構により駆動されて前記固定レール31に沿って移動するテーブル32とを有している。そして、第1トレイ収納部11及び第5トレイ収納部15の近傍に設定されたP&Pロボット20に対する部品受渡し位置P1(部品載置部)と、テストヘッド4側方に設定されたテストロボット40に対する部品受渡し位置P2との間で前記テーブル32を固定レール31に沿って往復移動させながら該テーブル32により部品を搬送するように構成されている。
【0041】
テーブル32には、試験前の部品を載置するためのエリアと、試験後の部品を載置するエリアとが予め定められており、当実施形態では、図5に示すようにテーブル32のうちトレイ収納領域Sa側(同図では下側)が試験後の部品を載置する第1エリアa1とされ、その反対側が試験前の部品を載置する第2エリアa2と定められている。各エリアa1,a2には、夫々一対の吸着パッド33a,33bがX軸方向に所定間隔で、具体的にはテストロボット40の各搬送用ヘッド42A,42Bに設けられる一対のヘッド本体43a,43bの最小ピッチ、あるいはそれ以上のピッチであって、かつP&Pロボット20の前記ヘッド23のノズル部材24a,24bに対応する間隔で設けられおり、部品搬送時には、これらパッド33a,33b上に部品が置かれて吸着された状態で搬送されるように構成されている。
【0042】
なお、各シャトルロボット30A,30BとP&Pロボット20及びテストロボット40との部品の受渡しは、例えば、以下のようにして行われる。
【0043】
まず、P&Pロボット20から各シャトルロボット30A,30Bに試験前の部品を移載する際には、図6(a)に示すように部品受渡し位置P1の所定の位置にP&Pロボット20のノズル部材24a,24b(ヘッド23)が位置決めされ、ノズル部材24a,24bに第2エリアa2が対応するようにテーブル32が位置決めされ(この位置を第2ポジションという)、この状態でノズル部材24a,24bの昇降に伴いテーブル32上に部品が移載される。一方、シャトルロボット30A(30B)からP&Pロボット20に試験後の部品を移載する際には、図6(B)に示すようにノズル部材24a,24bに第1エリアa1が対応するようにテーブル32が位置決めされ(この位置を第1ポジションという)、この状態でテーブル32上の部品がノズル部材24a,24bの昇降に伴い吸着される。
【0044】
また、テストロボット40からシャトルロボット30A(30B)に試験後の部品を移載する際には、図6(c)に示すように部品受渡し位置P2の所定の位置にテストロボット40の後記ノズル部材60a,60b(ヘッド本体43a,43b)がX軸方向に夫々位置決めされるとともに、各ノズル部材60a,60bに第1エリアa1が対応するようにテーブル32が位置決めされ(第1ポジション)、この状態(すなわち、前記両固定レール31の内側(図5では右側)に位置する吸着パッド33bとノズル部材60b、固定レール31の外側(図5では左側)に位置する吸着パッド33aとノズル部材60aとが夫々一致する状態)でノズル部材60a,60bの昇降に伴ってテーブル32上に部品が載置される。一方、シャトルロボット30A(30B)からテストロボット40に試験前の部品を移載する際には、図6(d)に示すようにノズル部材60a,60bに第2エリアa2が対応するようにテーブル32が位置決めされ(第2ポジション)、この状態でノズル部材60a,60bの昇降に伴いテーブル32上から部品が吸着されるようになっている。
【0045】
テストロボット40は、上述のように各シャトルロボット30A,30Bによりトレイ収納領域Saからテスト領域Taに供給される部品をテストヘッド4に搬送(供給)して該試験の間テストヘッド4に対して部品を押圧した状態で保持(固定)し、試験後は、部品をそのままシャトルロボット30A,30Bに受け渡す(排出する)装置である。
【0046】
このテストロボット40は、シャトルロボット30A,30Bを跨ぐように基台2a上に設けられた高架2Bに沿って移動する一対の搬送用ヘッド42A,42B(第1搬送用ヘッド42A,第2搬送用ヘッド42A)を有しており、これら搬送用ヘッド42A,42Bに夫々搭載された一対のヘッド本体43a,43b(第1ヘッド本体43a,第2ヘッド本体43b)によりテストヘッド4に対して部品の供給及び排出を行うように構成されている。以下、図1,図2及び図7〜図9を参照しつつ搬送用ヘッド42A,42Bの構成について具体的に説明する。
【0047】
