JP4582450B2 - 真空成膜装置の搬送機構 - Google Patents

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Description

本発明は真空成膜装置の搬送機構に関するものであり、更に詳しくは、真空成膜装置の側壁を挿通され、基板搬送用のトレイやキャリアを搬送する搬送ローラの回転軸として、大気側回転軸と真空側回転軸がマグネットカップリングされ、真空側回転軸が軸心方向に移動可能とされた回転軸が使用されている搬送機構に関するものである。
例えば液晶表示パネルやPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用としてガラス基板の一面に真空蒸着、スパッタリング、CVD(化学的気相成長)などの方法によって必要な材料の薄膜を形成させることが行われている。そして、その薄膜を形成させる真空成膜装置においては、未成膜のガラス基板を大気側から真空下の真空成膜装置へ搬入し、基板を例えばキャリアに載置して真空成膜装置内を搬送し、その搬送の途中でガラス基板に成膜した後、成膜されたガラス基板はキャリアから取り外して真空成膜装置から搬出し、キャリアはふたたび未成膜のガラス基板を載置して真空成膜装置内を循環させることが行われている。これは、キャリアを大気側へ出すことによって水分が付着し、そのまま使用すると真空成膜装置内へ付着水分を持ち込むことになるほか、真空成膜装置の外で温度低下したキャリアを真空成膜装置内へ持ち込めば、キャリアを加熱して温度上昇させることを要し、エネルギーロスが大になることから、これらを回避するためである。
上記のようにキャリアを循環して使用する真空成膜装置においては、ガラス基板を真空成膜装置内へ搬入するに際しては大気側で仕込トレイに載置したガラス基板を真空成膜装置内のキャリアに移し換えることを要し、成膜済みのガラス基板を大気側へ取り出すに際しても真空成膜装置内のキャリアに載置されている成膜済みのガラス基板を取出トレイに移し換えることを要する。
(従来例1)
従来例1のインライン式真空成膜装置は、トレイに載置された基板を真空成膜装置内でキャリアに移し換えるのではなく、成膜チャンバ内へ搬入した基板を成膜チャンバ内で循環されるトレイに移し換えることが行われている。その移し換えは、基板搬入ユニットの回転するコロによって両側の端部を支持され搬送される基板が所定位置に達すると、基板の底面を受ける受板が両側から挿入されて基板を支持し、 基板を搬送してきたコロは基板搬入ユニットと共に両外側の退避位置へ移動される。そして、下方の待機位置にあった基板搬送ユニットがそのコロ上のトレイと共に上昇されて、受板に支持されている基板をトレイに載せ、両側の受板はそれぞれ外側の退避位置へ移動される。その後、基板搬送ユニットは基板を載置したトレイと共には更に上昇され、上昇位置でコロの駆動源と連結されてトレイが基板と共に搬送されるようになっているものである。この真空成膜装置においては、基板搬入ユニットのコロは搬入位置と退避位置との間を往復されることから、コロの回転軸と、真空成膜装置の大気側に取り付けられている駆動モータの回転軸とはスライドジョイントを介して連結されているが、スライドジョイントの構成については説明されていない(特許文献1を参照)。
特開平9−279341号公報(従来例2)
図13はガラス基板への成膜を連続的に行う真空成膜装置10の構成を示す概略的な側面図である。仕込トレイに載置されたガラス基板は同真空成膜装置10の左端部上段の仕込室1から移載室2へ搬入され、移載室2の上段側で仕込トレイからキャリアに移し換えられて往路の上行搬送路10uとなる搬送室3を搬送され、他端部のエレベータ室4で復路の下行搬送路10dへ下降される。下行搬送路10dでは、ガラス基板は加熱室5で所定の温度に加熱され、前後に隔離部を備えた蒸着室6で下面に成膜された後、第1冷却室7、第2冷却室8で冷却されて移載室2の下段側へ送り込まれ、成膜されたガラス基板はキャリアから取出トレイへ移し換えられ、取出室9へ取り出されるようになっている。なお、仕込室1は大気側に存在するガラス基板を仕込室1へ搬入する時に、取出室9は成膜済みガラス基板を大気側へ搬出する時に大気オープンとされるので、常時真空に維持される移載室2から第2冷却室8までとは異なり、厳密には真空成膜装置とは言えない室である。
図14は図13の移載室2における搬送ローラの配置を概念的に示す分解斜視図である。移載室2の両側壁2s内にはローラ類が3段に配置されているが、これらが重なって示され図面が不明瞭とならないように、上段の搬入ローラ21のみを仕込トレイTcと共に移載室2から分離して示した。従って、破断して示した移載室2においては、上段の搬入ローラ21は、その位置を丸印で示した。そして、移載室2の大気側には搬送ローラ22の回転軸にプーリ27が取り付けられており、搬送ローラ23の回転軸にプーリ28が取り付けられている。搬入ローラ21の回転軸に取り付けられているプーリ26は、その位置を丸印で示した。
側壁2s内に配置されているローラの内、上段の搬入ローラ21はガラス基板Gが載置された仕込トレイTcを移載室2の奥まで搬入するローラである。中段の搬送ローラ22は仕込トレイTcから移し換えられたガラス基板Gを載置するキャリアCを上行搬送路10uの搬送室3へ送り出すローラであり、下段の搬送ローラ23は下行搬送路10dの第2冷却室8から送り込まれるキャリアCから成膜済みのガラス基板Gが移し換えられた取出トレイTo(図示されていない)を取出室9へ送り出すローラである。
