JP4573757B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
繊維質基材の構成繊維に、高吸収性ポリマーの粒子が付着してなる吸収性シートが種々知られている(例えば特許文献1及び2参照)。かかる吸収性シートは、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の吸水体や、農業や土木等の分野で用いられる保水剤等として好適に用いられる。このような吸収性シートは薄型で且つ柔軟性に富んだものなので、これを例えば吸収性物品の吸水体として用いると、吸収性物品の装着感が快適なものとなり、また身体のフィット性が向上するという利点がある。
ところで軟便や経血、おりものなどの高粘性液は、その流動性が低いことから吸収体に吸収されにくく、表面シート上を流れて吸収性物品から漏れ出やすい。このことは、吸収体として前記の吸収性シートを用いた場合にも起こり得ることである。
特開平9−67403号公報 特開平11−93073号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る吸収性シート及び吸収性物品を提供することにある。
本発明は、繊維質基材の構成繊維に高吸収性ポリマーの粒子が付着してなり、平均繊維間距離が100〜1000μmの嵩高な吸収性シートであって、
前記高吸収性ポリマーの粒子は、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状体を前記繊維に付着させ、該重合性モノマー及び/又は該重合進行物を重合させて得られたものである吸収性シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
更に本発明は、繊維質基材の構成繊維に高吸収性ポリマーの粒子が付着してなり、平均繊維間距離が100〜1000μmの嵩高な吸収性シートであって、該高吸収性ポリマーの粒子は、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状体を前記繊維に付着させ、該重合性モノマー及び/又は該重合進行物を重合させて得られたものである吸収性シートと、その一方の面側に配された表面シートと、他方の側に配された液不透過性の裏面シートとを備えた吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の吸収性シートは嵩高な構造を有しているので、液体の通過が容易である。特に、流動性の低い液体である高粘性液の通過性に優れている。従って該吸収性シートを備えた吸収性物品は、軟便や経血、おりもの等の高粘性体液の吸収性が高いものとなる。その上、該吸収性物品においては、吸収性シートに付着している高吸収性ポリマーが液体を吸収することで膨潤し、その結果、液体の逆戻りが起こりにくくなる。更に、高吸収性ポリマーの粒子が繊維にしっかりと付着しているので、多量の高吸収性ポリマーを付着させてもその脱落が起こりにくく、また着用者が激しい動きをしても高吸収性ポリマーの粒子が偏在しづらくなる。しかも、吸収体自体の構造が破壊されにくくなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の吸収性シートは、嵩高な繊維質基材の構成繊維に高吸収性ポリマーの粒子が付着してなるものである。高吸収性ポリマーの粒子は、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状体を前記繊維に付着させ、該重合性モノマー及び/又は該重合進行物を重合させて得られたものである。つまり、高吸収性ポリマーは、繊維質基材の構成繊維上で直接重合されて得られたものである。本発明の吸収性シートは、かかる直接重合で得られた高吸収性ポリマーが付着しており且つ嵩高であることによって特徴付けられる。
嵩高さの程度を表す指標として本発明においては平均繊維間距離を採用している。本発明の吸収性シートはその平均繊維間距離が100〜1000μmであり、好ましくは150〜600μm、更に好ましくは300〜500μmとなっている。平均繊維間距離が100μmよりも小さいと、吸収性シートの目開きが小さくなり、高粘性液の通過性が低下してしまう。平均繊維間距離が1000μmよりも大きい場合には、高粘性液の通過性に問題はないが、吸収性シートの強度が低下し、また十分な量の高吸収性ポリマーを付着させることができない。平均繊維間距離は次式から算出される。
Figure 0004573757
吸収性シートの平均繊維間距離を前述の範囲とするためには、該シートを構成する繊維質基材として嵩高なものを用いればよい。本発明者らの検討の結果、繊維質基材の平均繊維間距離と、これに高吸収性ポリマーの粒子を付着させて得られた吸収性シートの平均繊維間距離とには実質的な差異がないことが判明した。従って、吸収性シートの平均繊維間距離を前述の範囲とするためには、当該範囲の平均繊維間距離を有する繊維質基材を用いればよい。
繊維質基材としては、各種繊維シートを用いることができる。例えば不織布、織布、編地、開繊トウ、開繊ウエブ、パッドなどを用いることができる。特に、エアスルー不織布やエアレイド不織布は、目開きが大きく嵩高な構造を有するので、繊維質基材として好適である。
