JP4577920B2 - 電池用セパレータおよびこれを用いた電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ蓄電池用に好適な電池用セパレータおよびこれを用いた電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、電池用セパレータとしては、主としてナイロンやポリプロピレン繊維からなる不織布が使用されているが、ナイロン繊維からなる不織布は耐アルカリ性に劣ることから、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維からなる不織布が好ましく使用されている。
しかしながら、ポリオレフィン系繊維からなる不織布は疎水性であり、電池セパレータに用いたときの濡れ性に劣るため、ポリオレフィン系繊維からなる不織布を親水化処理する方法が検討されている。親水化処理方法としては、スルホン化処理、フッ素化処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、あるいはコロナ放電やプラズマ処理などの表面改質処理を施した電池用セパレータ、あるいは特開平9−330694号公報のように不織布にバインダー樹脂を用いて親水性能を有する粒子を固着した電池用セパレータが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記電池用セパレータには、以下の問題点がある。例えば、前者の場合、スルホン化処理、フッ素化処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理は処理方法が複雑でありコスト高となるだけでなく、廃液等の環境問題もあり敬遠される傾向にある。またコロナ放電やプラズマ処理の場合、不織布の内部まで放電エネルギーが十分に伝わらず、不織布内部の親水性能が低下し、充放電時の加減圧下での親水性が不十分である。
【0004】
また、特開平9−330694号公報では、有機溶媒に溶解したバインダー樹脂を不織布に含浸させ、乾燥させるので、生産性が悪いだけでなく、環境上よくない。さらに、ポリオレフィン系繊維が有機溶媒に晒されるため、繊維強度が劣化する危険性がある。そして、得られた電池用セパレータは、バインダー樹脂が不織布の構成繊維間に比較的多く浸透して繊維表面を被覆してしまうので、不織布の空隙が少なくなり、電解液の保液性に劣る。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、生産性がよく、電解液の保液性に優れた電池用セパレータおよび電池特性に優れた電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池用セパレータは、1種類または2種類以上のポリオレフィン系繊維を構成繊維とする不織布であって、少なくとも1種類のポリオレフィン系繊維は、乾熱あるいは湿熱で接着能を有する重合体あるいはその共重合体を1成分とする複合繊維であり、前記複合繊維の繊維表面の少なくとも一部の乾熱あるいは湿熱で接着能を有する樹脂成分との接着によってイオン交換性粒子が固着されてなることを特徴とする。かかる構成を採ることにより、生産性がよく、電解液の保液性に優れた電池用セパレータが得られる。
【0006】
前記少なくとも1種類のポリオレフィン系繊維は、1成分をエチレン−ビニルアルコール共重合体とする複合繊維であることが望ましく、また、1成分を高密度ポリエチレンとする複合繊維であることが望ましい。
【0007】
また、イオン交換性粒子において、イオン交換性粒子の平均粒子径をD、不織布の平均孔径をPave、最小孔径をPminとしたとき、Pmin≦D≦Paveの関係を満たすことが望ましい。また、イオン交換性粒子は、不織布中に2〜60重量%固着されていることが望ましく、さらにイオン交換性粒子は、スルホン酸基を導入したジルコニウム系粒子であることが望ましい。
【0008】
