JP2963647B2 - 吸収性シート及びその製造方法 - Google Patents

吸収性シート及びその製造方法

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JP2963647B2
JP2963647B2 JP34017595A JP34017595A JP2963647B2 JP 2963647 B2 JP2963647 B2 JP 2963647B2 JP 34017595 A JP34017595 A JP 34017595A JP 34017595 A JP34017595 A JP 34017595A JP 2963647 B2 JP2963647 B2 JP 2963647B2
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稔 中西
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドリップシート、
キッチン用吸収シート、家庭用清掃シート及びペット用
アンダーシート等に使用する吸収性シート及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】高吸収
性ポリマーを吸収性構造体内に固着させて吸収性シート
を得る種々の方法が知られている。例えば、米国特許第
3,070,095号明細書は、図6に示すように、高
吸収性ポリマー16をティッシュ30上に散布して、こ
の上に別のティッシュ31を積層した後、ローラーによ
る圧着で高吸収性ポリマーをティッシュ内にプレスする
ことを開示している。しかしながら、この方法では、高
吸収性ポリマーは、ティッシュ層の間に層状に固定され
るのみであり、多量の高吸収性ポリマーを固定すること
はできない。従って、かかる吸収性シートを例えば吸収
性物品の吸収体に用いたような場合には、着用者の運動
等によって高吸収性16ポリマーがティッシュ30、3
1から分離して、ティッシュ30、31間に空間が生
じ、液体が滞留してしまう場合がある。
【0003】米国特許第3,670,731号明細書
は、2つの紙層の間に高吸収性ポリマーを散布した後、
エンボス加工又はキルト化して、高吸収性ポリマーを所
定の位置に保持することを開示している。しかしなが
ら、この方法も、上記ローラーによる圧着法と同様の欠
点を有している。
【0004】また、特公昭59−26467号公報、特
開昭54−123293号公報及び特開昭54−141
099号公報には、ティッシュにスチームを吹きかけた
り水を散布して、ティッシュを湿潤化した後に、高吸収
性ポリマーを散布して、高吸収性ポリマーに粘着性を付
与することによって、ティッシュ間に高吸収性ポリマー
を固定することが開示されている。この方法によれば、
高吸収性ポリマーをある程度固定できるものの、脱落を
完全に防止することはできず、しかも固定量は依然とし
て不十分である。また、液体を吸収すると、高吸収性ポ
リマーは層状に膨潤し、場合によってはゲルブロッキン
グ等による吸収阻害を生じることもある。
【0005】また、特開昭61−132697号公報に
は、抄紙工程内において、乾燥前の紙上に高吸収性ポリ
マーを散布した後、乾燥することにより、高吸収性ポリ
マーを含有した吸収紙を製造する方法が記載されてい
る。この方法によれば、ある程度の量の高吸収性ポリマ
ーを紙中に固定できるが、その固定量は高々10g/m
2 程度であり、決して十分な量とはいえない。また、得
られた吸収性シートにおいては、液を吸収する表面にも
高吸収性ポリマーが存在しているので、そのような高吸
収性ポリマーは摩擦をはじめとする動的な作用によって
容易に脱落してしまうという欠点を有している。
【0006】更に、ティッシュ等の全面にホットメルト
接着剤を塗布し、該接着剤によって高吸収性ポリマーを
固定する方法も知られている。この方法によれば、高吸
収性ポリマーを確実に固定することができる。しかしな
がら、ホットメルト接着剤によって高吸収性ポリマーの
表面の大部分が被覆されてしまうので、高吸収性ポリマ
ーの膨潤阻害及び液体の吸収阻害が生じてしまう。
【0007】ホットメルト接着剤を用いた高吸収性ポリ
マーの固定化の別法として、ホットメルト接着剤をスパ
イラル状に塗布する方法がある。この方法によれば、上
記膨潤阻害及び吸収阻害は少なく、しかも、効率良く高
吸収性ポリマーを固定することができる。しかしなが
ら、ホットメルト接着剤をスパイラル状に塗布すること
によって製造工程及び設備が複雑となってしまう。更
に、多量の高吸収性ポリマーを層状に固定するので、液
体を吸収したときに高吸収性ポリマーのゲルブロッキン
グが起こり、液体の膨潤阻害が生じる。
【0008】一方、乾式法で製造された木材パルプを使
用した吸収性シートも知られている。かかる吸収性シー
トにおいては、ケミカルバインダーや高配合の合成パル
プ及び低融点合成繊維等を使用してシート強度を大きく
しようとすると、吸収性シートが疎水化し吸収速度が低
下する。シート強度が低いと、液体を吸収した場合、高
吸収性ポリマーが膨潤し、吸収性シートを破って外側に
はみ出すという欠点がある。また、吸収性シートの表面
強度を大きくするため、クレープ紙を積層する場合もあ
るが、この場合、コストが高くなるという問題がある。
しかも、いずれの場合にも高吸収性ポリマーの木材パル
プへの固着は不十分であり、高吸収性ポリマーが脱落し
やすいという問題は改善されない。さらに、吸収性シー
トを強圧縮すると、その液吸収速度が低下することは避
けられないという問題もある。
【0009】上記の吸収性シートの他に、基材となる不
織布上に高吸収性ポリマーを直接重合せしめて、不織布
上に固定化させて吸収性シートを得る方法も知られてい
る。しかしながら、不織布として親水性繊維から成る不
織布を用いた場合には、重合の結果得られる高吸収性ポ
リマーが粒子状とはならず不織布全体に略均一に固定化
されてしまうので、液体の吸収量が低下してしまうとい
う欠点がある。一方、不織布として疎水性繊維から成る
不織布を用いた場合には、上記親水性繊維から成る不織
布の場合とは異なり、重合の結果得られる高吸収性ポリ
マーは粒子状となるが、吸収性シート全体として疎水性
であるために、液体の吸収速度が遅いという欠点を有す
る。しかも、これらの方法では、未反応のモノマーの残
存が避けられないので、該モノマーの人体への安全性の
面から吸収性シートの用途が限定されてしまう。
【0010】また、米国特許第4,605,402号明
細書及び同第5,021,050号明細書等には、高吸
収性ポリマーを散布した繊維ウエブに、繊維層を重ね合
わせて製造された、厚み方向中央部に高吸収性ポリマー
が繊維に分散、接着されている吸収体が開示されてい
る。これらの吸収体は製造時に圧縮され薄型化されては
いるが、シート化されておらず、多種の用途に使用する
にはまだ厚みが厚い。また、密度も低いため、表面の吸
収性も弱い。更には、液体を吸収して湿潤した場合、吸
収空間を得るため合成繊維の弾性を利用して元の厚さに
回復しようとしているため、吸収性物品の薄型化には不
十分である。
【0011】従って、本発明の目的は、高吸収性ポリマ
ー本来の吸収特性を損なうことなく高吸収性ポリマーが
確実に固定された紙状形態の、薄い吸収性シートを提供
することにある。
【0012】また、本発明の目的は、液体を繰り返し吸
収する場合においても高吸収性ポリマーがゲルブロッキ
ングを起こさず、高吸収性ポリマー本来の吸収特性が発
現し得る吸収性シートを提供することにある。
【0013】更に、本発明の目的は、上記吸収性シート
を簡便に製造できる方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、吸収性シートを構成する繊維が湿潤した
状態で、該繊維間に形成される空間に高吸収性ポリマー
を埋没させることにより、高吸収性ポリマーのゲルブロ
ッキングを効果的に防止し得、また、高吸収性ポリマー
を大量に固定化させることもできることを知見した。
【0015】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、少なくとも親水性繊維及び熱溶融性接着繊維ま
たは紙力補強剤並びに高吸収性ポリマーを含む吸収性シ
ートにおいて; 上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートが液体を吸
収する吸収表面には存在せず、該吸収性シートの内部に
三次元状に分散配置されており、且つ該吸収性シートを
構成する親水性繊維に接着し固定化されており; 上記高吸収性ポリマーの散布坪量は5〜300g/m2
であり; 上記吸収性シートは、厚み0.3〜1.5mmであ上記親水性繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上若しく
は繊維断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース
繊維であるか、又は架橋セルロース繊維からなる嵩高性
のセルロース繊維である; ことを特徴とする吸収性シートを提供することにより、
上記目的を達成したものである。
【0016】また、本発明は、上記吸収性シートの好ま
しい製造方法として、少なくとも、繊維粗度が0.3mg
/m以上若しくは繊維断面の真円度が0.5〜1の嵩高
性のセルロース繊維、若しくは架橋セルロース繊維から
なる嵩高性のセルロース繊維及び熱溶融性接着繊維また
は紙力補強剤を含む水スラリーを湿式抄紙して抄造され
た、湿潤した繊維ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布
し、その上に親水性繊維及び熱溶融性接着繊維または紙
力補強剤を含む繊維集合体を重ね合わせ、そしてこれら
を乾燥し、一体化させる工程を含むことを特徴とする吸
収性シートの製造方法を提供するものである。
【0017】また、本発明は、嵩高性の親水性繊維及び
熱溶融性接着繊維または紙力補強剤から形成された繊維
構造体と高吸収性ポリマー粒子とから構成され、上記高
吸収性ポリマー粒子は上記吸収性シートが液体を吸収す
る吸収表面には存在せず、上記繊維構造体中に三次元状
分散固定されており、上記吸収性シートの厚みが0.
