JP4585441B2 - サーモプレート - Google Patents
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従来のサーモプレートの一形態が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載されたサーモプレート(特許文献1にはヒータープレートと記載。以下サーモプレートと呼ぶ)を、図12に示す。
特許文献1記載のサーモプレートは、伝熱体としてのアルミニウム部材(プレート)92,93と、線状に形成され、アルミニウム部材92に形成された溝96内に組み込まれた、発熱可能なシーズヒーター(熱源体)94とを備える。シーズヒーター94は、プレート92,93をなるべく満遍なく加熱するようにプレート上の経路をとるべく、適当な形状に折り曲げられている。また、シーズヒーター94は、プレート92,93上の適当な箇所において、電源供給用の端子94aを有する。
すなわち、シーズヒーター等の熱源体は、プレート上の一つの溝部内に組み込まれるから、交差しない一筆書きの経路を取らざるを得ず、その経路や電源供給用の端子の形成箇所に制限がある。したがって、プレート上の温度分布を最適化させる際の、熱源体の配置の工夫に対する制限が大きく、温度分布を十分に最適化することができず、さらに、サーモプレートが搭載される装置(半導体製造装置等)に対する端子の取り合い位置に制限があるという課題がある。
なお、シーズヒーターは、過大な負荷が掛けられると内部のコイルの断線や過加熱等の問題が生じるため、過度に小径の曲げ加工はできない。この制限により、さらに熱源体や端子の配置に対する制限が大きくなっている。
これによれば、複数の熱源体を、それぞれ異なる深さの溝部内に配して、互いに交差するよう配置するから、熱源体の経路やその端子の配置の自由度を著しく高めることができる。また、所要複数の熱源体をプレートの周方向に複数に分割されたゾーンにそれぞれ配することで、プレート上の広い面積に熱源体を配することができるとともに、当該所要複数の熱源体をまたがるよう交差する他の熱源体を設けることで、前記各ゾーンに配された熱源体の各ループ内にも熱源を設けることができ、当該ループの中心近傍における温度分布の不均一を防ぐことができる。
これによれば、熱源体(ヒーター)が交差する箇所において、過加熱を避けることができる。
これによれば、発熱または冷却時に熱源体またはプレートが膨張または収縮した際に、熱源体が逃げるクリアランスがあるから、熱源体とプレートとが強く当接して損傷することを防ぐことができる。
これによれば、ヒーターの脱落を防止できるとともに、蓋部が伝熱路となってプレートに対する伝熱効率を高めることができる。
サーモプレートAは、伝熱体としてのプレート2と、プレート2の板面に形成された溝部2a,2b,2c,2d,2e(溝部2a,2b,2cは図示せず)内にそれぞれ組み込まれた、線状の熱源体としての5本のシーズヒーター4a,4b,4c,4d,4eと、前記溝部2a〜2eを覆う蓋部6とを備える。
本実施例においては、図1(a)に示すように、各シーズヒーター4a〜4eの電源供給用の端子4fは、プレート2の中央部近傍に集中するよう配設されている。
言い換えると、シーズヒーター4a〜4dは、プレート2上の経路がループ状に形成されるとともに、端子4fが位置するプレート2の中央部を中心に、互いに放射状に配設される。4本のシーズヒーター4a〜4dは、矩形のプレート2を、その各外辺の垂直二等分線で四等分した各矩形(仮想分割ゾーン3a〜3d)の形状に沿うように、それぞれ配設される。
言い換えると、前記他の一つのシーズヒーター4eは、端子4fが位置するプレートの中央部を中心として囲う、ほぼ矩形のループ状の経路をとり、前記放射状に配設されたシーズヒーター4a〜4dを、当該放射の周方向にまたいで交差するよう配設される。
これにより、図1(b)に示すように、シーズヒーター4a〜4dとシーズヒーター4eとは、プレート2の厚さ方向に、その直径分だけずれて配設される。
従って、シーズヒーター4a〜4dとシーズヒーター4eとは、プレート2の厚さ方向に変形することなく交差することができる。
なお、溝部2eは、溝部2a〜2dに対し、少なくとも前記直径分深く形成されていればよく、当該直径分よりさらに深く形成してもよい。
なお、図2に示すように、シーズヒーター4a〜4dの端子4gとシーズヒーター4eの端子4hとを、それぞれプレート2の逆の面から取り出すよう構成してもよい。
蓋部6は、プレート2に、ピン15および/またはボルト16により取り付けられる。
また、溝部2e内の、蓋部6と、より深く形成された溝部2e内に保持されたシーズヒーター4eとの間に形成された空隙には、スペーサ22が設けられる。スペーサ22は、溝部2eの底部との間にほぼシーズヒーター4eの直径分の隙間が生じる厚みに形成され、シーズヒーター4eを、溝部2eの底部に沿うよう保持している。なお、スペーサ22と蓋部6とを一体に形成してもよい。
なお、スペーサ22を設けない場合には、シーズヒーター4a〜4eを、ろう付けなどの手段により、溝部2a〜2eの底部に取り付けてもよい。
例えば、図4(a)に示すように、蓋部6に突起部6a,6bを形成するとともに、プレート2に、その突起部6a,6bが嵌合する凹部2f,2gを形成し、凹部2f,2gに突起部6a,6bを嵌合させることでプレート2に蓋部6を取り付けるよう構成しても良い。または、サーモプレートAが置かれる環境が平坦で振動等がなく安定している場合には、プレート2と蓋部6とを必ずしも接合する必要はなく、図4(b)に示すように、平板状の蓋部6上にプレート2を載置するのみの構成としてもよい。
その他にも、プレート2への蓋部6の取り付けは、溶接、FSW(摩擦撹拌接合)、または、かしめ等、様々な手法を採用できる。