各搬送用ヘッド42A,42Bは、夫々、前記高架2B上に配設されたX軸方向の固定レール45に沿って移動可能な一対の可動フレーム46a,46b(第1可動フレーム46a,第2可動フレーム46b)を有している。これらの可動フレーム46a,46bのうち第1可動フレーム46aにはサーボモータ47が固定されており、このサーボモータ47の出力軸にX軸方向に延びるボールねじ軸48が一体的に連結されるとともに、このボールねじ軸48が第2可動フレーム46bに設けられたナット部分49に螺合装着されている。また、サーボモータ50により夫々回転駆動される前記固定レール45と平行な一対のボールねじ軸51が基台2aに設けられ、これらボールねじ軸51が搬送用ヘッド42A,42Bの各第1可動フレーム46aに設けられたナット部分52に螺合装着されている。すなわち、サーボモータ50によるボールねじ軸51の回転駆動に伴い各搬送用ヘッド42A,42Bが固定レール45に沿って夫々X軸方向に移動するとともに、前記サーボモータ47によるボールねじ軸48の回転駆動に伴い、各搬送用ヘッド42A,42Bにおいて、図9の二点鎖線に示すように第2可動フレーム46bが第1可動フレーム46aに対して相対的にX軸方向に移動し得るように構成されている。
【0048】
各可動フレーム46a,46b上には、図8及び図9に示すようにY軸方向に延びる固定レール54が夫々配設されている。各レール54には、ヘッド支持部材55が夫々移動可能に支持されており、これらヘッド支持部材55の先端部(図8では左側端部)に前記ヘッド本体43a,43bが夫々組付けられている。そして、各可動フレーム46a,46bに、サーボモータ57により駆動される前記固定レール54と平行なボールねじ軸58が夫々固定台56を介して支持され、これらボールねじ軸58がヘッド支持部材55に設けられたナット部分59に夫々螺合装着されている。これにより各サーボモータ57によるボールねじ軸58の回転駆動に伴い各ヘッド本体43a,43bが可動フレーム46a,46bに対して夫々Y軸方向に移動するように構成されている。
【0049】
各ヘッド本体43a,43bには、図8に示すように部品吸着用のノズル部材60a,60b(第1ノズル部材60a,第2ノズル部材60b)が夫々設けられている。各ノズル部材60a,60bは、ヘッド本体43a,43bのフレームに対して昇降及び回転(ノズル軸回りの回転)が可能となっており、サーボモータを駆動源とする図外の駆動機構により駆動するように構成されている。
【0050】
また、各ヘッド本体43a,43bには、テストヘッド4への部品供給の際にソケットに付された基準マークを撮像するためのCCDエリアセンサからなるソケット認識カメラ62が夫々搭載されている。
【0051】
テスト領域Taには、さらに前記シャトルロボット30A,30Bの部品受渡し位置P2とテストヘッド4との間に、夫々CCDエリアセンサからなる部品認識カメラ64A,64Bが配設されている。これらのカメラ64A,64Bは、各搬送用ヘッド42A,42Bにより吸着されている2つの部品をその下側から同時に撮像し得るように構成されており、図10に示すように、ヘッド本体43a,43bにより各シャトルロボット30A(又は30B)から部品が取り上げられた後、該ヘッド本体43a,43bの移動に伴い部品認識カメラ64A(又は64B)上方に部品が配置されることにより部品を撮像するように構成されている。なお、部品受渡し位置P2、部品認識カメラ64A,64B及びテストヘッド4は、X軸と平行な同一軸線上に配置されており、これにより搬送用ヘッド42A,42Bを夫々部品受渡し位置P2からテストヘッド4に亘って最短距離で移動させながその途中で試験前の部品を撮像し得るように構成されている。
【0052】
なお、ハンドラ2の上部には、図1に示すように防塵用のカバー2cが装着されており、テスト領域Ta及びトレイ収納領域Saを含む基台2a上の空間がこのカバー2cによって覆われている。
【0053】
図11は、試験装置1の制御系をブロック図で示している。この図に示すように、試験装置1は、論理演算を実行する周知のCPU70aと、そのCPU70aを制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROM70Bと、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM70cとを備えた制御部70を備えている。
【0054】
この制御部70には、I/O部(図示せず)を介して試験装置本体3、部品認識カメラ34,64A,64B及びソケット認識カメラ62が電気的に接続されるとともに、前記P&Pロボット20、テストロボット40、シャトルロボット30A,30Bの各コントローラ71,72,73A,73Bが電気的に接続されている。また、各種情報を制御部70に入出力するための操作部75及び試験状況等の各種情報を報知するためのCRT76等がこの制御部70に電気的に接続されている。