前記電池用セパレータを組み込んだ電池は、内圧が低く、サイクル寿命、容量維持率などの電池特性に優れたニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ蓄電池用に好適である。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の電池用セパレータは、1種類または2種類以上のポリオレフィン系繊維を構成繊維とする不織布形態を有する。本発明に用いられるポリオレフィン系繊維の不織布に占める割合は、80重量%以上であり、より好ましくは、90重量%以上である。前記繊維を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン系重合体またはその共重合体が挙げられ、繊維形態としては、単一繊維、同心円または偏心の鞘芯型複合繊維、並列型複合繊維、前記素材が2種類以上混合されてなる混合繊維、海島型複合繊維、あるいは分割型複合繊維などが挙げられ、断面形状も円形、異形などいずれであってもよい。
【0010】
そして、前記ポリオレフィン系繊維のうち、少なくとも1種類のポリオレフィン系繊維は、イオン交換性粒子を固着させるために、乾熱、あるいは湿熱で接着能を有する重合体あるいはその共重合体を1成分とする複合繊維であることが好ましい。乾熱で接着能を有する重合体またはその共重合体としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン−1などが挙げられ、湿熱で接着能を有する重合体またはその共重合体としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられるが、イオン交換性粒子との接着強力からして、高密度ポリエチレン、あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体が好適であり、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレンの組み合わせからなる接着能を有する成分を鞘成分とした同心円鞘芯型複合繊維、あるいは分割型複合繊維が特に好ましい。
【0011】
そして、前記接着能を有する成分からなる繊維は、不織布中に10〜60重量%含有することが好ましい。含有量が10重量%未満であると、接着強力が低くなるため、セパレータとしても強力が弱くなり、60重量%を超えると、接着面積が大きくなるため、セパレータとしての通気度が小さく、電池内圧が上昇してしまうからである。
【0012】
本発明の電池用セパレータにおいて、イオン交換性粒子は、構成繊維の繊維表面の少なくとも一部の樹脂成分によって固着されている。ここでいう樹脂成分による固着とは、予め樹脂自体に混合されたもの、あるいは粒子が個々および/または凝集した状態で繊維表面を溶融したときに接着されたものを含む概念である。本発明においては、特に不織布作製時、あるいは不織布作製後、前記接着能を有する成分からなる繊維の接着能を利用してイオン交換性粒子を均一に固着することが、イオン交換性粒子の機能を発揮する点において有利である。
【0013】
前記イオン交換性粒子としては、スチレン系あるいはアクリル系の陽イオン交換樹脂やスチレン系あるいはアクリル系の陰イオン交換樹脂からなる高分子系イオン交換樹脂、あるいは酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、またはこれらのスルホン酸基あるいはカルボン酸基を導入したものなどからなる無機系イオン交換性粒子が挙げられるが、無機系イオン交換性粒子が耐アルカリ性および耐熱性の点で好ましい。なかでも酸化ジルコニウムやリン酸ジルコニウムをスルホン化処理し、スルホン酸基を導入したジルコニウム系粒子が、電解液保持性に優れている点で特に好ましい。
【0014】
そして、前記イオン交換性粒子の平均粒子径は、30μm未満であることが好ましく、樹脂に混合して紡糸する場合には、5μm未満が曳糸性や粒子の繊維表面への露出性の点で好ましい。また、繊維ウェブあるいは不織布状態で直接固着させる場合には、イオン交換性粒子の平均粒子径をD、不織布の平均孔径をPave、最小孔径をPminとしたとき、イオン交換性粒子が、Pmin≦D≦Paveの関係を満たすことが好ましい。イオン交換性粒子の平均粒子径DがPmin未満であると、イオン交換性粒子混合水溶液により粒子を不織布に固着させる際に、粒子が不織布を担持できず通過してしまい、Paveを超えると、不織布の孔が粒子で閉塞されてしまい、不織布の通気度が低下してしまうからである。
【0015】
前記イオン交換性粒子は、不織布中に2〜60重量%固着されていることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%である。イオン交換性粒子の含有量が2重量%未満であると、セパレータのイオン交換容量や親水性が低下し、容量維持率やサイクル寿命が低下してしまい、60重量%を超えると、不織布の通気度が低下するので、電池内圧が上昇して、電池寿命が低下してしまうからである。
