JP4588339B2 - 送受光装置および該送受光装置を備えた自動監視装置 - Google Patents

送受光装置および該送受光装置を備えた自動監視装置 Download PDF

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本発明は、所定の空間内を走査する走査光を、筐体に設けられた窓面を透過させて射出するとともに、上記空間内からの戻り光を受光素子に導くように構成された送受光装置、およびこのような送受光装置を備えた自動監視装置に関するものである。
従来、監視対象となる空間内に侵入した物体等を特定するために、空間内を多次元的に走査するように走査光を照射し、上記物体からの戻り光の情報に基づき物体の位置や大きさを検出できるように構成された自動監視装置が知られている(下記特許文献1参照)。
この種の自動監視装置においては、光源部から一方向に射出されたレーザ光を、上記空間内を多次元的に走査するように反射させるスキャンミラーや、上記物体からの戻り光を受光する受光素子、あるいは上記戻り光を受光素子の受光面上に集光させるための集光レンズ等を有する送受光装置を備えている。
このような送受光装置の光学系は、「非同軸系」と称されるものと「同軸系」と称されるものとに分けられる。「非同軸系」では、光源部からスキャンミラーを経て空間内の物体に照射されるまでの送光路と、空間内の物体から反射されて受光素子に至るまでの受光路とが互いに異なるように構成されているのに対し、「同軸系」では、空間内の物体から送光路を逆進するようにスキャンミラーに戻る戻り光を、一旦スキャンミラーにより光源部に向けて反射させた後、光路上に配した有孔反射ミラー等の光路分離部材により送光路から分離して、受光素子に導くように構成されている(下記特許文献2参照)。
特開2000−149154号公報 特願2003−377446号明細書
上述したような送受光装置においては、塵埃や湿気等の侵入を防止するため気密性の高い構造とすることが好ましいとされている。一方、装置内部と外部空間との間で、走査光や物体からの戻り光の出入りは可能にする必要がある。このため一般には、走査光や戻り光は透過するが塵埃等は遮断し得るように構成された窓面を装置筐体に設け、この窓面を介して走査光を外部に射出するとともに、戻り光を装置内へ取り込むようにしている。
このような窓面を備えたものでは、走査光が窓面を透過する際に生じる反射光(以下、「窓面反射光」と称することがある)の一部が直接に、あるいは装置内の他の部材において反射された後に、ノイズ光として受光素子に入射する可能性がある。このようなノイズ光は受光素子におけるS/Nを低下させる要因となるため従来は、窓面反射光が受光素子に直接入射しないよう配慮するとともに、窓面に反射防止処理を施して窓面反射光の発生を抑制する対策が採られている。
しかし、窓面に反射防止処理を施した場合でも、窓面に入射した走査光の強度に対して10−3程度の強度の窓面反射光が生じることは避けられない。一方、例えば、走査光を照射する空間が市街の交差点のような場合、受光素子が検知しなければならない戻り光の強度は、照射される走査光の強度の10−8程度まで減衰されている。したがって、窓面に反射防止処理を施した場合でも、装置内で複数回反射された後の窓面反射光の強度が、信号光としての戻り光の強度を大きく上回ることがあり、このような光が受光素子に入射した場合でも物体の位置検出等に多大な悪影響を及ぼす虞があることが分かってきた。
このように送受光装置においては、窓面に反射防止処理を施したり、窓面反射光が受光素子に直接入射しないようにしたりするだけでは十分ではなく、上述したような装置内で複数回反射された後の窓面反射光についても、その強度を光検知に支障の無いレベルに減衰させたり、これらが受光素子に入射しないような対策を採る必要がある。しかし、従来の送受光装置においては、スキャンミラーから窓面に入射する走査光が様々な方向に反射されるため、このような窓面反射光の全てに対して、その強度を光検知に支障の無いレベルに減衰させたり、これらが装置内で何回か反射された後に受光素子に入射することを完全に防止したりするのは極めて困難である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、窓面で生じる走査光の反射光が、光検知に支障を及ぼすような強度で受光素子に入射することを防止することが可能な送受光装置および自動監視装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の送受光装置および自動監視装置では、走査光が射出される窓面の形状に配慮し、走査光の窓面での反射光が装置筐体内の不要光除去エリアに集光するように窓面を構成する。
