JP4586244B2 - 換気ダンパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事業用ビル、事務所ビル、集合住宅、戸建住宅、倉庫等の室内と室外との通気のために、これらの壁等に取り付けて通気の程度を制御する換気ダンパに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
通常、この種の換気ダンパでは、通路を規定するフレーム内にフィンが回動自在に配され、フィンの回動により通路の開度を決定して、通路を介する通気の程度を制御するようにしている。
【0003】
斯かる換気ダンパにおいて、通路開放状態で室外において一定以上の風速の風が吹く等して室内外に大きな気圧差が生じると、通路を介して室内に対して必要以上に空気が導出入されて、室内に不快な空気流が生じると共に、室外の塵埃を室内に持ち込み、更には、室内を所定に温度設定した状態が大きく乱されて、これを補正するために空調消費電力の増大を招来する等の好ましくない事態が生じ得る。
【0004】
このために、一定以上の風速の場合には、自然に通路閉塞を行い得るような換気ダンパが好ましいのであるが、逆に、風速が低下した場合には、自然と通路開放を確実に行い得るようになっていることもこの種の換気ダンパには要求され、この要求のために通路開閉を行うフィンを常時通路開放方向に付勢するようにした換気ダンパが提案されている。
【0005】
斯かる換気ダンパは、一応上記の要求に対しては満足し得る特性を有するのであるが、このダンパにおいては、フィンを回動自在に支持する部位の回動抵抗が大きい場合には、その大きさに対応して、フィンを常時通路開放方向に付勢するための付勢力を大きくし、これにより、風速が低下した場合には確実に通路開放が行われるようにする必要があるが、しかしながら、斯かる付勢力を大きくすると、強風時のみしか通路閉塞が生じなくなり、所望の風速で自然に通路閉塞を行い得るという本来の機能が殺がれてしまうことになる。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、室内外に大きな気圧差が生じて通路に一定以上の流速の空気流が生じる際には、この空気流を利用して自然に通路閉塞を行い得、而して、室内に不快な空気流が生じないようにできると共に室外の塵埃の室内への持ち込みをなくし得、しかも、空調消費電力の低減を図り得ると共に、安定した通路開閉を行い得、その上、風速が低下した場合には確実に通路開放を行い得る上に、フィンを常時通路開放方向に付勢するための付勢力を小さくでき、而して、所望の風速で自然に通路閉塞を確実に行い得る換気ダンパを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の換気ダンパは、入口孔及び出口孔を有する通路を内部に有したフレームと、回動により通路を開閉するようにフレーム内に回動自在に配されたフィンとを具備していると共に、フィンが通路開放位置に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動を許容するようになっており、ここで、フレームは、上部壁部と、この上部壁部に対して下方に対向して配された下部壁部と、互いに軸方向において対向する一対の側壁部とを一体的に具備しており、入口孔及び出口孔を有する通路は、上部壁部、下部壁部及び側壁部に囲まれて形成されており、フィンは、軸部と、軸部から径方向に互いに反対側に一体的に伸びて形成された一対のフィン本体部と、このフィン本体部の端面に一体的に固着された一対の鍔体とを具備していると共に、通路開放位置に向かって常時回動付勢されており、フィン本体部は、通路を通過する空気流により通路閉塞位置に向かう方向の回転モーメントを発生する先端部を有しており、各鍔体は、対応の側壁部に形成された円孔に配されていると共に、当該円孔に配された転がり軸受を介して対応の側壁部に回転自在に支持されている。
【0008】
