JP4581274B2 - 光学補償フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学補償フィルムの製造方法(以下、単に製造方法ともいう)、光学補償フィルム、偏光板及びそれを用いる液晶ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピューター等のマルチメディア化が進み、ラップトップ型パーソナルコンピューターに於いても、カラー表示の液晶ディスプレイが一般的になってきた。ラップトップ型コンピューターでは、STN液晶ディスプレイやTFT液晶ディスプレイが主に使用されている。近年、液晶ディスプレイは大型化が進み、視野角特性の高度な改善が求められている。それゆえ、高度な補償性能を有する光学補償フィルム(光学異方体ともいう)が要望されている。
【0003】
STN液晶ディスプレイは、複屈折モードを利用した表示素子であるため、液晶で生じる位相差により着色し、白黒表示やカラー表示が不可能であるという大きな問題があった。このような問題を解決するために、D−STN方式(補償用液晶セルを用いる方式)が試みられたが、この方式では、液晶ディスプレイの特徴である「薄くて、軽い」という点で、時代の要求と逆行しており、補償用液晶セルの製造にも、高い精度が要求され、歩留りが悪いという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決する方法として、各種の提案がなされ、例えば、特開昭63−149624号には、延伸樹脂フィルムを用いるF−STN方式が提案され、また、特開平3−87720号、同4−333019号には、D−STN方式の補償性能を維持して、その質量と肉厚を軽減する目的で、液晶性高分子をねじれ配向させたフィルムを使って色補償を行う方法が提案されている。この液晶ディスプレイの位相差補償板は、透光性基板とこの基板の上に形成された配向膜、及び、この配向膜の上にねじれ配向状態に固定した液晶高分子層とから構成されている。
【0005】
さらに、最近では、TFT−TN液晶ディスプレイの視野角補償として、特開平7−191217号に開示されているように、ディスコチック液晶のフィルムを液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善する試みがなされている。該TN型液晶ディスプレイ用補償フィルムは、上述の特開平3−87720号、同4−333019号に記載されている液晶ディスプレイの位相差補償板と同様に、光学的にほぼ等方性の樹脂フィルム上に液晶性化合物が配向した光学異方層で構成されている。
【0006】
しかしながら、樹脂フィルム上、特に長尺支持体上に液晶性化合物を含有する液晶層を塗設後、液晶性化合物を配向させて光学補償フィルムを製造するには液晶特有の問題、特にムラや欠陥などが起きやすいので、生産性が低くコストが高くなってしまう問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ムラやばらつきがなく、良好なコントラストを示し、且つ、生産性の高い光学補償フィルムの製造方法、それを用いて製造された光学補償フィルム、偏光板及び液晶ディスプレイを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の項目1〜10によって達成された。
【0009】
1.長尺支持体上に、配向層を形成後、該支持体の表面電位を−5〜+5kVとして、溶剤と液晶性化合物を含む塗布液を連続的に塗布して乾燥膜厚5μm以下になるように液晶層を塗設し、次いで、該液晶層中の該液晶性化合物の配向を固定化して光学異方層を形成することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
【0010】
2.前記配向層の表面電位を−5〜+5kVに調整することを特徴とする前記1に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0011】
3.前記配向層または前記支持体の表面電位を−1〜+1kVに調整することを特徴とする前記1または2に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0012】
4.前記支持体の表面電位をイオン送風型静電気除去装置を用いて調整することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0013】
5.前記支持体の帯電量を導電性材料にて調整することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0014】
6.前記溶剤と液晶性化合物を含む塗布液の塗布膜厚と前記乾燥膜厚が、塗布膜厚/乾燥膜厚で3〜40の範囲であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0015】
7.前記溶剤と液晶性化合物を含む塗布液の塗布をマイクログラビアロール又はスリットダイを用いて行うことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0016】
8.前記液晶層が塗設された前記長尺支持体をクロスニコル配置された偏光板の間に通し、搬送しながら透過光を用いて、該液晶層のムラの状態を監視する工程を有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0019】
9.前記液晶層を塗設後、該液晶層中の液晶性化合物の温度を等方相からネマティック相となる温度(T−IN)以上、且つ、該ネマティック相から等方相となる温度(T−NI)以下に保持しながら、活性エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0020】
10.酸素濃度が2%以下の条件下、活性エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする前記に記載の光学補償フィルムの製造方法。
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る光学異方層について説明する。
【0028】
本発明に係る光学異方層とは、液晶性化合物の配向が固定化され形成された光学異方性化合物を含む層であり、前記液晶性化合物が液晶層に隣接している配向層により、ある特定の配向方向に規制され、次いで、温度差または化学反応により、その配向された状態で固定化された光学異方性化合物を含有する層である。
【0029】
本発明の光学補償フィルムは、前記光学異方層と透明支持体を含み、あるいは前記光学異方層と透明支持体の間に配向層および/または少なくとも1つの溶出ブロック層を含むことによって形成されたものが好ましく用いられる。
【0030】
液晶性化合物を塗設して光学異方性を得る場合、配向膜を透明支持体上に設置して、その上に液晶性化合物を塗布し、液晶性化合物を配向させる。
【0031】
ここで、配向層を構成する材料について説明する。具体的には、以下の樹脂や基板が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0032】
上記配向層を透明樹脂基板等の長尺支持体上に塗布、乾燥して設置した後、ラビング処理することによって配向能を有する配向層を得ることができる。
【0033】
液晶性化合物の配向のための配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくは弗素原子含有ポリイミド)も本発明において好ましい配向膜として用いられる。それらは、ポリアミック酸(例えば日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を透明樹脂基板上に塗布し、熱処理後、ラビングすることにより得られる。
【0034】
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム或いはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いてラビングを行うことにより実施される。
【0035】
また、別の配向層として光配向層が挙げられる。光配向材料としては、一般に公知の光配向材料を用いることができる。例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等が挙げられ、長谷川,液晶,Vol.3(1),3−16(1999)に記載の化合物を用いることが出来る。本発明では特に偏光紫外線照射によって配向性が付与される光二量化性配向性材料が生産性の観点から好ましく用いられる。
【0036】
上記記載の光二量化型配向材料としては、例えば、特開平8−304828号、同7−138308号、同6−095066号、同5−232473号、同8−015681号、同9−222605号、同6−287453号、同6−289374号、特表平10−506420号、特開平10−324690号、同10−310613号等に記載されている。
【0037】
これらの手法では、光配向層に偏光紫外線を照射することにより、液晶性化合物に配向性を付与することができる。光照射装置としての光源は超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザなどを用いることができる。これに偏光子を組み合わせて直線偏光を照射することができる。照射装置としては、例えば、特開平10−90684号に開示されている装置を用いることができる。
【0038】
配向層の塗布は、有機溶媒に配向膜材料を溶解した溶液を、カーテンコーティング、押し出しコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、ワイヤーバーコーティング及びスライドコーティングなどで実施することができるが本発明はこれらに限定されない。
【0039】
本発明に係る液晶性化合物(液晶ともいう)について説明する。
本発明に係る液晶性化合物は、配向層上で配向できるものであれば特に限定されるものではなく、該配向によって可視光領域で光散乱することなく光学的に異方性を付与することが求められる。
【0040】
本発明に係る液晶性化合物が高分子液晶である場合、例えば公告2592694号、同2687035号、同2711585号、同2660601号、特開平10−186356号、同10−206637号、同10−333134号記載の構造の化合物が挙げられる。中でも、光学的に正の複屈折性を有するものが好ましく用いられる。
【0041】
高分子液晶以外の本発明に係る液晶性化合物としては、一般に棒状の液晶性化合物が挙げられ、光学的に正の複屈折性を示す液晶性化合物が好ましく、不飽和エチレン性基を有する正の複屈折性の液晶性化合物が配向の固定化の観点から好ましく、例えば、特開平9−281480号、同9−281481号記載の構造の化合物を用いることができるが、本発明は特にこれらに限定されない。
【0042】
本発明に係る液晶性化合物の構造は特に限定されないが、光学異方性を発現させるために液晶分子を配向させた状態で化学反応または温度差によって液晶性化合物の配向が固定化された状態(これを光学異方性化合物という)で用いることが求められる。上述のような配向膜を透明樹脂基板上に設置しその上に液晶性化合物を塗設して配向させることができる。液晶性化合物の配向処理は、液晶転移温度以上に保持することが求められ、該温度は透明樹脂基板を変質させない温度以下で処理することが好ましい。
【0043】
また、液晶性化合物を溶媒で希釈して液晶層を塗設する場合、液晶性化合物の液晶転移温度以上に保持しない、即ち、液晶性化合物自身の液晶転移温度以下で配向処理をすることが出来る場合もある。
【0044】
本発明に係る液晶性化合物が液晶性高分子である場合、その化学構造としては主鎖型の液晶性高分子、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミド等が挙げられる。又、側鎖型の液晶性高分子、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリマロネート等が挙げられる。
