JP4581892B2 - ロボット制御装置 - Google Patents

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本発明は、モータの駆動回路を備えたロボット制御装置に関する。
ロボットに具備されたモータ例えばブラシレスモータは、ロボット制御装置に搭載されたインバータにより駆動される。モータ駆動中にシステム異常が生じると、モータを直ちに停止させる必要がある。特許文献1には、同期モータの緊急停止を速やかに行うための同期モータ制御回路が示されている。この同期モータ制御回路は、同期モータを緊急停止する場合、インバータを構成する全てのスイッチング素子をオフするとともに、直流電源線間に回生抵抗を介して接続されたスイッチング素子をオンし、同期モータからの回生電力を直流電源線側にバイパスして回生抵抗で消費させるように制御する。
特開2001−204184号公報
上記同期モータ制御回路は、回生抵抗での電力消費を利用した停止制御を行っているが、停止までに比較的長い時間を要するという欠点がある。そこで、ロボット制御装置においては、より短い時間でモータを停止させるため、インバータの上アーム側のスイッチング素子を全てオフするとともに下アーム側のスイッチング素子を全てオンすることによりモータの各端子間を電気的に短絡する手段が用いられている。
図4は、このロボット制御装置におけるモータ駆動回路の構成を示している。ロボット制御装置がモータを駆動する場合、三相の交流電源1からパワーリレー2の接点2R、2S、2Tとコンバータ3とを介して直流電源線4、5間に直流電圧VDCが出力され、インバータ6からモータ7に交流電圧が出力される。直流電源線4、5間には、平滑用のコンデンサ8、回生抵抗9とトランジスタ10(スイッチの記号で示す)とからなる回生回路11、および短絡用のスイッチとして機能するリレー接点12が並列に接続されており、モータ駆動状態においてトランジスタ10とリレー接点12はオフされている。
これに対し、ロボット制御装置が、システム異常として例えばIGBTQ4〜Q6の駆動用電圧の低下を検出してモータ7を緊急停止させる場合、制御回路13は、図5に示すようにシステム異常検出信号に応じてリレー接点2R、2S、2Tをオフするとともに、IGBTQ1〜Q3に対するオフ指令信号とIGBTQ4〜Q6に対するオン指令信号を出力する。そして、リレー接点2R、2S、2Tが確実にオフした後、リレー接点12をオンする。その結果、IGBTQ4〜Q6の駆動用電圧が低下してIGBTQ4〜Q6がオンできない場合でも、モータ7の端子からインバータ6のダイオードD1〜D6とリレー接点12とを介した短絡回路が形成され、より短い時間でモータを停止させることができる。
しかしながら、このロボット制御装置においてリレー接点12をオンすると、リレー接点12にはコンデンサ8の短絡による過大な電流が流れるので、接点部の溶着などが生じ易いという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、直流電源線間に接続された短絡用のスイッチの故障を防止しつつシステム異常時にモータを短時間で停止できるロボット制御装置を提供することにある。
請求項1に記載した手段によれば、システム異常が検出された時、コンバータによる電圧出力が停止するとともに、直流電源線間に回生抵抗を介して接続された第1のスイッチが閉じられる。これにより、直流電源線間に接続されたコンデンサから回生抵抗に電流が流れ、直流電圧が低下する。このとき、例えばインバータを電流還流モード(ブリッジ構成であれば上アームまたは下アームの素子を全てオンするモード)に切り替えると、回転しているモータからインバータの内部素子を経由して短絡電流が流れ、モータにダイナミックブレーキ(短絡ブレーキ)が作用する。
しかしながら、上記システム異常によってインバータを電流還流モードに切り替えることができない場合もある。この場合には、インバータの内部回路に短絡経路は形成されず、モータからインバータ内の還流ダイオード、直流電源線、回生抵抗および第1のスイッチを介した電流経路が形成され、モータに回生ブレーキが作用する。
こうしたブレーキが作用した状態で、直流電圧が第2のスイッチの耐量に応じて定められた所定のしきい値電圧以下にまで低下した時、直流電源線間に直接接続された第2のスイッチが閉じられる。この場合、既に上述のダイナミックブレーキが作用していればその作用が継続する。また、上述の回生ブレーキが作用していれば、モータからインバータ内の還流ダイオード、直流電源線および第2のスイッチを介した電流短絡経路が新たに形成され、モータにダイナミックブレーキが作用する。
