JP7307704B2 - インバータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ制御装置に関する。
車載用インバータにおけるパワー半導体の故障個所を特定するための診断方法には、機能の安全対応のために故障検知後に安全な状態、つまり、上側もしくは下側のパワー半導体を交互に全てON/OFFにする動作が必要になる。こうした故障診断においての安全動作に関する技術について、安全性と信頼性のさらなる発展を求め、診断方法の改良が進んでいる。
本願発明の背景技術として、下記の特許文献が知られている。特許文献1には、専用のハードウェアを用いず故障した相を確定する技術が開示されている。また、特許文献2には、フィルタ値の閾値を超えた際に異常と判断する方法についての技術が開示されている。また、特許文献3には、上下のスイッチング素子の発熱を考慮して三相短絡するアームを切り替え、発熱部位を分散できる技術が開示されている。
特開2010-246328号公報 特開2011-41366号公報 国際公開2016/136815号
特許文献1の技術では、故障した相は確定できても、上下アームのどちらで起きているかまでは検知できなかった。特許文献2の技術では、フィルタ電流の±によって故障した上下アームを特定できるが、実際は正常相も引きずられて値が動き判別しにくい状態になるため、発明の実現が難しかった。特許文献3の技術では、IGBT故障時に限った動作ではなく、回生時の不要な電圧上昇にも対応する故障診断であった。
これを鑑みて、本発明は、IGBTの故障判断後に上下アームのどちらで起きた故障かを特定し、さらに、切り替え時にフィルタ値をゼロクリアすることにより、正しい三相短絡検知の時間を短くすることが課題である。
本発明によるインバータ制御装置は、上アーム及び下アームのスイッチング素子を各相に有する三相のインバータ回路を制御するインバータ制御装置であって、前記スイッチング素子の故障時に、前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のスイッチング素子を全相で導通状態に設定する三相短絡を行う三相短絡制御部と、前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のアームが三相短絡中に、前記インバータ回路の出力相電流の値を所定の時間平滑化処理して平滑化電流値を演算する平滑化電流演算部と、を備え、前記三相短絡制御部は、前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のアームから他方のアームへ三相短絡を切り替え、前記平滑化電流演算部は、前記三相短絡の切り替え時に、それまでに演算された前記平滑化電流値を0にするリセット処理を実行し、前記リセット処理後に前記平滑化処理を再開することを特徴とする。
本発明によれば、正しい三相短絡検知の時間を短くすることを実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の回路構成図である。 図1のインバータ回路の内部構成図である。 第1の実施形態に係るインバータ制御装置の動作フローチャートである。 インバータ回路のオープン故障時の電流波形である。 インバータ回路のオープン故障時の平滑処理後の電流波形である。 三相短絡時の電流波形である。 三相短絡時の平滑処理後の電流波形である。 第2の実施形態係る三相短絡制御の電流波形である。 第3の実施形態に係るインバータ制御装置の回路構成図である。 第3の実施形態に係るインバータ制御装置の動作フローチャートである。 第3の実施形態に係る故障時の電流波形である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。また、本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能であり、特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。同様に、図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
(インバータ制御装置の構成および第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインバータ制御装置を含む電力変換装置100の回路構成図である。
