JP4582611B2 - 樹脂組成物、ソルダーレジスト樹脂組成物及びこれらの硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカルボン酸樹脂及びそれを用いた光硬化型樹脂組成物並びにその硬化物に関し、特にリジット及びフレキシブルプリント基板、あるいはボールグリッドアレイ(以下BGAという)、チップサイズパッケージング(以下CSPという)、テープキャリアパッケージ(以下TCPという)等の半導体パッケージの製造に使用されるソルダーレジスト、あるいは層間絶縁膜として有用なアルカリ水溶液で現像可能な光硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソルダーレジストは、プリント基板製造において使用されているが、近年BGAやCSPとよばれる新しいパッケージにおいても使用されるようになっている。
このレジストは、メッキまたはソルダリング工程において、ニッケル、金、はんだ等が不必要な部分に付着するのを防ぐ保護膜として必要不可欠な材料である。
【0003】
従来、熱硬化性インキ又は光硬化性インキを用い、スクリーン印刷することによりソルダーレジストを形成する方法が広く用いられてきた。しかしこの方法を用いた場合、印刷時のブリード、滲み、ダレ等の現象により、得られるレジストパターンの精度が減少し、最近のプリント基板の微細化、高密度化、高機能化には対応できなくなってきている。このような回路配線の高密度化に伴い、写真法にてパターンを形成するフォトソルダーレジストが盛んに用いられるようになってきている。この中でも、アルカリ水溶液で現像可能な材料が作業環境面、地球環境面から特に主流になってきており例えば、特開昭64−62375号公報、特開平3−253093号公報、特公平1−54390号公報には、フェノール性又はo−クレゾール性ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させ、更に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られた樹脂を用いたレジスト組成物が開示されている。特開平3−289656号公報にはグリシジル(メタ)アクリレート等を構成成分として共重合し、前述の樹脂と同様にエポキシ基を変性した樹脂を用いた組成物が、また特開平2−97513号公報にはフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、多塩基性カルボン酸又はその無水物と反応させてなるエチレン性不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を用いた組成物が開示されている。
【0004】
最近では、電気・電子部品製造用途やプリント基板製造用途等、広い工業分野で使用され、ますますその応用範囲が広がりつつあることは良く知られている。この応用分野の拡大に伴って、ポリカルボン酸樹脂にますます高い機能と新しい機能の付加が要求されるようになり、電気・電子部品製造用途やプリント基板製造用途を中心に種々の新たなポリカルボン酸樹脂の開発が積極的に進められている。このような新たな高性能・高機能ポリカルボン酸樹脂の開発を目的とした研究の一つとして、硬化物の網目構造へのメソゲン基の導入が試みられている(なおここでいうメソゲンは液晶相を形成するための中心となる原子団のことで剛直な棒状あるいは平面状の構造を持ち、高い配列性を示す基のことである)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高性能・高機能を有する新規ポリカルボン酸樹脂、とりわけ剛直性及び耐熱性とフレキシブル性を併せ持つポリカルボン酸樹脂及びそれを用いた感光性樹脂組成物並びにその硬化物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するため鋭意研究の結果、特定のオリゴマーを使用することによって、希アルカリ水溶液での現像が可能であり、硬化収縮が小さく、その硬化皮膜も密着性、耐薬品性、耐熱等に優れたプリント配線基板用レジスト組成物を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、
【0007】
(1)一般式(1)で表される末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)
【0008】
【化3】
【0009】
(式(1)中、R1は炭素原子数2〜30の価の有機基を示し、R2は炭素原子数2〜240の2価の有機基を示し、nは0又は1以上の整数である。)任意成分としてポリオール化合物(b)との反応物と、分子中に2個のエポキシ基を有しかつ液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)と分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物(c)を反応させて得られるオリゴマー(A)と架橋剤(B)を含有する樹脂組成物、(2)分子中に2個のエポキシ基を有しかつ液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)が、式(2)
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。)で表されるエポキシ化合物である(1)に記載の樹脂組成物、
(3)分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物および桂皮酸の中から選択されたモノカルボン酸である(1)または(2)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(4)オリゴマー(A)の酸価が1〜300mgKOH/gである(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(5)光重合開始剤(C)を含有する(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(6)熱硬化成分(D)を含有する(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(7)プリント配線板のソルダーレジスト用または層間絶縁層用である(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
(8)(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物、
(9)(8)に記載の硬化物の層を有する物品、
(10)プリント配線板である(9)に記載の物品、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、オリゴマー(A)と架橋剤(B)との混合物である。ここで使用されるオリゴマー(A)の酸価は1〜300mgKOH/gが好ましい。
【0013】
本発明で用いられるオリゴマー(A)は、前記したように、前記一般式(1)で表される末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)又は(a)とポリオール化合物(b)との反応物、分子中に2個のエポキシ基を有しかつ液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)と分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物(C)との反応生成物である。
