JP3807834B2 - 吸収体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収体、特に使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の薄型の吸収性物品に好適に用いられる吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッド等の吸収性物品は、主として中心部に配された、身体から排泄される尿、経血等の体液を吸収、保持する吸収体と、身体に接する側に配された柔軟な液透過性の表面シートと、身体と接する反対側に配された液不透過性の裏面シートとを有している。吸収体は通常パルプ繊維と吸水性ポリマーから構成されている。吸収性物品は、不織布を通して入ってきた尿等をパルプ繊維で一時的に保持した後、吸水性ポリマーで体液を保持する。この際に吸水性ポリマーは膨潤し、吸収体の体積が増加する。一般に吸収体の吸水性を向上させるために吸水性ポリマー量を増やすことを行なった場合、あるいは吸収性物品及び吸収体を薄型化するためには、嵩高いパルプ繊維を減らさなければならず、その場合には吸収体中のパルプ量は相対的に減少し、その絡みが少なくなるため、乾燥時及び吸水性ポリマーが膨潤した際に、装着者の動きの中で圧縮や剪断力がかかると、吸収体が割れたり、偏ったりして吸収阻害の原因となる。
【0003】
このような吸収阻害を防止する方法としては、熱溶融繊維をパルプ繊維中に混ぜ込むことで熱溶融繊維同士、及びパルプ繊維と熱溶融繊維との間に接着力を発現させ、保形性を向上させる方法が採られている。熱溶融繊維を混合し吸収体の形状安定化を向上させる提案としては、特開昭63−92701号公報、特開昭63−318941号公報、特開昭63−260555号公報及び特開平2−74254号公報等がある。
また、他の方法としては、特開平6−98909号公報に、レーヨン等の親水性長繊維をパルプ繊維内に混合する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸収体の保形性のために用いられる熱溶融繊維の混入は、熱溶融繊維自体が疎水性であるため、吸収性阻害のおそれがある。
また、生産ライン上に熱溶融システムが必要とされ、溶融時間との兼ね合いで、生産速度が拘束されてしまう。更に、熱溶融繊維の配合種、量、溶融温度によっては、吸収体が硬く成り過ぎて、吸水性ポリマーの膨潤を阻害したり、風合いの面で問題を生じたりするおそれがある。
一方、レーヨン等の親水性長繊維をパルプ繊維内に混合する方法では、上記熱溶融繊維のような問題点は生じないが、吸収体の保形性向上効果は熱溶融繊維を用いる方法より低く、特にパルプ使用量を低減した薄型の吸収性物品では、十分な効果が得られない。
【0005】
従って、本発明の目的は、熱処理工程等を必要とせずに、体液吸収時の吸収体形状を安定に維持し、吸収阻害が無く、更には、吸収体及び吸収性物品の厚み回復を抑え、適度なコシを有し、風合いにも優れた薄型の吸収体及び吸収性物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、吸収体を構成するパルプ繊維及び吸水性ポリマーに加えて、該パルプ繊維と別の繊維を含有させ、該別の繊維を含有させることにより、水分との接触により該別の繊維相互間又は該別の繊維と他の構成部材との間に粘着性を発現させ、上記吸収体の形状を安定化させることにより、上記目的が達成することを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、パルプ繊維及び吸水性ポリマーを主体とし、これに該パルプ繊維と別の繊維を含有させてなる、坪量が50g/m 2 〜500g/m 2 で且つ厚みが5mm以下である液保持性の吸収体であって、
上記別の繊維がポリビニルアルコールの完全ケン化物からなり、水分との接触により該別の繊維相互間又は該別の繊維と他の構成部材との間に粘着性を発現し、上記吸収体の形状を安定化させるものであり、且つ上記別の繊維はその繊維長が10〜100mmで、水への溶解開始温度が50〜90℃であることを特徴とする吸収体を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体層を有する吸収性物品において、
上記吸収体層として、上記吸収体を用いることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体層を有する吸収性物品において、
上記吸収体層が2つ以上の層からなり、少なくとも1つの層が空隙率の高い繊維状基材からなる液拡散層であり、該液拡散層の下層として上記吸収体を用いることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0010】
【作用】