電力変換装置100の基本構成について説明する。電力変換装置100は、制御部40、ドライバ回路50、インバータ回路60、電流検出部70を備える。制御部40は、デューティ計算部41、PWM信号生成部42、異常検知部43、フィルタ部44、閾値判定部45、ゼロクリア命令部46、故障検知部47、を備える。
インバータ回路60は、内部に平滑コンデンサと上アーム及び下アームの6つのスイッチング素子とを有する、三相のインバータ回路である。インバータ回路60は、力行時に、高電圧の直流電力バッテリーである直流電源10から得られる直流電力を、交流電力に変換してモータ20を駆動させる。また、インバータ回路60は、回生時において、モータ20の回転によって発生した交流電力を直流電力に変換して、直流電源10を充電する。なお、モータ20は内部に3個の巻き線を有した3相電動機である。
電流検出部70は、各相に設置された電流センサなどを用いて、インバータ回路60の各相から出力され、モータ20のU相、V相、W相の各相に流れる交流電流を測定し、電流値を検出する。
つづいて、インバータ回路60を制御するインバータ制御装置である制御部40について説明する。制御部40は、電力変換装置100の外部に設けられた電子制御装置(図示せず)と通信を行い、その電子制御装置から受け取るモータ20の目標トルクをデューティ計算部41へ入力する。また、制御部40は、故障検知部47がインバータの故障や異常を検知した情報を用いて、インバータ回路60の上下アームのどちらかの三相分のスイッチング素子を導通状態に設定し短絡制御を行う三相短絡制御部である。
デューティ計算部41は、外部の電子制御装置から受け取った目標トルク等を用いて、モータ20に流すべき目標電流値を求める。この目標電流値は、例えばd軸目標電流値とq軸目標電流値の形で表される。そして、デューティ計算部41は、目標電流値と電流検出部70で検出された交流電流値とに基づいてU相、V相、W相の各相のデューティ値を計算し、計算結果をPWM信号生成部42に出力する。
PWM信号生成部42は、デューティ計算部41から受けた情報と、故障検知部47から受けた情報をもとに、PWM信号を制御する。例えば、故障検知部47から故障情報が出力された場合には、モータ20を駆動させないようにPWM信号を制御する。
ここで、モータ20を駆動させない状態とは、例えば、インバータ回路60内の6個のスイッチング素子をすべてOFFにする状態(フリーホイール状態)や、6個のスイッチング素子のうち、上アーム回路のスイッチング素子3個をONにし、下アーム回路のスイッチング素子3個をOFFにする状態(上アームアクティブショート状態)、また、上アーム回路のスイッチング素子3個をOFFにし、下アーム回路のスイッチング素子3個をONにする状態(下アームアクティブショート状態)が挙げられる。
ドライバ回路50は、PWM信号生成部42が出力するPWM信号を受けて、スイッチング素子のON/OFFを切り替えるための駆動信号を、インバータ回路60へ出力する。これにより、制御部40はドライバ回路50を介してインバータ回路60を制御することができる。
異常検知部43は、電流検出部70を介してインバータ回路60内のスイッチング素子のオープン故障を検知し、スイッチング素子の状態異常を故障検知部47へ出力する。
故障検知部47は、異常検知部43からスイッチング素子の状態異常であるオープン故障の情報を受け取り、故障情報を上位の制御装置(図示せず)およびPWM信号生成部42へ出力する。故障検知部47は、ローパスフィルタ処理された三相電流の値が、設定された閾値を超えた際に、IGBTのオープン故障と判断する。
フィルタ部44は、電流検出部70から得られる相電流を所定の時間平滑化する電流演算部である。フィルタ部44は、三相短絡中に後述するゼロクリア命令部46からゼロクリア指示を受けると、保持しているインバータ回路60の出力相電流の値をリセット処理し、再び相電流の平滑化処理を実施する。なお、取得電流値の平滑化処理は、平滑化電流演算部であるフィルタ部44に備えられているデジタル処理のローパスフィルタが実施する。
閾値判定部45は、フィルタ部44で平滑化処理された相電流値を監視し、所定の閾値を超えたときはスイッチング素子の状態異常と判断し、状態異常の情報をゼロクリア命令部46および故障検知部47へ出力する。閾値判定部45は、三相短絡のアームを切り替え、フィルタ部44の保持値がクリアされたあとも、同様に閾値判定を実施する。