図14では仕込トレイTcを示しており、その形状は四角形の挿入側の一辺を欠落させた「山」字形状とされている。これは仕込トレイTcからガラス基板Gを押し上げて仕込トレイTcを引き抜く時に、ガラス基板Gの周縁部を支持して押し上げている昇降ピンと接触しないようにしたものであり、仕込トレイTcの幅方向の中央部に設けられており、根元側が広幅で先端側が狭幅の板部分を主体にガラス基板Gが載置される。そして仕込トレイTcの周囲に配置された一点差線で示す複数のシリンダーは移載室2の天井壁に取り付けられており、移載室2へ搬入された仕込トレイTcを掴んで位置ずれ等を調整して位置決めすることに使用されるものである。図示していないが取出室9から移載室2へ挿入される取出トレイToも同様な「山」字形状である。また、図示せずともキャリアは「口」字形状のフレームであって、トレイと同等のサイズであり、内周縁部にガラス基板Gの周縁部が載置されるようになっている。
仕込トレイTcの動作は挿入、引き戻しのみで上下動はないこと、挿入位置から下降されるガラス基板Gの幅は上段の両側の搬入ローラ21の間隔よりも小さく、搬入ローラ21はガラス基板Gの下降の支障とならないことから、両側壁2sの搬入ローラ21の間隔は固定である。これに対して、搬入ローラ21で搬入された仕込トレイTcからガラス基板GをキャリアCへ移し換えるには、キャリアCを下方から上昇させると共に、ガラス基板Gを仕込トレイTcから上方へ押し上げ、仕込トレイTcを引き抜いてから、ガラス基板Gを下降させてキャリアC上へ載置される。
成膜済みのガラス基板GをキャリアCから取出トレイToへ移し換えるに際しても、キャリアCを搬送ローラ23よりも下側へ下降させ、キャリアCからガラス基板Gを押し上げた状態で、 取出トレイToを搬送ローラ23上へ挿入し、ガラス基板を下降させて取出トレイTo上に載置することを要する。すなわち、両側壁2sの搬送ローラ23の間隔よりも横幅が広いキャリアCを移載室2内で上下させる必要上、搬送ローラ23をキャリアCの搬送位置から外側の退避位置へ移動させ、両側壁2sの搬送ローラ23の間の間隔を広げることを要する。このことは中段の搬送ローラ22についても同様に要求される。
搬送ローラの上記搬送位置と退避位置との間の移動に関して、真空成膜装置に使用されている従来例2の搬送機構90においては、その縦断面図である図15に示すように、搬送ローラ93の回転軸91が移載室2’の側壁2s’を挿通している箇所で、大気側と真空側との真空シールのためにステンレス・ベローズ96が使用されている。すなわち、移載室2’の側壁2s’に対して、キャリアCを搬送する搬送ローラ93と大気側のプーリ98を両端部に備え、真空シール軸受94に軸支された回転軸91が取付部材92によって可動部95に取り付けられており、側壁2s’の開口2h’から回転軸91と搬送ローラ93が移載室2’内へ挿入されている。そして、真空シール軸受94を内部に囲うように円筒状のステンレス・ベローズ96が設けられており、ステンレス・ベローズ96の一端は取付部材92に取り付けられ、他端は移載室2’の側壁2s’に取り付けられている。従って、搬送ローラ93が取り付けられた可動部材95を図15において左方へ一点鎖線で示す位置へ移動させて搬送ローラ93を退避位置としても、ステンレス・ベローズ96が伸びることにより移載室2の真空度は維持されるようにしたものである。
従来例2の搬送機構においては、大気側と真空側とを真空シールするために使用されているステンレス・ベローズ96は、その中心軸と搬送ローラ93の回転軸91の軸心とを一致させて取り付けることが要求されるので、作業の難度が高く取り付けに時間を要するほか、搬送ローラ93の搬送位置と退避位置とのストロークを大きくし難いと言う問題がある。そのほか、高い精度で取り付けたステンレス・ベローズ96の伸縮の繰り返し寿命は100万回程度とされているが、実際にはその半分程度の伸縮の繰り返しでステンレス・ベローズ96にクラックを生ずる。クラックは補修がきかないのでステンレス・ベローズ96の交換を要するが、ステンレス・ベローズ96は高価であり、また使用する個数が多いので、真空成膜装置の製造コストを押し上げる要因となっている。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、ステンレス・ベローズを必要としない真空成膜装置の搬送機構、搬送ローラの搬送位置から退避位置までのストロークが大きい搬送機構、更には幅サイズの異なる基板の成膜にも使用され得る搬送機構を提供することを課題とする。
上記の課題解決手段を説明すれば次に示す如くである。
本発明の真空成膜装置の搬送機構は、平板状の基板へ成膜する真空成膜装置の両側の側壁において大気側から真空側へ挿通される搬送ローラの回転軸が大気側回転軸部と真空側回転軸部とからなり、かつ前記大気側回転軸部と前記真空側回転軸部は、それぞれに設けられたマグネットにより、前記大気側回転軸部に気密に取り付けられた真空隔壁を介して、マグネットカップリングされた位置と 前記マグネットカップリングが解除された位置との二位置を取り得るようになっており、前記真空側回転軸部の真空側の端部には、大気側と前記真空成膜装置との間で前記基板を搬入し搬出するトレイ、または前記真空成膜装置内での前記基板の搬送に使用されるキャリアを支持して搬送する前記搬送ローラが取り付けられ、前記大気側回転軸部の大気側の端部には前記回転軸の回転用駆動機構が取り付けられている搬送機構である。
