JP6223806B2 - 成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
前記表皮において前記開口より広い範囲を囲う保持位置より内側に延在する余長部分を、前記成形品の裏側を成形する裏側成形型側に保持体により押さえ付けて、キャビティに該表皮をセットし、
前記裏側成形型と前記キャビティに収容された前記表皮との間に、前記基材をなす樹脂材料を注入し、
前記キャビティに収容された前記表皮を前記保持位置で囲われる領域内側に向けて前記樹脂材料により変形させた状態で基材を成形することで、基材の表側に表皮を配置すると共に該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮を配置して、基材と表皮とが接合された成形品を得る製造方法において、
前記保持体に設けられた案内部材を前記余長部分に形成された挿通部に挿入して該挿通部を拡開することで挿入開口を画成し、該挿通開口を画成した状態で前記裏側成形型から離間させた前記保持体を通して、該保持体と裏側成形型との間に表皮を配置した後に、保持体と裏側成形型との間に該余長部分を挟んで、表皮をキャビティにセットするようにし、
前記案内部材は、前記表皮における挿入部の挿入端側から保持体への受け渡し端側に向かうにつれて外方に拡開する構成としたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、表皮における基材の開口より広い範囲の余長部分を、保持体により裏側成形型側に押さえ付けたもとで、裏側成形型とキャビティに収容された表皮との間に基材をなす樹脂材料を注入することで、該樹脂材料に押されたキャビティ内の表皮が、保持体による表皮の保持位置で囲われる領域内側に向けて変形する。この状態で基材を成形することで、表皮を、基材の表側から該基材における開口の開口縁裏側にかけて延在するように賦形することができる。従って、基材の成形時に、表皮を基材の表側に配置するだけでなく、該表皮を該基材の表側から開口縁裏側にかけて配置し得るので、基材の成形後に、表皮を開口縁裏側へ巻き込んで接合する作業が不要となり、表皮付きの成形品を効率よく製造することができる。また、挿入端側から保持体への受け渡し端側に向かうにつれて外方へ拡開する案内部材を、表皮の余長部分に形成された挿通部に挿入することで、該挿通部が拡開して該案内部材および保持体が挿通する挿通開口が画成され、保持体を該挿通開口に通し易くなる。また、案内部材により保持体を挿通部に通し易くなることで、表皮をキャビティにセットする時間が短縮されて、更なる製造コストの低減が図られる。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明は、基材の表側および該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮が配設された成形品を製造する方法であって、
前記表皮において前記開口より広い範囲を囲う保持位置より内側に延在する余長部分を、前記成形品の裏側を成形する裏側成形型側に保持体により押さえ付けて、キャビティに該表皮をセットし、
前記裏側成形型と前記キャビティに収容された前記表皮との間に、前記基材をなす樹脂材料を注入し、
前記キャビティに収容された前記表皮を前記保持位置で囲われる領域内側に向けて前記樹脂材料により変形させた状態で基材を成形することで、基材の表側に表皮を配置すると共に該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮を配置して、基材と表皮とが接合された成形品を得る製造方法において、
