JP3644737B2 - 吸収性シート及びその製造方法並びに吸収性物品 - Google Patents

吸収性シート及びその製造方法並びに吸収性物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキン、ハイジーンパッド、紙おむつ、メディカル用パッド、母乳パッド、ドリップシート、キッチン用吸収シート、家庭用清掃シート及びペット用アンダーシート等に特に好適に使用される吸収性シート、その製造方法及びそれを用いた吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
高吸収性ポリマーを吸収性構造体内に固着させて吸収性シートを得る種々の方法が知られている。例えば、米国特許第3,070,095号明細書は、図12に示すように、高吸収性ポリマー16をティッシュ30上に散布して、この上に別のティッシュ31を積層した後、ローラーによる圧着で高吸収性ポリマーをティッシュ内にプレスすることを開示している。しかしながら、この方法では、高吸収性ポリマーは、ティッシュ層の間に層状に固定されるのみであり、多量の高吸収性ポリマーを固定することはできない。従って、かかる吸収性シートを例えば吸収性物品の吸収体に用いたような場合には、着用者の運動等によって高吸収性16ポリマーがティッシュ30、31から分離して、ティッシュ30、31間に空間が生じ、液体が滞留してしまう場合がある。
【0003】
米国特許第3,670,731号明細書は、2つの紙層の間に高吸収性ポリマーを散布した後、エンボス加工して、高吸収性ポリマーをエンボスキャビティー内に固着することを開示している。しかしながら、この方法も、上記ローラーによる圧着法と同様の欠点を有している。
【0004】
米国特許第3,670,731号明細書は、2枚のクレープ紙の間に高吸収性ポリマーを散布した後、キルト化して、高吸収性ポリマーを所定の位置に保持することを開示している。しかしながら、この方法も、依然として多量の高吸収性ポリマーを固定できないという欠点を有している。
【0005】
また、特公昭59−26467号公報、特開昭54−123293号公報及び特開昭54−141099号公報には、ティッシュにスチームを吹きかけたり水を散布して、ティッシュを湿潤化した後に、高吸収性ポリマーを散布して、高吸収性ポリマーに粘着性を付与することによって、ティッシュ間に高吸収性ポリマーを固定することが開示されている。この方法によれば、高吸収性ポリマーをある程度固定できるものの、脱落を完全に防止することはできず、しかも固定量は依然として不十分である。また、液体を吸収すると、高吸収性ポリマーは層状に膨潤し、場合によってはゲルブロッキング等による吸収阻害を生じることもある。
【0006】
また、特開昭61−132697号公報には、抄紙工程内において、乾燥前の紙上に高吸収性ポリマーを散布した後、乾燥することにより、高吸収性ポリマーを含有した吸収紙を製造する方法が記載されている。この方法によれば、ある程度の量の高吸収性ポリマーを紙中に固定できるが、その固定量は高々10g/m2 程度であり、決して十分な量とはいえない。また、得られた吸収性シートにおいては、液を吸収する表面にも高吸収性ポリマーが存在しているので、そのような高吸収性ポリマーは摩擦をはじめとする動的な作用によって容易に脱落してしまうという欠点を有している。
【0007】
更に、ティッシュ等の全面にホットメルト接着剤を塗布し、該接着剤によって高吸収性ポリマーを固定する方法も知られている。この方法によれば、高吸収性ポリマーを確実に固定することができる。しかしながら、ホットメルト接着剤によって高吸収性ポリマーの表面の大部分が被覆されてしまうので、高吸収性ポリマーの膨潤阻害及び液体の吸収阻害が生じてしまう。
【0008】
ホットメルト接着剤を用いた高吸収性ポリマーの固定化の別法として、ホットメルト接着剤をスパイラル状に塗布する方法がある。この方法によれば、上記膨潤阻害及び吸収阻害は少なく、しかも、効率良く高吸収性ポリマーを固定することができる。しかしながら、ホットメルト接着剤をスパイラル状に塗布することによって製造工程及び設備が複雑となってしまう。更に、多量の高吸収性ポリマーを層状に固定するので、液体を吸収したときに高吸収性ポリマーのゲルブロッキングが起こり、液体の膨潤阻害が生じる。
【0009】
一方、乾式法で製造された木材パルプを使用した吸収性シートも知られている。かかる吸収性シートにおいては、ケミカルバインダーや高配合の合成パルプ及び低融点合成繊維等を使用してシート強度を大きくしようとすると、吸収性シートが疎水化し吸収速度が低下する。シート強度が低いと、液体を吸収した場合、高吸収性ポリマーが膨潤し、吸収性シートを破って外側にはみ出すという欠点がある。また、吸収性シートの表面強度を大きくするため、クレープ紙を積層する場合もあるが、この場合、コストが高くなるという問題がある。しかも、いずれの場合にも高吸収性ポリマーの木材パルプへの固着は不十分であり、高吸収性ポリマーが脱落しやすいという問題は改善されない。さらに、吸収性シートを強圧縮すると、その液吸収速度が低下することは避けられないという問題もある。
【0010】
上記の吸収性シートの他に、基材となる不織布上に高吸収性ポリマーを直接重合せしめて、不織布上に固定化させて吸収性シートを得る方法も知られている。しかしながら、不織布として親水性繊維から成る不織布を用いた場合には、重合の結果得られる高吸収性ポリマーが粒子状とはならず不織布全体に略均一に固定化されてしまうので、液体の吸収量が低下してしまうという欠点がある。一方、不織布として疎水性繊維から成る不織布を用いた場合には、上記親水性繊維から成る不織布の場合とは異なり、重合の結果得られる高吸収性ポリマーは粒子状となるが、吸収性シート全体として疎水性であるために、液体の吸収速度が遅いという欠点を有する。しかも、これらの方法では、未反応のモノマーの残存が避けられないので、該モノマーの人体への安全性の面から吸収性シートの用途が限定されてしまう。
【0011】
従って、本発明の目的は、高吸収性ポリマー本来の吸収特性を損なうことなく高吸収性ポリマーが確実に固定された吸収性シートを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、液体を表面に残すこと無く極めてスムーズに吸収すると共に素早く高吸収性ポリマー全体に導くことができ、且つ効果的に液体を固定し得る吸収性シートを提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、液体を繰り返し吸収する場合においても高吸収性ポリマーがゲルブロッキングを起こさず、高吸収性ポリマー本来の吸収特性が発現し得る吸収性シートを提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、上記吸収性シートを簡便に製造できる方法を提供することにある。
【0015】
更に、本発明の目的は、上記吸収性シートを具備する、吸収性能の高い吸収性物品を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、吸収性シートを構成する繊維が湿潤した状態で、該繊維間に形成される空間に高吸収性ポリマーを埋没させることにより、高吸収性ポリマーを大量に固定化させることができ、しかも、高吸収性ポリマーのゲルブロッキングを効果的に防止し得ることを知見した。
【0017】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、
上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体としており、
上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、且つ上記透過層側で上記繊維集合体に隣接しており、
上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性シート(以下、「第1吸収性シート」という)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0018】
また、本発明は、上記吸収性シートの好ましい製造方法として、
繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる湿潤した繊維ウエブにおける上記透過層上に高吸収性ポリマーを散布し、
その上に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする繊維集合体を重ね合わせ、そして
これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする吸収性シートの製造方法を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記吸収性シートを用いた好ましい吸収性物品として、
液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートが含まれており、
上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体としており、
上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、且つ上記透過層側で上記繊維集合体に隣接しており、