第一の態様の換気ダンパによれば、通路を通過する空気流により通路閉塞位置に向かう方向の回転モーメントを発生する先端部をフィン本体部が有しているために、室内外に大きな気圧差が生じて通路に一定以上の流速の空気流、例えば3m/sec以上の空気流が生じる際に、この空気流を利用して自然に通路閉塞を行い得、而して、強風等により通路を介して室内に対して必要以上に空気が導出入されて、室内に不快な空気流が生じることをなくし得ると共に、室外の塵埃を室内に持ち込むようなことをなくし得、しかも、室内の空調状態が大きく乱されることがなく、空調消費電力の低減を図り得、加えて、フィン本体部の端面に固着された各鍔体が、円孔に配された転がり軸受を介して対応の側壁部に回転自在に支持されているために、フィンの回動抵抗が極めて小さくなり、したがって、風速が低下した場合には確実に通路開放を行い得る上に、フィンを常時通路開放方向に付勢するための付勢力を小さくでき、而して、所望の風速で自然に通路閉塞を確実に行い得る。
【0009】
本発明の換気ダンパにおいて、好ましくは、第二の態様の換気ダンパのように、各鍔体の外周面には転がり軸受の内輪が軸方向に相対的に可動に嵌装されており、各鍔体の外周面と対応の転がり軸受の内輪との間にはOリングが介在しており、第三の態様の換気ダンパのように、転がり軸受の外輪は、対応の円孔において側壁部に密に固着されている。
【0010】
第二の態様の換気ダンパのように、鍔体が転がり軸受に対して軸方向に相対的に可動であると、フィンの軸部及びフィン本体部の熱膨張による伸縮を吸収でき、しかも、鍔体と転がり軸受との間にOリングが介在していると、鍔体と軸受との間の隙間からの空気の流出入を防ぎ得る。
【0011】
上記の第一から第三の態様のいずれかの態様の換気ダンパにおいて、好ましくは本発明の第四の態様のように、一方のフィン本体部は、他方のフィン本体部よりも重く、フィンは、この一対のフィン本体部の重量の差違により通路開放位置に向かって回動されるように常時付勢されている。
【0012】
第四の態様の換気ダンパのように一対のフィン本体部の重量の差違を得るために、一対のフィン本体部を軸部に対して軸対称に形成すると共に、一方のフィン本体部を中実にして、他方のフィン本体部に空洞を設けるか、一方のフィン本体部に重りを付加するかし、更には、一対のフィン本体部が軸部に対して非対称になるように、一方のフィン本体部を他方のフィン本体部よりも長く形成してもよい。
【0013】
本発明では、上記のようにフィンを通路開放位置に向かって回動させるようにフィン本体部の重量の差違により常時付勢する代わりに又はこれと共に第五の態様の換気ダンパのように、通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動に抗する弾性手段を更に具備せしめて、フィンを通路開放位置に向かって回動させるように弾性手段により常時付勢するようにしてもよい。
【0014】
本発明の換気ダンパにおいては、好ましくは、第六の態様のように、先端部及びその近傍でのフィン本体部の一方の面は、凸面となるように湾曲しており、その他方の面は、凹面となるように湾曲している。
【0015】
本発明の第七の態様の換気ダンパでは、前記のいずれかの態様の換気ダンパにおいて、各側壁部には一対の側部閉塞部材が固着されており、各鍔体は、小径鍔部と、大径鍔部とを一体に有しており、各側部閉塞部材は、鍔体の小径鍔部の外周面に常時接触する円弧面を有していると共に、フィンが通路閉塞位置に回動された際に、フィン本体部の夫々の軸方向の縁部に接触する平面及び当該平面に連接した湾曲面を有しており、各鍔体の大径鍔部は、対応の側壁部に形成された円孔に配されていると共に、当該円孔に配された転がり軸受を介して対応の側壁部に回転自在に支持されている。
【0016】
本発明の換気ダンパは、その第八の態様のように、フィンによる通路開閉を行わせるべくフィンを回動させる回動手段を更に具備しており、ここで、回動手段は、回動力発生手段と、この回動力発生手段により発生された回動力をフィンに伝達する伝達手段とを具備しており、伝達手段は、フィンが通路開放位置に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動を許容するようになっている。