すなわち、本発明に係る送受光装置は、所定の空間内を多次元的に走査するための走査光が射出される窓面を備えた筐体内に、光源部とスキャンミラーと受光素子とが配置されており、前記光源部から一方向に射出された出力光を前記スキャンミラーにより反射し、前記走査光となして前記窓面を透過させ前記空間に向け射出するとともに、前記空間内の物体から反射され前記窓面より前記筐体内に入射する戻り光を、前記受光素子に導くように構成された送受光装置において、
前記窓面は、前記空間内を多次元的に走査するため前記スキャンミラーから空間に向かう前記走査光が該窓面にて反射することにより生じる窓面反射光を、該走査光の射出方向に関わらず前記筐体内に設定された不要光除去エリアに集光させる非平面形状に構成され
前記窓面反射光が、前記受光素子による前記戻り光の光検知に支障を及ぼすような強度を維持したまま該受光素子に入射することを防止することを特徴とするものである。
上記「非平面形状」とは、単一の平面で構成されていない形状を意味する。このような「非平面形状」の例としては、放物面,双曲面,楕円面(球面を含む),放物柱面,双曲柱面,楕円柱面(円柱面を含む)等の2次曲面や、3次曲面などのより高次な曲面または複数の曲面を組み合わせて構成される形状、あるいは多面体のように複数の平面が組み合わされてなる形状や、平面と曲面とが組み合わされてなる形状を挙げることができる。
また、上記「不要光除去エリア」とは、スキャンミラーにより様々な方向に向けられ、窓面の様々な位置に入射する走査光の窓面での反射光が集まる、点状や線状あるいは一定の広がりを有する領域を意味し、その形状や大きさは特に限定されない。
前記不要光除去エリアには、入射された窓面反射光を減衰させる減光部材やこれを他の位置に導く導光部材を設置することができる。この場合の減光部材としては、入射された窓面反射光の反射を防止する反射防止部材、例えば、艶消しの黒アルマイト処理が施された部材や、反射防止用に形成された植毛紙、入射された光を内部において複数回反射させながら減衰させるホーン部材等を用いることができる。
一方、導光部材としては、入射された窓面反射光を受光素子の方向とは異なる他の方向に指向性を持たせて反射する、反射ミラーや反射回折格子等の反射部材や、入射された窓面反射光を透過する、光学プリズムや透過回折格子等の透光部材を用いることができる。また、光ファイバ等の光導波管や、スキャンミラーの動きに同期して作動する反射ミラーを導光部材として用いて、入射された窓面反射光を他の位置に導くようにしてもよい。なお、導光部材が導く他の位置としては、筐体内において上述のような減光部材が設置された位置や、筐体外の位置をあげることができる。
また、本発明に係る自動監視装置は、上記特徴を有する本発明の送受光装置を備えてなることを特徴とするものである。
本発明に係る送受光装置および自動監視装置によれば、窓面で生じる走査光の反射光を不要光除去エリアに集光させることができる。このため従来技術のように、窓面に入射する走査光が様々な方向に反射される場合には防止することが極めて困難であった現象、すなわち、窓面で生じる走査光の反射光が受光素子による光検知に支障を及ぼすような強度を維持したまま受光素子に入射するという現象を防止することが可能となる。
また、これにより、受光素子のS/Nを向上させることができるので、空間からの戻り光の強度が極めて微弱な場合でも、空間内の物体の位置等を良好に検出することが可能となる。
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明に係る送受光装置を搭載した自動監視装置を取り上げる。また、各添付図においては、説明を分かりやすくするために、構成部品間の距離や個々の大きさ等を適宜変更して示してある。
〈自動監視装置の概要〉
まず、本発明の一実施形態に係る自動監視装置の概要について、図1に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る送受光装置を備えてなる自動監視装置の構成図である。
図1に示す自動監視装置1は、所定の空間(例えば、市街の交差点)R内に車両等の物体Mが存在するか否かを監視するためのものであり、空間R内を多次元的に走査するための走査光が射出される窓面5を備えた筐体3内に、送受光装置10およびコントロール部20を備えてなる。
上記送受光装置10は、ガルバノミラー等(半導体共振ミラー:例えば日本信号株式会社製のECO SCAN(登録商標))で構成されるスキャンミラー11と、有孔反射ミラー13からなる光路分離部材と、集光レンズ15とを備えており、半導体レーザ装置等からなる光源部7から一方向に射出された出力光Bを、有孔反射ミラー13の孔部13a内を通過してスキャンミラー11に照射するようになっている。
スキャンミラー11は、照射された出力光Bを所定の走査範囲内において様々な方向に反射し、上記走査光となして窓面5を透過させ空間Rに向けスキャン照射するとともに、空間R内の物体Mから反射され窓面5より筐体3内に入射する戻り光Bを、上記出力光Bの射出光路を逆進するように反射させるように構成されている。
