JP4793815B2 - 感光性樹脂組成物、並びにその硬化物 - Google Patents
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Description
このようにビスフェノールF型エポキシ樹脂はその硬化物性は優れるものの、熱安定性が悪く、特に結晶性の高い、4,4’−ビスフェノールF型のエポキシ樹脂にした場合でも満足できる物ではない。また貯蔵安定性についても同様であり、長期にわたり、感光性樹脂組成物を保存することがあり、取り扱いが難しく、工業的に問題が多く残されている。
(2)エポキシ樹脂が、下記式(2)
(3)アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C)、硬化剤(D)を含有する感光性樹脂組成物であって、硬化剤(D)として上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
(4)前記式(2)においてくり返し数pとrの総和(PR)とqとsの総和(QS)が0.5≦PR/QS≦50であるエポキシ樹脂を含有する上記(2)または(3)に記載の感光性樹脂組成物、
(5)ビスフェノール類が4、4’−ビスフェノールFである上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、
(6)エポキシ樹脂が、ビスフェノール類および/またはビフェノール類をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂とビスフェノール類および/またはビフェノール類を反応させて得られたものである上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、
(7)上記(1)〜(6)に記載の感光性樹脂組成物を表面支持体に塗布して得られるシート状組成物、
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物、
(9)上記(8)に記載の硬化物の層を有する基材、
(10)上記(9)に記載の基材を有する物品
に関する。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル基(アクリル基又はメタアクリル基を意味する)を有する化合物が好ましい。これらの化合物は特開2004−155916等に、アルカリ水溶液可溶性樹脂、架橋剤として開示され、公知のものである。
アルカリ水溶液で溶解除去可能な樹脂であれば特に限定なく使用することが出来、従来公知のアルカリ水溶液可溶性樹脂は何れも使用できる。例えば分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる反応生成物(カルボキシル基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂)等(例1)、また分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(d)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物と、ジイソシアネート化合物(e)、分子中に2個の水酸基を有するカルボン酸化合物(f)、任意のジオール化合物(g)及び、任意の酸無水物との反応生成物等(例2)が挙げられる。
本発明のアルカリ水溶液可溶性樹脂(A)を製造するために用いる分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)は、特にエポキシ当量が、100〜900g/当量のエポキシ化合物(a)であることが望ましい。エポキシ当量が100未満の場合、得られるアルカリ水溶液可溶性樹脂(A)の分子量が小さく成膜が困難となる恐れやフレキシブル性が十分得られなくなる場合が有り、またエポキシ当量が900を超える場合、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)の導入率が低くなり感光性が低下する恐れがある。
アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)を製造するために分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(d)は、特にエポキシ当量が、100〜900g/当量のエポキシ化合物(d)であることが望ましい。エポキシ当量が100g/当量未満の場合、得られるアルカリ水溶液可溶性樹脂(A)の分子量が小さく成膜が困難となる恐れやフレキシブル性が十分得られなくなる場合が有り、またエポキシ当量が900g/当量を超える場合、エチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)の導入率が低くなり感光性が低下する恐れがある。
本発明のアルカリ水溶液可溶性樹脂(A)の製造は、前述の分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)との反応(以下第一の反応という)によりアルコール性水酸基が生成したエポキシカルボキシレート化合物と、多塩基酸無水物(c)を反応(以下第二の反応という)して得られることが出来る。
また、熱重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、3,5−ジターシャリーブチル−4ヒドロキシトルエン等を使用するのが好ましい。
第一の反応は、適宜サンプリングしながら、サンプルの酸化が1mg・KOH/g以下、好ましくは0.5mg・KOH/g以下となった時点を終点とする。
また、熱重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、3,5−ジターシャリーブチル−4ヒドロキシトルエン等を使用するのが好ましい。
第三の反応は、適宜サンプリングしながら、サンプルの酸化が1mg・KOH/g以下、好ましくは0.5mg・KOH/g以下となった時点を終点とする。
尚、この際上述したような溶媒や熱重合禁止剤を使用しても良い。
第三の反応は、適宜サンプリングしながら、サンプルの赤外吸収スペクトルにおける2250cm−1付近の吸収がなくなる時点を終点とする。
アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)は、通常アルカリ水溶液に可溶であるが、上述した溶媒にも可溶であり、ソルダーレジスト、メッキレジスト等に使用した場合、溶剤で現像することも可能である。