【0014】
(a)成分である末端無水物基を有するポリイミド前駆体は例えば前記一般式(1)で表すことができる。(a)成分は例えば一般式(3)
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R1は炭素原子数が2〜30の4価の有機性基を示す)で表されるテトラカルボン酸二無水物類と一般式(4)
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、R2は炭素原子数が2〜240、好ましくは2〜60より好ましくは2〜30の2価の有機性基を示す)で表されるジアミンとを有機溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0019】
前記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えばピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−又は
【0020】
3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4’−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4’−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタンエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等の芳香族テトラカルボン酸の二無水物、下記一般式(5)
【0021】
【化7】
【0022】
(式中、R5及びR6は一価の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、トリル基、ナフチル基)を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、「リットル」は1以上の整数である)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物、シクロブテンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルカルボン酸、3,4,9,10−ペソレンテトラカルボン酸等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み合わせで使用される。
【0023】
前記一般式(4)で表されるジアミンとしては、特に制限はなく、例えば、2,2−ビス−〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス−〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス−〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス−〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス−〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、ビス〔1−(4−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、ビス〔1−(3−アミノフェノキシ)〕ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)〕ベンゾフェノン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)〕ベンゾフェノン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)〕ベンズアニリド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)〕ベンズアニリド、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、4,4’−(又は3,4’−,3,3’−,2,4’−,2,2’−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4’(又は3,4’−,3,3’−,2,4’−,2,2’)ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(又は3,4’−,3,3’−,2,4’−,2,2’−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−(又は3,4’−,3,3’−,2,4’−,2,2’−)ジアミノジフェニルスルフィド、P−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、P−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、O−トリジン、O−トリジンスルホン、4,4’メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’ベンゾフェノンジアミン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ベンジジン、2,6−ジアミノピリジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスアニリン、4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスアニリン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(6)
【0024】
【化8】
【0025】
(式中、R7及びR8は炭素原子数1〜10の二価の炭化水素を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R9及びR10は一価の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜10)を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン・テクノケミカル(株)製ジェファーミンD−230、D−400、D−200、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2001、EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0026】
(a)成分である末端無水物基を有するポリイミド前駆体は、既に知られた各種方法により製造することができる。例えば、前記テトラカルボン酸無水物とジアミンを必要に応じて用いる有機溶媒中で反応させることにより得ることができる。
【0027】
前記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記一般式(4)で表されるジアミンの使用量は、1.0/0.5〜1.0/0.99(モル)の範囲とするのが好ましく、特に好ましくは1.0/0.5〜1.0〜0.9(モル)である。本発明で使用するポリアミド前駆体(a)の重量平均分子量としては500〜100,000が好ましい。
【0028】