スキャンミラー11で反射され、出力光Bの射出光路を逆進する戻り光Bは、出力光Bよりも光束径が大きくなっており、有孔反射ミラー13の上記孔部13aの周囲に設けられた反射面13bにおいて出力光Bの送光路から外れる方向に反射され、さらに、集光レンズ15により集光されて受光素子9に受光されるようになっている。
このように本実施形態の送受光装置10は、光源部3からスキャンミラー11を経て空間R内の物体Mに照射されるまでの送光路と、空間R内の物体Mから反射されて受光素子9に至るまでの受光路とが途中まで重複する「同軸系」のタイプである。なお、光路分離部材については、前掲の特許文献2に詳しく開示されており、そこに開示された種々の光路分離部材を上記有孔反射ミラー13として、あるいはこれに替わるものとして用いることが可能である。
一方、上記コントロール部20は、光源部3からの出力光Bを光パルスとするためのパルス発生回路21、受光素子9から出力された信号を増幅するための増幅器22、スキャンミラー11の傾動角の制御を行なうスキャンミラー制御部23、およびパルス発生回路21からの信号と増幅器22からの信号に基づき、光源部3からの出力光Bの出力タイミングと、それが物体Mに反射されて受光素子9に受光されたタイミングとの時間差を検出する時間差検出部24を備えている。そして、時間差検出部24で検出された時間差情報に基づき、距離検出部25において物体Mまでの距離を算出するとともに、スキャンミラー制御部23からの信号に基づき、方向検出部26において物体Mの方向を検出し、これらの検出された距離情報および方向情報に基づき、物体Mの距離画像(距離、方向、大きさを示す画像)を距離画像生成部27において生成し、さらに、生成された物体Mの距離画像に基づき、物体Mが対象とする物体であるか否か等を物体識別部28において識別するように構成されている。
〈窓面の構成〉
本実施形態の特徴は、図1に示すようにスキャンミラー11から空間Rに向かう走査光の一部が窓面5にて反射することにより生じる窓面反射光Bを、筐体3内に設定された不要光除去エリア17に集光させるように構成されている点にある。なお、不要光除去エリア17には植毛紙等で構成された減光部材19が配置されており、不要光除去エリア17に集光せしめられた窓面反射光Bは、減光部材19により減衰されるようになっている。
以下、この特徴点について、図2を参照しながらより詳細に説明する。図2は、窓面反射光Bを集光する窓面5の作用を示す図で、同図(a)は減光部材19の面に垂直な方向から窓面5を見た図、同図(b)は同図(a)におけるA方向矢視図である。なお、図2においては、スキャンミラー11から窓面5に入射する走査光のうち、窓面5にて反射される窓面反射光Bのみを図示し、窓面5を透過する走査光は図示していない。
図2に示すように窓面5は、点Cを中心とする球面の一部(球冠)を構成する形状とされており、その内面には走査光の反射を抑制する膜処理が施されている。このような反射抑制の膜処理を施しても、微弱な(入射する走査光の10−3程度の強度レベルの)窓面反射光Bが発生する。スキャンミラー11により走査光は、走査範囲内の様々な方向に向けられるため、窓面反射光Bは窓面5の様々な位置において発生する。このような、窓面5の様々な位置において発生する窓面反射光Bを不要光除去エリア17に集光するため本実施形態では、窓面5,スキャンミラー11および不要光除去エリア17を次のように配置している。
すなわち、スキャンミラー11は、その傾動中心が窓面5の中心点Cに対して上記出力光Bの入射方向に少しずれた位置にくるように配置され、不要光除去エリア17は上記中心点Cを挟んでスキャンミラー11の略反対側に配置されている。これにより、走査光の射出方向すなわち窓面5への入射位置に関わらず、窓面5にて発生する窓面反射光Bは不要光除去エリア17に集光する。上述したように不要光除去エリア17には、植毛紙等の減光部材19が配置されており、不要光除去エリア17に集光せしめられた窓面反射光Bは減光部材19に入射して減衰されるようになっている。
このように本実施形態では、窓面5の様々な位置において発生する窓面反射光Bは、窓面5の球面形状により不要光除去エリア17に集光せしめられた後、減光部材19により減衰される。このため窓面反射光Bが、受光素子9による光検知に支障を及ぼすような強度を維持したまま受光素子9に入射することを防止することが可能となり、これにより受光素子9のS/Nを向上させることができるので、空間Rからの戻り光Bの強度が極めて微弱な場合でも、空間R内の物体Mの位置等を良好に検出することが可能となる。
