JP5089269B2 - 吸収パッド、及び吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収パッド、及び吸収パッドを有する吸収性物品に関するものである。
吸収性物品においては、適所に糸ゴム等の細長状の弾性部材を伸張状態で接着固定し、身体に対するフィット性を高めることが行われている。例えばテープ式紙おむつにおいては、物品の幅方向両側における吸収体の裏面側に、前後方向に沿って複数本の細長状弾性部材を接着固定することにより、身体に対する吸収体のフィット性を高めることが行われている。
一方、特に成人向けの使い捨ておむつにおいては、交換頻度を考慮して、内面に尿吸収を目的とした吸収パッドを用いることが一般的になっているが、このような吸収パッドにおいては、通常、吸収体の裏面側に細長状弾性部材は設けられていない(例えば特許文献1〜5参照)。つまり、従来は、おむつの吸収体の裏面側に設けられた弾性部材を利用して吸収パッドを身体側に押さえ付けフィットさせることが一般的であった。
特開2004−024308号公報 特開2005−287791号公報 特開2007−097619号公報 特開2007−097627号公報 特開2003−088547号公報
しかしながら、このような従来形態では、股間部における吸収パッドのフィット性が乏しいという問題点があった。この問題点は、特に装着者が座位をとっているときに顕著になるという知見が得られている。
そこで、本発明の主たる課題は、テープ式使い捨ておむつの内面に配置される吸収パッドの股間部におけるフィット性を向上させることにある。
第1の参考例
股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分を有し、周縁部により囲まれた本体部分に繊維集合体からなる吸収体が配置された吸収パッドにおいて、
前記股間部の本体部における吸収体の裏面側のうち、幅方向中央を基準として幅方向に±100mmの範囲にのみ、身体に対するフィット性を高めるための弾性部材が設けられている、
ことを特徴とする吸収パッド。
(作用効果)
殆ど多くのテープ式の使い捨ておむつでは、幅方向両側における吸収体の裏面側に、腹側部分から股間部を通り背側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されている。これに組み合わせる吸収パッドにおいて、吸収体の裏面側に外側のおむつと同様の弾性部材を設けても、吸収パッドの収縮によりおむつの弾性部材の収縮力が十分に作用しないため、股間部のフィット性はさほど向上しない。また、外側のおむつの弾性部材を股間部の幅方向中央部に追加しても、おむつの吸収体における剛性の高さが影響して、パッドの幅方向中央部におけるフィット性はさほど向上しない。
これに対して、吸収パッドに設ける弾性部材の位置を、少なくとも股間部において、幅方向中央を基準として幅方向に±100mmの範囲にのみ位置させると(この範囲の幅方向外側には弾性部材が設けられていない)、殆ど多くのテープ式使い捨ておむつとの組み合わせにおいて、吸収パッドに設けた弾性部材の一部又は全部が、おむつの幅方向両側に設けられた細長状弾性部材よりも幅方向中央側に位置するようになる。そしてこの場合、股間部において、おむつの幅方向両側の細長状弾性部材が、パッドの幅方向両端部を身体にフィットさせ、パッドの弾性部材がパッドの幅方向中央側を身体にフィットさせるようになり、股間部の幅方向全体が身体に良好にフィットするようになる。
第2の参考例
股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分を有し、周縁部により囲まれた本体部分に繊維集合体からなる吸収体が介在された吸収パッドにおいて、
前記本体部の幅方向両側における吸収体の裏面側に、前側部分から股間部を通り後側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されており、
これら細長状弾性部材は、前記股間部では、幅方向中央を基準として幅方向に±100mmの範囲にのみ位置する、
ことを特徴とする吸収パッド。
(作用効果)
この場合、殆ど多くのテープ式使い捨ておむつとの組み合わせにおいて、吸収パッドに設けた細長状弾性部材の一部又は全部が、おむつの幅方向両側に設けられた細長状弾性部材の幅方向中央側に沿って位置するようになる。よって、股間部において、おむつの幅方向両側の細長状弾性部材が、パッドの幅方向両端部を身体にフィットさせ、パッドの弾性部材がパッドの幅方向中央側を身体にフィットさせるようになるとともに、パッドの弾性部材の収縮により生じる外面形状と、おむつにおける弾性部材の収縮により生じる内面形状とがフィットするようになるため、パッドの股間部の幅方向全体が身体に良好にフィットし、またパッドとおむつとのズレも発生し難くなる。
第3の参考例
前記吸収体は、少なくとも前記細長状弾性部材の股間部における位置と重なる部分が刳り貫かれている、1又はの参考例の吸収パッド。
(作用効果)
このような切欠を設けることにより、吸収パッドが股間部において変形し易くなり、股間部におけるフィット性がより一層のものとなる。
第4の参考例