このような真空成膜装置の搬送機構は、 側壁を挿通された搬送ローラの回転軸を真空シールした状態で大気側から回転させることができる。また、大気側回転軸部と真空側回転軸部とのマグネットカップリングを解除して真空側回転軸部を側壁側へ移動させることにより、真空側回転軸部に取り付けられた搬送ローラの位置を移動させ、両側の側壁の真空側回転軸部に取り付けられた搬送ローラ間の間隔を広げることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構は、前記真空側回転軸部がブラケットに取り付けられており、前記ブラケットが前記側壁の大気側に設置されたエアシリンダによって前記側壁側へ牽引されることにより、前記マグネットカップリングが解除される位置となって前記真空側回転軸部に取り付けられた前記搬送ローラが前記トレイまたは前記キャリアの搬送位置から退避位置へ移動されて、両側の前記搬送ローラ間の間隔が広げられ、前記ブラケットが前記エアシリンダによって押し戻されることにより、前記搬送ローラが前記退避位置から前記搬送位置へ復帰される搬送機構である。
このような真空成膜装置の搬送機構は、マグネットカップリングを機械的に解除し、かつ復帰させて、搬送ローラを搬送位置と退避位置との間で往復させることを可能にする。また、複数本の回転軸の真空側回転軸部をブラケットで束ねることにより、複数個の搬送ローラを同時に移動させることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構は、前記トレイから前記キャリアへの前記基板の移し換え、または前記キャリアから前記トレイへの前記基板の移し換えに際し、上昇または下降される前記キャリアの支障とならないように、前記搬送ローラが前記退避位置とされる搬送機構である。
このような真空成膜装置の搬送機構は、両側壁の搬送ローラを退避位置として搬送ローラ間の間隔を広げることができ、基板の移し換えに際して、キャリアを支障なく上昇または下降させることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構は、平板状の基板へ成膜する真空成膜装置の両側の側壁において大気側から真空側へ挿通される搬送ローラの回転軸が大気側回転軸部と真空側回転軸部とからなり、かつ前記大気側回転軸部と前記真空側回転軸部は、それぞれに設けられたマグネットにより、前記大気側回転軸部に気密に取り付けられた真空隔壁を介して、複数のマグネットカップリング位置を取り得るようになっており、前記真空側回転軸部の真空側の端部には、大気側と前記真空成膜装置との間で前記基板を搬入し搬出するトレイ、または前記真空成膜装置内での前記基板の搬送に使用されるキャリアを支持して搬送する前記搬送ローラが取り付けられ、前記大気側回転軸部の大気側の端部には前記回転軸の回転用駆動機構が取り付けられている搬送機構である。
このような真空成膜装置の搬送機構は、側壁を挿通された搬送ローラの回転軸を真空シールした状態で大気側から回転させることができる。また、大気側回転軸部と真空側回転軸部とのマグネットカップリングの位置を変更することにより、両側の側壁の真空側回転軸部に取り付けられた搬送ローラ間の間隔を複数段に調整することができる。
真空側回転軸部に取り付けられた搬送ローラをキャリアやトレイの搬送位置から退避位置へ移動させることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構によれば、搬送ローラの回転軸を側壁で真空シールして回転させるべく、大気側回転軸部と真空側回転軸部とを、真空隔壁を介して、マグネットカップリングさせているので、真空シールにステンレス・ベローズを使用する場合と比較して損傷を受け難く、真空成膜装置の稼動率を高める。更に、大気側回転軸部と真空側回転軸部とのマグネットカップリングを解除して真空側回転軸部を側壁側へ移動させることにより、両側の側壁の搬送ローラ間の間隔を広げてキャリアを上下方向に移動させることができる。また、搬送ローラの移動のストロークを大きく取ることができ、真空成膜装置を設計する上での自由度を高める。
本発明の真空成膜装置の搬送機構によれば、搬送ローラの回転軸の真空側回転軸部がブラケットに取り付けられているので、複数本の回転軸を設ける場合に、それぞれの真空側回転軸部をブラケットで束ねて、複数個の搬送ローラを同時に退避させ復帰させることができ、搬送ローラの退避機構を簡略化させることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構によれば、トレイからキャリアへの基板の移し換え、またはキャリアからトレイへの基板の移し換えに際し、上昇または下降されるキャリアの支障とならないように、搬送ローラを搬送位置から退避位置へ移動させ、両側壁の搬送ローラ間の間隔を広げることができるので、真空成膜装置内での基板の移し換えを円滑に進めることができる。
本発明の真空成膜装置の搬送機構によれば、大気側回転軸部に対して真空側回転軸部がその移動方向の複数の位置でマグネットカップリングが可能とされているので、両側壁の搬送ローラ間の間隔を複数段で広げることができ、かつ各段において大気側回転軸部に対して真空側回転軸部がマグネットカップリングされて、大気側回転軸部の回転の駆動力を真空側回転軸部に伝達することができ、幅サイズの異なる基板に対応したキャリアを搬送することができる。