【0045】
液晶性化合物を塗布して液晶層を塗設するにあたり、乾燥膜厚の規定が重要であり、液晶性化合物の配向の均一化や本発明に記載の効果を得るためには、液晶層の乾燥膜厚が5μm以下であることが必須であるが、好ましくは0.5μm〜4μmであり、更に好ましくは0.5μm〜2.5μmの乾燥膜厚になるように調整することである。ここで、乾燥膜厚は液晶層を剥離して測定しても良いし、電子顕微鏡を用いて撮影した断層写真などから実測することも出来る。
【0046】
また、塗布溶剤は出来るだけ少なく用いるのが好ましく、塗布膜厚と乾燥後の膜厚の関係が、塗布膜厚/乾燥膜厚(乾燥後の膜厚ともいう)の値が3〜40であることが液晶性化合物の配向性および均一塗布性の面で好ましく、さらに好ましくは塗布膜厚/乾燥後の膜厚の値が5〜20である。
【0047】
液晶層の塗布方法としては、一般的な塗布方法が用いることが出来るが、ワイヤーバー、グラビア、マイクログラビアロール、リバースロールコータ、スリットダイ、スライドホッパー、ヒラノ・リップ等の塗布方法が好ましく用いられる。本発明ではマイクログラビアロール、スリットダイが塗布膜厚の均一性が高く、膜厚の制御が容易である点で好ましく、塗布環境を一定に出来る点でスリットダイが特に好ましい。
【0048】
本発明に係る、液晶性化合物を含有する塗布液について説明する。
液晶性化合物を塗布するには温度(塗布液の温度、塗布時の温度等)が重要な因子である。塗布液の温度が低い場合には、塗布液中の液晶性化合物が結晶化または凝集等に基づく塗布故障が起こりやすく、塗布直後の支持体上においても同様の現象が起こり、配向性、均一性の問題が起きやすかった。
【0049】
逆に、塗布液の温度が高い場合には、塗布液中の溶媒が蒸発しやすくなり、塗布液の濃度管理や溶媒の蒸発による凝集物の発生や外界の水蒸気の取り込み等による塗布故障が起きやすいことが判った。
【0050】
したがって、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、液晶性化合物の塗布には塗布液温度を15℃〜30℃、塗布温度を15℃〜30℃、塗布環境温度を20〜30℃に調整することが好ましい。
【0051】
また、コータが設置されている場所についても、上記の塗布環境温度の範囲に調整されていることが好ましい。
【0052】
ここで、塗布温度とはコータ温度、支持体の温度、塗布時に支持体を保持するためのロール温度のことを表し、塗布環境温度とは塗布直後から乾燥ゾーンに入る手前の支持体上から5cmまでの高さの領域の温度のことをいう。さらに好ましい塗布液温度、塗布温度、塗布環境温度はそれぞれ20℃以上28℃以下であり、それぞれの温度差は±5℃以内であることが液晶性化合物の配向性の均一化、均一塗布の実施の観点から特に好ましい。
【0053】
上記記載の液晶性化合物を含有する塗布液の調製に用いられる溶剤(溶媒ともいう)について説明する。用いる溶剤は単独で使用してもよく、また塗設する際の乾燥性を制御するために2種以上の溶剤を混合して用いてもよい。塗設するための前記溶液の溶剤は有機溶媒が好ましい。例えばアルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、エステル類としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、乳酸エチル、乳酸メチル等が挙げられ、グリコールエーテル(C1〜C4)類としては、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、又はプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、その他の溶剤としてメチレンクロライド、N−メチルピロリドンなどがあげられる。特にこれらに限定されない。
【0054】
本発明の製造方法においては、液晶層を塗設後の乾燥工程において液晶層表面への風速コントロールが重要である。以下、それを説明する。
【0055】
通常乾燥装置に一定の温度の風を循環して長尺支持体上に塗布したものを乾燥する方法が採用されている。しかし、この風が液晶層の均一性に影響を与え、風により液晶層が変形してムラとなることが判った。したがって、塗布後の液晶層に風をなるべく当てないことが好ましく液晶層に当たる風の風速は4m/秒以下が好ましく、更に好ましくは3m/秒以下であり、特に好ましくは、0.3m/秒〜2m/秒である。
【0056】
また、乾燥初期の残存溶剤が多い時はさらに風の影響を受けやすいことが判った。残存溶剤とフィルム面に当たる風速を詳細に検討したところ、液晶層の残存溶剤が5%以下になるまでフィルム面に当たる風速が1m/秒以下であることが好ましく、更に好ましくは0.9m/秒以下であり、特に好ましくは、0.1m/秒〜0.7m/秒である。液晶層に当たる風の調節方法としては、乾燥措置の排風弁の調節による方法、乾燥装置内の送風口の形状を調節する方法が挙げられる(図1、2)。風速の測定は市販の風速計、例えば、風速計MODEL6112(日本カノマックス株式会社(製))を用いて測定できる。
【0057】
本発明においては、液晶性化合物を塗布した後に配向処理をするのが好ましい。配向処理とは液晶性化合物をある特定の温度範囲にある特定の時間、保持することにより、液晶性化合物の配向を促進(熟成)させる工程のことである。この工程は乾燥後に行なっても良いが乾燥工程と同時に行なうことが生産性の面で好ましい。配向処理が十分でないと、液晶性化合物が微細に配向していない部分(以下、ディスクリネーションという)が発生し配向が乱れ、コントラストが低下する問題とチルト角が設計値よりも低くなる問題が発生した。配向処理の温度を調べたところ、液晶性化合物を塗布した後、該液晶性化合物が等方相からネマティック相となる温度(以後T−INと表す。)以上、且つ、ネマティック相から等方相となる温度(以後T−NIと表す。)以下の温度の範囲では液晶性化合物の配向が乱れたり、ディスクリネーションが発生しやすく、チルト角が低くなることが判明した。液晶性化合物の不安定な温度領域と推定できる。
【0058】
本発明に係る液晶材料(液晶性化合物、液晶ともいう)は、ネマティック相を発現し、T−NI≧I−INの関係を示す。T−NIおよびT−INの測定方法は、DSC法により測定できる。具体的には、メトラー(株)社製、DSC821Eを用いて測定した。T−NIおよびT−INの測定は、『化学総説 液晶の化学(日本化学会編)』などに記されているが、示差走査熱量計(DSC)を用いて行うことが出来る。T−NIは昇温時のネマティック相から等方相への温度であり得られたグラフのネマティック相から等方相への転移点のピークとした。
【0059】
T−INは降温時の等方相からネマティック相への温度であり、得られたグラフの等方相からネマティック相への転移点のピークとした。測定装置はメトラー(株)製DSC821Eを用い、同じ試料を3個ずつ、各々について−50℃〜100℃の範囲で、5℃/分の割合で昇温、降温を3回繰り返し測定を行い、それぞれの2回目以降の測定結果を平均して求めた。
【0060】
更に、詳細に検討したところ、液晶性化合物を塗布した後、T−NI以上に保持するとディスクリネーションが著しく減少することを見出した。さらにT−NI以上に保持した後に、T−IN以下に保持するとディスクリネーションが消失する時間が短縮され、かつチルト角が高くなり生産性が向上することが判った。
さらに、T−NI以上に1秒以上10秒以下、T−IN以下に10秒以上の条件またはT−NI以上に保持した後に、T−IN以下かつT−INから10℃低い温度範囲で保持することが配向性、ディスクリネーションの消失速度、チルト角、生産性の面で特に好ましい。
【0061】
別の好ましい配向条件としてはT−IN以下で保持すること予想外にディスクリネーションが少なくなることが判明した。T−IN以上に温度を上げないことが重要であり、特に重合性液晶を用いた場合に熱による重合反応を抑制できるため、配向の均一性がよく、ディスクリネーションが少ない試料が得られる。
【0062】
上記の液晶層の温度制御は乾燥ゾーンや配向ゾーンの雰囲気を温度調節することで制御可能である。しかし、支持体および支持体の上に塗布した配向層、液晶層の熱伝導性が低いために液晶層の温度が所定の温度まで上がらず、限られた長さの乾燥ゾーンや配向ゾーンでは塗布速度を上げられなかった。効率よく液晶層の温度を上げるには乾燥ゾーン(熱処理ゾーンともいう)に金属製のベルト(図3)あるいは金属板(図4)により支持体を接触させることが生産性向上にとって有効であることが判った。
【0063】
液晶性化合物を含む溶液を塗布した場合、塗布後、溶剤を乾燥して除去し、膜厚が均一な液晶層を得ることができる。液晶層は、熱または光エネルギーの作用、または熱と光エネルギーの併用で化学反応によって、液晶性化合物の配向を固定化することができる。特に高分子液晶性化合物ではないモノメリックな液晶性化合物は一般に粘度が低く、熱的が外因によって液晶性化合物の配向が変化しやすいため、光重合性開始剤を用いて、重合性液晶性化合物を光ラジカル反応等で硬化反応を実施して固定化することができる。
【0064】
本発明において、液晶性化合物の配向を固定化する場合、重合性基としてエチレン性不飽和基を用いた場合、光重合開始剤を使用する場合ことが反応の活性を上げることで製造時の硬化時間を短縮できることで優れている。ラジカルの発生のために、以下に述べる光源を用いることができる。例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの近紫外線を強く吸収できるものが好ましく、360nm〜450nmの光に対するモル吸光係数の最大値が100以上、更には500以上のものが好ましい。光重合用の活性線としての光線は、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要に応じて用いることができるが、一般的には、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げることができる。
【0065】
一方、紫外線照射により液晶層の温度が上昇するため配向が乱れることがわかった。これは、活性線の長波側のエネルギー線により熱が発生しネマティック相から等方相へと変化し易くなり配向性が乱れるものである。したがって硬化中にネマティック相から等方相への温度(T−NI)以上にしないことが重要である。液晶層をT−NI温度以上に上げない具体的な方法は、紫外線照射装置に熱線カットフィルターの設置、水冷式紫外線ランプの使用、赤外線を透過する反射版の使用、紫外線照射装置(ランプ部)を冷風で冷却する方法、紫外線照射装置内へ冷却したガスを導入する方法が挙げられる。
【0066】
エチレン性不飽和基の重合反応のためのラジカル重合開始剤は、例えばアゾビス化合物、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、レドックス触媒など、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、tert−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド或いはベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類等を挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」総合技術センター、63頁〜147頁、1989年等に記載されている。
【0067】
又、エポキシ基を有する化合物の重合には、紫外線活性化カチオン触媒として、アリルジアゾニウム塩(ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボラート)、ジアリルヨードニウム塩、第5族アリロニウム塩(PF6、AsF6、SbF6のようなアニオンをもつアリルスルホニウム塩)が一般的に用いられる。
【0068】