【0017】
第八の態様の換気ダンパにおける伝達手段を、本発明の第九の態様の換気ダンパのように、鍔体に一端が取付けられた連結部材と、この連結部材の他端がフィンの回動方向に関して遊びをもって係合した円弧スリットを有していると共に回動力発生手段に連結された回転自在部材とを有して構成しても、斯かる構成と共に又は斯かる構成に代えて、本発明の第十の態様の換気ダンパのように、回動力発生手段に連結された回転自在部材と、鍔体に設けられた円弧スリットと、一端が回転自在部材に固着され、他端がフィンの回動方向に関して遊びをもって円弧スリットに係合した連結部材とを具備して構成してもよい。
【0018】
本発明の換気ダンパにおける転がり軸受としては、玉軸受、ローラ軸受、ニードル軸受のいずれでもよく、要は、滑り軸受に対してフィンの回動抵抗を十分に小さくできる転がり軸受であればよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこの例に何等限定されないのである。
【0020】
図1から図7において、本例の換気ダンパ1は、入口孔2及び出口孔3を有する通路4を内部に有したフレーム5と、R1及びR2方向の回動により通路4を開閉するようにフレーム5内に回動自在に配されたフィン6と、フィン6による通路4の開閉を行わせるべくフィン6をR2方向に強制的に回動させる回動手段7と、通路閉塞位置に向かうフィン6のR2方向の自由回動に抗する弾性手段20とを具備しており、後述するように、フィン6が通路開放位置(図2に示す位置)に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィン6のR2方向の自由回動を許容するようになっている。
【0021】
フレーム5は、上部壁部31、上部壁部31に対して下方に対向して配された下部壁部32並びに互いに軸方向において対向する側壁部33及び34を一体的に具備しており、これら上部壁部31、下部壁部32並びに側壁部33及び34に囲まれて形成された入口孔2及び出口孔3を含む通路4が室外部35及び室内部36の夫々に、雨水侵入防止兼防鳥板37及び防塵網38の夫々を介して開口している。
【0022】
複数の庇及び開口を有した雨水侵入防止兼防鳥板37は、フレーム5が取付けられる横サッシ39及び40間に配されており、防塵網38は、フレーム5に取付けられている。
【0023】
フィン6は、中空の軸部41と、軸部41から径方向に且つ本例では軸対称に一体的に伸びて形成された一対のフィン本体部42及び43と、軸部41及びフィン本体部42及び43の夫々の対応の端面に密に接触して一体的に固着された一対の円板状の鍔体8及び9とを具備しており、フィン本体部42及び43の夫々は、その先端部16及び17並びにその近傍で湾曲している。
【0024】
先端部16及びその近傍でのフィン本体部42の一方の面101は、後述の湾曲面83に向かって凸となるように、すなわち凸面となるように湾曲しており、その他方の面102は、面101に相補的な凹面となるように湾曲しており、同じく、先端部17及びその近傍でのフィン本体部43の一方の面103は、後述の湾曲面84に向かって凸となるように、すなわち凸面となるように湾曲しており、その他方の面104は、面103に相補的な凹面となるように湾曲している。斯かる先端部16及び17並びにその近傍でのフィン本体部42及び43の湾曲形状は、フィン6による通路4の開放状態(図2に示す位置)で通路4に空気流Aが生じる際に、フィン本体部42には湾曲面83に向かう揚力を、フィン本体部43には湾曲面84に向かう揚力を夫々生じさせ、この揚力に基づく回転モーメントでフィン6を通路閉塞位置に向かわせるように回動させることになる。
【0025】
鍔体8は、小径鍔部44と、小径鍔部44よりも大径の大径鍔部53とを一体に有しており、鍔体9も、小径鍔部45と、小径鍔部45よりも大径の大径鍔部54とを一体に有している。大径鍔部53には、これから一体的に軸方向に伸びた筒部46が形成されており、大径鍔部54には回転自在軸52の一端が固着されている。
