JP4583127B2 - 化粧シート - Google Patents

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本発明は、化粧シートに関する。
化粧シートは、各種の内装用・外装用建材をはじめとして、各種の家電製品、事務機器、計器類等の装飾、表面保護等のために汎用されている。化粧シートは、一般的には、基材シート上に、印刷層、合成樹脂層、表面保護層等を積層することによって製造されている。従前より合成樹脂層等として塩化ビニル系樹脂が使用されていたが、塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートは燃焼時に塩化水素ガス等の有毒ガスを発生する。このため、一般の焼却炉で焼却処理できないという廃材処理上の問題がある。しかも、火災時には、塩化水素ガス等の有毒ガスを人が吸引して中毒になるという被害の原因にもなる。これらの見地より、塩化ビニル系樹脂の使用が避けられる傾向にある。さらに、近年、不適当な焼却炉で塩化ビニル系樹脂を焼却した場合に、その不完全燃焼によってダイオキシン等の有毒ガスを発生するおそれがあることも指摘されている。
以上のような観点より、塩化ビニル系樹脂に代えて、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂への代替が検討されている。
ポリオレフィン系樹脂の代用により塩化ビニル系樹脂の問題は解消できるものの、別の問題がある。すなわち、ポリオレフィン系樹脂をはじめとする樹脂類では、静電気を帯びやすい性質がある。このため、このような材料を化粧シートに用いる場合には、1)印刷原反への微細なゴミの付着が起こり、これがインキ抜け等の問題を引き起こす、2)帯電による空中放電が火災の原因となる、3)微細なゴミの付着により2次加工に支障を来す、4)付着した微細なゴミを除去しようとしても、静電気により付着しているためにその除去が容易ではなく、生産性の低下・コスト上昇の要因になる、等の問題が生じる。
そこで、化粧シートに帯電防止剤を添加することが提案されている。例えば、帯電防止剤として4級アンモニウム塩、カーボンブラック、金属系針状結晶等を化粧シートの表面保護層等に適用する方法等がある(例えば、特許文献1など)。
しかしながら、これら従来の帯電防止剤を使用した場合、a)十分な帯電防止効果が得られない、b)たとえ効果が確保できてもその効果の持続性に欠ける、c)効果が得られても帯電防止剤の含有に起因する濁り等により化粧シートの意匠性を損ねる、等の問題のいずれかが生じる。このため、さらなる改善策が切望されているところである。
特開2000−351182号公報
従って、本発明は、良好でかつ安定した帯電防止効果を有する化粧シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の帯電防止剤を化粧シートのポリオレフィン系樹脂層に適用することによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の化粧シートに係る。
1. 被着体に積層するための化粧シートであって、当該化粧シートは少なくともポリオレフィン系樹脂層を有し、当該ポリオレフィン系樹脂層中に高分子型帯電防止剤が含有されていることを特徴とする化粧シート。
2. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも絵柄層及びポリオレフィン系樹脂層が積層されたものであり、当該ポリオレフィン系樹脂層は1層又は2層以上からなり、当該ポリオレフィン系樹脂層の表層部に高分子型帯電防止剤が含有されている、前記項1に記載の化粧シート。
3. 化粧シートが、基材シート上に少なくとも絵柄層、ポリオレフィン系樹脂層及び表面保護層が積層されたものであり、当該ポリオレフィン系樹脂層は1層又は2層以上からなり、当該ポリオレフィン系樹脂層の表層部に高分子型帯電防止剤が含有されている、前記項1に記載の化粧シート。
4. 前記表層部が、ポリオレフィン系樹脂層のおもて表面から、当該樹脂層の厚みの1/2以下の深さまでの領域である、前記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5. ポリオレフィン系樹脂層の厚みが30μm以上であり、かつ、表層部
が当該樹脂層のおもて表面から15μm以下の深さまでの領域である、前記項2〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6. 高分子型帯電防止剤が、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種である、前記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7. ポリオレフィン系樹脂層中に高分子型帯電防止剤が3〜35重量%含まれる、前記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8. 表層部中に高分子型帯電防止剤が3〜35重量%含まれる、前記項2〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9. ポリオレフィン系樹脂層が、さらに紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも1種を含む、前記項1〜8のいずれかに記載の化粧シート。
10. 光安定剤が高分子型光安定剤である、前記項9に記載の化粧シート。
11. 高分子型光安定剤が、下記式(1)
Figure 0004583127
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体である、前記項10に記載の化粧シート。
12. 表層部中に高分子型光安定剤が5〜10重量%含まれる、前記項2〜11のいずれかに記載の化粧シート。
13. 前記項1〜12のいずれかに記載の化粧シートが被着体上に積層されてなる化粧板。
本発明の化粧シートは、特に高分子型帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂層に適用することによって、比較的長期にわたって良好な帯電防止性能を発揮することができる。特に、表面層に高分子型帯電防止剤を含有させる場合には、より良好な耐候性とともに、優れた帯電防止性能を得ることができる。