【0016】
次に、本発明の電池用セパレータの製造方法について説明する。まず、イオン交換性粒子を樹脂に混合して紡糸して、予め繊維自体に固着する場合であれば、公知の混合装置を用いて混合させる。例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどで混合し、公知の単軸または2軸押出機等で溶融混合して、あらかじめマスターバッチ化しておくと都合がよい。そして、公知の溶融紡糸機を用い、溶融紡糸され、所定の繊度の紡糸フィラメントを作製する。紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸され、繊維処理剤を付着させてもよい。親水性の繊維処理剤を付着させると、さらに初期親水性が向上するので好ましい。そして、必要に応じて、捲縮付与装置で捲縮を与え、所定の長さに切断されて繊維表面にイオン交換性樹脂を固着した繊維を得ることができる。そして、得られた繊維は、公知の不織布製造方法により不織布化されて、イオン交換性粒子が固着された不織布を容易に得ることができる。
【0017】
一方、繊維ウェブあるいは不織布状態で直接固着させる場合であれば、1種類または2種類以上のポリオレフィン系繊維を構成繊維とする繊維ウェブを作製する。繊維ウェブの形態は、カード法、エアレイ法などにより得た乾式ウェブ、湿式法により得た湿式ウェブ、あるいはメルトブロー法やスパンボンド法などの直接法により得た長繊維ウェブが用いられる。なかでも、前記構成繊維の繊維長が3〜25mmからなる湿式ウェブが均質なウェブを得る点で好ましい。より好ましい繊維長は5〜15mmである。繊維長が3mm未満では後述する高圧水流処理時に繊維が飛散し、繊維間の交絡が不十分となり、工程上好ましくなく、25mmを超えると特に湿式抄紙法によって不織布を製造する場合、スラリー中における繊維の分散性が悪くなり均一な不織布を得ることができないからである。
【0018】
これらの繊維ウェブは、熱カレンダー処理、熱風加工処理、高圧水流処理等の方法により処理される。特に構成繊維のなかに分割型複合繊維を含有している場合、高圧水流処理により構成繊維同士の絡合させるとともに分割型複合繊維を分割させると都合がよい。
【0019】
得られた不織布の目付は、繊維の量によって調節しうるが、30〜100g/m2にすることが望ましい。30g/m2未満では不織布の強力が低くなるため、正極と負極の間でショートが発生しやすくなり、100g/m2を超えると通気性等が低下するからである。
【0020】
そして、イオン交換性粒子を水溶液中に分散させて混合した粒子混合溶液としたもの、あるいは粉末状のものを、得られた繊維ウェブあるいは不織布に公知の方法で含浸、散布、あるいは塗布し、その後、乾熱、あるいは湿熱を利用し、構成繊維の繊維表面の少なくとも一部の樹脂成分によりイオン交換性粒子を固着させて、電池用セパレータとなす。このとき、イオン交換性粒子を少なくとも2層の繊維ウェブあるいは不織布の間に散布、あるいは塗布した後、乾熱、あるいは湿熱により固着させてもよい。また、イオン交換性粒子を固着させた不織布の少なくとも片面に不織布やフィルムなどの他のシートを積層してもよい。そして、少なくとも一部の樹脂成分により接着させる条件は、例えば、高密度ポリエチレンであれば、120〜140℃付近の温度の熱風や熱ロールなどに通して乾熱接着させるとよく、エチレン−ビニルアルコール共重合体であれば、含水状態の繊維ウェブを70℃以上の熱風や熱ロールなどに通して湿熱接着させるとよい。勿論、必要に応じて、親水性界面活性剤の付与、コロナ放電などの他の親水化処理やカレンダー処理による厚み調整を施してもよい。
【0021】
このようにして得られた電池用セパレータを組み込んだ電池は、内圧が低く、サイクル寿命、容量維持率などの電池特性に優れたものとなる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて具体的に説明する。なお、得られた不織布孔径、通気度、保液率、イオン交換容量、内圧、サイクル寿命、および容量維持率は以下のとおり測定した。
【0023】
(1)不織布孔径
ASTM F316−86(バブルポイント法)に準じて、測定した。
【0024】
(2)通気度
JIS L 1096に準じて、測定した。
【0025】
(3)保液率
