JP4582685B2 - 断熱材用接着剤及びそれを用いた断熱材用炭素化積層体 - Google Patents

断熱材用接着剤及びそれを用いた断熱材用炭素化積層体 Download PDF

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Description

本発明は、炭素成形体を層構成に有する断熱材用積層体に用いられる接着剤、それを用いた炭素化前の積層体、炭素化された積層体、及び該積層体の断熱材用用途に関し、更に詳しくは、高温炉用に適した接着剤とそれを用いてなる断熱材用積層体に関する。
炭素繊維成形断熱材は、金属の熱処理、ファインセラミックスの焼結、各種結晶の引き上げ等に使用される真空炉や雰囲気炉等の高温炉の断熱材として、広く用いられている。炭素繊維成形断熱材の1形態として、断熱特性向上、炭素繊維粉の飛散防止、燒結金属から発生するガスの浸透防止等のために炭素繊維フェルト表面に炭素質接着剤を介して黒鉛シートを積層したものがある。このような炭素繊維フェルト表面に表面被覆材を積層した炭素繊維成形断熱材の製造に使用される接着剤として、レゾール型フェノール樹脂をエタノールを用いて希釈した溶液を使用した接着剤が特許文献1において提案されている。或いは、レゾール型フェノール樹脂とメタノールと炭素繊維粉からなる接着剤が特許文献2により提案されている。しかし、従来の接着剤を使用した場合、炭素繊維成形断熱材本体の炭素繊維フェルト層とこれら表面被覆層の接着が充分ではなく、昇温、冷却を繰り返す過程で表面被覆材層が膨れたり、剥離してしますという問題があった。
実公昭58−29129号公報(特許請求の範囲、第1項) 特開平6−287527号公報(特許請求の範囲、第1項)
本発明の一つの目的は、炭素成形体を層構成に有する積層物からなる断熱材において、昇温、降温を繰り返す過程で層の剥がれ、膨れが発生しない断熱材用接着剤及びそれを用いた積層体を提供することである。本発明の別な目的は、昇温、降温を繰り返す過程で層の剥がれ、膨れが発生しない炭素化積層体を提供することであり、炭素化積層体の用途として、昇温、降温を繰り返す過程で層の剥がれ膨れが発生し難い断熱材用積層体を提供することである。
本発明は従来、接着剤において用いられる溶剤としては、接着剤のマトリックスを構成する炭素化材を溶解させるものであれば、何でも良いと思われていたが、炭素化材を溶解させるだけでなく、その溶剤の種類も得られる断熱材の性状に影響を及ぼすこと、更に該溶剤として複素環式化合物を用いることで、本発明の課題が解決されることを見出したことに基づく。
即ち、本発明の第1は、接着剤が、
炭素繊維フィラメント、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され、該接着剤の塗布層を介して、他の成形体を積層した後に炭素化処理して得られる断熱材用積層体を得る際に用いられる接着剤であって、
前記接着剤が、
(1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
(2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
(3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を
含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部であることを特徴とする断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第2は、前記成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体であり、かつ、前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体である前記第1の発明の断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第3は、前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第1の発明の断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第4は、前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物である前記第1〜第3のいずれかの発明の断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第5は、前記炭素化材が前記フラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第の発明の断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第6は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されている前記第1〜第5のいずれかの発明の断熱材用接着剤を提供する。
本発明の第7は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維である前記第1の発明の断熱用接着剤を提供する。
本発明の第8は、炭素繊維フィラメント、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され、該接着剤の塗布層を介して他の成形体積層された積層体であって、 前記接着剤が、
(1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率が40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
(2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
