JP7153794B2 - 制御装置及び故障判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置に関し、特に電流センサの故障判定に関する。
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2017-208893号公報)には、インバータ回路を制御し、デューティ値と交流電流センサが出力する交流電流センサ値に基づいて推定直流電流値を計算し、前記推定直流電流値と直流電流センサが出力する直流電流センサ値に基づいて前記直流電流センサの診断を行うインバータ制御装置が記載されている(要約参照)。
また、特許文献2(特開2009-303283号公報)には、動している状態で相電流を検出するセンサに生じているオフセットをより適正に判定すると共にこのオフセットを補正する電動機制御装置が記載されている(要約参照)。
特開2017-208893号公報 特開2009-303283号公報
特許文献1に記載されるように、回転電機を制御するインバータには交流電流センサと直流電流センサが実装されているが、直流電流センサは診断用途にしか使用されず、回転電機の制御には使用されないため、直流電流センサの削減によるコスト低減が求められている。直流電流センサで測定している直流電流値の代わりに、交流電流センサのセンサ値とパワーモジュールへのゲート信号を用いて直流電流値を推定できる。しかし、交流電流センサの故障時に交流電流センサ値と直流電流推定値が同時に異常値になる問題がある。
さらに、インバータは、三相和診断や範囲診断によって交流電流センサの故障を診断するが、どちらもゲイン故障の的確な検知が困難である。直流電流センサを削減するためには交流電流センサのゲイン故障の検知が必要である。
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、直流から三相交流に変換された電力をモータに供給するインバータ回路を介して前記モータを制御する制御装置であって、前記インバータ回路の出力には、三相交流の各相の交流電流を検出する電流センサが設けられており、前記制御装置は、前記インバータ回路のスイッチングを制御するためのPWM信号のデューティ値と、前記電流センサが検出した三相のうち二相の交流電流値とを用いて、各推定直流電流値を計算し、前記計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、前記電流センサの故障を判定することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、直流電流センサを設けることなく、交流電流センサの故障相を判定できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
本発明の実施例の電力変換装置及びその周辺装置の構成例を示す図である。 本発明の実施例のインバータ回路の内部の構成例を示す図である。 実施例1の交流電流センサゲイン故障判定部が実行する交流電流センサゲイン故障判定処理のフローチャートである。 実施例1のデータ処理1のフローチャートである。 実施例1のデータ処理2のフローチャートである。 実施例1のデータ処理3のフローチャートである。 実施例1のゲイン故障判定表1の構成例を示す図である。 実施例1のゲイン故障判定表2の構成例を示す図である。 実施例1のゲイン故障判定表3の構成例を示す図である。 実施例1のゲイン故障判定表4の構成例を示す図である。 U相の交流電流センサが故障した場合の電流波形を示す図である。 実施例2のゲイン故障判定表5の構成例を示す図である。 実施例3のゲイン故障判定表6の構成例を示す図である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。以下の実施例では、交流電流センサの故障相を判定する回転電機の制御システムについて説明する。
<実施例1>
図1は、本発明の実施例の電力変換装置1及びその周辺装置の構成例を示す図である。
電力変換装置1は、直流電源3から得られる直流電力を交流電力に変換してモータ2を駆動する。また、電力変換装置1は、モータ2の動力を直流電力に変換して直流電源3を充電する機能も有する。直流電源3はモータ2を駆動させるためのバッテリなどの電源である。直流電源3から供給される直流電流は、直流電源3の正極から電力変換装置1に直流電流が流れる方向を正、逆の方向を負とする。
モータ2は内部に3個の巻き線を有した三相電動機である。モータ2には回転角度を測定するための角度センサ(図示せず)が搭載されており、角度センサは測定したモータ2の回転角度を角度センサ値として電力変換装置1に出力する。
電力変換装置1は、制御装置15、ドライバ回路22、インバータ回路9、交流電流センサ14a~14c、電圧センサ10及び交流電流センサゲイン故障判定部25を有する。
電圧センサ10は、直流電源3の出力電圧を測定するセンサであり、測定した電圧値を電圧センサ値として制御装置15に出力する。
交流電流センサ14a~14cは、モータ2の各相(U相、V相、W相)に流れる交流電流を測定するセンサである。交流電流センサ14aは、U相を流れる交流電流値Iuを測定し、制御装置15に対して交流電流センサ値Iusを出力する。同様に、交流電流センサ14bはV相を流れる交流電流値Ivを測定し、制御装置15に対して交流電流センサ値Ivsを出力する。交流電流センサ14cは、W相を流れる交流電流値Iwを測定し、制御装置15に対して交流電流センサ値Iwsを出力する。交流電流は、電力変換装置1からモータ2に交流電流が流れる方向を正、逆の方向を負とする。
なお、本実施例では、交流電流センサ14a~14cが電力変換装置1内に設けられるが、電力変換装置1外(例えば、電力変換装置1とモータ2との間や、モータ2の内部)に設けられてもよい。