上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、
上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、
上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とし、且つ上記繊維集合体の拡散層に隣接しており、
上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性シート(以下、「第2吸収性シート」という)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0021】
また、本発明は、上記吸収性シートの好ましい製造方法として、
繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする湿潤した繊維ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、
その上に、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる繊維集合体を、上記繊維ウエブと上記拡散層とが隣接するように重ね合わせ、そして
これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする吸収性シートの製造方法を提供するものである。
【0022】
更に、本発明は、上記吸収性シートを用いた好ましい吸収性物品として、
液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートが含まれており、
上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、
上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とし、且つ上記繊維集合体の拡散層に隣接しており、
上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートについて図面を参照しつつ詳説する。ここで、図1は、本発明の第1吸収性シートの断面を示す模式図であり、図2は本発明の第2吸収性シートの断面を示す模式図である。
【0024】
まず、本発明の第1吸収性シートについて説明する。
本発明の第1吸収性シート100は、図1に示すように、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、該吸収性シート100は、繊維集合体105及び繊維ウエブ108から構成されている。該繊維集合体105は、吸収表面102を有すると共に該吸収表面102側には高吸収性ポリマーを含まない。該繊維集合体105は繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12を主体として形成されている。
【0025】
一方、上記繊維ウエブ108は、図1に示すように、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12を主体とする透過層107と、該透過層107に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維14を含む拡散層109とから構成されている。そして、該繊維ウエブ108は、その透過層107側で上記繊維集合体105に隣接している。
【0026】
また、図1に示すように、上記繊維集合体105と上記繊維ウエブ108とは一体化している。更に、上記高吸収性ポリマー106は、上記吸収性シート100の内部に含まれており、しかも上記吸収性シート100を構成する繊維に接着している。
【0027】
このように、本発明の第1吸収性シート100は、繊維集合体105及び繊維ウエブ108を含み且つ高吸収性ポリマー106がその内部に含まれた一体構造を有していることが特徴の一つである。更に詳しくは、本発明の第1吸収性シート100は、上記繊維集合体105を構成する繊維と上記繊維ウエブ108を構成する繊維との間での機械的絡み合い、水素結合(及び強力補助剤)並びに熱融着等により、上記繊維集合体105と上記繊維ウエブ108とが一体化している。かかる構造を有することにより、上記高吸収性ポリマー106が確実に固定され、その脱落を防止することができる。しかも、上記吸収表面102から吸収された液体の透過性及び拡散性が一層向上し、スムーズに上記高吸収性ポリマー106に到達する。また、液体を吸収した上記高吸収性ポリマー106のゲルブロッキングも抑えられる。従って、本発明の第1吸収性シート100は、2枚の吸収紙の間に高吸収性ポリマーを層状に挟持した従来の吸収性シート(図12)とは全く異なった構造を有する(つまり、従来の吸収性シートは2プライであるが、本発明の第1吸収性シート100は1枚のシートである)。
かかる一体化は、後述するように、湿式抄紙による重ね合わせによって達成されることが好ましい。
【0028】
次に、本発明の第1吸収性シート100における上記繊維ウエブ108について説明する。
本発明において、「繊維ウエブ」とは、高吸収性ポリマー散布前の湿潤状態において、構成繊維が互いに全く拘束されていないか、又は水素結合、機械的絡み合い及び摩擦力等によりごく僅かに拘束されて、極めて高い自由度を有する状態にあり、且つその乾燥後においては、構成繊維が互いに強く拘束されてシート状の形態をとるものをいう。
【0029】
上記繊維ウエブ108は、上記高吸収性ポリマー106の散布前には湿潤した状態にあり、上記繊維ウエブ108を構成する繊維が互いに極めて高い自由度を有していることが重要である。かかる状態の繊維ウエブ108上に上記高吸収性ポリマー106を散布することにより、上記高吸収性ポリマー106は上記繊維ウエブ108中に埋設・固定される。即ち、上記高吸収性ポリマー106は、上記繊維ウエブ108中に三次元的に分散されている。また、上記繊維ウエブ108は、該繊維ウエブ108と上記繊維集合体105とを一体化させた後に上記高吸収性ポリマー106が上記第1吸収性シート100の表面に析出しない程度の強度を有していることも重要である。この目的のために、上記繊維ウエブ108は、これを単独で乾燥させてシート化したものをJIS−P−8113により測定した湿潤時の引張強度が50g以上であることが好ましく、100g以上であることが更に好ましい。上記繊維ウエブ108に湿潤時の引張強度を付与するためには、該繊維ウエブ108に、後述する熱溶融性接着繊維を配合したり、或いは後述する強力補助剤(紙力補強剤)を配合することが好ましい。
【0030】
上記繊維ウエブ108は、その坪量が好ましくは10g/m2 〜200g/m2 であり、更に好ましくは10g/m2 〜100g/m2 であり、一層好ましくは20g/m2 〜80g/m2 である。上記坪量が10g/m2 に満たないと、上記高吸収性ポリマー106の膨潤時に上記高吸収性ポリマー106が上記繊維ウエブ108を突出して脱落してしまうおそれがある。一方、上記坪量が200g/m2 を超えると繊維ウエブの密度が上がり過ぎ、上記第1吸収性シート100が固くなりすぎ、上記高吸収性ポリマー106を三次元的に固定できなくなったり、液体の透過性が悪くなったり、更には装着感が悪くなる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0031】
上記繊維ウエブ108について更に詳述すると、該繊維ウエブ108は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層107と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層109とから成る。即ち、上記繊維ウエブ108は、上記透過層107と上記拡散層109とが一体化した構造となっている。
なお、上記繊維ウエブ108が、その透過層107側で上記繊維集合体105に隣接していることは上述の通りである。
以下、上記繊維ウエブ108を構成する上記透過層107及び上記拡散層109についてそれぞれ説明する。
【0032】
まず、上記透過層107について説明する。
上記透過層107は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体として形成されている。繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする上記透過層107は、液体を一時的に吸収する液体吸収空間を安定的に保持することが可能である。しかも、かかる液体吸収空間は、液体を迅速に通過せしめることも可能である。
【0033】
上記透過層107の厚みは、0.2〜2.0mmであることが好ましい。上記厚みが0.2mmに満たないと、液体を一時的に吸収する液体吸収空間が小さく、吸収性能が不十分となり、上記厚みが2.0mmを超えると、上記拡散層109に液体をスムーズに受け渡し難くなるので、上記範囲内とすることが好ましい。上記透過層107の厚みは、0.2〜1.5mmであることが更に好ましい。
【0034】