なお、図2に示すように、本実施形態では窓面5が球面とされているため、窓面5に平行光束として入射する走査光による窓面反射光Bは、上記球面の半径の略1/2の距離だけ窓面5から離れた位置で一旦収束した後に拡散する。上記減光部材19は窓面反射光Bが拡散光束となる位置に設置されており、窓面反射光Bは、その光束面密度が収束点に比較して低下した状態で減光部材19に入射するようになっている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては窓面5が球面形状とされているが、本発明において窓面は、球面以外にも、窓面反射光を不要光除去エリアに集光させ得る任意の非平面形状とすることができる。また、空間側から装置内部を視認できないようにするため、窓面を可視光に対して不透明とすることも可能である。
また、上記実施形態においては、不要光除去エリア17に減光部材19が設置されているが、本発明において不要光除去エリアには、入射された窓面反射光を減衰させる減光部材に替えて、入射された窓面反射光を他の位置に導く導光部材を設置することができる。例えば、不要光除去エリアとは別に、筐体内に植毛紙等の減光部材が配置された減光エリアを設定しておき、不要光除去エリアには反射ミラーを配置しておく。そして、不要光除去エリアに入射された窓面反射光を、反射ミラーにより減光エリアに反射するようにしてもよい。あるいは、不要光除去エリアに光導波管の入射端面を配置しておき、不要光除去エリアに入射された窓面反射光を、光導波管により筐体外に導くようにしてもよい。
また、上記実施形態の送受光装置10は、空間R内の物体Mからの戻り光Bを、スキャンミラー11により出力光Bの射出光路を逆進するように反射させた後、光路分離部材により射出光路から分離して受光素子9に向けて出力するように構成されている「同軸系」のタイプであるが、本発明は、光源部からスキャンミラーを経て空間内の物体に照射されるまでの送光路と、空間内の物体から反射されて受光素子に至るまでの受光路とが互いに異なるように構成されている「非同軸系」の送受光装置に対しても適用することが可能である。
また、上記実施形態は、本発明の送受光装置を自動監視装置に搭載したものであるが、本発明の送受光装置は、このような自動監視装置に限らず、種々の装置において用いられる送受光装置に対して適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る送受光装置を備えた自動監視装置の構成図 図1に示す窓面の集光作用を示す図
符号の説明
1 自動監視装置
3 筐体
5 窓面
7 光源部
9 受光素子
10 送受光装置
11 スキャンミラー
13 有孔反射ミラー
13a 孔部
13b 反射面
15 集光レンズ
17 不要光除去エリア
19 減光部材
20 コントロール部
21 パルス発生回路
22 増幅器
23 スキャンミラー制御部
24 時間差検出部
25 距離検出部
26 方向検出部
27 距離画像生成部
28 物体識別部
R 空間
M 物体
出力光
戻り光
窓面反射光
C 中心点

Claims (5)

  1. 所定の空間内を多次元的に走査するための走査光が射出される窓面を備えた筐体内に、光源部とスキャンミラーと受光素子とが配置されており、前記光源部から一方向に射出された出力光を前記スキャンミラーにより反射し、前記走査光となして前記窓面を透過させ前記空間に向け射出するとともに、前記空間内の物体から反射され前記窓面より前記筐体内に入射する戻り光を、前記受光素子に導くように構成された送受光装置において、
    前記窓面は、前記空間内を多次元的に走査するため前記スキャンミラーから空間に向かう前記走査光が該窓面にて反射することにより生じる窓面反射光を、該走査光の射出方向に関わらず前記筐体内に設定された不要光除去エリアに集光させる非平面形状に構成され
    前記窓面反射光が、前記受光素子による前記戻り光の光検知に支障を及ぼすような強度を維持したまま該受光素子に入射することを防止することを特徴とする送受光装置。
  2. 前記不要光除去エリアには、入射された前記窓面反射光を減衰させる減光部材が設置されていることを特徴とする請求項1記載の送受光装置。
  3. 前記不要光除去エリアには、入射された前記窓面反射光を他の位置に導く導光部材が設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の送受光装置。
  4. 前記戻り光を、前記スキャンミラーにより前記出力光の射出光路を逆進するように反射させた後、光路分離部材により前記射出光路から分離して前記受光素子に向けて出力するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の送受光装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項記載の送受光装置を備えてなることを特徴とする自動監視装置。
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