得られた成形品を押し出して前記裏側成形型から脱型させる脱型手段によって、前記樹脂材料を注入する前に前記キャビティにセットされた前記表皮を押すことで、該表皮を弛ませるようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、表皮における基材の開口より広い範囲の余長部分を、保持体により裏側成形型側に押さえ付けたもとで、裏側成形型とキャビティに収容された表皮との間に基材をなす樹脂材料を注入することで、該樹脂材料に押されたキャビティ内の表皮が、保持体による表皮の保持位置で囲われる領域内側に向けて変形する。この状態で基材を成形することで、表皮を、基材の表側から該基材における開口の開口縁裏側にかけて延在するように賦形することができる。従って、基材の成形時に、表皮を基材の表側に配置するだけでなく、該表皮を該基材の表側から開口縁裏側にかけて配置し得るので、基材の成形後に、表皮を開口縁裏側へ巻き込んで接合する作業が不要となり、表皮付きの成形品を効率よく製造することができる。また、得られた成形品を裏側成形型から脱型させる脱型手段により樹脂材料の注入前に表皮を弛ませておくことで、注入した樹脂材料に押された際の該表皮の変形代を作ることができる。これにより、基材の成形時に表皮を適切な形状に賦形し易くなる。
前記保持位置で囲われる領域内側に延在する前記キャビティの閉塞端に向けて前記表皮を前記樹脂材料により変形させて、該閉塞端を画成する保持体および該キャビティにおける成形品の表側を成形する表側成形型に表皮を押し付けた状態で基材を成形するようにしたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、キャビティにおける開口を規定する閉塞端側へ樹脂材料により変形した表皮を、該キャビティの閉塞端を画成する保持体および表側成形型に押し付けた状態で基材を成形するので、基材の開口を綺麗に成形することができる。また、表皮の賦形が手作業によらないので、得られた各成形品における表皮の形状が一定となり、成形体の品質の安定化を図ることができる。
図1は、自動車の車体におけるセンターピラー部の上部に、乗員室側から配設されるピラーガーニッシュ10の概略斜視図である。このピラーガーニッシュ10は、所要形状に形成された合成樹脂製の基材12と、該基材12の表側に配設された表皮14とを備えている。基材12は、所要の厚み(2〜3mm)で車体前後側の両側部が湾曲した板状部材であり、該基材12の中央下部に開口13が開設されている。この開口13には、センターピラー部の下部に配設されたシートベルト巻取り部から引き出されたシートベルト(図示せず)が、ピラーガーニッシュ10の裏側から表側へ挿通されるようになっている。表皮14は、基材12の表面12aに接合された被覆部14aと、開口13の開口縁裏側に巻き込まれて該基材12の裏面12bに接合された巻き込み部14bとを備えており、該開口13の開口縁は表皮14により被覆されている。これにより、ピラーガーニッシュ10の開口(以下「製品開口」という)10aは、基材12の開口縁を被覆する表皮14で画成されている(図2参照)。なお、実施例では、開口13の開口形状を単純な矩形状の場合を例示したが、該開口13の形状、サイズおよび開設位置等は車体毎に異なる。
実施例のピラーガーニッシュ10は、図3および図4に示す成形装置22により成形される。この成形装置22には、賦形前のシート状の表皮14が、図5に示す表皮供給装置24によって供給される。成形装置22は、内部にキャビティ23が画成され、該キャビティ23内に表皮14をセットしたもとで、基材12を成形すると共に該表皮14を賦形するよう構成されている。すなわち、成形装置22は、開口13を有する基材12をインジェクション成形する工程と、シート状の表皮14から被覆部14aおよび巻き込み部14bを賦形すると共に該表皮14を基材12に接合する工程とを同時に行い得るよう構成されている。
裏側成形型30には、図3(a)、図3(b)および図4に示すように、表皮14の一部を該裏側成形型30側に押さえ付ける保持体35が配設されている。保持体35は、裏側成形型30に対して近接・離間するように進退移動可能に構成され、実施例では表側成形型32の型開閉方向と同じ方向(上下方向)に移動するようになっている。保持体35は、基材12に開設する予定の開口13の大きさよりも広い範囲を囲う保持位置より内側に延在する表皮14の余長部分17を、裏側成形型30との間に押さえ付け可能に構成されている。ここで、前記保持位置は、基材12の成形後に該基材12の裏側となると共に、基材12に形成される開口13の開口端よりも該開口13の外側へ向けた方向に離れた位置に設定されている。