JP4919798B2 - 吸収性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性シート及びその製造方法に関する。
従来、紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、尿、経血等の体液の吸収性と保持性を高める目的で、吸収体の全体又は一部に、高吸収性ポリマーを含む吸収性シートを用いることが行われている。また、この種の吸収性物品においては、吸収性能のみならず、吸収後のドライ感の向上や漏れの低減を目的に様々な改良がなされてきた。
近年、紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、高吸収量及び高吸収速度を維持しつつ薄型化することが進んでおり、吸収性物品1枚あたりの繊維材料の使用量は低下し、高吸収ポリマーの使用量が増加する傾向にある。
しかしながら、高吸収性ポリマーを単に増量しただけでは、吸水によって膨潤した高吸収性ポリマー同士が密接し、液の通過や拡散を妨げるゲルブロッキング現象を引き起すため、吸収性能が低下してしまう。
吸収体中でゲルブロッキング現象を防止する技術として、いくつかの技術が知られている。例えば、ゲル強度の高い粒子径の小さな吸収性ポリマー粒子と粒子径の大きな高吸収性ポリマーを混合する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、粒子径が大きくてゲル強度が高い吸収性ポリマー粒子と粒子径が小さくて吸水速度の高い高吸収性ポリマーを混在させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
更に、高吸収性ポリマーとして、粒子径分布に2つの山を持つポリマーを用いることが提案されている(特許文献3参照)。
特表平10−502954号公報 特開2000−15093号公報 特開平11−28355号公報
特許文献1には、膨潤した高吸収性ポリマー同士の接着を間に入ったゲル強度の高い小さなポリマー粒子が防ぎ、通液性と拡散性を保持する旨が記載されている。しかしながら、特許文献1では、確かに、液の通過や拡散性の向上は認められるが、その吸収量は、ゲル強度の低い高吸収性ポリマーに依存しており、高加重下での高吸収量は見込めない。
特許文献2には、粒子径が大きくてゲル強度が高いポリマーが荷重下で、粒子径の大きなポリマーが無荷重下で、それぞれ吸収能力を発揮し、高吸収性ポリマー高含有吸収体において、吸収量の高い吸収体が得られる旨が記載されている。しかしながら、特許文献2では、荷重下での吸収量はゲル強度の高い吸収性ポリマー粒子に依り、粒子径が小さくて吸収速度の高い高吸収性ポリマーの荷重下での吸収量が不十分である為、吸収体全体の容量としてはまだ不十分である。
特許文献3においては、粒子径の大小で粒子間に空隙が形成され易いが、吸収性物品の通常の使用状態、特に湿潤状態においては、粒子径の大きいポリマーが潰れて空隙が減少し、何れのポリマーを充分な液の吸収を妨げられる。そのため、吸収体全体の吸収容量としてはまだ不十分である。
従って、本発明の目的は、高吸収量、高吸収速度であり、薄型化が容易な吸収性シートを提供することにある。
本発明は、繊維材料、自重の20倍以上の生理食塩水を吸収可能な第1の吸収性ポリマー粒子、及び第1の吸収性ポリマー粒子に比して、粒子径が大きく且つゲル圧縮変形率が小さい第2の吸収性ポリマー粒子を含んでなり、第1の吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部は、その周囲に、第2の吸収性ポリマー粒子によって形成された空隙を有している吸収性シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記吸収性シートの好ましい製造方法として、湿潤状態の繊維ウエブに、第2の吸収性ポリマー粒子を散布した後、そのポリマー散布面に、更に第1の吸収性ポリマー粒子を散布し、次いで、そのポリマーの散布面上に、第2の繊維ウエブを重ね合わせ、これらを乾燥して一体化させることを特徴とする吸収性シートの製造方法を提供するものである。
本発明の吸収性シートは、高吸収量、高吸収速度であり、薄型化が容易である。
即ち、高吸収性の第1の吸収性ポリマー粒子の周囲に空隙が形成されているので、該空隙が膨潤した粒子の体積増加分を吸収し、ゲルブロッキングの発生を効果的に防止する。また該空隙によって、液体の通過速度が高くなる。特に液体を繰り返し吸収した後であっても、液体の高い通過速度が維持される。そして、荷重時も無荷重時も空隙が保持されている為、該吸収性ポリマー粒子が空隙内で最大限に膨潤可能となり、吸収量も向上する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性シートの一実施形態の断面構造が模式的に示されている。吸収性シート10は、一面10A及び他面10Bを有する薄型のシートである。吸収性シート10は、一面10A及び他面10Bのどちら側からでも液の吸収が可能になっている。つまり、吸収性シート10は、一面10A及び他面10Bの何れもが液の吸収面になっている。
吸収性シート10は、繊維材料11、自重の20倍以上の生理食塩水を吸収可能な第1の吸収性ポリマー粒子12A、及び第1の吸収性ポリマー粒子12Aに比して、粒子径が大きく且つゲル圧縮変形率が小さい第2の吸収性ポリマー粒子12Bを構成素材としている。第1の吸収性ポリマー粒子12A及び第2の吸収性ポリマー粒子12Bは、何れも、尿や経血等の体液を吸収可能であり、少なくとも吸液前は、粒子の状態である。