繊維質基材はそれ自体が伸縮性を有するか、或いは可伸縮性を有していてもよい。伸縮性を有する繊維質基材としては、例えば構成繊維として捲縮繊維を含むものや、伸縮弾性を有する樹脂からなる繊維を含むもの、或いはこれらを混綿したものなどが挙げられる。伸縮弾性を有する樹脂からなる繊維を含む繊維質基材としては、ウレタン系、スチレン系又はオレフィン系のエラストマー樹脂のスパンボンド不織布やメルトブローン不織布が挙げられる。
一方、可伸縮性を有する繊維質基材としては、例えば構成繊維として潜在捲縮繊維を含むものが挙げられる。潜在捲縮繊維を含む繊維質基材は、これを所定の温度に加熱することによって潜在捲縮繊維が捲縮し、その結果、伸縮性が発現するようになる。潜在捲縮繊維としては、例えばポリエステル/ポリオレフィンの芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維などが挙げられる。本明細書において「可伸縮性」とは、それ自体は伸縮性を有さないが、所定の処理、例えば加熱処理を施すことによって伸縮性が発現する性質をいう。
繊維質基材の構成繊維に特に制限はなく、各種合成繊維や天然繊維、半合成繊維を用いることができる。合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、アクリル繊維、ポリアミド系繊維などが挙げられる。天然繊維や半合成繊維としては、アセテートやレーヨン、コットン等が挙げられる。これらの繊維は一種又は二種以上を混綿して用いることができる。これらの繊維は、吸収性シートの具体的な用途に応じて、親水化又は疎水化処理を施して用いることができる。これらの繊維は、繊維質基材の製造方法に応じて、短繊維又は長繊維の形態で用いられる。繊維質基材が、例えばカードウエブや、該ウエブから製造されたエアスルー不織布やスパンレース不織布からなる場合には、短繊維が用いられる。繊維質基材が、開繊トウやスパンボンド不織布からなる場合には、長繊維の連続フィラメントが用いられる。これらの繊維のうち、液体を吸収して膨潤するものや、多孔質構造になっていて液体の取り込みが可能なものを用いる場合には、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状体が、繊維の内部に閉じ込められてしまわないように、該液状体の粘度をある程度高く調整しておくことが必要である。この場合、液状体内の重合物が重合するのに伴い増粘することを上手く利用する事も可能である。種々の液状体を用いるためには、吸水しにくく、液状体が繊維に付着した際の形状が安定するような表面張力を有するものを用いることが好ましい。
繊維質基材の構成繊維は、一般に1〜40dtex、特に1〜30dtexのものを用いることが好ましい。特に、高粘性液の吸収保持を達成するために、比較的繊維間距離の大きな繊維質基材を用いるのであれば、構成繊維は5〜40dtex、特に10〜30dtexであることが好ましい。また、繊維質基材を構成する繊維として、5〜40dtexの繊維を用いることにより、高吸収性ポリマーの粒子を繊維質基材の内部まで付着させることが容易となる。更に、薄く軽量な吸収性シートとするのであれば、構成繊維の太さが1〜5dtex、特に1〜3dtexであることが好ましい。
繊維質基材の構成繊維が捲縮繊維である場合、その捲縮率(JIS L 0208)は、好ましくは20〜90%であり、更に好ましくは40〜90%、一層好ましくは50〜80%である。この範囲の捲縮率の繊維を用いることで、繊維質基材の伸縮性を十分に高いものとすることができる。また、繊維質基材に高吸収性ポリマーの粒子を安定的に且つ多量に付着させることができる。繊維の捲縮手段に特に制限はない。また、捲縮は二次元的でもよく或いは三次元的でもよい。捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さと、元の繊維の長さとの差の、伸ばしたときの長さに対する百分率で定義される。繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は1cm当たり2〜25個、特に4〜20個、とりわけ10〜20個であることが好ましい。
繊維質基材の坪量は、先に述べた平均繊維間距離との関係で適切な値が選択される。坪量が10〜100g/m2、特に20〜50g/m2であると、平均繊維間距離を前述の範囲内に調整することが容易となるので好ましい。同様の理由により、繊維質基材の厚みは0.1〜10mm、特に0.2〜2mmであることが好ましい。また坪量や厚みをこの範囲内にすることで、吸収性シートを薄型で且つ柔軟なものとすることができる。
繊維質基材の構成繊維に付着している高吸収性ポリマーの粒子としては、その重合性モノマーの重合により得られ且つ吸水性を有するものであればその種類に特に制限はない。高吸収性ポリマーは、好ましくは自重の20倍以上の生理食塩水を吸収する吸収性を有する。そのような吸収性を有する代表的な高吸収性ポリマーとしては、ポリアクリル酸塩、メタクリル酸塩などが挙げられるが、これに限られるものではない。
繊維質基材への高吸収性ポリマーの付着量は、吸収性シートの具体的な用途に応じて適切な値が選択される。吸収性シートを例えば吸収性物品の吸収体として用いる場合には、20〜100g/m2、特に30〜60g/m2であることが、十分な吸収容量を有し、薄型で且つ柔軟な吸収体を得る点から好ましい。
