JP7358064B2 - 光学フィルムの製造方法及び光学フィルムの製造装置 - Google Patents
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Description
<1> 電気絶縁性の基材上に、液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムの製造方法であって、上記液晶化合物を含む導電性の塗布液を上記基材に設けられた上記配向層上に塗布する前に、上記基材の上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を除去する帯電除去工程と、電気的に接地された塗布ノズルを用いて上記導電性の塗布液を上記配向層上に塗布して液晶層用塗膜を形成する液晶層用塗膜形成工程と、上記液晶層用塗膜から上記液晶層を形成する液晶層形成工程と、を有し、上記帯電除去工程の後、かつ上記液晶層用塗膜形成工程の前にて、上記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値が、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値よりも大きい光学フィルムの製造方法。
<2> 上記帯電除去工程の後、かつ上記液晶層用塗膜形成工程の前にて、上記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値が、1.0kV~5.0kVである<1>に記載の光学フィルムの製造方法。
<3> 上記帯電除去工程の後、かつ上記液晶層用塗膜形成工程の前にて、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値が、1.0kV以下である<1>又は<2>に記載の光学フィルムの製造方法。
<4> 上記帯電除去工程の後、かつ上記液晶層用塗膜形成工程の前にて、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値をA、上記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値をBとしたとき、A/Bが0~0.8である<1>~<3>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
<5> 上記基材の厚さが、10μm~40μmである<1>~<4>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
<6> 上記帯電除去工程では、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面と電極とを対向させた状態にて上記電極に正負の電圧を交互に印加することにより、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を除去する<1>~<5>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
<7> 上記帯電除去工程の前に、上記基材上に配向層形成用材料を塗布して配向層用塗膜を形成する配向層用塗膜形成工程と、上記配向層用塗膜に対し偏光を照射して上記配向層を形成する配向層形成工程と、をさらに有する<1>~<6>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
<8> 上記塗布液の25℃における導電率が、1×10-10S/m以上である<1>~<7>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
<9> 上記液晶層の厚み分布が、2%以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の光学フィルムの製造方法。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示にて示す各図面における各要素は必ずしも正確な縮尺ではなく、本開示の原理を明確に示すことに主眼が置かれており、強調がなされている箇所もある。
本開示の光学フィルムの製造方法は、電気絶縁性の基材上に、液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムの製造方法であって、上記液晶化合物を含む導電性の塗布液を上記基材に設けられた上記配向層上に塗布する前に、上記基材の上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を除去する帯電除去工程と、電気的に接地された塗布ノズルを用いて上記導電性の塗布液を上記配向層上に塗布して液晶層用塗膜を形成する液晶層用塗膜形成工程と、上記液晶層用塗膜から上記液晶層を形成する液晶層形成工程と、を有し、上記帯電除去工程の後、かつ上記液晶層用塗膜形成工程の前にて、上記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値が、上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値よりも大きい。
本開示の光学フィルムの製造方法では、電気絶縁性の基材(以下、「基材」とも称する)を用い、電気絶縁性の基材上に液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムを製造する。電気絶縁性の基材としては、例えば、公知のポリマーフィルムを用いてもよい。
このうち、光学異方性の低さ等の点から、セルローストリアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にセルローストリアセテートが好ましい。