制御装置15は、電力変換装置1外部の電子制御装置(図示せず)と通信を行い、他の電子制御装置からモータ2の目標トルクを受け取る。制御装置15は、この目標トルクに基づいて、ドライバ回路22を介してインバータ回路9を制御してモータ2を駆動させる。また、制御装置15は、電力変換装置1内部に故障が発生したと判定した場合、外部の異常通知装置4に対して異常通知信号を出力する。
制御装置15は、内部に通信回路(図示せず)、モータ速度計算部23、目標電流計算部17、デューティ計算部19、PWM信号生成部21及び交流電流センサゲイン故障判定部25を有する。
モータ速度計算部23は、モータ内の角度センサ値の変化からモータ回転速度を計算し、計算したモータ速度値を目標電流計算部17に出力する。
目標電流計算部17は、目標トルク、電圧センサ値及びモータ速度計算部23が出力するモータ速度値を用いて、モータ2に流すべき電流値を計算し、この電流値を目標電流値としてデューティ計算部19に出力する。この目標電流値には、d軸目標電流値とq軸目標電流値の情報が含まれる。
デューティ計算部19は、目標電流計算部17が出力した目標電流値と交流電流センサ値Ius、Ivs、Iwsに基づいてU相デューティ値Du、V相デューティ値Dv、W相デューティ値Dwを計算し、PWM信号生成部21及び交流電流センサゲイン故障判定部25に出力する。U相デューティ値DuはU相上アームパワー半導体90aのON時間割合を示し、U相上アームパワー半導体と対となるU相下アームパワー半導体90bのON時間割合は1-Duで示される。同様に、V相デューティ値DvはV相上アームパワー半導体90cのON時間割合を示し、V相下アームパワー半導体90dのON時間割合は1-Dvで示される。W相デューティ値DwはW相上アームパワー半導体90eのON時間割合を示し、W相下アームパワー半導体90fのON時間割合は1-Dwで示される。
上アーム、下アームの区分は図2で説明する。
PWM信号生成部21は、内部にタイマ(図示せず)を有しており、このタイマ値とU相デューティ値Du、V相デューティ値Dv、W相デューティ値Dwに基づいて、PWM(Pulse Wide Modulation)信号を生成し、ドライバ回路22に出力する。
また、PWM信号生成部21は、交流電流センサゲイン故障判定部25から異常通知信号が出力された場合には、モータ2が駆動しないようにPWM信号を制御する。モータ2が駆動しない状態とは、例えば、インバータ回路9内の6個のパワー半導体をすべてOFFにする状態(本実施例ではフリーホイール状態と称する)がある。その他の例としては、6個のパワー半導体のうち、上アームの3個をONにし、下アームの3個をOFFにする状態(本実施例では上アームアクティブショート状態と称する)や、逆に上アームの3個をOFFにし、下アームの3個をONにする状態(本実施例では下アームアクティブショート状態と称する)がある。
交流電流センサゲイン故障判定部25は、交流電流センサ14a~14cの故障を判定し、内部に推定直流電流計算部26及び判定部28を有する。交流電流センサゲイン故障判定部25は、演算装置、メモリ及び入出力装置を含む計算機(マイコン)によって構成される。
演算装置は、プロセッサを含み、メモリに格納されたプログラムを実行する。演算装置がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、FPGA(Field Programable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア)で実行してもよい。
メモリは、不揮発性の記憶素子であるROM及びRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子、及びSRAM(Static Random Access Memory)のような不揮発性の記憶素子であり、演算装置が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。
入出力装置は、所定のプロトコルに従って、交流電流センサゲイン故障判定部25による処理内容を外部に送信したり、外部からデータ受信するインターフェースである。
演算装置が実行するプログラムは、交流電流センサゲイン故障判定部25の非一時的記憶媒体である不揮発性のメモリに格納される。
推定直流電流計算部26は、各相のデューティ値Du、Dv、Dwと交流電流センサ値Ius、Ivs、Iwsとに基づいて、四つの推定直流電流値と三相和電流値を計算し、判定部28に出力する。判定部28は、四つの推定直流電流値と三相和電流値を用いて、交流電流センサ14a~14cのゲイン故障大・小と故障相を判定し、故障通知信号を故障通知装置とPWM信号生成部21に出力する。具体的には、判定部28は、図3から図6に示す処理によって、四つの推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3、Idce4と三相和電流値Isumを計算し、これらを用いてデータ処理1、2、3を実行して、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3を計数し、計数された判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3を用いて、交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン大故障かゲイン小故障かを判定する。
ドライバ回路22は、PWM信号生成部21が出力するPWM信号を受けて、インバータ回路9のパワー半導体のON/OFFを切り替えるための駆動信号を出力する。
図2は、本発明の実施例のインバータ回路9の内部の構成例を示す図である。
インバータ回路9は、平滑コンデンサ92と六つのパワー半導体90a~90fを有する。