高吸収性ポリマーの付着量に関連し、吸収性シートは、生理食塩水の飽和吸収量が500〜5000g/m2、特に1000〜3500g/m2であることが、十分な吸収容量の確保の点から好ましい。特に吸収性物品の吸収体として用いた場合に、十分な吸収容量を確保し得る点から好ましい。飽和吸収量は次の方法で測定される。吸収性シートを長手方向100mm×幅方向100mmの寸法で切り出し試験片とする。得られた試験片を、150mm×150mmのナイロン製のメッシュ(250メッシュ)袋に入れ、該メッシュ袋ごと生理食塩水に浸漬する。これを1分後に引き上げて5分間水切りを行う。水切り後の重量(g)、浸漬前の重量(g)及び試験片の面積(cm2)から、試験片100cm2当たり生理食塩水の吸収量(g)を算出して飽和吸収量(g/100cm2)とする。
高吸収性ポリマーの粒子の平均粒径は、吸収性シートの吸収性を向上させる観点から、好ましくは50〜1000μmであり、更に好ましくは100〜600μmである。粒径は、光学顕微鏡により粒子を拡大して測定する。200個の粒子の粒径を測定し、平均粒径(メジアン径)を算出する。
高吸収性ポリマーの粒子は、繊維質基材の構成繊維に例えば数珠状に付着していてもよく、或いは複数個の粒子が凝集した凝集体として付着していてもよい。吸収性シートの厚み方向に関し、高吸収性ポリマーの粒子は、厚み方向に均一に付着していてもよく、或いは何れか一方の表面側に偏在して付着していてもよい。吸収性シートの平面方向に関しては、高吸収性ポリマーの粒子は、平面方向に均一に付着していてもよく、或いは所定のパターンを形成するように付着していてもよい。
吸収性シートにおける繊維質基材の坪量と高吸収性ポリマーの坪量との比率は、前者/後者=1/1〜1/10、特に1/2〜1/6であることが、十分な吸収容量を有し、薄型で且つ柔軟な吸収体を得る点から好ましい。
吸収性シート自体の坪量は、30〜500g/m2、特に50〜300g/m2であることが、高吸収容量を確保しつつ薄型で且つ柔軟な吸収体を得る点から好ましい。同様の理由により、吸収性シートの厚みは0.1〜10mm、特に0.2〜1mmであることが好ましい。
吸収性シートを、吸収性物品の吸収体として用いる場合には、吸収性物品の装着感を良好にする観点から、吸収性シートは柔軟であることが好ましい。吸収性シートの柔軟さの尺度として剛軟度を採用した場合、その値は吸収性シートの縦方向又は横方向において10〜500mN・cm、特に20〜200mN・cmであることが好ましい。剛軟度は、JIS P8125のテーバーこわさ試験に準じて測定される。剛軟度をかかる範囲内に調整するためには、例えば繊維質基材や高吸収性ポリマーの坪量、繊維質基材の構成繊維の繊度、繊維質基材の厚みなどを適宜調整すればよい。
吸収性シートを、吸収性物品の吸収体として用いる場合には、該吸収性シートは、吸液後に耐圧縮性を発現することが好ましい。耐圧縮性を有することで、吸液後に液の逆戻りが起こりづらくなるからである。この観点から、吸収性シートは、これに生理食塩水を飽和吸収させた状態で厚さ方向へ20kPaの圧力を加えたときの変形量が50%以下、特に40%以下であることが好ましい。
前記の変形量の具体的な測定方法は次の通りである。本発明の吸収性シートを50mm×50mmの寸法に裁断し、0.5kPaの荷重下における厚みL0を測定する。次いで、体液が排泄されたときを想定し、シート全体に生理食塩水12.5g(シート重量の約10倍)をほぼ均一にかけ、シート全体を湿潤状態にする。その後、テンシロン圧縮試験機において、圧縮面積10cm2(半径1.78cmの円板)、圧縮速度10mm/minで、最大荷重20kPaまで圧縮し圧縮された厚さL1を測定する。下記に示す式を用いて圧縮変形量を求める。
圧縮変形量(%)=L1/L0×100
吸収性シートの耐圧縮性を前記のように調整するには、例えば高吸収性ポリマーを、繊維質基材の厚さ方向に重なるように付着させればよい。こうすることで、吸液した高吸収ポリマーが柱状の構造となり、耐圧縮性を高めることができる。
吸収性シートの製造方法に特に制限はない。例えば、先に述べた特許文献1及び2に記載の方法を用いることができる。嵩高な吸収性シートを容易に得る観点から、エアレイド法によって繊維質基材を製造し、その製造と同時に高吸収性ポリマーの粒子を生成させることが好ましい。そのような方法としては、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状物を繊維に付着させつつ、該液状物が付着した該繊維を堆積させ、次いで該モノマー及び/又は該重合進行物を重合させて高吸収性ポリマーの粒子を生成させると共に該繊維どうしを結合させてシート形態となす方法がある。具体的な手順は次の通りである。
繊維を、ウェブ、織布、不織布等の特定のシート形状に成形する以前に、繊維に、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状物を付着させる。これにより、繊維のあらゆる方向に対して均一にポリマーを固定化することができる。また、ポリマーが繊維間の間隙を埋めてしまうことも起きにくいので、繊維本来の柔軟性を損なうことなくポリマーを繊維に固定化できる。