【0055】
図12は、前記制御部70の機能ブロック図であり、主にテストロボット40によるテストヘッド4への部品(試験前の部品)の搬送動作と、P&Pロボット20によるトレイTrへの部品(試験後の部品)の収納動作を制御する部分とを示している。
【0056】
この図に示すように制御部70は、主制御手段74(制御手段)と、ヘッド位置誤差演算手段75と、試験前及び試験後の各部品に対応する吸着誤差演算手段76,77と、画像処理手段78と、判別手段79とを含んでいる。
【0057】
主制御手段74は、試験装置1における各ロボット等の動作等を統括的に制御するもので、予め記憶されているプログラムに従って後に詳述するような試験動作を実施すべくP&Pロボット20等の各ロボットを統括的に制御するものである。特に、テストロボット40によるテストヘッド4(ソケット)への部品(試験前の部品)の位置決めの際には、ヘッド位置誤差演算手段75及び吸着誤差演算手段(試験前)76において求められる後記誤差に基づき補正量を演算し、該補正量に基づいてテストロボット40(搬送用ヘッド42A,42B)を駆動制御するように構成されている。また、P&Pロボット20によるトレイTrへの部品(試験後の部品)の収納に際しては、吸着誤差演算手段(試験後)77において求められる後記誤差に基づき補正量を演算し、該補正量に基づいてP&Pロボット20を駆動制御するとともに、判別手段79による後記外観不良の判定に基づき該外観不良品を選別すべくP&Pロボット20を駆動制御するように構成されている。
【0058】
画像処理手段78は、部品認識カメラ34,64A,64B及びソケット認識カメラ62の各撮像素子からの信号に対して所定の画像処理を施すものである。
【0059】
ヘッド位置誤差演算手段75は、ソケット認識カメラ62により撮像された画像に基づいてテストヘッド4(ソケット)に対する各搬送用ヘッド42A,42Bの相対的な位置関係を求め、この位置関係とその適正値とを比較してテストヘッド4に対する各搬送用ヘッド42A,42Bの誤差(ずれ)を演算し、その演算結果を前記主制御手段74に出力するものである。
【0060】
吸着誤差演算手段(試験前)76は、部品認識カメラ64A又は64Bにより撮像された部品(試験前の部品)の画像に基づいて搬送用ヘッド42A,42Bの各ノズル部材60a,60bに吸着されている部品の吸着誤差(ずれ)を演算し、その演算結果を前記主制御手段74に出力するものである。
【0061】
吸着誤差演算手段(試験後)77は、部品認識カメラ34により撮像された部品(試験後)の画像に基づいてP&Pロボット20の各ノズル部材24a,24bに吸着されている部品の吸着誤差(ずれ)を演算し、その演算結果を出力するもので、試験後の部品のうち合格品(Pass)については当該演算結果を判別手段79に出力し、不合格品(Fail)については当該演算結果を主制御手段74に出力するように構成されている。すなわち、当試験装置では、前記画像処理手段78及びこの吸着誤差演算手段77により本発明の認識手段が構成されている。
【0062】
判別手段79は、部品認識カメラ34により撮像された部品(試験後)の画像に基づいて部品の外観の良否を判別するもので、欠けや傷等の外観不良を伴う部品についは前記吸着誤差演算手段77による吸着誤差の演算結果と共に前記主制御手段74に判定結果を出力するように構成されている。
【0063】
次に、上記制御部70の制御に基づく試験装置1の動作例について図13のタイミングチャートに基づいて説明することにする。
【0064】
なお、このタイミングチャートは試験動作中の特定の時点(t0時点)からの動作を示しており、該t0時点における各ロボット20,30A,30B,40(搬送用ヘッド42A,42B)の状態は以下の通りである。
【0065】
・P&Pロボット20 ;試験後の部品をトレイTrに収納すべくヘッド23が移動中の状態にある。つまり、ヘッド23が第1シャトルロボット30Aの部品受渡し位置P1から、部品認識カメラ34の上方を通過して第3トレイ収納部13上又は第5トレイ収納部15上に向って移動中の状態になる。なお、部品の吸着状態及び外観不良の有無を調べるための処理、すなわち認識カメラ34による部品の撮像は終了しており、既に吸着誤差演算手段77によって各ノズル部材24a,24bに吸着されている部品の吸着誤差(ずれ)が求められるとともに、各部品の外観良否判定がなされている。
【0066】
・第1シャトルロボット30A ;次回第1搬送用ヘッド42Aに供給する部品をテーブル32上に保持した状態で部品受渡し位置P1に待機した状態にある。
