JP2023132330A - 電力変換装置および駆動装置 - Google Patents

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洋 中野
Hiroshi Nakano
信康 金川
Nobuyasu Kanekawa
哲 重田
Satoru Shigeta
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Abstract

【課題】スイッチング素子故障後であっても、トルク変動を抑えつつ、モータ駆動を継続する。【解決手段】電力変換回路30において、遮断器70は、各相の出力線上に設けられて交流電流を導通または遮断する。パワー半導体故障箇所判定部18は、スイッチング素子の故障箇所を判定する。遮断器制御部17は、パワー半導体故障箇所判定部18により故障箇所と判定されたスイッチング素子に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において故障相の交流電流が導通され、特定電気角を除く他の電気角において故障相の交流電流が遮断されるように、故障相の遮断器70を制御する。故障時電流制御部15は、故障箇所と判定されたスイッチング素子とは異なる他のスイッチング素子の駆動を制御する。【選択図】図2

Description

本発明は電力変換装置および駆動装置に関する。
インバータを構成するスイッチング素子が短絡故障すると、故障した相の電流が制御できなくなり、モータ出力トルクが過大になったり、モータの巻線焼損を招くおそれがある。そのため、短絡故障時に故障した相の電流を遮断器などを用いて遮断する技術が知られている。
特許文献1には、スイッチング素子やモータが故障した場合に故障相の遮断器をオフにし、正常な2相のスイッチング素子を駆動させてモータ駆動を継続する電動パワーステアリング装置の発明が記載されている。
特開2009-6963号公報
特許文献1に記載された電動パワーステアリング装置では、電気角1周期中に2ヶ所の電気角で出力トルクが0[Nm]まで低下するため、正常時と比べて平均出力トルクが低下する。平均出力トルクを上昇させるためには、正常な2相のトルクを上昇させる必要があるが、これを行うとトルク変動が大きくなるという課題がある。
本発明による電力変換装置は、スイッチング素子を直列に接続した上下アーム回路が少なくとも3相分並列接続され、各相の前記スイッチング素子により生成される交流電流を出力線を介してモータに出力する電力変換回路と、各相の前記出力線上に設けられて前記交流電流を導通または遮断する遮断器と、前記スイッチング素子の故障箇所を判定する第1の故障箇所判定部と、前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する遮断器制御部と、前記故障箇所と判定されたスイッチング素子とは異なる他のスイッチング素子の駆動を制御する故障時電流制御部と、を備える。
本発明による駆動装置は、3相交流電流を出力する電力変換装置と、前記3相交流電流により駆動するモータと、を備えたものであって、前記電力変換装置は、スイッチング素子を直列に接続した上下アーム回路が3相分並列接続され、各相の前記スイッチング素子により生成される交流電流を出力線を介して前記モータに出力する電力変換回路と、各相の前記出力線上に設けられて前記交流電流を導通または遮断する遮断器と、前記スイッチング素子の故障箇所を判定する第1の故障箇所判定部と、前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する遮断器制御部と、前記故障箇所と判定されたスイッチング素子とは異なる他のスイッチング素子の駆動を制御する故障時電流制御部と、を備える。
スイッチング素子故障後であっても、トルク変動を抑えつつ、モータ駆動を継続することができる。
駆動装置が搭載された車両の例 本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置および駆動装置の構成例 電力変換回路およびモータの構成例 半導体スイッチを用いた遮断器の構成例 本発明の第1の実施形態における状態判定部の内部状態判定の例 故障相の遮断器を導通状態とする特定電気角の例 本発明の第1の実施形態における制御フローチャートの例 本発明の第1の実施形態における1相故障時の出力トルク例 本発明の第2の実施形態における遮断器の切り替えタイミングの説明図 本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置および駆動装置の構成例 本発明の第3の実施形態における遮断器の切り替えタイミングの説明図 本発明の第3の実施形態における制御フローチャートの例 本発明の第4の実施形態における遮断器の切り替えタイミングの説明図 本発明の第4の実施形態における制御フローチャートの例 本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置および駆動装置の構成例 本発明の第5の実施形態における状態判定部の内部状態判定の例 本発明の第5の実施形態における遮断器診断のフローチャートの例 本発明の第5の実施形態における制御フローチャートの例
図1は、本発明の駆動装置が搭載された車両の例を表した図である。図1に示す車両1は、駆動輪2および非駆動輪3を備えるとともに、駆動装置200を搭載している。この駆動装置200は、両端に駆動輪2が取り付けられた車軸4に接続され、内部に電力変換装置100とモータ190(図2参照)を有する。そして、運転者のアクセルペダルへの操作に応じて、電力変換装置100とモータ190を制御して駆動力を発生させ、その駆動力を車軸4へと伝える。これにより、駆動輪2を駆動させて車両1を走行させる。また、駆動装置内に減速機を配置し、モータ190の駆動力を減速機を介して車軸4へと伝えるようにしてもよい。
なお、図1では車両1の前輪を駆動輪2、後輪を非駆動輪3とし、前輪側の車軸4に駆動装置200を接続しているが、後輪を駆動輪として後輪側の車軸に駆動装置200を接続してもよい。また、前後輪を全て駆動輪としてそれぞれの車軸に駆動装置200を接続してもよいし、車軸ではなく左右の駆動輪にそれぞれ独立した駆動装置200を設置して接続してもよい。
続いて、電力変換装置100および駆動装置200の各実施形態を以下に説明する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置100および駆動装置200の構成例を表した図である。本実施例では、パワー半導体が故障した際に、トルク変動を維持したままで平均出力トルクを向上し、車両を発進しやすくする電力変換装置および駆動装置の例を示す。
駆動装置200は、電力変換装置100とモータ190とを有する。モータ190は、内部に3個の巻き線を有した3相交流電動機であり、例えば永久磁石を用いた同期モータや、永久磁石を用いない誘導モータが該当する。また、このモータ190には、モータの電気角度を測定するための角度センサ(図示せず)が搭載されており、この角度センサは測定した電気角度を角度センサ値θとして電力変換装置100に出力する。
駆動装置200の周辺には、電子制御装置230、直流電源210、故障通知装置220がある。電子制御装置230は、駆動装置200に対して目標トルクT*などの情報を送信する。直流電源210はモータ190を駆動させるための電源であり、例えばバッテリなどが該当する。故障通知装置220は、駆動装置200からの故障通知信号を受け付け、搭乗者に対して故障の発生を通知する。故障の通知方法としては、例えば、ランプを点灯させる、警告音を発生させる、音声で通知するなどの方法が挙げられる。
電力変換装置100は、直流電源210から得られる直流電力を交流電力に変換してモータ190を駆動する。また、電力変換装置100は、モータ190の動力を直流電力に変換して直流電源210を充電する機能も有する。電力変換装置100は、内部に制御回路10、ドライバ回路20、電力変換回路30、電圧センサ40、交流電流センサ50、遮断器駆動回路60、遮断器70を有する。電力変換回路30は、ドライバ回路20からの駆動信号20aを受けて内部のパワー半導体を駆動し、モータ190に流れる電流を制御する。遮断器駆動回路60は、遮断器70を駆動させ、電力変換回路30とモータ190の接続を遮断する。図3を用いて電力変換回路30の内部構成を先に説明し、制御回路10の内部構成やその他構成は後述する。
図3は、電力変換回路30およびモータ190の構成例を示した図である。電力変換回路30は、内部に平滑コンデンサ31と、6つのパワー半導体素子32とを有する。
平滑コンデンサ31は、パワー半導体素子32のオン/オフによって生じる電流を平滑化し、直流電源210から電力変換回路30へ供給される直流電流のリップルを抑制するためのコンデンサである。この平滑コンデンサ31には、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサが使用される。
パワー半導体素子32は、ドライバ回路20から入力される駆動信号20aに応じてオン/オフを切り替えるスイッチング素子であり、直流電力と交流電力の変換を行う。このパワー半導体素子32には、例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが該当する。また、パワー半導体素子32は、センス端子33を有している。センス端子33からは、センス電流としてパワー半導体素子32のコレクタ-エミッタ間(ドレイン-ソース間)を流れる電流のうちの一定割合、例えば100分の1や1000分の1の電流が出力される。センス電流は、電力変換回路30からドライバ回路20に対して出力される。以下の実施例では、パワー半導体素子32としてIGBTを用いた例で説明する。
6つのパワー半導体素子32は、相ごとに上下2つずつに分けられ、出力がモータ190の各相の巻き線に接続される。以下では、上側3つのパワー半導体素子32をまとめて上アーム、下側3つのパワー半導体素子32をまとめて下アームと呼ぶ。すなわち、電力変換回路30には、モータ190の各相(U相、V相、W相)に対して、上下アーム2つのパワー半導体素子32を直列に接続した上下アーム回路が設けられる。電力変換回路30は、直流電源210の正極側と負極側にそれぞれ接続された配線を有し、これらの配線間に各相の上下アーム回路が並列接続されて構成される。