前記液状物を繊維に付着させる場合、該液状物を液滴の状態で付着させる。こうすることで、重合が安定に行われ、また重合後のポリマーはより均一に固定化され、さらに繊維からの脱落も起きにくくなる。前記液状物を液滴化する方法としては、公知の微粒化技術を用いることができる。そのような微粒化技術としては、例えば、滴下法、スプレーノズルを用いた液滴化、回転盤形アトマイザーを用いた液滴化、超音波法等が挙げられる。液滴の粒径は、10〜1000μm、特に50〜800μmであることが好ましい。
前記液状物を繊維に均一に付着させるためには、該液状物と繊維とを同時に供給しつつ、該液状物を繊維に付着させることが有効である。この場合、前記液状物および繊維それぞれの一部または全部を気相中で接触させることにより、該液状物を繊維に付着させることが有効である。これにより、繊維に付着した液滴中の重合性モノマーあるいは重合進行物の重合を気相中で直ちに行うことが可能となるので、重合中に該液状物同士が合一しにくくなり、ポリマーを一層均一に固定化させることができる。前記液状物および繊維それぞれを気相中で接触させて該液状物を繊維に付着させる場合には、該液状物が付着した繊維を堆積させることが有効である。繊維どうしは、高吸収性ポリマーの粒子を介して結合していてもよく、或いは熱融着や接着剤による接着などによって結合していてもよい。更に、繊維どうしが交絡していてもよい。このような製造方法を実施するための装置は、例えば先に述べた特許文献2の図1及び図2に記載されている。
前記液状物中の重合性モノマー及び/又は重合進行物を重合する方法には、例えば重合開始剤を用いる方法、放射線・電子線・紫外線を照射する方法等がある。付加重合性モノマーを用いる場合の重合開始剤、即ち、付加重合開始剤としては、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等のラジカル発生剤や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、第一鉄塩等の還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が用いられる。一方、重付加性モノマーを用いる場合の触媒、即ち、重付加反応の触媒としては、三級アミンや錫化合物等が好適に用いられる。
特に、重合開始剤としてレドックス系開始剤を用いる場合には、レドックス系開始剤を構成する酸化剤を含有する重合性モノマーAの液滴と、レドックス系開始剤を構成する還元剤を含有する重合性モノマーBの液滴とを気相中で混合して重合進行物を形成し、該重合進行物の液滴を気相中で繊維に付着させることが好ましい。液滴どうしの気相中での混合方法は、例えば特許文献1の第1図に示されている。或いは、前記の重合性モノマーAの液滴と、前記の重合性モノマーBの液滴とを同時に又は相前後して気相中で繊維上に付着させ、互いに接触させた後、繊維上で重合性モノマーをレドックス重合させることも好ましい。こうすることで、重合性モノマーAの液滴と重合性モノマーBの液滴とを気相中で混合する場合に比較して、処理能力を高くすることができ、吸収性シートの生産性を高める事が容易となる。
なお、重合に際しては公知の架橋剤を重合系に添加してもよい。これによって、得られる高吸収性ポリマーの吸収性能を所望のものとすることができる。その他、重合反応に関する詳細については、先に述べた特許文献1及び2に記載の諸条件を採用することができる。
図1には、本発明の吸収性シートを吸収体として用いた吸収性物品の一例が示されている。図1は、吸収性物品の厚さ方向の断面を示している。吸収性物品1は、吸収性シート2を備えている。吸収性シート2の一方の面側には液透過性の表面シート3が配されている。吸収性シート2の他方の面側には、液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート4が配されている。吸収性シート2は、繊維質基材5と、その構成繊維に付着している高吸収性ポリマーの粒子6とを有している。高吸収性ポリマーの粒子6は、吸収性シート2の厚み方向に均一に付着している。
吸収性シート2と裏面シート4との間には、液体ストックシート7が配されている。液体ストックシート7は、表面シート3及び吸収性シート2を通過してきた液を一時的に貯留するために用いられる。この目的のために、液体ストックシート7は、液の貯留が可能な空間を有する嵩高な材料からなることが好ましい。そのような材料としては、平均繊維間距離の大きな繊維シートやオープンセル型の発泡シートなどが挙げられる。特に、液体ストックシート7として繊維シートを用いると、吸収性シート2と構成材料が同じであることから、両者がなじみやすく、吸収性物品1の装着感や風合いが良好になるので好ましい。
液体ストックシート7として繊維シートを用いた場合、その平均繊維間距離は、吸収性シート2のそれと同程度とすることができる。具体的には100〜1000μm、特に300〜600μmであることが好ましい。繊維シートの坪量及び厚みは、平均繊維間距離が前記の範囲となるように選択されることが好ましい。具体的には、繊維シートの坪量は20〜200g/m2、特に30〜100g/m2であることが好ましい。繊維シートの厚みは0.1〜10mm、特に0.2〜1mmであることが好ましい。