ゼロクリア命令部46は、閾値判定部45の状態異常の情報判定を受け、フィルタ部44が保持する切り替え前の相電流値をリセットする指示であるゼロクリア指示をフィルタ部44へ出力する。これは、上下アームのON/OFFを切り替えて挙動を確認することや三相電流の和がゼロアンペアになることを利用している。これにより、特定時間を短くすることができ、各上下アームの短絡切り替えのタイミングでゼロクリアし、反対側アーム短絡の挙動をスムーズに確認することができる。
なお、異常検知部43の検知手段を、電流平滑化処理にて説明したが、それ以外の検知手段でも良い。また、電流検出部70に三相電流用のセンサを用いているが、二相分を電流センサで、もう一相を演算によって算出値を求める形式にしても良い。
図2は、インバータ回路60の内部構成図である。
インバータ回路60は、U相、V相、W相の上下アームによる直列回路を有する。
U相上下アーム直列回路61は、U相上アームスイッチング素子Tuu及びU相上アームダイオードDuuと、U相下アームスイッチング素子Tul及びU相下アームダイオードDulとよりなる。
V相上下アーム直列回路62は、V相上アームスイッチング素子Tvu及びV相上アームダイオードDvuと、V相下アームスイッチング素子Tvl及びV相下アームダイオードDvlとよりなる。
W相上下アーム直列回路63は、W相上アームスイッチング素子Twu及びW相上アームダイオードDwuと、W相下アームスイッチング素子Twl及びW相下アームダイオードDwlとよりなる。
上アーム回路64は、U相上アームスイッチング素子Tuu及びU相上アームダイオードDuuと、V相上アームスイッチング素子Tvu及びV相上アームダイオードDvuと、W相上アームスイッチング素子Twu及びW相上アームダイオードDwuとを有する。上アームは、各相ごとに設置され、直流電源10の正側電力をモータ20に伝えるスイッチング素子である。
下アーム回路65は、U相下アームスイッチング素子Tul及びU相下アームダイオードDulと、V相下アームスイッチング素子Tvl及びV相下アームダイオードDvlと、W相下アームスイッチング素子Twl及びW相下アームダイオードDwlとを有する。下アームは、各相ごとに設置され、直流電源10の負側電力をモータ20に伝えるスイッチング素子である。
パワー半導体のスイッチング素子は、例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などである。本発明では、IGBTをパワー半導体として説明する。
平滑コンデンサ66は、スイッチング素子のON/OFFによって生じる電流を平滑化し、直流電源10からインバータ回路60へ供給される直流電力のリップルを抑制する。この平滑コンデンサ66は、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサを用いる。
図3は、第1の実施形態に係る制御部40の動作フローチャートである。
ステップS1では、異常検知部43が電流検出部70を介して交流電流センサ値を取得し、平滑化した値を監視し、スイッチング素子であるIGBTの上下どちらのアームかを限定せずに、IGBTの異常状態を判断し、故障検知部47に異常情報を出力する。これにより、故障検知部47はIGBTの故障を判断し、その情報をPWM信号生成部42に出力する。この検知手段の方法については特に限定されない。ステップS1で異常と判断すれば、ステップS2へ進み、そうでなければ処理を終了する。
ステップS2で、PWM信号生成部42は、故障検知部47から故障情報を受け取り、ドライバ回路50へのPWM信号を制御し、上アームまたは下アームのどちらかを使った三相短絡状態へ移る。つまり、三相短絡を制御する制御部40が、スイッチング素子の故障時に、上アーム又は下アームのいずれか一方のスイッチング素子を全相で導通状態に設定する。ステップS3で、フィルタ部44は取得した三相短絡状態の交流電流センサ値を平滑化する。