すなわち、本手段によれば、最終的に直流電源線間が第2のスイッチを介して短絡されるので、システム異常によってインバータを電流還流モードに切り替えることができない場合であってもダイナミックブレーキを作用させることができ、回生ブレーキのみを用いた場合に比べて短い時間でモータを停止させることができる。そして、第2のスイッチは、直流電圧が所定のしきい値電圧以下にまで低下した時に閉じられるので、閉じられた時に第2のスイッチに流れる短絡電流あるいは発生損失は当該スイッチの耐量以下に制限され、過大な電流あるいは過大な損失による第2のスイッチの故障を確実に防止することができる。
請求項2に記載した手段によれば、インバータはブリッジ接続されたスイッチング素子により構成されており、このスイッチング素子の動作異常をシステム異常として検出する。つまり、システム異常が検出されると、多くの場合にはスイッチング素子を正常にオンすることができず、インバータにおいて上記電流還流モードは形成されない。従って、本手段によるシステム異常の検出方法を用いれば、第2のスイッチを短絡してダイナミックブレーキを作用させる上記短絡制御が特に有効に作用する。
請求項3に記載した手段によれば、第1および第2のスイッチを半導体素子により構成したので、小型化、制御性の向上、信頼性の向上が図られる。
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図3を参照しながら説明する。
図1は、ロボット制御装置におけるモータ駆動回路の電気的構成図であり、従来構成を示す図4と同一部分には同一符号を付している。また、部分的に図4よりも詳細に示している。ロボット(図示せず)にはその可動部(関節)を動かすための複数のモータ7が設けられており、ロボット制御装置は、各モータ7を駆動するためのモータ駆動回路21を備えている。モータ7はブラシレスモータであり、そのロータ位置を検出するためにロータリーエンコーダ22が取り付けられている。
三相200Vの交流電源1とコンバータ3との間には、パワーリレー2の接点2a(2R、2S、2T)が介在している。これらのリレー接点2a(2R、2S、2T)は、リレーコイル2bへの通電により閉じるようになっている。コンバータ3は、ダイオードを三相ブリッジ接続してなる周知の回路構成を備えており、インバータ6は、IGBTQ1〜Q6とダイオードD1〜D6とを三相ブリッジ接続してなる周知の回路構成を備えている。
インバータ6とその駆動回路23は、インテリジェントパワーモジュール(IPM)として一体的に構成されている。駆動回路23は、駆動用電源の供給を受けて動作し、制御回路24から与えられるオン/オフ指令信号に従ってIGBTQ1〜Q6をオンオフ駆動するようになっている。また、インバータ6にアーム短絡が生じた時、過熱状態となった時および駆動用電源電圧が低下した時に、制御回路24に対しエラー信号Fo(システム異常検出信号)を出力するようになっている。
直流電源線4、5間に接続された回生回路11は、回生抵抗9とMOSFETQ7(図4に示すトランジスタ10と等価)との直列回路により構成されている。また、直流電源線4、5間には、図3に示すリレー接点12に替えてMOSFETQ8が接続されている。これらMOSFETQ7、Q8は、それぞれ本発明でいう第1のスイッチ、第2のスイッチに相当する。駆動回路25、26は、それぞれ制御回路24から与えられるオン/オフ指令信号に従ってMOSFETQ7、Q8を駆動するようになっている。さらに、直流電源線4、5間の直流電圧VDCを検出する電圧検出回路27(電圧検出手段に相当)が設けられている。
制御回路24(制御手段に相当)は、CPU、メモリ(RAM、ROM、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ)、I/O回路、PWM信号生成回路、タイマ回路、A/D変換回路、表示装置(LED、液晶表示パネル等)などを備えて構成されている。具体的には、I/O回路においてロータリーエンコーダ22からの信号を入力し、該信号に基づいてモータ7のロータ位置を検出するようになっている。また、PWM信号生成回路においてオン/オフ指令信号を生成しそれを駆動回路23に対し出力するとともに、I/O回路を介して駆動回路25、26、リレーコイル2bに対して駆動信号を出力するようになっている。さらに、A/D変換回路により直流電圧VDCをA/D変換して入力するようになっている。