繊維シートは、吸収性シート2と同様に、不織布、織布、編地、開繊トウ、開繊ウエブなどから構成することができる。特に、エアスルー不織布やエアレイド不織布は、目開きが大きく嵩高な構造を有するので好適に用いられる。繊維シートの構成繊維やその繊度については、吸収性シート2を構成する繊維質基材と同様とすることができ、該繊維質基材に関して先に述べた説明が、繊維シートに適宜適用される。
本実施形態の吸収性物品1は、特に高粘性液の吸収に優れ、しかも液戻り防止性にも優れたものである。この理由は次の通りである。先に述べた通り、吸収性シート2は嵩高な構造を有している。従って流動性の低い軟便や経血、おりもの等が排泄されても、これらは容易に吸収性シート2を通過する。通過した軟便等は、液体の一時貯留機能を有する液体ストックシート7中に貯留される。液体ストックシート7中に貯留された軟便等は、時間の経過と共に吸収性シート2に含まれる高吸収性ポリマーによって吸収・固定化される。これによって高吸収性ポリマーは膨潤し、その粒子6間の距離が次第に縮まる。場合によっては粒子6どうしが接するまでに膨潤する。つまり、ゲルブロッキングに類似した状態が生ずる。その結果、吸収性シート2は、ポリマーの膨潤前に比較して空間の少ない密な構造に変化する。液体ストックシート7中に貯留されている軟便等は、このように構造変化した吸収性シート2によって、表面シート側から閉塞された状態となる。言わば上から蓋をされた状態となる。このような理由により、一旦吸収された軟便等が吸収性シート2を通じて逆戻りしづらくなる。従来の吸収性物品の吸収体においては、高吸収性ポリマーがゲルブロッキングを起こすことは、吸収阻害の原因となることから禁物とされていたが、本実施形態の吸収性物品1においては、それを逆手にとって液の逆戻りを防止している。このような考え方は、吸収性物品の技術分野において今まで考えられてもいなかった斬新なものである。
図1に示す吸収性物品1の表面シート3及び裏面シート4としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば表面シート3としては、液透過性の不織布やこれに開孔を形成したもの、穿孔フィルムなどを用いることができる。裏面シート4としては、液不透過性のフィルム、撥水性の不織布、フィルムと不織布とのラミネートなどを用いることができる。液透過性のフィルムは透湿性を有していてもよい。
特に高粘性液の吸収性を一層高める観点から、吸収性シート2と同様に、表面シート3もその目開きが大きくなっており、その厚さ方向へ高粘性液を容易に移動可能にする構造になっていることが好ましい。この観点から、表面シート3は、その平均繊維間距離が400〜1000μm、特に500〜900μmであることが好ましい。表面シート3の繊維間距離をかかる範囲内に調整するためには、例えば5〜20dtexの繊維を用いてエアスルー法により得ることができる。また、表面シート2に開孔を施してもよい。その場合には、太さ1〜3dtexの繊維からなる不織布を用い、開孔の下端周縁部の径が0.5〜2.0mm、開孔率が7%以上となるように開孔すればよい。更に、繊維間距離を1000μmまでとすることにより増粘した吸収物の液戻りを低減させやすくなり好ましい。なお、表面シート3における前記の範囲の平均繊維間距離や開孔の寸法は、本実施形態の吸収性物品のみならず、後述する図2〜図4に示す吸収性物品における表面シートにも適用がある。
図2には、図1に示す吸収性物品の変形例が示されている。同図に示す吸収性物品1には、図1に示す吸収性物品と異なり液体ストックシート7が配されていない。また吸収性シート2にはその厚み方向全域にわたって高吸収性ポリマーの粒子6が分布していない。本実施形態における吸収性シート2は、その厚み方向で見たとき、高吸収性ポリマーの粒子6が表面シート3の側寄りに偏在して付着しており、裏面シート4の側寄りにおける高吸収性ポリマーの粒子6の付着量が相対的に低くなっている。図2においては、吸収性シート2における裏面シート4の側寄りには高吸収性ポリマーの粒子が殆ど存在していない状態が示されている。それによって、吸収性シート2における裏面シート4の側寄りには液体ストック層8が形成されている。
本実施形態における液体ストック層8は、図1に示す吸収性物品における液体ストックシート7と同様の働きを有するものである。従って、本実施形態の吸収性物品1も、図1に示す吸収性物品と同様に、高粘性液の吸収に優れ、しかも液戻り防止性にも優れたものとなる。そのメカニズムについては図1に示す吸収性物品と同様なのでここではその説明を省略する。高吸収性ポリマーの粒子6が厚み方向に偏在した吸収性シート2を製造するには、例えば、先に述べた吸収性シートの製造方法において、繊維質基材の一方の面に優先的に、重合性モノマー又はその重合進行物を含む液状体を付着させて重合を行えばよい。
図3に示す吸収性物品1は、図2に示す吸収性物品において、吸収性シート2と裏面シート4との間に、パルプを含む吸収コア9が配されたものである。吸収コア9は、フラップパルプ10と高吸収性ポリマーの粒子11との積繊体がティッシュペーパー等の吸収紙12に包まれて構成されている。吸収コア9は、従来の吸収性物品に用いられる吸収体とほぼ同様の構成をしている。図3に示す実施形態の吸収性物品1によれば、図1及び図2に示す実施形態の吸収性物品よりも、液の吸収容量が一層高くなる。従って図3に示す実施形態の吸収性物品1は、液を多量に吸収保持するために用いられる吸収性物品、例えば使い捨ておむつとして特に好適である。なお、本実施形態は、図2に示す実施形態の変形例に当たるものであるが、これに代えて図1に示す実施形態の吸収性物品における液体ストックシート7と裏面シート4との間に吸収コア9を配しても同様の効果を得ることができる。
