JP4578959B2 - 多層成形体の製造装置および製造方法 - Google Patents
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このような多層成形体の製造方法として、次のような方法がある。
まず、加熱軟化した加飾シートを、真空成形用雄型の表面に真空吸引し、密着させ、この雄型の表面に沿う形状に立体成形する。ついで、立体成形された加飾シートを真空成形用雄型の表面から剥がし、射出成形用雌型に配置する。ついで、射出成形用型を型締めし、そのキャビティ内に溶融樹脂を注入する。このような方法により、加飾シートとその裏面側に一体化した樹脂成形体とからなる多層成形体が得られる。
そこで、最近では、例えば特許文献1に記載されているように、立体成形された加飾シートを真空成形用雄型の表面に保持したまま、これを射出成形用雌型に嵌合させ、ついで射出成形用雌型の備える吸引手段を作動させることにより、加飾シートを射出成形用雌型に移動させ、これに吸引保持させる方法が検討されている。このような方法によれば、立体成形された加飾シートを真空成形用雄型の表面から剥がすことなく、直に射出成形用雌型に移動させるため、加飾シートのシワ、破損を防止でき、これに起因する多層成形体の成形不良も抑制できる。
一方、特許文献2には、プラスチック容器などの樹脂の表面にラベルシートを一体化させるインモールドラベリング方法として、予め印刷されたラベルシートを射出成形型に静電気的に吸着させ、ついで樹脂を射出する方法が開示されている。
前記射出成形用雌型は、その背面が雌型取付板に固定されていて、前記絶縁手段は、前記射出成形用雌型と前記雌型取付板との間に設けられた絶縁板を少なくとも備えて構成されていることが好ましい。
前記第1の移動工程中に、前記第1の帯電工程を行うことが好ましい。
前記シート吸着工程において、前記シート成形用雄型から加熱気体を送風することにより、前記加飾シートを軟化させることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態例である多層成形体の製造装置10を概略的に示す平面図であって、表面に絵柄などが形成され意匠性が付与された加飾シート11と、その裏面に配置された樹脂成形体とが一体化した多層成形体を製造するためのものである。
この製造装置10は、加飾シート11を立体成形するシート成形装置20と、立体成形された加飾シート11に樹脂成形体を一体化して多層成形体とする射出成形装置40とを具備して構成されている。この例でシート成形装置20は、加飾シート11を固定するシート固定機21と、このシート固定機21に対向配置され、固定された加飾シート11を立体成形するシート成形用雄型25を備えた可動式成形機22とから概略構成されている。また、射出成形装置40は、シート成形用雄型25と嵌合する射出成形用雌型41と、図示略の射出成形用雄型とを有して構成されている。
この射出成形用雌型41は金属製であって、図2に示すようにボルト42によりその背面が雌型取付板43に固定されている。また、この雌型取付板43の両面には絶縁板44が配置されているとともに、雌型取付板43を貫くボルト42の外周部分には、図3に拡大して示すように絶縁ワッシャ45が配置されていて、射出成形用雌型41が帯電した場合、その帯電電荷が雌型取付板43やボルト42を通じて外部にリークしないようになっている。
その後、図示略の減圧手段を作動させて、立体成形された加飾シート11をシート成形用雄型25の成形面に吸引し、確実に保持する。
そして、このように移動、接近させつつ、図示略のジェネレータを作動させてシート成形用雄型25に付帯した帯電バー29から射出成形用雌型41に向けて放電し、射出成形用雌型41を帯電させる(第1の帯電工程)。ここでジェネレータからの出力電圧は通常20〜40kvで、帯電バー29からの放電電流は通常0.5mA以下である。また、この例ではマイナス(−)に帯電させている。
また、その際、シート成形用雄型25の具備する図示略の熱空送風手段を作動させて、シート成形用雄型25の表面の通気孔から加飾シート11に向けて加熱気体を送風することにより、加飾シート11は加熱され軟化するため、より一層射出成形用雌型41に密着する。また、このように加熱気体を送風することによって、射出成形用雌型41に加飾シート11が多少ずれた状態で静電吸着したとしても加飾シート11が定位置へと移動しやすくなるため、加飾シート11のずれによる多層成形体の成形不良を抑制できる。なおジジェネレータからの出力電圧が20〜40kvで、帯電バー29からの放電電流が0.5mA以下の条件で射出成形用雌型41に対して放電した場合、射出成形用雌型41は通常弱帯電の状態となり、このようなずれの補正は可能である。
その後、図8に示すように、可動式成形機22の具備する移動装置27を再度作動させて、シート成形用雄型25を射出成形用雌型41から離れるように移動させるとともに(第2の移動工程)、ジェネレータを再び作動させて、静電吸着により加飾シート11が保持された状態の射出成形用雌型41に向けて帯電バー29から放電する(第2の帯電工程)。これにより、射出成形用雌型41だけでなく加飾シート11も帯電させることができ強帯電の状態となり、より確実に加飾シート11を射出成形用雌型41に静電吸着させることができる。また、この例では第2の帯電工程でもマイナス(−)に帯電させている。