そして、実施例では、保持体35による表皮14の保持位置が、開口13の形成予定位置を囲うように規定されて、該表皮14の巻き込み部14bの端縁を規定することになる。また、保持体35は、開口13の形成予定位置を含む範囲で表皮14の余長部分17を押さえ付け、該開口13の形成予定位置の外側を囲む保持位置よりも内側の領域に延在する表皮14の該余長部分17を覆うようになっている。また、保持体35によって表皮14の余長部分17を押さえ付けることで、キャビティ23における開口13を規定する閉塞端から離間させて裏側成形型30側から該表皮14をキャビティ23に臨ませるようにセットされる。すなわち、保持体35は、表皮14の保持位置で囲われる領域の内側に延在する該表皮14の余長部分17を、凹部40との間でキャビティ23に露出しないように保持して、保持位置で囲われる領域の外側に延在する表皮14の成形品構成部分を、該表皮14の端末を除いてキャビティ23に臨ませ得るように構成されている。
裏側成形型30は、保持体35の保持面37,38との間に表皮14の余長部分17を挟む保持受面41,42を備えている。保持受面41,42は、保持体35の保持面37,38に合わせて、該保持面37,38に対向するように構成されている。実施例の保持受面41,42は、裏側成形型30における裏面成形面31から凹ませて、裏面成形面31側に開口するように形成された凹部40に設けられている。この凹部40は、保持体35を収容可能な矩形状に形成されており、保持受面41,42は、保持体35の移動方向(実施例では上下方向)と交差する方向に延在する底壁がなす第1保持受面41と、この底壁の外周縁に連なり、該保持体35の移動方向に沿って延在する内周壁がなす第2保持受面42とによって構成される。このように実施例では、保持体35における向きが異なる2つの第1保持面37および第2保持面38に対応して、向きが異なる2つの第1保持受面41および第2保持受面42が、裏側成形型30に設けられている。
裏側成形型30には、図3(a)および図3(b)に示すように、ピラーガーニッシュ10を押し上げて裏側成形型30から脱型させる脱型手段が配設されている。この脱型手段は、所定数(実施例では2本)の突き出しピン50,50を備えている。各突き出しピン50,50は、成形装置22において基材12を成形すると共に表皮14を賦形して得られたピラーガーニッシュ10を、裏側成形型30から押し出して脱型させる。また、各突き出しピン50,50は、後述するピラーガーニッシュ10の製造工程において、基材12をなす樹脂材料Pの注入前に、裏側成形型30にセットした表皮14を裏面成形面33から離間させて弛ませる際にも作動するようになっている。
裏側成形型30には、図3および図12に示すように、裏面成形面31の所要位置に開口した注入ノズル(ゲート)56が配設されている。基台34には、図示省略した樹脂材料供給部に接続されたホットランナーブロック57が設けられ、注入ノズル56は、該ホットランナーブロック57に接続されている。注入ノズル56は、裏側成形型30と表側成形型32とを型閉めして画成されたキャビティ23内において、キャビティ23に収容された表皮14と裏側成形型30の裏面成形面31との間に、ホットランナーブロック57を経由して溶融した樹脂材料Pを射出するよう構成されている。
表側成形型32の表面成形面33には、図3(a)および図11に示すように、ピラーガーニッシュ10の製品開口10aを形成する予定位置に、開口規定突部58が突設されている。開口規定突部58は、製品開口10aを形成するものである。開口規定突部58における裏側成形型30に臨む当接面59は、保持体35の規定面36が基材12に形成される開口13より広く形成されていることで、規定面36より狭くなっている(図11参照)。そして、実施例の成形装置22は、型閉めした際に、押付位置にある保持体35の規定面36の中央寄りに開口規定突部58が当接するようになっており、開口規定突部58の周囲には、規定面36の外縁部が該開口規定突部58の全周に亘ってキャビティ23へ露出するようになっている。