なお、本実施例において、モータ中性点191は浮遊状態であるが、グラウンド(図示せず)と接続しても良い。モータ中性点191をグラウンドと接続する際の方法には、直接接地方式、抵抗接地方式、補償リアクトル接地方式、消弧リアクトル接地方式などがある。
図2に戻って本実施例の構成を説明する。電圧センサ40は、直流電源210の出力電圧を測定するセンサであり、測定した電圧値を電圧センサ値40aとして制御回路10に出力する。
交流電流センサ50は、モータ190の各相(U相、V相、W相)に流れる交流電流を測定するセンサであり、測定した各相の交流電流を交流電流センサ値50aとして制御回路10に出力する。本実施例においては、交流電流センサ50を各相に1つずつ計3つ設けているが、交流電流センサを2相分にのみ設けてもよい。この場合、U相電流+V相電流+W相電流=0の関係が成り立つため、制御回路10が残り1相分の交流電流センサ値を計算によって算出する。なお、本実施例においては、電力変換回路30からモータ190への方向に流れる電流をプラスの電流として取り扱い、モータ190から電力変換回路30への方向に流れる電流をマイナスの電流として取り扱う。
ドライバ回路20は、後述するPWM信号生成部16が出力するPWM(Pulse Width Modulation)信号16aを受けて、パワー半導体素子32のオン/オフを切り替えるための駆動信号20aを出力する。また、ドライバ回路20は、パワー半導体素子32から出力されるセンス電流33aを用いて、パワー半導体素子32の短絡故障の発生を検知し、短絡故障検知信号20bを制御回路10に出力する。
通常は上下のパワー半導体素子32が同時にオン状態にならないようにPWM信号16aが生成されるが、パワー半導体素子32が短絡故障した場合は上下のパワー半導体素子32が同時にオン状態になりえる。上下のパワー半導体素子32が同時にオン状態になると、パワー半導体素子32には大きな貫通電流が流れる。ドライバ回路20は、各パワー半導体素子32のセンス電流33aが一定閾値以上であるかを監視し、センス電流33aが一定値以上である場合には、該当相でパワー半導体素子32が短絡故障していると判定する。そして、ドライバ回路20は、相ごとに分かれた短絡故障検知信号20bを出力する。
なお、本実施例では、パワー半導体素子32のセンス電流33aを用いてパワー半導体素子32の短絡故障を判定しているが、他の方法でパワー半導体素子32の短絡故障を検知してもよい。例えば、パワー半導体素子32のコレクタ側もしくはエミッタ側に電流測定用のシャント抵抗を配置し、そのシャント抵抗を流れる電流値を測定してパワー半導体素子32の短絡故障を検知する方法がある。また、パワー半導体素子32のコレクタ-エミッタ間電圧は流れる電流に応じて増加するため、コレクタ-エミッタ間電圧を測定してパワー半導体素子32の短絡故障を検知する方法もある。
遮断器駆動回路60は、後述する遮断器制御部17が出力する遮断器制御信号17aを受けて、遮断器70の導通/遮断状態を切り替えるための遮断器駆動信号60aを出力する。
遮断器70は、電力変換回路30とモータ190の巻き線とを接続する各相の出力線上に設けられており、遮断器駆動信号60aに応じて導通/遮断状態が切り替えられることで、電力変換回路30から各相の出力線を介してモータ190の巻き線に流れる交流電流を導通または遮断する。遮断器70が導通状態のときには、電力変換回路30とモータ190の巻き線との間に交流電流が流れ、遮断器70が遮断状態のときには、電流は流れなくなる。本実施例では、モータ190の各相に対して遮断器70がそれぞれ設置されている。
なお、本実施例では、電力変換装置100内に遮断器70を配置しているが、モータ190内に遮断器70を設置しても良いし、電力変換装置100およびモータ190とは独立して遮断器70を設置してもよい。ただし、遮断器70をモータ190内に設置すると、遮断器70の交換時にモータ190を分解する必要があるため、電力変換装置100内に遮断器70を設置したほうが、遮断器70の交換作業が容易になる。
遮断器70には、例えばリレーのような機械式スイッチや、IGBT、MOSFETのような半導体スイッチなどを用いることができる。半導体スイッチは、機械式スイッチに比べて導通/遮断状態の切り替えが速いという特徴を持つ。一方、半導体スイッチは、スイッチがオフの状態でも、内部の還流ダイオードを介して電流が流れてしまうことがある。そのため、半導体スイッチを遮断器70に用いる場合は、オフに切り替えたときに電流を確実に遮断する構成を採用することが必要となる。
図4は、半導体スイッチを用いた遮断器70の構成例を示す図である。例えば図4に示すように、2つの半導体スイッチ71を互いに逆向きで直列に接続することで、双方向に流れる電流を遮断できる遮断器70を実現することが可能である。
一方、機械式スイッチは、半導体スイッチに比べて切り替え時間が長いものの、1つのスイッチで双方向の電流を確実に遮断できる。そのため、コスト面では半導体スイッチよりも機械式スイッチのほうが優れる。
なお、遮断器70の構成は、図4に示した回路構成の半導体スイッチや機械式スイッチに限定されるものではない。電力変換回路30から出力されてモータ190の巻き線に流れる交流電流を確実に導通または遮断することができれば、任意の回路構成により遮断器70を実現できる。
制御回路10は、外部の電子制御装置230と通信を行い、電子制御装置230からモータ190の目標トルクT*を受け取る。制御回路10は、電力変換装置100が正常の場合は、この目標トルクT*に基づいて、電力変換装置100から出力される各相の電流を所定の値に制御するようにPWM信号16aを出力し、ドライバ回路20を介して電力変換回路30を駆動させる。また、制御回路10は、電力変換装置100内部に故障が発生したと判断した場合、外部の故障通知装置220に対して故障通知信号を出力する。
制御回路10は内部にCPU、RAM、ROM、通信回路を有している(いずれも図示せず)。このROMは、電気的に書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュROMでも良い。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて構成される論理回路を制御回路10が有してもよい。
また、制御回路10は、モータ速度計算部11、目標電流計算部12、正常時電流制御部13、故障時電流制御部15、PWM信号生成部16、遮断器制御部17、パワー半導体故障箇所判定部18、状態判定部19の各機能ブロックを有する。これらの機能ブロックは、例えば制御回路10においてCPUが所定のプログラムを実行することで実現してもよいし、その一部または全部をFPGA等のハードウェアで実現してもよい。
モータ速度計算部11は、モータ190の角度センサ値θの変化からモータ回転数(回転速度)を計算し、計算したモータ速度値11aを目標電流計算部12に出力する。
目標電流計算部12は、目標トルクT*、電圧センサ値40a、モータ速度計算部11が出力するモータ速度値11aを用いて、目標電流値12aを正常時電流制御部13に出力する。目標電流値12aは、モータ190が目標トルクT*と同じトルクを出力するためにモータ190に流すべき電流値として計算される。目標電流値12aは、例えばd軸目標電流値とq軸目標電流値の形で表される。
正常時電流制御部13は、目標電流計算部12が出力した目標電流値12aとモータ角度センサ値θ、各相の交流電流センサ値50a、電圧センサ値40aを用いて、各相のデューティ値13aを計算し、当該デューティ値13aをPWM信号生成部16に出力する。正常時電流制御部13によるデューティ値13aの計算方法の詳細は後述する。
故障時電流制御部15は、目標電流計算部12が出力した目標電流値12aと、モータ角度センサ値θ、各相の交流電流センサ値50a、電圧センサ値40aと、パワー半導体故障箇所判定部18が出力したパワー半導体故障情報18aとを用いて、各相のデューティ値15aと、故障時の遮断器70の状態を制御するための遮断器切り替え信号15bとを計算する。そして、計算したデューティ値15aと遮断器切り替え信号15bを、PWM信号生成部16と遮断器制御部17にそれぞれ出力する。故障時電流制御部15によるデューティ値15aおよび遮断器切り替え信号15bの計算方法の詳細は後述する。
PWM信号生成部16は、状態判定部19から出力される内部状態19aに応じて、ドライバ回路20に出力する信号を切り替える。PWM信号生成部16は、内部にタイマを有しており、内部状態19aが「正常状態」である場合には、このタイマ値と正常時電流制御部13が出力する各相のデューティ値13aを用いてPWM信号16aを生成し、ドライバ回路20に対して出力する。内部状態19aが後述する「1相故障状態」の場合には、PWM信号生成部16は、タイマ値と故障時電流制御部15が出力する各相のデューティ値15aを用いてPWM信号16aを生成し、ドライバ回路20に対して出力する。内部状態19aが後述する「2相以上故障状態」の場合には、PWM信号生成部16は、モータ190が駆動しないようなPWM信号16aをドライバ回路20に出力する。モータ190が駆動しない状態とは、例えば、電力変換回路30内の6個のパワー半導体素子32をすべてオフにする状態(本実施例ではフリーホイール状態と呼ぶ)が挙げられる。
遮断器制御部17は、状態判定部19から出力される内部状態19a、パワー半導体故障箇所判定部18から出力されるパワー半導体故障情報18a、故障時電流制御部15から出力される遮断器切り替え信号15bを用いて、各相の遮断器70の導通/遮断を切り替えるための遮断器制御信号17aを生成し、出力する。遮断器制御部17による遮断器制御信号17aの計算方法の詳細は後述する。
パワー半導体故障箇所判定部18は、PWM信号16a、ドライバ回路20が出力する短絡故障検知信号20b、各相の交流電流センサ値50aをもとに、パワー半導体素子32の故障箇所とその故障モードを判定する。パワー半導体素子32の故障モードには、大きく分けて、短絡故障と開放故障の2種類がある。短絡故障の場合はパワー半導体素子32が常にオン状態となり、開放故障の場合はパワー半導体素子32が常にオフ故障となる。パワー半導体故障箇所判定部18は、ドライバ回路20から短絡故障検知信号20bが出力されている場合は、短絡故障が発生していると判断し、各相の交流電流センサ値50aが所定値以内で変化しない場合は、開放故障が発生していると判断する。
