JPH09322911A - 吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品

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JPH09322911A
JPH09322911A JP8143141A JP14314196A JPH09322911A JP H09322911 A JPH09322911 A JP H09322911A JP 8143141 A JP8143141 A JP 8143141A JP 14314196 A JP14314196 A JP 14314196A JP H09322911 A JPH09322911 A JP H09322911A
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JP
Japan
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sericin
woven fabric
nonwoven fabric
treated
fibers
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Application number
JP8143141A
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English (en)
Inventor
Kazuo Mori
一雄 森
Taeko Kanai
妙子 金井
Manabu Kaneda
学 金田
Yoshihiro Sakai
吉弘 酒井
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 尿や経血等の体液が数回排泄された後におい
ても、肌当接面側材料が親水性を維持し得る、耐水性の
高い吸収性物品を提供すること。 【解決手段】 本発明の吸収性物品は、ポリオレフィン
系又はポリエステル系繊維を主体とし、繊維表面をセリ
シンで処理した不織布を、肌当接面側材料として用いた
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使い捨ておむつや
生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、更に詳しくは、
セリシンを付加した不織布を肌当接側材料として用いた
吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】使い捨
ておむつは、その構造上から大きく3つの部分に分ける
ことができる。即ち、肌部に直接触れて失禁(排尿)時
におむつ内部に尿を通過させる部分(表面材)、高分子
吸水性ポリマー等の吸収体によって尿をおむつ内部に閉
じ込める部分(吸収体)、おむつの外側に在ってフィル
ム等からなり尿の漏れを防ぐ部分(裏面材)である。上
記表面材としては、通常、風合いの良い不織布が用いら
れ、その構成繊維としてはポリオレフィン系繊維及びポ
リエステル系繊維等がその大部分を占めている。上記ポ
リオレフィン系繊維及びポリエステル系繊維は、疎水性
(撥水性)であるので、これらの繊維を用いて製造され
た不織布からなる表面材では、尿がおむつの内部に吸収
されずに該表面材の表面に沿って流れ、おむつの外に漏
れ出てしまう。それ故、現在の使い捨ておむつにおいて
は、不織布(表面材)を親水化することにより尿の通液
向上を図っている。
【0003】疎水性繊維から構成される不織布の親水性
を向上させる方法としては、例えば、繊維表面に界面活
性剤を塗布する方法がある。しかしながら、界面活性剤
を塗布しただけでは水分に対する耐久性(以下、この親
水性を維持し得る性質を「耐水性」という)がないの
で、尿がひとたび通過するとその部分に塗布されていた
界面活性剤も尿と一緒に流出する結果、その部分の親水
性が大きく低下してしまう。従って、排尿が二度以上起
こると、尿はおむつの内部には吸収されずに不織布(表
面材)の表面に沿って流れ易くなるので、不織布(表面
材)の初期の性能を維持することは困難である。
【0004】疎水性繊維から構成される不織布の親水性
を向上させる別法としては、親水基を有するモノマー又
はポリマーを上記ポリオレフィン系繊維やポリエステル
系繊維の表面に化学結合させたり、上記親水基同士を結
合させて上記モノマーや上記ポリマーを架橋させ、上記
ポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維の表面を被