また、ラジカル反応を用いて硬化反応を行う場合、空気中の酸素の存在による重合反応の遅れをさけるために窒素雰囲気下で上記活性線を照射することが、反応時間の短縮化と少ない光量で硬化できる点で好ましく、液晶層の膜厚が1.5μm以下の場合は酸素濃度を2%以下とすることが特に好ましい。酸素濃度を下げる方法としては、窒素ガスを導入することが好ましく、効率良く酸素濃度を下げるには紫外線硬化装置前に前室を設け窒素ガスを満たす機構が特に好ましい。
【0069】
更に前室においてロールとブレードにより表面空気層を除去することが高率的に酸素濃度を下げることが可能となる。硬化が不足していると巻にした時にブロッキングが生じて塗布故障となり問題となる。
【0070】
これらのラジカル反応を利用して、液晶性化合物を硬化させるためには、液晶性化合物においても反応性基を導入した高分子液晶性化合物ではないモノメリックな液晶性化合物を選択することが重要である。この硬化反応により液晶性化合物の配向が固定化できるものである。
【0071】
一方、液晶性化合物が高分子液晶である場合、上記化学反応による硬化反応を実施して液晶性化合物の配向を固定しなくてもよい。これは、透明樹脂基板が熱によって変質しない温度範囲、例えば90℃以上に高分子液晶性化合物がガラス転移温度であって、液晶転移温度を示す場合、配向膜上に高分子液晶を塗布して設置した後、液晶転移温度範囲内に保持し配向させた後、ガラス転移温度よりも低い、例えば室温で放冷することによって液晶性化合物の配向が維持される。
【0072】
また、高分子液晶のガラス転移温度が支持体の耐熱性温度よりも高い場合は、耐熱性支持体上に前記配向膜を設置し高分子液晶を塗設後、高分子液晶のガラス転移温度以上に保持し配向させることができる。これを室温に放冷し高分子液晶の配向を固定化したのち本発明の支持体に接着剤を用いて転写して光学補償フィルムを作製することができる。
【0073】
本発明に係る長尺支持体の塗布時における表面電位について説明する。
支持体上に配向層を塗布した後、更に液晶性化合物を塗布する場合、支持体の帯電(表面電位)が配向層の配向能に影響を及ぼすことを我々は見いだした。特に塗布速度が速い場合に深刻であり、長尺支持体の帯電量が多い場合には配向層の配向力以上の影響を液晶性化合物に及ぼすようになり、塗布した液晶性化合物が設計通りの配向方向に並びにくくなる問題が生じた。
【0074】
以上から、長尺支持体上に液晶性化合物を含有する塗布液を塗布する時の長尺支持体の表面電位を−5〜+5kVに調整することが好ましく、更に、配向層を塗布した長尺支持体試料の配向層の配向能を保持する観点から、配向層の表面電位を−5〜+5kVに調整することが好ましく、更に好ましくは、配向層または液晶性化合物を塗布する支持体の表面電位を−1〜+1kVに調整することである。ここで、配向層または塗布時の長尺支持体の表面電位とは、元巻から巻出した後、コータで液晶性化合物を塗布する直前、すなわちコータの手前0〜3m以内までで測定された値のことを示す。特に支持体が元巻ロールから搬送されてコータ直前の間で表面電位を上記の範囲にすることで効果が著しい。
【0075】
上記記載の表面電位は、市販の表面電位計で測定することが出来る。
本発明に係る長尺支持体の表面電位を測定する方法については、特に限定はなく、従来公知の方法で実施出来る。例えば、ロール搬送中の支持体の接触する相手のロール材質を、帯電列から判定して、帯電列が支持体の支持体に対して帯電量の小さい位置にあるものを選ぶ方法、ロール表面を適度に粗くして支持体との接触面積を低減する方法、また、支持体中にマット剤を含有させたり、マット剤を含む組成物を表面に塗設しロールとの接触面積を低減する方法、支持体中や表面に導電性のある物質を含有または塗布して支持体の導電性を向上させる方法、外部雰囲気の相対湿度を上げて支持体の表面漏洩抵抗を低減させる方法、ガスを電離しイオンを支持体に吹き付け支持体表面の電荷を中和させる方法、静電気除去装置を用いて支持体の表面電位を低減する方法、あるいは、接地した針状や線状の金属により先端放電させて支持体表面の電荷を漏洩させる方法等を挙げることが出来る。これらの方法を併用してもよい。
【0076】
支持体の静電気除去装置としては、支持体の静電気を除去または低減出来る装置であればよく、例えば除電バー、除電糸あるいはイオン送風型静電気除去装置を挙げることが出来る。中でもイオン送風型静電気除去装置が好ましい。イオン送風型静電気除去装置は、ガスを、コロナ放電、フレームプラズマ、紫外線、加熱金属体、ラジオアイソトープなどにより電離し、イオンを発生させ、発生させたイオンを対象物に吹き付ける構造の装置である。コロナ放電を利用した静電気除去装置では、高圧トランスを内蔵した電極ユニット、吹き出しユニット、ガス供給部及びコントローラーなどから構成されており、電極ユニットによりコロナ放電を発生させ、ガスをイオン化し、吹き出しユニットによりイオン化したガスを対象物に吹き付けるものである。供給するガスは、通常、空気が用いられるが、不活性ガスを導入しガス中の酸素濃度を10体積%以下とすることで、危険物に対しての安全性が向上出来る効果も得られるので好ましい。不活性ガスの種類は、特に制限はないが、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどのガスでよい。コストの点から窒素、二酸化炭素が好ましい。ガス供給部に流量計を設けてこれらのガスを供給することで実施出来る。
【0077】
本発明において、塗布装置のロールの接地漏洩抵抗を106Ω以下にすることも好ましい方法である。流延用支持体やロールと地面の接地だけでなく、流延用支持体とロール間を繋ぐことも好ましい。地面に対する容量を大きくとり抵抗を小さくすることで、支持体の表面電位を低く調整し、液晶性化合物を良好に配向させる配向層や配向の優れた液晶層を形成することができる。
【0078】
静電気除去装置を設置する場所は、ロール状フィルムを巻きからの繰り出し部から塗布コータの手前0〜3mまでの間が好ましく、また、静電気除去装置と支持体の距離は10〜100mmが好ましい。静電気除去装置の設置は支持体の何れの面でもよい。
【0079】
また、巻き取り後のロール状フィルムを巻きからの繰り出した時に見られるくっつき状の変形を改良するためのもので、乾燥装置を出てから巻き取り機までの間で、特に巻き取る直前に静電気除去装置を設置することによって行うものである。静電気除去装置については、上記のものが制限なく使用出来るが、除電バーまたは除電糸のような簡易的なものが好ましい。除電バーについては特に限定はないが、コロナ放電式のものが好ましく用いられ、例えば、キーエンス社性のSJ−B01が用いられる。除電糸についても、特に限定はないが、通常フレキシブルな糸状のものが好ましく用いられ、例えばナスロン社性の12/300×3が用いられる。静電気除去装置と支持体の距離は10〜100mmが好ましく、静電気除去装置の設置は支持体の何れの面でもよい。
【0080】
支持体の帯電量を下げるには、支持体中に導電性材料を添加する方法、導電性材料を塗布する方法が好ましい。好ましく用いられる導電性材料としては、イオン性高分子化合物、金属酸化物等が好ましく用いられる。
【0081】
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物;特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などにみられるような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマー;特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー;等を挙げることができる。
【0082】
更に、液晶性化合物を塗布するには乾燥速度と搬送方法が塗布性の面で重要である。例えば、乾燥速度が遅い条件で液晶性化合物を塗布した時には液晶層に斑点状のムラが起きる問題が生じやすい。この現象を詳しく解析したところ、長尺支持体上の配向層の上に液晶性化合物を含む塗布液を塗布すると該液晶性化合物塗布液中の溶剤が蒸発する時の温度ムラが原因であると推測できた。
【0083】
従って、斑点状のムラの問題を解決するには温度ムラを少なくすれば良く、温度ムラを少なくする方法としては、液晶性化合物を含有する塗布液の溶剤を少なくする方法、塗布膜厚を薄くする方法、溶剤の選択により蒸発速度をコントロールする方法、搬送ロールからの温度の影響を少なくする方法等が挙げられる。
【0084】
中でも搬送ロールからの温度の影響を最小限になるように調整することが均一性において特に有効であり、長尺支持体上に液晶層を塗設後、液晶層の残存溶剤量が10%以下になるまで非接触で乾燥することが好ましく、残存塗布液が5%以下になるまで非接触で乾燥させることが特に好ましい。非接触で搬送する方法としてはロール間隔を長くする方法、支持体を空気、窒素ガス等の気体で浮かせて搬送する方法、或いは、クリップ等で挟んで搬送する方法等が挙げられる。
【0085】
本発明の光学補償フィルムの光学異方層は、液晶ディスプレイの視角特性を改良するため、光学異方層の厚さはそれを構成する液晶性化合物の複屈折の大きさ、および液晶性化合物の配向状態によって異なるが膜厚は0.2μm以上5μm以下、好ましくは0.4μm以上3μm以下である。これよりも光学異方層の厚さが薄いと目的とする光学異方性が得られにくくなり、一方前述の範囲よりも光学異方層が厚いと必要以上の光学異方性がかえって視野角特性を劣化しやすくなったり、別の課題としては光学補償フィルムがカールしやすくなることが多い。
【0086】
本発明に係る光学異方層は、透明支持体に対して少なくとも1層設けることができる。液晶ディスプレイのモードが多種製品化されており光学的に補償できる光学補償フィルムは、ディスプレイに適した光学特性を設計することができる。
1つの透明支持体に対して光学異方層を複数層設置することもでき、光学異方層の含まれる液晶性化合物が配向した状態もしくは液晶性化合物の配向が固定化された状態で構成されるとき配向方向は適宜ディスプレイに適合した光学特性を設計できる。光学異方層が2層以上透明支持体上に設置される場合、透明支持体より遠い方向の順に配向層、光学異方層が複数層繰り返して設置できる。これは前記配向方向が配向膜によって決定されるために、配向膜と液晶層は隣接していることが必要となる。これらが複数層設置されるとき、配向膜上に塗設された液晶層の上に配向膜を直接塗設または他の従来公知の樹脂層で構成される中間層を設置してその上に配向膜を塗設し、複数目の配向層上に液晶層を設置することができる。
【0087】
本発明に係る光学異方層の塗布性を確認する手段を設けることが好ましい。どころが配向した液晶層は透明であるのでムラのチェックが困難であった。そこで液晶層を塗布した後に2枚の偏光板をクロスニコルの配置にして、その間に液晶層を偏光板の透過軸と液晶の配向方向を45°およびまたは1枚の偏光板の透過軸と平行にした方向で通し片方から透過光を照射して透過した光量を測定し、その透過光量で液晶層のムラを検出する方法が好ましい。例えば、透過光を濃度で表して濃度の異常個所を検知したり、濃度の偏差により工程管理が行なえるようになった。
【0088】
液晶表示装置に本発明の光学補償フィルムを設置する場合、駆動用液晶セルの両側に位置する一対の基板の上下に配置された上側偏光板と下側偏光板が通常構成されるが、このとき該基板と上側もしくは下側偏光板のどちらか一方の間、または該基板と上側および下側偏光板のそれぞれ間に本発明の光学補償フィルムを少なくとも1枚設置される。
【0089】
液晶表示装置が特にツイステッドネマティック型(TN型)液晶表示装置である場合、TN型液晶セルに最も近い基板に前記光学補償フィルムの透明支持体面が接触する方向に光学補償フィルムを添付し、かつ光学補償フィルムの透明支持体面内の最大屈折率方向が前記液晶セルに最も近い基板のネマティック液晶の配向方向と実質的に直交した方向に添付することが本発明の効果をより好ましく奏する点で好ましい。ここで、実質的に直交とは90°±5°の範囲を示すが90°にすることが好ましい。