パワー半導体90a~90fは、ドライバ回路22から入力される駆動信号に従ってONとOFFを切り替え、直流電力と交流電力とを変換する。パワー半導体90a~90fは、例えばパワーMOSFET(MetalOxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成される。本実施例では、図の上側三つのパワー半導体をまとめて上アーム、下側三つのパワー半導体をまとめて下アームと称する。
平滑コンデンサ92は、パワー半導体90a~90fのON/OFFによって生じる電流を平滑化し、直流電源3から電力変換装置1へ供給される直流電流のリップルを抑制するためのコンデンサである。平滑コンデンサ92は、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサで構成される。
図3は、実施例1の交流電流センサゲイン故障判定部25が実行する交流電流センサゲイン故障判定処理のフローチャートである。図3に示す交流電流センサゲイン故障判定処理は所定のタイミング(例えば、所定時間間隔で)繰り返し実行される。
まず、交流電流センサゲイン故障判定部25は、交流電流センサ値Ius、Ivs、Iwsを取得する(S101)。
その後、推定直流電流計算部26は、各相のPWM信号のデューティ値Du、Dv、Dwと交流電流センサ値Ius、Ivs、Iwsから、下式を用いて、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3、Idce4を計算し、さらに三相和電流値Isumを計算し、判定部28に出力する(S102)。
Idce1=(-Ivs-Iws)×Du+Ivs×Dv+Iws×Dw
Idce2=Ius×Du+(-Ius-Iws)×Dv+Iws×Dw
Idce3=Ius×Du+Ivs×Dv+(-Ius-Ivs)×Dw
Idce4=(-Ivs-Iws)×Du+(-Ius-Iws)×Dv+(-Ius-Ivs)×Dw
Isum=Ius+Ivs+Iws
判定部28は、推定直流電流値Idce1、Idce4と三相和電流値Isumを用いてデータ処理1を実行し、判定パラメータ1Njudg1を計算する(S103)。データ処理1の詳細は、図4を参照して後述する。
また、判定部28は、推定直流電流値Idce2、Idce4と三相和電流値Isumを用いてデータ処理2を実行し、判定パラメータ2Njudg2を計算する(S104)。データ処理2の詳細は、図5を参照して後述する。
さらに、判定部28は、推定直流電流値Idce3、Idce4と三相和電流値Isumを用いてデータ処理3を実行し、判定パラメータ3Njudg3を計算する(S105)。データ処理3の詳細は、図6を参照して後述する。
そして、判定部28は、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3を一定時間計数し(S106)、故障相とゲイン故障モードを判定する(S107)。故障相とゲイン故障モードの判定は様々な方法が採用し得るが、例えば、ゲイン故障判定表(図7、図8、図9、図10参照)を用いて、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少の傾向によって故障相とゲイン故障モードを判定できる。また、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3を入力として、故障相とゲイン故障モードを出力する関数を用いて、故障相とゲイン故障モードを判定したり、人工知能による故障判定モデルを用いて故障相とゲイン故障モードを判定してもよい。
図4は、実施例1のデータ処理1のフローチャートである。
判定部28は、推定直流電流値Idce1、Idce4と三相和電流値Isumを用いて、データ処理1を実行する。判定部28は、最初に三相和電流値Isumが正か負か判定する(S111)。そして、三相和電流値Isumが「正」の場合、判定式1-1に合致するかを判定し(S112)、判定式1-1に合致する場合は判定パラメータNjudge1を1増加し(S113)、判定式1-1に合致しない場合は何もしない。
判定式1-1:Idce1-Idce4>Isum+Ihys
一方、三相和電流値Isumが「負」の場合、判定式1-2に合致するかを判定し(S114)、判定式1-2に合致する場合は判定パラメータNjudge1を1減少し(S115)、判定式1-2に合致しない場合は何もしない。
判定式1-2:Idce1-Idce4<Isum-Ihys
なお、判定閾値Ihysは固定値でもよいが、トルク指令値変化分ΔTcmdとモータ回転数ωと直流電圧値Vdcと電力変換効率ηを変数として、下式を用いて目標直流電流の変化量を計算し、計算した値で補正された値を用いてもよい。目標直流電流の変化量を用いた判定閾値の補正によって、指令による電流の急激な変化に追従できる。
判定閾値=Ihys+((ΔTcmd×ω)/(η×Vdc))
図5は、実施例1のデータ処理2のフローチャートである。
判定部28は、推定直流電流値Idce2、Idce4と三相和電流値Isumを用いて、データ処理2を実行する。判定部28は、最初に三相和電流値Isumが正か負か判定する(S121)。そして、三相和電流値Isumが「正」の場合、判定式2-1に合致するかを判定し(S122)、判定式2-1に合致する場合は判定パラメータNjudge2を1増加し(S123)、判定式2-1に合致しない場合は何もしない。
判定式2-1:Idce2-Idce4>Isum+Ihys
一方、三相和電流値Isumが「負」の場合、判定式2-2に合致するかを判定し(S114)、判定式2-2に合致する場合は判定パラメータNjudge2を1減少し(S115)、判定式2-2に合致しない場合は何もしない。
判定式2-2:Idce2-Idce4<Isum-Ihys
なお、前述と同様に、判定閾値Ihysは固定値でもよいが、トルク指令値変化分ΔTcmdとモータ回転数ωと直流電圧値Vdcと電力変換効率ηを変数として、下式を用いて目標直流電流の変化量を計算し、計算した値で補正された値を用いてもよい。目標直流電流の変化量を用いた判定閾値の補正によって、指令による電流の急激な変化に追従できる。