本発明で使用されるポリイミド前駆体を生成する反応に使用する有機溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;ジオキサン、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、トリエチレングリコールジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、テトラエチレングリコール(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を用いることができるが、ラクトン類やカーボネート類が好ましく用いることができる。
【0029】
有機溶媒の使用量は、生成するポリイミド前駆体の1〜10倍(重量比)とすることが好ましい。反応温度は、室温から90℃が好ましい。
【0030】
ポリオール化合物(b)としては、例えばアルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジェンポリオール、フェノーリックポリオール及び/又は難燃ポリオール等が挙げられる。
アルキルポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジェチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等ジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0032】
付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0033】
ポリエーテルポリオールとしては、PEG系、PPG系、PTG系ポリオール等が挙げられる。PEG系ポリオールは、活性水素を有する化合物を反応開始剤として、エチレンオキサイドを付加重合させたもので、分子量は100〜100,000が好ましい。PPG系ポリオールは、活性水素を有する化合物を反応開始剤として、プロピレンオキサイドを付加重合させたもので、分子量は100〜100,000が好ましい。PTG系ポリオールは、テトラヒドロフランのカチオン重合によって合成され、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0034】
上記ポリエーテルオール以外のポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノールAのエチレンキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。
【0035】
その他のポリオールとして、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルとそれ以外の(メタ)アクリル酸エステルの共重合物である(メタ)アクリルポリオール、ブタジエンの共重合物で末端にヒドロキシル基を有するホモ又はコポリマーである、ポリブタジエンポリオール、分子内にフェノール分子を含有するフェノーリックポリオール、エポキシポリオール、リン原子、ハロゲン原子等を含有する難燃ポリオール等が挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。これらポリオール化合物は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
エポキシカルボキシレート化合物(c)としては、分子中に2個のエポキシ基を有しかつ液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)と分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)との反応生成物である。
【0036】
前記、エポキシ化合物(c−1)は、すべて用いることができるが、上記式(2)の化合物が特に好ましい。上記式(2)の化合物を得る方法としては、例えば、Macromel.Chem.Phys.195、279〜287(1994)に記載されているように、P−ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体、P−ヒドロキシアセトフェノン誘導体及びヒドラジンを反応させ得られた多価フェノール化合物をエピハロヒドリン類を反応させるグリシジル化反応により得ることができる。得られた化合物は、結晶構造が崩れることに起因する吸熱ピークとその後の液晶状態で維持されていた配列が乱れ等方状態転移することに起因する吸熱ピークの2つが観察され、液晶性を有する化合物に特有の性質を示す。
このような液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)と分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)との反応は、無溶剤もしくはアルコール性水酸基を有さない溶媒、具体的には例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキルなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤、更には後述する架橋剤(B)等の単独または混合有機溶媒中で反応させることにより得ることができる。
【0037】
反応時には、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応物に対して0.1〜10重量%である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。この反応で使用する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0038】
分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)としては、例えばアクリル酸類やクロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、或いは飽和または不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物が挙げられる。アクリル酸類としては、例えば(メタ)アクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、飽和または不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と当モル反応物である半エステル類、飽和またはは不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との当モル反応物である半エステル類等が挙げられるが、樹脂組成物としたときの感度の点で(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物または桂皮酸が特に好ましい。
【0039】
本発明で用いられるオリゴマー(A)は、例えば以下の様にして製造することができる。まず、一般式(1)で表される末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)又は(a)成分と任意成分としてポリオール化合物(b)を反応させ末端無水物基含有反応物(I)を得、次いでエポキシカルボキシレート化合物(c)を反応させる。
【0040】