(3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部である断熱材用接着剤である前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第9は、前記成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体であり、かつ、前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体である前記第8の発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第10は、下記の層構成
(a)黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、
(b)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
(c)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
(d)黒鉛シート/接着剤/黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、又は
(e)炭素繊維含有ペーパー/接着剤/炭素繊維フェルト
を備える前記第8又は第9の発明の積層体を提供する。
本発明の第11は、前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第8〜第10いずれかの発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第12は、前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物である前記第8〜第11いずれかの発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第13は、前記炭素化材がフラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第8〜第10いずれかの発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第14は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されている前記第8〜第13いずれかの発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第15は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維である前記第8〜第14いずれかの発明の前記接着剤が炭素化前の積層体を提供する。
本発明の第16は、炭素化成形体又は炭素化可能な成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され他の成形体と積層された積層体であって、前記接着剤が、
(1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率が40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
(2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
(3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部であることを特徴とする断熱材用接着剤であり、前記積層体が炭素化されているものである炭素化積層体を提供する。
本発明の第17は、前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体であり、かつ、前記炭素化成形体又は前期炭素化可能な成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されたものである前記第16の発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第18は、下記の層構成
(a)黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、
(b)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
(c)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
(d)黒鉛シート/接着剤/黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、又は
(e)炭素繊維含有ペーパー/接着剤/炭素繊維フェルト
を備える前記第16又は第17の発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第19は、前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第16〜第18のいずれかの発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第20は、前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物である前記第16〜第19のいずれかの発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第21は、前記炭素化材がフラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである前記第16〜第18のいずれかの発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第22は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されている第16〜第21のいずれかの発明の炭素化積層体を提供する。
本発明の第23は、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維である第16〜第22のいずれかの発明の炭素化積層体を提供する。