判定閾値=Ihys+((ΔTcmd×ω)/(η×Vdc))
図6は、実施例1のデータ処理3のフローチャートである。
判定部28は、推定直流電流値Idce3、Idce4と三相和電流値Isumを用いて、データ処理3を実行する。判定部28は、最初に三相和電流値Isumが正か負か判定する(S131)。そして、三相和電流値Isumが「正」の場合、判定式3-1に合致するかを判定し(S132)、判定式3-1に合致する場合は判定パラメータNjudge3を1増加し(S133)、判定式3-1に合致しない場合は何もしない。
判定式3-1:Idce3-Idce4>Isum+Ihys
また、三相和電流値Isumが「負」の場合、判定式3-2に合致するかを判定し(S134)、判定式3-2に合致する場合は判定パラメータNjudge3を1減少し(S135)、判定式3-2に合致しない場合は何もしない。
判定式3-2:Idce3-Idce4<Isum-Ihys
なお、前述と同様に、判定閾値Ihysは固定値でもよいが、トルク指令値変化分ΔTcmdとモータ回転数ωと直流電圧値Vdcと電力変換効率ηを変数として、下式を用いて目標直流電流の変化量を計算し、計算した値で補正された値を用いてもよい。目標直流電流の変化量を用いた判定閾値の補正によって、指令による電流の急激な変化に追従できる。
判定閾値=Ihys+((ΔTcmd×ω)/(η×Vdc))
図7は、実施例1のゲイン故障判定表1の構成例を示す図である。
ゲイン故障判定表1は、力行時に用いられる。ゲイン故障判定表1は、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードが記録されている。ゲイン故障モードは、交流電流センサ14a~14cが、真値より大きな値を出力する故障であるか、小さな値を出力する故障であるかを示し、正常状態では、交流電流センサ14a~14cのゲインは1.0である。判定部28は、力行時には、ゲイン故障判定表1を用いて、所定時間T1だけ計数された判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向によって、力行時の交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードを判定する。判定部28は、力行時か回生時かを目標トルクで判定する。例えば、目標トルクが正であれば力行時であり、目標トルクが負であれば回生時である。また、判定部28は、推定直流電流で力行時か回生時かを判定してもよい。例えば、1つ以上の推定直流電流が正であれば力行時であり、1つ以上の推定直流電流が負であれば回生時である。
図8は、実施例1のゲイン故障判定表2の構成例を示す図である。
ゲイン故障判定表2は、ゲイン故障判定表1(図7)と同様に力行時に用いられる。ゲイン故障判定表2は、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードが記録されている。判定部28は、ゲイン故障判定表1(図7)によって故障相とゲイン故障モードを判定できなかった場合に、ゲイン故障判定表2を用いて、所定時間T2だけ計数された判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向によって、力行時の交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードを判定する。
すなわち、理想的な判定パラメータの増加減傾向ではゲイン故障判定表1(図7)で判定可能であるが、データ処理1~3の閾値や処理タイミングによっては、ゲイン故障判定表1に定められる条件に合致しない場合があり、ゲイン故障判定表2(図8)を用いて判定すると判定結果が得られることがある。
なお、ゲイン故障判定表1の判定条件とゲイン故障判定表2の判定条件とを統合して一つのゲイン故障判定表を構成してもよい。
図9は、実施例1のゲイン故障判定表3の構成例を示す図である。
実施例1では、力行時も回生時も同一アルゴリズムで判定処理が可能である。しかし、推定直流電流値の変化の傾向が異なるので、力行時と回生時で異なる判定表を使う必要がある。
ゲイン故障判定表3は、回生時に用いられる。ゲイン故障判定表3は、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードが記録されている。判定部28は、ゲイン故障判定表3を用いて、所定時間T3だけ計数された判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向によって、回生時の交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードを判定する。
図10は、実施例1のゲイン故障判定表4の構成例を示す図である。
ゲイン故障判定表4は、ゲイン故障判定表3(図9)と同様に回生時に用いられる。ゲイン故障判定表4は、判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードが記録されている。判定部28は、ゲイン故障判定表3(図9)によって故障相とゲイン故障モードが判定できなかった場合にゲイン故障判定表4を用いて、所定時間T4だけ計数された判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3の増加・減少傾向によって、力行時の交流電流センサ14a~14cの故障相とゲイン故障モードを判定する。
すなわち、理想的な判定パラメータの増加減傾向ではゲイン故障判定表3(図9)で判定可能であるが、データ処理1~3の閾値や処理タイミングによっては、ゲイン故障判定表3に定められる条件に合致しない場合があり、ゲイン故障判定表4(図10)を用いて判定すると判定結果が得られることがある。