覆する化学的表面改質法、及びプラズマ加工や親水基を
有する化学物質を上記ポリオレフィン系繊維やポリエス
テル系繊維に練り込む物理的表面改質法がある。これら
化学的表面改質法や物理的表面改質法により親水化され
た不織布(表面材)は、数回の排尿に対しても親水性が
維持され耐水性の高いものとなるが、その製造上設備が
大規模になったり、処理工程が複雑化したり、更にはコ
スト高になるので、使い捨ておむつの表面材として用い
るには適当なものとはいえない。
【0005】また、特開平4−180758号公報に
は、オシメ布の表面に、生繭を圧延切断した細片やこれ
を更に粉砕した粉末を接着剤により塗着させたおむつが
記載されている。しかしながら、このオシメ布は、床ず
れの原因となる皮膚炎を予防することを目的とするもの
であり、また、生繭の細片や粉末を用いた塗着では、不
織布の繊維空隙にこれらの塗着物が入り込み、処理の程
度によっては、不織布の嵩高さが少なくなり、オシメに
求められる柔らかさが失われてしまうという欠点を有す
るものであった。
【0006】従って、本発明の目的は、尿や経血等の体
液が数回排泄された後においても、肌当接面側材料が親
水性を維持し得る、耐水性の高い吸収性物品を提供する
ことにある。また、本発明の目的は、肌当接面側材料の
親水性が高く、尿や経血等の体液の漏れを防止し得る吸
収性物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、吸収性物品における肌当接面側材料として、特
定の繊維を主体として構成され、繊維表面をセリシンで
処理した不織布を用いることにより、上記目的を達成し
得る吸収性物品が得られることを知見した。
【0008】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、ポリオレフィン系又はポリエステル系繊維を主体と
し、繊維表面をセリシンで処理した不織布を、肌当接面
側材料として用いたことを特徴とする吸収性物品を提供
することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】また、本発明は、上記吸収性物品におい
て、セリシンが繭糸から抽出されたものであり、且つ上
記不織布が、不織布原反にセリシンを含浸させた後、不
溶化させることによりセリシンを付加させたものである
吸収性物品を提供するものである。
【0010】また、本発明は、上記吸収性物品におい
て、セリシンが上記不織布の重量に基づき0.1重量%
以上付加されており、且つ上記不織布は、該不織布につ
いてイオン交換水20mlの通液時間に関する通液試験
を5回行い、5回目の通液時間が1分以内である吸収性
物品を提供するものである。
【0011】また、本発明は、上記吸収性物品におい
て、上記ポリオレフィン系及びポリエステル系繊維は、
その繊度が1.5〜6デニールであり、且つ上記不織布
は、その坪量が7〜40g/m2 であり、その0.5g
/cm2 荷重下での厚みが0.2〜2.5mmである吸
収性物品を提供するものである。
【0012】また、本発明は、上記吸収性物品が使い捨
ておむつであり、上記不織布を表面材として用いてなる
吸収性物品を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の吸収性物品の好ま
しい実施形態を使い捨ておむつを例にとり、図面を参照
して説明する。ここで、図1は、本発明の吸収性物品の
好ましい実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図
である。
【0014】図1に示す実施形態の使い捨ておむつ1
は、液透過性の表面材2と、液不透過性の裏面材3と、
該表面材2及び該裏面材3間に介在する液保持性の吸収
体(図示せず)とを備えてなり、着用時に着用者の腹側
に位置する腹側ウエスト部5及び背側に位置する背側ウ
エスト部5’が形成されている。
【0015】上記使い捨ておむつ1の背側ウエスト部
5’の幅方向両側部には、該使い捨ておむつ1の装着時
に上記腹側ウエスト部5と上記背側ウエスト部5’とを
止着するための一対のファスニングテープ10、10’
が配設されている。また、上記使い捨ておむつ1の腹側
ウエスト部5における上記裏面材3の表面には、上記フ
ァスニングテープ10、10’の被止着部としてのラン
ディングテープ11が配設されており、上記ファスニン
グテープ10、10’が、上記ランディングテープ11
に止着するように構成されている。
【0016】上記吸収体は、おむつの股下部に対応する