末端無水物基含有反応物(I)は、末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)の無水物基1当量に対して、ポリオール化合物(b)の水酸基0.5〜0.99当量反応させるのが好ましい。このエステル化反応の反応温度は60〜150℃、反応時間は1〜10時間が好ましい。
【0041】
次いで、末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)又は、末端無水物基含有反応物(I)にエポキシカルボキシレート化合物(c)を反応させオリゴマー(A)を得る。(a)成分又は反応物(I)の無水物基1当量に対して(c)成分の水酸基1.1〜2.0当量を反応させるのが好ましい。オリゴマー化反応の反応温度は、常温〜100℃、好ましくは50〜90℃である。なお、この反応時には前記の有機溶剤や下記の架橋剤(B)を加えても良い。
【0042】
本発明の感光性樹脂組成物は、オリゴマー(A)、架橋剤(B)、任意成分として光重合開始剤(C)及び任意成分として熱硬化成分(D)を含有することを特徴とする組成物である。オリゴマー(A)の量は、組成物の固形分を100重量部としたとき、30〜90重量部が好ましく、特に好ましくは、40〜80重量部である。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる架橋剤(B)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)と多カルボン酸化合物の酸無水物(例えば、
【0044】
無コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)の反応物であるハーフエステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620、等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物(例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビフェノール型エポキシ樹脂やフェノールノボラックやクレゾールノボラック等のノボラック型エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら、架橋剤(B)の量は、組成物の固形分を100重量部としたとき、5〜50重量部が好ましく、特に好ましくは、10〜40重量部である。)
【0045】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤(C)の具体例としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アルミアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらは、単独または2種以上の混合物として使用でき、その使用量は、架橋剤(B)に対して0〜200重量%用いることが好ましい。さらに、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる任意成分として熱硬化成分(D)の具体例としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0047】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、RE−306(日本化薬(株)製)等があげられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオンカーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等があげられる。
【0048】
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばTACTICX−742(ダウ・ケミカル社製)、エピコートE1032H60(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンEXA−7200(大日本インキ化学工業(株)製)、TACTIX−556(ダウ・ケミカル社製)等があげられる。
【0049】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオンカーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオンカーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等があげられる。
【0050】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばYX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂やYL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコートE157S75(油化シェルエポキシ(株)製)等があげられる。熱硬化成分(D)は、組成物中の固形分を100重量部としたとき、0〜50重量部含有させるのが好ましい。
【0051】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC−7000(日本化薬社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業(株)製)等があげられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)等があげられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC、TEPIC−L、TEPIC−H、TEPIC−S(いずれも日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0052】
本発明の光硬化型樹脂組成物には、更に、塗布適性、耐熱性、密着性、硬度等の特性を向上する目的で、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、テフロン粉、ポリアルキレンビーズ等の充填剤が使用できる。その使用量は、本発明の組成物の固形分を100重量部としたとき、60重量部以下が好ましく、特に好ましくは5〜40重量部である。
【0053】
更に、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/または、レベリング剤のような添加剤類を適量加えることができる。
【0054】
本発明の樹脂組成物は、(A)、(B)成分、また必要に応じて(C)、(D)成分及び前述した充填剤もしくは添加剤等を、好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散等することにより得ることができる。また、主に粘度調整のため、所望により溶剤を併用しても良い。この溶剤は配合成分製造時の溶剤でも良い。溶剤としては、例えばアセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキルなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤類が挙げられる。
【0055】