表皮14には、図4に示すように、基材12を成形する前工程において、前述した保持体35を挿通可能な挿通部16が予め設けられる。挿通部16は、図4および図7に示すように、裏側成形型32に配設された保持体35を該挿通部16に挿通させることで、裏側成形型30に対する表皮14のセットを可能とすると共に、裏側成形型30の裏面成形面31に対して該表皮14が適切な位置にセットすることを可能とする。
表皮供給装置24は、図5に示すように、表皮ストッカ65に積み重ねられたシート状の表皮14の1枚を把持して成形装置22へ搬送する。表皮供給装置24は、表皮ストッカ65と型開きした成形装置22の裏側成形型30の上方との間を移動可能なフレーム66に、表皮14の端末部分を把持可能な複数(図5では2基だけが表示されている)の表皮把持部67を備えている。表皮ストッカ65と成形装置22との間には、案内部材45を一時的に載置する載置台70が設けられている。また、表皮供給装置24は、案内部材45の挿入端46を把持可能な案内部材把持部68を備える。この案内部材把持部68は、フレーム66に対して昇降移動可能に構成されており、フレーム66の昇降移動に同期して該フレーム66に対して逆に昇降移動することで、フレーム66が昇降移動しても案内部材45を同じ高さに保持し得るよう構成されている。
保持体35の規定面36には、図6〜図8に示すように、表皮14をキャビティ23にセットする際に、該表皮14に予め設けられた挿通部16に該保持体35に通すための案内部材45が、着脱可能にセットされるよう構成されている。案内部材45は、その外周に設けられた案内面48が、表皮14の挿入端46側から保持体35への受け渡し端47側に向かうにつれて外方へ拡開するよう構成されている。ここで、実施例では、案内部材45の受け渡し端47を、保持体35の規定面36と同一の輪郭形状としている。すなわち、実施例の保持体35の規定面36が矩形状であるので、案内部材45の受け渡し端47は矩形状となっており、当該案内部材45は略四角錐状をなしている。このような案内部材45は、挿入端46側から表皮14の挿通部16に挿入され、挿通部16をなす表皮部分に案内面48が接触して変形することで該挿通部16を拡開して、保持体35の通過が可能な挿通開口を画成するようになっている。すなわち、案内部材45は、挿通部16が受け渡し端47に位置するまで該挿通部16に挿入することで、該挿通部16を保持体35の規定面36の外縁輪郭形状と同じ開口形状をなす挿通開口に拡開し、保持体35を該挿通部16に通すことを可能とする。なお、案内部材45は、表皮供給装置24に設けられた案内部材把持部68で挿入端46が把持され、保持体35の規定面36に対して着脱されると共に、載置台70に載置される。
次に、前述のように構成された成形装置22および供給装置24を使用したピラーガーニッシュ10の製造方法につき、図6〜図16を引用して説明する。
先ず、実施例では、表皮供給装置24の各表皮把持部67,67により、表皮ストッカ65から1枚の表皮14を把持して取り出し、載置台70に載置されている案内部材45に、当該表皮14をセットする。すなわち、表皮ストッカ65から1枚の表皮14を把持して取り出した後、載置台70の規定位置に載置されている案内部材45の上方に表皮14を移動させ、表皮14に設けられた挿通部16が案内部材45の直上に位置するよう該表皮14を位置決めする(図6に2点鎖線で示す)。次いで、表皮供給装置24を下方へ移動させ、表皮14に設けられた挿通部16に案内部材45を挿入端46側から挿入させて、案内部材45に対して表皮14をセットする。ここで、表皮14を停止させる高さ位置は、余長部分17が案内部材45の案内面48と適宜接触する位置とされる。この際に、各表皮支持部69が、表皮14における挿通部16の周囲を上方から支持しているので、該表皮14が上方へ変位することが規制される。そして、表皮供給装置24に配設された案内部材把持部68で、案内部材45の挿入端46を把持する。
案内部材45に対する表皮14のセットが完了したら、表皮供給装置24を、型開きした成形装置22における裏側成形型30の上方へ移動させ、案内部材45が該裏側成形型30に配設された保持体35の直上となる位置で停止させる。そして、図7に示すように、裏側成形型30に配設された保持体35を挿脱位置に移動させたもとで、表皮供給装置24を下方へ移動させて、該保持体35の規定面36に、表皮14がセットされた案内部材45をセットする。