次に、本実施形態の作用について図2および図3も参照しながら説明する。
制御回路24は、位置フィードバック制御または速度フィードバック制御を行ってモータ7の回転位置または回転速度の追従制御を実行する。このモータ駆動中にシステム異常が発生すると、直ちにモータ7を停止させる必要がある。本実施形態では、インバータ6におけるアーム短絡と過熱状態および駆動回路23における駆動用電源電圧の低下をシステム異常としており、制御回路24は、駆動回路23からのエラー信号Foによりシステム異常を検出することができる。
図2は、システム異常が生じた時の制御回路24の処理内容を示すフローチャートであり、図3は、システム異常が生じた時の各信号および直流電圧VDCの波形図である。図3に示す波形は、上から順にエラー信号Fo、リレー接点2a(2R、2S、2T)、上アーム側IGBTQ1〜Q3の指令信号、下アーム側IGBTQ4〜Q6の指令信号、MOSFETQ7の指令信号、MOSFETQ8の指令信号および直流電圧VDCである。
制御回路24は、図2に示すステップS1において、システム異常が生じたか否か、すなわちエラー信号FoがHレベルになったか否かを判断する。ここで、システム異常が生じた(YES)と判断すると、ステップS2に移行して表示装置(図示せず)にエラー表示を行い、ロボット制御装置の使用者(操作者)にモータ7が停止した原因を報知する。一方、システム異常が生じていない(NO)と判断すると、再びステップS1の判断処理を実行する。なお、エラー信号Foは割り込みにより入力してもよい。
制御回路24は、システム異常を検出すると、ステップS3においてリレーコイル2bへの通電を遮断してリレー接点2a(2R、2S、2T)を開く。これとともに、インバータ6が電流還流モードになるように、ステップS4においてインバータ6の上アーム側のIGBTQ1〜Q3に対しオフ指令信号を出力し、下アーム側のIGBTQ4〜Q6に対しオン指令信号を出力する。この電流還流モードとは、モータ7の各相の端子が、下アーム側の素子(IGBTQ4〜Q6とダイオードD4〜D6)を介して短絡されるモードをいう。ただし、駆動回路23からエラー信号Foが出力されているので、実際には過熱あるいは駆動用電源電圧の低下によりIGBTQ4〜Q6がオンできない状態となっている場合が多い。さらに、制御回路24は、ステップS5に移行して、回生回路11のMOSFETQ7のオン指令信号を出力する。以上のステップS3からS5の処理は、システム異常を検出した後直ちに実行することが望ましい(図3における時刻t1)。
上記処理の結果、インバータ6が電流還流モードに移行した場合には、回転しているモータ7からインバータ6の下アーム側素子を経由して短絡電流が流れ、モータ7にいわゆるダイナミックブレーキ(短絡ブレーキ)が作用する。一方、上述したようにIGBTQ4〜Q6がオンできず電流還流モードに移行できない場合には、モータ7からインバータ6のダイオードD1〜D3、直流電源線4、回生抵抗9、MOSFETQ7、直流電源線5、インバータ6のダイオードD4〜D6を介して電流が流れ、モータ7にいわゆる回生ブレーキが作用する。図3は、回生ブレーキが作用する場合を示している。
MOSFETQ7がオンすると、コンデンサ8から回生抵抗9とMOSFETQ7を介して電流が流れ、図3に示すように直流電源線4、5間の直流電圧VDCが徐々に低下する。制御回路24は、ステップS6において電圧検出回路27から直流電圧VDCを入力し、ステップS7において、直流電圧VDCがMOSFETQ8の耐量に応じて定められた所定のしきい値電圧例えば60V以下に低下したか否かを判断する。このMOSFETQ8の耐量とは、MOSFETQ8に流れる電流の耐量、電圧の耐量、コレクタ損失の耐量などである。直流電圧VDCが60V以下に低下するまでの間、上記ステップS6とS7を繰り返し実行する。そして、直流電圧VDCが60V以下に低下すると「YES」と判断してステップS8に移行し、MOSFETQ8に対するオン指令信号を出力する(図3における時刻t2)。
MOSFETQ8がオンすると、直流電源線4、5間が短絡された状態となる。この時、既に上述のダイナミックブレーキが作用していればその作用が継続する。一方、IGBTQ4〜Q6がオンできずに上述の回生ブレーキが作用している場合には、モータ7から回生回路11を介して流れていた回生電流に替わって、モータ7からインバータ6のダイオードD1〜D3、直流電源線4、MOSFETQ8、直流電源線5、インバータ6のダイオードD4〜D6を介して短絡電流が流れる。これにより、モータ7には回生ブレーキに替わってダイナミックブレーキが作用するようになる。また、直流電源線4、5間が短絡されるので、直流電圧VDCは急激に低下する。