ステップS4で、アームの故障判定に必要な所定の処理時間を用いて、平滑化後の交流電流センサ値を監視する。時間内に平滑化センサ値が所定の閾値を超えたときは、三相短絡の故障があると認識し、ステップS5で当該アームのいずれかのスイッチング素子がオープン故障していると判定する。そうでなければ、ステップS6で所定の処理時間が経過するまで平滑化センサ値の監視を続け、処理時間が経過するまで、ステップS3およびステップS4を繰り返す。処理時間が経過すればステップS7へ進む。なお、所定の閾値は、オープン故障している側のアームを用いて三相短絡を実施すると、各相電流の中央値が正常状態から上下いずれかに動くため、それを検知するために設けられている。
つまり、ステップS4からステップS6において、平滑化した電流を演算するフィルタ部44は、上アーム又は下アームのいずれか一方のアームが三相短絡中に、インバータ回路60の出力相電流の値を所定の時間、平滑化処理する。
ステップS7で、ステップS2からステップS6までに実施したアームを切り替えて、もう一方のアームで三相短絡を実施する。これは、故障検知部47は今まで実施していたアームとは反対側のアームで三相短絡する指令を、PWM信号生成部42に送ることで、三相短絡するアームの上下が切り替わる。
ステップS8で、フィルタ部44は保持しているセンサ値を0にするリセット処理を実行し、ステップS9で再度、三相短絡状態の交流電流センサ値の平滑化処理が行われる。つまり、三相短絡の切り替えと同時に、フィルタ部44の内部演算値であるセンサ値をゼロクリアし、リセットされた出力相電流の値を再度平滑化処理している。この処理により、設けている閾値の上下限の位置からのフィルタ演算ではなく、中央値であるゼロ点からフィルタ演算を再開するため、判定結果が得られるまでの時間が短縮することが可能となる。
ステップS10で、所定の処理時間を用いて、平滑化後の交流電流センサ値を監視する。時間内に平滑化電流センサ値が所定の閾値を超えたときは、三相短絡の故障があると認識し、ステップS7で切り替えたアームのいずれかのスイッチング素子がオープン故障しているとステップS11で判定する。そうでなければ、ステップS12で所定の処理時間が経過するまで平滑化センサ値の監視を続け、処理時間が経過するまで、ステップS9およびステップS10を繰り返す。処理時間が経過すればステップS13へ進む。
ステップS13では、ステップS2からステップS12で実施した三相短絡による電流の振る舞いから特定した故障箇所について、それに応じた故障通知信号を上位コントローラへ送信する。ステップS13が終われば処理を終了する。
以上の動作フローにより、三相短絡を上下のアームで繰り返し、その電流値を見ることで、上下アームのどちらで故障が起きているかを特定し、最終的に安全な状態に移行することができる。つまり、上下アームを切り替えながら三相短絡を実施することで、平滑化された三相電流値を監視しつつ故障部位を特定でき、故障箇所に応じた安全状態への移行を短縮することが出来る。これにより、三相短絡動作時に故障の誤検知を防ぎ、正しい三相短絡検知の時間を短くことが出来る。
図4から図7を用いて、図3で説明した動作フローチャートについて詳述する。図4は、インバータ回路60のオープン故障時の電流波形の一例である。
図4は、横軸が時間、縦軸が電流値(アンペア)を表しており、U相を流れる交流電流をiu(実線)、V相を流れる交流電流をiv(長い点線)、W相を流れる交流電流をiw(短い点線)とする。また図4は、例えば、PWM信号が発生している状態からU相の下アームが故障した場合に、電流検出部70で検出された交流電流を表しているとする。
図4の時刻t以前は、インバータ回路60の各スイッチング素子が正常である場合は、交流電流iu、iv、iwはそれぞれ120°位相がずれた交流波形が描かれる。しかし、時刻t以降は、U相下アームスイッチング素子がオープン故障した場合、当該スイッチング素子を通じて流れるはずであった電流が不通となるため、U相の交流電流iuは下半分が欠けたものになっている。また、U相の交流電流iuの影響で、V相の交流電流ivとW相の交流電流iwは、位相にずれが生じて、電流センサ値が乱れていることがわかる。
図5は、図4で示した電流波形を平滑化処理した結果である。
図5は、時刻t以前の正常時であれば、平滑化された電流値iu_f、iv_f、iw_fは、略0[A]となる。しかし、オープン故障の影響を受けた時刻t以降は、電流センサ値をフィルタで平滑処理した電流値(この図では電流値iu_f)が略0[A]から一つだけ分離していくことがわかる。これは、三相短絡のためにON対象のIGBTがオープン故障すると回生電流が流れないため、故障しているアームを使った三相短絡では電流値が偏る(バイアスを持つ)ことでこのような波形になる。