このような特性をもつ本発明化粧シートは、室内用建材、外装用及び準外装用建材の化粧シートとして使用できるほか、家電製品、事務機器、計器類等の化粧シートとしても幅広く利用することができる。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、被着体に積層するための化粧シートであって、当該化粧シートは少なくともポリオレフィン系樹脂層を有し、当該ポリオレフィン系樹脂層中に高分子型帯電防止剤が含有されていることを特徴とする。
本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂層を少なくとも有する。ポリオレフィン系樹脂層は、1層又は2層以上有していても良い。また、2層以上有する場合は、互いに接するように積層されていても良いし、あるいは他の層を介して積層されていても良い。
ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂は特に限定的でなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−エチレンアクリレート共重合体等の公知の樹脂を用いることができる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂層には高分子型帯電防止剤が含まれる。高分子型帯電防止剤は、それ自体は公知のもの又は市販品を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸エステル系4級アンモニウム塩、ポリスチレン系4級アンモニウム塩、ポリエーテル−エステル−アミド、ポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマー等を使用することができる。
これらのうち、本発明では、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種を好ましく用いることができる。
ポリエーテル−エステル−アミドは、エーテル基含有成分、エステル基含有成分及びアミド基含有成分の3成分からなるポリマーが例示される。例えば、ポリエチレンオキサイド成分及びナイロン12成分を含有するポリエーテルエステルアミドが挙げられる。より具体的には、ポリエチレンオキサイド部−H−[O−CH2CH2n−O−、アジピン酸部−OC(CH24CO−及びナイロン12部−[NH(CH211CO]n−O−の3部から構成される共重合体が挙げられる。このような高分子型帯電防止剤は市販品を使用することもできる。例えば、製品名「IRGASTAT P 18」、「IRGASTAT P 22」(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
ポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーは、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が105〜1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有することを特徴とするブロックポリマー(特開2001−278985)を好ましく用いることができる。このような高分子型帯電防止剤は市販品を使用することもできる。
これらの高分子型帯電防止剤の中でも、特に、より高い耐候性が得られるという点ではポリエーテル−エステル−アミドを用いることがより好ましい。すなわち、ポリエーテル−エステル−アミドを用いる場合には、より少ない量の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤で所望の耐候性を得ることができる。
高分子型帯電防止剤の含有量は限定的ではないが、一般的にはポリオレフィン系合成樹脂中2〜40重量%(好ましくは3〜35重量%)の範囲内において、用いる高分子型帯電防止剤の種類、所望の帯電防止性能等に応じて適宜定めることができる。
高分子型帯電防止剤を含むポリオレフィン系樹脂層の作製方法は特に制限されない。例えば、溶融したポリオレフィン系樹脂に高分子型帯電防止剤を添加し、混合した後、得られた混合物を押し出し法によりシート化した後に積層する方法、上記混合物を押し出し法により他の層に直接に積層する方法、上記シート化したものを複数用意し、それらを共押し出し法によりラミネートし、さらに他の層に積層する方法等が挙げられる。
本発明では、特に、高分子型帯電防止剤が、ポリオレフィン系樹脂層の表層部に存在することが望ましい。かかる構成を採用することによって、より少ない使用量で効果的な帯電防止性能等を得ることができる。その結果、より優れた耐候性等を得ることも可能となる。
表層部は、ポリオレフィン系樹脂層の表面(おもて表面)付近の領域である。すなわち、化粧シートが被着体と積層される側と反対側の面である。例えば、図1に示すように、ポリオレフィン系樹脂層11が被着体12に積層する場合、おもて表面13から一定の深さの領域が表層部14となる。
本発明では、表層部は、ポリオレフィン系樹脂層の厚み等にもよるが、一般的には当該樹脂層の厚みの1/2以下の深さまでの領域であることが好ましい。すなわち、表層部の深さを当該樹脂層の厚みの1/2以下とすることが望ましい。特に、本発明では、厚み30μm以上のポリオレフィン系樹脂層のおもて表面から、15μm以下の範囲内の深さの領域を表層部とすることがより望ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂層の厚みの上限値は、通常は200μm程度とすれば良い。
なお、本発明では、1つのポリオレフィン系樹脂層が、1層(単層)又は2層以上からなっていても良い。2層以上の場合は、2以上積層された積層体がポリオレフィン系を構成する。2層以上からなる積層体が1つのポリオレフィン系樹脂層を構成している場合には、上記樹脂層の厚みとは上記積層体の厚みをいう。また、ポリオレフィン系樹脂層が化粧シート中に2つ以上存在する場合は、表層部とは、積層される被着体から最も遠い位置にあるポリオレフィン系樹脂層の表層部をいう。