図4に示す実施形態の吸収性物品は、これまでに説明してきた吸収性物品と同様に吸収性シートを用いる点では共通するものの、吸収性シートの基本構成が相違している。本実施形態の吸収性物品1における吸収性シート2は、その厚み方向で見たとき、高吸収性ポリマーの粒子6が裏面シート4の側寄りに偏在して付着しており、表面シート3の側寄りにおける高吸収性ポリマーの粒子の付着量が相対的に低くなっている。図4には、吸収性シート2における表面シート3の側寄りには高吸収性ポリマーの粒子が殆ど存在していない状態が示されている。それによって、吸収性シート2における表面シート3の側寄りには空隙層13が形成されている。
吸収性シート2と裏面シート4との間には、図3に示す実施形態の吸収性物品と同様に、吸収コア9が配されている。吸収コア9は、フラッフパルプ10と高吸収性ポリマーの粒子11との積繊体がティッシュペーパー等の吸収紙12に包まれて構成されている。
本実施形態の吸収性物品1は、嵩高な構造を有する吸収性シート2に起因して、特に高粘性液の吸収に優れたものとなる。この理由は、図1に示す実施形態の吸収性物品に関して詳述した理由と同様である。更に本実施形態の吸収性物品1は液戻り防止性にも優れたものとなる。この理由は次の通りである。流動性の低い排泄物である軟便や経血、おりもの等が排泄されると、これらは吸収性シート2における空隙層13を通過する。空隙層13は平均繊維間距離が大きい空間になっているので、該空隙層13に液は滞留しづらく下方に流れていく。そして液は、高吸収性ポリマーが存在している部位にまで到達する。排泄物が尿のような流動性の高い液の場合には、吸収性シート2全体を通過して吸収コア9にまで達し、そこで吸収される。しかし、軟便や経血、おりもの等は、吸収コア9には吸収されにくい。この理由は、吸収コア9は一般にその目開きが小さいからである。従って軟便等は、吸収性シート2における高吸収性ポリマーが存在している部位に留まり、当該部位で高吸収性ポリマーに吸収される。先に述べた通り、吸収性シート2は吸液後の耐圧縮性が高いので、吸収性シート2が一旦液を吸収して膨潤すると、その後に吸収性物品1に荷重が加わっても、吸収された液の逆戻りが起こりづらくなる。しかも、吸収性シート2における表面シート2寄りの部位である空隙層13は、軟便等の滞留量が少ない状態になっているので、当該空隙層13が液戻りに対するバッファ層として作用し、それによって液戻りが一層起こりづらくなる。
以上、詳述した通り、本発明の吸収性シートは、各種吸収性物品の吸収体として特に好適に用いられる。そのような吸収性物品としては、例えば、各種使い捨ておむつや、生理用ナプキン、パンティライナ、失禁パッド等が挙げられる。特に軟便、経血、おりもの等の高粘性液の吸収に用いられる吸収性物品である使い捨ておむつや生理用ナプキン、パンティライナに本発明の吸収性シートを適用することが、高粘性液の効率的な吸収の点から好適である。
また本発明の吸収性シートは、吸収性物品の吸収体のみならず、農業や土木の分野で用いられる土壌の保水材としても好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
〔実施例1〕
図4に示す実施形態の使い捨ておむつを作製した。使用した部材は以下の通りである。
(1)表面シート
チッソ(株)のES繊維(オレフィン系複合繊維、2.2dtex×55mm)を原料として作製した坪量25g/m2のエアスルー不織布(平均繊維間距離:85μm)を用いた。
(2)裏面シート
低密度ポリエチレンのフィルム(坪量20g/m2)を用いた。
(3)吸収コア
フラッフパルプと高吸水ポリマーの粒子を均一混合して得られた混合体をティッシュペーパーで包んで吸収コアを作製した。フラッフパルプの坪量は300g/m2、高吸水ポリマーの坪量は170g/m2であった。ティッシュペーパーの坪量は16g/m2であった。
(4)吸収性シート
チッソ(株)のES繊維(オレフィン系複合繊維、5.5dtex×55mm)を原料として坪量25g/m2のエアスルー不織布を作製した。この不織布に、高吸水性ポリマーの粒子を50g/m2付着させ、平均繊維間距離160μmの吸収性シートを得た。この吸収性シートの生理食塩水の飽和吸収量は1500g/m2であった。この吸収性シートは、その厚み方向で見たとき、高吸収性ポリマーの粒子がシートの一方の面側寄りに偏在して付着しており、他方の面側寄りにおける高吸収性ポリマーの粒子の付着量が相対的に低くなっており、それによって該吸収性シート中の他方の面側寄りに液体ストック層が形成されていた。高吸水性ポリマーの粒子の付着方法は以下の通りである。