なお、ゲイン故障判定表3の判定条件とゲイン故障判定表4の判定条件とを統合して一つのゲイン故障判定表を構成してもよい。
以上に説明した判定処理において判定パラメータNjudg1、Njudg2、Njudg3を計数する所定時間T1~T4は異なる時間でも同じ時間でもよいが、T2はT1より長く、T4はT3より長い時間にするとよい。
図11は、U相の交流電流センサ14aが故障した場合の電流波形を示す図である。
U相電気角が360°で故障が発生し、正常時には理想的には0である三相和電流値Isumが変化している。また、図示を省略するが、Idce1、Idce2、Idce3、Idce4も同期せずに変化するので、点線で表すIdce1-Idce4、破線で表すIdce2-Idce4、一点鎖線で表すIdce3-Idce4も変化を始める。
U相電気角が360°から540°の間では、Isumが正であるため、Isum+Ihysが上限の判定閾値となり、Idce1-Idce4は判定閾値(判定閾値内の領域をドットパターンで示す)を超えないが、Idce2-Idce4はA点で判定閾値を超え、Idce3-Idce4はB点で判定閾値を超える。また、U相電気角が540°から720°の間では、Isumが負であるため、Isum-Ihysが下限の判定閾値となり、Idce1-Idce4はC点で判定閾値より小さくなる。このため、A点(U相電気角380°、740°、1100°)において判定パラメータNjudg2に1が加算され、B点(U相電気角460°、820°、1180°)において判定パラメータNjudg3に1が加算され、C点(U相電気角580°、940°、1300°)において判定パラメータNjudg1から1が減算される。
故障判定のための所定時間を3周期とすると、判定パラメータNjudg1が-3減少、判定パラメータNjudg2が+3増加、判定パラメータNjudg3が+3増加となるので、ゲイン故障判定表1(図7)を参照すると、U相のゲイン大故障であることが分かる。
交流電流センサ14aから14cのゲイン故障が発生すると推定直流電流値と三相和電流値が変化する。実施例1では、三相和電流値がゼロになる原理に基づいて、一相又は三相全てを推定交流電流値として算出した四つの推定直流電流値(Idce1~Idce4)と三相和電流値Isumを利用して、推定直流電流値の増加・減少の傾向を判定することによって、ゲイン故障の大又は小と故障相が判定できる。
すなわち、U相の交流電流センサ14aが故障した場合、Iusを使用しないで計算されるIdce1が真値となる。Idce2、Idce3及びIdce4は真値とは異なる波形で変化する。このため、Idce1-Idec4は他の推定直流電流値の差分(Idce2-Idce4、Idce3-Idce4)と異なる傾向で変化する。この変化を三相和電流値Isumからのズレ量を基準として判定することによって、交流電流センサ14aの故障を判定できる。
以上に説明したように、本発明の実施例1では、各推定直流電流値の変化に基づいて交流電流センサ14a~14cの故障を判定する。具体的には、推定直流電流値の差分(例えばIdce1-Idec4)の三相和電流値Isumとのズレ量を所定の閾値Ihysと比較する。そして、三つの推定直流電流値のうち一つの推定直流電流値(例えば、Idce1)の変化の傾向が他の推定直流電流値(例えばIdce2、Idce3)と異なる場合、当該変化の傾向が異なる推定直流電流値Idce1の計算に使用されなかった交流電流センサ値Iusを検出したU相の交流電流センサ14aが故障であると判定するため、交流電流センサ14a~14cの故障を的確に判定できる。また、交流電流センサ14a~14cの故障の程度(ゲイン差)が小さくでも、交流電流センサの故障を検出できる。さらに、交流電流センサ14a~14cのゲイン故障の程度が変化しても、各推定直流電流値と三相和電流値の相対関係は変わらないので、同じアルゴリズムで判定できる。
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2では、図3のステップS107において、推定直流電流の変動周波数を比較し、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。なお、実施例2では、故障相を判定するが、ゲイン故障モードは判定しない。以下の実施例2の説明において、実施例1と異なる箇所を主に説明し、実施例1と同じ機能を有する構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
例えば、U相ゲイン故障が発生すると、U相の交流電流センサ14aの交流電流センサ値Iusを使用しないで計算される推定直流電流値Idce1は交流電流の周波数変動の影響を受けないが、U相の交流電流センサ14aの交流電流センサ値Iusを使用して計算される推定直流電流値Idce2、Idce3は交流電流の周波数に比例して振幅が変動する。すなわち、推定直流電流値Idce1と、推定直流電流値Idce2、Idce3では変動周波数が異なる。このため、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3の変化を周波数によって判定して、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。
判定部28は、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3を所定時間T5だけ計測して、推定直流電流の変動周波数F1、F2、F3を計算し、推定直流電流の変動周波数F1、F2、F3の大きさを比較して、ゲイン故障判定表5(図12参照)を用いて、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。