上記透過層107は、液体の通過時間が速いことが特に好ましい。更に詳細には、上記透過層107は、グリセリン85重量%水溶液10gの通過時間が50秒以下であることが好ましく、5〜40秒であることが更に好ましい。上記通過時間が50秒を超えると、上記透過層107中における液体の迅速な移動が困難となり、液体が上記透過層107中に長時間留まってしまう場合がある。なお、上記通過時間の測定方法については、例えば特願平6−247917号に記載されている。
【0035】
上記透過層107が繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体として形成されていることは上述の通りであるが、好ましくは、上記透過層107は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維50〜98重量部と熱溶融性接着繊維2〜50重量部とを含んで成る。上記嵩高性のセルロース繊維が50重量部に満たないか又は上記熱溶融性接着繊維が50重量部を超えると、上記透過層107の液体透過性が低下する場合があり、上記嵩高性のセルロース繊維が98重量部を超えるか又は上記熱溶融性接着繊維が2重量部に満たないと、上記透過層107のシート化が困難になる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。特に好ましくは、上記透過層107は、嵩高性のセルロース繊維70〜98重量部と熱溶融性接着繊維2〜30重量部とを含んで成る。
【0036】
上記嵩高性のセルロース繊維及び上記熱溶融性接着繊維について説明すると、まず、上記嵩高性のセルロース繊維としては、繊維粗度が0.3mg/m以上であればどのようなセルロース繊維を用いてもよい。上記セルロース繊維の繊維粗度が0.3mg/m未満であると、嵩高性が十分に発現しない。上記セルロース繊維としては、例えば、木材パルプや綿等の天然セルロース、レーヨンやキュプラ等の再生セルロースを用いることができる。コストの点からは、木材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフトパルプが好ましく用いられる。これらのセルロース繊維は1種又は2種以上を用いることができる。なお、上記嵩高性のセルロース繊維の平均繊維長に特に制限はないが、一般的な範囲として、1〜20mmであることが好ましい。
なお、本発明において「嵩高の繊維」とは、繊維形状が、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)である繊維をいう。
【0037】
上記嵩高性のセルロース繊維として好ましいものの例に、繊維粗度が0.3mg/m以上であるセルロース繊維が挙げられる。かかるセルロース繊維は、嵩高な状態でセルロース繊維が集積し、上記嵩高なネットワーク構造が形成され易いので好ましい。また、液体の移動抵抗が小さく、液体の通過速度が大きくなるので好ましい。また、繊維粗度が0.3mg/m以上であることに加えて繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維は、上記効果がより一層発現するので一層好ましい。
【0038】
本発明において、「繊維粗度」とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例えば、繊維粗度計(FS−200、KAJANNI ELECTRONICS LTD.社製)を用いて測定することができる。
【0039】
上述の通り、繊維粗度に関して、上記嵩高性のセルロース繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上であるが、好ましい繊維粗度は0.3〜2mg/mであり、更に好ましい繊維粗度は0.32〜1mg/mである。また、繊維断面の真円度に関しては、0.55〜1であることが更に好ましい。
【0040】
繊維粗度が0.3mg/m以上のセルロース繊維の例としては、針葉樹クラフトパルプ〔Federal Paper Board Co. 製の「ALBACEL 」(商品名)、及びPT Inti Indorayon Utama 製の「INDORAYON 」(商品名)〕等が挙げられる。
【0041】
上述の通り、上記嵩高性のセルロース繊維は、その繊維断面の真円度が0.5〜1であることが好ましいが、該真円度がこの範囲にあると該嵩高性のセルロース繊維は太くて丸くなり、集合体となったときに該集合体の断面構造として嵩高となり、且つ繊維が互いに密に接していないため水素結合し難く嵩高な構造を維持し得る。
【0042】
また、上述の通り、本発明においては、セルロース繊維として木材パルプを使用することが好ましいが、一般に木材パルプの断面は、脱リグニン化処理により偏平であり、その殆どの真円度は0.5未満である。このような木材パルプの真円度を0.5以上にするためには、例えば、繊維粗度が0.3mg/m以上の木材パルプをマーセル化処理して木材パルプの断面を膨潤させればよい。即ち、上記嵩高性のセルロース繊維が、マーセル化パルプであることも好ましい。
【0043】
このように、繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維としては、木材パルプをマーセル化処理して得られる真円度が0.5〜1であるマーセル化パルプが好ましい。本発明において用いることのできる市販のマーセル化パルプの例としては、ITT Rayonier Inc. 製の「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」(商品名)等が挙げられる。
【0044】
繊維粗度が0.3mg/m以上である上記嵩高性のセルロース繊維として好ましいものの他の例には、セルロース繊維の分子内及び分子間を架橋して得られる架橋セルロース繊維がある。かかる架橋セルロース繊維は、液体で濡れた場合でも、膨潤せず、ヨレ/ヘタリが少なく、更には強度が低下せずに、嵩高構造を維持し得るので好ましい。即ち、湿式抄紙状態においても嵩高な構造をとることができる。
【0045】
セルロース繊維を架橋するための方法には特に制限はないが、例えば、架橋剤を用いた架橋方法が挙げられる。かかる架橋剤の例としては、ジメチロールエチレン尿素及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等のN−メチロール系化合物;クエン酸、トリカルバリル酸及びブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸;ジメチルヒドロキシエチレン尿素等のポリオール;ポリグリシジルエーテル系化合物の架橋剤などが挙げられる。特に、架橋時に人体に有害なホルマリン等を発生しないポリカルボン酸やポリグリシジルエーテル系化合物の架橋剤が好ましい。
【0046】
上記架橋剤の使用量は、上記セルロース繊維100重量部に対して、0.2〜20重量部とするのが好ましい。使用量が0.2重量部未満であると、上記セルロース繊維の架橋密度が低い為、湿潤時に弾性率が大きく低下してしまう場合があり、使用量が20重量部を超えると上記セルロース繊維が剛直になり過ぎ、応力がかかった時に上記セルロース繊維が脆くなってしまう場合があるので、上記範囲とするのが好ましい。
【0047】
上記架橋剤を用いて上記セルロース繊維を架橋するためには、例えば、上記架橋剤の水溶液に必要に応じて触媒を添加したものに、上記セルロース繊維を含浸させ、架橋剤水溶液が設計付着量となる様に上記セルロース繊維を脱水し、次いで架橋温度に加熱するか、又は、スプレー等により架橋剤水溶液を上記セルロース繊維に設計付着量となる様に散布し、その後、架橋温度に加熱し、架橋反応させる。
【0048】
なお、上記架橋セルロース繊維として、市販のものも使用することができる。そのような架橋セルロース繊維としては、Weyerhaeuser Paper Co.製の「High Bulk Additive」(商品名)等が挙げられる。
【0049】
更に好ましい架橋セルロース繊維は、繊維粗度が0.3mg/m以上であり、繊維断面の真円度が0.5〜1であるものである。また更に、繊維断面の真円度が0.5〜1である架橋セルロース繊維も好ましい。また更に、上述したマーセル化パルプの架橋セルロース繊維も好ましい。
【0050】
次に、上記繊維ウエブ108において任意に用いられる上記熱溶融性接着繊維について説明する。
上記熱溶融性接着繊維としては、加熱により溶融し相互に接着する繊維を用いることができ、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、並びにポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等を挙げることができる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何れをも用いることができる。これらの熱溶融性接着繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。本発明において好ましく用いられる熱溶融性接着繊維としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル等を挙げることができる。
【0051】
上記熱溶融性接着繊維は、一般にその繊維長が2〜60mmであり、繊維径は0.5〜3デニールである。
【0052】