3〜1.5mmであり、上記高吸収性ポリマーの散布坪
量が20〜70g/m2 であり、 上記嵩高性の親水性繊
維は、繊維粗度が0.3mg/m以上若しくは繊維断面の
真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース繊維である
か、又は架橋セルロース繊維からなる嵩高性のセルロー
ス繊維であることを特徴とする吸収性シートを提供する
ものである。
【0018】本明細書において、「繊維ウエブ」とは、
高吸収性ポリマーを散布する前の湿潤状態において、構
成繊維が、互いに全く拘束されていないか、又は機械的
絡み合い及び摩擦力等によりごく僅かに拘束されて、極
めて高い自由度を有する状態にあり、且つその乾燥後に
おいては、構成繊維が、互いに強く拘束されてシート状
の形態となる繊維の集合体を意味し、また、「繊維集合
体」とは、繊維を主体として形成され、シート状の形態
となる繊維の集合体であり、通常の紙、不織布及び織布
等のほかに、上記繊維ウエブも包含し、また、「繊維構
造体」とは、上記繊維ウエブと上記繊維集合体とを主体
として一体的に構成された繊維のシート状物を意味す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の吸収性シートにつ
いて図面を参照しつつ詳説する。ここで、図1は、本発
明の吸収性シートの断面を示す模式図であり、図2は本
発明の好ましい吸収性シートの断面を示す模式図であ
る。
【0020】本発明の吸収性シート10は、図1に示す
ように少なくとも上記嵩高性のセルロース繊維及び熱溶
融性接着繊維または紙力補強剤、並びに高吸収性ポリマ
ー16を含んでいる。また、上記吸収性シート10は、
液体を吸収する吸収表面12を有し、該吸収表面12に
は上記高吸収ポリマー16は存在せず、上記高吸収性ポ
リマー16は、上記吸収性シート10の内部に三次元状
分散配置されている。また、上記高吸収性ポリマー1
6は、上記吸収性シート10を構成する上記嵩高性のセ
ルロース繊維に接着している。
【0021】また、本発明の吸収性シート10は、好ま
しくは、図2に示すように、繊維集合体15及び繊維ウ
エブ18から構成されている。該繊維集合体15は、吸
収表面12を有すると共に、該吸収表面12側には上記
高吸収性ポリマー16を含まない。一方、上記繊維ウエ
ブ18は、少なくとも親水性繊維から構成されている。
また、図2に示すように、上記繊維集合体15と上記繊
維ウエブ18とは一体化している。更に、上記高吸収性
ポリマー16は、主に上記繊維ウエブ18の内部に配置
されている。
【0022】このように、本発明の吸収性シート10の
好ましい実施形態は、繊維集合体15及び繊維ウエブ1
8を含み且つ高吸収性ポリマー16がその内部に含まれ
た一体構造を有していることが特徴の一つである。更に
詳しくは、本発明の吸収性シート10は、上記繊維集合
体15を構成する繊維と上記繊維ウエブ18を構成する
繊維との間での機械的絡み合い、水素結合(及び紙力補
強剤)並びに熱融着等により、上記繊維集合体15と上
記繊維ウエブ18とが一体化している。かかる構造を有
することにより、上記高吸収性ポリマー16が上記吸収
性シートの内部に確実に固定され、その脱落を防止する
ことができる。しかも、上記吸収表面12から吸収され
た液体の透過性が一層向上し、スムーズに上記高吸収性
ポリマー16に到達する。また、液体を吸収した上記高
吸収性ポリマー16のゲルブロッキングも抑えられる。
従って、本発明の吸収性シート10は、2枚の吸収紙の
間に高吸収性ポリマーを層状に挟持した従来の吸収性シ
ート(図6)とは全く異なった構造を有する(つまり、
従来の吸収性シートは2プライであるが、本発明の吸収
性シート10は1枚のシートである)。かかる一体化
は、後述するように、湿式抄紙による重ね合わせによっ
て達成されることが好ましい。
【0023】上記繊維ウエブ18は、上記高吸収性ポリ
マー16の散布前には湿潤した状態にあり、上記繊維ウ
エブ18を構成する繊維が互いに極めて高い自由度を有
していることが重要である。かかる状態の繊維ウエブ1
8上に上記高吸収性ポリマー16を散布することによ
り、上記高吸収性ポリマー16は上記繊維ウエブ18中
に、即ち、その表面から内部にかけて三次元的に分散固
定される。また、上記繊維ウエブ18は、該繊維ウエブ
18と上記繊維集合体15とを一体化させた後に上記高
吸収性ポリマー16が上記吸収性シート10の表面に析
出しない程度の強度を有していることも重要である。こ
の目的のために、上記繊維ウエブ18はJIS−P−8
113により測定した湿潤強度が50g以上であること
が好ましく、100g以上であることが更に好ましい。
上記繊維ウエブ18に湿潤強度を付与するためには、後
述するように、熱溶融性接着繊維、或いは紙力補強剤を
配合する。また、更に水素結合を形成するような木材パ
ルプ又は非木材パルプを配合することも好ましい。
【0024】上記繊維ウエブ18は、その坪量が好まし
くは10g/m2 〜200g/m2であり、更に好まし
くは10g/m2 〜100g/m2 であり、一層好まし
くは20g/m2 〜80g/m2 である。上記坪量が1
0g/m2 に満たないと、上記高吸収性ポリマー16の
膨潤時に該高吸収性ポリマー16が上記繊維ウエブ18
を突出して脱落してしまうおそれがある。一方、上記坪
量が200g/m2 を超えると上記繊維ウエブの密度が
上がり過ぎ、上記吸収性シート10が固くなりすぎ、上
記高吸収性ポリマー16を三次元的に固定できなくなっ
たり、液体の透過性が悪くなったり、更には装着感が悪
くなる場合があるので、上記範囲内とすることが好まし
い。
【0025】上記繊維ウエブは少なくとも親水性繊維を
含む。かかる親水性繊維としては、親水性表面を有する
繊維であって、その湿潤状態において、繊維どうしが互
いに極めて高い自由度を有する繊維ウエブを形成できる
ものである、繊維粗度が0.3mg/m以上若しくは繊維
断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース繊維、
又は架橋セルロース繊維からなる嵩高性のセルロース繊
維が用いられる。そのような嵩高性のセルロース繊維の
例には、針葉樹クラフトパルプや広葉樹クラフトパルプ
のような木材パルプ、木綿パルプ及びワラパルプ等の天
然セルロース繊維、レーヨン及びキュプラ等の再生セル
ロース繊維などが挙げられるが、それらに限定されるも
のではない。これらの親水性繊維は1種又は2種以上を
用いることができる。
【0026】
【0027】嵩高性のセルロース繊維は、安定な親水性
表面を持ち、特に湿潤後も親水性を維持する。特に好ま
しい嵩高性のセルロース繊維は、天然セルロース繊維及
び再生セルロース繊維からなる。コストの点からは、木
材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフト
パルプが好ましい。かかる嵩高性のセルロース繊維を用
いることによって、高吸収性ポリマーの分散性及び固定
化の程度が一層向上するのみならず、湿式抄紙の際に繊
維ウエブの排水性を一層容易にコントロールすることが
できる。更に、嵩高性のセルロース繊維は、嵩高で空隙
率の高い繊維ウエブを形成できるので、高吸収性ポリマ
ーが繊維ウエブ中に三次元的に埋没・分散、固定されや
すくなり且つ高吸収性ポリマーのゲルブロッキングの発
生も抑えることができる。なお、上記嵩高性のセルロー
ス繊維の平均繊維長に特に制限はないが、一般的な範囲
として、1〜20mmであることが好ましい。また、P
ET、PE、PP等の合成繊維を親水化処理して得られ
た繊維も嵩高性の親水性繊維として本発明において好ま
しく用いられる。なお、本明細書において「嵩高性の繊
維」とは、繊維形状が、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲
及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断
面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)であ
る繊維をいう。
【0028】上記嵩高性のセルロース繊維は、上記繊維
ウエブ100重量部に基づき、好ましくは30重量部以
上含まれ、更に好ましくは50〜99重量部含まれる。
【0029】上記嵩高性のセルロース繊維として、繊維
粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維が挙げられ
る。繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維
は、嵩高な状態でセルロース繊維が集積するので、上記
繊維ウエブ内に嵩高なネットワーク構造が形成され易
い。また、液体の移動抵抗が小さく、液体の通過速度が
大きくなる。
【0030】本発明において、「繊維粗度」とは、木材
パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、
繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例
えば、繊維粗度計(FS−200、KAJANNI ELECTRONIC
S LTD.社製)を用いて測定することができる。
【0031】記嵩高性のセルロース繊維の好ましい繊
維粗度は0.3〜2mg/mであり、更に好ましい繊維
粗度は0.32〜1mg/mである。
【0032】繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロー
ス繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ〔Federal
Paper Board Co. 製の「ALBACEL 」(商品名)、及びPT
Inti Indorayon Utama 製の「INDORAYON 」(商品
名)〕等が挙げられる。
【0033】上記嵩高性のセルロース繊維の他の例とし
て、繊維断面の真円度が0.5〜1、好ましくは0.5