判定部28は、所定時間T5の計測結果で、ゲイン故障判定表5(図12参照)を用いても合致する条件がない場合、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3をさらに所定時間T6だけ計測し、推定直流電流の変動周波数F1、F2、F3を再計算し、その結果を用いて再判定してもよい。
図12は、実施例2のゲイン故障判定表5の構成例を示す図である。
ゲイン故障判定表5は、推定直流電流の変動周波数F1、F2、F3の大小関係に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相が記録されている。判定部28は、ゲイン故障判定表5を用いて、所定時間T5の推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3の変動周波数F1、F2、F3の大きさを比較して、変動周波数が最も低い交流電流センサ14a~14cを故障であると判定する。
以上に説明したように、本発明の実施例2によると、簡易な演算で交流電流センサ14a~14cの故障相を判定できる。
<実施例3>
次に、本発明の実施例3を説明する。実施例3では、図3のステップS107において、計算された推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3の最大値と最小値との差(ピークピーク値)を比較し、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。なお、実施例3では、故障相を判定するが、ゲイン故障モードは判定しない。以下の実施例23の説明において、実施例1と異なる箇所を主に説明し、実施例1と同じ機能を有する構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
例えば、U相ゲイン故障が発生すると、U相の交流電流センサ14aの交流電流センサ値Iusを使用しないで計算される推定直流電流値Idce1のピークピーク値はゲイン故障の影響を受けないが、U相の交流電流センサ14aの交流電流センサ値Iusを使用して計算される推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3のピークピーク値はゲイン故障の程度に比例して増加する。すなわち、交流電流センサ14a~14cが故障すると、計算された推定直流電流値のピークピーク値が異なる。このため、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3の変化をピークピーク値によって判定して、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。
判定部28は、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3を所定時間T7だけ計測し、推定直流電流のピークピーク値Idce1p-p、Idce2p-p、Idce3p-pを計算し、推定直流電流のピークピーク値Idce1p-p、Idce2p-p、Idce3p-pの大きさを比較して、ゲイン故障判定表6(図13参照)を用いて、交流電流センサ14a~14cの故障相を判定する。
判定部28は、所定時間T7の計測結果で、ゲイン故障判定表6(図13参照)を用いても合致する条件がない場合、推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3をさらに所定時間T8だけ計測し、推定直流電流のピークピーク値Idce1p-p、Idce2p-p、Idce3p-pを再計算し、その結果を用いて再判定してもよい。
図13は、実施例3のゲイン故障判定表6の構成例を示す図である。
ゲイン故障判定表6は、推定直流電流のピークピーク値Idce1p-p、Idce2p-p、Idce3p-pの大小関係に対応して、交流電流センサ14a~14cの故障相が記録されている。判定部28は、ゲイン故障判定表6を用いて、所定時間T7の推定直流電流値Idce1、Idce2、Idce3のピークピーク値Idce1p-p、Idce2p-p、Idce3p-pの大きさを比較して、ピークピーク値が最も小さい交流電流センサ14a~14cを故障であると判定する。
以上に説明したように、本発明の実施例3によると、簡易な演算で交流電流センサ14a~14cの故障相を判定できる。
以上に説明したように、本発明の実施例の電力変換装置1の制御装置15は、
直流から三相交流に変換された電力をモータ2に供給するインバータ回路9を介してモータ2を制御する制御装置であって、インバータ回路9の出力には、三相交流の各相の交流電流を検出する交流電流センサ14a~14cが設けられており、制御装置15(交流電流センサゲイン故障判定部25)は、インバータ回路のスイッチングを制御するためのPWM信号のデューティ値と、電流センサが検出した三相のうち二相の交流電流値(Ius、Ivs、Iwsのいずれか二つ)とを使用して、三つの推定直流電流値Idce1~Idce3を計算し、計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、交流電流センサ14a~14cの故障を判定するので、直流電流センサを設けることなく、交流電流センサの故障相とゲイン故障モードを判定できる。