インバータ回路60のオープン故障が発生すると、故障したパワー半導体に電流が流れなくなる。具体的には、上アームのパワー半導体がオープン故障すると正の電流が流れなくなり、下アームのパワー半導体がオープン故障すると負の電流が流れなくなる。
この平滑化された電流値iu_fは、設けられている閾値401と閾値402との範囲に入らない状態であるため、これにより、異常検知部43はIGBTのオープン故障と判定することが出来る。
図6は、三相短絡時の電流波形の一例である。
制御部40は、IGBTのオープン故障による異常を異常検知部43によって検知すると、上下アームのどちらかの三相短絡制御を開始する。この三相短絡制御により、インバータ回路60の3相のスイッチング素子がONされる。図6に示すように、時刻t1から時刻t2の間で故障している相の三相短絡を実施している時は、故障している相の動作に伴って三相短絡状態での故障相の電流センサ値の中央値が0でなくなり、正常相の中央値もゼロから外れていることがわかる。
図7は、図6で示した三相短絡制御時の電流波形をフィルタ部44で平滑化処理した結果である。なお、図7(a)は、従来用いられている処理方法での平滑化処理の結果、すなわち制御部40にゼロクリア命令部46が設けられておらず、三相短絡するアームの切り替え時にフィルタ部44のリセットを行わない場合の三相短絡制御時の平滑化処理後の電流波形であり、図7(b)は、第1の実施形態に係る三相短絡制御の平滑化処理後の電流波形である。
図7では、交流電流センサ値iu、iv、iwを平滑化処理した値は、それぞれiu_f2、iv_f2、iw_f2としている。図6で示したように、時刻t1からt2の間は各相の電流値の中央値が上下に振れるために、図7でも平滑化処理を行ったことで値が略0から変化する。
まず値が設定した閾値71Aを超えたことで、アーム故障と判定される。その後、三相短絡制御中に設定された閾値72Aを下回ることで、安全状態であると判定される。
図7(a)では、正常に稼働しているアームで三相短絡をしてもローパスフィルタの出力が正常状態と判定できる閾値72Aを下回るまで、一定の時間が必要になる。
本発明では、図7(b)のように、上下アームの三相短絡切り替え時に、平滑化処理したフィルタ値をゼロクリアする。それにより、所定の時間を用いてアームでの三相短絡を実施してから、安全状態を確定するまでの時間を短縮することが可能となる。正常状態判定時間を短縮することができる。これが図3の動作フローのステップS8でのフィルタ保持値のゼロクリアの機能である。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)インバータ制御装置40は、上アーム及び下アームのスイッチング素子を各相に有する三相のインバータ回路60を制御するインバータ制御装置であって、スイッチング素子の故障時に、上アーム又は下アームのいずれか一方のスイッチング素子を全相で導通状態に設定する三相短絡を行う三相短絡制御部40と、上アーム又は下アームのいずれか一方のアームが三相短絡中に、インバータ回路60の出力相電流の値を所定の時間平滑化処理して平滑化電流値を演算する平滑化電流演算部44と、を備え、三相短絡制御部は、上アーム又は下アームのいずれか一方のアームから他方のアームへ三相短絡を切り替え、平滑化電流演算部は、三相短絡の切り替え時に、それまでに演算された平滑化電流値を0にするリセット処理を実行し、リセット処理後に平滑化処理を再開することを特徴とする。このようにしたので、正しい三相短絡検知の時間を短くすることを実現できる。
(2)インバータ制御装置40は、平滑化電流値が所定の閾値を超えた場合に、三相短絡中の前記上アーム又は前記下アームのいずれかのスイッチング素子が故障していると判定する閾値判定部45を備えることを特徴とする。このようにしたので、上アーム下アームのどちらの故障かを判別できる。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態係る三相短絡制御の電流波形である。なお、三相短絡制御を行った場合の、交流電流センサ値iu、iv、iwを平滑化処理したiu_f、iv_f、iw_fとして表している。