【0067】
・第1搬送用ヘッド42A ;次に試験を行う部品を各ヘッド本体43a,43bにより吸着し、かつ各部品を部品認識カメラ64A上方に配置(待機)した状態、すなわち部品認識カメラ64Aによる部品の撮像に基づき前記吸着誤差演算手段76により各ノズル部材60a,60bに吸着されている部品の吸着誤差(ずれ)が求められた状態になる。
【0068】
・第2シャトルロボット30B ;次に第2搬送用ヘッド42Bに供給する部品をテーブル32上に保持した状態で部品受渡し位置P1に待機した状態にある。
【0069】
・第2搬送用ヘッド42B ;テストヘッド4において試験終了直後の状態にある。
【0070】
以上のような状態下において、まず、第2シャトルロボット30Bのテーブル32が部品受渡し位置P2に移動するとともに(t1時点)、第2搬送用ヘッド42Bの各ノズル部材60a,60bが部品をソケットに押圧する状態から該部品を吸着する状態に切換し、該試験後の部品を吸着したまま上昇し、上昇が完了すると、試験後の部品を受け渡すべく第2搬送用ヘッド42Bが第2シャトルロボット30Bの部品受渡し位置P2に移動を開始する(t3時点)。この際、第2搬送用ヘッド42Bの各ヘッド本体43a,43bに吸着されている部品同士のピッチがテーブル32における吸着パッド33a,33bのピッチ(X軸方向の間隔)と一致しない場合は、第2搬送用ヘッド42Bの移動中にヘッド本体43a,43bの間隔が両ソケットの間のピッチに一致するように第2搬送用ヘッド42Bが駆動制御される。
【0071】
部品受渡し位置P2に第2搬送用ヘッド42Bが到達すると(t7時点)、まず第2搬送用ヘッド42Bから第2シャトルロボット30Bのテーブル32上に試験後の部品が移載され、次いで、該テーブル32に予め載置されている次の部品(試験前の部品)が第2ロボット本体42Bに受け渡される。詳しくは、第2シャトルロボット30Bのテーブル32がまず部品受渡し位置P2において第1ポジション(図6(c)参照)に位置決めされ、各ノズル部材60a,60bの昇降に伴いテーブル32上の第1エリアa1に部品が移載される(t9時点)。その後、テーブル32が第2ポジション(図6(d)参照)に位置決めされ、テーブル上の第2エリアa2に保持されている部品が各ノズル部材60a,60bの昇降に伴い吸着される(t12時点)。
【0072】
第2搬送用ヘッド42Bと第2シャトルロボット30Bとの間での部品の受渡しが完了すると、第2搬送用ヘッド42Bの移動に伴い各部品が部品認識カメラ64B上に配置されて(t18時点)、該部品の撮像に基づき吸着状態を調べるための処理が行われ、この処理が完了するとテストヘッド4への搬送待機状態となる。
【0073】
一方、上記のように第2搬送用ヘッド42Bが部品受渡し位置P2に移動すると、これと同じタイミングで第1搬送用ヘッド42Aが次の部品の試験を行うべくテストヘッド4に移動を開始する(t3時点)。そして、第1搬送用ヘッド42Aがテストヘッド4に到達すると(t5時点)、各ノズル部材60a,60bが下降し、この下降に伴い各ノズル部材60a,60bに吸着されている部品がテストヘッド4の各ソケットに夫々同時に押し付けられた状態で位置決めされ、これにより該部品の試験が開始される(t8時点)。
【0074】
同タイミングチャートでは詳細に示していないが、ソケットへの部品の位置決めは、まず、第1搬送用ヘッド42Aがテストヘッド4上の目標位置に配置され、ソケット認識カメラ62によるマークの撮像に基づいてソケットに対する第1搬送用ヘッド42Aの位置誤差(ずれ)が求められる。そして、上述したように、主制御手段74においてこの誤差と先に求められている部品の吸着誤差(ずれ)とに基づいてソケットに対する各部品の補正量が求められ、この補正量に基づいて第1搬送用ヘッド42Aが駆動制御されることにより各ヘッド本体43a,43bの吸着部品の位置が補正された後、各ノズル部材60a,60bの下降に伴い各部品がソケット内に位置決めされる。
【0075】
各部品位置の補正は、まずサーボモータ50の作動により第1搬送用ヘッド42A全体がX軸方向に移動した後、サーボモータ47の作動により第2可動フレーム46bのみがX軸方向に移動する。これにより各ヘッド本体43a,43bに吸着されている部品が夫々X軸方向に位置補正される。そして、サーボモータ57の作動により各ヘッド本体43a,43bが夫々Y軸方向に移動することにより各部品がY軸方向に夫々位置補正され、さらにヘッド本体43a,43bの各ノズル部材60a,60bがノズル軸回り回転することにより各部品が夫々回転方向に位置補正される。これにより各ヘッド本体43a,43bに吸着されている部品が夫々X軸方向、Y軸方向及び回転方向に位置補正されることとなる。なお、ここでは説明の便宜上、各部品の位置補正をX軸方向、Y軸方向及び回転方向に分けて時系列的に説明したが、実際にはこれら各方向の補正が並行して行われることにより各部品の位置補正が速やかに行われる。