保持体35の規定面36に対する案内部材45のセットが完了したら、図8に示すように、表皮供給装置24を更に裏側成形型30に近づくように移動させる。このとき、案内部材45の案内面48が、挿入端46側から受け渡し端47に向かうにつれて保持体35の外縁に向けて拡開していることで、表皮14の下方移動に伴って挿通部16の周囲の弾性変形が徐々に大きくなり、挿通部16が拡開するようになる。そして、表皮14が案内部材45の受け渡し端47の位置まで下方移動すると、挿通部16が保持体35の規定面36の外縁輪郭形状と同じ矩形状の挿通開口となる。これにより、表皮14を更に裏側成形型30に近づくよう移動させることで、保持体35の第2保持面38が挿通部16を通り抜けて、表皮14が該保持体35の第2保持面38よりも裏側成形型30側へ移動するようになる。なお、各表皮支持部69が、表皮14における挿通部16の周囲を上方から支持しているので、案内部材45および保持体35の第2保持面38が挿通部16を通り抜ける際に該表皮14が上方へ変位することが規制される。そして、保持体35の第2保持面38が挿通部16を完全に通り抜けると、弾性変形していた挿通部16の周囲が元の形状に復帰する。なお、保持体35に案内部材45がセットされた状態で表皮供給装置24を下方へ移動させる際には、前述したように、案内部材把持部68をフレーム66に対して上方へ移動させ、挿脱位置に停止している保持体35上に該案内部材45が保持されるようにする。
保持体35の第2保持面38が挿通部16を通り抜け、表皮14が該保持体35の第1保持面37と裏側成形型30との間に位置したら、図9に示すように、第1アクチュエータ44を作動させて、挿脱位置にあった保持体35を押付位置に向けて移動させる。この際に、余長部分17の第1押さえ部17aに保持体35の底壁である第1保持面37が当接することで、該保持体35の移動に伴って表皮14の余長部分17が凹部40内へ押し込まれる。なお、保持体35を押付位置に向けて移動させる際は、表皮供給装置24の表皮把持部67による表皮14の把持を、表皮14の余長部分17が凹部40内へ押し込まれるのが規制されない適宜タイミングで解除する。また、保持体35を押付位置に向けて移動させる際は、案内部材把持部68による案内部材45の把持は継続し、押付位置へ移動開始した保持体35は該案内部材45から分離する。
保持体35を押付位置に移動させ、基材12に形成される開口13の大きさより広い範囲を囲う保持位置で表皮14を押さえ付けた後に、図10に示すように、第2アクチュエータ54を作動させて、各突き出しピン50,50を中間突出位置まで移動させ、裏側成形型30の裏面成形面31から突き出させる。これにより、裏側成形型30の裏面成形面31に載置されている表皮14を、各突き出しピン50,50が押した部分を中心として、該裏面成形面31から押し上げて適宜弛ませた状態とする。すなわち、表皮14は、端末側が裏面成形面31の周囲側へ引き込まれて、該裏面成形面31から浮き上がった状態となる。
次に、図11に示すように、突き出しピン50,50により表皮14を弛ませた状態で、裏側成形型30に対して表側成形型32を近接移動させ、成形装置22を型閉めする。これにより、基材12の開口13より広く形成された保持体35の規定面36の中央寄りに、表側成形型32の開口規定突部58の当接面59が当接し、押付位置にある該保持体35の規定面36の外縁部にかかるようにキャビティ23を画成する。ここで、実施例では、キャビティ23における開口13を規定する閉塞端と表皮14の保持位置とが、該開口13の全周に亘って等間隔になっている。また、表皮14の端末が裏側成形型30および表側成形型32により挟まれ、該表皮14は、弛んだ状態でキャビティ23内にセットされる。なお、各突き出しピン50,50は、成形装置22の型閉めに際して、表側成形型32の表面成形面33に干渉しない適宜タイミングで待機位置へ移動させる。これにより表皮14は、余長部分17および端末がキャビティ23に露出しないように保持され、これ以外の成形品構成部分が、変形代を有するよう弛んだ状態でキャビティ23に収容される。