【0090】
本発明に係る光学異方層は、平均傾斜角度は、光学異方層の断面方向から観察した場合、斜めであることがよく、傾斜角度は光学異方層の厚さ方向に対して一定であってもよく、厚さ方向に対して配向角度が変化してもよい。平均傾斜角度はディスプレイの視野角を補償するため、ディスプレイの設計により異なるが、15°以上50°以下であることが特にTN型液晶表示装置において好ましい。
光学異方層を構成する液晶性化合物の傾斜角度は、より好ましくは厚さ方向に対して変化し、該傾斜角度が配向膜側から増加または減少して変化することが本発明においてはより効果的である。
【0091】
本発明に係る長尺支持体について説明する。
本発明に係る長尺支持体とは、具体的には、5m以上のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。
【0092】
また、本発明の光学補償フィルで用いられる長尺支持体は透明支持体であることが好ましく、透明支持体とは可視域の透過率が80%以上の特性を有するものが好ましく、そのような素材としては、セルロースエステル誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォンなどが挙げられる。上記記載の中でも、目的の光学特性を得るための生産性の観点から好ましく用いられるのは、セルロースエステル誘導体である。
【0093】
本発明に係る長尺支持体に用いられる透明支持体の光学特性は、該支持体の光学特性が40nm≦R0≦95nmを満たし、かつ0.8≦(Rt/R0)≦1.4を満たすことが求められる。ここで、R0およびRtは透明支持体のリターデーション値を示す。
【0094】
0=(nx−ny)×d
t=((nx+ny)/2−nz)×d
ここで、nx、nyは透明支持体の面内での最大屈折率方向=x方向、y方向の主屈折率である。nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。
【0095】
透明支持体の生産性の観点から好ましい製造方法は、透明支持体の溶剤を含む樹脂溶液をベルトまたはドラム上で流延製膜し、溶剤が残存した状態でベルトまたはドラムから剥離され、その後乾燥しながらフィルムを延伸する製造方法である。それゆえ、透明支持体の主屈折率が以下の関係を示すことがより効率的に透明支持体が生産できる。nxがフィルムの流延方向に実質的に等しい屈折率、nyは流延方向に垂直な方向(幅方向)に実質的に等しい屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。
【0096】
支持体の全体の屈折率の測定は、通常の屈折率計を用いることができる。全体の屈折率を測定した後、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを算出し、かつフィルムの厚さを測定してリターデーションR0、Rtを求めることができる。
【0097】
このような特性を満たす樹脂として、セルロースエステル誘導体が好ましく用いられる。特に0.5≦(Rt/R0)≦2.0を効果的に満たすためには、セルロースエステルのアセチル置換度が2.5以上2.86以下が好ましい。本発明の別の形態としては、セルロースエステルのアセチル置換度が、2.40以上3.00以下のセルロースエステルを少なくとも2種以上を用いる。この場合のアセチル基の置換度としては、混合後の平均アセチル基置換度が2.50以上2.86以下のセルロースエステルであることが本発明の効果を好ましく奏する点で好ましい。
【0098】
本発明のさらに別の形態としては、光学補償フィルムに用いるセルロースエステルのアセチル置換度が、2.60以上、3.00以下のセルロースエステルを少なくとも1種とアセチル置換度が2.40以上2.60未満のセルロースエステルを少なくとも1種を混合し、混合後の平均アセチル置換度が2.5以上2.86以下のセルロースエステルを用いることが本発明の効果を好ましく奏する点で好ましい。
【0099】
アセチル置換度または平均アセチル置換度が2.5以上2.86以下のセルロースエステルをフィルムとした支持体は、フィルム面の屈折率の平均に対する厚さ方向の屈折率との差が高い光学特性を与える。置換度をやや低く抑えたセルロースエステルフィルムを用いるものことで、これらのセルロースエステルフィルムを用いると、高いアセチル置換度のセルローストリアセテートフィルムよりも同じ光学特性を得る場合薄膜化することができる。視角特性に優れた光学補償フィルムの支持体としては、ディスプレイの求められる光学補償能は異なるが適宜液晶層と支持体の光学特性を調整して設計することができる。本発明の支持体のアセチル置換度または平均アセチル置換度の好ましい範囲は、2.55〜2.70である。
【0100】
上記記載のセルロースエステルフィルムは、例えば、特開平10−45804号に記載の方法で合成することが出来る。アセチル基の置換度の測定方法もASTM−D817−96により測定することが出来る。
【0101】
アセチル基の置換度が2.5以上2.86以下のセルロースエステルとは、アセチル基で、セルロースの水酸基を常法により所定の置換度に置換したものである。本発明に係るセルロースエステルの数平均分子量は、好ましい機械的強度を得るためには、70000〜300000が好ましく、更に80000〜200000が好ましい。
【0102】
アセチル基の置換度が2.60以上3.00以下のセルロースエステルとは、アセチル基で、セルロースの水酸基を常法により所定の置換度に置換したものである。本発明のセルロースエステルの数平均分子量は、好ましい機械的強度を得るためには、70000〜300000が好ましく、更に80000〜200000が好ましい。
【0103】
アセチル置換度が2.40以上2.60未満のセルロースエステルとは、アセチル基でセルロースの水酸基を常法により所定の置換度に置換したものである。
該セルロースエステルの数平均分子量は、好ましい機械的強度を得るためには、70000〜300000が好ましく、更に80000〜200000が好ましい。
【0104】
セルロースエステル樹脂としては、上記アセチル置換度を制御したセルロースエステル樹脂を用いることが好ましいが、一方アセチル基およびプロピオニル基を有するセルロースエステル樹脂を用いることが極めて効果的である。
【0105】
本発明に係るセルロースエステルフィルム作製に用いられるセルロースエステルの一例として、アセチル基とプロピオニル基を置換基として有しており、下記式(1)及び(2)を同時に満足するものが好ましい。
【0106】
(1)2.0≦A+B≦3.0
(2)A<2.4
ここで、Aはアセチル基の置換度、Bはプロピオニル基の置換度を表す。
【0107】
更に、本発明においては、下記式(3)及び(4)を同時に満たすセルロースエステルフィルムがより好ましく用いられる。
【0108】
(3) 2.4≦A+B≦2.8
(4) 1.4≦A≦2.0
これらのアシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していても良いし、例えば6位に高い比率で置換するなどの分布を持った置換がなされていても良い。
【0109】
ここで、置換度とは所謂、結合脂肪酸量の百分率をいい、ASTM−D817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従い算出される数値である。アシル基の置換度の測定法はASTM−D817−96に従って測定できる。
【0110】
特に、Aのアセチル基の平均置換度が2.0未満であると延伸時の位相差のばらつきが少ないため特に好ましい。
【0111】
また、機械的強度に優れた透明支持体を得る観点から、本発明に用いられるアセチル基とプロピオニル基の両者を含むセルロースエステル樹脂の数平均分子量は70000〜300000、好ましくは90000〜200000である。
【0112】
本発明に用いられるセルロースの混合脂肪酸エステルは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶剤として有機酸(例、酢酸)や塩化メチレンが使用される。触媒としては、硫酸のような酸性触媒が用いられる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物が用いられる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基およびプロピオニル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。アセチル化剤とプロピオニル化剤の使用量は、合成するエステルが前述した置換度の範囲となるように調整する。反応溶剤の使用量は、セルロース100質量部に対して、100〜1000質量部であることが好ましく、200〜600質量部であることがさらに好ましい。酸性触媒の試料量は、セルロース100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、更に好ましくは、0.4〜10質量部である。
【0113】
反応温度は、10〜120℃であることが好ましく、20〜80℃であることがさらに好ましい。また、アシル化反応が終了してから、必要に応じて加水分解(ケン化)して、置換度を調整してもよい。反応終了後、反応混合物を沈澱のような慣用の手段を用いて分離し、洗浄、乾燥することによりセルロースの混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートプロピオネート)が得られる。
【0114】
本発明に用いられるセルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生産効率が高く好ましい。綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が60質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため60質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、更には単独で使用することが最も好ましい。
【0115】
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステルのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生産性効率が高く好ましい。綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が60質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため60質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、更には、単独で使用することが最も好ましい。
【0116】
本発明の光学補償フィルムに用いる透明支持体の厚さは、液晶ディスプレイの視角特性を改良するための光学特性を保有すれば良く、延伸倍率と透明の支持体の厚さにより制御することができる。該透明支持体の厚さは、好ましくは35μm以上250μm以下であるが、より好ましくは60μm以上140μm以下である。この範囲よりも該透明支持体が薄いと目的の光学特性が得難くくなり、一方該範囲よりも厚いと必要以上の光学特性となり、かえって液晶ディスプレイ視角特性を劣化する場合が多くなる。
【0117】
本発明において、前記光学補償フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、または光学補償フィルムを保護フィルム付偏光子に張り付けて用いる場合、光学補償フィルムは液晶セルと偏光子との間に設置することができる。
【0118】
偏光子は、従来から公知のものを用いることが出来る。例えば、ポリビニルアルコールの如きの親水性ポリマーからなるフィルムを、沃素の如き二色性染料で処理して延伸したもの等を用いることが出来る。
【0119】