まず、試験片の水分平衡状態の重量(W)を1mgまで測定する。次に比重1.30のKOH溶液中に試験片を浸漬し、KOH溶液を1時間吸収させたのち液中から引き上げて10分間放置した後、試験片の重量(W1) を測定し、保液率(%)=((W1 −W)/W)×100の式より保液率を算出した。
【0026】
(4)イオン交換容量
まず、試験片を1M塩酸中に2時間浸漬させる。その試験片を蒸留水で中性になるまで洗浄し、100℃で乾燥する。その乾燥後の試験片をビーカーに入れ、そのなかに0.1M水酸化カリウムを10ml加える。さらに、別のビーカーに10mlの水酸化カリウムを入れる。これら両方のビーカーの水酸化カリウムをフェノールフタレイン指示薬を用い0.1M塩酸により標準滴定する。このようにして測定されたイオン交換能力は下記式によって算出される。
IEC=(t2−t1)/10W1
t1は試験片の入ったビーカーからの滴定値、t2は試験片の入ってないビーカーからの滴定値、W1は試験片の重量を示す。
【0027】
(5)円筒形密閉ニッケル水素電池
負極は、水素吸蔵合金、カルボニルニッケル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に水を加え混練りしスラリーを調整した。このスラリーをニッケルメッキしたパンチングメタルに浸漬塗りした後80℃で乾燥し、加圧成型して水素吸蔵合金負極を作成した。正極は、公知の焼結式ニッケル極を使用した。上記の負極、正極の間に各セパレーターを挟み電槽缶に挿入し、電解液を注液することで、円筒形密閉ニッケル水素電池を作製した。
【0028】
(6)内圧
電池缶の底に穴を開け圧力センサを取り付けた電池を組み立てる。この電池を使用し、初期活性を行った後、充電0.1C率で、16時間、休止時間0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、5サイクル充放電を繰り返した。その後、1.0C率で120分充電した後の圧力を測定した。
【0029】
(7)サイクル寿命
前記作製したニッケル水素電池を、充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、10サイクル充放電を繰り返し、電池初期活性を行った。
そして、初期活性を行った後、充電1.0C率で、1.2時間、休止時間0.5時間、放電1.0C率(終止電圧1.0V)で理論容量に対する利用率が90%以下になったときのサイクル数を求めた。充放電は25℃で行った。
【0030】
(8)容量維持率
初期活性を行った後、充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、5サイクル繰り返した後の放電容量に対し、同条件(0.1C率)で充電後、45℃下で14日間放置したときの残存容量(0.1C率放電、終止電圧1.0V)の比を自己放電後の容量維持率とした。充放電は25℃で行った。
【0031】
[実施例1]
鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレンからなる繊度1.6dtex、繊維長6mmの鞘芯型複合繊維(以下、A繊維という)を30重量%、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体の組み合わせからなる繊維断面が放射状に16分割された繊度3.3dtex、繊維長5mmの分割型複合繊維(以下、B繊維という)を50重量%、および繊度1.1dtex、繊維長6mmのポリプロピレン繊維(以下、C繊維という)を20重量%を湿式抄紙して湿式不織布を作製し、水圧10MPaの高圧柱状水流を噴射してB繊維を分割させて、イオン交換性粒子固着用基布を作製した。この基布の目付は50g/m2であり、最小孔径Pminが5.5μm、平均孔径Paveが32μmであった。
【0032】
次に、平均粒子径Dが10μmの酸化ジルコニウムをスルホン化処理したイオン交換性粒子(第一希元素化学(株)製、以下、ZrO2/SO4と称す)と水を混合させ、50重量%混合水溶液を作製する。そして、前記基布に、混合溶液を常温で噴霧する。その後、135℃で粒子を構成繊維のうち主としてエチレン−ビニルアルコール共重合体により湿熱接着させると同時に乾燥させ、電池用セパレータを得た。
【0033】
[実施例2]
ZrO2/SO4量が20重量%の混合水溶液を基布に噴霧する以外は、実施例1と同様の方法で電池用セパレータを得た。
【0034】
[実施例3]