次に、上記透過層107と共に上記繊維ウエブ108を構成する上記拡散層109について説明する。
上記拡散層109は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む。繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む上記拡散層109は、液体を素早く広い面積に拡散せしめることが可能である。特に、一時的に多量の液体を吸収する場合でも、迅速且つ十分に液体を吸収し得る。
【0053】
上記拡散層109の厚みは0.2〜2.0mmであることが好ましい。上記厚みが0.2mmに満たないと、液体を拡散せしめる空間が小さく、拡散性能が不十分となり、上記厚みが2.0mmを超えると、液体の迅速な移動が妨げられるので、上記範囲内とすることが好ましい。上記拡散層109の厚みは、0.2〜1.5mmであることが更に好ましい。
【0054】
上記拡散層109は、液体を素早く広い面積に拡散せしめ得ることが特に好ましい。この目的のために、上記拡散層109は、生理食塩水に対する1分後のクレム吸収高さが50mm以上で且つ10分後のクレム吸収高さが100mm以上であることが好ましい。クレム吸収高さがこれらの値未満では、液体の拡散性に劣ってしまう。更に好ましくは、生理食塩水に対する1分後のクレム吸収高さは60〜120mmであり、10分後のクレム吸収高さは120〜300mmである。なお、クレム吸収高さの測定方法は、例えば特願平6−247917号に記載されている。
【0055】
上記拡散層109が繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含むことは上述の通りであるが、好ましくは、上記拡散層109は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維20〜80重量部と、親水性の微細繊維80〜20重量部と、熱溶融性接着繊維0〜30重量部とを含んで成る。上記嵩高性のセルロース繊維が20重量部に満たないか又は上記親水性の微細繊維が80重量部を超えると、上記拡散層109の製造時、特に湿式抄紙時に、繊維間に強い緊締力が働き液体吸収空間が小さくなるので、実質的に液体を拡散せしめる空間が減少する場合がある。また、上記嵩高性のセルロース繊維が80重量部を超えるか又は上記親水性の微細繊維が20重量部に満たないと、繊維間の距離が大きくなってしまい液体を拡散せしめる能力が不十分となる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。また、上記熱溶融性接着繊維を30重量部まで含めることによって湿潤時における繊維空間がより一層安定化するので好ましい。特に好ましくは、上記拡散層109は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維30〜70重量部と、繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維70〜30重量部と、熱溶融性接着繊維0〜20重量部とを含んで成る。
【0056】
上記拡散層109を構成する、上記嵩高性のセルロース繊維、親水性の微細繊維及び熱溶融性接着繊維のそれぞれについて説明すると、上記嵩高性のセルロース繊維及び上記熱溶融性接着繊維については、上記透過層107において用いられる上記嵩高性のセルロース繊維及び上記熱溶融性接着繊維に関して詳述した説明が適宜適用される。また、上記拡散層109及び上記透過層107において用いられる上記嵩高性のセルロース繊維及び上記熱溶融性接着繊維は同種のものであってもよく又は異種のものであってもよいが、好ましくは、上記拡散層109及び上記透過層107において用いられる上記嵩高性のセルロース繊維及び上記熱溶融性接着繊維は同種のものである。
【0057】
一方、上記親水性の微細繊維について説明すると、上記親水性の微細繊維としては、繊維表面が親水性であり、且つ、表面積が大きい繊維を用いることができる。更に詳細には、上記親水性の微細繊維としては、繊維粗度が0.2mg/m未満のものが使用される。上記親水性の微細繊維は繊維断面の真円度が0.5未満であるものを使用することが好ましい。上記繊維粗度は0.01〜0.2mg/mであることが好ましい。また、上記繊維断面の真円度は0.1〜0.4であることが一層好ましい。なお、上記親水性の微細繊維の平均繊維長に特に制限はないが、一般的な範囲として0.5〜20mmであることが好ましい。
【0058】
上記親水性の微細繊維の例としては、木材パルプ、綿、レーヨン等のセルロース繊維や、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール等の親水性基を有する合成繊維等が挙げられる。就中、木材パルプは、非常に安価に入手でき、且つ、叩解条件を制御したりすることで、繊維の表面積をコントロールできるため、好ましく用いることができる。そのような木材パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ〔例えば、Skeena cellulose Co.製の「SKEENA PRIME」(商品名)〕を微細に叩解したものや、広葉樹クラフトパルプ〔Weyerhaeuser Paper Co.製の「PRIME ALBERT ASPEN HARDWOOD 」(商品名)〕、及びワラパルプ等が挙げられる。上述の親水性微細繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0059】
次に、本発明の第1吸収性シート100の内部に含まれる上記高吸収性ポリマー106について説明する。
図1に示すように、上記高吸収性ポリマー106は、本発明の第1吸収性シート100の内部に含まれており、本発明の第1吸収性シート100を構成する繊維間に形成される空間に分散されている。更に詳細には、図1に示すように、上記高吸収性ポリマー106は、主として上記繊維ウエブ108の内部に含まれており、特に主として上記透過層107の内部に含まれており、上記繊維ウエブ108を構成する繊維間に形成される空間に分散されていることが好ましい。その結果、上記高吸収性ポリマー106は、本発明の第1吸収性シート100中に確実に固定され且つゲルブロッキングの発生が抑えられる。なお、ここで「高吸収性ポリマー106が第1吸収性シート100の内部に含まれている」とは、上記高吸収性ポリマー106が本発明の第1吸収性シート108の表面にまったく存在しないことを意味するものではなく、後述する本発明の第1吸収性シートの好ましい製造方法において、不可避的に該第1吸収性シートの表面に存在する微量の高吸収性ポリマーは許容するものであり、上記高吸収性ポリマー106のほとんどが本発明の第1吸収性シート100の内部に存在することをいう。
【0060】
また、上記高吸収性ポリマー106は、本発明の第1吸収性シート100を構成する繊維、好ましくは上記繊維ウエブ108を構成する繊維、及び上記透過層107を構成する繊維に接着している。これにより、上記高吸収性ポリマー106の固定が一層強固なものとなり、そのゲルブロッキングが一層抑えられる。ここで、上記高吸収性ポリマー106は、そのすべての粒子が繊維に接着している必要はない。上記高吸収性ポリマー106は、その全量に基づき、50重量%以上が繊維に接着していることが好ましく、特に、70重量%以上が繊維に接着していることが好ましい。上記高吸収性ポリマー106の接着量が50重量%未満では、固定化の効果が十分に発現されない場合があるので好ましくない。なお、上記高吸収性ポリマー106を繊維に接着させる方法については後述する。
【0061】
また、上記高吸収性ポリマー106として、球状のポリマーを一次粒子としてそれを凝集させて二次粒子とした粒子凝集タイプの高吸収性ポリマーを使用した場合には、一次粒子の全てが繊維に接着してなくてもよく、二次粒子の一部が繊維に接着していれば、その高吸収性ポリマーは繊維に固定されることになる。
【0062】
好ましくは、上記高吸収性ポリマー106は、本発明の第1吸収性シート100中に層状に分散されているのではなく、図1に示すように、三次元状に分散されている。従って、高吸収性ポリマーを多量に分散させることができる。即ち、高吸収性ポリマーを層状(つまり、二次元状)に分散させる従来の吸収性シートにおける高吸収性ポリマーの散布坪量の上限が一般に約50〜100g/m2 であるのに対して、本発明の第1吸収性シート100においては上記高吸収性ポリマー106を三次元状に分散させることができるので、上記高吸収性ポリマー106の散布坪量の上限を約200〜300g/m2 とすることができ、上記高吸収性ポリマー106の散布坪量を従来の吸収性シートの約3倍に増量することができる。従って、本発明の第1吸収性シート100は、従来の吸収性シートに比して、液体の吸収量が飛躍的に増大する。更に、上記高吸収性ポリマー106が三次元状に分散されており、しかも上記透過層及び拡散層と組み合わせて用いられているので、該高吸収性ポリマー106本来の吸収性能が一層効果的に発現される。即ち、従来の吸収性シートと同量の高吸収性ポリマーを使用した場合でも、吸収性能を一層向上させることができ、その結果として吸収性シートを従来品よりも極薄化することができる。その上、散布坪量を増量できるので、大きな吸収容量を必要とする紙おむつ等の吸収体としても好適に使用することができる。