本発明の一形態に係る真空成膜装置の搬送機構は、平板状の基板へ成膜する真空成膜装置の両側の側壁において大気側から真空側へ挿通される搬送ローラの回転軸が大気側回転軸部と真空側回転軸部とからなり、かつ前記大気側回転軸部と前記真空側回転軸部は、それぞれに設けられたマグネットにより、前記大気側回転軸部に気密に取り付けられた真空隔壁を介して、マグネットカップリングされた位置と 前記マグネットカップリングが解除された位置との二位置を取り得るようになっており、前記真空側回転軸部の真空側の端部には、大気側と前記真空成膜装置との間で前記基板を搬入し搬出するトレイ、または前記真空成膜装置内での前記基板の搬送に使用されるキャリアを支持して搬送する前記搬送ローラが取り付けられ、前記大気側回転軸部の大気側の端部には前記回転軸の回転用駆動機構が取り付けられている搬送機構である。
トレイまたはキャリアを搬送する搬送ローラの回転軸は、搬送するトレイまたはキャリアの搬送方向の長さによって適切な本数が使用され、真空成膜装置の両側壁に垂直な方向に同一水平面内に並べられる。回転軸の回転駆動機構として代表的なものには駆動モータによってベルト駆動されるプーリがある。その場合、複数本の搬送ローラのうち、搬送方向の下流端側の回転軸の搬送ローラを駆動ローラとし、それ以外の搬送ローラは従動ローラとされる。そして、各搬送ローラがスリップすることなく同期して回転するように、各回転軸のプーリにはタイミングベルトが装着される。そのほか、各回転軸をギアで連結して回転させることもできる。
回転軸を構成する大気側回転軸部と真空側回転軸部とのマグネットカップリングは、例えば、外周面に大気側永久磁石を嵌め込んだ大気側円筒状部材を大気側回転軸部の真空側端部に取り付け、大気側円筒状部材が真空隔壁を介して挿入される真空側の円筒状部材の内周面に上記大気側永久磁石と対向して反対極の真空側永久磁石を嵌め込み、その真空側の円筒状部材を真空側回転軸部の大気側端部に取り付けることによって形成させることができる。そして、真空側回転軸部は、大気側永久磁石に対して真空側永久磁石がマグネットカップリングされる位置と、マグネットカップリングが解除される位置とを取れるように構成される。例えば、真空側回転軸部をその軸心に沿って大気側回転軸部へ近接させ大気側永久磁石が存在しない位置まで移動させることによってマグネットカップリングを解除することができる。このようにして、真空側永久磁石がマグネットカップリングされる位置は真空側回転軸部の搬送ローラがトレイやキャリアを搬送する搬送位置となり、真空側永久磁石がマグネットカップリングを解除される位置は搬送ローラの退避位置となる。真空隔壁はステンレス製有底円筒とされ、開口側が大気側回転軸部に真空ろう付して気密に取り付けられる。
大気側回転軸部に対する真空側回転軸部のマグネットカップリングの形成と解除は、固定されている大気側回転軸部に対し、真空側回転軸部を軸心に沿って機械的に移動させることによって行われる。例えば、真空側回転軸部をブラケットに取り付け、そのブラケットを真空成膜装置の側壁の大気側に設置したエアシリンダによって牽引することにより、マグネットカップリングを解除することができ、ブラケットを押し戻すことによってマグネットカップリングの形成させることができる。
キャリアを支持して搬送する搬送ローラを搬送位置と退避位置との間で往復可能にすることは、両側壁の搬送ローラ間の間隔より横幅が大きいキャリアを真空成膜装置内で上昇させ下降させる場合に好都合である。例えば、キャリアからトレイへ成膜済みの基板を移し換える際には、キャリアから基板を押し上げた後、搬送ローラを搬送位置から退避位置へ移動させ、両側壁の搬送ローラ間の間隔を広げてキャリアを搬送ローラの高さ位置よりも下降させる。次いで、搬送ローラを退避位置から元の搬送位置へ戻して、搬送ローラ上に取出トレイを挿入し、基板を取出トレイ上に降ろしてから、取出トレイは搬送ローラで搬出される。その後、両側壁の搬送ローラ間の間隔を広げて、キャリアは挿入されている仕込トレイの下方へ上昇され、仕込トレイから基板が移し換えられる。このように、トレイとキャリアとの間での基板の移し換えに際して、搬送ローラは搬送位置と退避位置との間を往復される。
本発明の他の形態に係る真空成膜装置の搬送機構は、平板状の基板へ成膜する真空成膜装置の両側の側壁において大気側から真空側へ挿通される搬送ローラの回転軸が大気側回転軸部と真空側回転軸部とからなり、かつ前記大気側回転軸部と前記真空側回転軸部は、それぞれに設けられたマグネットにより、前記大気側回転軸部に気密に取り付けられた真空隔壁を介して、複数のマグネットカップリングされる位置を取り得るようになっており、前記真空側回転軸部の真空側の端部には、大気側と前記真空成膜装置との間で前記基板を搬入し搬出するトレイ、または前記真空成膜装置内での前記基板の搬送に使用されるキャリアを支持して搬送する前記搬送ローラが取り付けられ、前記大気側回転軸部の大気側の端部には前記回転軸の回転用駆動機構が取り付けられている搬送機構である。
本発明の一形態に係る真空成膜装置の搬送機構は、大気側回転軸部に対して真空側回転軸部 がマグネットカップリングされた位置と、マグネットカップリングが解除された位置との二位置を取り得るものであるが、本発明の他の形態に係る真空成膜装置の搬送機構は、大気側回転軸部と真空側回転軸部とが複数のマグネットカップリング位置を取り得るようにしたものである。複数のマグネットカップリング位置は、例えば真空側回転軸部に1個の永久磁石を取り付け、大気側回転軸部には複数個の永久磁石を軸心方向に並べて取り付けたものとすることによって可能である。例えば、外周面に複数個の大気側永久磁石を軸心方向に並べて配置した大気側円筒状部材を大気側回転軸部の真空側端部に取り付け、大気側円筒状部材が真空隔壁を介して挿入される真空側円筒状部材の内周面に上記大気側永久磁石に対向する反対極の真空側永久磁石を嵌め込み、その真空側円筒状部材を真空側回転軸部の大気側端部に取り付けることによって形成させることができる。複数としたマグネットカップリング位置の各位置において、大気側回転軸部による回転の駆動力が真空側回転軸部真空側回転軸へ伝達される。なお、本発明の上記他の形態に係る真空成膜装置の搬送機構におけるマグネットカップリング以外の構成要素は本発明の上記一形態に係る真空成膜装置におけるマグネットカップリング以外の搬送要素と同一とされる。