本開示の光学フィルムの製造方法により得られる光学フィルムは配向層を備える。配向層は、液晶化合物に対する配向規制力を備え、電気絶縁性の基材上に設けられる層である。配向層を形成する方法は、制限されず、例えば、ラビング方式を用いてもよく、光配向方式を用いてもよい。
ここで、ラビング方式とは、配向層形成用材料を用いて形成される塗膜(以下、「配向層用塗膜」ということがある。)に対してラビング布を巻いたロールを一定圧力で押し込みながら回転移動させて、液晶化合物に対する配向規制力を与える方式である。
また、光配向方式とは、配向層用塗膜に対し偏光(例えば、偏光紫外線)を照射して、液晶化合物に対する配向規制力を与える方式である。
ラビング処理としては、特に制限はなく、公知の方法が適用可能である。具体的には、ラビング処理として、配向層用塗膜の表面を、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン、ポリエステル繊維等のラビング布にて一定方向に擦る方法が挙げられる。例えば、均一性のある長さ及び太さの繊維が平均的に植毛されたラビング布を用いて、数回程度、配向層用塗膜の表面を擦る、といったラビング処理が行われる。
配向層の形成に用いられる配向層形成用材料としては、以下に示す有機化合物と有機化合物を溶解する溶剤とを含むことが好ましい
有機化合物としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等のポリマー、並びに、シランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ポリビルアルコール、及びアルキル基(好ましくは炭素数6以上のアルキル基)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
配向層形成用材料に用いるポリマーとしては、特に、アルキル変性ポリビルアルコールが好ましく、炭素原子数6~14のアルキル基が、-S-、-(CH3)C(CN)-、又は-(C2H5)N-CS-S-を介してポリビニルアルコールの末端又は側鎖に結合しているアルキル変性ポリビルアルコールが好ましい。
これらの中でも特に好ましい例としては、上記公報に記載のアゾ化合物、上記公報に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はこれらエステル、上記公報に記載のシンナメート化合物、又はカルコン化合物等が挙げられる。
本開示の光学フィルムの製造方法により得られる光学フィルムは液晶層を備える。液晶層は、液晶化合物を含み、配向層上に設けられる層である。液晶層は、配向層上に液晶層形成用材料の塗膜(以下、「液晶層用塗膜」とも称する)を形成した後、液晶層用塗膜中の液晶化合物の配向及び固定を行うことによって得られる。
液晶層の厚み分布は、液晶層の平均厚みをTとし、液晶層の厚みの最大値と最小値の差をHとしたときに、液晶層の厚み分布は、100×(H/T)の式で算出される値である。
液晶層の厚み分布は、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)により測定でき、液晶層の平均厚みTは、測定領域における無作為の10箇所の厚みの測定値の算術平均値であり、液晶層の厚みの最大値と最小値の差Hは、平均厚みTと同じ測定領域において、液晶層の厚みの最大値から液晶層の厚みの最大値を差し引いた値である。
液晶層の形成に用いられる液晶層形成用材料である塗布液は、液晶化合物を含有する。液晶化合物としては、例えば、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物等が挙げられる。
以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
重合性基を有する棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同第5622648号明細書、同第5770107明細書、国際公開第95/22586号、同第95/24455号、同第97/00600号、同第98/23580号、同第98/52905号、特開平1-272551号公報、同6-16616号公報、同7-110469号公報、同11-80081号公報、及び特開2001-328973号公報などに記載の化合物が挙げられる。
さらに、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報、特開2007-279688号公報等に記載のものも好ましく用いることができる。
上記の中でも、溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ハロゲン化炭素溶媒がより好ましい。
光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号明細書又は米国特許第2367670号明細書の各明細書に記載の化合物)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書に記載の化合物)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書に記載の化合物)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号又は米国特許第2951758号の各明細書に記載の化合物)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書に記載の化合物)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報又は米国特許第4239850号明細書に記載の化合物)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書に記載の化合物)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報又は特開平10-29997号公報に記載の化合物)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、市販品を用いることもできる。市販品の例としては、BASF社製のイルガキュア(登録商標)シリーズ(例えば、イルガキュア369、イルガキュア907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュアOXE-01等)等が挙げられる。