以下、第1の吸収性ポリマー粒子12Aを、その高吸収性に着目して高吸収性ポリマー12A、第2の吸収性ポリマー粒子12Bを、その機能に着目して空隙保持ポリマー12Bという。また、これら二つをあわせて扱うときはポリマー粒子12という。
なお、図1においては、一面10A側と、他面10B側とで、繊維材料11の密度に大きな差があるように描かれているが、これは本発明の理解の助けとすべく強調して描かれたものであり、実際の吸収性シートにおいては、繊維材料11の密度にここまでの差はない。
図1から明らかなように、ポリマー粒子12は、吸収性シート10の一面10A及び他面10Bの何れにも実質的に存在していない。実質的に存在していないとは、吸収性シート10の表面にポリマー粒子12を意図的に存在させることを含まないことを意味し、吸収性シート10の製造工程において、不可避的にシート10の表面に微量のポリマー粒子12が存在することは許容される。
ポリマー粒子12は、繊維材料11に保持された状態で、吸収性シート10の厚み方向の内部に埋没担持されている。
ポリマー粒子12は、吸収性シート10の厚み方向にわたり分散配置されている。つまりポリマー粒子12は、吸収性シート10の内部において三次元的に分布している。
また、高吸収性ポリマー12Aと空隙保持ポリマー12Bは、両者が混在した状態とされて、吸収性シート10の平面方向(厚み方向に直交する方向)に分散配置されている。
ポリマー粒子12は、絡み合いや、ポリマー粒子12が吸水することによって発現する粘着性によって、繊維材料11に保持されている。ポリマー粒子12がこのような保持状態になっていることで、ポリマー粒子12はシート10の内部に確実に固定され、その脱落が効果的に防止される。従って本実施形態の吸収性シート10は、多量のポリマー粒子12を含むことができる。例えば本実施形態の吸収性シート10は、その全体の重量に対して15〜70重量%、特に25〜65重量%という高い割合でポリマー粒子12を含み得る。また前記の保持状態は、シート10の表面から吸収された液の透過性が向上し、スムーズに両ポリマーに到達することにも寄与している。
本実施形態の吸収性シート10は、多数存在する高吸収性ポリマー12Aの内の、少なくとも一部の粒子12Aの周囲に、空隙13が形成されている。
粒子12Aの周囲に空隙13が形成されているとは、吸収性シート10の平面方向(厚み方向に直交する方向)における該粒子12Aの周囲に、該吸収性シート10の厚み方向における粒子12Aの高さT2(図1参照)より高い高さT3(図1参照)の空隙13が存在することを意味し、該空隙13は、該平面方向における該粒子12Aの周囲を全周ないし略全周に亘って取り囲んでいることが好ましい。また、空隙保持ポリマー12Bの上下には、通常、繊維材料11が接触している。
この空隙13は、高吸収性ポリマー12Aが空隙保持ポリマー12Bに適度な距離を持って周囲に分散配置されることによって形成され、高吸収性ポリマー12Aが吸液することによって起こる膨潤に起因する体積の増加分を満たすに足る大きさ(ボリューム)になっている。空隙13が周囲に存在する高吸収性ポリマー12Aにおいては、該粒子12Aの表面における繊維材料11の付着が少なくなっている。換言すれば、空隙13が周囲に存在する高吸収性ポリマー12Aにおいては、該粒子12Aの周囲における繊維材料11の存在量が少なく、吸収性シート10における他の部位に比較して見掛け密度が低い状態になっている。
空隙13は空隙保持ポリマー12Bによって高荷重下でも空隙13は保たれ、高吸収性ポリマー12Aの膨潤は妨げられず、無荷重下、高荷重下を問わず吸収体として高い吸収量を発現できる。また、空隙13があるために吸収性物品10の厚み方向における液の迅速な通過の点から有利に働く。特に、本実施形態の吸収性シート10は、液を繰り返し吸収した後であっても、ゲルブロッキングが起こりにくく、液の高い通過速度が維持される。
高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙13が形成されていることは、例えば吸収性シート10の縦断面(厚み方向と平行な断面)を顕微鏡観察することによって確認できる。空隙13の大きさは、吸収性シート10の製造方法、空隙保持ポリマー12B、高吸収性ポリマー12Aの粒径、繊維材料11の種類や繊維長などに依存するが、一般に吸収性シート10の縦断面を顕微鏡で拡大して観察される隣り合う空隙保持ポリマー12B同士の間が平面方向に50μm以上離れており、さらにその間には厚み方向に繊維やポリマー粒子12が該空隙保持ポリマー12Bの高さの20%以上に亘って(その断面に)存在しない空間部分が観察されるとき当該空間部分は本実施形態における空隙13であると言うことができる。
本実施形態の吸収性シート10においては、すべての高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙13が形成されていることを要せず、個数基準で40〜100%、特に60〜100%のポリマー粒子12の周囲に空隙13が形成されていれば、所望の効果が奏される。この測定は、吸収性シート10の縦断面を顕微鏡で拡大して観察される任意の測定視野に存在する合計5ヶ所の隣り合う空間保持ポリマー12Bを対象として、好ましくは10ヶ所〜50ヶ所の空間保持ポリマー12Bを対象として行われる。