次に本発明の透明支持体がセルロースエステルの場合、そのフィルムの製造方法について述べる。
【0120】
先ず、セルロースエステルを有機溶剤に溶解してドープを形成する。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%が好ましい。
【0121】
有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等の非塩素系の有機溶剤が使用できる。また、塩化メチレンも使用できる。メタノール、エタノール、ブタノールなどの低級アルコールを併用するとセルロースエステルの有機溶剤への溶解性が向上したりドープ粘度を低減できるので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。
【0122】
ドープ中には、前記可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤などの添加剤を加えてもよい。そして、得られたドープを回転するベルトやドラムの支持体上に流廷し、剥離可能になるまで乾燥し、そしてフィルムを剥離する。剥離した生乾きのフィルムの状態で延伸され、更に乾燥しフィルム中の有機溶剤をほぼ完全に蒸発させることができるが、乾燥後延伸してもよい。フィルム中の有機溶剤の含有量としては、良好なフィルムの寸法安定性を得るために2質量%以下、更に0.4質量%以下が好ましい。
【0123】
また、本発明に係る長尺支持体の製造、特に塗設において、すべり性を改善するために、これら透明樹脂フィルムを製造する際のドープ中に、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子は、2次粒子の平均粒径が0.01〜1.0μm、含有量が、セルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。
【0124】
二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径は、後述のアンチカール処理に用いる微粒子と同じものが用いられる。
【0125】
本発明の光学補償フィルムは、支持体に光学異方層等の塗設物を有することからカールしてしまうことが多い。従ってカールを防止することにより、カールによる不都合を解消し、光学補償フィルムとしての機能を損なわないようにするため、光学異方性層を塗設した反対側にアンチカール層を設けることが出来る。すなわち、アンチカール層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせるものである。なお、アンチカール層は好ましくはブロッキング層を兼ねて塗設され、その場合、塗布組成物にはブロッキング防止機能を持たせるための無機微粒子及び/又は有機微粒子を含有させることができる。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、アンチカール層塗布組成物に加えることが出来る。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。
【0126】
二酸化ケイ素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R974、R202、R812、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくはAEROSIL R972、R972V、R974、R974V、R202、R812などが挙げられる。
【0127】
これらの粒子は、体積平均粒径0.005〜0.1μmの粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく添加される。これの微粒子の配合はフィルムのヘイズが0.6%以下、光学補償フィルムの表裏面の間の動摩擦係数が0.5以下となるように配合することが好ましい。
【0128】
前記微粒子はとジアセチルセルロースのような樹脂を含む層を設置することができる。このような層はイソシアネート誘導体のような架橋剤を用いて強度を向上させることもできる。
【0129】
アンチカール機能の付与は、樹脂フィルム基材を溶解させる溶剤又は膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶剤としては、溶解させる溶剤又は膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶剤組成を溶解させる溶剤又は膨潤させる溶剤の混合比率を大きくし、溶解させない溶剤の比率を小さくするのが効果的である。
【0130】
この混合比率は好ましくは(溶解させる溶剤又は膨潤させる溶剤):(溶解させない溶剤)=10:0〜1:9で用いられる。
【0131】
このような混合組成物に含まれる、樹脂フィルム基材を溶解又は膨潤させる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノールなどがある。
【0132】
これらの塗布組成物をグラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、押し出しコータ等を用いて樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μm塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであると良い。ここで用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、マレイン酸および/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合体、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくはジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂層である。
【0133】
本発明の光学補償フィルムの支持体において物性を改良する目的として可塑剤を用いることができる。具体的な可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステルとしては、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、ビフェニル−ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的なものである。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、エチルフタリルエチルグリコレート等が用いられる。クエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエン酸アセチルトリブチル(OACTB)が用いられる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。リン酸エステル系可塑剤(TPP、TCP、ビフェニル−ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート)、フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DEHP)が好ましく用いられる。
【0134】
又、この中でもトリフェニルフォスフェート(TPP)およびエチルフタリルエチルグリコールが特に好ましく用いられる。
【0135】
可塑剤は透明樹脂への耐水性付与、あるいはその透湿性改善のため、可塑剤の添加量は透明樹脂中に通常2〜15質量%で添加することが好ましい。
【0136】
透明樹脂に紫外線吸収剤を含有させることによって、耐光性に優れた光学補償フィルムを得ることが出来る。本発明に有用な紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、安息香酸誘導体又は有機金属錯塩等がある。具体例として特に限定されることはないが、例えば、サリチル酸誘導体としてはサリチル酸フェニル、4−t−ブチルフェニルサリチル酸等を、ベンゾフェノン誘導体としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、ベンゾトリアゾール誘導体としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を、安息香酸誘導体としては、レゾルシノール−モノベンゾエート、2′,4′−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を、有機錯塩誘導体としては、ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のニッケル塩等を挙げることができる。本発明においてはこれら紫外線吸収剤の1種以上を用いていることが好ましく、異なる2種以上の紫外線吸収剤を含有してもよい。また高分子紫外線吸収剤、例えば特開平6−148430記載に例示されたようなものを用いてもよい。
【0137】
紫外線吸収剤としては、紫外線の吸収形状や保存性の観点から紫外線吸収剤としては、液晶性化合物の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波長370nmでの透過率が、10%以下である必要があり、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。このような観点からベンゾトリアゾール誘導体またはベンゾフェノン誘導体が好ましく用いられる。
【0138】
紫外線吸収剤の添加方法はアルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0139】
アンチカール層を塗設する順番は樹脂フィルム基材の反対側に光学異方性層を塗設する前でも後でも構わないが、アンチカール層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。
【0140】
本発明の光学補償フィルムの液晶層の上には、傷などの光学的変質をさけるために保護層を設けてもよい。液晶層が複数層の場合は中間層を設けてもよい。保護層または中間層の材料としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート、またはアクリレート、メタクリレート等のポリマー及びこれらの誘導体を挙げる事ができる。これらの材料を上記塗布方法より、溶液を調製して塗布、乾燥によって設置することができる。
【0141】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルム支持体の製造方法に付いて説明する。
【0142】
セルロースエステルフィルム支持体の製造方法としては、ドープ液を支持体上に流延、製膜し、得られたフィルムを支持体から剥ぎ取り、その後、張力をかけて乾燥ゾーン中を搬送させながら乾燥する、溶液流延製膜法が好ましい。下記に溶液流延製膜法について述べる。
【0143】
(1)溶解工程:セルロースエステルのフレークに対する良溶剤を主とする有機溶剤に溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、セルロースエステル溶液(ドープ)を形成する工程である。溶解には、常圧で行う方法、主溶剤の沸点以下で行う方法、主溶剤の沸点以上で加圧して行う方法、J.M.G.Cowie等によるMakromol.chem.143巻、105頁(1971)に記載されたような、又特開平9−95544号及び同9−95557号に記載された様な低温で溶解する冷却溶解法、高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
【0144】
(2)流延工程:ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は鏡面となっている。その他の流延方法としては流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコータによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