5〜1であるセルロース繊維が挙げられる。繊維断面の
真円度が0.5〜1であるセルロース繊維は、液体の移
動抵抗が小さく、液体の透過速度が大きくなる。なお、
繊維断面の真円度の測定方法は後述する。
【0034】上述の通り、セルロース繊維として木材パ
ルプを使用することが好ましいが、一般に木材パルプの
断面は、脱リグニン化処理により偏平であり、その殆ど
の真円度は0.5未満である。このような木材パルプの
真円度を0.5以上にするためには、例えば、かかる木
材パルプをマーセル化処理して木材パルプの断面を膨潤
させればよい。
【0035】このように、上記嵩高性のセルロース繊維
として、木材パルプをマーセル化処理して得られる真円
度が0.5〜1であるマーセル化パルプも用いられる
本発明において用いることのできる市販のマーセル化パ
ルプの例としては、ITT Rayonier Inc. 製の「FILTRANI
ER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等
が挙げられる。
【0036】また、繊維粗度が0.3mg/m以上で、
且つ繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊
維を用いると、嵩高なネットワーク構造が一層形成され
易くなり、液体の通過速度も一層大きくなるので好まし
い。
【0037】上記嵩高性のセルロース繊維の別の例とし
て、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋さ
せた架橋セルロース繊維がある。かかる架橋セルロース
繊維は湿潤状態でも嵩高構造を維持し得る。
【0038】セルロース繊維を架橋するための方法には
特に制限はないが、例えば、架橋剤を用いた架橋方法が
挙げられる。かかる架橋剤の例としては、ジメチロール
エチレン尿素及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿
素等のN−メチロール系化合物;クエン酸、トリカルバ
リル酸及びブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン
酸;ジメチルヒドロキシエチレン尿素等のポリオール;
ポリグリシジルエーテル系化合物の架橋剤などが挙げら
れる。特に、架橋時に人体に有害なホルマリン等を発生
しないポリカルボン酸やポリグリシジルエーテル系化合
物の架橋剤が好ましい。
【0039】上記架橋剤の使用量は、上記セルロース繊
維100重量部に対して、0.2〜20重量部とするの
が好ましい。使用量が0.2重量部未満であると、上記
セルロース繊維の架橋密度が低い為、湿潤時に弾性率が
大きく低下してしまう場合があり、使用量が20重量部
を超えると上記セルロース繊維が剛直になり過ぎ、応力
がかかった時に上記セルロース繊維が脆くなってしまう
場合があるので、上記範囲とするのが好ましい。
【0040】上記架橋剤を用いて上記セルロース繊維を
架橋するためには、例えば、上記架橋剤の水溶液に必要
に応じて触媒を添加したものに、上記セルロース繊維を
含浸させ、架橋剤水溶液が設計付着量となる様に上記セ
ルロース繊維を脱水し、次いで架橋温度に加熱するか、
又は、スプレー等により架橋剤水溶液を上記セルロース
繊維に設計付着量となる様に散布し、その後、架橋温度
に加熱し、架橋反応させる。
【0041】なお、市販の架橋セルロース繊維として
は、Weyerhaeuser Paper Co.製の「High Bulk Additiv
e」等が挙げられる。
【0042】上述した嵩高性のセルロース繊維に加え
て、繊維粗度が0.3mg/m以上であるパルプ等のセ
ルロース繊維の分子内及び/又は分子間を上述の方法で
架橋した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。
【0043】また、繊維断面の真円度が0.5〜1であ
るパルプの分子内及び/又は分子間を上述の方法で架橋
した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。
【0044】また、繊維断面の真円度が0.5〜1であ
るマーセル化パルプの分子内及び/又は分子間を上述の
方法で架橋した嵩高性のセルロース繊維も好ましい。
【0045】一層好ましい上記嵩高性のセルロース繊維
は、繊維粗度が0.3mg/m以上であり且つ繊維断面
の真円度が0.5〜1であるパルプを上述の方法で架橋
したものである。
【0046】特に好ましい上記嵩高性のセルロース繊維
は、繊維粗度が0.3mg/m以上であるパルプをマー
セル化によって真円度を0.5〜1した後、上述の方法
で架橋したものである。
【0047】本発明の吸収性シートが湿潤したときでも
その構造を安定に保つようにするためには、上記繊維ウ
エブに湿潤強度を付与することが必要であり、このため
に熱溶融性接着繊維または紙力補強剤を配合する。
【0048】また、上記セルロース繊維の繊維間の水素
結合を強化させ吸収性シートの強力向上には、上記熱溶
融性接着繊維または上記紙力補強剤に代わり、通常のセ
ルロース繊維、即ち、木材パルプや非木材パルプ等を配
合するのも効果的である。しかし、十分に吸収性シート
の湿潤時の強度を得るには、熱溶融性接着繊維、或いは
紙力補強剤と併用して配合することが好ましい。
【0049】上記熱溶融性接着繊維としては、加熱によ
り溶融し相互に接着する繊維を用いることができ、具体
的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポ
リビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエ
ステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊
維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリ
エステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性で
あるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、
並びにポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等
を挙げることができる。複合繊維を用いる場合には、芯
鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何
れをも用いることができる。これらの熱溶融性接着繊維
は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合
して用いることもできる。本発明において好ましく用い
られる熱溶融性接着繊維としては、熱水で溶解するポリ
ビニルアルコール繊維、芯鞘型のポリエステル繊維等を
挙げることができる。
【0050】上記熱溶融性接着繊維は、一般にその繊維
長が2〜60mmであることが好ましく、繊維径は0.
1〜3デニール(特に0.5〜3デニール)であること
が好ましい。
【0051】また、上述の通り、上記繊維ウエブには、
紙力補強剤としてのポリアミン・エピクロルヒドリン樹
脂、ジアルデヒドデンプン、カイメン、カルボキシメチ
ルセルロースなどを添加する。これらの紙力補強剤は、
上記繊維ウエブ100重量部に基づき0.01〜30重
量部、好ましくは0.01〜20重量部添加することが
できる。
【0052】上記熱溶融性接着繊維を用いる場合、上記
繊維ウエブは、繊維ウエブ100重量部に基づき、上記
嵩高性のセルロース繊維を30〜99重量部、上記熱溶
融性接着繊維を1〜50重量部含んで成ることが好まし
い。更に好ましくは、繊維ウエブ100重量部に基づ
き、上記嵩高性のセルロース繊維を50〜97重量部、
上記熱溶融性接着繊維を3〜30重量部含んで成る。
【0053】上記繊維ウエブは、例えば、好ましくは、
ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維)1〜10重
量部、更に好ましくは、2〜5重量部を含んで成る。上
記ビニロン繊維は、湿熱で溶解するビニロン繊維を用い
ることが好ましい。
【0054】別の例としては、上記繊維ウエブは、好ま
しくは、芯鞘構造からなる熱溶融性接着繊維1〜30重
量部、更に好ましくは、5〜20重量部を含んで成る。
芯鞘構造からなる上記熱溶融性接着繊維の具体例として
は、融点が70℃〜150℃のポリエチレン−酢酸ビニ
ル樹脂、ポリエチレン樹脂、若しくは変性ポリエステル
樹脂又は湿熱溶解性のポリビニルアルコールを鞘部と
し、且つポリプロピレン樹脂又はポリエステル樹脂を芯
部とする芯鞘構造からなる合成繊維を挙げることができ
る。
【0055】一方、上記紙力補強剤を用いる場合、上記
繊維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロ
ース繊維が30〜100重量部、その他の繊維が0〜5
0重量部、上記紙力補強剤が0.01〜30重量部含ま
れることが好ましい。更に好ましくは、上記繊維ウエブ
100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維が
50〜100重量部、その他の繊維が0〜20重量部、
上記紙力補強剤が0.01〜20重量部含まれる。
【0056】例えば、上記繊維ウエブは、該繊維ウエブ
100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維を
30〜99重量部、上記木材パルプ又は非木材パルプを
1〜70重量部、及び上記紙力補強剤を0.01〜30
重量部含んで成ることが好ましい。更に好ましくは、繊
維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロー
ス繊維を50〜95重量部、上記木材パルプ又は非木材
パルプを5〜50重量部、及び上記紙力補強剤を0.0
1〜20重量部含んで成る。
【0057】次に、本発明の吸収性シート10の内部に