表層部に高分子型帯電防止剤を存在させる場合、その含有量は一般的には表層部中2〜40重量%、特に3〜35重量%とすることが望ましい。上記範囲内に設定することによって、いっそう優れた帯電防止性能とともに良好な耐候性等を得ることができる。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂層中には、高分子型帯電防止剤のほか、他の添加剤が含有されていても良い。例えば、通常のポリオレフィン系樹脂に使用される紫外線吸収剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤)、酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。この中でも特に、さらに紫外線吸収剤(UVA)及び光安定剤(HALS)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤(特開2001−181413)のほか、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サルチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤;粒径0.2μm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等の無機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の添加量は、紫外線吸収剤の種類等に応じて適宜設定できるが、通常は表層部層中0.1〜3重量%程度とすれば良い。
光安定剤(ラジカル捕捉剤)としては、高分子型光安定剤又はそれ以外の光安定剤を使用することができる。
前者の高分子型光安定剤としては、特に下記式(1)
Figure 0004583127
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体(エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体)を好適に用いることができる。例えば、上記式(1)でR1、R2がメチル基、R3が水素原子である化合物とエチレンとの共重合体を好適に用いることもできる。
このような高分子型光安定剤を用いることによって、帯電防止性能の低下を伴うことなく、耐候性を高めることができる。その結果、良好な帯電防止性能と優れた耐候性という2つの効果をより確実に達成することができる。
重合体のMI(メルトインデックス)は、0.1〜500g/min、特に0.5〜200g/minのものが望ましい。
前記の共重合体は、公知又は市販のものを使用することができる。また、公知の製法で得られたものを使用することもできる。例えば、所定の単量体を共重合条件に付することによって製造されるが、高圧法低密度ポリエチレン製造装置での製造が可能である。通常は、ラジカル重合で製造される。このとき使用される触媒としては、遊離基発生開始剤(例えば、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロハーオキサイド類、アゾ化合物等)が好適に用いられる。重合装置は、エチレンの高圧ラジカル重合法で一般的に用いられる連続攪拌式槽型反応器又は連続式管型反応器を使用することができる。重合圧力は1000〜5000kg/cm2程度、重合温度は100〜400℃程度とすれば良い。
後者の光安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートのほか、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
光安定剤の添加量は特に限定されず、一般的には表層部中0.1〜10重量%程度の範囲内において、用いる光安定剤の種類等に応じて適宜設定することができる。特に、前記の高分子型光安定剤を用いる場合には、表層部中5〜10重量%程度とすることが望ましい。
本発明化粧シートにおける層構成は、上記所定のポリオレフィン系樹脂層を有していれば限定的でなく、公知の化粧シートと同様の構成を採用することができる。例えば、基材シート上に少なくとも絵柄層、ポリオレフィン系樹脂層、さらには必要により表面保護層が形成されてなる化粧シートが挙げられる。
各層の形成方法は、特に限定的でなく、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、転写印刷等の印刷;スプレー、ローラー、刷毛等の塗布;シート状物等の成形体を積層等のいずれも採用することができる。これらの方法の中から、各層の特性、原料等に応じて適宜組み合わせて選択すれば良い。
各層の厚みも限定的でなく、最終製品の用途、特性等に応じて適宜決定することができる。通常は0.1〜500μm程度の範囲内とすることができる。
以下、上記の化粧シートを実施形態の一例として、各層の構成について説明する。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄層等が順次積層され、裏面には金属板が積層される。
基材シートとしては、例えば熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等を挙げることができる。
基材シートは、必要に応じて着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般的には50〜250μmとすることが好ましい。
基材シートにおいては、必要に応じて、絵柄層を設けるインキの接着を強固にするために表面(おもて面)にコロナ放電処理を行うこともできる。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。
また、必要に応じて、基材シートの裏面には、金属板との積層のために、コロナ放電処理を施したり、あるいはプライマー層を形成することもできる。プライマー層を形成するための材料としては、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(特に、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とイソシアネート化合物との2液硬化型樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂類ほか、アルキルチタネート、エチレンイミン等の化合物も使用することができる。これらをそのままで又は溶媒に溶解若しくは分散させた状態で用い、公知の印刷方法、塗布方法等に従ってプライマー層を形成することができる。
絵柄層