本発明によれば、断熱材用接着剤として複素環式化合物を含む特定の接着剤を用いることにより、強固に接着された炭素化積層体が得られ、その断熱材としての積層体は、昇温、高温を繰り返す過程で層の剥がれ、膨れの発生がほとんど起こらない断熱材用途の炭素化積層体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における断熱材用接着剤は、(1)炭化率40%以上の炭素化材、(2)該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び(3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維からなっている。以下、断熱材用接着剤について説明する。
本発明の断熱材用接着剤(以下、接着剤と称することもある)を構成する炭化率40%以上の炭素化材しては、非酸化性雰囲気下、800℃で炭化されて炭化率が40%以上になるものであれば特に制限はない。好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上のものが用いられる。具体的には、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイミド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やピッチ、コールタールが例示される。これらの中で炭化歩留まりが高い樹脂が好ましく、フェノール樹脂が特に好ましく用いられる。フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂のいずれでもよいし、両者を併用してもよい。
本発明の断熱材用接着剤を構成する成分の一つである複素環式化合物としては、前記の炭素化材を溶解するものでなければならない。複素環式化合物の沸点未満の温度で溶解すればよいが、常温で溶解するものであればさらに好ましい。複素環式化合物としては、3員環、4員環、5員環、6員環等任意のものが用いられる。また、複素環式化合物しては、環を構成する元素が酸素を有するものが好ましく用いられる。具体的には、2−フリルメタノール、2−フリルアルデヒドが好ましく用いられる。
該複素環式化合物の使用量は炭素化材を溶解する限り、制限されないが、実用的には複素環式化合物として溶解性のよいものを選択して、炭素化材100質量部に対し、複素環式化合物5〜150質量部、好ましくは10〜130質量部、更に好ましくは15〜100質量部が採用される。
本発明における接着剤は前記炭素化材とその溶剤である複素環式化合物だけであると、接着強度が弱いので、炭素短繊維又は前記複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維が用いられる。また、かかる短繊維がないと、「だま」(未溶解の粉体のままの塊)ができやすいが、短繊維があると「だま」ができないように均一分散が可能となる。中でも炭素短繊維は接着後の被接着面とのアンカー効果が高まり、被接着物が黒鉛シート、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ぺ一パー等のような硬さを有するものの場合には、炭素短繊維があると接着剤の炭素化時の熱収縮を抑制できるので好ましい。本発明において炭素化とは、温度800℃以上、2000℃未満での焼成処理、および温度2000℃以上、3000℃以下での黒鉛化処理を含めた意味で用いる。複素環式化合物に不溶な炭素化可能な繊維としては、ポリアクリロニトリル繊維が好適である。
炭素短繊維又は複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維としては、平均繊維長0.02〜2mm、200≧L/D≧5、好ましくは平均繊維長0.05〜1.5mm、150≧L/D≧6、特に好ましくは平均繊維長0.1〜1.3mm、130≧L/D≧10のものが用いられる。平均繊維長の値が大き過ぎると、接着面に接着剤を展着し難くなる。また、平均繊維長の値が小さ過ぎると、アンカー効果が弱まり、だまの発生を抑え難くなる。L/Dが大き過ぎると、短繊維の均一な分散が困難になり、小さ過ぎると、短繊維による接着剤層の補強効果が得られなくなる。また、かかる短繊維は炭素化材100質量部に対し、5〜80質量部、好適には10〜50質量部が用いられる。
これらの中で、上記の平均繊維長及びL/Dを有する炭素短繊維が好ましく用いられる。
本発明における接着剤は、この他、適宜、黒鉛粉末を包んでいてもよい。黒鉛粉末は熱収縮を抑え、剥がれを少なくする効果があるので、被接着物が炭素化される場合には、黒鉛粉末を包んでいることが望ましい。多すぎても接着性を妨げるので、炭素化材100質量部に対し、好ましくは10〜80質量部、更に好ましくは20〜60質量部用いられる。
また、本発明の接着剤は複素環式化合物を溶解する希釈剤を用いてもよい。例えば、接着剤を常温で刷毛塗りするような場合には、希釈剤を用い粘度を調整し接着剤を均一に被接着面に展着させることが好ましい。かかる希釈剤としては、アルコール類、ケトン類、水などが例示され、メタノール、エタノール プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが好適に用いられる。このような希釈剤の量は複素環式化合物と透明な一つの液相を呈する程度であれば、制限されない。希釈剤は、本発明の断熱用接着剤を被接着物の表面に塗布する作業に適した粘度に適宜調整する際に用いることができる。
本発明の断熱材用接着剤は、特定の順序なしに加え、攪拌機等で均一に混合、或いは分散して好ましくは5〜20mPa・s、更には10〜15mPa・s(20℃)の粘度範囲で用いることができる。該接着剤を用い、炭素化成形体の面に、刷毛、噴霧器等により展着(塗工)し、他の炭素化成形体を接着させて積層し、炭素化前の積層体を形成する。
形体の少なくとも片面に前記断熱材用接着剤が展着され他の成形体と積層された前記接着剤が炭素化前の積層体の発明について説明する。