なお、短絡故障の発生時にドライバ回路20が出力する短絡故障検知信号20bは相ごとに分かれているため、パワー半導体故障箇所判定部18は、短絡故障検知信号20bからどの相で故障が発生したかは特定できるが、上下アームのどちらが故障しているかまでは特定できない。そのため、パワー半導体故障箇所判定部18は、例えば、短絡故障検知信号20bが出力されたタイミングとPWM信号16aの状態を照らし合わせて、故障が発生した相の上下アームのPWM信号16aのうち、短絡故障検知信号20bがオフ状態であるほうのアームで短絡故障が発生したと判定する。これは、通常は上下のパワー半導体素子32が同時にオン状態になることはないため、パワー半導体素子32の短絡故障が検知されたということは、本来オフ状態であるはずのパワー半導体素子32で短絡故障が発生し、上下のパワー半導体素子32が同時にオン状態になったと考えられるためである。パワー半導体故障箇所判定部18は、パワー半導体素子32の短絡故障が発生していると判断した場合、その故障箇所と故障モードを表すパワー半導体故障情報18aを、故障時電流制御部15、遮断器制御部17、状態判定部19、外部の故障通知装置220に出力する。
また、開放故障の発生時に、パワー半導体故障箇所判定部18は、交流電流センサ50が出力する各相の交流電流センサ値50aからどの相で故障が発生したかは特定できるが、上下アームのどちらが故障しているかまでは特定できない。そのため、パワー半導体故障箇所判定部18は、例えば、各相の交流電流センサ値50aを正の電流値と負の電流値に分け、それぞれを平滑して所定の閾値と比較することで、上下アームのどちらで開放故障が発生したかを判断する。パワー半導体故障箇所判定部18は、パワー半導体素子32の開放故障が発生していると判断した場合、その故障箇所と故障モードを表すパワー半導体故障情報18aを、故障時電流制御部15、遮断器制御部17、状態判定部19、外部の故障通知装置220に出力する。
状態判定部19は、パワー半導体故障箇所判定部18が出力するパワー半導体故障情報18aをもとに、電力変換装置100の状態が、「正常状態」、「1相故障状態」、「2相以上故障状態」のいずれかの状態であるかを判定する。そして、現在の電力変換装置100の状態を表す内部状態19aを、PWM信号生成部16と遮断器制御部17に対して出力する。
図5は、本発明の第1の実施形態における状態判定部19の内部状態判定の例を表した図である。状態判定部19は、一定時間ごとに現在の状態と発生事項とから次の状態を決定し、次の状態を現在の状態に更新する。なお、初期状態は「正常状態」である。まず、状態判定部19は、現在の状態が「正常状態」の場合において、パワー半導体故障箇所判定部18から、いずれかの相のパワー半導体素子32が故障していることを示すパワー半導体故障情報18aを受け取ると、次の状態を「1相故障状態」に変化させる。それ以外の場合は、次の状態は「正常状態」のままとなる。また、状態判定部19は、現在の状態が「1相故障状態」において、パワー半導体故障箇所判定部18から、これまでの故障相とは異なる相のパワー半導体素子32が故障していることを示すパワー半導体故障情報18aを受け取ると、次の状態を「2相以上故障状態」に変化させる。例えば、U相のパワー半導体素子32が故障していることで現在の状態が「1相故障状態」となっているときに、V相またはW相のパワー半導体素子32についてパワー半導体故障情報18aが新たに通知されると、次の状態を「2相以上故障状態」に変化させる。それ以外の場合は、次の状態は「1相故障状態」のままとなる。状態判定部19は、現在の状態が「2相以上故障状態」である場合、次の状態は「2相以上故障状態」のままとする。
次に、正常時電流制御部13と故障時電流制御部15によりそれぞれ行われる正常時の電流制御と1相故障時の電流制御について述べる。なお、本実施例では、軸変換の際に絶対変換の係数を用いた場合の例を示しているが、相対変換の係数を用いてもよい。
正常時の電流制御は、まず図2に示す目標電流計算部12において、目標トルクT*に応じたd軸目標電流値とq軸目標電流値を決定する。次に、正常時電流制御部13において、目標電流計算部12が決定したd軸目標電流値とq軸目標電流値を達成するような各相のデューティ値13aを計算する。そして、PWM信号生成部16は、正常時電流制御部13が計算した各相のデューティ値13aに従って各相のPWM信号16aを生成する。このとき遮断器制御部17は、3相の遮断器70をすべて導通状態になるように制御する。
正常時電流制御部13は、[数1]の式を用いて交流電流センサ50から出力された3相分の交流電流センサ値50aをd軸およびq軸の電流値に変換する。[数1]におけるIu、Iv、IwはそれぞれU相、V相、W相の交流電流センサ値であり、θは角度センサ値である。また、Idは変換後のd軸電流値、Iqは変換後のq軸電流値となる。
Figure 2023132330000002
次に、正常時電流制御部13は、このd軸電流とd軸目標電流値の差分、q軸電流とq軸目標電流値の差分を取る。そして、正常時電流制御部13は、d軸電流差分とq軸電流差分に対してフィードバック制御を行なって、d軸目標電圧値とq軸目標電圧値を決定する。正常時電流制御部13は、このd軸目標電圧値とq軸目標電圧値を、α軸とβ軸の値になるように、[数2]を用いてα軸目標電圧値とβ軸目標電圧値の形に変換する。[数2]において、Vdはd軸目標電圧値、Vqはq軸目標電圧値、θは角度センサ値、Vαはα軸目標電圧値、Vβはβ軸目標電圧値である。
Figure 2023132330000003
そして、正常時電流制御部13は、[数3]を用いてα軸目標電圧値とβ軸目標電圧値をU相/V相/W相の各相の目標電圧値に変換する。[数3]において、Vαはα軸目標電圧値、Vβはβ軸目標電圧値、VuはU相目標電圧値、VvはV相目標電圧値、VwはW相目標電圧値である。
Figure 2023132330000004
最後に、正常時電流制御部13は、各相の目標電圧値と電圧センサ値40aから、各相のデューティ値13aを計算する。
1相故障時の電流制御は、まず目標電流計算部12において、正常時と同様に、目標トルクT*に応じたd軸目標電流値とq軸目標電流値を決定する。次に、故障時電流制御部15において、故障相の上下アームのうちどちらか一方のパワー半導体素子32が常にオンとなり、他方が常にオフとなるように、故障相のデューティ値13aを計算する。具体的には、故障時電流制御部15は、短絡故障の場合には、パワー半導体故障情報18aが示す故障箇所と同相かつ上下逆アーム側のパワー半導体素子32が常にオフ状態となるように、当該パワー半導体素子32のデューティ値13aを0と計算する。また、故障時電流制御部15は、開放故障の場合には、パワー半導体故障情報18aが示す故障箇所と同相かつ上下アーム逆側のパワー半導体素子32が常にオン状態になるように、当該パワー半導体素子32のデューティ値13aを1と計算する。
これに加えて、故障時電流制御部15は、モータ角度センサ値θがある特定の電気角の範囲内(以下、「特定電気角」と称する)にある間は、α軸目標電圧値(Vα)とβ軸目標電圧値(Vβ)からU相目標電圧値(Vu)、V相目標電圧値(Vv)、W相目標電圧値(Vw)への変換部分において、目標電圧の補正を行う。上記の特定電気角は、電気角の1周期のうち故障相の遮断器70を導通状態とする電気角の範囲に相当し、後述するように故障相ごとに異なる。
例えば、U相上アームのパワー半導体素子32の短絡故障が発生し、U相下アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御しているとき、あるいは、U相下アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、U相上アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御しているときに、直流電源210の電圧がVdcであるとすると、U相の上下アーム回路から出力される電圧は1/2・Vdcで固定される。また、例えばU相下アームのパワー半導体素子32の短絡故障が発生し、U相上アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御しているとき、あるいは、U相上アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、U相下アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御しているときに、U相の上下アーム回路から出力される電圧は-1/2・Vdcで固定される。そのため、通常通りにU相、V相、W相の目標電圧を変換しても、電力変換回路30は目標電圧通りの電圧を出力できない。そのため、故障発生後も故障発生前と同じα軸目標電圧値(Vα)とβ軸目標電圧値(Vβ)相当の電圧が出力できるように、故障相の出力電圧のずれを考慮して、残り2相の目標電圧を計算する必要がある。
U相のパワー半導体素子32が短絡故障した場合には、V相およびW相の目標電圧値は[数4]によって計算する。ここで、直流電源210の電圧がVdcであるとき、U相上アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、U相下アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、U相下アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、U相上アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、U相目標電圧値(Vu)の値を1/2・Vdcに設定する。また、U相下アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、U相上アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、U相上アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、U相下アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、U相目標電圧値(Vu)の値を-1/2・Vdcに設定する。
Figure 2023132330000005