含まれる上記高吸収性ポリマー16について説明する。
図1に示すように、上記高吸収性ポリマー16は、上記
吸収性シート10の内部に含まれており、該吸収性シー
ト10を構成する繊維間に形成される空間に分散されて
いる。更に詳細には、図2に示すように、上記高吸収性
ポリマー16は、主として上記繊維ウエブ18の内部
に、即ち、該繊維ウエブ18と上記繊維集合体15との
界面から該繊維ウエブ18の内部にかけて含まれてお
り、該繊維ウエブ18を構成する繊維間に形成される空
間に分散されていることが好ましい。その結果、上記高
吸収性ポリマー16は、上記吸収性シート中に確実に固
定され且つゲルブロッキングの発生が抑えられる。な
お、ここで「高吸収性ポリマーが吸収性シートの内部に
含まれている」とは、上記高吸収性ポリマーが上記吸収
性シートの表面にまったく存在しないことを意味するも
のではなく、後述する上記吸収性シートの好ましい製造
方法において、不可避的に該吸収性シートの表面に存在
する微量の高吸収性ポリマーは許容するものであり、上
記高吸収性ポリマーのほとんどが上記吸収性シートの内
部に存在することをいう。
【0058】また、上記高吸収性ポリマー16は、上記
吸収性シート10を構成する嵩高性のセルロース繊維、
好ましくは上記繊維ウエブ18を構成する嵩高性のセル
ロース繊維に接着している。従って、高吸収性ポリマー
16の固定が一層強固なものとなり、そのゲルブロッキ
ングが一層抑えられる。ここで、上記高吸収性ポリマー
16は、主に嵩高性のセルロース繊維に接着している
が、吸収性シートを構成する他の繊維、例えば熱溶融性
繊維に接着していても問題はない。また、そのすべての
粒子が繊維に接着している必要はない。上記高吸収性ポ
リマー16は、その全量に基づき、50重量%以上が繊
維に接着していることが好ましく、特に、70重量%以
上が繊維に接着していることが好ましい。なお、上記高
吸収性ポリマー16を繊維に接着させる方法については
後述する。
【0059】また、上記高吸収性ポリマーとして、球状
のポリマーを一次粒子としてそれを凝集させて二次粒子
とした粒子凝集タイプの高吸収性ポリマーを使用した場
合には、一次粒子の全てが繊維に接着してなくてもよ
く、二次粒子の一部が繊維に接着していれば、その高吸
収性ポリマーは繊維に固定されることになる。
【0060】記高吸収性ポリマー16は、上記吸収性
シート10中に層状に分散されているのではなく、図1
に示すように、三次元状に分散されている。従って、高
吸収性ポリマーを多量に分散させることができる。即
ち、高吸収性ポリマー16を層状(つまり、二次元状)
に分散させる従来の吸収性シートにおける高吸収性ポリ
マーの散布坪量の上限が一般に約50〜100g/m2
であるのに対して、上記吸収性シート10においては上
記高吸収性ポリマー16を三次元状に分散させることが
できるので、上記高吸収性ポリマー16の散布坪量の上
限を約200〜300g/m2 とすることができ、該高
吸収性ポリマー16の散布坪量を従来の吸収性シートの
約3倍に増量することができる。従って、上記吸収性シ
ート10は、従来の吸収性シートに比して、液体の吸収
量が飛躍的に増大する。更に、上記高吸収性ポリマー1
6が三次元状に分散されているので、該高吸収性ポリマ
ー16本来の吸収性能が一層効果的に発現される。即
ち、従来の吸収性シートと同量の高吸収性ポリマーを使
用した場合でも、吸収性能を一層向上させることがで
き、且つ吸収性シートを極薄化することができる。その
上、散布坪量を増量できるので、大きな吸収容量を必要
とする紙おむつ等の吸収体としても好適に使用すること
ができる。
【0061】上記高吸収性ポリマーは、その散布坪量が
5〜300g/m2 であり、10〜250g/m2 であ
ることが好ましい。また、液体の吸収量が多くない用途
に使用するときは、吸収性シートを極薄にするために、
20〜70g/m2 とすることが好ましい。散布坪量が
5g/m2 に満たないと、吸水力が足りず、十分な機能
を発揮し得ない。一方、散布坪量が300g/m2 より
多いと、上記繊維ウエブと上記繊維集合体との接着力が
低下し、高吸収性ポリマーが脱落しやすくなるので、上
記範囲内とすることが好ましい。
【0062】上記高吸収性ポリマー16としては、自重
の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得る
ものが好ましい。形状は特に問わず、球状、塊状、ブド
ウ状、粉末状又は繊維状であり、好ましくは大きさが1
〜1000μm(より好ましくは10〜500μm)の
粒子状のものである。そのような高吸収性ポリマーの例
としては、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロ
ース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合
体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポ
リアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。
ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用
いることができる。また、アクリル酸にマレイン酸、イ
タコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイル
エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸
収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合せしめ
た共重合体も好ましく使用し得る。
【0063】次に、本発明の吸収性シート10における
吸収表面12を有する上記繊維集合体15について説明
する。ここで、上記「吸収表面」とは、本発明の吸収性
シート10が液体を吸収する際に主として、最初に液体
を吸収する面のことをいう。即ち、本発明の吸収性シー
ト10の好ましい実施形態においては、主として、上記
繊維集合体15側から液体を吸収させる。
【0064】上記繊維集合体は、その吸収表面側には上
記高吸収性ポリマーを含まない(上記高吸収性ポリマー
が存在しない)。ここで、「高吸収性ポリマーを含まな
い」とは、上記繊維集合体がその吸収表面側に上記高吸
収性ポリマーをまったく含まないことを意味するもので
はなく、後述する上記吸収性シートの好ましい製造方法
において不可避的に混入する微量の高吸収性ポリマーは
許容するものの実質的にその吸収表面側に高吸収性ポリ
マーを含まないことを意味する。
【0065】上記繊維集合体は、繊維の機械的絡み合い
や物理的絡み合い及び熱接着等によって得られるもので
あり、例えば、紙や不織布などを用いることができる。
紙としては、湿式抄造により得られる紙やそれをクレー
プ加工したものなどを使用することができる。一方、不
織布としては、レーヨンやキュプラ等の合成セルロース
繊維や綿等の天然セルロース繊維を主体としたカード法
不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布のよ
うな各種不織布を用いることができる。
【0066】上記繊維集合体は、好ましくは、親水性繊
維を含む。かかる親水性繊維としては、上記繊維ウエブ
において用いられるものと同様のものを使用することが
できる。上記親水性繊維は、上記繊維集合体100重量
部に基づき好ましくは30重量部以上含まれ、より好ま
しくは、50〜99重量部含まれる。
【0067】上記繊維集合体には、上記繊維ウエブと同
様に、湿潤強度が付与されていることが好ましい。湿潤
強度を付与することにより、上記吸収性シートが湿潤し
た場合にも、その形態を安定に維持し得るからである。
上記繊維集合体の湿潤強度は、JIS−P−8113に
より測定した湿潤強度が50g以上であることが好まし
く、更には100g以上であることが好ましい。上記繊
維集合体に湿潤強度を付与するためには、上記繊維ウエ
ブの場合と同様に、上述した熱溶融性接着繊維、或いは
紙力補強剤を配合する。また、更に水素結合を形成する
ような木材パルプ又は非木材パルプを配合することも好
ましい。この場合、上記熱溶融性接着繊維は、上記繊維
集合体100重量部に基づき好ましくは1〜50重量部
含まれ、より好ましくは、3〜30重量部含まれる。ま
た、上記紙力補強剤は、上記繊維集合体100重量部に
基づき好ましくは0.01〜30重量部含まれ、より好
ましくは、0.02〜20重量部含まれる。
【0068】上記繊維集合体は、特に好ましくは、上記
繊維ウエブを形成する繊維及び成分と同様の配合により
形成されている。
【0069】また、上記繊維集合体は不織布から成るこ
とも好ましく、特に乾式法不織布、例えばカード法不織
布から成ることが好ましい。
【0070】上記繊維集合体は、その坪量が10〜20
0g/m2 であることが好ましく、10〜100g/m
2 であることが更に好ましい。上記坪量が10g/m2
に満たないと、上記高吸収性ポリマーの膨潤時に該高吸
収性ポリマーが上記繊維集合体を突出して脱落してしま
うおそれがある。一方、坪量が200g/m2 を超える
と上記繊維集合体の密度が上がり過ぎ、吸収性シートが
固くなりすぎる場合があるので、上記範囲内とすること
が好ましい。
【0071】上記繊維集合体は、上記繊維ウエブを製造
する前に予め製造しておいてもよく、また、本発明の吸
収性シートを製造する際に、上記繊維ウエブと同時に製
造してもよい。
【0072】本発明の吸収性シートにおいては、上記繊
維集合体の坪量が10〜200g/m2 であり、上記高
吸収性ポリマーの散布坪量が5〜300g/m2 であ
り、上記繊維ウエブの坪量が10〜200g/m2 であ
ることが好ましく、上記繊維集合体の坪量が10〜10
0g/m2 であり、上記高吸収性ポリマーの散布坪量が
5〜200g/m2 であり、上記繊維ウエブの坪量が1
0〜100g/m2 であることが更に好ましい。