図8の第2の実施形態では、フィルタ部44は三相短絡の上下アーム切り替え指示、つまり値のゼロクリア指示を受信した後、演算したフィルタ出力値を保持したまま、平滑化処理を行う。さらに、所定の時間、閾値判定部45に対して一定の故障検知および判定の不感時間帯を設け、フィルタ値を更新せずに値の保持と平滑化処理を続ける。これを不感時間帯73とする。
これにより、上下アームの三相短絡切り替えを実施した際に、アーム切り替え時に観測される突入電流が誤って入力された場合に対応できる。つまり、突入電流はフィルタ処理されたことで、平滑化後には現れなくなる。この構成により、パワー半導体であるIGBTがオンした瞬間に発生する突入電流が過大な電流値としてフィルタ演算の出力に反映されることを防ぐ。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(3)インバータ制御装置は、閾値判定部45は、三相短絡の切り替えから所定の時間、故障の判定を実施しない不感時間帯73を設けることを特徴とする。このようにしたので、突入電流が過大な電流値としてフィルタ演算の出力に反映されることを防ぐことができる。
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係るインバータ制御装置の回路構成図である。
電力変換装置100は、図1で説明した第1の実施形態から異常検知部43を取り除いたものである。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
図10は、第3の実施形態におけるインバータ制御装置の動作フローチャートである。
図10の動作フローチャートは、第1の実施形態である図3の動作フローチャートと比較すると、異常検知部43がないことで、フィルタ部44と閾値判定部45がIGBTの異常判定、つまりオープン故障を判定するところを担うところに違いがあり、フィルタ部44と閾値判定部45がオープン故障診断と三相短絡異常の判定に併用される。図10のステップS105からステップS116は、図3のステップS2からステップS13と同じ構成である。
図10の動作フローを説明する。IGBTの故障検知を行うため、ステップS101で取得した交流電流センサ値を平滑化した値を監視する。ステップS102で、設定された第1の閾値を超えた際に、ステップS103でIGBTが異常、つまりIGBTのオープン故障状態と判定する。なお、第1の実施形態と同様に、このあとのステップで三相短絡制御を行うため、このステップではオープン故障した相または上下アームを特定する必要はない。
ステップS103の判定のあと、ステップS104でゼロクリア命令部46からの指示によりフィルタ部44が保持する値がリセットされる。そして、ステップS105で上アームもしくは下アームどちらかを使った三相短絡状態へ移る。再び、ステップS106で三相短絡状態の交流電流センサ値を平滑化する。
ステップS107で平滑化後のセンサ値を、所定の処理時間を用いて監視する。時間内に設定された第2の閾値を超えたとき、ステップS108で当該アームがオープン故障していると判定する。そうでなければステップS109で所定の処理時間が経過するまで監視を続け、処理時間が経過するまで、ステップS106およびステップS107を繰り返す。処理時間が経過すればステップS110へ進む。
ステップS110で、上下アームを切り替えて三相短絡を実施し、ステップS111でフィルタ部が保持する値をリセットし、再度平滑化処理が行われる。
ステップS112で平滑化後の値を、ステップS113で所定の処理時間の間、監視する。時間内に設定された第2の閾値を超えたとき、ステップS114で当該アームがオープン故障していると判定する。そうでなければステップS115で所定の処理時間が経過するまで監視を続け、処理時間が経過するまで、ステップS112およびステップS113を繰り返す。処理時間が経過すればステップS116へ進む。
ステップS116で三相短絡の実施と、そのときの電流の振る舞いから故障箇所を特定し、それに応じた故障通知信号を、上位コントローラへ送信し、処理を終了する。以上の動作フローでわかるように、閾値判定部45はインバータ内部状態に応じて、複数の閾値を設けて判定する。
図11は、第3の実施形態における故障時の電流波形である。なお、三相短絡制御を行った場合に平滑化処理した交流電流センサ値iu、iv、iwをiu_f2、iv_f2、iw_f2としている。
図10に記載に記載した第1の閾値は、閾値72Cのことである。時刻t1からt2にかけてこの閾値の範囲を超えるセンサ値が出力されることで、IGBTの異常、つまりIGBTのオープン故障を判断している。