V相のパワー半導体素子32が短絡故障した場合には、U相およびW相の目標電圧値は[数5]によって計算する。ここで、直流電源210の電圧がVdcであるとき、U相故障時と同様に、V相上アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、V相下アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、V相下アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、V相上アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、V相目標電圧値(Vv)の値を1/2・Vdcに設定する。また、V相下アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、V相上アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、V相上アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、V相下アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、V相目標電圧値(Vv)の値を-1/2・Vdcに設定する。
Figure 2023132330000006
W相のパワー半導体素子32が短絡故障した場合には、U相およびV相の目標電圧値は[数6]によって計算する。ここで、直流電源210の電圧がVdcであるとき、U相故障時やV相故障時と同様に、W相上アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、W相下アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、W相下アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、W相上アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、W相目標電圧値(Vw)の値を1/2・Vdcに設定する。また、W相下アームのパワー半導体素子32が短絡故障し、W相上アームのパワー半導体素子32をオフ状態に制御している場合、あるいは、W相上アームのパワー半導体素子32で開放故障が発生し、W相下アームのパワー半導体素子32をオン状態に制御している場合は、W相目標電圧値(Vw)の値を-1/2・Vdcに設定する。
Figure 2023132330000007
故障時電流制御部15は、以上説明したように、特定電気角における補正後の各相の目標電圧値を設定したら、正常時電流制御部13と同様に、設定した各相の目標電圧値と電圧センサ値40aから、各相のデューティ値15aを計算する。
さらに、故障時電流制御部15は、デューティ値15aの計算とは別に、角度センサ値θに基づく遮断器切り替え信号15bの生成を行い、遮断器制御部17に出力する。このとき故障時電流制御部15は、故障相の遮断器70を特定電気角の間のみ導通状態にし、故障相以外の2相の遮断器70を常に導通状態とするような遮断器切り替え信号15bを生成する。
遮断器制御部17は、故障時電流制御部15が出力する遮断器切り替え信号15bに基づいて、遮断器制御信号17aを生成する。このとき、故障相の遮断器70については、特定電気角の間のみ導通状態でそれ以外の電気角では遮断状態となるように、また故障相以外の2相の遮断器70については、常に導通状態となるように、遮断器制御信号17aを変化させる。
なお、本実施例では、故障時電流制御部15が角度センサ値θに基づいて遮断器切り替え信号15bを生成し、遮断器制御部17はこの遮断器切り替え信号15bに基づいて遮断器制御信号17aを変化させることで、遮断器70の切り替え制御を行うこととした。しかしながら、遮断器制御部17において、角度センサ値θに基づいて現在の電気角が特定電気角かどうかを判定し、この判定結果に応じて故障相の遮断器70の導通/遮断状態を制御するようにしてもよい。
図6は、故障相の遮断器70を導通状態とする特定電気角の例を示す図である。1相故障時の電流制御において、故障時電流制御部15が目標電圧の補正を実施するとともに、故障相の遮断器70を導通状態にする特定電気角は、故障相に応じて、例えば図6のように決定される。図6に示す各故障状況において、それぞれの特定電気角の範囲では、上記のような1相故障時の電流制御を実施することで、正常時と同じd軸目標電圧値とq軸目標電圧値を電力変換回路30から出力できる。なお、図6におけるαは変数であり、d軸目標電圧とq軸目標電圧の値によって変化する。
なお、本実施例では、1相故障時の電流制御を行う特定電気角を、図6に示すように、故障相ごとに電気角でそれぞれ120°の範囲となるように定めているが、例えばこの特定電気角よりも狭い電気角の範囲で1相故障時の電流制御を実施してもよいし、反対に、この特定電気角よりも広い電気角の範囲で1相故障時の電流制御を実施してもよい。ただし、1相故障時の電流制御を適用する電気角の範囲が狭くなるほど、出力トルク向上の効果が小さくなる。一方、1相故障時の電流制御を適用する電気角の範囲が広くなるほど、制御時の安定性が損なわれる。そのため、これらのバランスを考慮して、1相故障時の電流制御を行う電位角の範囲を定めることが好ましい。
図7は、本発明の第1の実施形態における制御フローチャートの例である。本実施形態では、図2に示した制御回路10により、図7のフローチャートに示す制御を一定期間ごとに周期的に実施する。
まず、ステップS100の処理において、制御回路10は、状態判定部19から出力される内部状態19aが「正常状態」であるか否かを判定する。内部状態19aが「正常状態」である場合はステップS101へ進み、「正常状態」以外の場合はステップS104へ進む。
ステップS101の処理において、制御回路10は、トルク指令値に従って正常時の電流制御を行う。より具体的には、前述したように、目標電流計算部12が目標トルクT*に応じた目標電流値12aを生成し、正常時電流制御部13がこの目標電流値12aに応じた各相のデューティ値13aを生成する。そして、PWM信号生成部16がこの各相のデューティ値13aをもとにPWM信号16aを生成し、PWM信号16aをドライバ回路20に対して出力する。このとき遮断器制御部17は、3相の遮断器70が常に導通状態となるように、遮断器制御信号17aを出力する。
次に、ステップS102の処理において、パワー半導体故障箇所判定部18は、交流電流センサ50が出力する各相の交流電流センサ値50aや、ドライバ回路20が出力する短絡故障検知信号20bに基づき、いずれかのパワー半導体素子32に対して開放故障または短絡故障の発生が検知されたか否かを判定する。開放故障または短絡故障が検知された場合は、交流電流センサ値50aやPWM信号16aを用いて前述のように故障箇所の判定を行い、その判定結果に基づいてパワー半導体故障情報18aを出力した後、ステップS103へ進む。
ステップS103の処理において、状態判定部19は、電力変換装置100の現在の状態を「1相故障状態」であると判定し、内部状態19aを更新する。ステップS103の処理を実行したら、制御回路10は図7の制御フローチャートを終了する。
一方、ステップS102でいずれのパワー半導体素子32に対しても故障が検知されていない場合は、制御回路10はステップS103の処理を実行せず、図7の制御フローチャートを終了する。この場合、パワー半導体故障箇所判定部18はパワー半導体故障情報18aを出力せず、状態判定部19は内部状態19aを「正常状態」のまま維持する。
状態判定部19から出力される内部状態19aが「正常状態」ではないとステップS100で判定した場合は、ステップS104の処理において、制御回路10は、内部状態19aが「1相故障状態」であるか否かを判定する。内部状態19aが「1相故障状態」である場合はステップS105へ進み、「1相故障状態」以外の場合はステップS108へ進む。
ステップS105の処理において、制御回路10は、トルク指令値に従って1相故障時の電流制御を行う。より具体的には、前述したように、目標電流計算部12が目標トルクT*に応じた目標電流値12aを生成し、故障時電流制御部15がこの目標電流値12aに応じた各相のデューティ値15aを生成する。そして、PWM信号生成部16がこの各相のデューティ値15aをもとにPWM信号16aを生成し、PWM信号16aをドライバ回路20に対して出力する。これにより、パワー半導体故障箇所判定部18により故障箇所と判定されたパワー半導体素子32とは異なる他のパワー半導体素子32の駆動が制御される。
また、故障時電流制御部15は、故障相以外の遮断器70を常に導通状態とし、故障相の遮断器70を特定電気角の間のみ導通状態とするように、遮断器切り替え信号15bを生成し、遮断器制御部17に対して出力する。遮断器制御部17は、故障時電流制御部15から出力される遮断器切り替え信号15bに基づいて、遮断器制御信号17aを出力する。これにより、モータ190の電気角の1周期のうち特定電気角に対応する所定の導通期間において、故障相のパワー半導体素子32により生成される交流電流が導通され、他の期間において交流電流が遮断されるように、パワー半導体故障箇所判定部18により故障箇所と判定されたパワー半導体素子32に対応する相の遮断器70が制御される。
次に、ステップS106の処理において、パワー半導体故障箇所判定部18は、既に故障が検知された相とは別の相において、いずれかのパワー半導体素子32に対して開放故障または短絡故障の発生が検知されたか否かを判定する。開放故障または短絡故障の発生が検知された場合は、パワー半導体故障情報18aを更新して出力し、ステップS107へ進む。
ステップS107の処理において、状態判定部19は、電力変換装置100の現在の状態を「2相以上故障状態」であると判定し、内部状態19aを更新する。ステップS107の処理を実行したら、制御回路10は図7の制御フローチャートを終了する。
一方、ステップS106で故障相とは別相のパワー半導体素子32において故障が検知されていない場合は、制御回路10はステップS107の処理を実行せず、図7の制御フローチャートを終了する。この場合、状態判定部19は内部状態19aを「1相故障状態」のまま維持する。
状態判定部19から出力される内部状態19aが「1相故障状態」ではないとステップS104で判定した場合、すなわち、内部状態19aが「2相以上故障状態」である場合は、ステップS108の処理において、制御回路10は、モータ190の駆動を停止させるように制御を行う。例えば、電力変換回路30がフリーホイール状態になるように、PWM信号生成部16がPWM信号16aをドライバ回路20に出力するか、すべての遮断器70が遮断状態となるように、遮断器制御部17が遮断器制御信号17aを遮断器駆動回路60に出力する。あるいは、これらの両方を行う。これにより、モータ190の駆動を停止させる。