真空側回転軸部が大気側回転軸部の軸心方向の複数の位置でマグネットカップリングを可能としていることにより、両側壁の真空側回転軸部に取り付けられている搬送ローラ間の間隔を複数段に設定することができるので、横幅サイズの異なるトレイやキャリアの搬送を可能とし、このことは真空成膜装置を横幅サイズの異なる基板への成膜が可能なものとする。また、マグネットカップリング位置を2箇所として、2箇所の内、真空側回転軸部が真空側のマグネットカップリング位置にある時の搬送ローラの位置をトレイやキャリアの搬送位置とし、真空側回転軸部が大気側のマグネットカップリング位置にある時の搬送ローラの位置を退避位置とすることもできる。
図1は、実施例1の搬送機構20が取り付けられた図13の真空成膜装置10の移載室2を搬送方向に沿って見た縦断面図である。すなわち、実施例1の搬送機構20は、搬送ローラ23(搬送ローラ22も同様)の搬送位置と退避位置との移動を可能とするために、順次、詳しく説明するが、搬送ローラ23の回転軸31として大気側回転軸と真空側回転軸とをマグネットカップリングさせたものを使用している。そして、図2は図1における[2]−[2]線方向の断面図である。以下に先ず、マグネットカップリングされた回転軸31による搬送機構20が取り付けられている移載室2について説明する。
図1における移載室2の左側の側壁2sを参照し、移載室2の側壁2sを挿通されている上段の回転軸31の真空側の端部には搬入ローラ21、大気側の端部には回転用のプーリ26が取り付けられている。 上述したように回転軸31はマグネットカップリングされた回転軸である。移載室の側壁2sを挿通されている中段の回転軸31の真空側の端部には搬送ローラ22、大気側の端部には回転用のプーリ27が取り付けられている。同様、移載室2の側壁2sを挿通されている下段の回転軸31の真空側の端部には搬送ローラ23、 大気側の端部にはプーリ28が取り付けられている。なお、搬入ローラ21は搬送位置と退避位置との間を移動されることはないので、マグネットカップリングされた回転軸31は搬入ローラ21に不可欠な要素ではなく、単なる回転軸であってもよい。
対応する図2を参照して、移載室2の左側の側壁2sには、図14で示した分解斜視図と同様、搬送ローラ23とプーリ28を両端部に有するマグネットカップリングされた回転軸31が6本配置されている。 そして、大気側の6個のプーリ28には、図示せずともタイミングベルト29が巻装されており、図示を省略したモータが起動されることにより6個のプーリ28は同期して回転される。このことは、上段のプーリ26、中段のプーリ27についても同様である。そして、6本の回転軸31のうち、図2において上方となる第2冷却室8側の3本と、下方となる取出室9側の3本は、それぞれ搬送ローラ23側が退避機構50のブラケット51に取り付けられており、ブラケット51は移載室2の側壁2sを磁気シール部52により挿通された連結ロッド53によって作動板54と連結されている。
そして作動板54と連結されたブラケット51がエアシリンダ55によって牽引され押し戻されることによって、搬送ローラ23が搬送位置と退避位置とを往復するようになっている。上記のマグネットカップリングされた回転軸31の詳細は後述する。 なお、図2においては、右側の側壁2sに取り付けられた6本の回転軸31とそれらの退避機構50の図示は省略している。また、図1においても、左側の側壁2sには退避機構50の図示を省略しており、右側の側壁2sには退避機構50を図示しているが、6本の回転軸31の図示は省略している。
更には、図1に示したキャリア・トレイ昇降機構60が、図2に示すように、二点鎖線で示す取出トレイToの中心を通る取出トレイToの搬送方向に2箇所、幅方向に2箇所の4箇所に対称的に設置されており、図1に示したガラス基板昇降機構70が、図2に示すように、一点鎖線で示したガラス基板Gの中心位置に設置されている。そして、図1を参照し、ガラス基板昇降機構70の昇降軸71に取り付けられたフレーム72には、ガラス基板Gに先端が当接して基板を昇降させる複数の昇降ピン73が、図2に破線で示すように、ガラス基板Gの全周の周縁部を支持するように配置されている。
次に、搬送ローラ23が取り付けられているマグネットカップリングされた回転軸31を例として、マグネットカップリングされた回転軸を詳しく説明する。図3はマグネットカップリングされた回転軸31の断面図であり、図3において二点鎖線で示す移載室2の側壁2sの右方が真空側(移載室2)であり、左方が大気側である。そして、回転軸31の真空側の先端部には搬送ローラ23、大気側の先端部にはプーリ28が取り付けられている。また、回転軸31の大気側においては、移載室2の側壁2sへ気密に取り付けられた取付板35にフランジ34が固定されており、そのフランジ34に対して軸受ケーシング33が鍔部33fで固定されている。
