JP4566709B2 - シート成形体の製造方法およびインサート成形体の製造方法 - Google Patents
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このようなインサート成形体の製造方法として、例えば次のような方法が特許文献1に開示されている。
まず、加熱軟化した加飾シートを、真空成形用雄型の表面に真空吸引し、密着させ、この雄型の表面に沿う形状に立体成形する。ついで、立体成形された加飾シートを射出成形用雌型に配置する。ついで、射出成形用型を型締めし、そのキャビティ内に溶融樹脂を注入する。このような方法により、加飾シートとその裏面側に一体化した樹脂成形体とからなるインサート成形体が得られる。
さらに、特許文献1に記載された方法では、加熱軟化した加飾シートを拡張することなく真空成形用雄型の表面に真空吸引しているので、加飾シートのうち真空吸引によって雄型の表面に密着した部分はほとんど拡張せず、雄型の周壁に接する部分のみが真空成形時に一気に伸びることなる。そのため、このようにして得られた立体形状の加飾シートは、場所によって拡張の程度が異なるために、絵柄が部分的に違って見えてしまい、意匠性が低下する場合があった。また、雄型の周壁に接した部分のみが極端に薄くなるため、この部分にシワが生じたり、インサート成形時に樹脂成形体との密着不良を誘発したりして、不良品になりやすかった。
前記反転工程では、前記加飾シートの前記周縁よりも内側の部分を複数に区切るように前記アーム手段を当接させ、前記シート成形工程では、複数のシート成形用雄型を、前記アーム手段により区切られた複数の部分にそれぞれ押圧するようにしてもよい。
前記反転工程では、前記加飾シートの前記周縁よりも内側の部分を複数に区切るように前記アーム手段を当接させ、前記シート成形工程では、複数のシート成形用雄型を、前記アーム手段により区切られた複数の部分にそれぞれ押圧し、前記嵌合工程では、前記複数のシート成形用雄型を複数のキャビティが形成された射出成形用雌型の前記キャビティにそれぞれ嵌合させるようにしてもよい。
前記シート吸着工程では、電気的に絶縁され、かつ帯電処理された前記射出成形用雌型により、前記加飾シートを静電吸着することが好ましい。
前記シート吸着工程では、前記シート成形用雄型の表面に形成された複数の通気孔から外方に加熱気体を送風することが好ましい。
図1は、本発明の製造方法により得られたシート成形体10の一例であって、表面11a側に絵柄などが形成され意匠性が付与された加飾シート11が、立体成形されたものである。
このようなシート成形体10は、図2のようなシート成形装置20を使用して、加飾シート11を拡張する予張工程と、加飾シート11の張り出し方向を変える反転工程と、加飾シート11を立体成形するシート成形工程とを順次行うことにより製造できる。
ここでシート固定機21は、一面が開口し、ここを加飾シート11が塞ぐように配置されることによって気密性を備える箱状のシート固定台座23と、加飾シート11をこのシート固定台座23に固定するためのシートクランプ24とを備えている。図中符号25、26は、それぞれ送りロール、巻取ロールであって、加飾シート11は、これらの間に掛け渡された状態で、シート固定台座23の開口端面23aに沿って配置され、シートクランプ24により固定される。また、このシート固定機21には、図示略の圧力制御手段が備えられていて、箱状のシート固定台座23と固定された加飾シート11とにより形成される気密性の空間23b内を吸引したり、この空間23b内に圧縮空気などの加圧気体を送風したりして、この空間23bの圧力を調節できるようになっている。また、図中符号37は窓であり、シート固定台座23内の状態を作業者が外側から確認するために設けられている。