そして、射出成形用雌型41に図示略の射出成形用雄型を嵌合させて型締めした後、形成されたキャビティ内に溶融した樹脂、または樹脂の原料であるモノマーなどを射出することにより、加飾シート11と樹脂成形体とが一体化した多層成形体を成形する(一体化工程)。ここでモノマーを射出する具体例としては、いわゆる反応射出成形(RIM)が挙げられる。
その後、このようにして得られた多層成形体には静電除去処理を行って、静電除去することが好ましい。
また、その際、射出成形用雌型41を帯電させることにより加飾シート11を静電吸着させるため、吸着力が十分であり、加飾シート11があらかじめ立体成形された比較的大型のものであっても確実な移動や保持ができ、しかも穴やスリットなどの開口部が形成されたものの場合にも、吸引吸着の場合のように空気のリークによる吸着力の低下がない。
さらにこの例のように、第1の移動工程中や第2の移動工程中に第1の帯電工程や第2の帯電工程を行うことによって、各工程が効率的に実施でき、多層成形体の生産性に優れる。
さらに、帯電手段の具備する帯電バー29がシート成形用雄型25に付帯し、これと連動する構成となっているので、装置構成が比較的簡単であるうえ、第1の移動工程中や第2の移動工程中に第1の帯電工程や第2の帯電工程を容易に行うことができ、非常に効率的である。
なお、絶縁手段を構成する絶縁板44や絶縁ワッシャ45の材質としては、十分な絶縁性を備えたものであれば特に制限はなく、好ましくは、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、硬質ゴム、ベークライトなどが使用でき、特に好ましくは塩化ビニル樹脂である。
さらに、この際には、可動式成形機22として、シート固定機21に固定された加飾シート11の裏面側から表面側に向かって、シート面に対して略垂直に前進して加飾シート11に当接し、この加飾シート11を支持するアーム手段を具備したものを使用し、これにより加飾シート11を支持しつつ反転工程を行ってもよい。このようなアーム手段を併用することによって、加飾シート11とシート成形用雄型25の表面との密着性がより向上する。
11 加飾シート
20 シート成形装置
25 シート成形用雄型
40 射出成形装置
41 射出成形用雌型
Claims (5)
- 加飾シートを成形面に沿わせて立体成形するシート成形用雄型を有するシート成形装置と、前記シート成形用雄型と嵌合する射出成形用雌型を有する射出成形装置とを備え、立体成形された前記加飾シートと射出成形された樹脂成形体とが一体化した多層成形体を製造する製造装置であって、
前記射出成形用雌型を帯電させる帯電手段と、前記射出成形用雌型からの帯電電荷のリークを防止する絶縁手段とを備え、
前記帯電手段は、放電電極と、該放電電極に電圧を印加するジェネレータとを備え、
前記シート成形用雄型は、前記射出成形用雌型に対して側方から接近離間自在であるとともに、前記放電電極を付帯し、
前記シート成形用雄型を前記射出成形用雌型に対して接近離間に移動させながら、該射出成形用雌型を帯電可能であることを特徴とする多層成形体の製造装置。 - 前記射出成形用雌型は、その背面が雌型取付板に固定されていて、
前記絶縁手段は、前記射出成形用雌型と前記雌型取付板との間に設けられた絶縁板を少なくとも備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層成形体の製造装置。 - 立体成形された加飾シートをその成形面に保持したシート成形用雄型を、該シート成形用雄型と嵌合する射出成形用雌型に向けて相対移動させる第1の移動工程と、
前記射出成形用雌型を帯電させる第1の帯電工程と、
前記シート成形用雄型を前記射出成形用雌型に嵌合させ、該射出成形用雌型に前記加飾シートを静電吸着させるシート吸着工程と、
前記シート成形用雄型を前記加飾シートから離す離型工程と、
前記射出成形用雌型に前記射出成形用雄型を嵌合させるとともに、該嵌合により形成されたキャビティ内に樹脂または樹脂の原料を射出して、前記加飾シートと前記樹脂からなる成形体とが一体化した多層成形体を成形する一体化工程とを有し、
前記離型工程と前記一体化工程との間に、前記シート成形用雄型を前記射出成形用雌型から離れるように相対移動させる第2の移動工程を有し、該第2の移動工程中に、静電吸着された前記加飾シートを少なくとも帯電させる第2の帯電工程を行うことを特徴とする多層成形体の製造方法。 - 前記第1の移動工程中に、前記第1の帯電工程を行うことを特徴とする請求項3に記載の多層成形体の製造方法。
- 前記シート吸着工程において、前記シート成形用雄型から加熱気体を送風することにより、前記加飾シートを軟化させることを特徴とする請求項3または4に記載の多層成形体の製造方法。
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