【0026】
鍔体8の大径鍔部53は、側壁部33に形成された円孔85に配されていると共に、当該円孔85に配された転がり軸受86を介して側壁部33に回転自在に支持されており、鍔体9の大径鍔部54も、側壁部34に形成された円孔87に配されていると共に、当該円孔87に配された転がり軸受88を介して側壁部34に回転自在に支持されており、大径鍔部53及び54の夫々の外周面には、転がり軸受86及び88の内輪89及び90の夫々が軸方向に相対的に可動に嵌装されており、大径鍔部53及び54の夫々の外周面と内輪89及び90との間には、シール用のOリング71及び73の夫々が介在しており、Oリング71及び73の夫々は、大径鍔部53及び54の夫々の外周面に形成された夫々の溝に嵌装されており、転がり軸受86及び88の夫々の外輪91及び92は、円孔85及び87の夫々において側壁部33及び34の夫々に密に固着されている。
【0027】
本例では上記のように、鍔体8及び9の夫々を、小径鍔部44及び45の夫々と大径鍔部53及び54の夫々とを有して構成し、大径鍔部53及び54の夫々を、転がり軸受86及び88の夫々を介して側壁部33及び34の夫々に回転自在に支持したが、鍔体8及び9の夫々を、小径鍔部44及び45の夫々及び大径鍔部53及び54の夫々の一方のみで構成してもよい。
【0028】
フレーム5は、上部壁部31並びに側壁部33及び34に加えて、小径鍔部44及び45の夫々の外周面10及び11に常時接触すると共に、回動手段7によりフィン6が通路閉塞位置(図1に示す位置)に回動された際に、フィン6の軸方向の両縁部12及び13に接触するように、軸方向において通路4側に突出して側壁部33及び34に取付けられたゴム等の弾性体からなる一対の側部閉塞部材14及び15と、一対の側部閉塞部材14及び15を橋絡して、回動手段7によりフィン6が通路閉塞位置に回動された際に、フィン6の先端部16及び17に接触するように、上部壁部31及び下部壁部32に夫々取付けられたゴム等の弾性体からなる先端部閉塞部材18及び19とを更に具備している。
【0029】
軸部41に関して対称に配されて側壁部33に固着された一対の側部閉塞部材14の夫々は、鍔体8の小径鍔部44の外周面10に常時接触する円弧面77及び78を有していると共に、フィン6が通路閉塞位置に回動された際に、フィン6の軸方向の縁部12であるフィン本体部42及び43の夫々の軸方向の縁部に接触する平面81及び82並びに当該平面81及び82に連接した湾曲面83及び84を有している。
【0030】
軸部41に関して対称に配されて側壁部34に固着された一対の側部閉塞部材15の夫々もまた、一対の側部閉塞部材14の夫々と同様に、鍔体9の小径鍔部45の外周面11に常時接触する円弧面(図示せず)を有していると共に、フィン6が通路閉塞位置に回動された際に、フィン6の軸方向の縁部13であるフィン本体部42及び43の夫々の軸方向の縁部に接触する平面(図示せず)並びに当該平面に連接した湾曲面(図示せず)を有している。
【0031】
先端部閉塞部材18は、上部壁部31側の側部閉塞部材14と15との間では、上部壁部31に嵌着されており、その両端部では、上部壁部31側の側部閉塞部材14及び15に夫々嵌着されており、先端部閉塞部材19は、下部壁部32側の側部閉塞部材14と15との間では、下部壁部32に嵌着されており、その両端部では、下部壁部32側の側部閉塞部材14及び15に嵌着されている。
【0032】
回動手段7は、回動力発生手段としての可逆電動モータ61と、可逆電動モータ61により発生された回動力をフィン6に伝達する伝達手段62とを具備している。可逆電動モータ61は、フレーム5に連接された基台63に取付けられており、伝達手段62は、基台63に取付けられて、可逆電動モータ61の出力回転軸の回転を減速する減速歯車機構64と、減速歯車機構64の出力軸に連結されており、基台63に軸受65を介して回転自在に支持された回転自在軸51と、回転自在軸51に固着された円盤状の回転自在部材47と、回転自在部材47に形成された一対の円弧スリット48及び49の夫々に、夫々の一端がフィン6の回動方向R1及びR2に関して遊びをもって係合し、夫々の他端が大径鍔部53に一体に取付けられた連結部材としての一対の円柱状のピン50及び55とを具備している。円弧スリット48及び49は、軸対称に回転自在部材47に形成されており、ピン50及び55もまた、軸対称に大径鍔部53に植設されている。