なお、非発熱部に替えて、シーズヒーター内のコイルを粗巻きにすることで、交差する箇所の他の箇所より発熱量が小さい低発熱部を設けても、同様の効果を得られる。
サーモプレートBは、伝熱体としてのプレート32と、プレート32の板面に形成された溝部(図示せず)内にそれぞれ組み込まれた、線状の熱源体としてのシーズヒーター34a,34b,34c,34dと、前記溝部を覆う蓋部36とを備える。
なお、プレート32、シーズヒーター34a〜34dおよび蓋部36の基本的な構成は、実施例のプレート、シーズヒーターおよび蓋部と同様であるため説明を省略し、実施例と異なる構成についてのみ説明を行う。
本参考例においては、図8(b)に示すように、各シーズヒーター34a〜34dの電源供給用の端子34eは、矩形のプレート32の一辺部から出るよう配設されている。
また、シーズヒーター34aとシーズヒーター34bとは、U字を構成する直線部分が互いに平行になるとともに、それぞれの二つの直線部分の間に、他方のシーズヒーターの直線部分のうち一方が位置し、U字の曲線部分において交差するよう配設されている。シーズヒーター34cとシーズヒーター34dも、同様に、U字を構成する直線部分が互いに平行になるとともに、それぞれの二つの直線部分の間に、他方のシーズヒーターの直線部分のうち一方が位置し、U字の曲線部分において交差するよう配設されている。
なお、本参考例においては、二つのシーズヒーターが交差するよう設けられているが、本発明はこれに限定されず、三つ以上のシーズヒーターが、それぞれの直線部分の間に他の所要複数のシーズヒーターの直線部分が位置するよう配設されていてもよい。
これにより、図8(a)に示すように、シーズヒーター34aとシーズヒーター34bとは、プレート32の厚さ方向に、その直径分だけずれて配設される。
従って、シーズヒーター34aとシーズヒーター34bとは、プレート2の厚さ方向に変形することなく交差することができる。
なお、シーズヒーター34aが組み込まれる溝部は、シーズヒーター34bが組み込まれる溝部34bに対し、少なくとも前記直径分深く形成されていればよく、当該直径分よりさらに深く形成してもよい。
シーズヒーター34cとシーズヒーター34dに関しても、同様の構成が採られている。
非発熱部の構成は、実施例と同様であるため説明を省略する。なお、非発熱部に替えて、シーズヒーター内のコイルを粗巻きにすることで、交差する箇所の他の箇所より発熱量が小さい低発熱部を設けても良い。
このような場合の対策として、例えば、図10(a),(b)に示すように、シーズヒーター44a,44bの交差部に、溝部42a,42b内の空隙を埋めるスペーサ40を設けることが考えられる。スペーサ40は、プレート42の材質と同じ材質で構成する。スペーサ40を設けることにより、シーズヒーター44a,44bからの伝熱面積を均一化することができ、上記問題を解消することができる。
例えば、熱源体として、内部に熱媒が流れる加熱管を採用してもよい。
また、サーモプレートを冷却に用いる場合には、熱源体として、例えば、内部を冷媒が流れる冷却管を採用してもよい。また、一つのサーモプレートを、加熱および冷却の両方の用途に用いる場合には、例えば、ヒーターと冷却管との両方を混在させ、加熱に用いるときにはヒーターのみを稼動させ、冷却に使用するときには冷却管のみを稼動させればよい。
2 プレート
2a,2b,2c,2d,2e 溝部
2h クリアランス
3a,3b,3c,3d 仮想分割ゾーン
4a,4b,4c,4d,4e シーズヒーター(熱源体)
4f 端子
6 蓋部
7c,7e 蓋部、スペーサ
22 スペーサ
32 プレート
34a,34b,34c,34d シーズヒーター(熱源体)
34e 端子
36 蓋部
Claims (5)
- 伝熱体としてのプレートと、
線状または管状に形成され、前記プレートの板面に形成された溝部内に、該溝部の底部に沿って組み込まれた、それぞれ発熱または冷却可能な複数の熱源体とを備え、
該複数の熱源体のうちの少なくとも一組は、互いに交差するよう配設され、当該交差する熱源体が組み込まれる各前記溝部は、互いに異なる深さに形成されているサーモプレートにおいて、
前記複数の熱源体のうち所要複数の熱源体が、前記プレートの中央部に両端子が位置するようにしてループ状に形成されるとともに、プレートの周方向に複数に分割された仮想分割ゾーン内にそれぞれ一つずつ配設され、
前記複数の熱源体のうち他の一つの熱源体が、前記プレートの中央部に両端子が位置するようにしてループ状に形成されるとともに、前記所要複数の各熱源体の各ループ部の中途部にまたがるように交差して配設されていることを特徴とするサーモプレート。 - 前記交差する熱源体はヒーターであり、当該交差する熱源体の少なくとも一方の、当該交差する箇所は、非発熱部、または、他の箇所より発熱量の小さい低発熱部に設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーモプレート。
- 前記熱源体と前記溝部内壁の間には、発熱または冷却時に熱源体または前記プレートが膨張または収縮した際に熱源体を逃がすためのクリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のサーモプレート。
- 前記熱源体は、前記溝部の底部に埋設されて取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載のサーモプレート。
- 前記溝部を覆う蓋部を備えることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のサーモプレート。
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