JP4582574B2 - 位相シフトマスクおよびその製造方法 - Google Patents
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図7は、通常のフォトマスクを用いた露光光の様子を表す模式図である。図7において、(a)はフォトマスクの断面形状、(b)はウェーハ上での光の光強度振幅、(c)はその光強度分布をそれぞれ表している。
図7(a)のフォトマスクを透過した光は、図7(b)に表すような光強度振幅をなす。これら透過光の位相は同相であるため、ウェーハ上の遮光領域において光強度振幅が重なり合い、強め合ってしまう。このため、図7(c)に表すように、ウェーハ上の光強度分布は増幅されてしまう。これは隣接する透過領域からの回析光によるもので、この影響により、光コントラストが悪くなり、解像度が劣化する原因となる。
図8は、位相シフトマスクを用いた露光光の様子を表す模式図である。図8において、(a)は位相シフトマスクの断面形状、(b)はウェーハ上での光の光強度振幅、(c)はその光強度分布をそれぞれ表している。
d = λ/2(n−1)
で表される。
図8(a)の位相シフトマスクを透過した光は、図8(b)に表すような光強度振幅をなす。位相シフタ803が設置されるため、隣り合う透過光の位相が反転し、ウェーハ上の光強度振幅は相殺される。したがって、図8(c)に表すように、ウェーハ上の光強度分布はゼロとなる。このように、位相シフタを設けることにより、この部分の露光光の位相が180度シフトし、遮光領域において回折光による影響が打ち消されるので、光コントラストが向上して解像度も向上する。
ドライエッチングとウエットエッチングの両工程を用いて、透明基板901上に形成する位相シフタ902の掘り込み溝をサイドにも形成した構造となっている。このような構造を用いることにより、露光の際に位相シフタの溝の側面で発生する散乱光の透過を防ぐことができる。このため、位相シフタを透過した180度の位相を有する露光光に依存する加工寸法と、透明領域を透過した0度の位相を有する露光光に依存する加工寸法との相違を調整することが可能となる。
図10(a)は位相シフトマスクの上面図、(b)は(a)上の破線B−B’から見た位相シフトマスクの断面形状、(c)はウェーハ上での光強度分布をそれぞれ表す。
図10(c)より、0度透明領域1001と180度透明領域1002との段差部分で位相シフト効果によって光強度は小さくなり、暗い光の領域が発生する。ウェーハ上のレジスト解像に必要な光強度を図10(c)に示すライン1004とすると、段差部分において微細なパターン幅の暗い光(以下、位相シフトによる遮光と呼ぶ)の領域を得ることができる。
また、マスク作製においても、位相シフトマスクとバイナリーマスクの重ね合わせに高い精度が要求される。
さらに露光装置のシステムにおいても、2回露光処理に対応した装置仕様の変更が必要になるなど、種々問題点がある。
すなわち、本発明の一態様によれば、透明材料よりなるマスク基板と、
前記マスク基板の主面の第1の領域に形成される、第1の位相シフト領域と、
前記第1の位相シフト領域に隣接して形成される、第2の位相シフト領域と、
前記第2の位相シフト領域に隣接して形成される、第3の位相シフト領域と、を備え、
前記マスク基板を透過する光と前記第1の位相シフト領域を透過する光との間で生じる位相差は、それぞれの領域を透過する光の干渉光がその境界部分で弱め合うよう設定され、
前記第2の位相シフト領域の前記第1の位相シフト領域に対する位相差、および前記第3の位相シフト領域の前記マスク基板に対する位相差が360度であり、
前記第2の位相シフト領域と前記第3の位相シフト領域を透過する光と、前記第1の位相シフト領域と前記マスク基板を透過する光との間で生じる位相差は、前記第2および第3の位相シフト領域の段差が設けられた境界部分と、前記第3の位相シフト領域と前記マスク基板の段差が設けられた境界部分とにおいて焦点ズレを発生させるよう設定される位相シフトマスクを提供する。
また、 前記第1〜3の位相シフト領域は、前記マスク基板の主面に形成されその深さによって位相差を決定する溝部であり、それぞれの溝部の深さをd1〜d3とすると、
d1 < d3 < d2
となる位相シフトマスクを提供する。
また、前記第1〜3の位相シフト領域は、前記マスク基板の主面に形成されその高さによって位相差を決定する突起部であり、それぞれの透明領域の高さをh1〜h3とすると、
h1 < h3 < h2
となる位相シフトマスクを提供する。