配向層用塗膜形成工程では、前述のように基材上に配向層形成用材料を塗布し、必要に応じて基材上に塗布された配向層形成用材料を乾燥することにより、配向層用塗膜を形成する。
配向層形成用材料を基材上に塗布する方法としては、制限されず、公知の方法を適用することができる。配向層形成用材料を基材上に塗布する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等が挙げられる。
配向層形成用材料を乾燥する方法としては、制限されず、公知の方法を適用することができる。配向層形成用材料を乾燥する方法としては、例えば、オーブン、温風機、赤外線(IR)ヒーター等を用いる方法が挙げられる。
温風機による乾燥においては、基材の、配向層形成用材料が塗布された面とは反対の面から温風を当てる構成でもよく、塗布された配向層形成用材料の表面が温風にて流動しないよう、拡散板を設置した構成としてもよい。
乾燥条件は、配向層形成用材料の種類、塗布量、搬送速度等に応じて決定されればよく、例えば、30℃~140℃の範囲で、10秒~10分間行うことが好ましい。
配向層形成工程では、前述のように、配向層用塗膜に対し偏光(例えば、偏光紫外線)を照射して、液晶化合物に対する配向規制力を付与して配向層を形成する。
ワイヤーグリッド偏光子から発せられる偏光紫外線が配向層用塗膜に照射されることで、配向層用塗布膜に配向規制力が付与される。
棒状光源から発せられる紫外線のピーク波長は、200nm~400nmが好ましい。
ワイヤーグリッド偏光素子においては、ワイヤーグリッドの金属細線の長手方向と平行な偏波(偏光)成分を反射し、直交する偏波(偏光)成分を通過する。
各ワイヤーグリッド偏光素子は、基板上に複数の直線状の電気導体からなるワイヤーグリッドが配列されている。
電気導体としては、クロム、アルミニウム等の金属線が挙げられる。
本開示の光学フィルムの製造方法は、液晶化合物を含む導電性の塗布液を基材に設けられた配向層上に塗布する前に、基材の塗布液が塗布される側とは反対側の面(以下、「反対側の面」とも称する)の帯電を除去する帯電除去工程を有する。帯電除去工程によって反対側の面の帯電を除去することで、帯電除去工程の後、かつ後述の液晶層用塗膜形成工程の前にて、基材の塗布液が塗布される側の面(以下、「塗布面」とも称する)の帯電量の絶対値を、反対側の面の帯電量の絶対値よりも大きい状態にしている。帯電除去工程では、塗布面の帯電の除去は必須ではなく、塗布面が一定量帯電した状態にて反対側の面の帯電を除去する。
電極に正負の電圧を印加するときの周波数は特に限定されず、50Hz~60Hzであることが好ましい。
本開示の光学フィルムの製造方法は、電気的に接地された塗布ノズルを用いて導電性の塗布液を配向層上に塗布して液晶層用塗膜を形成する液晶層用塗膜形成工程を有する。
本開示の光学フィルムの製造方法は、液晶層用塗膜から液晶層を形成する液晶層形成工程を有する。例えば、液晶層用塗膜中の液晶化合物の配向及び固定を行うことにより、液晶層を形成することが好ましい。
液晶層用塗膜中の液晶化合物の配向を固定する前には、液晶層用塗膜中の液晶化合物の配向処理を行うことが好ましい。
配向処理は、室温等により乾燥させる、又は加熱することにより行うことができる。
配向処理で形成される液晶は、サーモトロピック性をもつ液晶化合物の場合、一般に温度又は圧力の変化により転移させることができる。また、リオトロピック性をもつ液晶化合物の場合には、溶媒量等の組成比によっても転移させることができる。
棒状液晶化合物がスメクチック相を発現する温度領域では、棒状液晶化合物がスメクチック相を発現するまで一定時間加熱する必要がある。加熱時間は、10秒間~5分間が好ましく、10秒間~3分間が更に好ましく、10秒間~2分間が最も好ましい。
なお、液晶化合物の配向を、液晶層用塗膜と形成する際の乾燥とは別に行ってもよい。
また、塗布液の塗布直後の膜厚(所謂、ウエット膜厚)としては、3μm~30μmであることが好ましく、5μm~15μmであることがより好ましい。
液晶層用塗膜中の液晶化合物の配向の固定には、活性エネルギー線による重合で、液晶層用塗膜を硬化することで行うことが好ましい。
紫外線を照射する光源としては、例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザー)、発光ダイオード、陰極線管等を挙げることができる。
紫外線を照射する光源から発せられる紫外線のピーク波長は、200nm~400nmが好ましい。