【0145】
(3)溶剤蒸発工程:ウェブ(流延用支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を流延用支持体上で保持し溶剤を蒸発させる工程である。溶剤を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
【0146】
(4)剥離工程:支持体上で溶剤が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶剤量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0147】
製膜速度を上げる方法(残留溶剤量ができるだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることができる)として、残留溶剤が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある(残留溶剤量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶剤を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。残留溶剤量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶剤量を決められる。
【0148】
残留溶媒量の測定はフィルムを115℃で1時間乾燥した時のフィルムの質量をAとし、乾燥前のフィルムの質量をBとしたとき、下記式より求めた。
【0149】
((B−A)/A)×100=残留溶媒量(質量%)
(5)乾燥工程:ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する工程である。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶剤が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃で、70〜180℃が好ましい。使用する溶剤によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶剤の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
【0150】
流延用支持体面から剥離した後の乾燥工程では、溶剤の蒸発によってウェブは巾方向に収縮しようとする。高温度で急激に乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この観点から、例えば、特開昭62−46625号に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を巾方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)が好ましい。
【0151】
(6)巻き取り工程:ウェブを残留溶剤量が質量で2%以下となってからフィルムとして巻き取る工程である。残留溶剤量を0.4%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
【0152】
脂肪酸セルロースエステルフィルムの膜厚の調節には所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度をコントロールするのがよい。又、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
【0153】
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶剤の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
【0154】
本発明に用いられる溶出ブロック層について説明する。
本発明に用いられる透明支持体と光学異方層の配向のための配向層との接着性を向上させるために、溶出ブロック層が設けられることが好ましい。
【0155】
溶出ブロック層とは、配向層や液晶性化合物を塗設する際、これらの有機溶剤溶液として塗設する場合、有機溶剤の存在により透明支持体から配向層あるいは液晶性化合物が存在する光学異方層へ、透明支持体を構成する化合物の何れかが溶出するのを抑制することを意味する。薄膜として配向層や液晶性化合物の層を設置する場合、これらの化合物の有機溶剤溶液を調製して塗布することは好ましい手法である。
【0156】
しかしながら、特にセルロースエステルフィルム支持体等の透明支持体は、樹脂で構成され、可塑剤を含むことが多い。樹脂あるいは可塑剤を溶解する有機溶剤が、配向層としての樹脂や液晶性化合物を溶解するとき、塗設によって層間の拡散、層間の混溶が容易に推察できる。
【0157】
この間に前述の有機溶剤に不溶もしくは溶けにくい溶剤に溶解する樹脂を設置することにより、前述の塗設時の層間拡散、層間混溶を抑制することが可能となる。
【0158】
また、樹脂あるいは可塑剤を溶解する有機溶剤に溶解する化合物であっても、活性線硬化性の樹脂をモノマーの状態で透明基板上に塗設し硬化反応を行うことは、単に樹脂を塗設することと異なり架橋構造が多い層が設置でき、配向層としての樹脂や液晶性化合物を溶解するとき、塗設によって層間の拡散、コンタミネーションを抑制することができる。これにより光学異方層を構成する液晶性化合物の配向がより安定に達成できる。
【0159】
本発明に用いられる透明支持体に水溶性ポリマー、例えば、有機酸基含有ポリマーを含有する溶出ブロック層を設けることは、透明支持体と配向層との接着性向上の観点から、製造上メリットが大きく効果的である。
【0160】
有機酸基含有ポリマーは、ポリマー側鎖に有機酸基を有する構造が挙げられるが特に限定されない。有機酸基としては、例えば−COOH基が上げられる。このような化合物例としては特に限定されることはないが、例えば特開平7−333436号記載の一般式[1]または一般式[2]で示される構造が挙げられる。−COOH基の水素は、アンモニア、アルカリ金属カチオン(ナトリウムカチオン、リチウムカチオン)で置換されていてもよい。有機酸基をもつポリマーを構成するモノマー単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。また、無水マレイン酸を共重合モノマーとして高分子量化したのち、酸無水環を開環させて有機酸基を得てもよい。
【0161】
本発明に係る溶出ブロック層の一形態として活性線硬化樹脂層の設置がある。
活性線は紫外線が光源や材料の入手のしやすさから好ましい。
【0162】
紫外線硬化樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0163】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば特開昭59−151110号)。
【0164】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号)。
【0165】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0166】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶剤成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤または光増感剤は該組成物の0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
【0167】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコータ、スピナーコータ、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、リバースコータ、押出コータ、エアードクターコータ等公知の方法を用いることが出来る。紫外線を含む活性線硬化樹脂層の硬化後の膜厚は0.05μm以上30μm以下が適当で、好ましくは、0.1〜15μmである。この乾燥膜厚が薄すぎると溶出ブロック性が低下し、また乾燥膜厚が厚すぎると光学補償フィルムがフィルム上であるときカールしてしまうことがある。
【0168】
活性線硬化性樹脂は、重合可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基等の重合性基を二つ以上有するもので、活性エネルギー線に照射により架橋構造または網目構造を形成するものが好ましい。これら活性基のうちアクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基が重合速度、反応性の面から好ましく多官能モノマーまたはオリゴマーが好ましい。例として紫外線硬化型のアクリウルレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂が好ましく用いられる。
【0169】
また、溶出ブロック層として用いる合成ポリマーとしては下記のモノマー単位を単独もしくは共重合体として上記混合溶剤に溶解する特性の有するものを用いてもよい。ポリマーを構成するモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、オレフィン類、スチレン類等が挙げられる。これらのモノマーについて更に具体的に示すと、アクリル酸エステル誘導体、これらのエステル置換化合物の置換基として以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、tert−オクチル基、ドデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、4−クロロブチル基、シアノエチル基、2−アセトキシエチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、2−クロロシクロヘキシル基、シクロヘキシル基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基、フェニル基、5−ヒドロキシペンチル基、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、、グリシジル基、アセトアセトキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−エトキシエチル基、2−iso−プロポキシ基、2−ブトキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、ω−メトキシオリゴオキシエチレン基(オキシエチレン繰り返し単位数:n=7、9、11等)、ω−ヒドロキシオリゴオキシエチレン基(オキシエチレン繰り返し単位数:n=7、9、11等)、1−ブロモ−2−メトキシエチル基、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチル基などがあり、これらの置換基によって構成されるアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0170】
また、アクリルアミド誘導体やメタクリルアミド誘導体としては、置換、無置換のアクリルアミドおよびメタクリルアミドがあり、これらの置換アミドの置換基としては以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、メトキシエチル基、ジメチルアミノプロピル基、フェニル基、アセトアセトキシプロピル基、シアノエチル基等のN−モノ置換誘導体が挙げられる。N,N−ジ置換誘導体としては、N,N−ジメチル基あるいはN,N−ジエチル基を有するアクリルアミド誘導体あるいはメタクリルアミド誘導体が挙げられる。