また、前記第1〜3の位相シフト領域のうち少なくとも1つの位相シフト領域が、位相シフト効果を有する半透明膜で形成される位相シフトマスクを提供する。
また、前記マスク基板の位相差を0度としたとき、前記第1の位相シフト領域の位相差は180度、前記第2の位相シフト領域の位相差は540度、前記第3の位相シフト領域の位相差は360度である位相シフトマスクを提供する。
また、前記マスク基板上の任意の部分に、光を透過させない遮光領域を備える位相シフトマスクを提供する。
さらに、本発明の別の態様によれば、透明基板上に第1の遮光膜を成膜する工程と、
前記第1の遮光膜上に電子線レジストを塗布する工程と、
電子ビーム描画と現像により、前記電子線レジストに第1および第2の位相シフト領域となる部分をパターニングする工程と、
前記パターニングされた電子線レジストをマスクとして、前記第1の遮光膜および透明基板をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記電子線レジストと前記第1の遮光膜を剥離する工程と、
前記第1および第2の位相シフト領域となる部分がエッチングされた透明基板上に第2の遮光膜を成膜する工程と、
前記第2の遮光膜上に電子線レジストを塗布する工程と、
電子ビーム描画と現像により、前記電子線レジストに第2および第3の位相シフト領域となる部分をパターニングする工程と、
前記パターニングされた電子線レジストをマスクとして、前記第2の遮光膜および透明基板をエッチングする第2のエッチング工程と、
前記電子線レジストと前記第2の遮光膜とを剥離する工程と、を備え、
前記第2の位相シフト領域と前記第3の位相シフト領域との境界に段差を設けるとともに、前記第3の位相シフト領域と前記マスク基板との境界に段差を設け、前記第2の位相シフト領域の前記第1の位相シフト領域に対する位相差、および前記第3の位相シフト領域の前記透明基板に対する位相差が360度になるように形成する位相シフトマスクの製造方法を提供する。
また、前記第1のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd4、前記第2のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd5であり、
前記第1の位相シフト領域の深さがd4、
前記第2の位相シフト領域の深さがd4+d5、
前記第3の位相シフト領域の深さがd5、となる位相シフトマスクの製造方法を提供する。
ここで、前記第1のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd4と、前記第2のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さが2d4であり、
前記第1の位相シフト領域の深さがd4、
前記第2の位相シフト領域の深さが3d4、
前記第3の位相シフト領域の深さが2d4、とすることができる。
また、露光光の波長をλ、前記透明基板の屈折率をnとすると、
d4 = λ/2(n−1)
となる位相シフトマスクの製造方法を提供する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる位相シフトマスクの構造を表す上面図、(b)は(a)上の破線A−A’から見た位相シフトマスクの断面形状、(c)はウェーハ上での光強度分布をそれぞれ表す。
180度透明領域102と540度透明領域103は、図10(a)に表した位相シフタ1002に相当し、これに隣接して360度透明領域104が設けられている。ちょうど、図11(b)に表した不要な遮光光1102が発生する領域をはさむような形で、540度透明領域と360度透明領域が配置される。
位相シフタの溝部の深さdは、露光光の波長をλ、透明基板の屈折率をnとすると、以下の式で表される。
d = λ/2(n−1)
ここで、
λ = 157.6
n = 1.68
とすると、
d = 0.11(μm)
となる。
従って、位相シフタ102を基準面(0マイクロメータ)とすると、位相シフタ103の深さは0.22マイクロメータ、位相シフタ104の深さは0.11マイクロメータとなる。図3において、曲線301〜303は位相シフタの高さを、0マイクロメータ、0.11マイクロメータ、0.22マイクロメータとしたときの、光強度分布を表す曲線である。この図表より明らかなように、位相シフタの高さが高くなるほど光コントラストは小さくなり、暗部での光強度が強くなる。各位相シフタを透過する光強度分布を合成すると、図1(c)に表した光強度分布となる。