部分が縊れており、砂時計状に湾曲形成されている。ま
た、上記吸収体の周囲に位置する腹側ウエスト部5及び
背側ウエスト部5’並びに左右のレッグ部においては、
それぞれウエスト部弾性部材6及びレッグ部弾性部材8
が、上記表面材2と上記裏面材3との間に伸張状態で挟
持固定されている。そして、上記ウエスト部弾性部材6
及び上記レッグ部弾性部材8が自由状態で収縮して、図
1に示すように、着用者のウエスト部及び股下部にそれ
ぞれウエストギャザー7、7’及びレッグギャザー9、
9’を形成して、上記ウエスト部及び上記股下部にフィ
ットし得るように構成されている。
【0017】上記使い捨ておむつ1を構成する各部材に
ついて説明すると、上記裏面材3としては、液体は透過
しないが蒸気は透過する透湿性のある液不透過性シート
であって、肌着に近い感触を有するものが好ましい。か
かる液不透過性シートは、例えば、熱可塑性樹脂にフィ
ラーを加えて延伸することによって得られる。特に、か
かる液不透過性シートとして、透湿性を有する多孔性フ
ィルムや、該多孔性フィルムと不織布との複合材等を好
ましく用いることができる。
【0018】上記表面材2と上記裏面材3との間に介在
する上記吸収体としては、解繊パルプを主材として、更
に高分子吸水ポリマーを併用したものや、熱可塑性樹
脂、セルロース繊維及び高分子吸水ポリマーの混合物に
熱処理を施したもの等を用いることが好ましい。また、
高分子吸水ポリマーとパルプとを混合したものを用いて
もよい。この場合、上記高分子吸水ポリマーは、吸収体
の上層、中層及び下層の何れの位置に存在していてもよ
い。上記高分子吸水ポリマーとしては、自重の20倍以
上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化
する性能を有する粒子状のものが好ましい。このような
高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アク
リル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニ
トリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチ
ルセルロールの架橋物、アクリル酸(塩)重合体等が好
ましく挙げられる。
【0019】上記ウエストギャザー7、7’用のウエス
ト部弾性部材6及び上記レッグギャザー9、9’用のレ
ッグ部弾性部材8としては、糸ゴム、平ゴム、フィルム
タイプのゴムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等
が好ましく用いられる。
【0020】而して、本実施形態の使い捨ておむつ1に
おいては、肌当接面側材料である上記表面材2として、
ポリオレフィン系又はポリエステル系繊維を主体とし、
繊維表面をセリシンで処理した不織布が用いられてい
る。かかる不織布を用いることにより、尿等が数回排泄
された後においても上記表面材はその親水性が維持さ
れ、しかも親水性自体も高いので、上記使い捨ておむつ
1における尿等の漏れが防止される。
【0021】上記表面材2として用いられる上記不織布
について説明すると、該不織布はポリオレフィン系又は
ポリエステル系繊維を主体とする不織布原反(即ち、セ
リシン処理される前の不織布)における繊維表面をセリ
シンで処理したものである(以下、この不織布を「セリ
シン処理不織布」という)。
【0022】セリシンはタンパク質の一種であり、繭糸
の精錬工程において得られるものである。セリシンは、
繭糸中において約25〜30重量%を占め、そのアミノ
酸組成は約3分の1がセリンであり、これにスレオニン
を加えると約40重量%がオキシアミノ酸で構成されて
いる。本発明において好ましくは、セリシンとして、繭
糸から抽出されたものを用いる。セリシンは、従来繭糸
の精錬工程において除去、廃棄されていたものであり、
この廃棄されていたセリシンを有効利用することは、環
境的にも有意義である。繭糸からセリシンを抽出する方
法に特に制限は無く、繭糸の精錬工程において用いられ
ている通常の方法を用いることができる。また、繭糸か
ら抽出されたセリシンとして市販品も用いることができ
る。そのような市販品は、水溶液又はパウダーとしてセ
ーレン株式会社から販売されている。
【0023】上記不織布原反は、ポリオレフィン系又は
ポリエステル系繊維を主体とするものである。これらの
繊維を主体とする上記セリシン処理不織布は、尿等によ
って湿潤した状態下でもバルキー性があまり低下しない