図8は、本発明の第1の実施形態における1相故障時の出力トルク例を示す図である。この例では、目標トルクT*を100[Nm]に設定し、U相上アームのパワー半導体素子32に短絡故障が発生した場合を想定している。図8において、左側のグラフは、故障相であるU相の遮断器70を遮断し、正常時と同じ目標電圧に基づいて、正常な2相(V相、W相)のみでモータ駆動を継続した場合(従来制御)の各相電流とトルクの波形例を示している。また、右側のグラフは、本実施形態で説明した1相故障時の電流制御を適用した場合の各相電流とトルクの波形例を示している。
左側のグラフに示す従来制御では、U相の遮断器70は遮断状態のため、U相には電流が流れず、正常なV相とW相の電流のみを用いてトルクが制御される。この状態では、出力トルクが目標トルクと0[Nm]の間で正弦波状に変化し、平均トルクは目標トルクの約50%となる。この状態で平均トルクを向上させるためには、目標トルクを正常時よりも大きくしなければならず、その際にはトルクの変動量がさらに大きくなる。
一方、本実施形態では、1相故障時の電流制御を適用することで、上記のように特定電気角の間にU相の遮断器70を導通させ、U相にも電流を流す。これにより、右側のグラフに示すように、特定電気角の間は目標トルクに近い出力トルクを得ることができるため、平均トルクを向上させることができる。この制御を適用した場合の出力トルクは、目標トルクと0[Nm]の間で変動するため、トルク変動量を従来制御と同様の値に維持できる。
このように、本実施形態の電力変換装置100によれば、1相故障時の電流制御を適用することで、従来と同等のトルク変動量を維持しつつ、平均トルクを向上させることができる。そのため、故障後も車両1の加速能力をある程度維持しながら、乗り心地の悪化を抑制することができる。
なお、本実施形態による1相故障時の電流制御は、故障時にも正常時と同じ目標電圧で制御する従来制御のみならず、前述の特許文献1に記載された制御方法と比較しても、平均トルクの向上効果が得られる。すなわち、特許文献1の制御では、電気角1周期中のうち2ヶ所の電気角で出力トルクが0[Nm]まで低下するが、本実施形態による1相故障時の電流制御を適用すると、図8右側のグラフに示すように、そのうちの1か所の電気角については出力トルクを目標トルクと同等まで向上させることができる。そのため、特許文献1の制御と比べて、平均トルクの向上を図ることができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)電力変換装置100は、電力変換回路30と、遮断器70と、パワー半導体故障箇所判定部18、遮断器制御部17および故障時電流制御部15として機能する制御回路10と、を備える。電力変換回路30は、スイッチング素子であるパワー半導体素子32を直列に接続した上下アーム回路が少なくとも3相分並列接続され、各相のパワー半導体素子32により生成される交流電流を出力線を介してモータ190に出力する。遮断器70は、各相の出力線上に設けられて交流電流を導通または遮断する。パワー半導体故障箇所判定部18は、パワー半導体素子32の故障箇所を判定する。遮断器制御部17は、パワー半導体故障箇所判定部18により故障箇所と判定されたパワー半導体素子32に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において故障相の交流電流が導通され、特定電気角を除く他の電気角において故障相の交流電流が遮断されるように、故障相の遮断器70を制御する。故障時電流制御部15は、故障箇所と判定されたパワー半導体素子32とは異なる他のパワー半導体素子32の駆動を制御する。このようにしたので、パワー半導体素子32の故障後であっても、トルク変動を抑えつつ、モータ190の駆動を継続することができる。
(2)特定電気角は、電気角で120°の範囲を有する。このようにしたので、パワー半導体素子32のいずれかが故障した場合でも、3相交流モータであるモータ190の駆動を確実に継続することができる。
(3)遮断器制御部17は、特定電気角を故障相ごとに変化させる。このようにしたので、いずれの相においてパワー半導体素子32が故障した場合でも、モータ190の駆動を確実に継続することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、遮断器の切り替え遅れがある場合に、パワー半導体の故障後もトルク変動を維持したままで平均出力トルクを向上し、車両を発進しやすくする電力変換装置および駆動装置の例を示す。
なお、本実施形態における電力変換装置100および駆動装置200は、第1の実施形態で説明した図2と同様の構成をそれぞれ有している。そのため、以下では図2の構成を用いて、本実施形態の電力変換装置100および駆動装置200の説明を行う。
図9は、本発明の第2の実施形態における遮断器70の切り替えタイミングの説明図である。図9において、(a)は遮断器70の切り替え遅れがない場合のタイミングチャート例を示しており、(b)は遮断器70の切り替え遅れがある場合のタイミングチャート例を示している。図9(a)、(b)のいずれにおいても、U相上アームのパワー半導体素子32が短絡故障した場合を想定している。また、前述の図6における特定電気角の変数αが0である場合を想定している。なお、図9(a)は、第1の実施形態で説明した1相故障時の電流制御による遮断器70の切り替えタイミングに相当し、図9(b)は、本実施形態における1相故障時の電流制御による遮断器70の切り替えタイミングに相当する。
図9(a)では、遮断器70の切り替え遅れが無い理想的な状態を想定している。そのため、遮断器制御部17は、特定電気角(180~300[deg])の開始タイミングにおいて、故障時電流制御部15から出力される遮断器切り替え信号15bの変化に応じて、U相の遮断器70を遮断状態から導通状態に切り替える。また、特定電気角の終了タイミングにおいて、故障時電流制御部15から出力される遮断器切り替え信号15bの変化に応じて、U相の遮断器70を導通状態から遮断状態に切り替える。
しかし、通常の遮断器70には切り替え遅れ時間があるため、実際にはこの遅れ時間を考慮して、遮断器70の切り替えを制御する必要がある。本実施形態では、図9(b)に示すように、遅れ時間を考慮して遮断器70の切り替えタイミングを設定する。具体的には、遮断器制御部17が遮断器70を遮断状態から導通状態へ切り替えるタイミングは、切り替え遅れが無い図9(a)の場合と同じであるが、遮断器70を導通状態から遮断状態へ切り替えるタイミングは、遮断器70の切り替え遅れ時間分だけ特定電気角の終了タイミングよりも前倒しする。なお、こうした遮断器70の切り替えタイミングの前倒しは、故障時電流制御部15において遮断器切り替え信号15bのタイミングを変化させることで実施してもよいし、遮断器切り替え信号15bのタイミングは変化させずに、遮断器制御部17において遮断器切り替え信号15bのタイミングを変化させることで実施してもよい。
遮断器70を導通状態にすると、故障相の出力電圧は、前述の通り1/2・Vdcまたは-1/2・Vdcとなる。第1の実施形態で説明した1相故障時の電流制御では、特定電気角の範囲内において、正常な2相の出力電圧を補正することにより、正常時と同じd軸目標電圧値およびq軸目標電圧値を電力変換回路30から出力できる。しかしながら、それ以外の範囲では、正常な2相の補正後の電圧が大きくなりすぎて補正しきれない状態となる。この状態では電流制御が不安定になるため、特定電気角以外の範囲では、故障相の遮断器70を導通状態にしないことが望ましい。そこで、本実施形態では、遮断器制御部17が遮断器70に対して導通状態から遮断状態への切り替えを指示するタイミングを、遮断器70の切り替え遅れ時間分だけ前倒しすることで、特定電気角以外の範囲で故障相の遮断器70が導通状態となってしまうのを防いでいる。これにより遮断器70の切り替え遅れがある場合でも、電流制御の安定化を図ることができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、遮断器制御部17は、特定電気角の終了タイミングよりも前倒して、故障相の遮断器70に対して導通状態から遮断状態への切り替えを指示する。このようにしたので、特定電気角以外の範囲で故障相の遮断器70が導通状態となってしまうのを防ぎ、1相故障時の電流制御を安定化させることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、遮断器の切り替え遅れがある場合に、制御回路の処理負荷を低減しつつ、パワー半導体の故障後もトルク変動を維持したままで平均出力トルクを向上し、車両を発進しやすくする電力変換装置および駆動装置の例を示す。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置100および駆動装置200の構成例を表した図である。本実施形態における電力変換装置100は、第1の実施形態で説明した図2と同様の構成をそれぞれ有しており、モータ速度計算部11により計算されたモータ速度値11aが、目標電流計算部12に加えて、さらに故障時電流制御部15と遮断器制御部17にも出力される点が異なる。以下では、第1、第2の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
図11は、本発明の第3の実施形態における遮断器70の切り替えタイミングの説明図である。前述の第2の実施形態では、遮断器70の切り替え遅れがある場合の切り替え制御を示したが、図11に示すように、遮断器70の遅れ時間が電気角60[deg]相当以上になると、この制御方法では故障相の遮断器70が導通状態となる時間が無くなり、1相故障時の電流制御の効果が得られなくなる。すなわち、モータ回転数が速くなるほど、電気角の1周期中で遮断器70の遅れ時間が占める電気角の割合が増えるため、モータ回転数が速い状況では、1相故障時の電流制御の効果が得られないということになる。
そこで、本実施形態では、遮断器70の遅れ時間が電気角60[deg]相当以上となるモータ回転数では、制御回路10において、1相故障時の電流制御を実施せずに、遮断器70を常に遮断状態とするように制御する。これにより、不要な遮断器70の切り替えを無くして、電力変換装置100における制御回路10の処理負荷を低減させる。