具体的には、個数基準は、以下のようにして計測する。吸収性シートの断面を操作型電子顕微鏡(SEM)を使用し、50〜100倍に拡大して撮影する。撮影した画像より、粒子径が200μm以上好ましくは250μm以上あり、厚み方向に離間した略2箇所において(シートの)繊維成分と接触しているポリマー粒子を空隙保持ポリマーとして特定する。さらに特定したポリマーと最も近くある同様のポリマー粒子12を特定して、この2つのポリマー粒子の間で計測をおこなう。
隣り合う空隙保持ポリマーは、(吸収シートの断面に)粒子の輪郭間が平面方向に50μm以上離れており、さらにその輪郭間の厚み方向に繊維やポリマー粒子12が存在しない領域を有しており、その領域は、該空隙保持ポリマー12Bの平均的な厚み方向の大きさの20%に相当する厚み方向長さを有しているとき、空間部分である充分な空隙が存在しているとして、空隙を1とする。異なる断面部位5ヶ所以上について同様の計測を行い、空隙の合計/計測断面部位×100より導かれる値を個数基準とする。なお、異なる断面部位は、10mm以上離れている部位であることが好ましい。
本実施形態の吸収性シート10を実現する為に、ポリマー粒子は、空隙保持ポリマー12Bの粒子径とゲル圧縮変形率、高吸収性ポリマー12Aの粒子径が特定の条件を満足することを要する。高吸収性ポリマー12Aの粒子径は空隙保持ポリマー12Bの粒子径よりも小さい。これにより、大きな粒子径の空隙保持ポリマー12Bによる、高吸収性ポリマー12Aの周囲における空隙13の形成を容易することができ、また、小さな粒子の下層シートヘの入り込みに起因する吸収性の向上が図られる。特に、粒径350μm以上の空隙保持ポリマー12Bが、重量基準でポリマー粒子12の20%以上、特に40%以上を占めていると、高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙13を一層容易に形成することができる。つまり、高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙を大きく形成することが要求され、そのような空隙を形成する観点から、高吸収性ポリマー12Aの粒子径としては106〜200μmが好ましく、空隙保持ポリマー12Bの粒子径としては350〜500μmが好ましく、空隙保持ポリマー12Bと高吸収性ポリマー12Aの配合比は質量換算で80/20〜20/80が好ましく、より好ましくは40/60〜60/40、更に好ましくは45/55〜55/45である。
また、高い吸収性とゲルブロッキングを防ぐ観点から、吸収性シート中にポリマー粒子12が5〜65%の重量比率で配合されていることが好ましく20〜50%であることがより好ましい。
繊維材料11とポリマー粒子12よりなる吸収性シート10の合計坪量は、吸収性シートの柔軟性と充分なシート強度をえられる点から、20〜150g/m2はであることが好ましく、25〜75g/m2であることがより好ましい。合計坪量は後述する湿潤紙力増強剤等を含めた吸収性シートで計測する。
ポリマー粒子12の粒子径とは、該粒子12が球形である場合には球の直径のことであり、該粒子12が不定形である場合には篩を用いて粒子を分級操作したときに通過できる最大の篩の目の開きのことである。粒子径を測定(以後、分級操作とする)するための操作は次の通りである。TOKYO SCREEN CO., LTD.製の篩であって、目の開きが106μm、200μm、355μm、500μmのものを使用する。106μm以下、106〜200μm以下、200μm〜350μm、350μm〜500μm、500μm以上の粒子に分類する。
ポリマー粒子12の形状としては、その製造方法に応じ、例えば球形、塊状、俵状、不定形などの種々のものを用いることができる。ポリマー粒子12の形状としては、その製造方法に応じ、例えば球形、塊状、俵状、不定形などの種々のものを用いることができる。高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙13を容易に形成し得る点からは、異方性のある形状の空隙保持ポリマー12Bを用いることが好ましく、特に不定形の形状をしている空隙保持ポリマー12Bを用いることが好ましい。この理由は次の通りである。空間形成のためには空隙保持ポリマー12Bが繊維材料11中に埋没しないことが重要である。繊維材料11は不連続な孔を有する多孔体であるため、同じ大きさで比較した場合、不定形の空隙保持ポリマー12Bの方が、球形のものよりも繊維材料11に埋没しにくい。また、不定形の空隙保持ポリマー12Bは、粒子同士が隣接したきも空間の確保が球形のものよりもしやすい。従って不定形の形状をしている空隙保持ポリマー12Bを用いることが好ましい。
空隙13を高荷重下でも存在させるために、空隙保持ポリマー12Bはゲル圧縮変形率が2〜15%であることが好ましく、より好ましくは4〜10%である。
ゲル圧縮変形率は以下のようにして求められる。ポリマー粒子1gに生理食塩水20gを吸収させて20倍吸収ゲルを作成する。吸収ゲル4g(膨潤前のポリマー粒子0.19g分)を取り出しKES装置に置き20g/cm2 荷重をかけたときの厚み変化量をもとの厚みで除して100倍したものをゲル圧縮変形率とする。