【0073】また、本発明の吸収性シートのトータルの
坪量は、21〜500g/m2 であることが好ましく、
30〜300g/m2 であることが更に好ましく、50
〜200g/m2 であることが一層好ましい。
【0074】また、本発明の吸収性シートは、その繊維
密度が0.1g/cm3 以上であることが好ましく、
0.1〜0.4g/cm3 であることが更に好ましく、
0.1〜0.2g/cm3 であることが一層好ましい。
繊維密度をかかる範囲にすることにより、上記高吸収性
ポリマーのゲルブロッキングが一層効果的に防止され
る。このような範囲の繊維密度は、上記嵩高性のセルロ
ース繊維を用いることによって、容易に実現できる。
【0075】本発明の吸収性シートの特に好ましい実施
形態としては、嵩高性の親水性繊維及び熱溶融性接着繊
維または紙力補強剤から形成された繊維構造体と高吸収
性ポリマー粒子とから構成され、上記高吸収性ポリマー
粒子は上記吸収性シートが液体を吸収する吸収表面には
存在せず、上記繊維構造体中に三次元状に分散固定され
ており、上記吸収性シートの厚みが0.3〜1.5mm
であり、上記高吸収性ポリマーの散布坪量が20〜70
g/m2 であり、 上記嵩高性の親水性繊維は、繊維粗度
が0.3mg/m以上若しくは繊維断面の真円度が0.5
〜1の嵩高性のセルロース繊維であるか、又は架橋セル
ロース繊維からなる嵩高性のセルロース繊維である吸収
性シートである。かかる吸収性シートは、その厚さが極
めて薄い。また、多量の液体を吸収しないのであれば、
液体の吸収後も、厚さの増加はほとんどない。従って、
かかる吸収性シートを例えば生理用ナプキンの吸収層等
に用いた場合には、経血の吸収後でも、違和感のない装
着感が得られる。
【0076】本発明の吸収性シートを生理用ナプキンの
吸収体として用いる場合には、該吸収性シートにおける
高吸収性ポリマーの散布坪量は好ましくは10〜100
g/m2 、更に好ましくは20〜70g/m2 であり、
繊維集合体の坪量は好ましくは10〜80g/m2 、更
に好ましくは15〜50g/m2 であり、繊維ウエブの
坪量は好ましくは10〜80g/m2 、更に好ましくは
15〜50g/m2 であり、吸収性シートの厚みは好ま
しくは0.3〜1.5mmである。一方、本発明の吸収
性シートを使い捨ておむつ等の多液保持用の吸収体とし
て用いる場合には、該吸収性シートにおける高吸収性ポ
リマーの散布坪量は好ましくは50〜300g/m2
更に好ましくは100〜250g/m2 であり、繊維集
合体の坪量は好ましくは20〜200g/m2 、更に好
ましくは20〜100g/m2 であり、繊維ウエブの坪
量は好ましくは20〜200g/m2 、更に好ましくは
20〜100g/m2 であり、吸収性シートの厚みは好
ましくは0.5〜1.5mmである。
【0077】本発明の吸収性シートの厚みは、高吸収性
ポリマーが分散されて繊維に接着されていることによ
り、吸収効率が良好であるため、薄型化することが可能
となった。特に上記嵩高性のセルロース繊維を使用し
いるので、高吸収性ポリマーの分散状態が更に向上
る。即ち、本発明の吸収性シートは、2.5g/cm2
加重下での厚みが0.3〜1.5mmであり、0.5〜
1.2mmであることが好ましい。このように、本発明
の吸収性シートは極薄である。しかも、液体の吸収後も
厚みの増加は小さい。この理由は、液体を吸収すると、
高吸収性ポリマーが大きくなり繊維間距離が押し広げら
れ、その結果として、吸収性シートの厚みが増すのみで
あり、米国特許第4,605,402号や同第5,02
1,050号のように繊維の弾性および高吸収性ポリマ
ーの繊維開放による厚みの増加はないからである。
【0078】本発明の吸収性シートの厚みは、上記繊維
集合体15と上記繊維ウエブ18とが一体化された後の
厚みであり、この厚みは一体化される前に較べると薄
い。かかる一体化は、吸収性シートに配合された上記熱
溶融性接着繊維または上記紙力補強剤も寄与していると
ころが大きい。また、本発明の吸収性シートにおいて
は、上述の通り、高吸収性ポリマーが分散されて繊維に
接着されていることにより、吸収効率が良好であるた
め、薄型化することが可能となった。特に上記嵩高性の
セルロース繊維を使用しているので、高吸収性ポリマー
の分散状態が更に向上する。かかる高吸収性ポリマーは
繊維並びに上記繊維集合体15と上記繊維ウエブ18に
密着しているため、液体の高吸収性ポリマーへの伝達が
スムーズとなる。また、上記繊維集合体15と上記繊維
ウエブ18は、熱溶融性接着繊維または紙力補強剤によ
り接合しているため、湿潤しても構造が安定に保たれ、
高吸収性ポリマーへの液伝達性及び高吸収性ポリマーの
固定性に優れている。また、本発明の吸収性シートの厚
みは、上述の通り、米国特許第4,605,402号や
同第5,021,050号等とは異なり、湿潤後増大し
にくい。特に上記嵩高性のセルロース繊維を親水性繊維
として使用しているので、低密度になり繊維による空間
が形成されるため、高吸収性ポリマーの分散性、液伝達
性に優れ、特に粘度が高い液体の吸収に優れる。また、
繊維による空間が確保されているため、厚みが大きく増
大することなく湿潤後の吸液性にも優れる。このよう
に、本発明の吸収性シートにおいては、高吸収性ポリマ
ーの固定性及び吸収効率を向上させたため、薄型化が可
能となった。また、上記繊維集合体15と上記繊維ウエ
ブ18の一体化及びシート化や、湿潤時の構造安定化に
寄与する熱溶融性接着繊維若しくは紙力補強剤の使用
も、薄型化への要因の一つである。
【0079】次に、本発明の吸収性シートを製造するた
めの好ましい方法について図面を参照して説明する。こ
こで図3は、本発明の吸収性シートを製造するために好
ましく用いられる装置を示す概略図である。この方法
は、少なくとも、繊維粗度が0.3mg/m以上若しくは
繊維断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース繊
維、若しくは架橋セルロース繊維からなる嵩高性のセル
ロース繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤を含
む水スラリーを湿式抄紙して抄造された、湿潤した繊維
ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、その上に親水性
繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤を含む繊維
集合体を重ね合わせ、そしてこれらを乾燥し、一体化さ
せる工程を含むことを特徴とする。かかる方法によれ
ば、高吸収性ポリマーを、上記吸収性シートが液体を吸
収する吸収表面には存在させず、且つ該吸収性シートの
内部に三次元状に分散配置させることを容易に行うこと
ができる。また、上記吸収性シートを構成する親水性繊
維に、高吸収性ポリマーを、容易に接着・固定化させる
ことができる。更に、上記吸収性シートの厚みを0.3
〜1.5mmという極薄にすることが容易となる。
【0080】上記方法について詳述すると、まず、上記
嵩高性のセルロース繊維を含む上記繊維ウエブを形成す
る。上記繊維ウエブを形成する方法に特に制限はなく、
例えば、乾式抄紙法などを用いることができるが、好ま
しくは、湿式抄紙法を用いる。これは、後述するよう
に、上記高吸収性ポリマーを上記繊維ウエブに散布する
際に、上記繊維ウエブは湿潤し且つ繊維の自由度が極め
て高い状態でなければならないので、湿式抄紙法により
上記繊維ウエブを形成すれば、それは直ちに湿潤状態を
実現することになるので、別工程をもって湿潤状態にす
る手間が省けるからである。また、湿式抄紙法により得
られる繊維ウエブは、その乾燥前には繊維どうしが互い
に十分には結合していないので、その状態で上記高吸収
性ポリマーを散布すると、かかる高吸収性ポリマーが繊
維間に形成される空間中に三次元的に埋没しやすく、多
量の高吸収性ポリマーを散布することができるという利
点も有する。
【0081】上記繊維ウエブを湿式抄紙する場合には、
上記繊維ウエブを形成する繊維及び成分等、好ましく
は、上記嵩高性のセルロース繊維、及び上記熱溶融性接
着繊維又は紙力補強剤等を所定の濃度になるように、水
に分散せしめてスラリーを形成する。上記嵩高性のセル
ロース繊維、及び上記熱溶融性接着繊維又は紙力補強剤
等のスラリー中における濃度は、一般の湿式抄紙におけ
る濃度にすればよい。また、上記嵩高性のセルロース
維、及び上記熱溶融性接着繊維又は紙力補強剤等間の相
対的な配合割合は、湿式抄紙して得られる繊維ウエブ中
におけるそれらの配合割合が上述した範囲となるように
すればよい。
【0082】このようにして得られた繊維ウエブに、そ
の湿潤状態において、上記高吸収性ポリマーを散布す
る。繊維ウエブの湿潤状態は、乾燥繊維ウエブ100重
量部に基づき水を20〜500重量部含む程度が好まし
く、更に好ましくは、50〜300重量部の水を含む。
水の量が20重量部に満たないと、散布された高吸収性
ポリマーが水を吸収して湿潤し、粘着性を得ることがで
きないので、高吸収性ポリマーの固定性が不十分とな
り、水の量が500重量部を超えると高吸収性ポリマー
が吸収過剰となり、後述する乾燥工程で乾燥不良となる
ことがあるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0083】湿潤状態の繊維ウエブに、上記高吸収性ポ
リマーを散布する。これにより、上記高吸収性ポリマー
が水を吸収して粘着性を帯び、上記繊維ウエブを構成す
る繊維中に埋没し、その後の乾燥により繊維に接着・固
定化する。また、湿潤した状態の繊維ウエブは、それを
構成する繊維が未だ互いに結合しておらず自由度を有し
ているので、上記高吸収性ポリマーを三次元的に分散せ
しめることができる。従って、従来の吸収性シートに比
して、一層多量の高吸収性ポリマーを安定に固定するこ
とができる。上記高吸収性ポリマーを散布する場合、上
記高吸収性ポリマーは、湿潤した上記繊維ウエブの全面
に均一に散布しても良く、或いは必要に応じて湿潤した