前記吸収体の幅方向中央部における前記前側部分又は股間部から前記後側部分までの部分に、身体側に開口する溝が形成されている、1〜3のいずれかの参考例の吸収パッド。
(作用効果)
参考例では、股間部におけるフィット性が向上するため、パッド表面と身体との間に尿を一時的にプール(貯留)する空間が少なくなる。この場合、一度に多量の排尿があった場合、漏れにつながるおそれがある。よって、本参考例では、上記のような溝を形成し、当該溝形成部分における吸収速度を向上させるのが好ましい。
第5の参考例
前記吸収体は、下層吸収体とその上に積層された上層吸収体とからなり、且つ上層吸収体が下層吸収体よりも少ない量の高吸収性ポリマーを含むものである、1〜4のいずれかの参考例の吸収パッド。
(作用効果)
参考例では、股間部におけるフィット性が向上するため、パッド表面と身体との間に尿を一時的にプール(貯留)する空間が少なくなる。この場合、一度に多量の排尿があった場合、漏れにつながるおそれがある。よって、本参考例では、二層構造の吸収体を採用するとともに、上層吸収体の高吸収性ポリマーの量を下層吸収体よりも少なくし、吸収速度を向上させるのが好ましい。
第6の参考例
幅方向一方側の前記細長状弾性部材と幅方向他方側の前記細長状弾性部材との間隔が股間部において最も狭くなるように前記細長状弾性部材が配置されるとともに、前記細長状弾性部材が周囲の部材と異なる色の有色部材とされている、の参考例の吸収パッド。
(作用効果)
このような細長状弾性部材の配置と、細長状弾性部材の色付けとを組み合わせることにより、パッドの股間部の位置を容易に視認でき、おむつに対してパッドを正確に配置することができるようになる。よって、上述した股間部のフィット性の向上がより確実に発揮されるようになる。
<請求項記載の発明>
股間部、股間部の前側に延出する腹側部分及び股間部の後側に延出する背側部分を有し、
股間部を含む部分に吸収体を有し、かつ両側部は吸収体を有しないサイドフラップ部とされており、
前記サイドフラップ部の側縁に脚周りに沿う括れ部分が形成されており、
背側部分における幅方向両側部から、腹側部分と着脱自在に連結されるファスニングテープがそれぞれ突出されており、
幅方向両側における吸収体の裏面側に、前記腹側部分から股間部を通り前記背側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されている、テープ式使い捨ておむつと、
股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分を有し、周縁部により囲まれた本体部分に繊維集合体からなる吸収体が配置されており、前記テープ式使い捨ておむつの内面に股間部を合わせて配置される吸収パッドと、を有する吸収性物品において;
前記テープ式使い捨ておむつは、前記細長状弾性部材として、前記サイドフラップ部に前記括れ部分に沿って延在するように設けられた外側弾性部材と、腹側部分及び背側部分のサイドフラップ部に始端及び終端を有し、これらよりも股間側の部分において前記吸収体と重なる部分まで内側に膨出延在するように設けられた内側弾性部材とを備えており、
前記吸収パッドは、前記本体部の幅方向両側における吸収体の裏面側に、前側部分から股間部を通り後側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されており、これら幅方向両側の細長状弾性部材はそれぞれ少なくとも一部の細長状弾性部材の股間部における位置が、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材よりも幅方向中央側に位置している、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
2の参考例と同様の作用効果を奏する。
<請求項2記載の発明>
前記吸収パッドにおける幅方向両側の細長状弾性部材はその全てが、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材よりも幅方向中央側に位置しており、
前記吸収パッドにおける幅方向両側の細長状弾性部材のうち股間部から腹側に延在する部分は、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材に沿って一定の間隔を空けて延在され、背側に延在する部分は臀部の膨らみと対応する部分の幅方向外側を回るような湾曲状に延在する部分と、その後端から前後方向に沿って直線状に延在する部分とを有している、
請求項1記載の吸収性物品。
<請求項3記載の発明>
前記吸収パッドの吸収体は、少なくとも前記吸収パッドの細長状弾性部材の股間部における位置と重なる部分が刳り貫かれている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
<請求項4記載の発明>
前記吸収パッドの吸収体の幅方向中央部における前記前側部分又は股間部から前記後側部分までの部分に、身体側に開口する溝が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<請求項5記載の発明>