ので、液戻り防止性と使用感に優れたものとなる。かか
るポリオレフィン系及びポリエステル系繊維としては、
通常不織布に用いられている繊維を特に制限無く用いる
ことができる。例えば、上記ポリオレフィン系繊維とし
ては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びポ
リエチレンやポリプロピレンを含む複合繊維等が挙げら
れる。一方、上記ポリエステル系繊維としては、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリ
ブチレンテレフタレート(PBT)繊維、及びPETや
PBTを含む複合繊維等が挙げられる。特に、上記ポリ
オレフィン系及びポリエステル系繊維として、ポリエチ
レン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエ
ステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリプロピレン
複合繊維、及び低融点ポリエステル−ポリエステル複合
繊維等が好ましく用いられる。上記複合繊維の繊維形態
としては、並列型(サイド・バイ・サイド型)、分割型
(繊維断面が円弧状に分割されたもの)及び鞘芯型〔シ
ース・コア型(同心円型及び偏心型)〕等が挙げられ
る。上記ポリオレフィン系及びポリエステル系繊維は、
ステープルファイバーのような短繊維の形態で用いられ
てもよく、連続フィラメントのような長繊維の形態で用
いられてもよい。
【0024】上記ポリオレフィン系及びポリエステル系
繊維は、その繊度が1.5〜6デニールであることが好
ましく、1.5〜3デニールであることが更に好まし
い。上記繊度が1.5デニールに満たないと上記セリシ
ン処理不織布全体のバルキー性を高くすることが難しく
なり液戻り防止性と使用感が低下する場合があり、6デ
ニールを超えると上記セリシン処理不織布全体がこわば
った感じになり風合いが低下する場合があるので上記範
囲内とすることが好ましい。
【0025】上記不織布原反は、上記ポリオレフィン系
又はポリエステル系繊維100%から構成されていても
よく、或いは上記ポリオレフィン系又はポリエステル系
繊維を主体とし、他の繊維が混紡されていてもよい。上
記ポリオレフィン系又はポリエステル系繊維を他の繊維
と混紡する場合には、上記不織布原反は、上記ポリオレ
フィン系又はポリエステル系繊維を好ましくは50重量
%以上含み、更に好ましくは70重量%以上含む。上記
ポリオレフィン系又はポリエステル系繊維と混紡し得る
他の繊維としては、上記不織布原反の形成工程における
熱処理により変質しない繊維、例えば、ポリアミド等の
熱可塑性合成繊維、コットン、麻及び羊毛等の天然繊
維、並びにレーヨン及びアセテート等の再生繊維や、上
記熱処理により融着し得る各種バインダー繊維等が挙げ
られる。
【0026】上記不織布原反は、従来から用いられてい
る不織布製造方法、例えば、カード機を用いて得られた
ウエブを熱処理するサクションヒートボンド法、スパン
ボンド法、スパンレース法、メルトブローン法、及びニ
ードルパンチ法等により製造することができる。特に、
バルキーで風合いの良好な不織布が得られるサクション
ヒートボンド法を用いることが好ましい。
【0027】上記セリシン処理不織布は、上記不織布原
反を構成する繊維の表面をセリシンで処理したものであ
る。かかる処理としては、上記不織布原反を構成する繊
維の表面にセリシンを付加することの出来る方法であれ
ば特に制限は無い。特に、セリシンの繊維表面への付着
性を高め、上記セリシン処理不織布の耐水性を高める観
点から、上記不織布原反にセリシンを含浸させた後、セ
リシンを不溶化させることにより、該不織布原反にセリ
シンを付加させることが好ましい。
【0028】かかるセリシンの付加方法について詳述す
ると、まず、上記不織布原反をセリシンの水溶液に浸漬
させ、次いで水不溶化処理を行う。その後、水をマング
ルによる絞りや加熱により除去する。その結果、セリシ
ンが該繊維の表面に強固に付着して、上記不織布原反は
親水化されると共に耐水性が向上する。この場合、セリ
シンの水溶液におけるセリシンの濃度は、セリシンの濃
度増加による該水溶液の粘度上昇及び粘度上昇に伴う取
り扱い性の低下の点から1〜20重量%であることが好
ましく、2〜10重量%であることが更に好ましい。セ
リシンの水不溶化処理としては、架橋剤処理及び/又は
水不溶性マトリックス樹脂処理等がある。架橋剤処理
は、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類や各種エポキ