絵柄層は、木目、節目等の天然素材が有する柄ないしは模様のほか、文字、図形等も表わすことができる。
絵柄層の形成は、好ましくは着色熱可塑性樹脂層との接着性に優れたインキを用い、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法により好適に実施することができる。
上記インキとしては、着色材及びバインダーを含むインキを一般に使用することができる。インキのバインダーは、基材シートの材質等に応じて公知のもの又は市販品の中から適宜選択すれば良い。例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂(好ましくはポリエステルウレタン樹脂)、アクリル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を使用することができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、着色材は特に限定されず、公知の着色材を使用することができる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニンリンブラック等の有機顔料(染料も含む。);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
接着剤層
本発明では、好ましくは絵柄層とポリオレフィン系樹脂層との間に接着剤層が介在する。接着剤層で使用する接着剤は、公知又は市販の接着剤の中から、絵柄層又はポリオレフィン系樹脂層を構成する成分等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等の各種接着剤を使用することができる。また、反応硬化タイプのほか、ホットメルトタイプ、電離放射線硬化タイプ、紫外線硬化タイプ等のいずれのタイプの接着剤であっても良い。
接着方法としては、用いる接着剤の種類等に応じて公知の方法に従って実施すれば良い。例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用い、溶融押出(エクストルージョンコート法)で絵柄層上に塗工する方法、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂にイソシアネート、アミン等の架橋剤、メチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、アザビスイソブチロニトリル等の重合開始剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の重合促進剤等を必要により添加した接着剤を塗工し、ドライラミネートする方法を採用することができる。また、本発明では、熱圧着できる接着剤を使用し、熱圧着によって絵柄層とポリオレフィン系樹脂層とを積層することもできる。
なお、本発明では、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層の厚みは、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1〜30μm程度とすれば良い。
ポリオレフィン系樹脂層
この実施形態においては、絵柄層(さらには接着剤層)上にポリオレフィン系樹脂層が形成される。この場合、ポリオレフィン系樹脂層は透明層であることが好ましい。また、絵柄層が視認できる限りは、着色透明層、着色半透明層等であっても良い。
ポリオレフィン系樹脂の構成及び形成方法は、前記のとおりにすれば良い。例えば、図2に示すように、表層部(押出し樹脂層2)と下層(押出し樹脂層1)の2層構成とすることもできる。この場合には、表層部に高分子型帯電防止剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物を用い、下層には高分子型帯電防止剤を含まないポリオレフィン系樹脂組成物を用い、両者を同時に又は別々に押し出し法等によりシート状に成形したり、そのまま前記接着剤層上に積層することによって、ポリオレフィン系樹脂層を形成することができる。
表面保護層
本発明において、表面保護層(いわゆるOP層:オーバープリント層、透明性保護層)は最表面層として設けられている。表面保護層は、透明であること(透明性保護層)が好ましく、その限りにおいては着色されていても良い。また、絵柄層が視認できる範囲内で半透明であっても良い。表面保護層の形成により、化粧シート表面の傷のつきやすさをカバーし、耐擦傷性を向上させることができる。
表面保護層に用いられる材料としては特に限定されず、公知の化粧シートと同様のものを使用することができるが、本発明では2液硬化型のウレタン系樹脂を使用することが望ましい。2液硬化型のウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするものであれば特に限定されず、市販品を使用することもできる。ポリオール及びイソシアネートとしては、前記の接着剤層で列記したものを好ましく使用することができる。
本発明では、表面保護層として電離放射線硬化型樹脂を用いることが望ましい。電離放射線硬化型樹脂を使用する場合には、より優れた耐擦傷性、耐候性等を得ることができる。
電離放射性硬化型樹脂は、公知のもの又は市販品を使用することができる。具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基をもつプレポリマー、オリゴマー及び単量体の少なくとも1種を含む組成物を用いる。
前記のプレポリマー又はオリゴマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類がある。例えば、ポリエステルメタアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリオールメタアクリレート、メラミンメタアクリレート等のメタアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等がある。
単量体としては、スチレン、αーメチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、2ーエチルヘキシルアクリレート、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸エトキシメチル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ラウリル等メタアクリル酸エステル類がある。