このように、本実施形態のモータ駆動回路21は、直流電源線4、5間に回生回路11と短絡用のMOSFETQ8とを並列に備え、システム異常を検出すると回生回路11をオンとし、続いてMOSFETQ8をオンとする。従って、インバータ6または駆動回路23に関するシステム異常によりIGBTQ4〜Q6がオンできない場合であっても、MOSFETQ8を介して短絡電流を流すことにより最終的にモータ7にダイナミックブレーキを作用させることができ、回生ブレーキのみを用いた場合に比べて短い時間でモータ7を停止させることができる。
MOSFETQ8は、直流電圧VDCがMOSFETQ8の耐量に応じて定められた所定のしきい値電圧(60V)以下に低下した時に閉じられるので、閉じられた時にMOSFETQ8に流れる短絡電流、印加される電圧およびコレクタ損失はMOSFETQ8の耐量以下に制限され、MOSFETQ8の故障を防止することができる。
本実施形態では、アーム短絡が生じた時、過熱状態の時または駆動用電源電圧が低下した時に駆動回路23から出力されるエラー信号Foをシステム異常検出信号として用いたので、システム異常時にIGBTQ4〜Q6がオンできない場合が多い。従って、上述した2段階のブレーキ制御が特に有効に作用する。
本実施形態によれば、従来構成とは異なり、第2のスイッチを半導体素子であるMOSFETにより構成することができるので、小型化、制御性の向上、信頼性の向上が図られる。また、半導体素子を用いることにより、ロボット制御装置に衝撃が加えられた場合であっても、誤ってオンオフ状態が切り替わることもない。
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
システム異常は、インバータ6および駆動回路23の異常に限られない。
第1のスイッチと第2のスイッチは必ずしも半導体素子である必要はなく、従来構成と同様にリレー接点等であってもよい。ただし、半導体素子を採用することにより、上述した特有の効果が得られる。また、これらのスイッチはMOSFETに限られず、バイポーラトランジスタ、IGBTなどでもよい。
本発明の一実施形態を示すロボット制御装置に設けられたモータ駆動回路の電気的構成図 システム異常が生じた時の制御回路の処理内容を示すフローチャート システム異常が生じた時の各信号および直流電圧の波形図 従来技術を示す図1相当図 図3相当図
符号の説明
図面中、3はコンバータ、4、5は直流電源線、6はインバータ、7はモータ、9は回生抵抗、24は制御回路(制御手段)、27は電圧検出回路(電圧検出手段)、Q1〜Q6はIGBT(スイッチング素子)、Q7はMOSFET(第1のスイッチ、半導体素子)、Q8はMOSFET(第2のスイッチ、半導体素子)である。

Claims (3)

  1. 交流電圧を整流して直流電源線間に直流電圧を出力するコンバータと、
    前記直流電源線間の直流電圧を入力してモータに対し交流電圧を出力するインバータと、
    前記直流電源線間に回生抵抗を介して接続された第1のスイッチと、
    前記直流電源線間に直接接続された第2のスイッチと、
    前記直流電源線間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、
    システム異常を検出した時、前記コンバータの電圧出力を停止するとともに前記第1のスイッチを閉じ、その後前記電圧検出手段により検出された直流電圧が前記第2のスイッチの耐量に応じて定められた所定のしきい値電圧以下となった時に前記第2のスイッチを閉じるように制御する制御手段とを備えたことを特徴とするロボット制御装置。
  2. 前記インバータは、ブリッジ接続されたスイッチング素子により構成されており、
    前記制御手段は、前記スイッチング素子の動作異常をシステム異常として検出することを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
  3. 前記第1および第2のスイッチは、半導体素子により構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のロボット制御装置。

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