【0171】
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプレート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなどが挙げられる。
【0172】
またオレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。
【0173】
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
【0174】
クロトン酸エステルとしては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
【0175】
また、イタコン酸エステル類としては、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸モノブチルエステル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0176】
マレイン酸エステルとしては、例えばフマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0177】
その他のモノマーの例としては、次のものが挙げられる。
ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。
【0178】
ヘテロ環含有ビニルモノマーとしては、N−ビニルピリジンおよび2−および4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルトリアゾール、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0179】
不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0180】
上述のポリマーにおいて接着性の改良のために高分子側鎖に不飽和エチレン性基やエポキシ基等の化学反応性基を含んでもよい。
【0181】
上述のポリマーは水を30質量%以上、好ましくは45質量%以上を含む少なくとも1種以上の有機溶剤との混合溶剤に溶解できることが本発明において求められる。このような溶解性を示すポリマーで構成される溶出ブロック層の樹脂としては、高分子側鎖にヘテロ原子を含む環構造を含むコポリマーが好ましく、より好ましくはN−ビニル−2−ピロリドンを60質量%以上含むコポリマー、特に好ましくはN−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマーである。また、ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。
【0182】
溶出ブロック層の樹脂の分子量は高い方が配向層や液晶層への拡散がし難い観点から好ましく、数平均分子量が80万以上であることが好ましい。
【0183】
また、上記ポリマーを溶出ブロック層として用いた場合、透明樹脂基板上に乾燥膜厚で0.1μm以上15μm以下であることが好ましい。この乾燥膜厚が薄すぎると溶出ブロック性が低下することがあり、また乾燥膜厚が厚すぎると光学補償フィルムがフィルム上であるときにカールしてしまうことがある。
【0184】
この溶出ブロック層は、透明支持体からの可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤の溶出を防止する目的の他に、当該支持体と光学異方層または配向層との密着性を向上させて剥離するのを防止する機能をも求められる。当該目的のためには、透明樹脂基板において、プラズマ処理を行うことが効果的である。透明樹脂基板を搬送しながらプラズマ処理を行うことは、連続的に処理が可能であり、特に真空にすることなく大気圧下で、反応性のガス雰囲気下で該処理を行うことは、フィルム表面上に必要な反応を行うことで好ましい。
【0185】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0186】
Figure 0004581274
ドープ組成物密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹伴しながら完全に溶解してドープ組成物を得た。次にこのドープ組成物を濾過し、冷却して35℃に保ちステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶剤を蒸発させたところで、ステンレスバンド上から剥離した。剥離後の残留溶剤量50質量%〜5質量%の間の乾燥ゾーン内でテンターによって幅保持しながら乾燥を進行させ、さらに、多数のロールで搬送させながら残留溶剤量1質量%以下となるまで乾燥させ、膜厚80μmのフィルムを得た。
【0187】
このセルロースエステルフィルムは、コア径200mmのガラス繊維強化樹脂製のコアに巾1m、長さ1000mのロール状にテーパーテンション法で巻き取きとり、長尺支持体を作製した。この際、フィルム端部に温度250℃のエンボスリングを押し当て、厚みだし加工を施して、フィルム同士の密着を防止した。
【0188】
《溶出ブロック層の作製》
長尺支持体に下記活性線硬化層用塗布組成物を搬送しながらにワイヤーバー塗布し乾燥後、200mJ/cm2(365nmの光量)の紫外線を照射して硬化し、搬送されたフィルムを巻き取った。硬化後の溶出ブロック層の膜厚は3μmであった。
【0189】
Figure 0004581274
《配向層1の塗設および配向処理》
長尺支持体上に塗設された溶出ブロック層の上に直鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(MP203;クラレ(株)製)を水:メタノール=60:40(質量比)の1質量%の溶液を作製し、乾燥膜厚が0.2μmとなるように押し出しコーティング機で塗布した。これらを80℃温風にて乾燥させた後、ラビング処理を行い、配向層を形成した。ラビング処理の方向は、塗布の進行方向から45°の方向で行なった。この配向層は溶出ブロック層としても機能できる。
【0190】
《液晶層1の塗設及び液晶性化合物の配向の固定化処理》
長尺支持体上に塗設され、偏光紫外線を照射した配向膜上に、LC−101を5.0質量部、LC−102を4質量部、LC−103を1質量部、及び光重合開始剤(イルガキュア−907;チバ・ガイギー社製)0.1質量部を、4.7質量部のメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を押し出しコーティング機で液晶層を塗布した。乾燥と配向のために80℃の乾燥ゾーンに24秒、連続した65℃の乾燥ゾーンに36秒処理し、液晶性化合物を配向させ、光学異方層を作製した。次に、20℃、且つ、窒素雰囲気(酸素濃度1.8%)のゾーンに搬送し、高圧水銀灯を用いて照度500mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応により配向を固定化した。搬送されたフィルムを室温下で巻き取り、光学補償フィルム試料101を得た。光学異方層の膜厚は1.1μmであった。
【0191】
次いで、液晶層の塗布膜厚を表1記載のように変更した以外は同様にして、光学補償フィルム試料102〜108を得た。
【0192】
【化1】
Figure 0004581274
【0193】
上記で得られた光学補償フィルム101〜108について下記に示すような評価を行った。
【0194】
《光学異方層のムラの評価》
光学異方層まで塗布した試料からから20cm間隔で長尺支持体の進行方向に4個所ずつ、幅方向に4個所ずつ計16個所から3cm×3cmに試料を切り出した。試料を光透過軸が直行するように配置した2枚の偏光板の間に設置した。
試料の設置方向をA:試料の配向方向を偏光板の光透過軸から45°傾けて設置。B:試料の配向方向を1枚の偏光板の光透過軸方向に平行に設置。A,Bの状態でX−Rite 310Rを用いてビジュアルで透過濃度を測定し、3cm×3cmの中で5個所測定し、その平均値を濃度とし、Aの配置の透過濃度を透過濃度A、Bの配置の透過濃度を透過濃度Bとした。また、透過濃度Aから透過濃度Bを引いた値をコントラストとした。コントラストが大きいほど液晶層の配向性は高く、低ければ配向性が低いことを表す。また16個所の透過濃度Aのばらつきが小さいほど配向性が高い事を表し、透過濃度Aの最大値と最小値の差をばらつきとして、下記のように目視で3段階のランク評価を行ない、ムラの評価とした。
【0195】
3:ムラが多い
2:わずかにムラがある(実用出来る限界レベル)
1:ムラが見られない
【0196】
【表1】
Figure 0004581274
【0197】
表1から、比較の試料と比べて、本発明の試料は塗布ムラが少なく、均一な光学異方層が得られていることが明らかである。
【0198】
実施例2
液晶層の塗布条件を表2に記載の塗設条件(塗布液温度、塗布温度、塗布環境温度)に調整した以外は実施例1に記載の光学補償フィルム試料101の作製と同様の製造条件で配向層の上に液晶層を塗布し、下記の評価方法に従い、光学異方層のコントラスト、ばらつきを評価した。
【0199】
《光学異方層の評価》
光学異方層まで塗布した試料から20cm間隔で長尺支持体の進行方向に4個所ずつ、幅方向に4個所ずつ計16個所から3cm×3cmに試料を切り出した。試料を光透過軸が直行するように配置した2枚の偏光板の間に設置した。試料の設置方向をA:試料の配向方向を偏光板の光透過軸から45°傾けて設置。B:試料の配向方向を1枚の偏光板の光透過軸方向に平行に設置。A,Bの状態でX−Rite 310Rを用いてビジュアルで透過濃度を測定し、3cm×3cmの中で5個所測定し、その平均値を濃度とし、Aの配置の透過濃度を透過濃度A、Bの配置の透過濃度を透過濃度Bとした。また、透過濃度Aから透過濃度Bを引いた値をコントラストとし、16点の平均値を表に記した。コントラストが大きいほど液晶層の配向性は高く、低ければ配向性が低いことを表す。また16個所の透過濃度Aのばらつきが小さいほど配向性が高い事を表す。
【0200】
水準及び得られた結果を表2に示す。
【0201】
【表2】
Figure 0004581274
【0202】
表2から、塗布液の温度を15℃〜30℃、塗布温度を15℃〜30℃、塗布環境温度を20〜30℃に調整することにより、更に、コントラスト、ばらつき等の特性が向上する。
【0203】
実施例3
実施例1の試料101の作製と同様の製造条件に、元巻の繰り出し部にイオン送風型静電気除去装置:BLS春日電機(株)社製を取り付け、フィルムの表面電位を風量で調整し塗布を行なった。実施例1に記載の方法を用いて表面電位とコントラスト、ばらつきを評価した。結果を表3に示す。
【0204】
【表3】
Figure 0004581274
【0205】
表3から、表面電位が−5kVよりも小さく調整することにより、更にコントラスト、ばらつき特性が良好になることが判る。
【0206】
実施例4
実施例1に記載の光学補償フィルム試料101を作製するに当たり、塗布液供給速度と塗布速度を調整しながら表4に記載の残留溶剤量に調整した以外は同様にして、光学補償フィルム試料401〜408を各々作製し、実施例1に記載の方法を用いてコントラスト、ばらつきを評価した。
【0207】
塗布後最初の搬送ロールに接触する手前でサンプリングして残留溶剤量を下記の方法で測定した。液晶層の膜厚を塗布液供給速度と塗布速度から計算し、比重を1として液晶層の質量とし、液晶層の質量と残留溶剤量の比率(%)を残留溶剤比率とした。
【0208】
(残留溶剤測定方法)
フィルム面積として25.0cm2を切り出し、これを5mm程度に細かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットする。
ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカード社製5971型を使用する。測定条件は以下の通りである。
【0209】