ZrO2/SO4量が75重量%の混合水溶液を不織布に噴霧する以外は、実施例1と同様の方法で電池用セパレータを得た。
【0035】
[実施例4]
A繊維60重量%、およびC繊維40重量%を湿式抄紙して、イオン交換性粒子固着用基布を作製した。この基布の目付は60g/m2であり、最小孔径Pminが20μm、平均孔径Paveが150μmであった。次に、実施例1の混合溶液を常温で噴霧した後、140℃で粒子を構成繊維のうち主としてポリエチレンにより溶融熱接着させると同時に乾燥させ、電池用セパレータを得た。
【0036】
[比較例1]
ZrO2/SO4を噴霧しない以外は実施例1と同様の方法で電池用セパレータを得た。
【0037】
[比較例2]
A繊維60重量%、C繊維40重量%を湿式抄紙し、湿式不織布を作製した。
そして、得られた不織布をZrO2/SO4とスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系共重合体(SEBS)のトルエン溶液に含浸し、乾燥してZrO2/SO4をSEBS樹脂で不織布に固着した電池用セパレータを得た。
実施例1〜4、および比較例1〜2の物性を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜4の電池用セパレータのうち、特に実施例1、2において高度なサイクル寿命および容量維持率が得られた。比較例1においては、イオン交換性粒子が存在しないため、イオン交換容量がなく、保液率も低くなり、サイクル寿命や容量維持率が低くなった。また、比較例2においては、SEBS樹脂でイオン交換性粒子を固定しているため、SEBS樹脂が不織布の孔をある程度閉塞させてしまい、不織布の通気度が低下して、電池内圧が上昇し、サイクル寿命が低くなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータは、1種類または2種類以上のポリオレフィン系繊維を構成繊維とする不織布であって、構成繊維の繊維表面の少なくとも一部の樹脂成分によってイオン交換性粒子を固着させることにより、特別に接着用の樹脂を必要としないため、構成繊維間の空隙を確保することができ、電解液の保液性に優れた電池用セパレータが得られる。また、イオン交換性粒子の不織布への固着において、有機溶剤を使用しないため、繊維強力が低下することがなく、セパレータの強力が低下することがないだけでなく、生産性にも優れている。
【0041】
本発明の電池用セパレータに用いられるイオン交換性粒子は、酸化ジルコニウムやリン酸ジルコニウムをスルホン化処理し、スルホン酸基を導入することにより、特に電解液保持性に優れている。そして、本発明の電池用セパレータを組み込んだ電池は、内圧が低く、サイクル寿命、容量維持率などの電池特性に優れたニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ蓄電池用に好適である。
Claims (7)
- 1種類または2種類以上のポリオレフィン系繊維を構成繊維とする不織布であって、
少なくとも1種類のポリオレフィン系繊維は、乾熱あるいは湿熱で接着能を有する重合体あるいはその共重合体を1成分とする複合繊維であり、
前記複合繊維の繊維表面の少なくとも一部の乾熱あるいは湿熱で接着能を有する樹脂成分との接着によってイオン交換性粒子が固着されてなることを特徴とする電池用セパレータ。 - 前記複合繊維が、1成分をエチレン−ビニルアルコール共重合体とする複合繊維であることを特徴とする請求項1記載の電池用セパレータ。
- 前記複合繊維が、1成分を高密度ポリエチレンとする複合繊維であることを特徴とする請求項1記載の電池用セパレータ。
- イオン交換性粒子の平均粒子径をD、不織布の平均孔径をPave、最小孔径をPminとしたとき、イオン交換性粒子が、Pmin≦D≦Paveの関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の電池用セパレータ。
- イオン交換性粒子が、不織布中に2〜60重量%固着されていることを特徴とする請求項1または4に記載の電池用セパレータ。
- イオン交換性粒子が、スルホン酸基を導入したジルコニウム系粒子であることを特徴とする請求項1、4、5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパレータを組み込んだ電池。
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