尚、吸収ゲルは、加圧により厚みが減少しても面積が増えないように、底面積400mm2 の有底筒状の容器内に充填し、該容器内で加圧する。また、吸収ゲルは、厚みが均一となるように前記容器内に充填した。
ポリマー粒子12としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。例えばデンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が挙げられる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸に、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合せしめた共重合体も好ましく使用し得る。
ポリマー粒子12を保持する繊維材料11としては、親水性のものを用いることが、液の通過、吸収性を高める点から好ましい。そのような繊維としては、例えば針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ及びワラパルプ等の天然セルロース繊維、レーヨン及びキュプラ等の再生セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維及びポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維、並びにポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエステル繊維等の合成繊維を界面活性剤により親水化処理したものなどが挙げられる。しかし、それらに限定されるものではない。これらの親水性繊維は1種又は2種以上を用いることができる。
親水性繊維のうち、好ましいものはセルロース繊維である。特に天然セルロース繊維及び再生セルロース繊維が好ましい。コストの点からは、木材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフトパルプが好ましいが、繊維間の隙間が大きくなり、ポリマー粒子12の分散性及び固定化の程度が一層向上する点から、嵩高性のセルロース繊維を用いることがより好ましい。かかる嵩高性のセルロース繊維を用いることによって、ポリマー粒子12を三次元的に埋没・分散、固定させやすくなる。またポリマー粒子12のゲルブロッキングの発生もより確実に抑えることができる。また、親水性繊維における嵩高性のセルロース繊維の割合は35〜95重量%、特に50〜80重量%であることが、使用時に吸収性シート10に破れ等がおこらないように引っ張り強度や表面強度などの物理特性を所望の範囲とすることができる観点から好ましい。なお嵩高性のセルロース繊維とは、繊維形状が、稔れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、繊維断面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)であるか、又は繊維剛性が高められている繊維をいう。
嵩高性のセルロース繊維の好ましいものの例として、繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維が挙げられる。繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維は、嵩高な状態でセルロース繊維が集積するので、ポリマー粒子12を保持し得る嵩高なネットワーク構造が形成され易い。また、液体の移動抵抗が小さく、液体の通過速度が大きくなる。繊維粗度は、0.3〜2mg/m、特に0.32〜1mg/mであることが好ましい。
繊維粗度とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例えば、繊維粗度計(FS−200、KAJANNIELECTRONICSLTD.社製)を用いて測定される。
繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ〔Federal Paper Board Co.製の「ALBACEL」(商品名)、及びPT IntiIndorayon Utama製の「INDORAYON」(商品名)〕等が挙げられる。
嵩高性のセルロース繊維の好ましいものの他の例として、繊維断面の真円度が0.5〜1、特に好ましくは0.55〜1であるセルロース繊維が挙げられる。繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維は、液体の移動抵抗が小さく、液体の透過速度が大きくなる。真円度の測定方法は次の通りである。面積が変化しないように、繊維をその断面方向に垂直にスライスし、電子顕微鏡により断面写真をとる。断面写真を画像回析装置〔日本アビオニクス社製の「Avio EXCEL」(商品名)〕により解析し、測定繊維の断面積及び周長を測定する。これらの値を用い、以下に示す式を用いて真円度を算出する。真円度は、任意の繊維断面を100点測定し、その平均値とする。
真円度=4π(測定繊維の断面積)/(測定繊維の断面の周長)2
前述の通り、セルロース繊維として木材パルプを使用することが好ましいが、一般に木材パルプの断面は、脱リグニン化処理により偏平であり、その殆どの真円度は0.5未満である。このような木材パルプの真円度を0.5以上にするためには、例えば、かかる木材パルプをマーセル化処理して木材パルプの断面を膨潤させればよく、真円度が0.5以上とされることで繊維の剛性が高められる。