本発明の積層体に用いる接着剤としては、前記の断熱材用接着剤が適用できる。本発明の炭化前の積層体を構成する成形体とは、炭素だけを有する成形体という狭い意味ではなく、非酸化性雰囲気下、800℃での炭化率が好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上の炭素成形体、非酸化性雰囲気下、2000℃で炭化されて炭化率が40%以上、更に好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上の成形体(黒鉛成形体と云うこともある)、および前記のような炭化率が達成可能な成形体(炭素化可能な成形体)を含んだ意味で用いられる。本発明の積層体を構成する炭素成形体の具体的な例としては、炭素繊維フィラメント、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、黒鉛シート等を挙げることができる。これらのものは、炭素繊維、或いは黒鉛材料にマトリックスとして、前記炭化率を満たすような炭素化可能な樹脂、例えばポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイミド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を含浸し、或いは、含浸することなく焼成して製造される。
本発明の積層体においては、前記炭素化成形体の少なくとも片面に前記接着剤が展着(塗布)され、接着剤の展着面に他の成形体が積層された積層体である。この積層体を構成する他の成形体とは、該積層体が炭素化されるときに炭素化されるものであれば、特に限定するものではないが、前記炭素化成形体であることが好ましい。
接着剤は、前記の炭素化成形体の少なくとも片面に展着される。炭素化成形体には、形態的に成形体の内部構造が密である成形体、成形体内部が隙間なく充填された成形体、例えば、黒鉛シートや炭素化可能なCFRP及び形態的に成形体の内部構造が粗な成形体、成形体内部に隙間のある状態に充填された成形体、例えば炭素繊維フェルト、炭素繊維含有ペーパー、及び炭素繊維クロスがある。これらのうち、接着剤が展着される成形体で、成形体の内部構造が密である成形体は、黒鉛シートが好ましく用いられる。また、成形体の内部構造が粗な成形体としては、炭素繊維フェルト、炭素繊維含有ペーパー、及び炭素繊維クロスから選ばれる少なくとも一種の成形体が好ましく用いられる。
接着剤の展着量は、展着する成形体の内部構造が密な成形体か、粗な成形体かにより異なるが、成形体1m2に対して、接着剤好ましくは100〜1500g、更に好ましくは300〜1000g、最も好ましくは400〜800gである。
前記接着剤を構成する複素環式化合物は、その沸点未満の温度で、好ましくは常温で、前記炭素化成形体のマトリックスを膨潤させるものでなければならない。接着剤が展着される炭素化成形体の内部構造が密な、例えば黒鉛シートの場合は、成形体の場合には、黒鉛シートそのものがマトリックスであるので、黒鉛シートそのものが膨潤され、接着剤の1成分である炭素化材が黒鉛シート内部に含浸される。ここで、マトリックスとは成形体が繊維と他の炭素化物からなる場合には、他の炭素化物がマトリックスであり、黒鉛シートのように繊維に相当するものがなくマトリックスだけの場合には、黒鉛シート自体がマトリックスとなる。この様な複素環式化合物としては、2−フリルメタノール及び/又は2−フリルアルコールが好ましい。また、接着剤が展着される炭素化成形体の内部構造が粗な成形体であって、成形体内部に隙間のある状態に充填された成形体、例えば、炭素繊維フェルトの場合は、前記接着剤の1成分である炭素化材が、成形体内部の隙間を通り炭素繊維と絡むことにより接着強度の向上に寄与する。このような場合は、複素環式化合物は炭素繊維フェルトのマトリックスを膨潤するものである必要はない。ここで、膨潤とは複素環式化合物中に数センチ程度の大きさの接着剤が展着された成形体のマトリックス材料を浸漬して、室温で5日放置したときの目視による観察で、膨れた箇所の存在が認められる場合を云う。
炭素化前の積層体は、通常、炭素繊維フェルト等に、市販の含浸液を含浸させて含浸した樹脂を硬化させた炭素化成形体の片面又は両面に本発明の断熱用接着剤を刷毛、或いは噴霧手段により塗工し、接着剤の塗工面に他の成形体を積層し、150℃程度で、加圧することなく積層し、次いで数分〜3時間圧縮成形し、樹脂を硬化させて得ることができる。用いる接着剤は、接着剤の発明において記載した特徴、性質が全て適用される。具体的な例としては、片面に本発明の断熱用接着剤を刷毛で塗工した黒鉛シート(東洋炭素(株)製、「パーマホイル」)と市販のフェノール系含浸液(昭和高分子(株)製、「ショウノールBRS−3896」)を含浸させ平板6層に積層した炭素繊維フェルトを、150℃、圧力0.015MPaで140分間圧縮成形し、樹脂を硬化させた炭素化前の積層体、及び該積層体の炭素化処理(黒鉛処理)の例を実施例1に挙げた。
前記炭素化前の積層体を、更に、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性雰囲気中或いは真空中(真空度5kPa以下)、好ましくは温度1800〜2600℃、更に好ましくは1900〜2500℃、最も好ましくは2000〜2400℃で、好ましくは2時間以下炭素化処理(黒鉛化処理)し、炭素化された積層体を得ることができる。この様にして得られる炭素化積層体は、炭素繊維フェルト層の嵩密度も高く、該炭素化積層体を黒鉛シートが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクル繰り返す過程で、層の剥がれ、膨れの発生が極めて少なく、真空炉用断熱材として好適に用いることができる。
尚、本発明の炭素化前の積層体及び炭素化積層体には、適宜、本発明の断熱材用接着剤を用いて新たな炭素化成形体を積層し、炭素化処理を行い接着剤を炭素化し新たに積層した炭素化成形体層と強固に結合した炭素化積層体を得ることができる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例の評価は、以下に示す通りである。