前記吸収パッドの細長状弾性部材は、幅方向一方側の前記細長状弾性部材と幅方向他方側の前記細長状弾性部材との間隔が股間部において最も狭くなるように配置されるとともに、前記細長状弾性部材が周囲の部材と異なる色の有色部材とされている、請求項2記載の吸収性物品。
本発明によれば、テープ式使い捨ておむつの内面に配置される吸収パッドの股間部におけるフィット性が向上する、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。なお、本発明の用語のうち「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、殆ど多くの製品では前後方向中央部及びその前後近傍の部分である。具体的には、成人向け製品の場合、製品の前後方向中央を基準として±150mmの範囲である。また、「腹側部分」及び「前側部分」は股間部よりも前側の部分を意味し、「背側部分」及び「後側部分」は股間部よりも後側の部分を意味する。
(テープ式使い捨ておむつについて)
図1〜図6は、本発明に係るテープ式使い捨ておむつの一例100を示しており、この使い捨ておむつ100は、外面に外装シート12が積層された不透液性バックシート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在されているものである。
不透液性バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
外装シート12としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。外装シート12に用いる不織布の繊維目付けは13〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
透液性トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体4におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
不透液性バックシート1は、吸収体3の周囲より外方に延在して略矩形状をなしている。不透液性バックシート1の側方延在部の内面にはバリヤシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体3の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。バリヤシート4の幅方向中央側の部分4cはトップシート2上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材4Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材4G及び後述する細長状弾性部材13としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
透液性トップシート2は、吸収体3より若干大きめの砂時計形状とされ、吸収体3側縁より若干外方に延在する部分がバリヤシート4と不透液性バックシート1との間に介在され不透液性バックシート1側にホットメルト接着剤等により固着されている。この固着部分は図3及び図4では点模様で示されている。バリヤシート4の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
不透液性バックシート1の外面を不織布で覆う場合には、不透液性バックシート1に代えて、外装不織布を吸収体3の周囲より外方に延在させてバリヤシート4の側部とともに、吸収体8の存在しないサイドフラップ部SFを構成することもできる。この場合、不透液性バックシート1をサイドフラップ部SFまで延在させず、トップシート2と同様の形状とすることができる。
図3及び図4にも示されるように、両バリヤシート4,4は、幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート2表面およびバックシート1内面)に着脱しないように固定されるとともに、幅方向中央側の部分4cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に着脱しないように固定され、かつ前後方向の両端部間では物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に固定されていない。この非固定部分は、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立可能なバリヤ部となる部分であり、その起立基端4bはバリヤシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。
使い捨ておむつ100の前後方向両端部では、不透液性バックシート1および透液性トップシート2が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成され、このうち背側のエンドフラップ部EFにおいては、複数本、図示の例では3本の糸状弾性部材7,7…が幅方向に沿って配設されている。この糸状弾性部材7としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