従来公知の架橋剤は何れも使用できる。通常エチレン性不飽和基を有する多官能性化合物が好ましく、前記(メタ)アクリル基と他の官能基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物に用いられる架橋剤(B)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)と多カルボン酸化合物の酸無水物(例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)の反応物であるハーフエステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物(例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル等と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの添加割合としては、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100重量%としたとき、通常2〜40重量%、好ましくは、5〜30重量%である。
従来公知の光重合開始剤は何れも使用できる。例えばベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキサイド類等が挙げられ、具体例としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらの添加割合としては、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100重量%としたとき、通常1〜30重量%、好ましくは、2〜25重量%である。
で表される樹脂が好ましい。
硬化剤(D)を使用することで、光硬化後の樹脂硬化物に残存するカルボキシル基と加熱により反応し、さらに強固な薬品耐性を有する硬化物が得られる。
ビスフェノール類としては2個のフェノールを有する化合物であれば特に指定は無く、たとえば特に限定はされないが、式(3)
ビスフェノール類及びビフェノール類とエピハロヒドリンとを混合し、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより得る方法である。
本手法は、前記したような原料ビスフェノール類および/またはビフェノール類をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂(以下、原料エポキシ樹脂という)とビスフェノール類および/またはビフェノール類を反応させる方法である。原料エポキシ樹脂は、市販の化合物を使用しても、ビスフェノール類および/またはビフェノール類をエポキシ化して使用してよい。合成する場合、例えば以下の手法が採用できる。
極性溶剤、エーテル類;ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等、
エステル系の有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等、
ケトン系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等
芳香族系有機溶剤;トルエン、キシレン等
溶剤の使用量はフェノール類と原料エポキシ樹脂の総重量に対し、0〜300重量%、好ましくは0〜100重%である。
充填剤の使用量は、前記4者(本発明のエポキシ樹脂、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C))を含むより好ましい感光性樹脂組成物において、これらの4者の合計に対して、0〜100重量%、好ましくは0〜60重量%程度である。
溶剤の使用量は、前記(A)〜(D)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物において、これらの4者の合計に対して、0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%程度である。
硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩、メラミンなどが挙げられる。
硬化促進剤は感光性樹脂組成物の不揮発分に対して外割で0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%の量が必要に応じ用いられる。また、前記好ましい実施態様においては、硬化促進剤は(A)成分を主剤とする混合物に混合して用いる。
・軟化点
JIS K−7234に記載された方法で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eqである。
攪拌装置、還流管をつけた3Lフラスコ中に、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)として、日本化薬製 EOCN−103S(多官能クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:215.0g/当量)を860.0g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)としてアクリル酸(分子量:72.06)を288.3g、反応用溶媒としてカルビトールアセテートを492.1g、熱重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを4.921g及び反応触媒としてトリフェニルホスフィンを4.921g仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mg・KOH/g以下になるまで反応させ、エポキシカルボキシレート化合物を得た。
次いでこの反応液に反応用溶媒としてカルビトールアセテートを169.8g、多塩基酸無水物(c)としてテトラヒドロ無水フタル酸201.6g仕込み、95℃で4時間反応させ、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)67重量%を含む樹脂溶液を得た(この溶液をA−1とする)。酸価を測定したところ、69.4mg・KOH/g(固形分酸価:103.6mg・KOH/g)であった。
攪拌装置、還流管をつけた3Lフラスコ中に、分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(d)として、日本化薬製 RE−310S(2官能ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、エポキシ当量:184.0g/当量)を368.0g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)としてアクリル酸(分子量:72.06)を141.2g、熱重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテルを1.02g及び反応触媒としてトリフェニルホスフィンを1.53g仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mg・KOH/g以下になるまで反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(理論分子量:509.2)を得た。