平均繊維長
30mlの三角フラスコに10mlのスポイトで5mlの流動パラフィンを量り取る。使用する炭素短繊維からランダムにミクロスパチュラでサンプリングし、前記三角フラスコに加えた後、混合して流動パラフィンに分散させる。この分散液から分注器で300μ1を取り、1枚目のスライドガラスに付け、2枚目のスライドガラスを重ねて圧着させる。これを画像解析装置(ニレコ(株)製、ルーゼックスIIIUを使用)に取り付け、1000〜1300本の測定本数で単繊維の繊維長を測定し、平均繊維長(数平均)を求める。
昇温、冷却の熱サイクル試験
試料を真空炉内に設置し炉内雰囲気を窒素置換した後、窒素を少量流入しながら真空度5kPa以下にし、その状態で常温から昇温速度41℃/時間で2000℃まで昇温して、2000℃で1時間保持し、次いでヒーターの電源を切り、300℃まで自然冷却し、300℃となった後は試料を炉から取り出し、自然冷却した。このサイクルは約72時間/サイクルであった。このサイクルを繰り返し、サンプルに膨れ、剥がれが認められたとき迄の繰り返し回数で、接着剤の接着性を評価する。
(実施例1)
ピッチ系炭素繊維(呉羽化学工業(株)製、「クレカフェルトF−110」)100質量部に、フェノール樹脂系含浸液(昭和高分子(株)製、「ショウノールBRS−3896」44質量部を含浸させ、平板状に6層積層した。
一方、前記フェノール樹脂系含浸液15質量部、粉末フェノール樹脂(カシュウー(株)製、「カシュー樹脂No.05」)25質量部、炭素短繊維(呉羽化学工業(株)製、クレカチョップM−107T)、平均繊維長0.7mm、L/D≒39)10質量部、2−フリルメタノール(純正化学(株)製、純正1級)10質量部、エタノール混合溶液(日本アルコール販売(株)製、「ソルミックスH−23」)40質量部を均一に混合分散させて接着剤を調製した。
次いで、厚さ0.38mmの黒鉛シート(東洋炭素(株)製、「パーマホイル」)の被接着面に前記接着剤を450g/m2の割合で刷毛で塗布し、この黒鉛シートと炭素繊維フェルトを加圧することなく積層し、150℃、圧力0.015MPaで140分間圧縮成形し、樹脂を硬化させた。片側表面に黒鉛シートが積層され、樹脂を硬化させた炭素繊維フェルトを、更に真空中、温度2000℃で1時間、黒鉛化処理し、炭素繊維フェルト層の嵩密度が0.16g/cm3の平板状断熱材を得た。該平板状断熱材を黒鉛シートが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクルを44回繰り返した。その結果、層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(比較例1)
実施例1の接着剤の2−フリルメタノールに代えて、メタノールとした接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして、炭素繊維フェルト層の嵩密度0.16g/cm3の片側表面が黒鉛シートの平板状断熱材を得た。この平板状断熱材を黒鉛シートが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクルを10回繰り返したところ、黒鉛シートが膨れた個所が認められ、一部黒鉛シートが剥離した。
(実施例2)
実施例1の厚さ0.38mmの黒鉛シートに代えて、炭素繊維クロス(呉羽化学工業(株)製、「クレカクロスP−200」)を用いて、この炭素繊維クロスの被接着面に接着剤を700g/m2の割合で刷毛で塗布した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維フェルト層の嵩密度が0.16g/cm2であり、片側表面が炭素繊維クロスの平板状断熱材を得た。この平板状断熱材を炭素繊維クロスが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクルを44回繰り返した。その結果、層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例3)
実施例2で用いたものと同じ炭素繊維クロスの一方の面に実施例1と同じ接着剤を700g/m2の割合で刷毛で塗布した。これを、実施例2の片側表面が炭素繊維クロスの平板状断熱材の炭素繊維クロス面に貼り合わせ、150℃、圧力0.015MPaで140分間圧縮成形し、樹脂を硬化させた。更に真空中、温度2000℃で1時間黒鉛化処理し、炭素繊維フェルト層の嵩密度0.16g/cm3である炭素繊維フェルト/炭素繊維クロス/炭素繊維クロスよりなる三層構造の平板状断熱材を得た。この平板状断熱材を炭素繊維クロスが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクルを44回繰り返した。その結果、層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例4)
実施例1の黒鉛シートに代えて炭素繊維ペーパー(呉羽化学工業(株)製、「クレカペーパーE−204」)を用いて、この炭素繊維ペーパーの被接着面に実施例1と同じ接着剤を500g/m2の割合で刷毛で塗布した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維フェルト層の嵩密度が0.16g/cm3であり、片側表面が炭素繊維ペーパーの平板状断熱材を得た。この平板状断熱材を炭素繊維ぺ一パーが高温側になるように真空炉内に設置し、次いで温度2000℃までの昇温、降温の熱サイクルを44回繰り返した。その結果、層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例5)
実施例1の「ショウノールBRS−3896」の代わりにフェノール樹脂系含浸液(群栄化学(株)製、「レジトップPL−6107」)を用いた他は、実施例1と同様に行った。その結果、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例6)