図12は、本発明の第3の実施形態における制御フローチャートの例である。本実施形態では、図10に示した制御回路10により、図12のフローチャートに示す制御を一定期間ごとに周期的に実施する。なお、図12において、第1の実施形態で説明した図7の制御フローチャートと同じ処理を行っている部分には、図7と同じ記号を記しており、それらの処理の説明は省略する。
本実施形態では、ステップS104の処理において、内部状態19aが「1相故障状態」である場合はステップS109へ進み、「1相故障状態」以外の場合はステップS108へ進む。
ステップS109の処理において、制御回路10は、モータ速度計算部11により計算されたモータ速度値11aに基づいて、モータ回転数(回転速度)が所定の閾値未満であるか否かを判定する。モータ回転数が閾値未満である場合はステップS105へ進み、閾値以上である場合はステップS110へ進む。
ステップS110の処理において、制御回路10は、従来の故障時制御を実施する。具体的には、故障相の遮断器70を常に遮断状態になるように制御し、故障相以外の正常な2相のパワー半導体素子32を正常時と同じようにそれぞれ制御する。その後、ステップS106へ進む。
このように、本実施形態の電力変換装置100によれば、モータ回転数が所定の閾値未満の場合には1相故障時の電流制御を適用するが、モータ回転数が閾値以上の場合には1相故障時の電流制御を適用せず、故障相を通電しない従来と同様の電流制御を実施する。これにより、不要な遮断器70の切り替え制御を廃止して、制御回路10の処理負荷を低減させることができる。
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、遮断器制御部17は、モータ190の回転速度が所定の閾値以上の場合(ステップS109:No)は、電気角の1周期の全期間において交流電流が遮断されるように、故障相の遮断器70を制御する(ステップS110)。一方、モータ190の回転速度が閾値未満の場合(ステップS109:Yes)は、特定電気角において故障相の交流電流が導通され、特定電気角を除く他の電気角において故障相の交流電流が遮断されるように、故障相の遮断器70を制御する(ステップS105)。このようにしたので、制御回路10の処理負荷を低減させつつ、1相故障時の電流制御を行うことができる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、遮断器の切り替え遅れがある場合に、第2、第3の実施形態とは異なる方法により、パワー半導体の故障後もトルク変動を維持したままで平均出力トルクを向上し、車両を発進しやすくする電力変換装置および駆動装置の例を示す。
なお、本実施形態における電力変換装置100および駆動装置200は、第1の実施形態で説明した図2と同様の構成をそれぞれ有している。そのため、以下では図2の構成を用いて、本実施形態の電力変換装置100および駆動装置200の説明を行う。
図13は、本発明の第4の実施形態における遮断器70の切り替えタイミングの説明図である。図13において、(a)は第2の実施形態で説明した遮断器切り替えと電流制御を行った場合のタイミングチャート例を示しており、(b)は本実施形態による遮断器切り替えと電流制御を行った場合のタイミングチャート例を示している。図13(a)、(b)のいずれにおいても、U相上アームのパワー半導体素子32が開放故障した場合を想定している。
第1、第2の実施形態では、パワー半導体素子32が開放故障、短絡故障いずれの場合でも、1相故障時の電流制御において、故障相の上下アームのうちどちらか一方のパワー半導体素子32が常にオンとなり、他方が常にオフとなるように制御するとともに、故障相の遮断器70を特定電気角の間だけ導通状態になるように制御していた。そのため、例えば第2の実施形態において、U相下アームのパワー半導体素子32が開放故障した場合は、図13(a)に示すように、U相上アームのパワー半導体素子32を常にオン状態として、U相の遮断器70を、特定電気角よりも遮断器70の切り替え遅れ時間分だけ短い間に導通状態になるように制御していた。
しかしながら、上下アームいずれかのパワー半導体素子32が開放故障した場合は、遮断器70の遮断/導通を制御するのではなく、故障箇所と同相で上下逆側のパワー半導体素子32のオン/オフ状態を制御することでも、第1、第2の実施形態で説明した1相故障時の電流制御と同様の出力電圧制御を電力変換装置100において実現できる。そこで本実施形態では、パワー半導体素子32の開放故障が発生した場合は、1相故障時の電流制御として、故障相の遮断器70を常に導通状態になるように制御し、故障箇所と同相で上下逆側のパワー半導体素子32を特定電気角の間だけオン状態になるように制御する。
具体的には、例えば図13(b)のタイミングチャートのように、故障した相(U相)の遮断器70を常に導通状態とし、故障箇所と同相で上下逆側(U相上アーム)のパワー半導体素子32を、第1の実施形態で説明した特定電気角の間だけオン状態になるように制御する。これにより、第1、第2の実施形態と同様の1相故障時の電流制御を実現できる。
例えば遮断器70に機械式スイッチを用いている場合のように、遮断器70の導通/遮断の切り替え遅れ時間が長く、これに比べてパワー半導体素子32のオン/オフ切り替え遅れ時間が短い場合には、本実施形態の制御を実施することで、遮断器70の切り替え遅れ時間の影響を小さくできる。それにより、モータ回転速度が速い状況でも、1相故障時の電流制御と同様の制御を電力変換装置100において適用できるようになる。そのため、車両1が高速で走行している場合でも、従来制御と同様のトルク変動を維持したまま、平均出力トルクを向上させることができる。
図14は、本発明の第4の実施形態における制御フローチャートの例である。本実施形態では、図2に示した制御回路10により、図14のフローチャートに示す制御を一定期間ごとに周期的に実施する。なお、図14において、第1の実施形態で説明した図7の制御フローチャートと同じ処理を行っている部分には、図7と同じ記号を記しており、それらの処理の説明は省略する。
本実施形態では、ステップS104の処理において、内部状態19aが「1相故障状態」である場合はステップS111へ進み、「1相故障状態」以外の場合はステップS108へ進む。
ステップS111の処理において、制御回路10は、故障が検知されたパワー半導体素子32の故障状態が開放故障であるか否かを判定する。開放故障が検知された場合はステップS112へ進み、開放故障ではなく短絡故障が検知された場合はステップS105へ進む。
ステップS112の処理において、制御回路10は、故障相の遮断器70を常に導通状態になるように制御し、故障箇所と同相で上下逆側のパワー半導体素子32を特定電気角の間だけオン状態になるように制御する。これにより、1相故障時の電流制御を行う。その後、ステップS106へ進む。
このように、本実施形態の電力変換装置100によれば、パワー半導体素子32の開放故障が発生した場合は、故障相の遮断器70を常に導通状態になるように制御し、故障箇所と同相で上下逆側のパワー半導体素子32を特定電気角の間だけオン状態になるように制御する。これにより、遮断器70の切り替え遅れ時間の影響を排除して、1相故障時の電流制御を実施することができる。
以上説明した本発明の第4の実施形態によれば、パワー半導体素子32が開放故障した場合(ステップS111:Yes)、遮断器制御部17は、故障相の遮断器70を導通状態とし、故障時電流制御部15は、故障相とは異なる相のパワー半導体素子32と、故障相における上下アーム回路のうち故障箇所と判定されたパワー半導体素子32ではない方のパワー半導体素子32と、の駆動を制御する(ステップS112)。このようにしたので、遮断器70の導通/遮断の切り替え遅れ時間の影響を軽減し、モータ回転速度が速い状況でも、1相故障時の電流制御と同様の制御を実現できる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、パワー半導体の故障後もトルク変動を維持したままで平均出力トルクを向上しつつ、遮断器の故障にも対応可能な電力変換装置および駆動装置の例を示す。
図15は、本発明の第5の実施形態に係る電力変換装置100および駆動装置200の構成例を表した図である。本実施形態における電力変換装置100は、第1の実施形態で説明した図2と同様の構成に加えて、さらに制御回路10が遮断器故障箇所判定部14を有している。以下では、第1~第4の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
遮断器故障箇所判定部14は、遮断器70の診断を行う際に、各相について所定のデューティ値14aを生成し、PWM信号生成部16に出力する。また、遮断器70の診断中に、各相について所定の遮断器切り替え信号14bを生成し、遮断器制御部17に出力する。遮断器故障箇所判定部14は、これらの信号を出力したときに交流電流センサ50から出力される各相の交流電流センサ値50aを用いて、各相の遮断器70が故障しているか否かを判定することができる。遮断器70の診断が完了すると、遮断器故障箇所判定部14は、状態判定部19に対して、遮断器70の診断が完了したことと、故障がある場合はその故障箇所とを表す遮断器診断情報14cを出力する。
図16は、本発明の第5の実施形態における状態判定部19の内部状態判定の例を表した図である。本実施形態では、状態判定部19の初期状態は「遮断器診断状態」である。現在の状態が「遮断器診断状態」であるときに、状態判定部19が遮断器故障箇所判定部14から遮断器診断情報14cを受け取ると、次の状態を「正常状態」に変化させる。
また、状態判定部19は、現在の状態が「正常状態」であるときに、パワー半導体故障箇所判定部18から、いずれかの相のパワー半導体素子32が故障していることを示すパワー半導体故障情報18aを受け取ると、それまでに遮断器故障箇所判定部14から受け取った遮断器診断情報14cの内容に応じて、現在の状態を変化させる。具体的には、故障したパワー半導体素子32と同相の遮断器70が故障していることを表す遮断器診断情報14cを受け取っていた場合には、次の状態を「2相以上故障状態」に変化させる。一方、故障したパワー半導体素子32とは異なる相の遮断器70が故障していることを表す遮断器診断情報14cや、遮断器70が故障していないことを表す遮断器診断情報14cを受け取っていた場合には、次の状態を「1相故障状態」に変化させる。現在の状態が「正常状態」であるときに、上記以外に該当する場合には、次の状態は「正常状態」のままとなる。