また、この例のシート成形用雄型27は、図示略の加熱手段を内蔵していて、その表面温度を所定温度に加熱できるようになっている。さらに、この例のシート成形用雄型27は、その表面に多数の図示略の通気孔が形成されているとともに、この通気孔には開閉バルブ28を介して図示略の熱空送風手段と図示略の減圧手段とが接続している。よって、熱空送風手段によれば、通気孔を通じてシート成形用雄型27の内側から外側に向けて加熱気体を送風でき、減圧手段によれば、シート成形用雄型27の表面に後述のように加飾シート11を吸引し、保持できるようになっている。熱空送風手段としては、図3(a)に示すように、開閉バルブ28の上流側に電熱線35aを備えたヒータ部35を設け、このヒータ部35のさらに上流側から気体を送風することにより、加熱気体を送風する形態のものが挙げられるが、ここで、上流側から送風する気体は、あらかじめ図3(b)に示すような電熱線35bを備えた熱空圧縮タンク36で予熱しておくことが好ましい。熱空送風手段をこのように2段階に構成して、加熱気体を開閉バルブ28を通して供給することにより、効率的に加熱気体を送風することができる。
まず、図2に示すように、加飾シート11を送りロール25から供給するとともに巻取ロール26で巻き取りつつ、シート固定台座23の開口端面23aの前方に配置する。一方、シート成形用雄型27の表面を所定温度に加熱する。その後、図4に示すように、加飾シート11をシート固定台座23の開口端面23a上にシートクランプ24で固定するする。この際、加飾シート11を、その表面11a側が開口端面23aに直に接し、裏面11b側が可動式成形機22の方を向くように固定する。
具体的には、まず図5に示すように、可動式成形機22の枠体30の前端面30aが、固定された加飾シート11およびシートクランプ24を介してシート固定台座23の開口端面23aに密着するように、可動式成形機22をシート固定機21に向けて前進させる。そして、シート固定台座23の底面(開口部分に対向する面)に設けられた図示略のシート加熱手段により、加飾シート11を所定温度に加熱して軟化する。ついで、シート固定台座23の具備する圧力制御手段を作動させて、シート固定台座23と加飾シート11により囲まれた空間23b内を吸引して45〜55kPa程度の減圧状態にする。このようにして、加飾シート11の表面11a側の気圧を裏面11b側よりも低くして、加飾シート11を図示のようにその表面11a側に張り出させ、バルーン状に拡張させる予張工程を行う。
このように予張工程と反転工程を行うことにより、加飾シート11は非常に均一に拡張したうえで、後のシート成形用雄型27による押圧箇所よりも若干外側の部分であって、シート固定台座23の開口端面23aよりも内側の部分を支持された状態となる。
なお、シート成形工程においては、アーム手段29の後退とともに加圧気体を送風するなどして加飾シート11の表面11a側の気圧をさらに高める方法の他、加飾シート11の裏面11b側の気圧を表面11a側よりも低くしてもよいし、これら両方を実施してもよい。
すなわち、上述のシート成形工程の後、図10に示すように、シート成形用雄型27の表面に立体成形された加飾シート、すなわちシート成形体10を吸引、保持したまま、可動式成形機22を、シート成形用雄型27と嵌合する1つのキャビティが形成されているとともに、電気的に絶縁され、かつ帯電処理された射出成形用雌型33の該キャビティに向けて移動させ、図11に示すように、シート成形用雄型27と射出成形用雌型33のキャビティとを嵌合させる嵌合工程を行う。
そして、キャビティに図示略の射出成形用雄型を嵌合させ型締めした後、キャビティ内に溶融した樹脂を射出することにより、加飾シート11からなるシート成形体10と樹脂からなる成形体とが一体化したインサート成形体を成形する一体化工程を行う。
さらに、その際、シート成形用雄型27の表面に形成された複数の通気孔から外方に加熱気体を送風することにより、シート成形体10は加熱、軟化し、より一層キャビティの成形面33aに沿って密着する。
また、ここではシート吸着工程として、静電吸着によるものを例示したが、これに限定されず、真空吸引可能な孔が設けられた射出成形用雌型を用いた吸引吸着によるものであってもよい。
また、この際、ベースフレームの内周面に溝部を形成しておき、シート成形体やインサート成形体の製造個数に応じて、必要な本数のサブフレームを適宜溝部に差し込んだり、抜いたりできる抜き差し可能な形態にしておくことによって、製造個数が変動した場合でも同じシート成形装置を使用でき、臨機応変に対応できる。
このような方法によれば、表面にシワがなく、所望の立体形状を備え、絵柄が均一で意匠性にも優れたシート成形体を、1枚の加飾シートから複数同時に得られ、さらには、外観、意匠性に優れ、シート成形体10と樹脂成形体とが良好に密着したインサート成形体も複数同時に得られるため、無駄がなく非常に効率的である。