【0063】
上記高吸収性ポリマー106は、その散布坪量が1〜300g/m2 であることが好ましく、5〜300g/m2 であることが更に好ましく、10〜200g/m2 であることが一層好ましく、20〜150g/m2 であることが特に好ましい。上記散布坪量が1g/m2 に満たないと、吸水力が足りず、十分な機能を発揮し得ない。一方、上記散布坪量が300g/m2 より多いと、上記繊維ウエブ108と上記繊維集合体105との接着力が低下し、上記高吸収性ポリマー106が脱落しやすくなるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0064】
上記高吸収性ポリマー106としては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るものが好ましい。そのような高吸収性ポリマーの例としては、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合せしめた共重合体も、好ましく使用し得る。
【0065】
次に、本発明の第1吸収性シート100における吸収表面102を有する上記繊維集合体105について説明する。
ここで、上記「吸収表面」とは、本発明の第1吸収性シート100が液体を吸収する際に主として、最初に液体を吸収する面のことをいう。即ち、本発明の第1吸収性シート100を使用する場合には、主として、上記繊維集合体105側から液体を吸収させる。また、上記繊維集合体における上記吸収表面と反対側の面は、上記繊維ウエブ108の透過層107に隣接している。
【0066】
上記繊維集合体105は、上記吸収表面102側には上記高吸収性ポリマー106を含まない。ここで、「高吸収性ポリマーを含まない」とは、上記繊維集合体105が上記吸収表面102側に上記高吸収性ポリマー106をまったく含まないことを意味するものではなく、後述する本発明の第1吸収性シート100の好ましい製造方法において不可避的に混入する微量の高吸収性ポリマーは許容するものの実質的に高吸収性ポリマーを含まないことを意味する。
【0067】
上記繊維集合体105は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とし、該繊維の機械的絡み合いや物理的絡み合い及び熱接着等によって得られるものであり、例えば、紙や不織布などを用いることができる。紙としては、湿式抄造により得られる紙やそれをクレープ加工したものなどを使用することができる。
【0068】
上記繊維集合体105が繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とすることは上述の通りであるが、かかる嵩高性のセルロース繊維は、好ましくは上記繊維集合体100重量部に基づき30重量部以上含まれ、より好ましくは、50〜98重量部含まれる。なお、かかる嵩高性のセルロース繊維の詳細については、上記繊維ウエブ108の透過層107を構成する嵩高性のセルロース繊維について詳述した説明が適宜適用される。
【0069】
また、上記繊維集合体105には、熱溶融性接着繊維を添加してもよい。かかる熱溶融性接着繊維は、好ましくは、上記繊維集合体100重量部に基づき1〜50重量部含まれ、より好ましくは、3〜30重量部含まれる。なお、かかる熱溶融性接着繊維の詳細については、上記繊維ウエブ108の透過層107を構成する熱溶融性接着繊維について詳述した説明が適宜適用される。
【0070】
上記繊維集合体105に添加することのできる他の成分としては、強力補助剤が挙げられる。かかる強力補助剤としては、例えばポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カイメン、カルボキシメチルセルロース等を使用することができる。上記強力補助剤は好ましくは、上記繊維集合体100重量部に基づき0〜30重量部含まれ、より好ましくは、0〜20重量部含まれる。
【0071】
上記繊維集合体105は、上記繊維ウエブ108の場合と同様の理由から、これを単独で乾燥させてシート化したものをJIS−P−8113により測定した湿潤時の引張強度が50g以上であることが好ましく、更には100g以上であることが好ましい。
【0072】
上記繊維集合体105は、その坪量が10〜200g/m2 であることが好ましく、10〜50g/m2 であることが更に好ましい。上記坪量が10g/m2 に満たないと、上記高吸収性ポリマー106の膨潤時に該高吸収性ポリマー106が上記繊維集合体105を突出して脱落してしまうおそれがある。一方、上記坪量が200g/m2 を超えると上記繊維集合体105の密度が上がり過ぎ、本発明の第1吸収性シート100が固くなりすぎる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0073】
上記繊維集合体105は、上記繊維ウエブ108を製造する前に予め製造しておいてもよく、また、本発明の第1吸収性シート100を製造する際に、上記繊維ウエブ108と同時に製造してもよい。
【0074】
以上の通り、本発明の第1吸収性シート100は、上記繊維集合体105、上記繊維ウエブ108及び上記高吸収性ポリマー106を主体として形成されており、かかる第1吸収性シート100におけるこれらの坪量の好ましい範囲は、上記繊維集合体105の坪量が10〜200g/m2 であり、上記高吸収性ポリマー106の散布坪量が1〜300g/m2 であり、上記繊維ウエブ108の坪量が10〜200g/m2 である。更に好ましい範囲は、上記繊維集合体105の坪量が10〜100g/m2 であり、上記高吸収性ポリマー106の散布坪量が10〜200g/m2 であり、上記繊維ウエブ108の坪量が10〜100g/m2 である。
【0075】
また、本発明の第1吸収性シート100のトータルの坪量は、21〜500g/m2 であることが好ましく、30〜300g/m2 であることが更に好ましく、50〜200g/m2 であることが一層好ましい。
【0076】
更に、本発明の第1吸収性シート100は、2.5g/cm2 加重下での厚みが0.3〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることが更に好ましい。また、極薄の吸収性シートとする場合には、2.5g/cm2 加重下での厚みが0.3〜1.5mmであることが好ましく、0.3〜1.2mmであることが更に好ましい。
【0077】
以上の通りの構成を有する本発明の第1吸収性シート100においては、その単一の構造中に液体の拡散勾配を有する。より詳細には、上記第1吸収性シート100の吸収表面102から上記透過層107にかけては、液体の透過性が高いため、該吸収表面102上には液残りは少ない。そして、吸収された液体は上記高吸収性ポリマー106まで素早く伝達し、特に拡散性の高い上記拡散層109において、上記第1吸収性シート100の全面に拡散される。このように、上記第1吸収性シート100は、その単一の構造中に液体の透過/拡散/固定機能を有しているので、より素早く且つ確実に液体を上記高吸収性ポリマー106で固定することができる。
【0078】
次に、本発明の第2吸収性シートについて説明する。
本発明の第2吸収性シート200は、図2に示すように、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、該吸収性シート200は、繊維集合体205及び繊維ウエブ208から構成されている。該繊維集合体205は、吸収表面202を有すると共に該吸収表面202側には高吸収性ポリマーを含まない。該繊維集合体205は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12を主体とする透過層207と、該透過層207に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維14を含む拡散層209とから構成されている。
【0079】
一方、上記繊維ウエブ208は、図2に示すように、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維12を主体としている。そして、該繊維ウエブ208は、上記繊維集合体205の拡散層209に隣接している。
【0080】
また、図2に示すように、上記繊維集合体205と上記繊維ウエブ208とは一体化している。更に、上記高吸収性ポリマー206は、上記吸収性シート200の内部に含まれており、しかも上記吸収性シート200を構成する繊維に接着している。
【0081】
このように、本発明の第2吸収性シート200は、上記第1吸収性シート100と同様に、繊維集合体205及び繊維ウエブ208を含み且つ高吸収性ポリマー206がその内部に含まれた一体構造を有していることが特徴の一つである。本発明の第2吸収性シートにおけるかかる一体構造は、上記第1吸収性シートの場合と同様でありここでは特に説明しないが、該第1吸収性シートの一体構造に関して詳述した説明が該第2吸収性シートにも適宜適用される。
【0082】
次に、本発明の第2吸収性シート200における上記繊維ウエブ208について説明する。