本発明の光硬化型樹脂組成物は、プリント基板用の液状レジストインキとして有用である他、ポリエチレンテレフタレートのような支持フィルム上に上記の塗布方法を用いて本発明の組成物を塗布、乾燥させ塗膜を得、ポリエチレンフィルムのような保護フィルムを施したドライフィルムレジスト、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0056】
本発明の硬化物は、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線照射により上記の本発明の樹脂組成物を硬化させたものである。可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線照射による硬化は常法により行うことができる。例えば紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(例えばエキシマーレーザー)等の紫外線発生機を用いればよい。本発明の樹脂組成物の硬化物は、柔軟性を有しており、例えば永久レジストとしてスルホールを有するプリント基板のような電気・電子部品に利用される。
【0057】
本発明の基材は、上記の樹脂組成物の硬化物層を有する。この硬化物層の膜厚は5〜160μm程度で、10〜100μm程度が好ましい。本発明の基材は、例えば次のようにして得ることができる。液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント基板のような基材に、直接スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の組成物を塗布し、60〜110℃で乾燥させ、塗膜を得る。その後、ネガフィルムを通して可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線を照射し、必要に応じて露光後ベークを行った後、未露光部分を後述する希アルカリ水溶液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により除去後、必要に応じてエネルギー線を照射し、次いで100〜200℃で加熱処理をすることにより諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント基板が得られる。
【0058】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムのような無機塩の水溶液や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのような有機アミン水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、その温度は、15〜45℃の間で任意に調節することができる。この現像液中に界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例により更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0060】
合成例1
(液晶性を示すエポキシ化合物(cー1)の合成例)
P−ヒドロキシベンズアルデヒド305g、ヒドラジンヒドラート(純度80%)81g、エタノール800g、ジメチルスルホキシド500g、酢酸8gを仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温させ、原料を溶解させた後、75℃の温度で4時間反応させた。冷却後析出物をロ過しエタノールで洗浄後、乾燥させた。得られた化合物240gにエピクロルヒドリン1110g、ジメチルスルホキシド278gを加えて溶解後、45℃に加熱しこの溶液にフレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)85gを90分かけて徐々に添加した。その後45℃で2時間、70℃で3時間反応させ冷却させた。析出した結晶及び無機塩をロ過し、水洗後得られた結晶を真空乾燥させた。熱示差分析の結果、162℃及び179℃の2つにおいて吸熱ピークが現れ、液晶性を示した。また、エポキシ当量は、177g/当量であった。
【0061】
合成例2
(エポキシカルボキシレート化合物(c)の合成例)
合成例1で得た液晶性を示すエポキシ化合物(c−1)362.8g、分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)としてアクリル酸146.2g、反応溶媒としてカルビトールアセテート218.1gを仕込んだ。更に、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを0.36g、反応触媒としてトリフェニルフォスフイン2.18gを添加し、100℃の温度で反応液の酸価が、2mgKOH/g以下になるまで反応させエポキシカルボキシレート化合物(c)を得た。
【0062】
合成例3
(末端無水物基を有するポリイミド前駆体(a)の合成例)
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシノフェニル)プロパン32.8(0.08モル)g、ジェファーミンD−2000(サン・テクノケミカル(株)商品名、ポリオキシアルキレンジアミン、分子量2000)40.0(0.02モル)g及びγ−ブチロラクトン537.2gを仕込んだ後、45℃に昇温し、43〜50℃に保ちながら、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)41.5(0.15モル)g、を少量ずつ添加した。添加後、45℃で約5時間反応を続けた後、室温に冷却して、固形分の酸価(mgKOH/g)167不揮発分20%末端無水物基含有のポリイミド前駆体溶液(a)を得た。
【0063】
合成例4
(オリゴマー(A)の合成例)
合成例3で得た末端無水物基含有ポリイミド前駆体溶液(a)26860g、合成例2で得たエポキシカルボキシレート化合物(c)2139gを仕込み、85℃で10時間反応し、固形分の重量平均分子量20000(GPL法による)で固形分の酸価がmgKOH/gの固形分23.7%のオリゴマー樹脂溶液(A−1)を得た。
【0064】
実施例1、2(樹脂組成物)
表1示す配合組成(数値は重量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルで混練し、本発明の感光性樹脂組成物を調整した。これをスクリーン印刷法により、100メッシュのスクリーンを用いて20μmの厚さになるようにパターン形成されている銅張ガラスエポキシ基板(厚さ約0.8mm)に全面塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。次いで、レジストパターンを有するネガフイルムを塗膜に密着させ紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用いて、紫外線を照射した(露光量500mJ/cm2)。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、未露光部分を溶解除去した。得られたものについて、後述のとおり現像性、解像性、光感度、表面光沢の評価を行った。その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、得られた硬化膜を有する試験片について、後述のとおり基板そり、密着性、鉛筆硬度、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性、耐金メッキ性、耐PCT性、耐熱衝撃性の試験を行なった。それらの結果を表2に示す。
なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
【0065】
(現像性)下記の評価基準を使用した。
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、現像できた。
×・・・・現像時、現像されない部分がある。
【0066】
(解像性)乾燥後の塗膜に、50μmのネガパターンを密着させ積算光量200mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、転写パターンを顕微鏡にて観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
【0067】
(光感度)乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。
【0068】
(表面光沢)乾燥後の塗膜に、500mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、乾燥後の硬化膜を観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・曇りが全く見られない
×・・・・若干の曇りが見られる
【0069】
(基板そり)下記の基準を使用した。
○・・・・基板にそりは見られない
×・・・・基板のそりが見られる
【0070】
(密着性)JIS K5400に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作りセロテープによりピーリング試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、次の基準で評価した。
○・・・・剥れのないもの
×・・・・剥離するもの
【0071】
(鉛筆硬度)JIS K5400に準じて評価を行った。
【0072】
(耐溶剤性)試験片をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0073】
(耐酸性)試験片を10%塩酸水溶液に室温で30分浸漬する。外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0074】
(耐熱性)試験片にロジン系プラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
【0075】
(耐金メッキ性)試験基板を、30℃の酸性脱脂液(日本マクダーミット製、Metex L−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬した後、水洗し、次いで、14.4wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬した後、水洗し、更に10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後水洗した。次に、この基板を30℃の触媒液(メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、水洗し、85℃のニッケルメッキ液(メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬し、ニッケルメッキを行った後、10vol%硫酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗した。次いで、試験基板を95℃の金メッキ液(メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬し、無電解金メッキを行った後、水洗し、更に60℃の温水で3分間浸漬し、水洗し、乾燥した。得られた無電解金メッキ評価基板にセロハン粘着テープを付着し、剥離したときの状態を観察した。
○ :全く異常が無いもの。
×:若干剥がれが観られたもの。
【0076】
(耐PCT性)試験基板を121℃、2気圧の水中で96時間放置後、外観に異常がないか確認した後、セロテープによるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離があるもの
【0077】
(耐熱衝撃性)試験片を、−55℃/30分、125℃/30分を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、試験片を顕微鏡観察し、次の基準で評価した。
○・・・・塗膜にクラックの発生のないもの
×・・・・塗膜にクラックが発生したもの
【0078】
【0079】
注
*1 日本化薬製
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリアクレート樹脂
*2 チバスペシャリティーケミカルズ製
2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノープロパン−1−オン
*3 日本化薬製
2、4−ジエチルチオキサントン
*4 油化シェルエポキシ性
ビフェノール型エポキシ樹脂
*5 日本化薬製
ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂
*6 ビックケミー製:レベリング剤
*7 信越化学製 :消泡剤
【0080】
【0081】
これらの評価から明らかなように、本発明の光硬化型樹脂組成物及びその硬化物は、現像性、感光性、表面硬化性に優れ、その硬化物は、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等に優れている。
【0082】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、パターンを形成したフィルムを通して可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線を照射後、未露光部分を現像する際のアルカリ水溶液現像性、感光性、表面硬化性が良好で、得られた硬化物は、耐屈曲性、耐折性、密着性、耐溶剤性、耐酸性、耐熱性等も十分に満足するものであり、特に、プリント配線板用液状ソルダーレジストインキ組成物に適している。
Claims (10)
- 分子中に1個以上の不飽和二重結合を有するモノカルボン酸(c−2)が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物および桂皮酸の中から選択されたモノカルボン酸である請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 光重合開始剤(C)を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 熱硬化成分(D)を含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- プリント配線板のソルダーレジスト用である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- プリント配線板の層間絶縁層用である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
- 請求項8に記載の硬化物の層を有する物品。
- プリント配線板である請求項9に記載の物品。
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