この軸受ケーシング33内に保持された軸受32a、32bの内輪に大気側回転軸31aが軸支されており、同回転軸31aの真空側の先端には、円筒状の永久磁石Mを外周面に嵌め込んだ磁性部材37がネジ止めされている。また磁性部材37を覆う有底円筒形状の真空隔壁38が、その開口側の端部を軸受ケーシング33の外周面とフランジ34の切込み34gとの間に挿入して、真空隔壁38の挿入の先端とフランジ34の内周面とを符号Pで示すように環状に隅肉溶接的に真空ろう付し、かつ真空隔壁38の外周面がフランジ34の真空側の面と接する箇所を符号Qで示すように環状に隅肉溶接的に真空ろう付することにより、大気側と真空側とを気密にシールしている。そして、真空隔壁38と取付板35の真空側の面に固定された円筒状のスリーブ36とが側壁2sの開口2hから移載室2内へ挿入されている。
他方、回転軸31の真空側では、軸受ケーシング43がブラケット51に取り付けられており、その軸受ケーシング43内に保持された軸受42a、42bの内輪に真空側回転軸31bが軸支されている。そして、同回転軸31bの大気側の先端には、真空隔壁38内の永久磁石Mに対して同心の永久磁石Nを内周面に嵌め込んだ円筒形状の磁性部材47の底面側がネジ止めされており、対向させた永久磁石Mの例えばS極と永久磁石NのN極とによってマグネットカップリングが形成されている。すなわち、大気側回転軸31aがプーリ28によって回転されることにより、マグネットカップリングを介して真空側回転軸31bが回転されるようになっている。また、磁性部材47と大気側のスリーブ36との間には、軸受ケーシング43の大気側のフランジ部43fに磁性部材47と同心のスリーブ46が取り付けられている。なお、スリーブ36とスリーブ46とが重なっている部分では、スリーブ36の内周面にスライドブッシュ36bが嵌め込まれている。以上に説明したように、実施例1の搬送機構では、大気側と真空側が真空隔壁38によって区画されている。
そして、図2も参照して、搬送ローラ23の退避機構50のエアシリンダ55が作動されて、連結ロッド53がブラケット51を大気側へ牽引することにより、図3に示す搬送ローラ23が取り付けられた真空側回転軸31bはマグネットカップリングの力に打ち勝って大気側へ移動され、真空側回転軸31bに属する永久磁石Nは網目で示す位置まで移動される。以上説明したように、図3において、永久磁石Mと永久磁石Nとがマグネットカップリングを形成している時の搬送ローラ23の位置がキャリアCを搬送する搬送位置であり、マグネットカップリングが解除されて磁性部材47が一点鎖線で示す位置へ移動された時の搬送ローラ23の位置が退避位置である。
図4は図3のマグネットカップリングされた回転軸31が移載室2の側壁2sに取り付けられた状態を示す部分破断斜視図である。マグネットカップリングされた回転軸31の構成は図3と同様であるので、その説明は省略するが、回転軸31が取付板35によって移載室2の側壁2sに取り付けられ、側壁2sの開口2hから真空側へ挿入されている。そして真空側の軸受ケーシング43の先端部はブラケット51に取り付けられており、ブラケット51の外側となる回転軸31bの先端部には搬送ローラ23が取り付けられる。
また、大気側回転軸31aの大気側の先端部に取り付けられたプーリ28にはタイミングベルト29が巻装されており、プーリ28は図示されないモータによってベルト駆動される。そして、ブラケット51は磁気シール52を介して側壁2sを挿通された連結ロッド53によって作動板54と連結されており、作動板54がエアシリンダ55によって牽引されることにより、搬送ローラ23は搬送位置から退避位置へ移動される。そして、図5は退避機構50の連結ロッド53によってブラケット51が大気側へ牽引されたことにより、大気側回転軸31aと真空側回転軸31bとのマグネットカップリングが解除されて、真空側回転軸31bが大気側へ移動された状態を示す斜視図である。すなわち、真空側回転軸31bに取り付けられる搬送ローラ23は退避位置へ移動されることになる。
上段の左右の搬入ローラ21は退避位置への移動は行われないが、中段の搬送ローラ22は下段の搬送ローラ23と同様、上述したエアシリンダ55によって搬送位置と退避位置との間を往復される。従って、下段の搬送ローラ23についてその移動を説明する。
図6から図10までは図1における左側の側壁2sに取り付けられた搬送ローラ23の搬送位置と退避位置との間の移動、キャリアCの昇降、および取出トレイToの挿入、ガラス基板Gの搬出等の作用をステップ的に示す図である。なお、図6から図10までにおいて、移載室2の側壁2sの左側は大気側、右側は移載室2であり真空側である。そしてキャリアCを搬送ローラ23の近辺で上昇または下降させた場合の搬送ローラ23からの距離は他の部分と比例関係には示されていない。
図6−Aは成膜済みのガラス基板Gを載置したキャリアCが紙面の裏側となる第2冷却室8から搬送ローラ23によって移載室2の下段部へ搬入されてきた状態を示す。図6−Bはキャリア・トレイ昇降機構60の昇降軸61が上昇され、その先端のフローティング用のボール63によって、キャリアCが搬送ローラ23から一定の高さ位置に上昇され、フローティングされている状態を示す。このフローティング状態において、キャリアCは搬送方向と幅方向とについて位置決めされるが、その操作は搬送ローラ23の移動とは直接の関係はないので、位置決め操作の説明は省略する。
続く図7−Cは搬送ローラ23が搬送位置から左方の退避位置へ例えば50mm移動された状態を示す。図示せずとも、右側の側壁2sに取り付けられた搬送ローラ23は右方の退避位置へ移動される。図7−Dはキャリア・トレイ昇降機構60の昇降軸61が下降されて、キャリアCが最下の位置へ下降された状態を示す。続いて図8−Eは搬送ローラ23が搬送位置へ戻された状態を示す。この状態においてガラス基板昇降機構70の昇降軸71が上昇されて基板昇降ピン73を上昇させる。図8−Fは基板昇降ピン73の先端がガラス基板Gの下面に当接してガラス基板Gを上昇させ、ガラス基板GがキャリアCから押し上げられた状態を示す。なお、基板昇降ピン73はガラス基板Gの全周の周縁部を一定の間隔で支持するように配置されている。