80%のアクリル酸水溶液125部を、30%の水酸化ナトリウム水溶液133部で中和した。この中和液と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.3部、過酸化水素0.47部及びイオン交換水13.5部とを混合した。更に、0.1%硝酸第二鉄水溶液〔和光純薬工業(株)製、鉄標準液〕を、モノマー水溶液中の鉄イオン濃度が2mg/kgとなるように加え、モノマー水溶液を得た。このモノマー水溶液におけるモノマー濃度は45%、アクリル酸中和度は72%、過酸化水素の量はモノマー100部に対して0.39部(対モノマー1.0モル%)であった。
このモノマー水溶液を、前記の不織布にスプレーノズルにより液滴状に付着させた。付着量(固形分量)は50g/m2となるようにした。5m/分の速度で移動しているコンベア上にその不織布を載せ、該不織布を紫外線照射装置内に連続8回通過させ、該不織布に向けて紫外線を照射した。これによりモノマーの重合を行い、不織布に高吸収性ポリマーの粒子を付着させた。紫外線照射装置として、アイグラフィック(株)製のアイグランデージ(商品名)を用いた。この装置には、出力120W/cmの高圧水銀ランプが装着されていた。照射した紫外線の積算線量は2400mJ/cm2、8回の紫外線照射による重合に要した時間は24秒間であった。
重合終了後、不織布に対して温度142℃・露点90℃の調湿熱風を30秒間通過させてその乾燥を行った。
付着した高吸収性ポリマーの粒子の平均粒径は240μmであり、数珠状の状態になっていた。
前記の(1)−(4)の部材を用い、以下の方法で使い捨ておむつを作製した。吸収性シート及び吸収コアを100mm×245mmに切断した。表面シート及び裏面シートは265mm×370mmに切断した。表面シート、吸収性シート、吸収コア、裏面シートをこの順に積層して、表面シートと裏面シートの周辺部をホットメルト接着剤でシールすることにより使い捨ておむつを得た。吸収性シートの積層に際しては、高吸収性ポリマーの粒子が偏倚して付着している側を吸収コアに向け、液体ストック層の側を表面シートに向けて配置した。
得られた使い捨ておむつを用い、ウエットバック及び固形分付着率を以下の方法で測定した。
〔ウエットバック〕
ヨーグルトに青色1号を入れて攪拌し、更に蒸留水で希釈して粘度400mPa・sとなるように調製したものを擬軟便とした。使い捨ておむつに擬軟便を20g注入した後、表面シート上に予め重量を測定しておいた豚皮(100mm×245mm)を載せた。更にその上に、厚さ3mmのアクリルプレート(100mm×245mm)を重ね、3kgの錘で5分間加圧した。その後、錘及びアクリルプレートを取り外し、豚皮の重量を測定した。この重量から予め測定しておいた豚皮の重量を差し引き、その値をウエットバック重量とした。ウエットバック重量を、擬軟便の注入重量(20g)で除し、100を乗じた値を、ウエットバックした擬軟便の割合(%)とした。この値が小さいほど、ウエットバックした擬軟便の量が少ないことを意味する。
〔固形分付着率〕
前記のウエットバックの測定で得られた擬軟便の付着した豚皮を乾燥させた。乾燥後の重量を測定し、この重量から予め測定しておいた豚皮の重量を差し引き、付着固形分量を求めた。この付着固形分量を、注入した20gの擬軟便の固形分量で除し、100を乗じた値を、固形分付着率(%)とした。この値が小さいほど、ウエットバックした擬軟便の量が少ないことを意味する。
このようにして得られたウエットバックした擬軟便の割合は4%、固形分付着率(%)は10%であった。参考例として、花王株式会社製の使い捨ておむつであるメリーズ(登録商標)新生児用を用い、同様の測定を行ったところ、ウエットバックした擬軟便の割合は25%、固形分付着率(%)は65%であった。
〔実施例2〕
図1に示す実施形態の使い捨ておむつを作製した。使用した部材は以下の通りである。
(1)表面シート
チッソ(株)のES繊維(オレフィン系複合繊維、5.5dtex×55mm)を原料として作製した坪量25g/m2のエアスルー不織布(平均繊維間距離:400μm)を用いた。
(2)裏面シート
低密度ポリエチレン樹脂100部及び炭酸カルシウム(平均粒径1.2μm)120部よりなる組成物をシート状に溶融成形し、一軸方向へ2.0倍に延伸して得られた通気性フィルム(坪量20g/m2)を用いた。
(3)吸収性シート
80%アクリル酸水溶液125部及び30%水酸化ナトリウム水溶液133部を混合して、中和度72%、濃度47%の中和モノマー水溶液を得た。得られた中和モノマー水溶液を2つに分け、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.07部をそれぞれに溶解した。一方の水溶液には更に酸化剤として6.8%過酸化水素水7部を添加した(20℃における粘度10mPa・s)。他方の水溶液には更に還元剤として7.0%L−アスコルビン酸水溶液7部を加えた(20℃における粘度10mPa・s)。このようにして二液系のモノマー水溶液を得た。このモノマー水溶液を、特開平11−93073号公報に記載の方法に従い、図5に示す装置を用いて、熱融着性の捲縮ポリエステル繊維(2.2dtex×3mm、捲縮率:50%、捲縮数10個/cm)に付着させた。