また、交流電流センサの故障の程度(ゲイン差)が小さくでも、交流電流センサの故障を検出できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、予め定められた値に目標直流電流の変化量を加算した値を所定の閾値とし、推定直流電流値Idce1、Idce2及びIdce3の各々から推定直流電流値Idce4を減じた値と三相和電流値Isumとの差が補正された所定の閾値との比較結果に基づいて、交流電流センサ14a~14cが故障している相と故障の種別を判定するので、目標直流電流の変化量を用いた判定閾値の補正によって、指令による電流の急激な変化に追従できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、計算された各推定直流電流値の変化を第1の判定表(ゲイン故障判定表1、ゲイン故障判定表3)と照合して、交流電流センサ14a~14cが故障している相と故障の種別とを判定する第1の判定を行い、第1の判定によって交流電流センサ14a~14cの故障が判定できない場合、計算された各推定直流電流値の変化を第2の判定表(ゲイン故障判定表2、ゲイン故障判定表4)と照合して、交流電流センサ14a~14cが故障している相と故障の種別とを判定する第2の判定を行うので、ノイズの影響やゲイン故障の程度(ゲイン差)によらず、交流電流センサの故障を的確に判定できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、第1の時間における計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、交流電流センサ14a~14cの故障を判定する第3の判定を行い、第3の判定によって交流電流センサ14a~14cの故障が判定できない場合、第1の時間より長い第2の時間における計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、交流電流センサ14a~14cの故障を判定する第4の判定を行うので、ノイズの影響やゲイン故障の程度(ゲイン差)によらず、交流電流センサの故障を的確かつ短時間に判定できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、計算された推定直流電流値の周波数が最も小さい相について、交流電流センサ14a~14cが故障していると判定するので、簡易な演算で交流電流センサ14a~14cの故障相を判定できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、計算された推定直流電流値の最大値と最小値との差が最も小さい相について、電流センサが故障していると判定するので、簡易な演算で交流電流センサ14a~14cの故障相を判定できる。
また、交流電流センサゲイン故障判定部25は、第3の時間における計算された各推定直流電流値の周波数に基づいて、交流電流センサ14a~14cの故障を判定する第5の判定を行い、第5の判定によって交流電流センサ14a~14cの故障が判定できない場合、第3の時間より長い第4の時間における計算された各推定直流電流値の周波数に基づいて、交流電流センサ14a~14cの故障を判定する第6の判定を行うので、ノイズの影響やゲイン故障の程度(ゲイン差)によらず、交流電流センサの故障を的確かつ短時間に判定できる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1 電力変換装置、2 モータ、3 直流電源、4 異常通知装置、7 角度センサ値、9 インバータ回路、10 電圧センサ、14a~14c 交流電流センサ、15 制御装置、17 目標電流計算部、19 デューティ計算部、21 PWM信号生成部、22 ドライバ回路、23 モータ速度計算部、25 交流電流センサゲイン故障判定部、26 推定直流電流計算部、28 判定部、90a~90f パワー半導体、92 平滑コンデンサ

Claims (12)

  1. 直流から三相交流に変換された電力をモータに供給するインバータ回路を介して前記モータを制御する制御装置であって、
    前記インバータ回路の出力には、三相交流の各相の交流電流を検出する電流センサが設けられており、
    前記制御装置は、
    前記インバータ回路のスイッチングを制御するためのPWM信号のデューティ値と、前記電流センサが検出した三相のうち二相の交流電流値とを使用して、三つの推定直流電流値を計算し、
    前記計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、前記電流センサの故障を判定することを特徴とする制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記三つの推定直流電流値のうち一つの推定直流電流値の変化の傾向が他の推定直流電流値と異なる場合、当該変化の傾向が異なる推定直流電流値の計算に使用されなかった交流電流値を検出した電流センサが故障であると判定することを特徴とする制御装置。
  3. 請求項1に記載の制御装置であって、
    U相のPWM信号のデューティ値をDu、V相のPWM信号のデューティ値をDv、W相のPWM信号のデューティ値をDw、U相の交流電流値をIus、V相の交流電流値をIvs、W相の交流電流値Iwsとし、
    前記制御装置は、
    Du、Dv、Dw、Ivs及びIwsを用いて、第1の推定直流電流値Idce1を計算し、
    Du、Dv、Dw、Iws及びIusを用いて、第2の推定直流電流値Idce2を計算し、
    Du、Dv、Dw、Ius及びIvsを用いて、第3の推定直流電流値Idce3を計算し、
    Du、Dv、Dw、Ius、Ivs及びIwsを用いて、第4の推定直流電流値Idce4を計算し、
    前記第1の推定直流電流値Idce1、第2の推定直流電流値Idce2及び第3の推定直流電流値Idce3の各々から前記第4の推定直流電流値Idce4を減じた値と三相和電流値Isumとの差と、所定の閾値Ihysとの比較結果に基づいて、前記電流センサが故障している相と故障の種別とを判定することを特徴とする制御装置。
  4. 請求項3に記載の制御装置であって、
    下式を用いて、前記第1の推定直流電流値Idce1、前記第2の推定直流電流値Idce2、前記第3の推定直流電流値Idce3及び前記第4の推定直流電流値Idce4を計算し、
    前記三相和電流値Isumが正であり、かつ、判定式1-1に合致する場合は判定パラメータNjudge1を1増加し、
    前記三相和電流値Isumが負であり、かつ、判定式1-2に合致する場合は判定パラメータNjudge1を1減少し、