不飽和酸の置換アミノアルコールエステルとしては、アクリル酸ー2ー(N,Nージエチルアミノ)エチル、メタアクリル酸ー2ー(N,Nージエチルアミノ)エチル、アクリル酸ー2ー(N,Nージベンジルアミノ)メチル、アクリル酸ー2ー(N,Nージエチルアミノ)プロピル等がある。
その他にも、アクリルアミド、メタアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオベンジルグリコールジアクリレート、1,6ーヘキサンジオールジアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能性物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基をもつポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコール等がある。また、3官能基以上のアクリレート系単量体には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート等がある。
電離放射線硬化型樹脂による表面保護層(透明性保護層)の形成方法も公知の方法に従えば良く、例えば電離放射線硬化型樹脂を含む組成物(塗料)を調製し、これを用いて塗膜を形成し、公知の使用条件(175keV及び5Mrad(50kGy))で電子線照射して塗膜を架橋硬化させれば良い。電離放射線硬化型樹脂を使用する場合は、予め下地としてプライマー層(特にウレタン系樹脂によるプライマー層)を第二ポリオレフィン系樹脂層上に設けることが望ましい。
表面保護層(すなわち、化粧シートの最表面)には、好ましくはエンボス加工等により凹凸模様が施される。さらに好ましくは、前記エンボス凹部にインキを充填するワイピング加工を施し、その表面を2液硬化型ウレタン系樹脂で被覆(オーバーコート処理)した構造とする。
エンボス加工は、化粧シートに木材板表面等所望のテクスチァーを付与するために行われる。例えば、加熱ドラム上でアクリル系樹脂を加熱軟化させた後、さらに赤外線輻射ヒーターで160〜180℃に加熱し、所望の形の凹凸模様を設けたエンボス板で加圧、賦形し、冷却固定して形成すれば良い。これは、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用して実施することができる。凹凸模様としては、例えば木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられ、これらの中から所望の模様を適宜選択することができる。
ワイピング加工とは、エンボス加工で設けた凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する加工をいう。ワイピングインキとしては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。ワイピング加工では、特に木目導管溝凹凸に対して行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
表面保護層の厚みは限定されないが、通常は0.1〜50μm、特に1〜20μmとすることが望ましい。
2.化粧板
本発明の化粧板は、本発明の化粧シートが被着体上に積層されたものである。より具体的には、化粧シートの透明保護層が最表面層となるように当該シートが被着体上に積層されている。
被着体
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品〔成形品〕、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。これらに用いられる材質としては、杉、檜、松、ラワン、チーク等の樹木からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質板;鉄、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、真鍮、Al−Mg合金等の金属又は合金;アクリル樹脂、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフイン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の有機高分子(樹脂類)が挙げられる。また、専ら板材又は立体形状物品として用いられる素材として、ガラス、陶磁器、アルミナ等のセラミックス;ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント硬化体;珪酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料も適用できる。さらに、専らシート(又はフィルム)として用いられる素材として、上質紙、和紙等の紙類;炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等にも適用することができる。
被着体への積層
化粧シートの被着体への積層は、公知の化粧シートの積層と同様にすることができる。例えば、接着剤を用いて化粧シートを被着体上に貼着によって好適に積層することが可能である。
使用できる接着剤としては、例えば熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、ゴム系等のいずれのタイプの接着剤も使用することができる。これは、公知のもの又は市販品を使用することができる。
熱可塑性樹脂系接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー等が例示される。
熱硬化性樹脂系接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等が例示される。
ゴム(エラストマー)接着剤としては、天然ゴム、再生ゴム、スフチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)等が例示される。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
図2に示す構造を有する化粧用シートを作製した。
(1)ポリオレフィン系樹脂層を有するシートの作製