【0033】
回動手段7は、可逆電動モータ61の作動により減速歯車機構64、回転自在軸51を介して回転自在部材47をR1及びR2方向に回転させ、回転自在部材47の回転で、円弧スリット48及び49の夫々に、夫々の一端が係合する円柱状のピン50及び55を介して大径鍔部53を回転させて、これにより通路4を開閉するようにフィン6を回動させるようになっている。
【0034】
弾性手段20は、一端56が鍔体8の大径鍔部53に、他端57が連結金具58を介してフレーム5の側壁部33に連結されて、筒部46の周りに配された捩じりコイルばね59を具備しており、連結金具58は、一端がねじ60を介して側壁部33に固着されており、他端にコイルばね59の他端57が掛け止めされており、コイルばね59は、通路4の開放位置に向かってフィン6をR1方向に回動させるように、鍔体8の大径鍔部53を常時R1方向に弾性的に付勢している。而して、フィン6は、コイルばね59により通路4の開放位置に向かって回動されるように常時R1方向に付勢されている。
【0035】
大径鍔部54に固着されている回転自在軸52は、フレーム5に連接された基台75に軸受76を介して回転自在に支持されている。
【0036】
換気ダンパ1は、フィン6が通路4を閉塞した状態(図1、図6及び図7に示す位置)から通路4を開放した状態(図2、図8及び図9に示す位置)までの当該フィン6の位置を夫々検出する検出器(図示せず)を更に具備しており、可逆電動モータ61は、これら検出器からの検出信号に基づいて、その作動が制御されてフィン6による通路4の開度を所定の値にするようになっている。
【0037】
以上の換気ダンパ1では、図2、図8及び図9に示す通路4の全開位置で、可逆電動モータ61が作動されてその出力回転軸が正転されると、フィン6は、円弧スリット48及び49の夫々とピン50及び55の夫々との係合を介して、R2方向に回動されて、図1に示すようにその両縁部12及び13が側部閉塞部材14及び15に夫々接触し、その先端部16及び17が先端部閉塞部材18及び19に夫々接触して、通路4を閉塞する状態に配される。この状態では、通路4を介しての空気の流通はフィン6により阻止されることになる。
【0038】
図1、図6及び図7に示すフィン6の状態から、可逆電動モータ61が作動されてその出力回転軸が逆転されると、コイルばね59の弾性力に付勢されて、フィン6は回動されて、図2、図8及び図9に示す通路4を全開する状態に配される。この状態では、通路4を介して室外部35及び室内部36の空気は、流通されることになる。
【0039】
換気ダンパ1では、図2、図8及び図9に示すように、フィン6が通路開放位置に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィン6のR2方向の自由回動を許容するようになっていると共に、先端部16及び17並びにその近傍でフィン本体部42及び43が上述のように湾曲して、通路4での空気流AによりR2方向の回転モーメントがフィン6に生じるようになっているために、通路閉塞位置に向かうフィン6のR2方向の自由回動に抗するコイルばね59の弾性力を適宜設定することにより、室内外36及び35の大きな気圧差に基づいて室外35から室内36への又は室内36から室外35への一定以上の流速の空気流A、例えば3m/sec以上の空気流Aが通路4に生じる際には、通路閉塞位置に向かうR2方向にフィン6を自然に回動させて確実に通路4を閉塞でき、而して、室外35の強風等に起因する室内外36及び35の大きな気圧差により通路4を介して室内36に対して必要以上に空気が導出入されて、室内36に不快な空気流Aが生じることをなくし得ると共に、室外35の塵埃を室内36に持ち込むようなことをなくし得、しかも、空調電力低減を図り得る。