上記繊維ウエブの長手方向に間隔をおいて筋状に部分散
布したり、湿潤した上記繊維ウエブの長手方向にショッ
ト状に間歇散布することもできる。
【0084】次いで、上記繊維ウエブにおける上記高吸
収性ポリマーを散布した面に、上記繊維集合体を重ね合
わせる。この時点では、上記繊維ウエブ中の繊維は未だ
自由度を有しているので、上記高吸収性ポリマーは、上
記繊維ウエブ中に一層埋没すると共に、上記繊維ウエブ
中の繊維と上記繊維集合体中の繊維とが容易に絡み合
う。
【0085】引き続き、上記繊維ウエブと上記繊維集合
体との重ね合わせ体を乾燥することによって、上記繊維
どうしが絡み合い、更には、水素結合や熱融着の作用も
加わり、上記繊維ウエブと上記繊維集合体とが一体化す
ると共に繊維に粘着した高吸収性ポリマーが乾燥・固着
して、本発明の吸収性シートが得られる。乾燥温度は、
使用する繊維等の種類にもよるが、100〜180℃の
範囲であることが好ましく、更に好ましい乾燥温度は1
05〜150℃の範囲である。乾燥及び一体化により、
上記繊維ウエブ及び上記繊維集合体が一体化し、しか
も、上記繊維ウエブを構成する繊維どうしが互いに結合
してシート化される。なお、乾燥手段に特に制限はな
く、例えばヤンキードライヤーやエアースルードライヤ
ー等を用いることができる。
【0086】特に好ましくは、本発明の吸収性シート
は、湿式抄紙機を用いたインラインの単一工程により製
造される。即ち、図3に示すように、湿式抄紙機のフォ
ーミングパート40で上記繊維ウエブ18を形成し、サ
クション脱水工程42で該繊維ウエブ18を脱水し(乾
燥繊維ウエブ100重量部に基づき水を20〜500重
量部含む程度に脱水)、プレスパート44直前で該繊維
ウエブ18上に上記高吸収性ポリマー16を散布すると
共にその上に上記繊維集合体15を重ね合わせ、次い
で、コンベア45によってドライヤー46に導き、ドラ
イヤー46でこれらを乾燥し一体化する。かかる方法に
より、本発明の吸収性シート10を、高速で且つ簡便に
製造することができる。
【0087】湿式抄紙機としては、通常の抄紙機を使用
することができ、そのような抄紙機には例えば、長網抄
紙機、丸網抄紙機などがある。なお、上記した以外の工
程については、通常の抄紙法における工程を適宜用いる
ことができる。
【0088】なお、本発明の吸収性シートの製造方法を
その好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の
吸収性シートの製造方法は、かかる方法に限定されない
ことはいうまでもない。
【0089】本発明の吸収性シートは、高吸収性ポリマ
ーの脱落が少なく、高吸収性ポリマーの膨潤によるシー
トの裂けを防ぐことができる。従って、本発明の吸収性
シート単独で最終吸収製品として使用できる。本発明の
吸収性シートには、製造時に、脱臭剤、殺菌剤等を配合
し、製品の他の機能を高めることもできる。
【0090】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定さ
れないことはいうまでもない。なお、以下の記載におい
て「部」は、特に説明しない限り「重量部」を示す。
【0091】〔比較例1〕 繊維粗度0.18mg/m、繊維断面の真円度が0.3
2の化学パルプ〔針葉樹クラフトパルプ、Skeena Cellu
lose Co.製のSKEENA PRIME(商品名)〕を水中に分散混
合し、更に該パルプの乾燥重量100部に対し、紙力補
強剤〔ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、商品名;カ
イメンWS−570、会社名;日本PMC(株)〕を樹
脂成分で1部を水中に分散混合し、この分散混合液を湿
式抄紙機のフォーミングパートで乾燥坪量が40g/m
2 になるように繊維ウエブを形成した。次いで、該繊維
ウエブをサクションボックスにより、乾燥繊維ウエブ1
00部に基づき水分率200部になるまで、繊維ウエブ
を脱水した。次いで、プレスパート直前で、脱水後の湿
潤した繊維ウエブ上に、高吸収性ポリマー〔花王(株)
のポリマーQ(商品名)〕を散布坪量50g/m2 でほ
ぼ均一に散布した。
【0092】上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリ
マーを散布した面に、繊維集合体として、上記繊維ウエ
ブと同様の配合組成を有する、予め抄紙しておいた吸収
紙(坪量40g/m2 )を重ね合わせ、かかる繊維ウエ
ブと吸収紙との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、1
30℃の温度にて乾燥、一体化することにより、内部に
高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シート
を得た。
【0093】なお、上記繊維ウエブ及び上記吸収紙にお
いて使用した化学パルプの繊維粗度及び繊維断面の真円
度は以下のように測定した。
【0094】<繊維粗度の測定>繊維粗度計FS−20
0(KAJAANI ELECTRONICS LTD.製)を用いて測定した。
先ず、上記化学パルプの真の重量を求めるために、上記
化学パルプを真空乾燥機内で100℃で1時間乾燥さ
せ、上記化学パルプ中に存在している水分を除去する。
素早く上記化学パルプを±0.1mg精度において約1g
正確に計りとる。次に上記化学パルプに損傷を与えない
ように、上記化学パルプを繊維粗度計に付属のミキサー
で150mlの水中で完全に離解させ、これを5000ml
になるまで水で薄め、得られた希釈液から50mlを正確
に計りとり、これを繊維粗度測定溶液とし、上記繊維粗
度計の操作手順に従って繊維粗度を求めた。
【0095】<繊維断面の真円度の測定>上記化学パル
プの断面を面積が変化しないように、断面方向に垂直に
スライスし、電子顕微鏡により断面写真をとり、該断面
写真を画像回析装置〔日本アビオニクス社製の「Avio E
XCEL」(商品名)〕により解析し、下記に示す式を用い
て上記化学パルプの繊維断面の真円度を求めた。尚、該
真円度は、任意の上記化学パルプの繊維断面を100点
測定し、その平均値とした。
【0096】
【数1】
【0097】〔実施例〕 繊維粗度0.36mg/m、繊維断面の真円度が0.80
のマーセル化パルプ〔ITT RAYONIER INC. 製の「POROSA
NIER-J」(商品名)〕95部、及び太さ1デニール、長
さ3mmのポリビニルアルコール繊維〔熱溶融性接着繊
維、三昌(株)製のフィブリボンド(商品名)、以下
「PVA繊維」という〕5部を水中に分散混合し所定の
濃度とした後、この分散混合液を湿式抄紙機のフォーミ
ングパートで乾燥坪量が40g/m2 になるように繊維
ウエブを形成した。次いで、該繊維ウエブをサクション
ボックスにより、乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分
率150部になるまで、繊維ウエブを脱水した。次い
で、プレスパート直前で、脱水後の湿潤した繊維ウエブ
上に、高吸収性ポリマー〔花王(株)のポリマーQ(商
品名)〕を散布坪量50g/m2 でほぼ均一に散布し
た。
【0098】上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリ
マーを散布した面に、繊維集合体として、上記繊維ウエ
ブと同様の配合組成を有する、予め抄紙しておいた吸収
紙(坪量40g/m2 )を重ね合わせ、かかる繊維ウエ
ブと吸収紙との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、1
30℃の温度にて乾燥、一体化することにより、内部に
高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シート
を得た。
【0099】〔実施例〕 繊維粗度0.32mg/m、繊維断面の真円度が0.30
の架橋処理パルプ〔Weyerhauser Paper 製の「High Bul
k Additive HBA−S」(商品名)〕70部、及び繊
維粗度0.18、繊維断面の真円度が0.32の針葉樹
クラフトパルプ〔Skeena Cellulose Co.製の「SKEENA P
RIME」(商品名)〕30部を水中に分散混合し、更に上
記混合したパルプの乾燥重量100部に対し、紙力補強
剤〔ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、商品名;カイ
メンWS−570、会社名;日本PMC(株)〕を樹脂
成分で1部を水中に分散混合し、所定の濃度とした後、
この分散混合液を湿式抄紙機のフォーミングパートで乾
燥坪量が40g/m2 になるように繊維ウエブを形成し
た。次いで、該繊維ウエブをサクションボックスによ
り、乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分率100部に
なるまで、繊維ウエブを脱水した。次いで、プレスパー
ト直前で、脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に、高吸収性
ポリマー〔花王(株)のポリマーQ(商品名)〕を散布
坪量50g/m2 でほぼ均一に散布した。
【0100】上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリ
マーを散布した面に、繊維集合体として、上記繊維ウエ
ブと同様の配合組成を有する、予め抄紙しておいた吸収
紙(坪量40g/m2 )を重ね合わせ、かかる繊維ウエ
ブと吸収紙との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、1
30℃の温度にて乾燥、一体化することにより、内部に
高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シート
を得た。
【0101】〔実施例〕 繊維粗度0.32mg/m、繊維断面の真円度が0.30