さらに、IGBTのオープン故障の検知判断後、時刻t2でフィルタ値のゼロクリアを行う。そうすることで、そのあと実施される三相短絡を正しく行うことが出来る。これにより第1の実施形態で説明した異常検知部43の構成が不要になる。
時刻t2からt3にかけて、三相短絡を実施し、センサ値が第2の閾値71Cとの閾値の範囲を超えると、そのアームが故障していると判定することができる。時刻t3以後は第2の実施形態で説明した構成を用いて、三相短絡切り替え時のゼロクリアと不感帯を設ける構成を採用することができる。
つまり、閾値判定部45は、第1の閾値をもとに前記スイッチング素子の故障を判定し、第2の閾値をもとに三相短絡中の上アーム又は下アームのいずれか一方のアームのスイッチング素子の故障を判定することができる。
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(4)インバータ制御装置の閾値判定部45は、第1の閾値をもとにスイッチング素子の故障を判定し、第2の閾値をもとに三相短絡中の上アーム又は下アームのいずれかのスイッチング素子の故障を判定することを特徴とする。このようにしたので、異常検知部43の構成を省略することができ、制御部40におけるプログラムの記憶容量を小さくすることができる。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。また、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能であり、その態様も本発明の範囲内に含まれる。
100…電力変換装置、10…直流電源、20…モータ、40…制御部、
401、402…閾値、41…デューティ計算部、42…PWM信号生成部、
43…異常検知部、44…フィルタ部、45…閾値判定部、46…ゼロクリア命令部、
47…故障検知部、50…ドライバ回路、60…インバータ回路、
61…U相上下アーム直列回路、62…V相上下アーム直列回路、
63…W相上下アーム直列回路、64…上アーム回路、65…下アーム回路、
66…平滑コンデンサ、70…電流検出部、71、71A~71C…閾値、
72、72A~72C…閾値、73…不感時間帯

Claims (4)

  1. 上アーム及び下アームのスイッチング素子を各相に有する三相のインバータ回路を制御するインバータ制御装置であって、
    前記スイッチング素子の故障時に、前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のスイッチング素子を全相で導通状態に設定する三相短絡を行う三相短絡制御部と、
    前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のアームが三相短絡中に、前記インバータ回路の出力相電流の値を所定の時間平滑化処理して平滑化電流値を演算する平滑化電流演算部と、を備え、
    前記三相短絡制御部は、前記上アーム又は前記下アームのいずれか一方のアームから他方のアームへ三相短絡を切り替え、
    前記平滑化電流演算部は、前記三相短絡の切り替え時に、それまでに演算された前記平滑化電流値を0にするリセット処理を実行し、前記リセット処理後に前記平滑化処理を再開する
    ことを特徴とするインバータ制御装置。
  2. 請求項1に係るインバータ制御装置であって、
    前記平滑化電流値が所定の閾値を超えた場合に、三相短絡中の前記上アーム又は前記下アームのいずれかのスイッチング素子が故障していると判定する閾値判定部を備える
    ことを特徴とするインバータ制御装置。
  3. 請求項2に係るインバータ制御装置であって、
    前記閾値判定部は、前記三相短絡の切り替えから所定の時間、前記故障の判定を実施しない不感時間帯を設ける
    ことを特徴とするインバータ制御装置。
  4. 請求項2に係るインバータ制御装置であって、
    前記閾値判定部は、第1の閾値をもとに前記スイッチング素子の故障を判定し、第2の閾値をもとに三相短絡中の前記上アーム又は前記下アームのいずれかのスイッチング素子の故障を判定する
    ことを特徴とするインバータ制御装置。
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