【0040】
更に、換気ダンパ1では、フィン本体部42及び43の端面に固着された鍔体8及び9の夫々が、円孔85及び87に配された転がり軸受86及び88を介して対応の側壁部33及び34にR1及びR2方向に回転自在に支持されているために、フィン6のR1及びR2方向の回動抵抗を極めて小さくでき、したがって、安定した通路開閉を行い得、その上、風速が低下した場合には確実に通路開放を行い得る上に、フィン6を通路開放位置に向かって常時R1方向に回動付勢させるコイルばね59による弾性力を十分に小さくできる結果、空気流による自然な通路閉塞を所望の空気流速で開始でき、設計の自由度を増大させることができる。
【0041】
コイルばね59を省く一方、フィン本体部42をフィン本体部43よりも重くなるようにして、フィン6がフィン本体部42及び43の重量の差違により通路開放位置に向かって回動されるように常時付勢されているようにする場合にも、転がり軸受86及び88によりフィン6のR1及びR2方向の回動抵抗が極めて小さくなる結果、上記と同様な効果を得ることができる。
【0042】
また、換気ダンパ1では、側部閉塞部材14及び15並びに先端部閉塞部材18及び19が弾性体からなるために、フィン6の両縁部12及び13と先端部16及び17とをこれらに弾性反力をもってぴったりと押し付けることができるために、より完全に通路4を閉塞することができる。加えて、換気ダンパ1の側部閉塞部材14及び15と対応の鍔体8及び9の外周面10及び11とが円弧面接触するために、側部閉塞部材14及び15と鍔体8及び9の外周面10及び11とを介する空気洩れを完全になくすことができる。
【0043】
その上、換気ダンパ1では、側部閉塞部材14及び15とフィン6との夫々が湾曲面を有して、この湾曲面同士で互いに接触するために、接触面積が広くなり、通路閉塞をより完全に達成でき、また、鍔体8及び9が転がり軸受86及び88に対して軸方向に相対的に可動であるために、フィン6の軸部41並びにフィン本体部42及び43の熱膨張による伸縮を吸収でき、しかも、鍔体8及び9と転がり軸受86及び88との間にはOリング71及び73が介在しているために、鍔体8及び9と転がり軸受86及び88との間の隙間からの空気の流出入を防ぎ得る。
【0044】
換気ダンパ1では、電動によりフィン6を回動させると共に、通路4を傾斜させ、そして入口孔2及び出口孔3を夫々水平方向に開口させたが、本発明はこれらに限定されず、例えば、手動でフィン6を回動させるようにし、また、通路4を水平に伸びるようにしてもよく、更に、出口孔3を垂直方向に開口させてもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、室内外に大きな気圧差が生じて通路に一定以上の流速の空気流が生じる際には、この空気流を利用して自然に通路閉塞を行い得、而して、室内に不快な空気流が生じないようにできると共に室外の塵埃の室内への持ち込みをなくし得、しかも、空調消費電力の低減を図り得ると共に、安定した通路開閉を行い得、その上、風速が低下した場合には確実に通路開放を行い得る上に、フィンを常時通路開放方向に付勢するための付勢力を小さくでき、而して、所望の風速で自然に通路閉塞を確実に行い得る換気ダンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の例の通路閉鎖状態の縦断面図である。
【図2】図1に示す例の通路開放状態の縦断面図である。
【図3】図1に示す例のフィンを省いた縦断面図である。
【図4】図1に示す例の室内部からの説明図である。
【図5】図1に示す例の室内部からの拡大説明図である。
【図6】フィンによる通路閉塞状態での図4に示すVI−VI線矢視断面図である。
【図7】フィンによる通路閉塞状態での図4に示すVII−VII線矢視断面図である。
【図8】フィンによる通路開放状態での図4に示すVI−VI線矢視断面図である。
【図9】フィンによる通路開放状態での図4に示すVII−VII線矢視断面図である。