上記吸収体が体液を吸収すると、上記別の繊維が体液中の水により、適度に可塑化、膨潤し、この別の繊維相互間及び別の繊維とパルプ繊維、吸水性ポリマーとの間に粘着性を発現し、このことにより体液吸収時の吸収体形状が安定に維持されると考えられる。
【0011】
また、熱溶融繊維を混合する方法と異なり、この別の繊維自体が親水性であることと、吸収体が体液を吸収して吸水性ポリマーが膨潤するのとほぼ同時に該別の繊維が粘着性を発現することのために、吸水性ポリマーの膨潤を妨げる等の吸収阻害を生じることもなく、パルプ繊維使用量を低減した薄型の吸収体及び吸収性物品も十分な吸収体形状安定化の効果が得られる。また、予め水を散布することにより、該別の繊維に粘着性を発現させることにより、乾燥時に保形性を付与し厚みの回復を抑制することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸収体及び吸収性物品について詳細に説明する。
本発明の吸収体は、上記のようにパルプ繊維及び吸水性ポリマーを主体とし、これに該パルプ繊維と別の繊維を含有させてなり、液保持性の吸収体である。
【0013】
ここで用いられる別の繊維とは、水分との接触により該別の繊維相互間又は該別の繊維と他の構成部材、具体的にはパルプ繊維及び吸水性ポリマーとの間の相互作用により粘着性を発現し、上記吸収体の形状を安定化させるものである
【0014】
上記別の繊維として用いられる繊維は、ポリビニルアルコール(PVA)からなる。
【0015】
この繊維に、上記したような別の繊維としての特性を付与するには、ポリビニルアルコールの完全ケン化物を用いる。
【0016】
上記別の繊維の含有量は、繊維の種類によって適切に選択されるが、上記パルプ繊維に対して1〜50重量%であることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましい。
【0017】
また、上記別の繊維の繊維長は、10〜100mmであり、好ましくは15〜55mm、更に好ましくは15〜30mmである。繊維長が10mmより短いと十分な湿潤強度が得られない。一方、繊維長が100mmを超えると繊維自身の絡まりが生じ、吸収体に均等に混合されず、同様に強度が得られない。また、上記別の繊維の繊度は、0.1〜10デニールであることが好ましく、0.5〜5デニールであることがより好ましい。薄片の形態として用いる場合は、面積20〜500mm2 、好ましくは40〜200mm2のリボン状又は任意の形状のものとして用いる。
【0018】
上記別の繊維は、水への溶解開始温度が50〜90℃である。水への溶解開始温度が50℃未満の繊維は、吸収体が体液を吸収した際に溶解してしまう場合がある。
【0019】
この水への溶解開始温度測定法を図1〜2を参照して説明すると、図1に示されるように、幅約10mm、長さ20mmの窓Bを開けた長方形の薄紙a(長さ約50mm、厚さ0.2mm)に単繊維cを、そのたるみをとるために、ごく軽い張力をかけて張り、両端を接着剤dで固定する。次に窓Bの長さ方向の中央部付近で、薄紙aを点線eで示される幅方向に切断した後、繊維下側に表示デニールの1/20cNの荷重をかける。図2に示されるように、水槽f中にサンプルをセットし、徐々に水温を上げ、繊維がおもりgによる重みに耐えきれずに切断される最低の温度を溶解開始温度という。
【0020】
また、上記別の繊維は、20℃の水中での収縮率が10〜50%であることが好ましく、20〜40%であることが更に好ましい。上記繊維の収縮率が10%未満であると繊維同士あるいはパルプ繊維との絡み合いが十分発現されず、十分な強度が得られない。また、50%を超えるものは環境の影響を受けやすく、その結果、繊維をパルプ繊維中に混合する際にダマになりやすく、十分な強度が得られない。即ち、強度のある部分とない部分が生じ、弱い部分が破壊することになる。
【0021】
上記繊維の収縮率は下記の方法によって測定される。
即ち、JIS L 1015−1992 化学繊維ステープル試験方法に準拠して行う。具体的に上記した図1を参照して説明すると、幅約10mm、長さ20mmの窓Bを開けた長方形の薄紙a(長さ約50mm、厚さ0.2mm)に単繊維cを、そのたるみをとるために、ごく軽い張力をかけて張り、両端を接着剤dで固定する。次に窓Bの長さ方向の中央部付近で、薄紙aを点線eで示される幅方向に切断した後、水中に5分間浸漬する。その後濾紙で水切りをした後、たるみをとる程度に張力をかけて繊維長(L2)を測定し下記式(1)により収縮率を測定する。
【0022】
収縮率(%)=[(L1 −L2 )/L1 ]×100……(1)
L1 :初期繊維長(mm)
L2 :浸漬後の繊維長(mm)
【0023】
また、上記別の繊維は、30℃の水中での膨潤度が30〜1000%であることが好ましく、40〜500%であることが更に好ましい。上記繊維の膨潤度が30%未満であると繊維同士あるいはパルプ繊維との粘着性や絡み合い等の相互作用が十分発現されず、十分な強度が得られない。また、膨潤度が1000%を超えるものは、膨潤により繊維自体の強度が低下してしまうため、十分な強度が得られない。