実施例1で用いた接着剤のフェノール樹脂系含浸液15質量部、粉末フェノール樹脂25質量部、炭素短繊維10質量部、2−フリルメタノール10質量部の代わりに、それぞれ、50質量部、25質量部、9質量部、9質量部とし、エタノール混合溶液40質量部の代わりに水7質量部として接着剤とした、また、窒素ガス雰囲気中、温度2000℃で黒鉛化処理した他は実施例1と同様に行った。その結果、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例7)
実施例1で用いたものと同じ黒鉛シートの一方の面に実施例6で用いた接着剤を450g/m2の割合で刷毛で塗布した。これを、実施例6で得られた2層構造体の片側表面を構成する黒鉛シート面に貼り合わせ、実施例3と同様にして三層構造体を得、同様に試験した。その結果、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例8)
実施例6の「ショウノールBRS−3896」の代わりに群栄化学(株)製,「レジトップPL−6107」とした他は、実施例6と同様に行った。その結果、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例9)
実施例1と同様、平板状に6層積層した後、150℃、圧力0.015MPaで140分間圧縮成形し、樹脂を硬化させた。この硬化された炭素繊維フェルトを、更に真空中、温度2000℃で1時間、黒鉛化処理し、嵩密度が0.16g/cm3の平板状炭素繊維フェルトを得た。
また、接着剤として、フラン樹脂(日立化成工業(株)製、「ヒタフラン303」)60質量部、実施例1の「クレカチョップM−107T」16質量部、黒鉛粉末(日本黒鉛工業(株)製、「HAG−15」)16質量部、実施例1の2−フリルメタノール8質量部を均一に混合分散させた。
次いで、実施例1で用いたものと同じ「パーマホイル」の一方の面に実施例8で用いた接着剤を450g/m2の割合でへらで塗布した。この黒鉛シートと上記平板状炭素繊維フェルトを貼り合わせ、150℃、圧力0.015MPaで140分間圧縮成形し、樹脂を硬化させた後、更に真空中、温度2000℃で1時間、黒鉛化処理し、炭素繊維フェルト層の嵩密度が0.16g/cm3の平板状断熱材を得た。これを実施例1と同様に、熱サイクルを行なったところ、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例10)
実施例9の「パーマホイル」の代わりに実施例2の「クレカクロスP−200」を用い、この炭素繊維クロスの一方の面に700g/m2の割合で接着剤をへらで塗布した他は、実施例9と同様に行なった。その結果、層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。
(実施例11)
実施例9の「パーマホイル」の代わりに実施例4の「クレカペーパーE−204」を用い、この炭素繊維ペーパーの一方の面に500g/m2の割合で接着剤をへらで塗布した他は、実施例9と同様に行なった。その結果、44回繰り返して層の剥がれ、膨れが認められず、真空炉用断熱材として用いることができた。

Claims (23)

  1. 炭素繊維フィラメント、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され、該接着剤の塗布層を介して、他の成形体を積層した後に炭素化処理して得られる断熱材用積層体を得る際に用いられる接着剤であって、
    前記接着剤が、
    (1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
    (2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
    (3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を
    含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部であることを特徴とする断熱材用接着剤。
  2. 前記成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体であり、かつ、前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体であることを特徴とする請求項1記載の断熱材用接着剤。
  3. 前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであることを特徴とする請求項1記載の断熱材用接着剤。
  4. 前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材用接着剤。
  5. 前記炭素化材が前記フラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであることを特徴とする請求項1記載の断熱材用接着剤。
  6. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の断熱材用接着剤。
  7. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維であることを特徴とする請求項1記載の断熱材用接着剤。
  8. 炭素繊維フィラメント、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され、該接着剤の塗布層を介して他の成形体積層された積層体であって、
    前記接着剤が、
    (1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率が40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
    (2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
    (3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を