図5に示す装置は、中空の本体20の上部に空気の送風口21及び下部に排気口22を有し、その内部に空気の流通が可能になされている。また、本体21の側部には、繊維供給口23を介して解繊機24が備えられている。解繊機24には、供給源(図示せず)から前記の捲縮ポリエステル繊維が所定の供給量で供給されるようになされている。更に、本体20の上部には、モノマー水溶液の噴霧装置として二液混合型スプレーノズル25が備えられている。スプレーノズル25にはモノマー供給管26を通じて供給源(図示せず)から前記モノマー水溶液がそれぞれ所定の供給量で供給されるようになされている。そして、前記の捲縮ポリエステル繊維が繊維供給口23から本体20内に落下中に、スプレーノズル25から前記モノマー水溶液が混合噴霧されて、捲縮ポリエステル繊維に付着するようになされている。混合されたモノマー水溶液は捲縮ポリエステル繊維に付着しつつ、本体20の底部に備えられたワイヤーメッシュ27上に堆積される。
図5に示す装置を用い、前記モノマー水溶液を二液混合型スプレーノズル25によって100〜200μmに微粒化し、20g/minで本体20内に供給した。これと共に、解繊機24によって解繊された熱融着性の捲縮ポリエステル繊維を3g/minで本体20内に供給した。これらと共に、25℃の空気を送風口21から送風し排気口22から吸引して、前記ポリエステル繊維の堆積を促進させた。前記モノマー水溶液及び前記ポリエステル繊維をそれぞれ本20内に供給することによって、ワイヤーメッシュ27上に、該モノマー水溶液が付着したポリエステル繊維からなる堆積物が得られた。該モノマー水溶液の該堆積物への付着量は、該堆積物100部に対して640部であった。該堆積物に付着した重合進行中のモノマー水溶液は、ワイヤーメッシュ27上で更に重合が進行した。ワイヤーメッシュ27上に10分静置後、堆積物を140℃で熱風処理し、高吸収性ポリマーの粒子がポリエステル繊維に固定化された吸水性シートを得た。得られた吸水性シートにおいては、高吸収性ポリマーの粒子が繊維全体にわたって均一に固定化され、かつ粒子の合一はほとんど観察されなかった。また、該吸水性シートは、柔軟性に富んだ不織布状のものであった。吸収性シートにおける高吸収性ポリマーと繊維との重量比(前者/後者)は2/1であった。繊維に付着した高吸収性ポリマー粒子の平均粒径は145μmで形状は数珠状であった。このようにして平均繊維間距離150μm、坪量120g/m2の吸収性シートを得た。この吸収性シートの生理食塩水の飽和吸収量は2500g/m2であった。
(4)液体ストックシート
チッソ(株)のES繊維(オレフィン系複合繊維、11dtex×5mm)を原料として作製した坪量50g/m2のエアレイド不織布(繊維間距離200μm)を用いた。
前記の(1)−(4)の部材を用い、以下の方法で使い捨ておむつを作製した。吸収性シート及び液体ストックシートを100mm×245mmに切断した。表面シート及び裏面シートは265mm×370mmに切断した。表面シート、吸収性シート、液体ストックシート、裏面シートをこの順に積層して、表面シートと裏面シートの周辺部をホットメルト接着剤でシールすることにより使い捨ておむつを得た。このようにして得られた使い捨ておむつについて、実施例1と同様の方法でウエットバック及び固形分付着率を測定した。その結果、ウエットバックした擬軟便の割合は7%、固形分付着率(%)は20%であった。
本発明の吸収性シートを備えた吸収性物品の一例の構造を示す模式図である。 本発明の吸収性シートを備えた吸収性物品の他の例の構造を示す模式図(図1相当図)である。 本発明の吸収性シートを備えた吸収性物品の更に他の例の構造を示す模式図(図1相当図)である。 本発明の吸収性シートを備えた吸収性物品の更に他の例の構造を示す模式図(図1相当図)である。 本発明の吸収性シートを製造するための好ましい装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 吸収性物品
2 吸収性シート
3 表面シート
4 裏面シート
5 繊維質基材
6 高吸収性ポリマーの粒子
7 液体ストックシート
8 液体ストック層
9 吸収コア
10 フラッフパルプ
11 高吸収性ポリマーの粒子
12 ティッシュペーパー
13 空隙層

Claims (3)

  1. 繊維質基材の構成繊維に高吸収性ポリマーの粒子が付着してなり、平均繊維間距離が100〜1000μmの嵩高な吸収性シートであって、該高吸収性ポリマーの粒子は、重合性モノマー及び/又は該モノマーの重合進行物を含有する液状体を前記繊維に付着させ、該重合性モノマー及び/又は該重合進行物を重合させて得られたものである吸収性シートと、その一方の面側に配された表面シートと、他方の側に配された液不透過性の裏面シートとを備え
    繊維質基材はその構成繊維として捲縮繊維を含み、それによって該繊維質基材は伸縮性を有し、
    吸収性シートは、その厚み方向で見たとき、高吸収性ポリマーの粒子が表面シート側寄りに偏在して付着しており、裏面シート側寄りにおける高吸収性ポリマーの粒子の付着量が相対的に低くなっており、それによって該吸収性シート中の裏面シート側寄りに液体ストック層が形成されている吸収性物品。
  2. 表面シートはその繊維間距離が400〜1000μmである請求項1記載の吸収性物品。
  3. 吸収性シートと裏面シートとの間に、パルプを含む吸収コアが配されている請求項1又は2記載の吸収性物品
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