【0024】
上記繊維の膨潤度の測定は、次の方法により行われる。
即ち、予め重量を精秤した繊維10gを、ナイロンメッシュで作成した袋の中に詰め、30℃の水中に30min浸漬する。これを800rpmの遠心分離器にかけ脱水し、膨潤後の重量を測定、以下の式に従い膨潤度を計算する。
【0025】
膨潤度(g)=[(膨潤後の重量(g)−初期重量(g))/初期重量(g)]×100
【0026】
パルプ繊維は、吸収体に従来から用いられているものであれば特に制限はないが、そのパルプ繊維の平均繊維長は、粉砕、積層、圧縮処理等を考慮すると、通常0.8〜3mmの範囲にあることが望ましい。
【0027】
吸水性ポリマーは、吸収体に従来から用いられているものであれば特に制限はされないが、本発明では特に高吸水性ポリマーを用いることが望ましく、高吸水性ポリマーの液吸収率は20w/w以上であることが望ましい。
【0028】
また、上記高吸水性ポリマー0.5gを断面積4.91cm2 (内径25mmφ)の円筒に生理食塩水と共に充填し、該生理食塩水により該高吸水性ポリマーを飽和状態に達するまで膨潤させ、膨潤した該高吸水性ポリマーが沈降した後に生理食塩水50mlを通過させた際の液通過時間が20秒以下であることが望ましい。
【0029】
液通過時間は、高吸水性ポリマーのゲルブロッキング現象の発生の尺度となるものであり、該液通過時間が20秒を超えると、上記高吸水性ポリマーの使用量を上記吸収体の総重量の45重量%以上とした場合に、ゲルブロッキング現象が生じ、該高吸水性ポリマーの吸収性能が阻害されてしまう。上記液通過時間は短い程好ましいが、実用的な範囲として2〜20秒が好ましく、2〜15秒が更に好ましい。
【0030】
具体的な吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体又はそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸セシウム等の粉末が好適である。
【0031】
吸水性ポリマーはパルプ繊維に対して、100〜500重量%、特に120〜300重量%であることが望ましく、この範囲で用いると、吸収体の体液吸収が充分であると共に、吸収体の保形性が充分に維持される。
【0032】
別の繊維薄片は、吸水性ポリマー及びパルプ繊維と一様に混合してもよいし、パルプ繊維とのみ混合し、吸水性ポリマーを別に散布してもよい。別の繊維は完全に一様にパルプ繊維及び吸水性ポリマーと混合される必要はなく、別の繊維が一定量集団で存在していてもよい。別の繊維を予め不織布状のシートとし、これにパルプ繊維及び吸水性ポリマーを積層するか、又はこれをパルプ繊維及び吸水性ポリマーの層で挟んでサンドイッチ状として構成してもよい。また、パルプ繊維と吸水性ポリマーの混合物を、別の繊維を予め不織布状のシートとしたもので、包んで吸収体を構成してもよい。
【0033】
吸収体における、パルプ繊維あるいは吸水性ポリマーの分布は、目的に応じて適宜調整可能である。例えば、吸水性ポリマーの散布幅を調整し、幅方向中央部に集中させてもよい。あるいは排尿ポイントに集中させ一部中高形状を付与してもよい。吸水性ポリマーの前後偏在比は、前/後=100/0〜30/70、好ましくは80/20〜40/60である。
【0034】
本発明は特に薄型の吸収体として用いる場合に有用である。従って、本発明の吸収体の厚みは5mm以下、好ましくは3mm以下である。そして、上記吸収体の破断強度が100cN以上であることが望ましい。破断強度が100cN未満では実使用で吸収体の破壊が顕著となり、漏れを生じる可能性があるので好ましくない。また、本発明の吸収体は、JIS P 1825 で規定されるテーバーこわさが平均で20g未満であることが好ましい。テーバーこわさが平均で20g以上では、おむつ全体がかなり硬いものとなり、好ましくない。
【0035】
薄型の吸収体の坪量としては50g/m 2 〜500g/m 2 、好ましくは50g/m2 〜300g/m2 である。50g/m2 未満だと吸収体としての吸収容量が不足する。500g/m2 超だと吸収体が厚くなり、実使用時におけるフィットネス性に劣る、携帯に不便等の不都合がある。
【0036】
本発明の吸収性物品は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体層とを有し、上記吸収体層として上記の吸収体を用いるものである。
【0037】
また、本発明の吸収性物品において、薄型の吸収体層を用いる際には、上記吸収体層を2つ以上の層とし、少なくとも1つの層が空隙率の高い繊維状基材からなる液拡散層であり、該液拡散層の下層として上記の吸収体を用いるものである。
【0038】