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得る。メチルエチルケトンのブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用してフィルム中の残留溶剤量を得た。得られた結果を表4に示す。
【0210】
【表4】
Figure 0004581274
【0211】
表4から、残留溶剤が10%以下の試料は、更にコントラスト、ばらつき特性が良好なことが明らかである。
【0212】
実施例5
実施例1に記載の光学補償フィルム試料101を作製するに当たり、図5に示す乾燥工程(各乾燥ゾーン長:2m)を設け、表5に記載の条件を用いて、フィルム面への風量を調整し、残留溶剤量を各々、5.0質量%に調整した以外は同様にして光学補償フィルム試料501〜510を各々作製した。残留溶剤量は2番目の乾燥ゾーン中央でサンプリングして実施例4に記載の方法で測定した。コントラスト、ばらつきは実施例1に記載の方法を用いて評価した。得られた水準と結果を表5に示す。
【0213】
【表5】
Figure 0004581274
【0214】
表5から、乾燥ゾーンの風速を4m/秒以下に設定することにより、コントラストが良好であり、且つ、ばらつき特性も良好であることが判る。
【0215】
実施例6
実施例1に記載の光学補償フィルム試料101を作製するに当たり、乾燥工程として図5に示すような乾燥工程装置(5つの乾燥ゾーンを有する)を用い、各乾燥ゾーン(ゾーン長2m)の温度を表6に記載のように調整した以外は同様にして、光学補償フィルム試料601〜612を各々作製した。
【0216】
各乾燥ゾーンの温度はフィルム面上2cmの位置に熱伝対を配置し、温度計に接続した。試料609のみ、2番目の乾燥ゾーンおよび3番目の乾燥ゾーンの搬送を図4に示す金属ベルトを使用した。
【0217】
液晶層のT−NI、T−INの測定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて記載の方法で測定したところ、T−NI:76℃、T−IN:71℃であった。塗布室の温度は23℃であった。
【0218】
得られた試料のコントラストの評価は実施例2に記載と同様に行い、チルト角の測定は下記に記載の方法を用いて行った。
【0219】
《光学異方層の平均チルト角測定》
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、光学異方層及び透明支持体のみのリターデーションの角度依存性(−40°〜+40°の範囲、測定は10°毎)を測定した。光学異方層は、光学異方層の最大屈折率を含む方向の測定を実施した。光学異方層全体のリターデーションの角度依存性に対して、対応する透明支持体の各角度成分のリターデーションの差を求めた。測定角度に依存するリターデーションの最大値を与える観測角度を光学異方層を構成する液晶性化合物の平均チルト角とし、20cm間隔で長尺支持体の進行方向に4個所ずつ、幅方向に4個所ずつ計16個所から3cm×3cmに試料を切り出し、それぞれの平均チルト角を平均し、使用の平均チルト角とした。
本実施例では、試料の面に対する法線方向(0°)から最大値を与える観測角度がずれており、光学異方層の液晶性化合物分子が傾いていることを確認した。また、リターデーション値の最小値は、0でないため、光学異方性化合物分子は厚さ方向に関して角度が変化していることを確認した。
【0220】
得られた結果を表6に示す。
【0221】
【表6】
Figure 0004581274
【0222】
表6から、T−IN以上、T−NI以下の温度で10秒以上保持しない条件で製造した試料のコントラスト、チルト特性が良好であり、ディスクリネーションが少なかった。また金属ベルトを用いると、乾燥ゾーンを短縮化できるメリットがある。
【0223】
実施例7
実施例1に記載の光学補償フィルム試料101を作製するに当たり、液晶層1の塗設及び液晶性化合物の配向の固定化処理に用いた紫外線照射装置を用い、表7に記載のように酸素濃度をコントロールしながら液晶層を硬化し、光学補償フィルム試料701〜705を各々得た。得られた試料についてブロッキングを目視で評価した。得られた結果を表7に示す。
【0224】
【表7】
Figure 0004581274
【0225】
表7から、酸素濃度を2%以下に調整し、紫外線照射した試料はブロッキングが全く起きないことが判る。
【0226】
実施例8
実施例1に記載の光学補償フィルム試料101を作製するにあたり、透過光測定装置を用いてムラの検出を行なった。透過光量の異なる部分を記録し、場所を記録することで、ムラの場所を特定することができた。前記記載のムラの検出は、本発明に係る光学補償フィルムの製造管理に有効である。
【0227】
実施例9
実施例1の試料102の上層に以下に示す作製した材料を用い、上層に配向層2および液晶層2を塗布して光学補償フィルム1を作製した。
【0228】
《配向層2の塗設および配向処理》
試料102の上層に直鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(MP203;クラレ(株)製)を水:メタノール=60:40(質量比)の1質量%の溶液を作製し、乾燥膜厚が0.2μmとなるように押し出しコーティング機で塗布した。
これらを80℃温風にて乾燥させた後、ラビング処理を行い、配向層を形成した。ラビング処理の方向は、実施例1から90°ずらして(進行方向から逆の45°の方向)塗布を行なった。
【0229】
《液晶層2の塗設》
配向層2を塗布・配向処理した上に、LC−101を5.0質量部、LC−102を4質量部、LC−103を1質量部、及び光重合開始剤(イルガキュア−907;チバ・ガイギー社製)0.1質量部を、4.7質量部のメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を押し出しコーティング機で塗布した。乾燥・配向・固定は実施例1と同様に行なった。
【0230】
視野角の評価を下記に記載の方法を用いて行った。
《視野角の評価》
上記で作製した光学補償フィルム1を下記製造方法で作製した偏光板に貼り付け、光学補償フィルム付き偏光板を作製し、NEC製LA−1525J型のTFT−TN液晶パネルの偏光板を剥がした後に貼り付けた。次いで、白色/黒色表示時のコントラスト比をELDIM社のEz−Contrastを用いて測定し、上下左右について、コントラストが10以上を示す液晶パネルの法線方向からの角度をそれぞれ測定したところ、視野角のひろがったパネルが得られた。
【0231】
〈偏光板作製方法〉
長尺支持体から2枚のシートを裁断し、ケン化処理(KOH 2mol/l 60℃ 60秒処理後、水洗、乾燥処理を行なった。)。この2枚のフィルムにポリビニルアルコール接着剤(3%水溶液、乾燥膜厚0.01μm)を塗布し、以下方法で作製した偏光子を貼合して偏光板を作製した。
【0232】
(偏光子の製造方法)
厚さ75μmのPVAフィルム(クラレビニロン#7500;クラレ株式会社製)を縦一軸延伸(延伸倍率4倍)して偏光子基材とした。この基材をヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリ30g/lよりなる水溶液に30℃にて4分間浸漬した。
次いでホウ酸70g/l、ヨウ化カリ30g/lの組成の水溶液に55℃にて5分間浸漬し、さらに20℃の水で30秒洗浄後、乾燥して偏光子を得た。
【0233】
実施例10
長尺支持体の片面をケン化処理(2モル/リットルのKOHを用い、60℃、60秒処理後、水洗、乾燥処理を行なう。)および実施例9で作製した光学補償フィルム1を同様にケン化処理を行なった。これら2枚のフィルムにポリビニルアルコール接着剤(3%水溶液、乾燥膜厚0.01μm)を塗布し、実施例9で作製した偏光子を液晶層2の配向方向と偏光子の配向方向が同じになるように貼合して偏光板を作製した。NEC製LA−1525J型のTFT−TN液晶パネルの偏光板を剥がし、作製した偏光板を偏光方向がパネルの偏光板と90°になるように添付した。実施例9と同様に視野角の広がったパネルが得られた。偏光板と一体型にすることで偏光板保護フィルムを1枚減らすことができた。これは生産性向上やパネルの薄膜化が可能となる。
【0234】
【発明の効果】
本発明により、ムラやばらつきがなく、良好なコントラストを示し、且つ、生産性の高い光学補償フィルムの製造方法、それを用いて製造された光学補償フィルム、偏光板及び液晶ディスプレイを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥装置内での送風口とウェブとの配置の一例を示す概略図である。
【図2】(a)は、乾燥装置内での送風口とウェブとの配置の一例を示す概略図であり、(b)は、送風口の形状調節板の一例を示す概略図である。
【図3】乾燥ゾーンで金属製のベルト上を搬送されるウェブを示す概略図である。
【図4】乾燥ゾーンで金属板上を搬送されるウェブを示す概略図である。
【図5】複数の乾燥ゾーンを用いてウェブを乾燥させる工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1 液晶性化合物塗設層
2 配向層
3 長尺支持体
4 空気導入口
5、7 送風口
6、6a 搬送方向
8 送風口の形状調節板
10 ウェブ
11 搬送支持ローラ
12a、12b 駆動ローラ
13 乾燥ゾーン
14 金属ベルト
15 金属板

Claims (10)

  1. 長尺支持体上に、配向層を形成後、該支持体の表面電位を−5〜+5kVとして、溶剤と液晶性化合物を含む塗布液を連続的に塗布して乾燥膜厚5μm以下になるように液晶層を塗設し、次いで、該液晶層中の該液晶性化合物の配向を固定化して光学異方層を形成することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  2. 前記配向層の表面電位を−5〜+5kVに調整することを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  3. 前記配向層または前記支持体の表面電位を−1〜+1kVに調整することを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  4. 前記支持体の表面電位をイオン送風型静電気除去装置を用いて調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  5. 前記支持体の帯電量を導電性材料にて調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  6. 前記溶剤と液晶性化合物を含む塗布液の塗布膜厚と前記乾燥膜厚が、塗布膜厚/乾燥膜厚で3〜40の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  7. 前記溶剤と液晶性化合物を含む塗布液の塗布をマイクログラビアロール又はスリットダイを用いて行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  8. 前記液晶層が塗設された前記長尺支持体をクロスニコル配置された偏光板の間に通し、搬送しながら透過光を用いて、該液晶層のムラの状態を監視する工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  9. 前記液晶層を塗設後、該液晶層中の液晶性化合物の温度を等方相からネマティック相となる温度(T−IN)以上、且つ、該ネマティック相から等方相となる温度(T−NI)以下に保持しながら、活性エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの製造方法。
  10. 酸素濃度が2%以下の条件下、活性エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする請求項9に記載の光学補償フィルムの製造方法。
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