表皮14のセットおよび成形装置22の型閉めが完了したら、図12に示すように、注入ノズル56を介して、基材12をなす樹脂材料Pを、表皮14のキャビティ23に収容された部分(成形品構成部分)と裏側成形型30の裏面成形面31との間に注入する。このとき、図13(a)〜図13(c)に示すように、注入ノズル56から注入された樹脂材料Pが、表皮14を押しながらキャビティ23内へ広がっていく。このとき、図13(b)に示すように、弛んだ状態の表皮14は、樹脂材料Pに押されることで、保持体35による表皮14の保持位置からキャビティ23の前述した閉塞端に向けて膨らむように変形する。そして、表皮14は、図13(c)に示すように、該閉塞端を画成する保持体35の規定面36および表側成形型32の表面成形面33に押し付けられる。換言すると、樹脂材料Pにより、保持体35による表皮14の保持位置で囲われる領域の内側に向けて該表皮14を変形させて、保持体35の規定面36および表側成形型32の表面成形面33に該表皮14を押し付ける。
成形装置22から脱型したピラーガーニッシュ10は、図16に示すように、表皮14における基材12に接合されていない部分が、製品として不要な余剰部である。従って、ピラーガーニッシュ10を成形装置22から脱型した後に、カッタやはさみ等の切断器具で巻き込み部14bの端縁部に沿って表皮14を切断して、余剰部となる余長部分17を取り除く。また、ピラーガーニッシュ10の外縁部に沿って表皮14を切断して、余剰部を取り除くことで、ピラーガーニッシュ10の製造工程が完了する。
本発明は、前述した実施例の構成に限定されず、以下のように変更することも可能である。
(1)保持体35により表皮14を押さえ付ける際に、例えば表皮把持部67や成形型に設けたクリップ等により表皮14の端末部分を保持して、該表皮14にテンションをかけるようにしてもよい。これにより、表皮14に皺が生じ難くすることができる。
(2)脱型手段50によって表皮14の変形代を形成するタイミングは、樹脂材料Pを注入する前であれば、保持体35で表皮14の余長部分17を押さえる前であっても後でもよく、型閉めする前であっても後であってもよい。また、脱型手段50によって表皮14の変形代を形成する際に、表皮14の余長部分17および端末部分の両方を保持していても、表皮14の余長部分17および端末部分の何れか一方を保持していても、表皮14の余長部分17および端末部分の両方を保持していなくてもよい。なお、脱型手段50で支持した表皮14を表側成形型32と挟んだ状態で、型閉めに連動して脱型手段50を退避させてもよい。
(3)型閉め前に当該表皮14を弛ませて変形代を作る工程を省略してもよい。
(4)保持体35は、裏側成形型30から独立した構成であってもよい。例えば、図18に示すように、裏側成形型30の裏面成形面31に対向するよう表皮14をセットし(図18(a))、保持体35を裏側成形型30の凹部40に嵌めて、該保持体35と凹部40とにより、表皮14の余長部分を押さえ付ける(図18(b))。次いで、実施例と同様に、型閉めした後に、表皮14と裏側成形型30の裏面成形面31との間に樹脂材料Pを注入して、基材12を成形すると共に表皮14を賦形する。そして、基材12の成形完了後に、突き出しピン50,50でピラーガーニッシュ10を突き出すことで、基材12と表皮14との間にある保持体35が凹部40から離脱し(図18(c))、後工程において表皮14の巻き込み部14bに連なった余長部分17を切断することで、該余長部分17と保持体35とをピラーガーニッシュ10から同時に分離させ得る。このように、保持体を越えて表皮をセットする必要がないので、表皮14に、保持体35を通すための挿通部16を形成する必要がない。なお、この場合に、保持体35を表側成形型32に着脱可能に装着し、表側成形型32に装着した保持体35によって型閉め時に表皮14の余長部分17を押さえ付け、型開き時に保持体35を表側成形型32から外してもよい。