シ系化合物等の多官能架橋剤を用いセリシンを架橋不溶
化するものである。該多官能架橋剤としては、架橋機能
と造膜マトリック機能とを併せもつグリシジルエーテル
系や水系ウレタン系等のものが好ましく用いられる。特
に、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グ
リセリンジ又はトリグリシジルエーテル、ポリグリセリ
ン、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトール
ポリグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル、ト
リグリシジルエーテル、テトラグリシジルエーテル及び
ポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を用いる
ことが性能及び取り扱い易さ両面から好ましい。これら
エポキシ系化合物の使用に際しては周知のようにアミン
等の触媒を併用することが好ましい。水不溶性マトリッ
クス樹脂処理(非架橋型のマトリックス樹脂処理)は、
水不溶性又は難溶性マトリックス樹脂中に天然蛋白質を
包括させるものであり、該マトリックス樹脂としてはア
クリル系、ウレタン系等種々の樹脂成分を用い得る。こ
れら架橋剤及び/又はマトリックス樹脂は通常セリシン
の水溶液に含浸する際に同伴させる。架橋反応は100
〜200℃程度で行うことが好ましい。該架橋剤及び/
又は該マリックス樹脂の使用量はその機能等によって広
範囲に変え得る。
【0029】セリシンは、上記セリシン処理不織布の重
量に基づき好ましくは0.1重量%以上付加されてお
り、更に好ましくは0.5〜5重量%付加されており、
一層好ましくは0.5〜2重量%付加されている。セリ
シンの付加量が0.1重量%、特に0.5重量%に満た
ないと不織布に充分な親水化を行えず、上記使い捨てお
むつの表面材として用いた場合に、繰り返しの通液性を
付与することができない結果となってしまう場合があ
る。尚、セリシンの付加量は、上記不織布原反をセリシ
ンの水溶液に浸漬させる際の、該水溶液の濃度や含浸量
等の条件により調整することができる。
【0030】上記セリシン処理不織布は、該セリシン処
理不織布を上記使い捨ておむつの表面材として用いた場
合の液戻り防止性と使用感、及び該セリシン処理不織布
の製造コストの観点から、その0.5g/cm2 荷重下
での厚みが0.2〜2.5mmであることが好ましく、
0.6〜1.5mmであることが更に好ましい。上記セ
リシン処理不織布の厚みを上記範囲内とするためには、
該セリシン処理不織布を構成する繊維の繊度を上述した
好ましい範囲内としたり、或いは該セリシン処理不織布
の坪量を以下に述べる好ましい範囲内とすればよい。
【0031】上記セリシン処理不織布は、上述した厚み
との関係で、その坪量が7〜40g/m2 であることが
好ましく、18〜30g/m2 であることが更に好まし
い。上記坪量が7g/m2 に満たないと厚みが小さくな
り、上記セリシン処理不織布を上記使い捨ておむつの表
面材として用いた場合の液戻り防止性や使用感が低下
し、15g/m2 を超えると製造コストが大きくなるの
で上記範囲内とすることが好ましい。
【0032】上記セリシン処理不織布は、該セリシン処
理不織布についてイオン交換水20mlの通液時間に関
する通液試験を5回行い、5回目の通液時間が90秒以
内であることが好ましい。かかる通液試験による通液時
間は不織布の親水性及び耐水性の程度を表す尺度であ
り、通液時間が短いほど不織布の親水性は大きく、また
通液試験を複数回行った後の通液時間と初期の通液時間
との差が小さいほど不織布の耐水性は大きい。上述の通
り、界面活性剤で処理された疎水性不織布からなる使い
捨ておむつの表面材は耐水性が低いために、排尿が二度
以上起こると親水性を失い、尿はおむつの内部には吸収
されずに表面材の表面に沿って流れてしまうが、上記セ
リシン処理不織布は十分な耐水性を有するので、数回の
排尿によってもその親水性が失われることはなく、しか
も親水性自体も大きい。尚、上記通液試験の試験方法に
ついては、後述する実施例において詳述する。
【0033】セリシンは、人の肌のNMF(天然保湿因
子)に近いアミノ酸組成を有しており、優れた吸放湿性
を示し、むれ・かぶれ防止に効果を発揮する物質である
ことから、衣料品の分野においてもスポーツシャツや敏
感肌のための下着等に利用されている。本発明において
も、セリシン処理不織布は、従来の界面活性剤で処理さ