続く図9−Gは、図8−FのキャリアCとガラス基板Gとの間に、取出トレイToが紙面の手前側から移載室2内へ挿入され搬送ローラ23上に乗せられた状態を示す。図9−Hは、ガラス基板昇降機構70の昇降軸71が下降されてガラス基板Gが取出トレイToに載置された状態を示す。そして、図10−Iに示すように、取出トレイToは搬送ローラ23によってガラス基板Gと共に手前側の取出室9へ取り出される。その後、図10−Jに示すように、搬送ローラ23は退避位置へ移動され、続いてキャリアCは移載室2の上段側へ上昇され、上段側において、仕込室1から挿入されている仕込トレイTc上のガラス基板GがキャリアCへ移し換えられ、キャリアCはガラス基板Gと共に中段の搬送ローラ22によって上行搬送路10uへ送り込まれる。この仕込トレイTcからキャリアCへのガラス基板Gの移し換えに際しても、中段の搬送ローラ22は搬送位置と退避位置との間を往復される。
図11は、実施例2の大気側回転軸部に対して真空側回転軸部が二位置においてマグネットカップリングが可能な回転軸を有する搬送機構についてのマグネットカップリング部分を示す断面図である。 しかし、マグネットカップリング部分以外は、実施例1で示した搬送機構と同様であるので、図11は図3と共通の符号を付している。図11において、二点鎖線で示す移載室2の側壁2sの右方は真空側(移載室2)であり、左方は大気側である。そして、図示せずとも回転軸31の真空側の先端部には搬送ローラ、大気側の先端部にはプーリが取り付けられている。
図11において、大気側の軸受ケーシング33内に保持された軸受32a、32bの内輪に軸支されている大気側回転軸31aの真空側の先端には、円筒状の永久磁石M1 および永久磁石M2 を外周面に嵌め込んだ磁性部材37’がネジ止めされている。また、この磁性部材37’を覆う有底円筒形状の真空隔壁38’が、その開口側の端部を軸受ケーシング33の外周面とフランジ34の切込み34gとの間に挿入して、符号Pと符号Qで示す箇所において隅肉溶接的に真空ろう付されて大気側と真空側とを気密にシールしていることは実施例1の場合と同様である。なお、図3と寸法が異なる構成要素には符号に(’)を付した。
他方、真空側の軸受ケーシング43内に保持された軸受42a、42bの内輪に軸支されている真空側回転軸31bの大気側の先端には、真空隔壁38’内の永久磁石M1 、永久磁石M2 に対して同心の永久磁石Nを内周面に嵌め込んだ円筒形状の磁性部材47の底面側がネジ止めされている。すなわち、真空側回転軸31bの永久磁石Nは、大気側回転軸31aの永久磁石M1 および永久磁石M2 との二位置においてマグネットカップリングされるようになっているので、図示しないエアシリンダによって図11に示す真空側回転軸31bが図において左方へ移動されると、真空側回転軸31bに取り付けられている永久磁石Nは、大気側回転軸31aに取り付けられている永久磁石M1 とのマグネットカップリングが解除されて隣の永久磁石M2 とマグネットカップリングされる。
従って、ベルト駆動される大気側回転軸31aの回転の駆動力は、大気側回転軸31aの永久磁石M2 と真空側回転軸31bの永久磁石Nとのマグネットカップリングを介して真空側回転軸31bに伝達され、真空側回転軸31bの真空側端部に取り付けられている図示されていない搬送ローラ23を回転させる。このように、真空側回転軸31bはマグネットカップリングされる二位置において何れも搬送ローラ23が回転されることから、両側の側壁の搬送ローラ23の間の間隔が変更されても回転されるので、幅サイズが異なるキャリアCを搬送することができる。
以上、本発明のマグネットカップリングした回転軸による搬送機構を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれに限られることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば図3において、真空隔壁38、すなわち、内部に大気側回転軸31aとその先端の永久磁石Mを備えた磁性部材37とが挿入されている真空隔壁38を移載室2の側壁2sの開口2hから真空側(移載室2)へ挿入されている構成を示したが、図12に示すように、先端部に永久磁石Mを備えた真空側回転軸80bが挿入された真空隔壁88を移載室の側壁2sの開口2hの大気側に取り付け、その真空隔壁88が中空の大気側回転軸80a内に挿入された構成とすることもできる。なお、図12−Aは、中空の大気側回転軸80aの内周面に2個の永久磁石Mを軸心方向に並べて2個所のカップリング位置を設けたものである。また、図12−Bは、図12−Aとほぼ同様な構成であるが、2個所のカップリング位置のほかに、真空隔壁88’の奥に真空側回転軸80bが大気側回転軸80aとマグネットカップリングされない位置を設けた構成を示す。
また実施例1においては、移載室2内で仕込トレイTcに載置されたガラス基板GをキャリアCへ移し換えて蒸着室6で成膜し、成膜されたガラス基板Gを移載室2内でキャリアCから取出トレイToへ移し換える場合を示したが、仕込トレイTcや取出トレイToを使用せずに、移載室2内へガラス基板Gの単体を搬入してキャリアCへ移し換え、成膜されたガラス基板を移載室2内でキャリアCから取り出し、成膜されたガラス基板のみを移載室2から搬出する場合にも本発明の搬送装置は適用される。