【0076】
テストヘッド4に位置決めされている部品の試験が終了すると(t20時点)、各ノズル部材60a,60bの上昇に伴い部品がソケットから取り外され(t23時点)、さらに第1搬送用ヘッド42Aの移動に伴い該試験後の部品が第1シャトルロボット30Aとの部品受渡し位置P2に搬送される(t25時点)。そして、上述した第2搬送用ヘッド42Bと第2シャトルロボット30Bとの部品受け渡し動作と同様にして、第1搬送用ヘッド42Aと第1シャトルロボット30Aとの間で部品の受け渡しが行われる。
【0077】
また、部品受渡し位置P2への第1搬送用ヘッド42Aの移動開始と同じタイミングで第2搬送用ヘッド42Bがテストヘッド4に移動し(t23時点)、第2搬送用ヘッド42Bの各ヘッド本体43a,43bに吸着されている次の部品がテストヘッド4に押し付けられた状態で位置決めされることとなる(t26時点)。この際、第2搬送用ヘッド42Bの各ヘッド本体43a,43bに吸着されている部品同士のピッチがテストヘッド4上のソケットのピッチと異なる場合には、この移動中にヘッド本体43a,43bの間隔が両ソケットの間のピッチに一致するように第2搬送用ヘッド42Bが駆動制御される。
【0078】
一方、P&Pロボット20及び各シャトルロボット30A,30Bについては、テストロボット40の各搬送用ヘッド42A,42Bに対する部品の受け渡しが連続的に行われ得るように以下のようにそれらの動作が制御される。
【0079】
まず、第2シャトルロボット30Bについては、第2搬送用ヘッド42Bが部品受渡し位置P2に到達すると同時(t7時点)に試験後の部品を受け取るべく、テーブル32が部品受渡し位置P2に移動する。そして、上記の通りまずテーブル32が第1ポジション(図6(c)参照)に配置された状態で第2搬送用ヘッド42Bからテーブル32へ試験後の部品が受け渡され(t9時点)、さらにテーブル32が第2ポジション(図6(d)参照)に配置されて(t10時点)試験前の部品がテーブル32から第2搬送用ヘッド42Bに受け渡される(t12時点)。
【0080】
その後、テーブル32が部品受渡し位置P1に移動を開始し(t12時点)、まず第2ポジション(図6(b)参照)にテーブル32が配置された状態で(t14時点)、P&Pロボット20からテーブル32に次ぎの部品(試験前の部品)が受け渡される(t16時点)。次いで、テーブル32が第1ポジション(図6(a)参照)に配置され(t17時点)、この状態でテーブル32からP&Pロボット20に試験後の部品が受け渡され(t19時点)、その後、次回の部品受渡しまで部品受渡し位置P1において待機状態におかれる。なお、これは第2シャトルロボット30Bの動作制御であるが、第1シャトルロボット30Aについても第1搬送用ヘッド42Aとの関係で同様にその動作が制御される。
【0081】
一方、P&Pロボット20は、先に試験が終了した部品をその試験結果に応じたトレイTrに収納すべくその動作が制御される。
【0082】
具体的には、各ノズル部材24a,24bに吸着された2つの部品(試験後の部品)のうち少なくとも一つが合格品の場合には、まずヘッド23が第3トレイ収納部13上に配置され(t2時点)、例えば第1ノズル部材24aの昇降に伴い該合格品がトレイTrに収納される(t4時点)。次いで、第2ノズル部材24bの吸着部品が合格品である場合にはヘッド23が同トレイTr上の次の部品収納部に僅かに移動した後、一方、不合格品(テストヘッド4における試験結果が不合格の場合、および後述する外観不良判定がなされた部品のいずれかの部品:以下同じ)である場合にはヘッド23が第5トレイ収納部15上に移動した後、第2ノズル部材24bの昇降に伴い残りの部品がトレイTrに収納される(t6時点)。こうして第2ノズル部材24bの昇降に伴い部品がその試験結果に応じて第3トレイ収納部13、あるいは第5トレイ収納部15のトレイTr内に収納される(t8時点)。なお、両方の部品が不合格品の場合には、ヘッド23が第5トレイ収納部15上に配置され(t2時点)、例えば第1ノズル部材24aの昇降に伴い最初の部品がトレイTrに収納され(t4時点)、その後、ヘッド23が同トレイTr上の次の部品収納部上に配置されて(t6時点)、第2ノズル部材24bの昇降に伴い残りの部品がトレイTr内に収納される(t8時点)。
【0083】