上記繊維ウエブ208は、上述の通り、上記繊維集合体205の拡散層209に隣接するものであり且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体として形成されている。かかる嵩高性のセルロース繊維を用いることによって、高吸収性ポリマー206の分散性及び固定化の程度が一層向上するのみならず、特に湿式抄紙の際に上記繊維ウエブ208の排水性を一層容易にコントロールすることができる。更に、上記嵩高性のセルロース繊維は、嵩高で空隙率の高い繊維ウエブを形成できるので、上記高吸収性ポリマー206が上記繊維ウエブ208中に三次元的に埋没・分散、固定されやすくなり且つ上記高吸収性ポリマー206のゲルブロッキングの発生も抑えることができる。
【0083】
上記嵩高性のセルロース繊維は、上記繊維ウエブ100重量部に基づき、好ましくは30重量部以上含まれ、更に好ましくは50〜99重量部含まれる。
【0084】
上記繊維ウエブ208を構成する上記嵩高性のセルロース繊維の詳細については、上記第1吸収性シート100において用いられる嵩高性のセルロース繊維について詳述した説明が適宜適用される。
【0085】
上記繊維ウエブ208には、上記第1吸収性シートの説明において詳述した強力補助剤を添加することも好ましい。これらの強力補助剤は、上記繊維ウエブ208を構成する繊維100重量部に基づき0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部添加することができる。
【0086】
また、上記繊維ウエブ208には、その強度を高めるために、水素結合を形成し得るような通常のセルロース繊維、即ち、木材パルプや非木材パルプ等を配合してもよい。
【0087】
この場合、上記繊維ウエブ208は、上記繊維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維を30〜99重量部、上記木材パルプ又は非木材パルプを1〜70重量部、及び上記強力補助剤を0〜30重量部含んで成ることが好ましい。更に好ましくは、上記繊維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維を50〜95重量部、上記木材パルプ又は非木材パルプを5〜50重量部、及び上記強力補助剤を0〜20重量部含んで成る。
【0088】
更に、上記繊維ウエブ208には、熱溶融性接着繊維を添加することも好ましい。かかる熱溶融性接着繊維を添加することで、本発明の吸収性シートが湿潤したときでもその構造を安定に保つことができる。なお、かかる熱溶融性接着繊維の詳細については、上記第1吸収性シート100において用いられる熱溶融性接着繊維について詳述した説明が適宜適用される。
【0089】
この場合、上記繊維ウエブ208は、上記繊維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維を30〜99重量部、上記熱溶融性接着繊維を1〜50重量部含んで成ることが好ましい。更に好ましくは、繊維ウエブ100重量部に基づき、上記嵩高性のセルロース繊維を50〜97重量部、上記熱溶融性接着繊維を3〜30重量部含んで成る。
【0090】
なお、上記繊維ウエブ208に関して特に詳述しなかった点については、上記第1吸収性シート100における繊維ウエブ108に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0091】
次に、本発明の第2吸収性シート200の内部に含まれる上記高吸収性ポリマー206について説明する。
図2に示すように、上記高吸収性ポリマー206は、上記第1吸収性シート100中に含まれる高吸収性ポリマー106と同様に、本発明の第2吸収性シート200の内部に含まれており、本発明の第2吸収性シート200を構成する繊維間に形成される空間に分散されている。更に詳細には、図2に示すように、上記高吸収性ポリマー206は、主として上記繊維ウエブ208の内部に含まれており、該繊維ウエブ208を構成する繊維間に形成される空間に分散されていることが好ましい。その結果、上記高吸収性ポリマー206は、本発明の第2吸収性シート200中に確実に固定され且つゲルブロッキングの発生が抑えられる。
【0092】
また、上記高吸収性ポリマー206は、本発明の第2吸収性シート200を構成する繊維、好ましくは上記繊維ウエブ208を構成する繊維に接着している。従って、上記高吸収性ポリマー206の固定が一層強固なものとなり、そのゲルブロッキングを一層抑えることができる。
【0093】
なお、上記高吸収性ポリマー206に関して特に詳述しなかった点、例えば、該高吸収性ポリマー206の分散状態、種類、散布坪量、諸物性値等については、上記第1吸収性シート100における高吸収性ポリマー106に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0094】
次に、本発明の第2吸収性シート200における吸収表面202を有する上記繊維集合体205について説明する。
上記繊維集合体205は、上記吸収表面202側には上記高吸収性ポリマー206を含まない。ここで、上記「吸収表面」の意味は、上記第1吸収性シート100における意味と同様である。
上記繊維集合体205は、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層207と該透過層207に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層209とから成る。そして、上記繊維集合体205の透過層207側の面が、上記吸収表面202に該当する。
一方、上記繊維集合体205の拡散層209は、図2に示すように、上記繊維ウエブ208に隣接する。
また、図2に示すように、上記透過層207と上記拡散層209とは一体化している。
【0095】
上記繊維集合体205を構成する上記透過層207及び上記拡散層209の詳細については、上記第1吸収性シート100における上記透過層107及び上記拡散層109について詳述した説明が適宜適用される。また、上記透過層207及び上記拡散層209を構成する上記嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維の詳細についても、上記第1吸収性シート100における嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維について詳述した説明が適宜適用される。
【0096】
以上の通り、本発明の第2吸収性シート200は、上記繊維集合体205、上記繊維ウエブ208及び上記高吸収性ポリマー206を主体として形成されている。そして、これら上記繊維集合体205、上記繊維ウエブ208及び上記高吸収性ポリマー206の坪量の好ましい範囲は、上記第1吸収性シート100における好ましい範囲と同様であり、上記第1吸収性シート100において詳述した説明が適宜適用される。
また、上記第2吸収性シート200の坪量及び厚み等の詳細についても、上記第1吸収性シート100と同様であり、上記第1吸収性シート100において詳述した説明が適宜適用される。
【0097】
このように構成された本発明の第2吸収性シート200においても、上記第1吸収性シート100と同様に、液体の拡散勾配を有している。より詳細には、上記第2吸収性シート200には、該第2吸収性シート200の吸収表面202から、その内部に向けて液体の拡散勾配がある。即ち、上記吸収表面202近傍、特に上記透過層207においては液体の透過性が高く、液体は素早く上記第2吸収性シート200の内部の上記高吸収性ポリマー206に伝達される。そして、上記高吸収性ポリマー206が存在する付近、特に上記拡散層209においては液体の拡散性が高いので、液体は上記第2吸収性シート200の全面に拡散され、上記高吸収性ポリマー206によって固定される。このように、上記第2吸収性シート200も、上記第1吸収性シート100と同様に、その単一の構造中に液体の透過/拡散/固定機能を有しているので、より素早く且つ確実に液体を上記高吸収性ポリマー206で固定することができる。
【0098】
なお、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートにおいては、必要に応じて他の層を更に一体化させてもよい。
【0099】
次に、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートを製造するための好ましい方法について説明する。
【0100】
まず、本発明の第1吸収性シートを製造するための好ましい方法について説明すると、上記第1吸収性シートは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる湿潤した繊維ウエブにおける上記透過層上に高吸収性ポリマーを散布し、
その上に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする繊維集合体を重ね合わせ、そして
これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする。
【0101】
これらの工程について、以下にそれぞれ説明する。
【0102】