このように、嵩高性のセルロース繊維としては、木材パルプをマーセル化処理して得られる真円度が0.5〜1であるマーセル化パルプも好ましい。本発明において用いることのできる市販のマーセル化パルプの例としては、ITT Rayonier Inc.製の「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等が挙げられる。
また、繊維粗度が0.3mg/m以上で、且つ繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維を用いると、嵩高なネットワーク構造が一層形成され易くなり、液体の通過速度も一層大きくなるので好ましい。
嵩高性のセルロース繊維の好ましいものの別の例として、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させ繊維の剛性を高めた架橋セルロース繊維がある。かかる架橋セルロース繊維は湿潤状態でも嵩高構造を維持し得るので好ましい。市販の架橋セルロース繊維としては、Weyerhaeuser Paper Co.製の「High Bulk Additive」等が挙げられる。
前述した嵩高性のセルロース繊維に加えて、繊維粗度が0.3mg/m以上であるパルプ等のセルロース繊維の分子内及び/又は分子間を上述の方法で架橋した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。また、繊維断面の真円度が0.5〜1であるパルプの分子内及び/又は分子間を架橋した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。更に、繊維断面の真円度が0.5〜1であるマーセル化パルプの分子内及び/又は分子間を架橋した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。一層好ましい嵩高性のセルロース繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上であり且つ繊維断面の真円度が0.5〜1であるパルプを架橋したものである。特に好ましい嵩高性のセルロース繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上であるパルプをマーセル化によって真円度を0.5〜1にした後、架橋したものである。
繊維材料11としては、前述した嵩高性のセルロース繊維に加えて、加熱により溶融し相互に接着する繊維である熱融着性繊維を用いることも好ましい。これによって吸収性シート10に十分な湿潤強度を付与できる。熱融着性繊維としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、並びにポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等を挙げることができる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・パイ・サイド型複合繊維の何れをも用いることができる。これらの熱溶融性繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。熱溶融性繊維は、一般にその繊維長が2〜60mmであることが好ましく、繊維径は0.1〜3デニール、特に0.5〜3デニールであることが好ましい。吸収性シート10における熱溶融性繊維の割合は1〜50重量%、特に3〜30重量%であることが好ましい。
繊維材料11の繊維長は本発明において臨界的ではなく特に制限はない。例えば、後述するように吸収性シート10を湿式抄造により製造する場合には、繊維材料11の繊維長は1〜20mmであることが好ましい。
吸収性シート10には、更にポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カルボキシメチルセルロースなどを湿潤紙力増強剤として配合(外添)することもできる。
本実施形態の吸収性シート10は、ポリマー粒子12の割合が高いにもかかわらず、薄型化であることによっても特徴付けられる。具体的には吸収性シート10は、その坪量が50〜150g/m2 、特に60〜120g/m2 の範囲において、その厚みが0.3〜3mm、特に0.5〜1.5mmという薄型のものである
次に、本実施形態の吸収性シート10の好ましい製造方法について、図2を参照しながら説明する。特に説明しない点については、1枚の紙の内部に高吸収性ポリマーの粒子が分散配置されている吸収性シートの製造法である、本出願人の先の出願に係る特開平8−246395号公報に記載の吸収性シートの製造方法と同様にして行うことができる。
先ず、親水性繊維を含む繊維ウエブを形成する。繊維ウエブを形成する方法に特に制限はなく、例えば、乾式抄紙法などを用いることができるが、好ましくは湿式法を用いる。これは、後述するように、ポリマー粒子12を繊維ウエブに散布する際に、繊維ウエブは湿潤し、且つ繊維の自由度が極めて高い状態であることが好ましいので、湿式抄紙によって繊維ウエブを形成すればそれは、直ちに湿潤状態を実現することができ、別工程をもって湿潤状態にする手間が省けるからである。