図4(a)は、図1(a)に表す位相相シフトマスクである。この位相シフトマスクを用いて露光処理を行うと、図1で説明したように、不要な遮光光が発生しない。従って、所望の遮光光401のみをダイレクトに得ることが可能となり、従来用いていたバイナリーマスクは不要となる。
図5は、図1(a)に表す位相シフトマスクの製造工程を表す模式図である。
透明基板501の材料としては、適用する露光光の波長157ミリメートル以上において、85パーセント以上の透過率を有する石英ガラスが有効である。遮光膜502の材料としては、例えば157ナノメータ以上の波長の光においては、透過率が0.5パーセント以下であるクロム(Cr)が有効である。
透明基板501のドライエッチングを行う場合は、平行平板型反応性イオンエッチング(RIE)法を適用する。例えば、透明基板が石英ガラスの場合、エッチングガスは、テトラフルオロメタン(CF4)と酸素(O2)を流量比率20:1に制御して適用する。
遮光膜502の剥離液としては、過塩素酸(HClO4)と硝酸第二セリウムアンモニウム(Ce(No3)4・2NH4NO3)との混合液が適用される。この際、露出している透明基板501との剥離耐性は十分でなければならない。
最後に、図5(f)に表すように、電子線レジスト506と遮光膜505を剥離する。第1工程以降を第2工程とすると、第2工程により、第1工程により加工された透明基板501上の360度透明領域と540度透明領域に相当する領域に溝部が形成される。この溝部のエッチング量を360度の位相差となるように形成する。遮光膜505および電子線レジスト506の材料およびこれらの加工条件に関しては、第1工程と同様なので、説明を割愛する。
図6は、本発明の別の実施の形態にかかる位相シフトマスクの構造を表す模式図である。
図6(b)は透明基板605上に、位相シフタとして例えばクロムフロライド(CrF)等の半透明膜が形成されている。半透明膜は、180度半透明領域606、540度半透明領域607、360度半透明領域608となり、厚みに応じて露光光に位相差を与える。 図6(c)は、位相シフタとして、溝部と例えばクロムフロライド(CrF)等の半透明膜が形成されており、それぞれ180度位相シフト領域610、540度位相シフト領域611、360度位相シフト領域612となる。
図6(d)は、位相シフタとして、突起部と例えばクロムフロライド(CrF)等の半透明膜が形成されており、それぞれ180度位相シフト領域614、540度位相シフト領域615、360度位相シフト領域616となる。(c)(d)において、溝部もしくは突起部と半透明膜の組み合わせは一例であり、その組み合わせはパターン形状等を考慮して最適な形態を選べばよい。 また、本発明の位相シフトマスクの形態はこの限りではなく、露光光に任意の位相差を与えるもので、この位相差によってウェーハ上での光強度を本願発明に趣旨に沿って調整できるのものであれば、その範囲に含まれる。
102、602、606、610、614、1002 180度透明領域
103、603、607、611、615 540度透明領域
104、604、608、612、616 360度透明領域
105、702 遮光領域
200 荷電粒子線露光装置
201 露光光
202 光源
203 露光投影系レンズ
204 ステージ
401、1101、1102 遮光光
501、601、605、701、801、901 透明基板
502、505 遮光膜
503、507 電子線レジスト
504 電子ビーム
506 電子線レジスト
703 透過領域
802、1003、1103 遮光領域
803、902、803 位相シフタ
804、1104 透明領域
1105 透明光
M マスク
W ウェーハ
Claims (10)
- 透明材料よりなるマスク基板と、
前記マスク基板の主面の第1の領域に形成される、第1の位相シフト領域と、
前記第1の位相シフト領域に隣接して形成される、第2の位相シフト領域と、
前記第2の位相シフト領域に隣接して形成される、第3の位相シフト領域と、を備え、
前記マスク基板を透過する光と前記第1の位相シフト領域を透過する光との間で生じる位相差は、それぞれの領域を透過する光の干渉光がその境界部分で弱め合うよう設定され、
前記第2の位相シフト領域の前記第1の位相シフト領域に対する位相差、および前記第3の位相シフト領域の前記マスク基板に対する位相差が360度であり、