本開示の光学フィルムの製造装置は、電気絶縁性の基材上に、液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムを製造する光学フィルムの製造装置であって、上記液晶化合物を含む導電性の塗布液を上記基材に設けられた上記配向層上に塗布する前に、上記基材の上記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を、上記反対側の面と電極とを対向させた状態にて上記電極に正負の電圧を交互に印加することにより除去する帯電除去手段と、電気的に接地された塗布ノズルを有し、上記導電性の塗布液を上記配向層上に塗布する塗布手段と、を備える。本開示の光学フィルムの製造装置では、前述の本開示の光学フィルムの製造方法と同様に、液晶層の厚みムラ及び配向角度ムラが抑制された光学フィルムを製造可能である。
バックアップロール40としては、例えば、表面が、ハードクロムメッキされたものを好ましく用いることができる。
メッキの厚さは、導電性と強度とを確保する点から40μm~60μmが好ましい。
また、バックアップロール40の表面粗さは、基材50とバックアップロール40との摩擦力のバラツキを低減させる点から、表面粗さRaにて0.1μm以下が好ましい。
バックアップロール40の温度は、25℃~100℃に維持されることが好ましく、25℃~50℃がより好ましい。バックアップロール40を上記の温度に維持することで、巻き掛けられる基材50の温度制御を行うことができる。
バックアップロール40の温度制御手段には、加熱手段及び冷却手段がある。加熱手段としては、誘導加熱、水加熱、油加熱等が用いられ、冷却手段としては、冷却水が用いられる。
なお、塗布ノズルは電気的に直接接地されていてもよく、架台を通じて電気的に接地されていてもよい。
以下の手順により、光学フィルムの一例である位相差フィルムを作製した。
長さ1000m、幅1000mm及び厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルムTD80UL(富士フイルム株式会社)からなる基材の片面に、下記の組成の配向層形成材料をワイヤーバーで塗布した。その後、60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、厚み0.5μmの配向層用塗膜を形成した。
光配向用素材P-1 1.0質量部
ブトキシエタノール 33質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 33質量部
水 33質量部
なお、バックアップロールの軸中心に垂直な面内において、バックアップロールの軸中心を通りワイヤーグリッド偏光子の基材対向面に垂直な線を基準線L1とし、基準線L1と、バックアップロールの軸中心と基材上における紫外線の照射領域の搬送方向上流端とを結ぶ線L2とがなす角度をθ1とし、基準線L1と、バックアップロールの軸中心と基材上における紫外線の照射領域の搬送方向下流端とを結ぶ線L3とがなす角度をθ2とした。
この際、紫外線の照度は、UV(ultra-violet)-A領域(波長380nm~320nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV-A領域において1000mJ/cm2とした。
以上の手順により、基材と、配向層と、を有する積層フィルムを製造した。
続いて、バックアップロールと塗布液を配向層上に塗布する塗布手段との間で塗布手段の5m前、かつ基材の塗布液が塗布される側とは反対側の面と対面するように設置された高密度除電器(シムコジャパン株式会社製、型番SS50)を用いて、反対側の面と電極とを対向させた状態にて周波数60Hzの条件で電極に正の電圧である4kV及び負の電圧である-4kVを交互に印加することにより、反対側の面の帯電を除去した。
後述の塗膜形成工程の前であり、反対側の面の帯電を除去した直後において、反対側の面の帯電量は0.5kVであり、基材の塗布液が塗布される側の面の帯電量は1.5kVであった。
続いて、下記の組成の塗布液を調製した。
塗布液の固形分濃度は15質量%であり、塗布液の25℃における粘度は2.0mPa・sであった。また、塗布液の25℃における導電率は、2×10-7S/mであった。
逆波長分散液晶性化合物 R-3 100質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア369、BASF社、最大吸収波長:324nm)
含フッ素化合物 A 0.8質量部
架橋性ポリマー O-2 0.3質量部
クロロホルム 588質量部
塗布液の塗布後に、膜面温度100℃で60秒間加熱して、液晶層用塗膜を形成し、70℃まで冷却した。
続いて、大気下にて空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社)を用いて1000mJ/cm2の紫外光を照射して、その配向状態を固定化し、液晶層を形成した。
以上のようにして、光学フィルム(位相差フィルム)が得られた。
帯電除去工程にて反対側の面の帯電を除去した直後において、反対側の面の帯電量及び塗布面の帯電量が表1に示す値であった以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
高密度除電器を塗布面と対面するように設置することにより帯電除去工程にて反対側の面ではなく、塗布面の帯電を除去し、反対側の面の帯電量及び塗布面の帯電量が表1に示す値であった以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
塗膜形成工程にて電気的に接地されていない塗布ノズルを有する塗布手段を用いて配向層上に塗布液を塗布した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