    前記三相和電流値Isumが正であり、かつ、判定式2-1に合致する場合は判定パラメータNjudge2を1増加し、
    前記三相和電流値Isumが負であり、かつ、判定式2-2に合致する場合は判定パラメータNjudge2を1減少し、
    前記三相和電流値Isumが正であり、かつ、判定式3-1に合致する場合は判定パラメータNjudge3を1増加し、
    前記三相和電流値Isumが負であり、かつ、判定式3-2に合致する場合は判定パラメータNjudge3を1減少し、
    所定時間における前記判定パラメータNjudge1、Njudge2、Njudge3の変化量に基づいて、前記電流センサが故障している相と故障の種別とを判定することを特徴とする制御装置。
    Idce1=(-Ivs-Iws)×Du+Ivs×Dv+Iws×Dw
    Idce2=Ius×Du+(-Ius-Iws)×Dv+Iws×Dw
    Idce3=Ius×Du+Ivs×Dv+(-Ius-Ivs)×Dw
    Idce4=(-Ivs-Iws)×Du+(-Ius-Iws)×Dv+(-Ius-Ivs)×Dw
    判定式1-1:Idce1-Idce4>Isum+Ihys
    判定式1-2:Idce1-Idce4<Isum-Ihys
    判定式2-1:Idce2-Idce4>Isum+Ihys
    判定式2-2:Idce2-Idce4<Isum-Ihys
    判定式3-1:Idce3-Idce4>Isum+Ihys
    判定式3-2:Idce3-Idce4<Isum-Ihys
  5. 請求項3又は4に記載の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    予め定められた値に目標直流電流の変化量を加算して前記所定の閾値を補正し、
    前記第1の推定直流電流値Idce1、前記第2の推定直流電流値Idce2及び前記第3の推定直流電流値Idce3の各々から前記第4の推定直流電流値Idce4を減じた値と前記三相和電流値Isumとの差が前記補正された所定の閾値との比較結果に基づいて、前記電流センサが故障している相と故障の種別とを判定することを特徴とする制御装置。
  6. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記計算された各推定直流電流値の変化を第1の判定表と照合して、前記電流センサが故障している相と故障の種別とを判定する第1の判定を行い、
    前記第1の判定によって前記電流センサの故障が判定できない場合、前記計算された各推定直流電流値の変化を第2の判定表と照合して、前記電流センサが故障している相と故障の種別とを判定する第2の判定を行うことを特徴とする制御装置。
  7. 請求項1に記載の制御装置であって、
    第1の時間における前記計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第3の判定を行い、
    前記第3の判定によって前記電流センサの故障が判定できない場合、前記第1の時間より長い第2の時間における前記計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第4の判定を行うことを特徴とする制御装置。
  8. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記計算された推定直流電流値の周波数が最も小さい相について、前記電流センサが故障していると判定することを特徴とする制御装置。
  9. 請求項8に記載の制御装置であって、
    第3の時間における前記計算された各推定直流電流値の周波数に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第5の判定を行い、
    前記第5の判定によって前記電流センサの故障が判定できない場合、前記第3の時間より長い第4の時間における前記計算された各推定直流電流値の周波数に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第6の判定を行うことを特徴とする制御装置。
  10. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記計算された推定直流電流値の最大値と最小値との差が最も小さい相について、前記電流センサが故障していると判定することを特徴とする制御装置。
  11. 請求項10に記載の制御装置であって、
    第5の時間における前記計算された各推定直流電流値の最大値と最小値との差に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第7の判定を行い、
    前記第7の判定によって前記電流センサの故障が判定できない場合、前記第5の時間より長い第6の時間における前記計算された各推定直流電流値の最大値と最小値との差に基づいて、前記電流センサの故障を判定する第8の判定を行うことを特徴とする制御装置。
  12. 直流から三相交流に変換された電力をモータに供給するインバータ回路を介して前記モータを制御する制御装置が実行する電流センサの故障判定方法であって、
    前記インバータ回路の出力には、三相交流の各相の交流電流を検出する電流センサが設けられており、
    前記方法は、
    前記制御装置が、前記インバータ回路のスイッチングを制御するためのPWM信号のデューティ値と、前記電流センサが検出した三相のうち二相の交流電流値とを用いて、各推定直流電流値を計算し、
    前記制御装置が、前記計算された各推定直流電流値の変化に基づいて、前記電流センサの故障を判定することを特徴とする故障判定方法。
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