前記第2の位相シフト領域と前記第3の位相シフト領域を透過する光と、前記第1の位相シフト領域と前記マスク基板を透過する光との間で生じる位相差は、前記第2および第3の位相シフト領域の段差が設けられた境界部分と、前記第3の位相シフト領域と前記マスク基板の段差が設けられた境界部分とにおいて焦点ズレを発生するよう設定されることを特徴とする位相シフトマスク。 - 前記第1〜3の位相シフト領域は、前記マスク基板の主面に形成されその深さによって位相差を決定する溝部であり、それぞれの溝部の深さをd1〜d3とすると、
d1 < d3 < d2
となることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスク。 - 前記第1〜3の位相シフト領域は、前記マスク基板の主面に形成されその高さによって位相差を決定する突起部であり、それぞれの透明領域の高さをh1〜h3とすると、
h3 < h1 < h2
となることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスク。 - 前記第1〜3の位相シフト領域のうち少なくとも1つの位相シフト領域が、位相シフト効果を有する半透明膜で形成されることを特徴とする請求項1〜3記載の位相シフトマスク。
- 前記マスク基板の位相差を0度としたとき、前記第1の位相シフト領域の位相差は180度、前記第2の位相シフト領域の位相差は540度、前記第3の位相シフト領域の位相差は360度であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1つに記載の位相シフトマスク。
- 前記マスク基板上の任意の部分に、光を透過させない遮光領域を備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか1つに記載の位相シフトマスク。
- 透明基板上に第1の遮光膜を成膜する工程と、
前記第1の遮光膜上に電子線レジストを塗布する工程と、
電子ビーム描画と現像により、前記電子線レジストに第1および第2の位相シフト領域となる部分をパターニングする工程と、
前記パターニングされた電子線レジストをマスクとして、前記第1の遮光膜および透明基板をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記電子線レジストと前記第1の遮光膜を剥離する工程と、
前記第1および第2の位相シフト領域となる部分がエッチングされた透明基板上に第2の遮光膜を成膜する工程と、
前記第2の遮光膜上に電子線レジストを塗布する工程と、
電子ビーム描画と現像により、前記電子線レジストに第2および第3の位相シフト領域となる部分をパターニングする工程と、
前記パターニングされた電子線レジストをマスクとして、前記第2の遮光膜および透明基板をエッチングする第2のエッチング工程と、
前記電子線レジストと前記第2の遮光膜とを剥離する工程と、を備え、
前記第2の位相シフト領域と前記第3の位相シフト領域との境界に段差を設けるとともに、前記第3の位相シフト領域と前記マスク基板との境界に段差を設け、前記第2の位相シフト領域の前記第1の位相シフト領域に対する位相差、および前記第3の位相シフト領域の前記透明基板に対する位相差が360度になるように形成することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - 前記第1のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd4、前記第2のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd5であり、
前記第1の位相シフト領域の深さがd4、
前記第2の位相シフト領域の深さがd4+d5、
前記第3の位相シフト領域の深さがd5、となることを特徴とする請求項7記載の位相シフトマスクの製造方法。 - 前記第1のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さがd4と、前記第2のエッチング工程によりエッチングされる前記透明基板の深さが2d4であり、
前記第1の位相シフト領域の深さがd4、
前記第2の位相シフト領域の深さが3d4、
前記第3の位相シフト領域の深さが2d4、となることを特徴とする請求項7記載の位相シフトマスクの製造方法。 - 露光光の波長をλ、前記透明基板の屈折率をnとすると、
d4 = λ/2(n−1)
となることを特徴とする請求項8もしくは9記載の位相シフトマスクの製造方法。
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