P&Pロボット20によるトレイTrへの部品の収納に際しては、主制御手段74において、既に求められている部品の吸着誤差(ずれ)に基づいてトレイTrの部品収納用凹部に対する各部品の補正量が求められ、この補正量に基づいてP&Pロボット20のヘッド23が駆動制御されることによりヘッド23に吸着されている各部品のX軸、Y軸及び回転方向の位置補正がされてから各部品収納用凹部に部品が収納される。なお、この際、テストヘッド4における試験結果が合格である場合でも、前記判別手段79において外観不良の判定がなされている部品については、当該部品も不合格品(Fail)として第5トレイ収納部15のトレイTrに収納すべくP&Pロボット20が作動制御され、これにより外観不良を伴う部品が選別されることとなる。
【0084】
試験後の部品のトレイTrへの収納が完了すると、ヘッド23が第2トレイ収納部12又は第4トレイ収納部14の上方に配置され(t11時点)、新たな部品がトレイTrから取出される(t13時点)。そして、ヘッド23が第2シャトルロボット30Bの部品受渡し位置P1に移動、配置され、上述したように当該新たな部品が第2シャトルロボット30Bに受け渡されるとともに(t16時点)、試験後の部品が第2シャトルロボット30BからP&Pロボット20に受け渡される(t19時点)。
【0085】
このような第2シャトルロボット30Bに対する部品の受渡しが完了すると、ヘッド23が部品認識カメラ34上に配置され、試験後の部品の撮像に基づき該部品の吸着状態及び外観不良の有無を調べるための処理が行われ、この処理が完了すると、該部品をトレイTrに収納すべくヘッド23等の動作が制御されることとなる(t22時点)。なお、t22時点からt27時点(試験後の次ぎの部品を収納すべく第3トレイ収納部13等の上方にヘッド23が位置決めされた時点)の間においては、試験結果に応じて部品が所定のトレイTrへ収納された後、第2トレイ収納部12等から新たな部品が取出されて第1シャトルロボット30Aのテーブル32に受け渡されるとともに、試験終了後の部品を受け取るための一連の動作が第1第1シャトルロボット30A及びP&Pロボット20により行われる。この一連の動作は、t2時点からt19時点の間の動作と同様なものである。また、t26時点からt28時点(次の部品の試験が終了した時点)の間における第2搬送用ヘッド42Bによる試験動作も、t8時点からt20時点の間における第1搬送用ヘッド42Aによる動作と同様にその動作が制御される。
【0086】
このようにして以後、図10に示すように、部品受渡し位置P2とテストヘッド4との間で1搬送用ヘッド42A(又は第2搬送用ヘッド42B)を移動させつつテストヘッド4に2ずつ部品を搬送、位置決めして試験を行う一方で、これと並行して第2搬送用ヘッド42B(又は第1搬送用ヘッド42A)と第2シャトルロボット30B(又は第2シャトルロボット30B)との間で部品の受け渡し(つまり試験後の部品と次回の部品との受け渡し)を行いながら、さらにこのような第1搬送用ヘッド42A及び第2搬送用ヘッド42Bに対する部品の受け渡し等が連続的に行われるように各シャトルロボット30A,30B及びP&Pロボット20の動作が制御される。
【0087】
なお、図13のタイミングチャート中には示していないが、試験の進行に伴い第2トレイ収納部12又は第4トレイ収納部14のトレイTr(最上位のトレイ)が空になると、ヘッド23により該空トレイTrを吸着して第2トレイ収納部12等から第1トレイ収納部11に移載するようにP&Pロボット20の動作が制御される。これにより第2トレイ収納部12等において次ぎのトレイTrからの部品の取出しが可能となる。同様に、第3トレイ収納部13又は第5トレイ収納部15において、トレイTr(最上位のトレイ)に部品が満載状態となると、第1トレイ収納部11に収納されている空トレイTrをヘッド23により吸着して第3トレイ収納部13等に移載するようにP&Pロボット20の動作が制御される。これにより第3トレイ収納部13等において試験終了後の次ぎの部品をトレイTrに収納できるようになる。
【0088】
以上説明したように、この試験装置1では、試験終了後の部品をP&Pロボット20により搬送してトレイTrに収納するに際し、まずヘッド23に吸着された部品の吸着状態を画像認識し、その結果に応じて各部品に吸着誤差(ずれ)がある場合にはその誤差を補正してから部品をトレイTrに収納するので、トレイTrに区画形成された部品収納用凹部内の所定の位置に正確に部品を収納することができる。そのため、例えばトレイTrをそのまま表面実装機に搬入して使用する場合でも、表面実装機において良好に部品の取出しを行うことが可能となる。
【0089】