また、背側B1の胴回り部における両サイドフラップ部SFには、それぞれファスニングテープ5,5が側方に突出するように取り付けられるとともに、使い捨ておむつ100の腹側F1の胴回り部表面に幅方向に沿ってフロントターゲットテープ6が貼着されており、このフロントターゲットテープ6にファスニングテープ5の接合片8aを止着することによって使い捨ておむつ100が身体に装着されるようになっている。
図示例のファスニングテープ5は、1枚のファスニング基材シート8の内端側を使い捨ておむつ100側に接着して取り付けられ、先端側には外側縁から延在して上下2段で側方に突出する接合片8a、8aが形成され、接合片8a、8aの間のファスニング基材シート8部分に対し、外側縁から内側に向かい、かつ水平方向に沿ってミシン目10が設けられているものであるが、これに限られず公知のファスニングテープを用いることができる。ファスニング基材シート8としては、種々のシート材を使用することができるが、好ましくは坪量40〜80g/m2の単層又は複層の不織布を用いるのがよい。加工法は強度特性に優れたスパンボンドが好ましい。接合片8a、8aの内面側(透液性表面シート2側)には、表面にフック状突起を多数有するフックテープ(メカニカルファスナーの雄材)9,9がそれぞれ取り付けられ、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するフロントターゲットテープ(メカニカルファスナーの雌材)6へ接合可能となっている。
特徴的には、おむつ100幅方向両側における吸収体3の裏面側に、腹側部分F1から背側部分B1にわたり延在するとともに、股間部C1で幅方向中央側に膨出するように、複数本の細長状弾性部材13がそれぞれ設けられている。この弾性部材13は、本実施形態では外装シート12とバックシート1との間に接着剤を用いて固定されているが、バックシート1の内面に固定することもできる。
特に本実施形態においては、サイドフラップ部SFにおいて、脚周りに沿うように形成された括れ部分に沿って延在する複数本(図示例では5本)の外側弾性部材13sと、腹側及び背側のサイドフラップ部SFに始端及び終端を有し、股間側の部分において吸収体と重なる部分まで内側に膨出延在する複数本(図示例では3本)の内側弾性部材13iとが設けられている。
内側弾性部材13iは、股間部C1から離間するにつれて幅方向外側に位置変化するものであり、その変化の傾き(前後方向に対する)は腹側に延在する部分よりも背側に延在する部分の方が急になっており、外側弾性部材13sに近接した後は外側弾性部材に沿って一定の間隔で延在されている。
股間部C1における幅方向一方側の内側弾性部材13iと幅方向他方側の内側弾性部材13iとの最小幅方向間隔d1は適宜定めることができるが、10〜150mmであるのが好ましい。この間隔d1が狭すぎると、後述する吸収パッド200の弾性部材33と重なり易くなるか又は重なる面積が大きくなり、また広過ぎると、吸収パッド200の幅方向両側と重ならなくなるか又は重なる面積が少なくなり、いずれにせよ、フィット性の向上効果が乏しくなるおそれがある。
細長状弾性部材13s,13iとしては、糸状、紐状、帯状等の適宜の形状の合成又は天然ゴムを用いることができる。合成ゴムを用いる場合、太さ400〜1200dtex程度のものを伸張率180〜300%程度で設けるのが好ましい。また、外側弾性部材13sは2〜10mmの間隔で1〜10本程度並設するのが好ましく、内側弾性部材13iは2〜15mmの間隔で1〜10本程度並設するのが好ましい。
(吸収パッドについて)
図7〜10は、本発明に係る吸収パッド例200を示している。この吸収パッド200は、紙おむつ100の内面に敷いて使用されることを想定したものであり、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び背側部分B2とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、物品全長(前後方向長さ)L1は350〜700mm程度、全幅W1は130〜400mm程度(ただし、おむつの吸収面の幅より狭い)とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10〜150mm程度、腹側部分F2の前後方向長さは50〜350mm程度、及び背側部分B2の前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。
吸収パッド200は、外面に外装シート32が積層された不透液性バックシート21の内面と、透液性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有している。
吸収体23としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。必要に応じて、吸収体23はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体23の形状は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることができる。図示形態の吸収体23は、下層吸収体23Bとその上に積層された上層吸収体23Uとからなる二層構造とされているが、一層構造であっても良い。二層構造の場合両層23U,23Bは同寸であっても良いが、図示のように上層吸収体23Uを長さ・幅ともに小さく、且つ前寄りに位置させる等、適宜の構成を採用することができる。