の架橋処理パルプ〔Weyerhauser Paper 製の「High Bul
k Additive HBA−S」(商品名)〕95部、及び上
記PVA繊維5部を水中に分散混合し所定の濃度とした
後、この分散混合液を湿式抄紙機のフォーミングパート
で乾燥坪量が40g/m2 になるように繊維ウエブを形
成した。次いで、該繊維ウエブをサクションボックスに
より、乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分率100部
になるまで、繊維ウエブを脱水した。次いで、プレスパ
ート直前で、脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に、高吸収
性ポリマー〔花王(株)のポリマーQ(商品名)〕を散
布坪量50g/m2 でほぼ均一に散布した。
【0102】上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリ
マーを散布した面に、繊維集合体として、上記繊維ウエ
ブと同様の配合組成を有する、予め抄紙しておいた吸収
紙(坪量40g/m2 )を重ね合わせ、かかる繊維ウエ
ブと吸収紙との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、1
30℃の温度にて乾燥、一体化することにより、内部に
高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シート
を得た。
【0103】〔実施例〕 繊維粗度0.32mg/m、繊維断面の真円度が0.30
の架橋処理パルプ〔Weyerhauser Paper 製の「High Bul
k Additive HBA−S」(商品名)〕90部、及び太
さ1.1デニール、長さ5mmの低融点ポリエステル接着
繊維〔帝人(株)製のTM−07N(商品名)〕を10
部を水中に分散混合し所定の濃度とした後、この分散混
合液を湿式抄紙機のフォーミングパートで乾燥坪量が4
0g/m2 になるように繊維ウエブを形成した。次い
で、該繊維ウエブをサクションボックスにより、乾燥繊
維ウエブ100部に基づき水分率100部になるまで、
繊維ウエブを脱水した。次いで、プレスパート直前で、
脱水後の湿潤した繊維ウエブ上に、高吸収性ポリマー
〔花王(株)のポリマーQ(商品名)〕を散布坪量50
g/m2 でほぼ均一に散布した。
【0104】上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリ
マーを散布した面に、表面を親水化処理を施した太さ
2.2デニール、長さ38mmのポリエチレン/ポリプロ
ピレン複合繊維〔チッソ(株)製〕を用い、カード機に
よって製造した乾式熱接着不織布(坪量40g/m2
を重ね合わせ、かかる繊維ウエブと不織布との重ね合わ
せ体をドライヤーに導入し、130℃の温度にて乾燥、
一体化することにより、内部に高吸収性ポリマーが固定
されている一枚の吸収性シートを得た。
【0105】〔比較例比較 例1で用いた繊維粗度0.18mg/m、繊維断面の
真円度が0.32の化学パルプ〔Skeena Cellulose Co.
製のSKEENA PRIME(商品名)〕を坪量40g/m2 で予
め抄紙した吸収紙を用いて吸収性シートを製造した。即
ち、上記吸収紙の上に、上記吸収紙(乾燥)100部に
基づき200部になるまで水を散布する。次いで、湿潤
した上記吸収紙の上に高吸収性ポリマー〔花王(株)の
ポリマーQ(商品名)〕を散布坪量50g/m2 でほぼ
均一に散布した。
【0106】上記吸収紙のうち、上記高吸収性ポリマー
を散布した面に、上記吸収紙と同様の配合組成を有する
坪量40g/m2 の吸収紙を重ね合わせ、かかる2枚の
吸収紙の重ね合わせ体を圧着一体化した後、ドライヤー
で乾燥し、トータル坪量130g/m2 の吸収性シート
を得た。この吸収性シートにおける、高吸収性ポリマー
を散布した吸収紙は、湿潤した繊維ウエブの状態ではな
く、パルプ繊維が互いに強く抱束されたものであり、し
かも、2枚の吸収紙の間に高吸収性ポリマーが層状にサ
ンドイッチされたものである。
【0107】〔比較例〕 比較例と同様の吸収紙の上に、該吸収紙(乾燥)10
0部に基づき10部になるまで水を散布する。次いで、
湿潤した上記吸収紙の上に高吸収性ポリマー〔花王
(株)のポリマーQ(商品名)〕を散布坪量50g/m
2 でほぼ均一に散布した。
【0108】上記吸収紙のうち、上記高吸収性ポリマー
を散布した面に、上記吸収紙と同様の配合組成を有する
坪量40g/m2 の吸収紙を重ね合わせ、かかる2枚の
吸収紙の重ね合わせ体を、縦及び横方向に5mmの区間で
仕切られた格子エンボスロールを通してエンボス圧着・
一体化した後、ドライヤーで乾燥し、トータル坪量13
0g/m2 の吸収性シートを得た。この吸収性シートに
おける、高吸収性ポリマーを散布した吸収紙は、湿潤し
た繊維ウエブの状態ではなく、パルプ繊維が互いに強く
抱束されたものであり、しかも、2枚の吸収紙の間に高
吸収性ポリマーがエンボスにより圧着されたものであ
る。
【0109】〔比較例〕 比較例と同様の吸収紙の上に、接着剤〔ヘキスト合成
(株)のモビニール710(商品名)〕を坪量20g/
2 で塗布し、次いで、その上に高吸収性ポリマー〔花
王(株)のポリマーQ(商品名)〕を散布坪量50g/
2 でほぼ均一に散布した。
【0110】上記吸収紙のうち、上記高吸収性ポリマー
を散布した面に、上記吸収紙と同様の配合組成を有する
坪量40g/m2 の吸収紙を重ね合わせ、かかる2枚の
吸収紙の重ね合わせ体を圧着一体化した後、ドライヤー
で乾燥し、トータル坪量150g/m2 の吸収性シート
を得た。この吸収性シートにおける、高吸収性ポリマー
を散布した吸収紙は、湿潤した繊維ウエブの状態ではな
く、パルプ繊維が互いに強く抱束されたものであり、し
かも、2枚の吸収紙の間に高吸収性ポリマーが接着剤に
より層状に固定されたものである。
【0111】〔比較例〕 合成パルプ及び高吸収性ポリマーを含む乾式吸収性シー
トを製造した。即ち、ポリエチレンの合成パルプ25
部、及び化学パルプ75部からなるパルプシート〔針葉
樹パルプ、ハーキュリーズ(株)製〕をハンマーミルで
解繊し、坪量80g/m2 の乾式吸収性シートを形成す
る際に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製のアクア
リックCAW-4 (商品名)〕を50g/m2 になるように
原料中に混合し、その後熱風処理により、ポリエチレン
合成パルプを融着させ、一体化させた。この乾式吸収性
シートは、その表面にも高吸収性ポリマーが存在するも
のである。
【0112】〔比較例〕 エアーレイド法により形成した坪量45g/m2 のパル
プシート〔針葉樹パルプ、ハピックス(株)製〕の間
に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製のアクアリッ
クCAW-4 (商品名)〕を坪量50g/m2 になるように
散布し、次いでケミカルバインダーでパルプを固定させ
た吸収性シートを製造した。
【0113】実施例1〜における本発明の吸収性シー
ト及び比較例1〜における吸収性シートの配合組成及
び製造方法をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】それぞれの吸収性シートについて、以下に
述べる方法により種々の試験を行った。その結果を表3
に示す。
【0117】<厚み>適当な大きさに切断した吸収性シ
ートの上面に荷重面積10cm2 (半径17.8mmの
円板)で2.5g/cm2 の荷重をかけ、厚み計でその
厚みを測定した。計10点の平均値をとって、その厚み
とした。
【0118】<高吸収性ポリマーの脱落試験>70×2
00mmに切り出した吸収性シートの重量を測定した後、
これを長さ280mm×幅200mmのチャック付きのポリ
袋に入れ、この状態で50回手で振りながら振動を加え
る。試験終了後、吸収性シートの重量変化を測定すると
ともに、ポリ袋中に脱落した高吸収性ポリマーが肉眼で
よく観察できるよう、青色一号で染色した色水(0.3
g/水100ml)をポリ袋中に加え、高吸収性ポリマー
を膨潤させ、目視で脱落の程度を判定する。 ○・・・高吸収性ポリマーの脱落が殆ど認められない。 △・・・高吸収性ポリマーの脱落が多少認められる。 ×・・・高吸収性ポリマーの脱落がかなり認められる。 測定は10回行い、その平均値をもって脱落量とした。
【0119】<吸収性シートの湿潤時のシート強さ>2
00mm×200mmに切り出した吸収性シートを手に持
ち、机上に、青色一号で染色した色水(0.3g/水1
00ml)10gを滴下し、手に持った吸収シートで色水
をふき取った。くり返し計3回のふき取りテストを実施
し(計30g吸収性シートに吸収させる)、吸収性シー
ト表面のシートの破れ、及び高吸収性ポリマーの脱落試
験を行った。 ○・・・吸収性シート表面は破れず、高吸収性ポリマー
の脱落もない。 △・・・吸収性シート表面は若干破れるが、高吸収性ポ
リマーの脱落はない。 ×・・・吸収性シート表面が破れ且つ高吸収性ポリマー
の脱落もみられる。
【0120】<飽和吸収量>5cm角の吸収性シートを不
織布で作製した袋に入れ、袋ごとイオン交換水に10分
間浸漬した。袋をイオン交換水から取り出した後、空気
中に1時間吊るし、付着している水を落とした後、重量
を測定し、吸収性シート1g当たりの重量の増加分を飽
和吸収量(g/g)とした。
【0121】<吸収速度>図4に示すように、15cm角
の吸収性シート10の中央に、直径1cmの孔をあけた1
0cm角の透明なアクリル板20及び重り22を乗せ、吸
収性シート10に5g/cm2 の荷重をかけた状態で、上
記孔を通して生理食塩水20mlを注入し、生理食塩水の
吸収に要する時間を吸収速度とした。なお、吸収速度の
測定は2回行ったが、2回目の注入(再吸収速度)は1
回目の測定から1分後に行った。
【0122】<液戻りの測定>吸収速度を測定後、10
分経過した吸収性シート上に、図5に示すように、15