まず、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる繊維ウエブを形成する。上記繊維ウエブを形成する方法に特に制限はなく、例えば、乾式抄紙法などを用いることができるが、好ましくは、湿式抄紙法を用いる。これは、後述するように、上記高吸収性ポリマーを上記繊維ウエブに散布する際に、上記繊維ウエブは湿潤し且つ繊維の自由度が極めて高い状態でなければならないので、湿式抄紙法により上記繊維ウエブを形成すれば、それは直ちに湿潤状態を実現することになるので、別工程をもって湿潤状態にする手間が省けるからである。また、湿式抄紙法により得られる繊維ウエブは、その乾燥前には繊維どうしが互いに十分には結合していないので、その状態で上記高吸収性ポリマーを散布すると、かかる高吸収性ポリマーが繊維間に形成される空間中に三次元的に埋没しやすく、多量の高吸収性ポリマーを散布することができるという利点も有する。特に好ましくは、上記透過層と上記拡散層とを漉き合わせて、上記繊維ウエブを形成する。漉き合わせによって上記透過層と上記拡散層とが密接に一体化するので特に好ましい。
【0103】
上記透過層と上記拡散層とを漉き合わせて上記繊維ウエブを形成する方法について更に詳述すると、図3に示すように、上記拡散層を形成する繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維等を水に分散して得られる第1スラリーが供給される第1フォーミングパート130にて上記拡散層109を形成する。次いで、上記透過層を形成する繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維等を水に分散して得られる第2スラリーが供給される第2フォーミングパート132にて上記拡散層109上に上記透過層107を形成する。このようにして、上記拡散層109と上記透過層107との漉き合わせが行われ、図5に示すように、上記拡散層109と上記透過層107とから成る上記繊維ウエブ108が抄紙ワイヤー134上に形成される。なお、上記第1スラリー及び第2スラリー中における各種繊維等の濃度は、湿式抄紙における一般的な濃度にすればよい。また、各種繊維等間における相対的な配合割合は、湿式抄紙して得られる拡散層及び透過層中におけるそれらの配合割合が上述した範囲となるようにすればよい。
【0104】
上記抄紙ワイヤー134上に形成された繊維ウエブ108は、サクションボックス136によって脱水される。次いで、その湿潤状態を維持したままで、上記高吸収性ポリマー106が上記繊維ウエブ108の透過層107上に散布される。なお、予め製造してあった乾燥繊維ウエブ108を使用する場合には、上記高吸収性ポリマー106を上記繊維ウエブ108上に散布する前に、上記繊維ウエブ108に水を散布して湿潤状態にしておく。上記繊維ウエブの湿潤状態は、乾燥繊維ウエブ100重量部に基づき水を20〜500重量部含む程度が好ましく、更に好ましくは、50〜300重量部の水を含む。水の量が20重量部に満たないと、散布された上記高吸収性ポリマー106が水を吸収して湿潤し、粘着性を得ることができないので、上記高吸収性ポリマー106の固定性が不十分となり、水の量が500重量部を超えると上記高吸収性ポリマー106が吸水過剰となり、後述する乾燥工程で乾燥不良となることがあるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0105】
このようにして湿潤状態の上記繊維ウエブ108に、図3に示すように、上記高吸収性ポリマー106を散布する。これにより、散布された上記高吸収性ポリマー106が上記繊維ウエブ108を構成する繊維中に埋没すると共に、水を吸収して粘着性を帯び、該繊維に接着・固定化する。また、湿潤した状態の上記繊維ウエブ108は、それを構成する繊維が未だ互いに結合しておらず自由度を有しているので、上記高吸収性ポリマー106を三次元的に分散せしめることができる。従って、従来の吸収性シートに比して、一層多量の高吸収性ポリマーを安定に固定することができる。上記高吸収性ポリマー106を散布する場合、上記高吸収性ポリマー106は、湿潤した上記繊維ウエブ108の全面に均一に散布しても良く、或いは必要に応じて湿潤した上記繊維ウエブ108の長手方向に間隔をおいて筋状に部分散布したり、湿潤した上記繊維ウエブ108の長手方向にショット状に間歇散布することもできる。
【0106】
次いで、図3に示すように、上記繊維ウエブ108における上記高吸収性ポリマー106が散布された面上に、上記繊維集合体105を重ね合わせる。この場合、該繊維集合体105としては、図3に示すように、予め製造しておいたものを巻き出して使用することもでき、或いは上記繊維ウエブ108の製造と並行して製造したものを使用することもできる。なお、上記繊維ウエブ108と上記繊維集合体105とを重ね合わせた時点では、上記繊維ウエブ108中の繊維は未だ自由度を有しているので、上記高吸収性ポリマー106は、上記繊維ウエブ中に一層埋没すると共に、上記繊維ウエブ108中の繊維と上記繊維集合体105中の繊維とが緊密且つ容易に絡み合う。
【0107】
引き続き、上記繊維ウエブ108と上記繊維集合体105との重ね合わせ体をプレスパート138でプレスした後、ドライヤー142で乾燥することによって、上記繊維ウエブ108を構成する繊維と上記繊維集合体105を構成する繊維どうしが一層緊密に絡み合い、更には、水素結合や熱融着の作用も加わり、上記繊維ウエブ108と上記繊維集合体105とが一体化して、本発明の第1吸収性シート100が得られる。乾燥温度は、使用する繊維等の種類にもよるが、100〜180℃の範囲であることが好ましく、更に好ましい乾燥温度は105〜150℃の範囲である。乾燥及び一体化により、上記繊維ウエブ108及び上記繊維集合体105が一体化し、しかも、上記繊維ウエブ108を構成する繊維どうしが互いに結合してシート化される。なお、乾燥手段に特に制限はなく、例えばヤンキードライヤーやエアースルードライヤー等を用いることができる。
【0108】
特に好ましくは、本発明の第1吸収性シート100は、湿式抄紙機を用いたインラインの単一工程により製造される。即ち、図3に示すように、湿式抄紙機の第1フォーミングパート130で上記拡散層109を形成し、次いで、第2フォーミングパート132で上記拡散層109上に上記透過層107を漉き合わせて上記繊維ウエブ108を形成し、サクション脱水工程136で該繊維ウエブ108を脱水し、プレスパート138直前で該繊維ウエブ108の透過層107上に上記高吸収性ポリマー106を散布すると共にその上に上記繊維集合体105を重ね合わせ、上記プレスパート138にて上記繊維ウエブ108と上記繊維集合体105とをプレスし、次いで、コンベア140によってドライヤー142に導き、該ドライヤー142でこれらを乾燥し一体化する。かかる方法により、本発明の第1吸収性シート100を、高速で且つ簡便に製造することができる。
【0109】
湿式抄紙機としては、通常の抄紙機を使用することができ、そのような抄紙機には例えば、長網抄紙機、フォーマー抄紙機、丸網抄紙機などがある。なお、上記した以外の工程については、通常の抄紙法における工程を適宜用いることができる。
【0110】
次に、本発明の第2吸収性シートを製造するための好ましい方法について説明すると、上記第2吸収性シートは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする湿潤した繊維ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、
その上に、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる繊維集合体を、上記繊維ウエブと上記拡散層とが隣接するように重ね合わせ、そして
これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする。
【0111】
これらの工程について、以下にそれぞれ説明する。
【0112】
まず、嵩高性のセルロース繊維を主体とする繊維ウエブを形成する。該繊維ウエブを形成する方法に特に制限はないが、上記第1吸収性シートの好ましい製造方法と同様の理由により、湿式抄紙法を用いることが好ましい。
【0113】
上記繊維ウエブの製造方法について更に詳述すると、嵩高性のセルロース繊維並びに必要に応じて熱溶融性接着繊維及び強力補助剤等を、所定の濃度となるように水に分散せしめてスラリーとなす。該スラリーを図4に示すように、フォーミングパート230に供給して上記繊維ウエブ208を形成する。このようにして、上記繊維ウエブ208が抄紙ワイヤー234上に形成される。
【0114】
上記抄紙ワイヤー234上に形成された繊維ウエブ208は、サクションボックス236によって脱水される。次いで、その湿潤状態を維持したままで、上記高吸収性ポリマー206が上記繊維ウエブ208上に散布される。なお、予め製造してあった乾燥繊維ウエブを使用する場合には、上記高吸収性ポリマー206を上記繊維ウエブ208上に散布する前に、上記繊維ウエブ208に水を散布して湿潤状態にしておく。上記繊維ウエブの湿潤状態に関しては、上記第1吸収性シートの好ましい製造方法について詳述した説明が適宜適用される。
【0115】
このようにして湿潤状態の上記繊維ウエブ208に、図4に示すように、上記高吸収性ポリマー206を散布する。散布方法は、上記第1吸収性シートの製造の場合と同様である。
【0116】