吸収体23における繊維目付け及び吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは100〜600g/m2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付け0〜400g/m2程度とするのが好ましい。図示形態のような二層構造の場合、下層吸収体23Bの繊維目付けは例えば80〜400g/m2程度、高吸収性ポリマーの目付けは例えば50〜400g/m2程度とすることができ、上層吸収体23Uの繊維目付けは例えば80〜300g/m2程度、高吸収性ポリマーの目付けは例えば10〜200g/m2程度とすることができる。
吸収体23の裏面側には、不透液性バックシート21が吸収体3の周縁より若干食み出すように設けられている。不透液性バックシート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
また、不透液性バックシート21の外面は、不織布からなる外装シート32により覆われており、この外装シート32は、所定の食み出し幅をもってバックシート21の周縁より外側に食み出している。外装シート32としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
吸収体23の表面側は、透液性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部食み出しているが、吸収体3の側縁が食み出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
吸収パッド200の前後方向両端部では、外装シート12および透液性トップシート1が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。吸収パッド200の両側部では、外装シート32が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面にはバリヤシート24の幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、図9及び図10では点模様で示されており、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。これらエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFは、本発明の周縁部をなし、これらにより囲まれる部分が本発明の本体部をなす。外装シート32を設けない場合、外装シート32に代えて不透液性バックシート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
バリヤシート24の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
バリヤシート24の幅方向中央側の部分24cはトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材24Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材24Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
また、両バリヤシート24,24は、幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート22表面および外装シート32内面)に貼り合わされて固定されるとともに、幅方向中央側の部分24cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて固定され、かつ前後方向の両端部間では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない。この非固定部分は、図10に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に対して起立可能なバリヤ部となる部分であり、その起立基端24bはバリヤシート24における幅方向外側の固定部分24xと内側の部分24cとの境に位置する。
そして、特徴的には、本体部の幅方向両側における吸収体33の裏面側に、腹側部分F2から背側部分B2にわたり延在するように、且つ股間部C1で幅方向中央側に膨出するように、複数本の細長状弾性部材33がそれぞれ設けられている。この弾性部材33は、本実施形態では外装シート32とバックシート31との間に接着剤を用いて固定されているが、バックシート31の内面に固定することもできる。