着色材(酸化チタン)を10重量%添加することにより着色したポリプロピレン系樹脂フィルム1(厚み80μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダーとしたインキで木目柄の絵柄層2を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層6をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの絵柄層2の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層3を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上にポリオレフィン系樹脂層として表層5(0.01mm)及び下層4(0.07mm)の2層からなるポリプロピレン系樹脂層をラミネートし、ポリオレフィン系樹脂層が積層されたシートを得た。
このとき、表層5には、高分子型帯電防止剤(製品名「ペレスタット300」三洋化成工業製)12.5重量%及び紫外線吸収剤(製品名「LA−63」旭電化工業製)4375重量ppmを含有させた。一方、下層4には、上記と同じ紫外線吸収剤5000重量ppmを含有させた。
(2)表面保護層の形成
上記(1)で得られたシートのポリオレフィン系樹脂層上に表面保護層を形成した。まず、ポリオレフィン系樹脂層の上に、さらにイソシアネート部分がイソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたアクリル−ウレタンブロック重合体(主剤)と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)とからなる2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工し、プライマー層7(厚さ2μm)を形成した。
次に、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化型樹脂をグラビアコートにて塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して塗膜を架橋硬化させること(EB処理)により、表面保護層8(厚さ5μm)を形成した。
実施例2
表層に、高分子型帯電防止剤15重量%及び紫外線吸収剤4250重量ppmを含有させたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例3
表層に、高分子型帯電防止剤10重量%及び紫外線吸収剤4500重量ppmを含有させたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例4
表層に、高分子型帯電防止剤(製品名「ペレスタット」三洋化成工業製)10重量%及び紫外線吸収剤(製品名「LA−63」旭電化工業製)5000重量ppmを含有させたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例5
表層に、高分子型帯電防止剤(製品名「ペレスタット」三洋化成工業製)5重量%及び紫外線吸収剤(製品名「LA−63」旭電化工業製)4500重量ppmを含有させたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例1
高分子型帯電防止剤を使用しなかったほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
試験例1
実施例及び比較例における(1)で得られたシート及び(2)で得られた化粧シートについて、1)耐候性試験、2)アッシュ試験、3)表面抵抗測定、4)体積抵抗測定、5)帯電半減期測定及び6)半減期電圧測定をそれぞれ実施した。その結果を表1に示す。また、表1には、力学的性質も併せて示す。
Figure 0004583127
表1中の「押し出しフィルム」は、帯電防止剤を処方したオレフィンフイルムを最表層に有する未コート品を示す。「フィルム+EB」は、前記未コート品に電子線を照射したものを示す。「EBコート品」は、前記未コート品にEB硬化樹脂コート(8g/m2)を施したものを示す。また、樹脂名「P300」は、「ペレスタット300」の略記である。
なお、各試験・測定の方法は下記のようにして行った。
1)耐候性試験
耐候性試験装置「アイスーパーUVテスター」(岩崎電気製)を使用し、一定条件下での劣化(脆化)時間を測定した。外観変化のない時間をOK時間、外観変化とともに劣化が認められた時間をNG時間とした。
2)アッシュ試験
乾燥した化繊布を用い、試験体の表面を20往復して摩擦した後にタバコの灰を近づけ、その吸い付き状況を観察した。吸い付き現象が認められたものを×、認められないものを○とした。
3)表面抵抗測定
デジタル絶縁計(東亜電波工業製)を用いて測定した。
4)体積抵抗測定
デジタル絶縁計(東亜電波工業製)を用いて測定した。
5)帯電半減期測定
測定装置「ネオストメーター」(シンド静電気製)を用いて測定した。
6)半減期電圧測定
測定装置「ネオストメーター」(シンド静電気製)を用いて測定した。
表1の結果からも明らかなように、高分子型帯電防止剤を含有したポリオレフィン系樹脂層を有する本発明品は、所望の帯電防止性能と優れた耐候性を発揮できることがわかる。
実施例6
図1に示す構造を有する化粧用シートを作製した。
(1)ポリオレフィン系樹脂層を有するシートの作製
着色材(酸化チタン)を10重量%添加することにより着色したポリプロピレン系樹脂フィルム1(厚み80μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダーとしたインキで木目柄の絵柄層2を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層6をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの絵柄層2の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層3を15μmで形成した後、その塗膜の上にポリオレフィン系樹脂層として表層5(0.01mm)及び下層4(0.07mm)の2層からなるポリプロピレン系樹脂層をラミネートし、ポリオレフィン系樹脂層が積層されたシートを得た。