特に、上記の通り部品の画像認識に基づいて吸着誤差をソフト的に補正するので、部品の種類による制限を受けることが一切なく、そのため、吸着誤差を良好に補正する一方で、部品に対する汎用性も高めることができる。
【0090】
また、吸着誤差の補正に際して装置構成部分の交換を一切伴わないため、試験を効率良く、かつ適切に行う上で有利であるという効果もある。すなわち、P&Pロボットのノズル部材にチャック式の位置決め機構を組み込んで機械的に吸着誤差の補正を行うように構成し、部品の種類に応じてノズル部材を交換することも考えられる。しかし、この場合には、ノズル交換に際して一時的に試験を中断する必要があり効率が悪く、また、ノズル部材の脱着に伴い機械的な誤差が生じてトレイ収納時の部品の位置決め精度が低下する虞れがある。これに対して上記実施形態の試験装置1によれば、装置構成部分の交換を一切伴わないため、そのような交換に時間が割かれることがなく、また、構成部分の交換に伴い機械的誤差が生じる虞れもない。従って、トレイTrへの部品の収納を含む試験装置1の一連の試験動作を効率良く、かつ適切に行う上で有利である。
【0091】
ところで、以上説明した試験装置1は、本発明に係る部品試験装置の一の実施形態であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することもできる。
【0092】
▲1▼ 部品認識カメラ34,64A,64Bや部品認識カメラ34は、エリアセンサに限らずリニアセンサであっても構わない。リニアセンサによれば部品を移動させながら画像を取り込むことができるため、部品を一旦停止させて撮像する必要があるエリアセンサに比べて部品を効率よく撮像することが可能になるというメリットがある。
【0093】
▲2▼ 試験装置1では、不合格品(Fail)についてもトレイTrに正しく収納する必要があるため、全ての部品についき画像認識に基づく吸着誤差の演算を行っているが、例えば、テストヘッド4の試験で不合格となった部品については画像認識を行わずに収納ボックス等に一括して収納する一方、テストヘッド4での試験に合格した部品については、部品の画像認識に基づいてまず外観良否判別を行い、これに合格した部品のみ吸着誤差を演算し、外観不良を伴う部品は前記収納ボックス等に収納するするようにしてもよい。
【0094】
▲3▼ 試験装置1では、共通の部品認識カメラ34による部品の画像認識に基づいて吸着誤差の演算と外観良否判別とを行うようにしているが、例えば、要求される精度に応じて例えば解像度の異なる2つの部品認識カメラを設け、吸着誤差の演算及び外観良否判別を夫々異なるカメラで撮像した画像に基づいて行うようにしてもよい。
【0095】
▲4▼ また、P&Pロボット20により新たな部品をトレイTrから両シャトルロボット30A,30Bへ搬送する際に部品認識カメラ34により該部品を撮像し、その撮像データに基づいて判別手段79により部品の外観良否判定を行うようにしてもよい。この際、外観不良が発見された場合には、例えばヘッド23を第5トレイ収納部15上に移動させて該不良部品をトレイTrに収納した後、再度第2トレイ収納部12又は第4トレイ収納部14にヘッド23を移動させて新たな部品を吸着するようにすればよい。このようにすれば、テストヘッド4での試験前に外観不良を伴う部品を選別することができるため試験効率を向上させることができる。なお、この場合、部品の外観良否判定のみならず、前記部品認識カメラ34による撮像データを用いてヘッド23に吸着された部品の吸着ずれを調べ、両シャトルロボット30A,30Bのテーブル32への部品の受渡しに際して部品の位置補正を行うようにしてもよい。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の部品搬送装置は、部品載置部に置かれた試験終了後の部品をヘッドにより保持して所定の収納スペースに収納するとともに、この収納動作において、各部品の保持状態を画像認識して保持状態の誤差(ずれ)を補正すべく各保持手段を作動制御するように構成しているので、装置構成部分の交換等を伴うことなく全ての部品についてその吸着状態を良好に補正しながら部品を収納することができる。従って、所定の収納スペース内に適切に部品を収納することができ、かつ構成部分の交換等を伴うことなく部品の種類に対する汎用性を高めることができる。また、部品の画像認識の際に併せて部品の外観良否判別を行い、外観不良を伴う部品の選別を併せて行うので、機能性を高めることができる。
【0097】