【符号の説明】
1 換気ダンパ
2 入口孔
3 出口孔
4 通路
5 フレーム
6 フィン
8、9 鍔体
16、17 先端部
31 上部壁部
32 下部壁部
33、34 側壁部
41 軸部
42、43 フィン本体部
85、87 円孔
86、88 転がり軸受
Claims (9)
- 入口孔及び出口孔を有する通路を内部に有したフレームと、回動により通路を開閉するようにフレーム内に回動自在に配されたフィンとを具備していると共に、フィンが通路開放位置に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動を許容するようになっている換気ダンパであって、フレームは、上部壁部と、この上部壁部に対して下方に対向して配された下部壁部と、互いに軸方向において対向する一対の側壁部とを一体的に具備しており、入口孔及び出口孔を有する通路は、上部壁部、下部壁部及び側壁部に囲まれて形成されており、フィンは、軸部と、軸部から径方向に互いに反対側に一体的に伸びて形成された一対のフィン本体部と、このフィン本体部の端面に一体的に固着された一対の鍔体とを具備していると共に、通路開放位置に向かって常時回動付勢されており、フィン本体部は、通路を通過する空気流により通路閉塞位置に向かう方向の回転モーメントを発生する先端部を有しており、各鍔体は、小径鍔部と、大径鍔部とを一体に有しており、各側壁部には一対の側部閉塞部材が固着されており、各側部閉塞部材は、鍔体の小径鍔部の外周面に常時接触する円弧面を有していると共に、フィンが通路閉塞位置に回動された際に、フィン本体部の夫々の軸方向の縁部に接触する平面及び当該平面に連接した湾曲面を有しており、各鍔体の大径鍔部は、対応の側壁部に形成された円孔に配されていると共に、当該円孔に配された転がり軸受を介して対応の側壁部に回転自在に支持されている換気ダンパ。
- 各鍔体の外周面には、転がり軸受の内輪が軸方向に相対的に可動に嵌装されており、各鍔体の外周面と対応の転がり軸受の内輪との間には、Oリングが介在されている請求項1に記載の換気ダンパ。
- 転がり軸受の外輪は、対応の円孔において側壁部に密に固着されている請求項1又は2に記載の換気ダンパ。
- 一方のフィン本体部は他方のフィン本体部よりも重く、フィンは、この一対のフィン本体部の重量の差違により通路開放位置に向かって回動されるように常時付勢されている請求項1から3のいずれか一項に記載の換気ダンパ。
- 通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動に抗する弾性手段を更に具備しており、フィンは、弾性手段により通路開放位置に向かって回動されるように常時付勢されている請求項1から4のいずれか一項に記載の換気ダンパ。
- 先端部及びその近傍でのフィン本体部の一方の面は、凸面となるように湾曲しており、その他方の面は、凹面となるように湾曲している請求項1から5のいずれか一項に記載の換気ダンパ。
- フィンによる通路開閉を行わせるべくフィンを回動させる回動手段を更に具備しており、回動手段は、回動力発生手段と、この回動力発生手段により発生された回動力をフィンに伝達する伝達手段とを具備しており、伝達手段は、フィンが通路開放位置に回動された際に、通路閉塞位置に向かうフィンの自由回動を許容するようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載の換気ダンパ。
- 伝達手段は、鍔体に一端が取付けられた連結部材と、この連結部材の他端がフィンの回動方向に関して遊びをもって係合した円弧スリットを有していると共に回動力発生手段に連結された回転自在部材とを有している請求項7に記載の換気ダンパ。
- 伝達手段は、回動力発生手段に連結された回転自在部材と、鍔体に設けられた円弧スリットと、一端が回転自在部材に固着され、他端がフィンの回動方向に関して遊びをもって円弧スリットに係合した連結部材とを具備している請求項7又は8に記載の換気ダンパ。
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