このとき、表層5には、高分子型帯電防止剤(製品名「ペレスタット300」三洋化成工業製)20重量%、紫外線吸収剤4000重量ppm及びエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体系高分子型光安定剤6重量%を含有させた。一方、下層4には、上記と同じ紫外線吸収剤5000重量ppm及び高分子型光安定剤2000ppmを含有させた。
(2)表面保護層の形成
上記(1)で得られたシートのポリオレフィン系樹脂層上に表面保護層を形成した。まず、ポリオレフィン系樹脂層の上に、更にイソシアネート部分がイソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたアクリル―ウレタンブロック重合体(主剤)と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)とからなる2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工し、プライマー層7(厚さ2μm)を形成した。
次に、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化型樹脂をグラビアコートにて塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層8(5μm)を形成した。
実施例7
表層に、高分子型帯電防止剤20重量%、紫外線吸収剤4000重量ppm及び高分子型光安定剤8重量%を含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
実施例8
表層に、高分子型帯電防止剤20重量%、紫外線吸収剤4000重量ppm及び高分子型光安定剤10重量%を含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
比較例2
表層に、高分子型帯電防止剤を使用せず、紫外線吸収剤5000重量ppm及び高分子型光安定剤4重量%を含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
実施例9
表層に、高分子型光安定剤を使用せず、高分子型帯電防止剤20重量%及び紫外線吸収剤4000重量ppm含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
実施例10
表層に、高分子型帯電防止剤20重量%、紫外線吸収剤4000重量ppm及び高分子型光安定剤4重量%を含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
実施例11
表層に、高分子型帯電防止剤20重量%、紫外線吸収剤4000重量ppm及び高分子型光安定剤12重量%を含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。
試験例2
実施例6〜11及び比較例2について、試験例1と同様の試験を実施した。その結果を表2に示す。なお、耐候性試験は、耐候性試験装置で200時間試験を実施し、外観変化のないものを「○」、少し変化が認められたものを「△」、大幅な変化が認められたものを「×」と評価した。
Figure 0004583127
実施例12
表層に、ポリエーテル−エステル−アミド系高分子型帯電防止剤12.5重量%、紫外線吸収剤5000重量ppm及び高分子型光安定剤2000重量ppmを含有させたほかは、実施例6と同様にして化粧シートを作製した。なお、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテル−エステル−アミド系高分子型帯電防止剤を使用し、紫外線吸収剤及び高分子型光安定剤は実施例6と同じものを使用した。得られた化粧シートについて、試験例2と同様にして耐候性及び表面抵抗値を調べた。その結果、耐候性は「○」であった。また、表面抵抗値は、1.31E+10であった。
本発明化粧シートの積層構造の一例を示す図である。 実施例1で作製された化粧シートの断面構造図である。

Claims (7)

  1. 被着体に積層するための化粧シートであって、当該化粧シートが、基材シート上に少なくとも絵柄層、ポリオレフィン系樹脂層及び表面保護層が積層されたものであり、当該ポリオレフィン系樹脂層は2層以上からなり、当該ポリオレフィン系樹脂層の表層部に高分子型帯電防止剤、紫外線吸収剤及び高分子型光安定剤が含有されており、
    当該高分子型帯電防止剤が、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種であり、
    当該高分子型光安定剤が、下記式(1)
    Figure 0004583127
    (ただし、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、R 3 は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体であり、
    表層部中に当該高分子型光安定剤が5〜10重量%含まれる
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記高分子型帯電防止剤が、ポリエーテル−エステル−アミドであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表層部が、ポリオレフィン系樹脂層のおもて表面から、当該樹脂層の厚みの1/2以下の深さまでの領域である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. ポリオレフィン系樹脂層の厚みが30μm以上であり、かつ、表層部が当該樹脂層のおもて表面から15μm以下の深さまでの領域である、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. ポリオレフィン系樹脂層中に高分子型帯電防止剤が3〜35重量%含まれる、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 表層部中に高分子型帯電防止剤が3〜35重量%含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートが被着体上に積層されてなる化粧板。
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