上記空隙率の高い繊維状基材からなる層とは、例えば空隙率の高い不織布等をシート状にして重ね合わせた層であって、排泄物の一時ストック層、液拡散層あるいは肌との間を隔離する隔離層としての働きをもたせることにより、吸収性能(素早い吸収、耐液戻り性)を高めることができる。
【0039】
上記繊維状基材としては、例えば、セルロース系繊維、変性セルロース系繊維、合成繊維及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
上記セルロース系繊維としては、例えば木材パルプや綿等の天然繊維、ビスコースレーヨンやアセテート等のセルロース系化学繊維が挙げられる。
【0040】
一方、上記合成繊維としては、例えば、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維及びこれらの合成繊維の少なくとも2種を芯鞘型等に複合化した繊維、並びにこれらの合成繊維の少なくとも2種を混合した繊維等が挙げられる。これらの繊維状基材のうち合成繊維は、その表面をコロナ処理、プラズマ処理、界面活性剤の親水化剤の塗布等により表面を親水化することが好ましい。
【0041】
特に、上記空隙率の高い繊維状基材からなる層として、空隙率の高い合成繊維からなる不織布をシート状に重ね合わせたものが好ましい。この際の不織布は、坪量15〜70g/m2 、好ましくは20〜60g/m2 を有し、不織布に用いられる繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、レーヨン等の繊維径3〜10d、長さ38〜75mmのものが好ましい。また、パルプ繊維とバインダー成分を主体とした乾式パルプシートのようなものも用いてもよい。更に、多孔性フィルムや発泡体(ウレタン系、オレフィン系)を用いることができる。
【0042】
本発明の上記吸収性物品の表面シートは、液透過性を十分に有するものであれば特に制限はなく、例えば、織布、不織布、または多孔性シート等が挙げられ、その素材としては、レーヨン、コットン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。裏面シートは、吸収性物品に従来から用いられている液不透過性のシートであれば特に制限されることはないが、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸した液不透過性で且つ蒸気を透過させる蒸気透過性のシートあるいはある種のウレタンやポリエステル系のフィルムで透気性のあるもの等が好ましく、さらに、上記シートと不織布との複合材等も用いることができる。
【0043】
また、本発明の吸収性物品の製造方法では、その製造工程において、上記吸収体に水を添加する工程を含むことが望ましい。このように予め水を添加することによって、乾燥時及び体液吸収時の吸収体の形状が安定に維持できる。その際の水の添加量は、上記吸収体100重量部に対して30重量部未満であることが望ましい。また、このように吸収体に水を添加する場合、平衡時に吸収体の水分活性値が0.6未満であることが望ましい。水分活性値が0.6を越えるとカビの発生が懸念されるばかりか、吸収体が固くなりすぎて風合いが悪くなる。本発明の吸収性物品の製造方法におけるその他の工程は、それ自体公知の方法で製造することができる。
【0044】
本発明の吸収性物品は、使い捨ておむつに好ましく適用されるほか、その他の吸収性物品、例えば、生理用ナプキン、失禁パッド及び母乳パッド等に適用してもよい。
【0045】
次に、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態を使い捨ておむつを例にとり、図面を参照して説明する。ここで、図3は、本発明の吸収性物品の実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図であり、図4は、図3に示す使い捨ておむつを展開した状態を示す一部破断平面図である。
【0046】
図3及び図4に示す実施形態の使い捨ておむつ1は、液透過性の表面材2と、液不透過性の裏面材3と、該表面材2及び該裏面材3間に介在する液保持性の吸収体4とを備えてなり、着用時に着用者の腹側に位置する腹側ウエスト部5及び背側に位置する背側ウエスト部5’が形成されている。
【0047】
上記使い捨ておむつ1の背側ウエスト部5’の幅方向両側部には、該使い捨ておむつ1の装着時に上記腹側ウエスト部5と上記背側ウエスト部5’とを止着するための一対のファスニングテープ10、10’が配設されている。また、上記使い捨ておむつ1の腹側ウエスト部5における上記裏面材3の表面には、上記ファスニングテープ10、10’の被止着部としてのランディングテープ11が配設されており、上記ファスニングテープ10、10’が、上記ランディングテープ11に止着するように構成されている。
【0048】