湿式抄紙によって得られる繊維ウエブは、その乾燥前には繊維同士が互いに充分には結合していないので、その状態でポリマー粒子12を散布すると、かかるポリマー粒子が繊維間に形成される空間中に三次元的に埋没しやすく、多量の高吸収性ポリマーを含有した吸収性シートを作成できる。
次に、上記のように湿潤した繊維ウエブにポリマー粒子12を散布する。湿潤繊維ウエブの湿潤状態は、乾燥繊維ウエブ100重量部に対して、水を20〜500重量部含む程度が好ましく、更に好ましくは、50〜300重量部の水を含む。水の量が20重量部に満たないと、散布された高吸水性ポリマーが水を吸収して湿潤し、粘着性を得ることができないので、ポリマー粒子の固定化量が不十分となり、水の量が500重量部を超えるとポリマー粒子が吸収過剰となり、後述する乾燥工程で乾燥不良となることがあるので、上記範囲内とすることが好ましい。
図2は、嵩高性のセルロース繊維を含む抄紙原料を湿式抄紙して得られた、湿潤状態の第1の紙層21上に、ポリマー粒子12として、高吸収性ポリマー12A及び空隙保持ポリマー12Bを散布し、次いで、乾燥状態の第2の紙層22を積層し、次いで、これらを乾燥、一体化して吸収性シート10を得る概略工程が示されている。
図2に沿って説明すると、先ず、湿潤状態である第1の紙層21上に、図2(a)に示すように空隙保持ポリマー12Bを散布する。ポリマー粒子12は、第1の紙層21の全面に均一に散布してもよく、或いは一方向に連続して延びる多列の筋状に散布してもよい。或いは、一方向に断続的に延びる多列の筋状に散布してもよい。散布によって高吸収性ポリマー12Aは、繊維間距離が広がった繊維間の空間に埋没する。
本実施形態においては、作製された吸収性シート内の高吸収性ポリマー12Aの周囲に空隙13を効率良く形成するために、これらのポリマー粒子12を特定の順序で散布している。即ち、先ず、図2(a)に示すように、空隙保持ポリマー12Bを散布し、空隙保持ポリマー12Bを充分に膨潤させ、次に、図2(b)に示すように、高吸収性ポリマー12Aを散布している。粒子径のより小さな高吸収性ポリマー12Aは湿潤した空隙保持ポリマー12B同士の間に散布されて湿潤膨潤するが、膨潤時になるべくポリマー同士が近接しないように移動が起こるので程良く距離を保ったままの状態で存在することができる。空隙保持ポリマー12Bを散布した後、高吸収性ポリマー12Aを散布する迄の時間は、ポリマーの収集速度等にも因るが、1〜20秒程度が好ましく、2〜5秒程度がより好ましい。
この高吸収性ポリマー12Aの周囲に充分な空隙13を形成するために空隙保持ポリマーBが全ポリマーに対して20重量%以上あることが好ましい。空隙保持ポリマーBが少なすぎると荷重時に柱やスペーサーの役目を果たすことができずに空隙13の維持が困難となる。
埋没したポリマー粒子12は、湿潤した第1の紙層21に含まれている水分を吸収して膨潤し、また粘着性を発現する。その粘着性によってポリマー粒子12が、紙層21の構成繊維と接着する。
ポリマー粒子12の散布が完了したら、図2(d)に示すように、第1の紙層21におけるポリマー粒子散布面上に、第2の紙層22を積層する。第2の紙層22は、第1の紙層21と同様に、嵩高性のセルロース繊維を含む抄紙原料を湿式抄紙して得られたものである。第1及び第2の紙層21、22は、嵩高性のセルロース繊維に加えて熱融着性繊維又は紙力増強剤を含むことが好ましい。
第1の紙層21と第2の紙層22のセルロース繊維等の配合割合は同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。また、第2の紙層22としては、比較的小さなポリマー粒子を保持し易くする点から、嵩高に形成された繊維シートが好ましい。嵩高に形成された繊維シートの例としては、例えば繊維間が結合されていないウエブ、エアレイド法により形成されたシート、3次元クリンプを有する繊維よりなるシート等が挙げられる。更に、ポリマー粒子の脱落やシート強度を向上させることで加工性を向上させることが好ましく、具体的には、上記シート同士の複合物、上記シートに繊維同士の拘束が高い繊維シートや繊維間の隙間が小さい繊維シート(例えばスパンボンド不織布、SMS不織布など)を複合させたシートを用いることが好ましい。本発明の製造方法における、繊維ウエブは、湿式又は乾式により製造された紙や、不織布、不織布化されていない繊維ウエブ等を広く含むものである。
第1の紙層21においては、ポリマー粒子散布面と、厚み方向の他面側に向かう該ポリマー粒子散布面から所定の範囲内には、粒径の大きな湿潤した空隙保持ポリマー12Bと、空隙保持ポリマーに囲まれるように存在する高吸収性ポリマー12Aが存在している。
この状態下に、第2の紙層22を積層し、プレス、乾燥を行うと、湿潤した空隙保持ポリマーがあたかも柱やスペーサーの働きをし、高吸収性ポリマー12Aはプレスダメージを受けることが少ないまま乾燥によって体積収縮を行うことができる。そして、乾燥して生成されたシート内では空隙保持ポリマー12Bに囲まれた空隙内に高吸収性ポリマー12Aが収まった状態が形成される。この空間が、図1に示す空隙13となる。これと共にポリマーを介して第1の紙層21と第2の紙層22は一体不可分なように接合する。つまり全体として1プライ構造になる。この際、第1の紙層21の構成繊維と第2の紙層22の構成繊維との間に絡み合いや水素結合が生じて、両層が一体化する部分も存在する。このようにして目的とする吸収性シート10が得られる。