れた表面材に比べて、より肌に優しくむれやかぶれを防
ぐ効果を発揮する。
【0034】以上、本発明の吸収性物品をその好ましい
実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、種々の変更形態が可能であ
る。例えば、上記セリシン処理不織布を、上記使い捨て
おむつ以外の他の吸収性物品、例えば、生理用ナプキ
ン、失禁パッド及び母乳パッド等における表面材及びそ
の他の肌当接面側材料として用いてもよい。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明の有効性を例示す
る。しかしながら、本発明はかかる実施例に制限されな
いことはいうまでもない。
【0036】〔実施例1〕セリシン処理不織布の製造 ポリプロピレンとポリエチレンとの芯鞘構造(芯部ポリ
プロピレン、鞘部ポリエチレン、芯/鞘比:50/5
0)よりなる複合繊維(3d×51mm)をカード機を
用いて開繊しウエブとなした。引き続き、該ウエブを、
スルー・エア・ドライヤ中を通過させて熱処理し(熱風
温度;168℃、風速;2m/分)、不織布原反を製造
した。セリシンパウダー(セーレン株式会社)50gと
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ
化成工業株式会社)50gとジエチレントリアミン2g
とを水1リットル中に混合攪拌して得られた繊維処理剤
溶液に上記不織布原反を浸漬させて、該不織布原反にセ
リシンを十分に含浸させた。その後マングルにて余剰の
処理剤溶液を除去した後に100℃で10分間の熱処理
を行なった。次いでウインスにて5分間水洗処理を行
い、セリシンを水不溶化させて繊維表面に定着させた。
このようにして得られたセリシン処理不織布におけるセ
リシンの付加量は、該セリシン処理不織布の重量に基づ
き1.7重量%であり、該セリシン処理不織布の坪量は
25g/m2 であり、0.5g/cm2 荷重下での厚み
は1.5mmであった。
【0037】上記セリシン処理不織布についてイオン交
換水20mlの通液時間に関する通液試験を下記の方法
で行った。その結果を表1に示す。 <通液試験の試験方法>図2に示すように、60×60
mmの寸法に切り出した上記セリシン処理不織布15の
上にトーヨーNo.2濾紙16を重ね、シリコンパッキ
ング17、17’を介してこれらを上下部からなる一対
の通液用ガラス器具18、18’間に挟持固定する。該
通液用ガラス器具18、18’は高さ75mm、内径3
6mm、肉厚3mmの円筒状であり、その両端に外径6
0mmのフランジ部分が設けられている。下部の通液用
ガラス器具18’の下方には、液受け19が載置された
電子天秤20が配置されている。上部の通液用ガラス器
具18に40mlのイオン交換水を注入し通液量が20
mlになるまでの時間を測定する。20ml通液後、上
記セリシン処理不織布15を取り出し、2枚の濾紙の間
に挟み込み、その上に重さ1kgの重りを載せて1分間
放置する。これを1サイクルとして通液時間(秒)の測
定を5回行った。尚、通液量が20mlに達しない場
合、及び180秒(3分)以上の通液時間を要する場合
には、通液時間を180秒とした。
【0038】使い捨ておむつの製造 上記セリシン処理不織布を表面材として用い、図1に示
す使い捨ておむつを製造した。得られたおむつについて
10人のモニターに対して尿の漏れに関する試験を行っ
た。その結果、セリシン処理不織布を用いたおむつで
は、尿の漏れはまったく生じず、良好な結果であった。
【0039】〔実施例2〕実施例1において用いた複合
繊維の芯部のポリプロピレンをPETに代える以外は実
施例1と同様の操作により不織布原反を製造した。この
ようにして得られた不織布原反について実施例1と同様
の操作を行い、実施例1のセリシン処理不織布と同様の
セリシン付加量、坪量及び厚みを有するセリシン処理不
織布を得た。得られたセリシン処理不織布について実施
例1と同様の通液試験を行った。その結果を表1に示
す。次に、上記セリシン処理不織布を表面材として用
い、図1に示す使い捨ておむつを製造した。得られたお
むつについて実施例1と同様の試験を行った。その結
果、モニターに対しての尿漏れ試験でも、まったく尿漏
れが生じなかった。
【0040】〔比較例1及び2〕実施例1及び2におい
て得られた不織布原反に下記表2及び表3に示す耐水性
油剤(比較例1)及び非耐水性油剤(比較例2)をそれ
ぞれ塗布して親水化処理不織布を得た。なお、比較例1
の親水化処理不織布における耐水性油剤の付加量は0.