なお、現在の状態が「1相故障状態」や「2相以上故障状態」の場合は、第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態における遮断器70の診断方法について説明する。PWM信号生成部16は、状態判定部19から出力される内部状態が「遮断器診断状態」である場合には、遮断器故障箇所判定部14から出力される各相のデューティ値14aに従って、各相のPWM信号16aを生成する。また、遮断器制御部17は、状態判定部19から出力される内部状態が「遮断器診断状態」である場合には、遮断器故障箇所判定部14から出力される遮断器切り替え信号14bに応じて、各相の遮断器70の導通/遮断状態を制御する。遮断器故障箇所判定部14は、これらの信号を出力したときに交流電流センサ50から出力される各相の交流電流センサ値50aに基づき、各相の遮断器70が故障しているか否かを判定することができる。
遮断器70の故障には、遮断器70が遮断状態から変化しなくなる遮断固着故障と、遮断器70が導通状態から変化しなくなる導通固着故障との、大きく分けて2種類の故障状態がある。遮断器70が導通固着故障になった場合、故障した遮断器70と同相のパワー半導体素子32が短絡故障すると、電力変換装置100では遮断器70とパワー半導体素子32のいずれを用いても、故障相に流れる交流電流を遮断できなくなる。したがって、この場合には1相故障時の電流制御を継続できなくなる。そこで本実施形態では、このような状況を判断するために、遮断器故障箇所判定部14により、各相の遮断器70について導通固着故障の有無を診断する。
遮断器故障箇所判定部14は、ある相を診断対象相として遮断器70の導通固着故障の有無を判定する場合に、診断対象相とは異なる1相(以下、「選択相」と称する)を選択して、その選択相の遮断器70を導通状態にするとともに、他の2相の遮断器70を遮断状態とするように、遮断器切り替え信号14bを生成して遮断器制御部17に出力する。また、遮断器故障箇所判定部14は、診断対象相の上アームのパワー半導体素子32と、選択相の下アームのパワー半導体素子32とを、所定の短時間のみオン状態にするように、デューティ値14aを生成し、PWM信号生成部16に出力する。なお、このときオン状態にするパワー半導体素子32の組み合わせにおいて、上アームと下アームをそれぞれ入れ替えてもよい。すなわち、診断対象相の下アームのパワー半導体素子32と、選択相の上アームのパワー半導体素子32とを、所定の短時間のみオン状態にしてもよい。
上記のような遮断器切り替え信号14bとデューティ値14aを出力したとき、診断対象相の遮断器70が正常に遮断されている場合は、診断対象相には電流が流れない。しかし、診断対象相の遮断器70が導通固着故障となっている場合は、診断対象相のパワー半導体素子32、遮断器70およびモータ巻き線と、選択相のモータ巻き線、遮断器70およびパワー半導体素子32とを経由する電流経路が形成され、この電流経路に電流が流れる。そのため、遮断器故障箇所判定部14は、上記の遮断器診断動作を実施したときに、交流電流センサ値50aに基づいて、診断対象相に一定値以上の電流が流れた否かを判断する。その結果、電流が流れたと判断した場合は、診断対象相の遮断器70が導通固着故障状態であると判定する。
図17は、本発明の第5の実施形態における遮断器診断のフローチャートの例である。本実施形態では、遮断器故障箇所判定部14により、ドライバ回路20および電力変換回路30の動作前に、図17のフローチャートに示す制御を実施する。
ステップS200の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、U相の遮断器70の導通固着故障の診断動作を実施する。具体的には、前述のように、U相を診断対象相とし、V相またはW相のいずれかを選択相として、選択相の遮断器70が導通状態となり、U相の遮断器70と選択相ではない相の遮断器70がそれぞれ遮断状態となるような遮断器切り替え信号14bを、遮断器制御部17に対して出力する。また、U相の上アーム(または下アーム)のパワー半導体素子32と、選択相の下アーム(または上アーム)のパワー半導体素子32とが、それぞれ短時間だけオン状態になるようなデューティ値14aを、PWM信号生成部16に対して出力する。
遮断器故障箇所判定部14から上記のデューティ値14aおよび遮断器切り替え信号14bが出力されると、PWM信号生成部16は、デューティ値14aに基づいてPWM信号16aを生成し、ドライバ回路20へ出力する。また、遮断器制御部17は、遮断器切り替え信号14bに基づいて各相の遮断器70の導通/遮断状態を制御する。
ステップS201の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、交流電流センサ50から出力されるU相の交流電流センサ値50aに基づき、U相にある一定値以上の電流が流れたかどうかを判定する。U相に一定値以上の電流が流れた場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS202の処理を実施し、そうでない場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS203の処理を実施する。
ステップS202の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、U相の遮断器70が導通固着故障していると判定する。ステップS203の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、U相の遮断器70が正常であると判定する。ステップS202またはS203の処理を実施したら、ステップS204へ処理を進める。
ステップS204の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、V相の遮断器70の導通固着故障の診断動作を実施する。具体的には、前述のように、V相を診断対象相とし、U相またはW相のいずれかを選択相として、選択相の遮断器70が導通状態となり、V相の遮断器70と選択相ではない相の遮断器70がそれぞれ遮断状態となるような遮断器切り替え信号14bを、遮断器制御部17に対して出力する。また、V相の上アーム(または下アーム)のパワー半導体素子32と、選択相の下アーム(または上アーム)のパワー半導体素子32とが、それぞれ短時間だけオン状態になるようなデューティ値14aを、PWM信号生成部16に対して出力する。
遮断器故障箇所判定部14から上記のデューティ値14aおよび遮断器切り替え信号14bが出力されると、PWM信号生成部16は、デューティ値14aに基づいてPWM信号16aを生成し、ドライバ回路20へ出力する。また、遮断器制御部17は、遮断器切り替え信号14bに基づいて各相の遮断器70の導通/遮断状態を制御する。
ステップS205の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、交流電流センサ50から出力されるV相の交流電流センサ値50aに基づき、V相にある一定値以上の電流が流れたかどうかを判定する。V相に一定値以上の電流が流れた場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS206の処理を実施し、そうでない場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS207の処理を実施する。
ステップS206の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、V相の遮断器70が導通固着故障していると判定する。ステップS207の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、V相の遮断器70が正常であると判定する。ステップS206またはS207の処理を実施したら、ステップS208へ処理を進める。
ステップS208の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、W相の遮断器70の導通固着故障の診断動作を実施する。具体的には、前述のように、W相を診断対象相とし、U相またはV相のいずれかを選択相として、選択相の遮断器70が導通状態となり、W相の遮断器70と選択相ではない相の遮断器70がそれぞれ遮断状態となるような遮断器切り替え信号14bを、遮断器制御部17に対して出力する。また、W相の上アーム(または下アーム)のパワー半導体素子32と、選択相の下アーム(または上アーム)のパワー半導体素子32とが、それぞれ短時間だけオン状態になるようなデューティ値14aを、PWM信号生成部16に対して出力する。
遮断器故障箇所判定部14から上記のデューティ値14aおよび遮断器切り替え信号14bが出力されると、PWM信号生成部16は、デューティ値14aに基づいてPWM信号16aを生成し、ドライバ回路20へ出力する。また、遮断器制御部17は、遮断器切り替え信号14bに基づいて各相の遮断器70の導通/遮断状態を制御する。
ステップS209の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、交流電流センサ50から出力されるW相の交流電流センサ値50aに基づき、W相にある一定値以上の電流が流れたかどうかを判定する。W相に一定値以上の電流が流れた場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS210の処理を実施し、そうでない場合には、遮断器故障箇所判定部14は次にステップS211の処理を実施する。
ステップS210の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、W相の遮断器70が導通固着故障していると判定する。ステップS211の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、W相の遮断器70が正常であると判定する。ステップS210またはS211の処理を実施したら、ステップS212へ処理を進める。
ステップS212の処理において、遮断器故障箇所判定部14は、ステップS202~S203,S206~S207,S210~S211でそれぞれ得られた各相の遮断器70の診断結果に基づき、遮断器診断情報14cを生成し、状態判定部19に対して出力する。
遮断器故障箇所判定部14から上記の遮断器診断情報14cが出力されると、状態判定部19は、内部状態を「遮断器診断状態」から「正常状態」に変化させ、ドライバ回路20および電力変換回路30の動作を開始する。