実施例1~3及び比較例1、2にて得られた光学フィルムを用いて、以下のようにして色ムラの評価を行った。まず、前述のようにして得られた光学フィルムを用いて1m角のサンプルを作製し、光源、pol(偏光板1)、サンプル、及びpol(偏光板2)の順に重ねた。なお、偏光板1及び偏光板2は、偏光軸が互いに直交するように配置した。光源と反対側から透過光を目視で観察することにより、色ムラが発生している場所を特定した。なお、そして、色ムラが発生している場所に対して配向軸角度測定を実施し、色ムラが発生していない定常部の配向軸角度と比較し、以下の評価基準に基づいて色ムラの評価を行った。
-評価基準-
A:定常部と色ムラ部分との配向軸角度の差(定常部の配向軸角度-色ムラ部分の配向軸角度)が±0.1°未満である。
B:定常部と色ムラ部分との配向軸角度の差が±0.1°以上である。
結果を表1に示す。
実施例1~3及び比較例1、2にて得られた光学フィルムを用いて、液晶層の厚み分布を前述のようにして測定し、以下の評価基準に基づいて厚みムラの評価を行った。
-評価基準-
A:厚み分布の値が2%以下である。
B:厚み分布の値が2%超である。
結果を表1に示す。
2、4 乾燥手段
5 紫外線照射手段
6 帯電除去手段
40 バックアップロール
50 基材
60 光配向装置
100 光学フィルムの製造装置
Claims (8)
- 電気絶縁性の基材上に、液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムの製造方法であって、
前記液晶化合物を含み、25℃における導電率が、1×10-10S/m以上である導電性の塗布液を前記基材に設けられた前記配向層上に塗布する前に、前記基材の前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を除去する帯電除去工程と、
電気的に接地された塗布ノズルを用いて前記導電性の塗布液を前記配向層上に塗布して液晶層用塗膜を形成する液晶層用塗膜形成工程と、
前記液晶層用塗膜から前記液晶層を形成する液晶層形成工程と、を有し、
前記帯電除去工程の後、かつ前記液晶層用塗膜形成工程の前にて、前記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値が、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値よりも大きく、前記帯電除去工程の後、かつ前記液晶層用塗膜形成工程の前にて、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値が、1.0kV以下である光学フィルムの製造方法。 - 前記帯電除去工程の後、かつ前記液晶層用塗膜形成工程の前にて、前記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値が、1.0kV~5.0kVである請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記帯電除去工程の後、かつ前記液晶層用塗膜形成工程の前にて、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値をA、前記塗布液が塗布される側の面の帯電量の絶対値をBとしたとき、A/Bが0~0.8である請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記基材の厚さが、10μm~40μmである請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記帯電除去工程では、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面と電極とを対向させた状態にて前記電極に正負の電圧を交互に印加することにより、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を除去する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記帯電除去工程の前に、前記基材上に配向層形成用材料を塗布して配向層用塗膜を形成する配向層用塗膜形成工程と、前記配向層用塗膜に対し偏光を照射して前記配向層を形成する配向層形成工程と、をさらに有する請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記液晶層の厚み分布が、2%以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 電気絶縁性の基材上に、液晶化合物に対する配向規制力を備えた配向層と液晶化合物を含む液晶層とを備える光学フィルムを製造する光学フィルムの製造装置であって、
前記液晶化合物を含み、25℃における導電率が、1×10-10S/m以上である導電性の塗布液を前記基材に設けられた前記配向層上に塗布する前に、前記基材の前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電を、前記反対側の面と電極とを対向させた状態にて前記電極に正負の電圧を交互に印加することにより除去する帯電除去手段と、
電気的に接地された塗布ノズルを有し、前記導電性の塗布液を前記配向層上に塗布する塗布手段と、
を備え、前記帯電除去手段での帯電の除去後、かつ前記塗布手段での前記塗布液の塗布前にて、前記塗布液が塗布される側とは反対側の面の帯電量の絶対値が、1.0kV以下である光学フィルムの製造装置。
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JP2019072263A JP7358064B2 (ja) | 2019-04-04 | 2019-04-04 | 光学フィルムの製造方法及び光学フィルムの製造装置 |
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