重ね合わされた両層21,22を乾燥する条件としては、温度100〜180℃、特に105〜150℃であることが好ましい。プレスの条件としては、圧着一体化する最低限の圧力があればよく、低圧力であるほど空間が確保されるので好ましい。
ここで、吸収性シート10における液の吸収機構を分かり易くするため、モデルを使って説明する。先に散布された粒子径が大きい空隙保持ポリマー12Bは第1のウエブ層21上と21中に膨潤状態で存在する。そして後から散布される比較的小さな高吸収性ポリマー12Aは空隙保持ポリマー間に入り込み、湿潤膨潤する。この時、ある均一な粒子径rよりなる球状ポリマー粒子が、格子状に均一にウエブ層21上に並べられ、球状ポリマー粒子の膨潤倍率が30倍(擬似血液想定)の場合、格子状に並べられた球状ポリマー粒子の中心間距離は、30の三乗根×rだけ離間していれば良い。実際には、このように理想的にポリマー粒子を配置することは非常に困難であるが、湿式抄造された湿潤繊維ウエブ上にポリマーを散布するのでポリマーが膨潤し、膨潤時にポリマーがなるべく近接しないように移動が起こるので、湿潤膨潤した高吸収性ポリマー12Aは空隙保持ポリマー12Bに囲まれる状態でシート中に分散配置される。そしてプレス、乾燥工程時にはゲル圧縮変形率の小さい空隙保持ポリマー12Bが高吸収性ポリマー12Aのプレスによるダメージを受けるのを防ぎ、乾燥後には高吸収性ポリマー12Aが大きく体積収縮することで高吸収性ポリマー12Aの周囲に充分な空隙ができる。高吸収性ポリマー12Aの周囲に無荷重時も荷重時も常に空隙13が周囲にあり、ゲルブロッキングを起こさずに通液性、液拡散性も高く、更に高吸収性ポリマー12Aもその空隙内で充分に膨潤が可能となる。散布ポリマー粒子の量は、液の吸収性を低下させる要因であるゲルブロッキングを防止する観点から決定され、それに基づきポリマーの散布量が決定される。ポリマー粒子間の間隔は、対象とする液体によって異なる。例えば尿や汗のような比較的多く吸収可能な体液の場合は、150〜300倍程度体積が膨潤することを考慮してポリマー散布が行われる。経血や血液のような体液の場合は、5〜50倍程度体積が膨潤することを考慮してポリマー散布が行われる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、当業者の技術常識の範囲内において種々の改変が可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(吸収性シートの製造)
先ず、繊維粗度0.32mg/m、繊維断面の真円度が0.30の架橋処理パルプ〔Weyerhauser Paper製の「High Bulk AdditiveHBA-S」(商品名)〕80部、及び繊維粗度0.18、繊維断面の真円度が0.32の針葉樹クラフトパルプNBKP(商品名;「SKEENA PRIME」,Skeena Ce11ulose Co.製)30部を水中に分散混合し、更に上記混合したパルプの乾燥重量100部に対し、紙力補強剤〔ポリアミドエビクロルヒドリン樹脂、商品名;カイメンWS−570、会社名;日本PMC(株)〕を樹脂成分で1部を水中に分散混合し、所定の濃度とした後、この分散混合液を用いて乾燥坪量が25g/m2 の第1の層繊維ウエブを形成した。次いで該繊維ウエブをサクションボックスにより、乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分率100部になるまで、繊維ウエブを脱水した。
次いで脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に350μm〜500μmに分級した空隙保持ポリマー(ゲル圧縮変形率5%)を散布した。そして、その散布から2秒後に、106μm〜150μmに分級した高吸収性ポリマー〔日本触媒のポリマーCAW−4(商品名)、ゲル圧縮変形率25%〕を散布した。両ポリマーは、両ポリマー合わせて坪量が30g/m2 となり、且つ空隙保持ポリマーと高吸収性ポリマーの重量比が50/50となるようにほぼ均一に散布した。
上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリマーを散布した面に、繊維集合体として、上記繊維ウエブと同様の配合組成を有する、予め抄紙しておいた吸収紙(坪量30g/m2 )を重ね合わせ、かかる繊維ウエブと吸収紙との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、130℃の温度にて乾燥、これと同時に0〜1kg/cmでプレスし、両層を一体不可分なように接合した。得られた吸収性シートの縦断面を電子顕微鏡観察した。
その結果、得られた吸収性シートは、粒子径の小さな高吸収性ポリマー12Aの周囲に、第2の吸収性ポリマー粒子12Bによって形成された空隙13が形成されていることが確認された。尚、図3は、実施例1において得られた、空隙形成ポリマー12B及びその周囲に形成された隙間13を示す電子顕微鏡写真である。高吸収性ポリマーと高吸収性ポリマーとを同一写真中に写すことは困難であったが、図3に示す空隙は、図3に写った範囲を超えて左右に延在しており、その延在部分に高吸収性ポリマーが存在している。また、高吸収性ポリマーは、周囲を空隙に囲まれた状態であった。
〔実施例2,3〕