弾性部材33の股間部C2における位置は、おむつ100に対して股間部C2を合わせて装着した状態では、図12及び図13に示すように、おむつ100の内側弾性部材13iよりも幅方向中央側となる。パッド200の弾性部材33は、少なくとも一部がおむつ100の内側弾性部材13iよりも幅方向中央側に位置するだけでも良いが、図示形態のように全てがおむつ100の内側弾性部材13iよりも幅方向中央側に位置するのが好ましい。かくして構成された吸収パッド200を使用すると、股間部C2において、おむつの幅方向両側の細長状弾性部材13により、これと重なるパッド200の幅方向両端部が身体側に押し付けられ、パッド200の弾性部材33により、パッド200の幅方向中央側が身体側に押し付けられる。
股間部C2における弾性部材33の具体的通過位置としては、幅方向中央を基準として幅方向に±100mmの範囲とするのが好ましい。この範囲が広すぎると、おむつ100の弾性部材13と重なり易くなるか又は重なる面積が大きくなり、フィット性の向上効果が乏しくなるおそれがあり、また狭すぎると、吸収パッド200の幅方向中央部のみが身体にフィットし、その幅方向両側のフィット性が不十分になるおそれがある
特に図示形態では、パッド200の弾性部材33のうち股間部C2から腹側F2に延在する部分は、且つおむつ100の内側弾性部材13iに沿って略一定の間隔を空けて略同形状(略直線状)に延在されている。一方、パッド200の弾性部材33のうち背側B2に延在する部分は、臀部の膨らみと対応する部分の幅方向外側を回るような湾曲状に延在する部分と、その後端から前後方向に沿って直線状に延在する部分とを有する。これにより、パッド200の弾性部材33の収縮により生じる外面形状と、おむつ100における弾性部材13の収縮により生じる内面形状とがフィットするようになるため、パッドの股間部C2の幅方向全体が身体に良好にフィットし、またパッド200とおむつ100とのズレも発生し難くなる。
吸収パッド200の細長状弾性部材33としては、糸状、紐状、帯状等の適宜の形状の合成又は天然ゴムを用いることができる。合成ゴムを用いる場合、太さ400〜1200dtex程度のものを伸張率180〜300%程度で設けるのが好ましい。また、吸収パッド200の細長状弾性部材33は2〜10mmの間隔で1〜5本程度並設するのが好ましい。さらに、図示形態のように、幅方向一方側の細長状弾性部材33と幅方向他方側の細長状弾性部材33との間隔が股間部C2において最も狭くなるように配置する場合、細長状弾性部材33を周囲の部材と異なる色の有色部材(通常のおむつは白であるため、青や緑等の清潔感のある色が好ましい)にすると、パッド200の股間部C2の位置を容易に視認でき、おむつ100に対してパッド200を正確に配置することができるようになるため好ましい。
また、吸収パッド200の股間部C2にけるフィット性をさらに高めるために、図11に示すように、吸収パッド200の吸収体23のうち、少なくとも弾性部材33の股間部C2における位置と重なる部分23hを刳り貫くのは一つの好ましい形態である。これにより、吸収体23の柔軟性が増し、吸収パッド23に設けられた弾性部材33によるフィット性の向上効果がより一層のものとなる。刳り貫き部分23hの寸法・形状は適宜定めることができるが、座位時におけるフィット性を考慮すると、図示形態のように、幅方向各側において、弾性部材33の股間部C2における位置と重なる部分から前側部分まで帯状に刳り貫くのが好ましい。この場合における刳り貫き幅W3は、5〜50mm程度とするのが好ましく、刳り貫き長さL3は50〜300mm程度とするのが好ましい。
また、本発明では、股間部におけるフィット性が向上するため、パッド表面と身体との間に尿を一時的にプール(貯留)する空間が少なくなり、一度に多量の排尿があった場合、漏れにつながるおそれがある。よって、図7及び図10に示すように、吸収体23の幅方向中央部における前側部分F2又は股間部C2から後側部分B2までの部分に、身体側に開口する溝23dを形成し、当該溝23d形成部分における吸収速度を向上させるのが好ましい。図示形態の溝は、吸収体23を上下方向に貫通する刳り貫き部により形成されているが、吸収体23に窪みを設けたり、また二層構造の吸収体23の場合には上層吸収体23Uにのみ刳り貫き部を設けたりすることにより形成することもできる。溝23dの寸法は適宜定めることができるが、幅W2は5〜40mm程度であるのが好ましく、長さL2は50〜300mm程度とするのが好ましい。
また、同様の目的で、二層構造の吸収体を採用するとともに、上層吸収体23Uの高吸収性ポリマーの量を下層吸収体23Bよりも少なくし、吸収速度を向上させるのも好ましい形態である。具体的には、下層吸収体23Bの繊維目付けは100〜400g/m2程度、高吸収性ポリマーの目付けは200〜350g/m2程度とするのが好ましく、上層吸収体23Uの繊維目付けは100〜400g/m2程度、高吸収性ポリマーの目付けは0〜200g/m2程度とするのが好ましい。
(他の形態)
吸収パッド200における弾性部材は、股間部C2における位置が、おむつ100に対して股間部C2を合わせて装着した状態で、おむつ100の内側弾性部材13iよりも幅方向中央側(通常の場合、幅方向中央を基準として幅方向に±100mmの範囲内)となる限り、上記形態に限られない。したがって、例えば図14に示すように、幅方向に沿う弾性部材34を前後方向に所定の間隔で複数設けることもできる。
本発明は、吸収パッドと使い捨ておむつとを組み合わせて用いる場合に利用されるものである。