上記吸収体4は、おむつの股下部に対応する部分が縊れており、砂時計状に湾曲形成されている。また、上記吸収体4の周囲に位置する腹側ウエスト部5及び背側ウエスト部5’並びに左右のレッグ部においては、それぞれウエスト部弾性部材6及びレッグ部弾性部材8が、上記表面材2と上記裏面材3との間に伸張状態で挟持固定されている。そして、上記ウエスト部弾性部材6及び上記レッグ部弾性部材8が自由状態で収縮して、図3に示すように、着用者のウエスト部及び股下部にそれぞれウエストギャザー7、7’及びレッグギャザー9、9’を形成して、上記ウエスト部及び上記股下部にフィットし得るように構成されている。
【0049】
上記使い捨ておむつ1を構成する各部材について説明すると、上記表面シート2としては、排泄物を上記吸収体4へ透過させる液透過性シートであって、肌着に近い感触を有したものが好ましい。このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布及び多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、上記表面シート2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法等により、上記表面シート2の周縁に撥水処理を施し、該周縁部における尿等の滲みによる漏れを防止したものも好ましく用いることができる。
【0050】
上記裏面材3としては、液体は透過しないが蒸気は透過する透湿性のある液不透過性シートであって、肌着に近い感触を有するものが好ましい。かかる液不透過性シートは、例えば、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸することによって得られる。特に、かかる液不透過性シートとして、透湿性を有する多孔性フィルムや、該多孔性フィルムと不織布との複合材等を好ましく用いることができる。
【0051】
上記ウエストギャザー7、7’用のウエスト部弾性部材6及び上記レッグギャザー9、9’用のレッグ部弾性部材8としては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく用いられる。
【0052】
【実施例】
以下実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
【0053】
(1)使い捨ておむつの作製
〔実施例1〕
坪量15g/m2 のティッシュ上に、解繊されたパルプ繊維60重量部と、水への溶解開始温度60℃のポリビニルアルコール(PVA)繊維(重合度1700、完全ケン化物、2デニール、15mmカット品)5重量部および高吸水性ポリマー100重量部を均一混合し、坪量250g/m2 で積層し、上記ティッシュで包み込んで厚み2mmの吸収体を得た。得られた吸収体に、表面材としてポリエチレン繊維からなる坪量25g/m2 からなる不織布を、また、裏面シートとしてポリエチレンシートを配し、使い捨ておむつを作製した。
【0054】
〔実施例2〕
実施例1におけるPVA繊維の代わりに水への溶解開始温度90℃のPVA繊維(重合度2400、完全ケン化物、2デニール、15mmカット品)を10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0055】
〔実施例3〕
実施例1におけるPVA繊維を20重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0056】
〔実施例4〕
実施例1におけるPVA繊維の代わりに水への溶解開始温度80℃のPVA繊維(重合度1700、完全ケン化物、1.5デニール、20mmカット品)を5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0057】
〔比較例1〕
実施例1で用いた水への溶解開始温度60℃のPVA繊維の代わりに、水不溶のレーヨン繊維(1.5デニール、15mmカット品)を用いた以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0058】
〔比較例2〕
実施例2で用いた水への溶解開始温度90℃のPVA繊維の代わりに、水への溶解開始温度5℃以下のPVA繊維(2デニール、15mmカット品)を用いた以外は、実施例2と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0059】
〔比較例3〕
実施例1で用いた水への溶解開始温度60℃のPVA繊維の代わりに、ポリエチレン(PE)繊維(2デニール、10mmカット品、融点100℃)を用いて、実施例1と同様に吸収体を作成したこと及び該吸収体を表面温度140℃の熱エンボスロールで熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
【0060】
(2)使い捨ておむつの評価