11 加飾シート
11a 加飾シートの表面
11b 加飾シートの裏面
27 シート成形用雄型
29 アーム手段
33 射出成形用雌型
33a 成形面
Claims (6)
- 加熱した加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりも低くして、前記加飾シートを前記表面側に張り出させ拡張する予張工程と、
前記加飾シートの裏面側からアーム手段を前進させ、該加飾シートの少なくとも周縁に当接させて該加飾シートを支持しながら、該加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりも高くして、該加飾シートを前記裏面側に張り出させる反転工程と、
前記加飾シートの裏面側から少なくとも1つのシート成形用雄型を押圧しながら、前記アーム手段を後退させるとともに、前記加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりもさらに高くするか、または、前記加飾シートの裏面側の気圧を表面側よりも低くするかのいずれか少なくとも一方の方法により、前記加飾シートを前記シート成形用雄型の表面に沿わせて立体成形するシート成形工程とを有することを特徴とするシート成形体の製造方法。 - 前記反転工程では、前記加飾シートの前記周縁よりも内側の部分を複数に区切るように前記アーム手段を当接させ、
前記シート成形工程では、複数のシート成形用雄型を、前記アーム手段により区切られた複数の部分にそれぞれ押圧することを特徴とする請求項1に記載のシート成形体の製造方法。 - 加熱した加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりも低くして、前記加飾シートを前記表面側に張り出させ拡張する予張工程と、
前記加飾シートの裏面側からアーム手段を前進させ、該加飾シートの少なくとも周縁に当接させて該加飾シートを支持しながら、該加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりも高くして、該加飾シートを前記裏面側に張り出させる反転工程と、
前記加飾シートの裏面側から少なくとも1つのシート成形用雄型を押圧しながら、前記アーム手段を後退させるとともに、前記加飾シートの表面側の気圧を裏面側よりもさらに高くするか、または、前記加飾シートの裏面側の気圧を表面側よりも低くするかのいずれか少なくとも一方の方法により、前記加飾シートを前記シート成形用雄型の表面に沿わせて立体成形するシート成形工程と、
前記シート成形用雄型の表面に、立体成形された前記加飾シートを保持したまま、該シート成形用雄型を、該シート成形用雄型と嵌合する少なくとも1つのキャビティが形成された射出成形用雌型の前記キャビティに向けて相対移動させ、該キャビティに嵌合させる嵌合工程と、
前記射出成形用雌型に前記加飾シートの表面側を吸着させるシート吸着工程と、
前記シート成形用雄型を前記加飾シートから離した後、前記キャビティに射出成形用雄型を嵌合させて該キャビティ内に樹脂を射出して、前記加飾シートと前記樹脂からなる成形体とが一体化したインサート成形体を成形する一体化工程とを有することを特徴とするインサート成形体の製造方法。 - 前記反転工程では、前記加飾シートの前記周縁よりも内側の部分を複数に区切るように前記アーム手段を当接させ、
前記シート成形工程では、複数のシート成形用雄型を、前記アーム手段により区切られた複数の部分にそれぞれ押圧し、
前記嵌合工程では、前記複数のシート成形用雄型を複数のキャビティが形成された射出成形用雌型の前記キャビティにそれぞれ嵌合させることを特徴とする請求項3に記載のインサート成形体の製造方法。 - 前記シート吸着工程では、電気的に絶縁され、かつ帯電処理された前記射出成形用雌型により、前記加飾シートを静電吸着することを特徴とする請求項3または4に記載のインサート成形体の製造方法。
- 前記シート吸着工程では、前記シート成形用雄型の表面に形成された複数の通気孔から外方に加熱気体を送風することを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のインサート成形体の製造方法。
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