次いでこの反応液に反応用溶媒としてカルビトールアセテートを755.5g、分子中に2個の水酸基を有するカルボン酸化合物(f)として、2,2−ビス(ジメチロール)−プロピオン酸(分子量:134.16)を268.3g、熱重合禁止剤として2−メチルハイドロキノンを1.08g、ジオール化合物(g)としてスピログリコール(分子量:304.38)を140.3g加え、45℃に昇温させた。この溶液にジイソシアネート化合物(e)としてトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(分子量:210.27)485.2gを反応温度が65℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、温度を80℃に上昇させ、赤外吸収スペクトル測定法により、2250cm−1付近の吸収がなくなるまで6時間反応させ、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)65重量%を含む樹脂溶液を得た(この溶液をA−2とする)。酸価を測定したところ、52.0mg・KOH/g(固形分酸価:80.0mg・KOH/g)であった。
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、ビスフェノールF(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)100部に対しエピクロルヒドリン370部、メタノール26部を仕込み撹拌下で65〜70℃まで昇温した後、還流条件化でフレーク状水酸化ナトリウム40部を100分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間、後反応を行った。次いで水を150部加えて水洗を2回行い、加熱減圧下で油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを除去した。残留分にメチルイソブチルケトン312部を加えて溶解し、70℃で30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加えて1時間反応を行った。反応後、水洗を3回行い、生成塩などを除去した。加熱減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、ビスフェノールF型エポキシ樹脂150部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は163g/eqの液状のエポキシ樹脂であった。得られたエポキシ樹脂82部及び4、4’−ビフェノール21部、メチルイソブチルケトン30部を加えて撹拌下でトリフェニルホスフィン0.09部を添加した。還流下で10時間反応させた後、溶剤を加熱減圧下留去し、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂(D−1)102部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は421g/eqであった。また、式(2)のPR、QSの配分比(仕込み比、以下同様)はPR/QS≒2.2となった。なお、実施例においては得られたエポキシ樹脂を乳鉢にて粉体としたものを使用した。
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、ビスフェノールF(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)80部、4、4’−ビフェノール20部に対し、エピクロルヒドリン370部、メタノール26部を仕込み撹拌下で65〜70℃まで昇温した後、還流条件化でフレーク状水酸化ナトリウム40部を100分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間、後反応を行った。次いで水を150部加えて水洗を2回行い、加熱減圧下で油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを除去した。残留分にメチルイソブチルケトン460部を加えて溶解し、70℃で30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加えて1時間反応を行った。反応後、水洗を3回行い、生成塩などを除去した。加熱減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、ビスフェノールF型エポキシ樹脂150部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は170g/eqの液状のエポキシ樹脂であった。得られたエポキシ樹脂85部及び4、4’−ビフェノールで表される化合物21部、メチルイソブチルケトン30部を加えて撹拌下でトリフェニルホスフィン0.09部を添加した。還流下で10時間反応させた後、メチルイソブチルケトンを200部加えて30℃まで冷却して結晶を析出させた。この結晶を濾過後乾燥させ白色粉末状の本発明の結晶性エポキシ樹脂(D−2)94部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は422g/eqであった。晶析を行ったため、詳細なPR、QSの配分比は不明だが、仕込み比ではPR/QS≒1.2となる。
前記合成例1及び合成例2で得られた(A−1)、(A−2)及び、合成例3で得られた硬化剤(D−1)更に比較例として市販のビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製エピコート4003P)を用い、表1に示す配合割合(単位は「部」)で混合、3本ロールミルで混練し、本発明及び比較用の感光性樹脂組成物を得た。これをスクリーン印刷法により、乾燥膜厚が15〜25μmの厚さになるようにプリント基板に塗布し塗膜を80℃の熱風乾燥器でそれぞれ30分、40分、50分乾燥させた。次いで、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い回路パターンの描画されたマスクを通して紫外線を照射した。その後、1%炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像を行い、紫外線未照射部の樹脂を除去した。得られた樹脂層付プリント基板を水洗乾燥した後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化反応させ硬化膜付プリント基板を得た。