    含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部である断熱材用接着剤であることを特徴とする前記接着剤が炭素化前の積層体。
  9. 前記成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されており、非酸化性雰囲気下800℃で炭化したときの炭化率が40%以上で、非酸化性雰囲気下2000℃で炭化したときの炭化率が40%以上である成形体であり、かつ、前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体であることを特徴とする請求項8記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  10. 下記の層構成
    (a)黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (b)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (c)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (d)黒鉛シート/接着剤/黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、又は
    (e)炭素繊維含有ペーパー/接着剤/炭素繊維フェルト
    を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  11. 前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである請求項8〜10のいずれかに記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  12. 前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  13. 前記炭素化材がフラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  14. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  15. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維である請求項8〜14のいずれかに記載の前記接着剤が炭素化前の積層体。
  16. 炭素化成形体又は炭素化可能な成形体の少なくとも片面に接着剤が塗布され他の成形体と積層された積層体であって、
    前記接着剤が、
    (1)非酸化性雰囲気下に800℃で炭化したときの炭化率40%以上である、フェノール樹脂又はフラン樹脂からなる炭素化材、
    (2)2−フリルメタノール及び2−フリルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種の、該炭素化材を溶解する複素環式化合物、及び
    (3)炭素短繊維又は該複素環式化合物に不溶な炭素化可能な短繊維であって、平均繊維長が0.1〜1.3mmであり、130≧{平均繊維長/平均繊維径}≧10である短繊維を
    含有し、前記炭素化材100質量部に対して、前記複素環式化合物が15〜100質量部であり、前記短繊維10〜50質量部であることを特徴とする断熱材用接着剤であり、前記積層体が炭素化されているものであることを特徴とする炭素化積層体。
  17. 前記他の成形体が炭素繊維フェルト層を含む成形体であり、かつ、前記炭素化成形体又は前記炭素化可能な成形体が、炭素繊維クロス、炭素繊維含有ペーパー、及び黒鉛シートからなる群から選択されるものであり、さらに炭素化可能な樹脂が含浸され、又は含浸されることなく焼成されたものであることを特徴とする請求項16記載の炭素化積層体。
  18. 下記の層構成
    (a)黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (b)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (c)炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維クロス/接着剤/炭素繊維フェルト、
    (d)黒鉛シート/接着剤/黒鉛シート/接着剤/炭素繊維フェルト、又は
    (e)炭素繊維含有ペーパー/接着剤/炭素繊維フェルト
    を備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の炭素化積層体。
  19. 前記炭素化材が前記フェノール樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである請求項16〜18のいずれかに記載の炭素化積層体。
  20. 前記フェノール樹脂が、フェノール樹脂系含浸液とフェノール樹脂粉末との混合物である請求項16〜19のいずれかに記載の炭素化積層体。
  21. 前記炭素化材がフラン樹脂であり、かつ、前記複素環式化合物が2−フリルメタノールである請求項16〜18のいずれかに記載の炭素化積層体。
  22. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、さらに、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、又は水からなる希釈剤で希釈されていることを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の炭素化積層体。
  23. 前記複素環式化合物が2−フリルメタノールであり、かつ、前記短繊維が炭素短繊維であることを特徴とする請求項16〜22のいずれかに記載の炭素化積層体。
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