(5)保持体35による表皮14の保持位置を調節することで、基材12の裏側に巻き込む巻き込み部14bの長さを変化させることができる。なお、保持体35による表皮14の保持位置の一部を、基材12の開口端(キャビティ23の閉塞端)に合わせることで、開口縁の一部範囲において表皮14を開口13の端面だけに配置することができる。
(6)実施例では、保持体35の保持面を底壁および外周壁とすると共に、保持受面を凹部40の底壁および内周壁とすることで、押さえ付け方向が異なる2方向で表皮14の余長部分17を押さえ付けるよう構成したが、保持体35の底壁および凹部40の底壁のみ(保持体35の移動方向)で余長部分17を押さえ付けるようにしてもよいし、保持体35の外周壁および凹部40の内周壁のみ(保持体35の移動方向と交差する方向)で余長部分17を押さえ付けるようにしてもよい。
(7)案内部材は、保持体35に配設したものであってもよい。このような案内部材は、保持体35における表面成形面33に臨む部位に、支軸により回転可能に枢支された複数の案内片を備え、各案内片は、保持体から斜めに起立した案内位置および該保持体に倒伏した格納位置に姿勢変位するよう構成される。これにより、各案内片が案内位置にある案内部材に対して表皮14をセットすることで、該挿通部16を拡開させることができる。また、案内部材の各案内片は、型閉めする際に表側成形型32に押されることで案内位置から格納位置へ姿勢変位するようになり、型閉め完了時には保持体35の規定面36を構成するようになる。
(8)案内部材45は、受け渡し端47の大きさを、保持体35の規定面36の外形形状より大きくしてもよい。案内部材45の受け渡し端47の輪郭形状は、保持体35の規定面36の輪郭形状と相似形とならない形状としてもよい。
(9)表皮14の挿通部16は、表皮14に形成した開口と、該開口の開口縁から余長部分17へ延在するスリットとから構成して、該開口の周囲が複数に分離する態様であってもよい。このような挿通部16は、保持体35または案内部材45が接触した際に、開口の周囲(余長部分17の一部)が複数に分離して捲れるよう変形することで、保持体35および案内部材45の挿通が許容される挿通開口を画成することができる。また、挿通部16は、余長部分17に設けたスリットのみから構成して、該余長部分17が複数に分離する態様であってもよい。このような挿通部16は、保持体35または案内部材45が接触した際に、余長部分17の一部が複数に分離して捲れるよう変形することで、保持体35および案内部材45の挿通が許容される挿通開口を画成することができる。
(10)脱型手段は、裏側成形型30の裏面成形面31の所要位置に複数形成した吹き出し孔から、裏面成形面31の外方へ空気を吹き出す構成であってもよい。このような脱型手段は、各吹き出し孔から吹き出した空気の圧力を利用して、裏側成形型30にセットした表皮14を上方へ浮き上がらせて弛ませることが可能である。
(11)突き出しピン50により表皮14を弛ませる際に、表皮14を、成形装置22の型閉め時にキャビティ23の上面をなす表面成形面33の位置よりも高く突出するよう押し上げて弛ませた後に、該キャビティ23にセットするようにしてもよい。このように弛ませた表皮14は、成形装置22を型閉めする際に表面成形面33により上方から押されるので、樹脂材料Pの注入前において、保持体35と凹部40とによる表皮14の保持位置より閉塞端側へ膨らむように変形する。従って、表皮14と裏側成形型30との間に樹脂材料Pを注入した際には、該樹脂材料Pに押された表皮14を、閉塞端側へ変形させ易くすることができる。
(12)基材14の成形完了後に、得られたピラーガーニッシュ10を、保持体35で表皮14の余長部分17を保持した状態で、脱型手段50により裏側成形型30から脱型する方向へ付勢して、表皮14を、保持体35による表皮14の保持位置に沿って切断するようにしてもよい。このようにすれば、裏側成形型30からのピラーガーニッシュ10の脱型と、余剰部となる余長部分17の切断とを同時に行うことができ、製造効率を更に高めることができる。なお、この場合には、表皮14の保持体35による保持位置に沿って脆弱部18を設けておくことで、表皮14が保持位置に沿って切断され易くすることができる。