テープ式使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 図1のV−V断面図である。 図1のX−X断面図である。 図1のW−W断面図である。 要部拡大平面図である。 テープ式使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。 吸収パッドの展開状態の内面側を示す平面図である。 吸収パッドの展開状態の外面側を示す平面図である。 図7のY−Y断面図である。 図7のZ−Z断面図である。 他の吸収パッドの展開状態の外面側を示す平面図である。 吸収パッドを取り付けた状態の、テープ式使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 吸収パッドを取り付けた状態の、テープ式使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。 他の吸収パッドを取り付けた状態の、テープ式使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
1,21…不透液性バックシート、2,22…透液性トップシート、3,23…吸収体、4,24…バリヤシート、5…ファスニングテープ、6…ターゲットテープ、7…弾性部材、8…基材シート、9…フックテープ、10…ミシン目、12,32…外装シート、13i,13s,33,34…弾性部材、100…テープ式使い捨ておむつ、200…吸収パッド。

Claims (5)

  1. 股間部、股間部の前側に延出する腹側部分及び股間部の後側に延出する背側部分を有し、
    股間部を含む部分に吸収体を有し、かつ両側部は吸収体を有しないサイドフラップ部とされており、
    前記サイドフラップ部の側縁に脚周りに沿う括れ部分が形成されており、
    背側部分における幅方向両側部から、腹側部分と着脱自在に連結されるファスニングテープがそれぞれ突出されており、
    幅方向両側における吸収体の裏面側に、前記腹側部分から股間部を通り前記背側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されている、テープ式使い捨ておむつと、
    股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分を有し、周縁部により囲まれた本体部分に繊維集合体からなる吸収体が配置されており、前記テープ式使い捨ておむつの内面に股間部を合わせて配置される吸収パッドと、を有する吸収性物品において;
    前記テープ式使い捨ておむつは、前記細長状弾性部材として、前記サイドフラップ部に前記括れ部分に沿って延在するように設けられた外側弾性部材と、腹側部分及び背側部分のサイドフラップ部に始端及び終端を有し、これらよりも股間側の部分において前記吸収体と重なる部分まで内側に膨出延在するように設けられた内側弾性部材とを備えており、
    前記吸収パッドは、前記本体部の幅方向両側における吸収体の裏面側に、前側部分から股間部を通り後側部分まで延在するとともに股間部で幅方向中央側に膨出するように、細長状弾性部材が伸張状態でそれぞれ固定されており、これら幅方向両側の細長状弾性部材はそれぞれ少なくとも一部の細長状弾性部材の股間部における位置が、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材よりも幅方向中央側に位置している、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記吸収パッドにおける幅方向両側の細長状弾性部材はその全てが、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材よりも幅方向中央側に位置しており、
    前記吸収パッドにおける幅方向両側の細長状弾性部材のうち股間部から腹側に延在する部分は、前記テープ式使い捨ておむつの幅方向両側に設けられた内側弾性部材に沿って一定の間隔を空けて延在され、背側に延在する部分は臀部の膨らみと対応する部分の幅方向外側を回るような湾曲状に延在する部分と、その後端から前後方向に沿って直線状に延在する部分とを有している、
    請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収パッドの吸収体は、少なくとも前記吸収パッドの細長状弾性部材の股間部における位置と重なる部分が刳り貫かれている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収パッドの吸収体の幅方向中央部における前記前側部分又は股間部から前記後側部分までの部分に、身体側に開口する溝が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収パッドの細長状弾性部材は、幅方向一方側の前記細長状弾性部材と幅方向他方側の前記細長状弾性部材との間隔が股間部において最も狭くなるように配置されるとともに、前記細長状弾性部材が周囲の部材と異なる色の有色部材とされている、請求項2記載の吸収性物品。
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