実施例1において、空隙保持ポリマーと高吸収性ポリマーの重量比を表1に示すように代えた以外は、実施例1と同様にして吸収性シートを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に、106μm〜150μmに分級した高吸収性ポリマー〔日本触媒のポリマーCAW−4(商品名)、ゲル圧縮変形率25%〕のみを散布し、吸収性シート中のそのポリマーの坪量を30g/m2 とした以外は、実施例1と同様にして吸収性シートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において、脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に、350μm〜500μmに分級した空隙保持ポリマー(ゲル圧縮変形率5%)のみを散布し、吸収性シート中のそのポリマーの坪量を30g/m2 となるようにした以外は、実施例1と同様にして吸収性シートを得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた吸収性シートについて、液の吸収時間及び液の吸収速度を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
測定は、吸収性シートから15cm角の試験片を切り出し、該試験片を4枚積層した。
積層した4枚の試験片上に、直径1cmの孔をあけた10cm角の透明なアクリル板を載せた。そのアクリル板の孔の周囲に重りを乗せ、吸収性シート10に全体として5g/cm2 の荷重をかけた。この状態下に、アクリル板の孔を通して生理食塩水3mlを注入した。3mlの全量が吸収された後、3分間放置し、更に生理食塩水3mlを注入した。更に全量が吸収された後、3分間放置し、更に生理食塩水3mlを注入した。このようにして、3回の注入を行い合計9mlの生理食塩水を注入した。
3回目の注入について、生理食塩水の吸収に要する時間を測定し、9g目吸収時間(秒)として表1に示した。
また、その試験片上からアクリル板を取り除いて、該試験片上にろ紙を置き、再度アクリル板を乗せて5kgの荷重をかけた。その状態で1分間放置後、試験片の重量を測定した。試験片に残存する生理食塩水の重量を、9g注入時吸収量として表1に併せて示した。
表1に示す結果から明らかなように、実施例の吸収性シートは、繰り返し液を吸収しても吸収速度が低下していないことが判る。このことはポリマー粒子のゲルブロッキングが起こっていないことを意味している。一方、比較例の吸収性シートは、繰り返し液を吸収すると吸収速度が低下した。このことはポリマー粒子のゲルブロッキングが起こっていることを意味している。
本発明の吸収性シートの一実施形態の断面構造を示す模式図である 図1に示す吸収性シートの好適な製造方法を示す工程図である。 実施例1で得られた吸収性シートの断面構造の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
10 吸収性シート
11 繊維材料
12 ポリマー粒子
12A 高吸収性ポリマー(第1の吸収性ポリマー粒子)
12B 空隙保持ポリマー(第2の吸収性ポリマー粒子)
13 空隙

Claims (4)

  1. 繊維材料、自重の20倍以上の生理食塩水を吸収可能な第1の吸収性ポリマー粒子、及び第1の吸収性ポリマー粒子に比して、粒子径が大きく且つゲル圧縮変形率が小さい第2の吸収性ポリマー粒子を含み、厚みが0.3〜3mmである吸収性シートであって、
    前記繊維材料が一枚のシート状をなしており、第1及び第2の吸収性ポリマー粒子が、前記繊維材料に保持された状態で、吸収性シートの厚み方向の内部に埋没担持されており、
    第1の吸収性ポリマー粒子は、粒子径が106〜200μmであり、第2の吸収性ポリマー粒子は、粒子径が350〜500μm、ゲル圧縮変形率が2〜15%であり、第1の吸収性ポリマー粒子と第2の吸収性ポリマー粒子の配合比が質量換算で20/80〜80/20であり、
    第1の吸収性ポリマー粒子と第2の吸収性ポリマー粒子は、両者が混在した状態とされて吸収性シートの平面方向に分散しており、
    第1の吸収性ポリマー粒子は、その周囲に、第2の吸収性ポリマー粒子によって形成された空隙を有しており、
    前記空隙は、吸収性シートの平面方向に50μm以上離れて隣り合う第2の吸収性ポリマー粒子間に形成された空隙であって、前記繊維材料並びに第1及び第2の吸収性ポリマー粒子が該吸収性シートの厚み方向における第2の吸収性ポリマー粒子の高さの20%以上に亘って存在しない空隙である、吸収性シート。
  2. 第1及び第2の吸収性ポリマー粒子は、前記繊維材料と接着している請求項記載の吸収性シート。
  3. 前記繊維材料は吸収性シートに35〜95重量%配合されており、さらに前記繊維材料は嵩高性のセルロース繊維を50〜90重量%含む、請求項1又は2記載の吸収性シート。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載の吸収性シートの製造方法であって、
    湿潤状態の繊維ウエブに、第2の吸収性ポリマー粒子を散布した後、そのポリマー散布面に、更に第1の吸収性ポリマー粒子を散布し、次いで、そのポリマーの散布面上に、第2の繊維ウエブを重ね合わせ、これらを乾燥して一体化させることを特徴とする吸収性シートの製造方法。
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