ステップS212の処理を実行したら、遮断器故障箇所判定部14は図17の制御フローチャートを終了する。これにより、遮断器70の診断動作は完了となる。
図18は、本発明の第5の実施形態における制御フローチャートの例である。本実施形態では、図15に示した制御回路10により、図18のフローチャートに示す制御を一定期間ごとに周期的に実施する。なお、図18において、第1の実施形態で説明した図7の制御フローチャートと同じ処理を行っている部分には、図7と同じ記号を記しており、それらの処理の説明は省略する。
本実施形態では、ステップS102の処理において、いずれかのパワー半導体素子32に対して開放故障または短絡故障が検知された場合はステップS113へ進む。
ステップS113の処理において、状態判定部19は、図17のステップS212で遮断器故障箇所判定部14から出力された遮断器診断情報14cと、パワー半導体故障箇所判定部18から出力されるパワー半導体故障情報18aとに基づき、故障したパワー半導体素子32と同相の遮断器70が故障しているか否かを判断する。その結果、ステップS102で開放故障または短絡故障が検知されたパワー半導体素子32と同相の遮断器70が故障していると判断した場合はステップS114へ進み、異なる相の遮断器70が故障していると判断した場合はステップS103へ進む。
ステップS114の処理において、状態判定部19は、電力変換装置100の現在の状態を「2相以上故障状態」であると判定し、内部状態19aを更新する。ステップS114の処理を実行したら、制御回路10は図18の制御フローチャートを終了する。
このように、本実施形態の電力変換装置100によれば、ドライバ回路20および電力変換回路30の動作開始前に、遮断器70の導通固着故障の有無を判定する。そして、パワー半導体素子32の故障が発生した際に、そのパワー半導体素子32と同相の遮断器70が導通固着故障状態である場合には、故障相の電流を遮断できずに1相故障時電流制御に移行できないため、2相以上故障時と同じようにモータ190の駆動を停止させる。そのため、遮断器70の故障にも対応した動作をとることができる。
以上説明した本発明の第5の実施形態によれば、電力変換装置100は、遮断器70の故障箇所を判定する遮断器故障箇所判定部14を備える。そして、パワー半導体故障箇所判定部18により故障箇所と判定されたパワー半導体素子32と、遮断器故障箇所判定部14により故障箇所と判定された遮断器70とが同一の相である場合は(ステップS113:Yes)、電力変換装置100の現在の状態を「2相以上故障状態」であると判定し(ステップS114)、モータ190の駆動を停止させる(ステップS108)。このようにしたので、遮断器70が故障して1相故障時電流制御を実施できない場合に、モータ190の駆動を安全に停止させることができる。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
1:車両
2:駆動輪
3:非駆動輪
4:車軸
10:制御回路
11:モータ速度計算部
11a:モータ速度値
12:目標電流計算部
12a:目標電流値
13:正常時電流制御部
13a:デューティ値
14:遮断器故障箇所判定部
14a:デューティ値
14b:遮断器切り替え信号
14c:遮断器診断情報
15:故障時電流制御部
15a:デューティ値
15b:遮断器切り替え信号
16:PWM信号生成部
16a:PWM信号
17:遮断器制御部
17a:遮断器制御信号
18:パワー半導体故障箇所判定部
18a:パワー半導体故障情報
19:状態判定部
19a:内部状態
20:ドライバ回路
20a:駆動信号
20b:短絡故障検知信号
30:電力変換回路
31:平滑コンデンサ
32:パワー半導体素子
33:センス端子
33a:センス電流
40:電圧センサ
40a:電圧センサ値
50:交流電流センサ
50a:交流電流センサ値
60:遮断器駆動回路
60a:遮断器駆動信号
70:遮断器
100:電力変換装置
190:モータ
191:モータ中性点
200:駆動装置
210:直流電源
220:故障通知装置
230:電子制御装置

Claims (14)

  1. スイッチング素子を直列に接続した上下アーム回路が少なくとも3相分並列接続され、各相の前記スイッチング素子により生成される交流電流を出力線を介してモータに出力する電力変換回路と、
    各相の前記出力線上に設けられて前記交流電流を導通または遮断する遮断器と、
    前記スイッチング素子の故障箇所を判定する第1の故障箇所判定部と、
    前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する遮断器制御部と、
    前記故障箇所と判定されたスイッチング素子とは異なる他のスイッチング素子の駆動を制御する故障時電流制御部と、を備える電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記特定電気角は、電気角で120°の範囲を有する電力変換装置。
  3. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記遮断器制御部は、前記特定電気角を前記故障相ごとに変化させる電力変換装置。
  4. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記遮断器制御部は、前記特定電気角の終了タイミングよりも前倒して、前記故障相の前記遮断器に対して導通状態から遮断状態への切り替えを指示する電力変換装置。
  5. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記遮断器制御部は、
    前記モータの回転速度が所定の閾値以上の場合は、前記電気角の1周期の全期間において前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御し、
    前記モータの回転速度が前記閾値未満の場合は、前記特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する電力変換装置。
  6. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記スイッチング素子が開放故障した場合、
    前記遮断器制御部は、前記故障相の前記遮断器を導通状態とし、
    前記故障時電流制御部は、前記故障相とは異なる相の前記スイッチング素子と、前記故障相における前記上下アーム回路のうち前記故障箇所と判定されたスイッチング素子ではない方のスイッチング素子と、の駆動を制御する電力変換装置。
  7. 請求項1に記載の電力変換装置であって、
    前記遮断器の故障箇所を判定する第2の故障箇所判定部を備え、
    前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子と、前記第2の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定された遮断器とが同一の相である場合は、前記モータの駆動を停止させる電力変換装置。
  8. 3相交流電流を出力する電力変換装置と、前記3相交流電流により駆動するモータと、を備えた駆動装置であって、
    前記電力変換装置は、
    スイッチング素子を直列に接続した上下アーム回路が3相分並列接続され、各相の前記スイッチング素子により生成される交流電流を出力線を介して前記モータに出力する電力変換回路と、
    各相の前記出力線上に設けられて前記交流電流を導通または遮断する遮断器と、
    前記スイッチング素子の故障箇所を判定する第1の故障箇所判定部と、
    前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子に対応する相を故障相として、電気角の1周期のうち所定の特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する遮断器制御部と、
    前記故障箇所と判定されたスイッチング素子とは異なる他のスイッチング素子の駆動を制御する故障時電流制御部と、を備える駆動装置。
  9. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記特定電気角は、電気角で120°の範囲を有する駆動装置。
  10. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記遮断器制御部は、前記特定電気角を前記故障相ごとに変化させる駆動装置。
  11. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記遮断器制御部は、前記特定電気角の終了タイミングよりも前倒して、前記故障相の前記遮断器に対して導通状態から遮断状態への切り替えを指示する駆動装置。
  12. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記遮断器制御部は、
    前記モータの回転速度が所定の閾値以上の場合は、前記電気角の1周期の全期間において前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御し、
    前記モータの回転速度が前記閾値未満の場合は、前記特定電気角において前記故障相の前記交流電流が導通され、前記特定電気角を除く他の電気角において前記故障相の前記交流電流が遮断されるように、前記故障相の前記遮断器を制御する駆動装置。
  13. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記スイッチング素子が開放故障した場合、
    前記遮断器制御部は、前記故障相の前記遮断器を導通状態とし、
    前記故障時電流制御部は、前記故障相とは異なる相の前記スイッチング素子と、前記故障相における前記上下アーム回路のうち前記故障箇所と判定されたスイッチング素子ではない方のスイッチング素子と、の駆動を制御する駆動装置。
  14. 請求項8に記載の駆動装置であって、
    前記遮断器の故障箇所を判定する第2の故障箇所判定部を備え、
    前記第1の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定されたスイッチング素子と、前記第2の故障箇所判定部により前記故障箇所と判定された遮断器とが同一の相である場合は、前記モータの駆動を停止させる駆動装置。
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