得られた感光性樹脂組成物、硬化膜付プリント基板について、後述のとおり、タック性、熱安定性、光感度、解像性、密着性、耐メッキ性について試験を行った。なお、熱安定性以外の硬化物性においては塗布後の乾燥時間が30分であるものについて評価を行った。それらの結果を表2に示す。なお、試験方法及び評価方法は次のとおりである。
○・・・・脱脂綿は張り付かない。
×・・・・脱脂綿の糸くずが、膜に張り付く。
○・・・・60秒以内
×・・・・60秒以上
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
○・・・・100/100 異常なし
×・・・・≦99/100
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
○:異常が無いもの。
×:剥がれが観られたもの。
実施例 比較例
注 1 2 1
樹脂溶液
A−1 51.80 51.80
A−2 51.80
架橋剤(B)
DPHA *1 3.38 3.38
HX−220 *2 3.38
光重合開始剤(C)
イルガキュアー907 *3 4.50 4.50 4.50
DETX−S *4 0.45 0.45 0.45
硬化剤(D)
D−1 33.46 33.46
エピコート4003P *5 33.46
硬化促進剤
メラミン 1.00 1.00 1.00
フィラー
硫酸バリウム 15.15 15.15 15.15
フタロシアニングリーン 0.45 0.45 0.45
添加剤
BYK−354 *6 0.39 0.39 0.39
KS−66 *7 0.39 0.39 0.39
溶剤
CA *8 4.87 4.87 4.87
*1 日本化薬製 :ジペンタエリスリトールポリアクリレート
*2 日本化薬製 :ε−カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート
*3 Vantico製 :2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン
*4 日本化薬製 :2,4−ジエチルチオキサントン
*5 ジャパンエポキシレジン製 :ビスフェノールF型エポキシ樹脂
*6 ビックケミー製:レベリング剤
*7 信越化学製 :消泡剤
*8 カルビトールアセテート
実施例 1 2
比較例 1
評価項目
タック性 ○ ○ ○
熱安定性
30分 ○ ○ ○
40分 ○ ○ ×
50分 ○ ○ ×
現像性 ○ ○ ×
解像性 ○ ○ ×
光感度 11 8 5
密着性 ○ ○ ×
耐熱性 ○ ○ ×
耐金メッキ性 ○ ○ ○
実施例3としての感光性樹脂組成物として、合成例2において、カルビトールアセテートをプロピレングリコールモノメチルエーテルに変えた以外は合成例2と同様にして得られた樹脂溶液54.44g、架橋剤(B)としてHX−220(商品名:日本化薬(株)製 ジアクリレート単量体)3.54g、光重合開始剤(C)としてイルガキュアー907(チバスペシャリチィーケミカルズ製)を4.72g及びカヤキュアーDETX−S(日本化薬(株)製)を0.47g、硬化剤成分として合成例4で得られた(D−2)を14.83g、硬化促進剤としてメラミンを1.05g及び濃度調整溶媒としてメチルエチルケトンを20.95g加え、ビーズミルにて混練し、均一に分散させ本発明の感光性樹脂組成物を得た。
比較例2としての感光性樹脂組成物として、実施例3と同じ樹脂溶液54.44g、架橋剤(B)としてHX−220(商品名:日本化薬(株)製 ジアクリレート単量体)3.54g、光重合開始剤(C)としてイルガキュアー907(チバスペシャリチィーケミカルズ製)を4.72g及びカヤキュアーDETX−S(日本化薬(株)製)を0.47g、硬化剤成分としてジャパンエポキシレジン製エピコート4003Pを14.83g、硬化促進剤としてメラミンを1.05g及び濃度調整溶媒としてメチルエチルケトンを20.95g加え、ビーズミルにて混練し均一に分散させ比較用の感光性樹脂組成物を得た。
得られた組成物をロールコート法により、支持フィルムとなるポリエチレンテレフタレートフィルムに均一に塗布し、温度70℃の熱風乾燥炉を通過させ、厚さ30μmの樹脂層を形成した後、この樹脂層上に保護フィルムとなるポリエチレンフィルムを貼り付け、ドライフィルム1(実施例3)、ドライフィルム2(比較例2)を得た。
得られたドライフィルムを室温で1週間放置し、その貯蔵安定性を比較した。比較は、ドライフィルム作成直後と一週間後における現像性でおこなった。評価基準は、現像時に完全にインキが除去され、現像できる時間が60秒以内を○、60秒を越える場合を×とした。結果を以下表3に示す。
なお、評価を行う際の硬化物を得る方法としては以下の操作を行った。
得られたドライフィルムをポリイミドプリント基板(銅回路厚:12μm、ポリイミドフィルム厚:25μm)に、温度80℃の加熱ロールを用いて、保護フィルムを剥離しながら樹脂層を基板全面に貼り付けた。次いで、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い回路パターンの描画されたマスクを通して紫外線を照射した。その後、1%炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像を行い、紫外線未照射部の樹脂を除去した。
実施例 3
比較例 2
ドライフィルム 作成直後 1週間後 作成直後 1週間後
現像性 ○ ○ ○ ×
Claims (9)
- アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C)、硬化剤(D)を含有する感光性樹脂組成物であって、硬化剤(D)として請求項1に記載のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 前記式(2)においてくり返し数pとrの総和(PR)とqとsの総和(QS)が0.5≦PR/QS≦50であるエポキシ樹脂を含有する請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- ビスフェノール類が4、4’−ビスフェノールFである請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- エポキシ樹脂が、ビスフェノール類および/またはビフェノール類をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂とビスフェノール類および/またはビフェノール類を反応させて得られたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を表面支持体に塗布して得られるシート状組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
- 請求項7に記載の硬化物の層を有する基材。
- 請求項8に記載の基材を有する物品。
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