なお、部品の画像認識の際に併せて部品の外観良否判別を行い得るように構成すれば、外観不良を伴う部品の選別を併せて行うことが可能となり、その結果、部品収納装置の機能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る部品搬送装置が組込まれる部品試験装置を示す斜視概略図である。
【図2】 部品試験装置を示す平面図である。
【図3】 トレイ収納領域のトレイ収納部の構成を示す断面図である。
【図4】 トレイ収納部の構成を示す図3のA−A断面図である。
【図5】 シャトルロボットのテーブルの構成を示す平面略図である。
【図6】 シャトルロボットの部品受渡し位置におけるテーブルの位置を示す図2のB矢指図である((a),(c)はテーブルが第1ポジションに配置された状態、(b),(d)はテーブルが第2ポジションに配置された状態を示す)。
【図7】 テストロボットの具体的な構成を示す平面図である。
【図8】 テストロボットの具体的な構成を示す図7のC−C断面図である。
【図9】 テストロボットの具体的な構成を示す図8のD−D断面図である。
【図10】 テスト領域の構成を示す模式図である。
【図11】 部品試験装置の制御系を示すブロック図である。
【図12】 制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図13】 図11に示す制御系の制御に基づく部品試験装置の動作を示すタイミングチャートである。
Claims (4)
- 基台上にテストヘッドと部品の収納スペースとが配備された部品試験装置に組込まれて部品を搬送する装置において、
前記テストヘッドと前記収納スペースとの配列方向と直交する方向に互いに離間して設けられかつそれぞれ部品が載置されることが可能な2つの部品載置部と、
これら部品載置部と前記収納スペースとの間を移動可能な部品保持用のヘッドと、
前記各部品載置部の間の位置に配置され、前記ヘッドに保持されている部品を撮像可能な撮像手段と、
この撮像手段による撮像結果に基づいて前記ヘッドに保持されている部品の外観の良否を判別する判別手段と、
前記撮像手段による撮像結果に基づいて前記ヘッドに保持されている部品の保持状態の誤差を求める誤差演算手段と、
前記ヘッドを制御し、前記部品載置部に置かれた試験終了後の部品を保持した後、この部品を撮像すべく、前記ヘッドを撮像手段の被撮像位置を経由させてから前記収納スペースに収納する収納動作を実行するとともに、当該収納動作を前記各部品載置部に対して交互に実行する制御手段とを備えており、
この制御手段は、前記判別手段により部品が外観上良品と判別された場合に前記誤差演算手段に前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記収納スペースに部品を収納すべく前記ヘッドの動作を制御する一方、前記判別手段により部品が外観上不良品と判別された場合には、前記誤差演算手段に誤差の演算を行わせることなく、不良品専用の前記収納スペースに部品を収納することを特徴とする部品搬送装置。 - 請求項1に記載の部品搬送装置において、
前記ヘッドは部品を保持することが可能な複数のノズル部材を有するものであり、
前記制御手段は、前記ヘッドの各ノズル部材に保持された部品のうち外観上良品の部品については、前記誤差演算手段による前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記収納スペースに部品を収納する一方、前記ヘッドの各ノズル部材に保持された部品のうち外観上不良品の部品については、前記誤差演算手段に誤差の演算を行わせることなく、不良品専用の前記収納スペースに部品を収納することを特徴とする部品搬送装置。 - 請求項1又は2に記載の部品搬送装置において、
前記制御手段は、前記ヘッドを制御し、前記収納スペースに収納されている試験前の部品を保持した後、この部品を撮像すべく、前記ヘッドを撮像手段の被撮像位置を経由させてから前記部品載置部に移載するものであり、
この制御手段は、前記判別手段により試験前の部品が外観上良品と判別された場合には、前記ヘッドに保持されている試験前の部品を前記部品載置部に載置する一方、外観上不良品と判別された場合には、前記ヘッドに保持されている試験前の部品を不良品専用の前記収納スペースに収納すべく前記ヘッドを制御することを特徴とする部品搬送装置。 - 請求項3に記載の部品搬送装置において、
前記制御手段は、前記判別手段により試験前の部品が外観上良品と判別された場合には、前記誤差演算手段に前記誤差の演算を行わせ、この誤差がある場合に該誤差を補正してから前記部品載置部に試験前の部品を載置すべく前記ヘッドの動作を制御することを特徴とする部品搬送装置。
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