(13)成形装置22は、裏側成形型30と表側成形型32とが上下方向に型開きするものに限らず、裏面成形面31および表面成形面33が縦向きとなるよう配置されて横方向に型開きするものや、裏面成形面31および表面成形面33が傾斜して配置されて斜め方向に型開きするものであってもよい。また、成形装置22は、裏側成形型30および表側成形型32が上下逆の関係で配設されたものであってもよい。
(14)本願の製造方法により製造される成形品は、実施例で例示したピラーガーニッシュ10に限らず、基材12の表側に配置された表皮14が該基材12の開口13を介して該基材12の裏側へ巻き込まれた表皮付きの成形品の全てが対象とされる。例えば、グローブボックスのリッド、ドアパネルおよびインストルメントパネル等の車両内装部材や、家具等が対象とされる。
17 余長部分,23 キャビティ,30 裏側成形型,32 表側成形型,35 保持体
45 案内部材,46 挿入端,47 受け渡し端,50 突き出しピン(脱型手段)
P 樹脂材料
Claims (3)
- 基材の表側および該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮が配設された成形品を製造する方法であって、
前記表皮において前記開口より広い範囲を囲う保持位置より内側に延在する余長部分を、前記成形品の裏側を成形する裏側成形型側に保持体により押さえ付けて、キャビティに該表皮をセットし、
前記裏側成形型と前記キャビティに収容された前記表皮との間に、前記基材をなす樹脂材料を注入し、
前記キャビティに収容された前記表皮を前記保持位置で囲われる領域内側に向けて前記樹脂材料により変形させた状態で基材を成形することで、基材の表側に表皮を配置すると共に該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮を配置して、基材と表皮とが接合された成形品を得る製造方法において、
前記保持体に設けられた案内部材を前記余長部分に形成された挿通部に挿入して該挿通部を拡開することで挿入開口を画成し、該挿通開口を画成した状態で前記裏側成形型から離間させた前記保持体を通して、該保持体と裏側成形型との間に表皮を配置した後に、保持体と裏側成形型との間に該余長部分を挟んで、表皮をキャビティにセットするようにし、
前記案内部材は、前記表皮における挿入部の挿入端側から保持体への受け渡し端側に向かうにつれて外方に拡開する構成とした
ことを特徴とする成形品の製造方法。 - 基材の表側および該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮が配設された成形品を製造する方法であって、
前記表皮において前記開口より広い範囲を囲う保持位置より内側に延在する余長部分を、前記成形品の裏側を成形する裏側成形型側に保持体により押さえ付けて、キャビティに該表皮をセットし、
前記裏側成形型と前記キャビティに収容された前記表皮との間に、前記基材をなす樹脂材料を注入し、
前記キャビティに収容された前記表皮を前記保持位置で囲われる領域内側に向けて前記樹脂材料により変形させた状態で基材を成形することで、基材の表側に表皮を配置すると共に該基材における開口の開口縁裏側にかけて表皮を配置して、基材と表皮とが接合された成形品を得る製造方法において、
得られた成形品を押し出して前記裏側成形型から脱型させる脱型手段によって、前記樹脂材料を注入する前に前記キャビティにセットされた前記表皮を押すことで、該表皮を弛ませるようにした
ことを特徴とする成形品の製造方法。 - 前記保持体によって前記表皮の余長部分を押さえ付けることで、前記キャビティにおける前記開口を規定する閉塞端から離間させて前記裏側成形型側から該表皮をキャビティに臨ませるようにセットし、
前記保持位置で囲われる領域内側に延在する前記キャビティの閉塞端に向けて前記表皮を前記樹脂材料により変形させて、該閉塞端を画成する保持体および該キャビティにおける成形品の表側を成形する表側成形型に表皮を押し付けた状態で基材を成形するようにした請求項1または2記載の成形品の製造方法。
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