実施例1〜4及び比較例1〜2の使い捨ておむつの各々について、一般のモニター20人に対して計200枚の使用テストを実施し、全おむつに対する尿漏れが生じたおむつの割合を求めた。また、使用後のおむつを回収し、吸収体の破壊の状態を観察し、全おむつに対する吸収体が破壊したおむつの割合を求めた。また、吸収体の破断強度を下記の方法によって測定した。それぞれの結果を表1に示す。
【0061】
(吸収体の破断強度の測定法)
図5に示されるように、吸収体をMD×CD=100mm×70mmにカットし、生理食塩水を0.5g/cm2 吸収させる。吸水ポリマーにより吸収が完了した後、両端をクリップにより20mm幅に挟み、TENSILON(TOYO−WALDWIN社)にて、引張強度300m/minで破壊強度を求めた。測定は5点行い、その平均値で示した。
【0062】
【表1】
【0063】
以上の実施例、比較例の結果から以下のことが明らかである。
(イ)パルプ繊維に本発明でいう別の繊維であるPVA繊維を含有させた吸収体から構成される使い捨ておむつ(実施例1〜4)は、尿漏れが僅かであると共に、吸収体の破断強度に優れ、吸収体の破壊も僅かである。
(ロ)一方、本発明でいう別の繊維に該当しないレーヨン繊維(比較例1)あるいはPVA繊維(比較例2)を含有させた場合は、尿漏れの割合が大であると共に、吸収体の破断強度に劣り、吸収体の破壊の割合も大である。
(ハ)本発明でいう別の繊維に該当しないPE繊維を含有させ、かつ熱融着処理を行った吸収体から構成される使い捨ておむつ(比較例3)は、吸収体の破断強度は良好であり、吸収体の破壊は僅かであるが、尿漏れの割合が大である。
【0064】
【発明の効果】
本発明の吸収体及び吸収性物品は、体液吸収時の吸収体形状を安定に維持し、吸収阻害が無く、風合いにも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水への溶解開始温度測定法及び繊維の収縮率の測定法におけるサンプルの調製の概略を示す模式図。
【図2】水への溶解開始温度測定法におけるサンプルを水槽中にセットした状態を示す模式図。
【図3】本発明の吸収性物品の実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図。
【図4】図3に示す使い捨ておむつを展開した状態を示す一部破断平面図。
【図5】実施例及び比較例における吸収体の破断強度の測定法を示す模式図。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面材
3 裏面材
4 吸収体
5 腹側ウエスト部
5’背側ウエスト部
6 ウエスト部弾性部材
7、7’ ウエストギャザー
8 レッグ部弾性部材
9、9’ レッグギャザー
10 ファスニングテープ
11 ランディングテープ
Claims (9)
- パルプ繊維及び吸水性ポリマーを主体とし、これに該パルプ繊維と別の繊維を含有させてなる、坪量が50g/m 2 〜500g/m 2 で且つ厚みが5mm以下である液保持性の吸収体であって、
上記別の繊維がポリビニルアルコールの完全ケン化物からなり、水分との接触により該別の繊維相互間又は該別の繊維と他の構成部材との間に粘着性を発現し、上記吸収体の形状を安定化させるものであり、且つ上記別の繊維はその繊維長が10〜100mmで、水への溶解開始温度が50〜90℃であることを特徴とする吸収体。 - 破断強度が100cN/70mm以上である請求項1に記載の吸収体。
- テーバーこわさが平均で20g未満である請求項1又は2に記載の吸収体。
- 上記別の繊維の含有量が、上記パルプ繊維に対して1〜50重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の吸収体。
- 上記吸水性ポリマーの含有量が、上記パルプ繊維に対して100〜500重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の吸収体。
- 上記別の繊維の繊維長が、15〜30mmである請求項1〜5のいずれかに記載の吸収体。
- 上記別の繊維の繊度が、0.1〜10デニールである請求項1〜6のいずれかに記載の吸収体。
- 液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体層を有する吸収性物品において、
上記吸収体層として請求項1〜7のいずれかに記載の吸収体を用いることを特徴とする吸収性物品。 - 液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体層を有する吸収性物品において、
上記吸収体層が2つ以上の層からなり、少なくとも1つの層が空隙率の高い繊維状基材からなる液拡散層であり、該液拡散層の下層として請求項1〜7のいずれかに記載の吸収体を用いることを特徴とする吸収性物品。
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