3重量%、坪量は25g/m2 、0.5g/cm2 荷重
下での厚みは1.5mmであり、比較例2の親水化処理
不織布における非耐水性油剤の付加量は0.3重量%、
坪量は25g/m2 、0.5g/cm2 荷重下での厚み
は1.5mmであった。得られた親水化処理不織布につ
いてそれぞれ実施例1と同様の通液試験を行った。その
結果を表1に示す。上記親水化処理不織布をそれぞれ表
面材として用い、図1に示す使い捨ておむつを製造し
た。得られたおむつについてそれぞれ実施例1と同様の
試験を行った。その結果、モニターに対しての尿漏れ試
験で若干の尿漏れが認められた。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明の吸収性物品によれば、尿や経血
等の体液が数回排泄された後においても、肌当接面側材
料の親水性が維持される。また、本発明の吸収性物品に
よれば、肌当接面側材料の親水性が高く、尿や経血等の
体液の漏れが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の好ましい実施形態として
の使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】通液試験に用いられる器具を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ 2 表面材 3 裏面材 5 腹側ウエスト部 5’背側ウエスト部 6 ウエスト部弾性部材 7、7’ ウエストギャザー 8 レッグ部弾性部材 9、9’ レッグギャザー 10 ファスニングテープ 11 ランディングテープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 吉弘 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系又はポリエステル系繊
    維を主体とし、繊維表面をセリシンで処理した不織布
    を、肌当接面側材料として用いたことを特徴とする吸収
    性物品。
  2. 【請求項2】 セリシンが繭糸から抽出されたものであ
    り、且つ上記不織布が、不織布原反にセリシンを含浸さ
    せた後、不溶化させることによりセリシンを付加させた
    ものである、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 【請求項3】 セリシンが上記不織布の重量に基づき
    0.1重量%以上付加されており、且つ上記不織布は、
    該不織布についてイオン交換水20mlの通液時間に関
    する通液試験を5回行い、5回目の通液時間が90秒以
    内である、請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 【請求項4】 上記ポリオレフィン系及びポリエステル
    系繊維は、その繊度が1.5〜6デニールであり、且つ
    上記不織布は、その坪量が7〜40g/m2であり、そ
    の0.5g/cm2 荷重下での厚みが0.2〜2.5m
    mである、請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
  5. 【請求項5】 上記吸収性物品が使い捨ておむつであ
    り、上記不織布を表面材として用いてなる、請求項1〜
    4の何れかに記載の吸収性物品。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11276876A (ja) * 1998-03-31 1999-10-12 Seiren Co Ltd 界面活性剤
KR100412284B1 (ko) * 2001-04-23 2003-12-31 주식회사 라크인더스트리 기저귀, 생리대용 기능강화 부직포 제조방법
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JP2016537186A (ja) * 2013-10-21 2016-12-01 ザ ノース フェイス アパレル コーポレイションThe North Face Apparel Corp. 織地およびその他の基材用の機能性バイオマテリアルコーティング
EP3556932A1 (en) 2014-04-01 2019-10-23 Daicel Corporation Hydrophilized cellulose acetate tow band, and absorbent material produced using same

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