また各実施例においては、マグネットカップリングさせるものとして永久磁石と永久磁石との組み合わせを採用したが、永久磁石と強磁性体との組み合わせであってもよい。
また各実施例においては、ガラス基板に成膜する場合の搬送機構を示したが、真空下において熱処理やプラズマエッチング等の処理を行う場合の搬送機構としても適用することが可能である。
また各実施例においては、ガラス基板に成膜する真空成膜装置における基板の搬送機構を示したが、基板はガラス以外のもの、例えば半導体基板や、ステンレス板等の金属板、プラスチック板であってもよい。
実施例1の搬送機構が取り付けられた真空成膜装置の移載室の構成を示す縦断面図である。 図1における[2]−[2]線方向の断面図である。 実施例1の搬送機構に使用されている搬送ローラのマグネットカップリングされた回転軸の断面図である。 図3のマグネットカップリングされた回転軸が移載室の一方の側壁に取り付けられた状態を示す部分破断斜視図であり、搬送ローラは搬送位置にある。 搬送ローラが退避位置とされた時のマグネットカップリングされた回転軸を示す部分破断斜視図である。 図6から図10までは、移載室において、成膜済みのガラス基板をキャリアから取出トレイへ移し換える過程をステップ的に示す図であり、その間における搬送ローラの搬送位置と退避位置との移動を示す。 図6に続いてガラス基板の移し換えのステップを示す図である。 図7に続いてガラス基板の移し換えのステップを示す図である。 図8に続いてガラス基板の移し換えのステップを示す図である。 図9に続いてガラス基板の移し換えのステップを示す図である。 実施例2の搬送装置のマグネットカップリング部分を示す断面図である。 マグネットカップリングされた回転軸の変形例を示す図である。 真空成膜装置の構成を示す概略的側面図である。 図13の真空成膜装置内の移載室における搬送ローラの配置を示す分解斜視図である。 移載室に設けられた従来例2の搬送機構を示す断面図である。
符号の説明
2・・・移載室、 2s・・・側壁、 2h・・・開口、
10・・・真空成膜装置、 23・・・搬送ローラ、 28・・・プーリ、
31・・・回転軸、 31a・・・大気側回転軸、 31b・・・真空側回転軸、
32a・・・軸受、 32b・・・軸受、 33・・・軸受ケーシング、
34・・・フランジ、 35・・・取付板、 36・・・スリーブ、
37・・・磁性部材、 38 ・・・真空隔壁、 42a・・・軸受、
42b・・・軸受 、 43・・・軸受ケーシング、 46・・・スリーブ、
47・・・磁性部材、 50・・・退避機構、 51・・・ブラケット、
52・・・磁気シール部、 53・・・連結ロッド、 54・・・作動板、
55・・・エアシリンダ、 60・・・キャリア・トレイ昇降機構 、
61・・・昇降軸、 70・・・ガラス基板昇降機構 、 71・・・昇降軸
73 昇降ピン、
C・・・キャリア、 G・・・ガラス基板、 M・・・永久磁石、
N・・・永久磁石、 Tc・・・仕込トレイ、 To・・・取出トレイ

Claims (3)

  1. 平板状の基板の搬送方向に沿って見た真空成膜装置の両側の側壁に前記搬送方向に沿って各々設けられ、大気側回転軸部と真空側回転軸部とからなる複数の回転軸と、
    前記真空側回転軸部の端部各々に取り付けられた複数の搬送ローラと、
    前記大気側回転軸部各々を同期して回転させるための回転駆動機構と、
    前記真空側回転軸部各々を回転可能に支持するブラケットと、前記側壁の大気側に設置され前記ブラケットを移動させるためのエアシリンダとを有し、前記複数の搬送ローラで大気側と前記真空成膜装置との間で基板を搬入し搬出するトレイ、または、前記真空成膜装置内での前記基板の搬送に使用されるキャリアの下面を支持する搬送位置と、前記複数の搬送ローラを前記搬送位置から前記側壁側へ退避させた退避位置との間で、前記真空側回転軸部各々を軸心に沿って前記大気側回転軸部に対して同時に往復移動させる退避機構と、
    前記大気側回転軸部各々に取り付けられた円筒状の第1の永久磁石と、前記真空側回転軸部各々に取り付けられた円筒状の第2の永久磁石と、前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に配置され両側の前記側壁各々に気密に取り付けられた真空隔壁とを有し、前記搬送位置で前記第1の永久磁石が前記第2の永久磁石と対向することにより、前記大気側回転軸部とともに前記真空側回転軸部を回転させることで前記キャリアまたは前記トレイを搬送するマグネットカップリングと、
    前記複数の搬送ローラが前記退避位置へ退避したときに、前記キャリア又は前記トレイを前記搬送ローラに対して昇降させる第1の昇降機構と、
    を備えた真空成膜装置の搬送機構。
  2. 前記キャリア又は前記トレイに対して前記基板を昇降させる第2の昇降機構をさらに具備し、
    前記第2の昇降機構は、前記第1の昇降機構に支持された前記キャリアと、前記搬送位置にある前記複数の搬送ローラに支持された前記トレイとの間で、前記基板を移載する請求項1に記載の真空成膜装置の搬送機構。
  3. 前記大気側回転軸部各々は、前記搬送位置と前記退避位置との間で前記第2の永久磁石と対向する円筒状の第3の永久磁石をそれぞれ有する請求項1に記載の真空成膜装置の搬送機構。
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