cm角の濾紙24(東洋濾紙TYPE2)を10枚重ね、更に
その上に15cm角のアクリル板26と重り22を、50
g/cm2 の荷重となる様に1分間かけ、その後濾紙24
を取り出し、濾紙24に吸収された生理食塩水の重量を
液戻り量とした。
【0123】
【表3】
【0124】表3に示す結果から明らかな様に、本発明
の吸収性シートは、従来の水散布やエンボス一体化や接
着剤による一体化で製造された吸収性シート及び合成パ
ルプやケミカルバインダー等の吸収性シートに比べ、高
吸収性ポリマーの固定化及びシートの表面強度に優れた
ものである。しかも、吸収速度が速く、液戻り量が少な
いというように、吸収特性に優れていることがわかる。
【0125】特に、実施例1〜4と、化学パルプ及び
吸収性ポリマーからなる比較例1の吸収性シート、並び
それと同様の化学パルプからなる2枚の吸収紙の間に
層状に高吸収性ポリマーが固定されている従来の吸収性
シート(比較例)との結果の比較から明らかなよ
うに、本発明の吸収性シートが高吸収性ポリマーの固定
化能力に優れ且つ吸収特性(特に再吸収速度)に優れて
いることが分かる。
【0126】更には、吸収性シートを構成する親水性繊
維として、湿潤時においても嵩高な構造を発現できる嵩
高性のセルロース繊維、例えば実施例における、繊維
粗度が0.30mg/m以上で且つ繊維断面の真円度が
0.5以上であるマーセル化パルプや、実施例
おける、架橋処理パルプを用いると、吸収特性がより一
層向上し、特に吸収速度や液戻り性がより一層向上する
ことがわかる。
【0127】本発明の吸収性シートの重要な特徴は、高
吸収性ポリマーを散布した繊維ウエブを構成する繊維の
間に高吸収性ポリマーが分散・接着されているがゆえ
に、収性シートからの高吸収性ポリマーの脱落が非常に
少ないこと、及び、高吸収性ポリマーが吸収膨潤した場
合であっても高吸収性ポリマーは、ゲルブロッキングし
難く、その結果、再吸収速度等の吸収特性に優れ且つ液
体を確実に高吸収性ポリマーで固定でき、液戻り量が少
ないことにある。更に本発明の吸収性シートを製造する
ための好ましい方法によれば、より高速且つ簡便に本発
明の吸収性シートを製造できる。
【0128】
【発明の効果】本発明の吸収性シートは、高吸収性ポリ
マーをシート内に確実に固定でき、高吸収性ポリマーの
脱落がほとんどなく、且つ高吸収性ポリマーがゲルブロ
ッキングし難い為に、吸収速度や液体の固定性に優れ
る。また、本発明の吸収性シートは、極めて薄いにも拘
わらず、高吸収性を有するものである。
【0129】従って、本発明によれば、高吸収性ポリマ
ーの脱落が著しく改善され且つ吸収速度及び吸収力共に
優れた極薄の吸収性シートを得ることが可能になった。
【0130】また、本発明の高吸収性シートを製造する
ための好ましい方法によれば、従来の吸収性シートの製
造方法に比して、製造プロセスが非常に高速化される。
また、高吸収性ポリマーを固定するための複雑な加工プ
ロセスが不要となり、製造プロセスが極めて簡略化され
る。
【0131】更に、上記製造方法によれば、高吸収性ポ
リマーを吸収性シートの全体に散布するのみでなく、長
手方向に筋状に部分散布したり、或いは長手方向に間欠
散布することもできるので、用途に応じて高吸収性ポリ
マーを散布する範囲を設定でき、より経済的に吸収性シ
ートを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性シートの断面を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の好ましい吸収性シートの断面を示す模
式図である。
【図3】本発明の吸収性シートの好ましい製造方法を表
す模式図である。
【図4】吸収速度の測定を表す模式図である。
【図5】液戻り量の測定を表す模式図である。
【図6】従来の吸収性シートの断面を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
10 吸収性シート 12 吸収表面 15 繊維集合体 16 高吸収性ポリマー 18 繊維ウエブ 30、31 ティッシュ 40 フォーミングパート 42 サクション脱水工程 44 プレスパート 46 ドライヤー
フロントページの続き (72)発明者 加賀野井 真理 高知県高知市朝倉2264−2 (72)発明者 中西 稔 栃木県河内郡南河内町緑三丁目23−11 (72)発明者 濱島 美次 栃木県宇都宮市横山町1172−8 (72)発明者 山本 耕裕 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606−6 花王赤羽寮 (72)発明者 河崎 宏典 栃木県芳賀郡市貝町大字市塙4594 花王 城見寮 (56)参考文献 特開 平6−287886(JP,A) 特開 昭60−139898(JP,A) 特開 平4−202895(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 21/22 A61F 13/15

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも親水性繊維及び熱溶融性接着
    繊維または紙力補強剤並びに高吸収性ポリマーを含む吸
    収性シートにおいて; 上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートが液体を吸
    収する吸収表面には存在せず、該吸収性シートの内部に
    三次元状に分散配置されており、且つ該吸収性シートを
    構成する親水性繊維に接着し固定化されており; 上記高吸収性ポリマーの散布坪量は5〜300g/m2
    であり; 上記吸収性シートは、厚み0.3〜1.5mmであ上記親水性繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上若しく
    は繊維断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース
    繊維であるか、又は架橋セルロース繊維からなる嵩高性
    のセルロース繊維である; ことを特徴とする吸収性シート。
  2. 【請求項2】 上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維
    ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊
    維ウエブとは一体化しており、 上記繊維集合体は、上記吸収表面を有すると共に該吸収
    表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、 上記繊維ウエブは、少なくとも上記親水性繊維から形成
    されており、 上記高吸収性ポリマーは、主に上記繊維ウエブ中に分散
    配置されている、請求項1記載の吸収性シート。
  3. 【請求項3】 上記繊維集合体の坪量が10〜200g
    /m2 であり、 上記繊維ウエブの坪量が10〜200g/m2 である、
    請求項2記載の吸収性シート。
  4. 【請求項4】 上記繊維ウエブ100重量部に基づき、
    上記嵩高性のセルロース繊維が、30〜99重量部含ま
    れ、上記熱溶融性接着繊維が1〜50重量部含まれる請
    求項2記載の吸収性シート
  5. 【請求項5】 上記繊維ウエブ100重量部に基づき、
    上記嵩高性のセルロース繊維が、30〜99重量部含ま
    れ、上記紙力補強剤が0.01〜30重量部含まれる請
    求項2記載の吸収性シート
  6. 【請求項6】 嵩高性の親水性繊維及び熱溶融性接着繊
    維または紙力補強剤から形成された繊維構造体と高吸収
    性ポリマー粒子とから構成され、 上記高吸収性ポリマー粒子は上記吸収性シートが液体を
    吸収する吸収表面には存在せず、上記繊維構造体中に
    次元状に分散固定されており、 上記吸収性シートの厚みが0.3〜1.5mmであり、
    上記高吸収性ポリマーの散布坪量が20〜70g/m2
    であり、 上記嵩高性の親水性繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以
    上若しくは繊維断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセ
    ルロース繊維であるか、又は架橋セルロース繊維からな
    る嵩高性のセルロース繊維であ ることを特徴とする吸収
    性シート。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の吸収性シートの製造方法
    であって、 少なくとも、繊維粗度が0.3mg/m以上若しくは繊維
    断面の真円度が0.5〜1の嵩高性のセルロース繊維、
    若しくは架橋セルロース繊維からなる嵩高性のセルロー
    ス繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤を含む水
    スラリーを湿式抄紙して抄造された、湿潤した繊維ウエ
    ブ上に高吸収性ポリマーを散布し、 その上に親水性繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補
    強剤を含む繊維集合体を重ね合わせ、そしてこれらを乾
    燥し、一体化させる工程を含むことを特徴とする吸収性
    シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 フォーミングパートで上記繊維ウエブを
    形成し、サクション脱水工程で該繊維ウエブを脱水し、
    プレスパート直前で該繊維ウエブ上に上記高吸収性ポリ
    マーを散布すると共にその上に上記繊維集合体重ね合わ
    せ、次いで、ドライヤーでこれらを乾燥し一体化させる
    工程を含む、請求項記載の製造方法。
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