次いで、図4に示すように、上記繊維ウエブ208における上記高吸収性ポリマー206が散布された面上に、嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層207と、該透過層207に隣接すると共に嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む拡散層209とからなる繊維集合体205を、上記繊維ウエブ208と上記拡散層209とが隣接するように重ね合わせる。この場合、該繊維集合体205としては、図4に示すように、上記透過層と上記拡散層とを予め漉き合せて製造した繊維集合体205を巻き出して使用することもでき、或いは上記繊維ウエブ208の製造と並行して製造したものを使用することもできる。
【0117】
引き続き、上記繊維ウエブ208と上記繊維集合体205との重ね合わせ体をプレスパート238でプレスした後、ドライヤー242で乾燥することによって、上記繊維ウエブ208を構成する繊維と上記繊維集合体205を構成する繊維どうしが一層緊密に絡み合い、更には、水素結合や熱融着の作用も加わり、上記繊維ウエブ208と上記繊維集合体205とが一体化して、本発明の第2吸収性シート200が得られる。
【0118】
特に好ましくは、本発明の第2吸収性シート200は、上記第1吸収性シートと同様に、湿式抄紙機を用いたインラインの単一工程により製造される。即ち、図4に示すように、湿式抄紙機のフォーミングパート230で上記繊維ウエブ208を形成し、サクション脱水工程236で該繊維ウエブ208を脱水し、プレスパート238直前で該繊維ウエブ208上に上記高吸収性ポリマー206を散布すると共に、その上に上記透過層207と上記拡散層209とからなる上記繊維集合体205を、上記繊維ウエブ208と上記拡散層209とが隣接するように重ね合わせ、上記プレスパート238にて上記繊維ウエブ208と上記繊維集合体205とをプレスし、次いで、コンベア240によってドライヤー242に導き、該ドライヤー242でこれらを乾燥し一体化する。かかる方法により、本発明の第2吸収性シート200を、高速で且つ簡便に製造することができる。
【0119】
なお、上記第2吸収性シートの好ましい製造方法の説明において特に詳述しなかった点については、上記第1吸収性シートの好ましい製造方法において詳述した説明が適宜適用される。
また、上記第1吸収性シート及び第2吸収性シートの好ましい製造方法の説明において特に詳述しなかった点については、従来公知の製紙方法を適宜用いることができる。
【0120】
以上、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートの製造方法をその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートの製造方法は、かかる方法に限定されないことはいうまでもない。
【0121】
次に、本発明の第1吸収性シート及び第2吸収性シートを用いた吸収性物品について説明する。
【0122】
本発明の第1吸収性シートを用いた吸収性物品(以下、第1吸収性物品という)は、
液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、上記第1吸収性シートが含まれていることを特徴とするものである。
【0123】
また、本発明の第2吸収性シートを用いた吸収性物品(以下、第2吸収性物品という)は、
液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、上記第2吸収性シートが含まれていることを特徴とするものである。
【0124】
以下、上記第1吸収性物品及び第2吸収性物品の好ましい実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0125】
まず、図6〜図11を参照しつつ、本発明の第1吸収性物品の好ましい実施形態について説明する。
ここで、図6は、本発明の第1吸収性物品の第1の好ましい実施形態としての生理用ナプキンの幅方向の断面を示す模式図である。また、図7〜図11は、本発明の第1吸収性物品の他の好ましい実施形態としての生理用ナプキンの幅方向の断面を示す模式図(図6相当図)である。
【0126】
図6に示す本発明の第1吸収性物品の第1の好ましい実施形態としての生理用ナプキン300は、液体吸収可能な表面層1、液体不透過性の防漏層3並びに該表面層及び該防漏層の間に介在する液体保持性の吸収層2を具備して成る。
【0127】
更に詳細には、上記生理用ナプキン300は、実質的に縦長に形成されており、上記生理用ナプキンの着用時には、上記表面層1が肌に接する側に位置し、上記防漏層3が下着に接する側に位置する。
【0128】
上記吸収層2は、後述するように、上記第1吸収性シート100、フラッフパルプ2a、該第1吸収性シート100及び該フラッフパルプ2aを被覆する吸収紙2bを具備する。上記防漏層3は、上記吸収層2の側面部及び底面部を被覆している。そして、上記吸収層2と上記防漏層3との組合せ体のすべての面を上記表面層1が被覆している。
【0129】
なお、上記表面層1としては、液体を上記吸収層2へ透過させることができるものであれば制限はないが、特に肌着に近い感触を有するものが好ましい。そのような表面層の例としては、例えば、熱可塑性樹脂の織布、不織布及び多孔性フィルム等が挙げられる。特に、低密度ポリエチレン等のポリオレフィンから成る開孔フィルムを好ましく用いることができる。
【0130】
また、上記防漏層3としては、液体不透過性のものであれば特に制限はないが、透湿性を有し且つ肌着に近い感触を有するものが好ましい。透湿性を有する液体不透過性の防漏層は、例えば、熱可塑性樹脂に無機化合物又は有機化合物のフィラーを添加したものを、Tダイやサーキュラーダイから溶融押出してフィルムを形成し、次いで、かかるフィルムを一軸又は二軸延伸して得ることができる。
【0131】
上記生理用ナプキン300の下着に接する側には、その長手方向に2本の粘着部4、4が筋状に形成されており、該粘着部4、4は、使用前には剥離紙5によって保護されている。また、図6において、符号6は、上記各部材間を接合するための接合部である。なお、その他、特に詳述しない点については、従来の生理用ナプキンと同様に構成されている。
【0132】
次いで、上記第1の実施形態の第1吸収性物品の特徴部分について説明する。
上記第1の実施形態の第1吸収性物品としての生理用ナプキン300は、液体保持性の吸収層2を具備し、該吸収層は、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む上記第1吸収性シート100を含んで成る。上記第1吸収性シート100は、繊維集合体及び繊維ウエブから構成されており、
上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体としており、
上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、且つ上記透過層側で上記繊維集合体に隣接しており、
上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする。
【0133】
上記吸収性シートを用いることによって、高吸収性ポリマーの脱落及びゲルブロッキングがない吸収性物品を得ることができる。しかも、かかる吸収性シートは、その単一の構造中に、液体の吸収・透過及び拡散並びに液体の保持機能を有しているので、従来の液体吸収性物品のように、上記各機能を有する部材を組み合わせる必要がないので、極めて薄型の液体吸収性物品を得ることができる。
【0134】
図6に示す本発明の第1吸収性物品の第1の好ましい実施形態によれば、液体は、上記表面層1を通して生理用ナプキン300に吸収される。その後、上記フラッフパルプ2a中を透過して、上記第1吸収性シート100中に分散されている高吸収性ポリマーに吸収・保持される。この場合、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が上記表面層1の側に位置するように配置することが好ましい。上記第1吸収性シートをこのように配置することで、上記フラッフパルプ2aが吸収した液体をよりスムーズに上記第1吸収性シート100に導くという好ましい効果が得られる。
【0135】
上記第1吸収性シート100の説明において詳述したように、上記第1吸収性シート100は、従来の吸収性シートよりも高吸収性ポリマーを多量に保持することができるので、該第1吸収性シート100を具備して成る生理用ナプキン300は、液体の保持容量が大きい。また、上記高吸収性ポリマーは上記第1吸収性シート上に三次元状に分散されているのでゲルブロッキングが起きず、高吸収性ポリマー本来の吸収性能が効率的に発現でき、従来と同量の高吸収性ポリマーを使用しても一層向上した吸収性能を得ることができる。しかも、図6に示す生理用ナプキン300は、上記第1吸収性シート100に加えてフラッフパルプ2aも具備するので、液体の保持容量は一層大きくなる。従って、本実施形態の第1吸収性物品は、長時間装着する夜用の生理用ナプキンとして好適である。
【0136】
次に、本発明の第1吸収性物品の第2〜第6の好ましい実施形態を図7〜図11に示す。なお、第2〜第6の実施形態において上記第1の実施形態と同じ点については、特に詳述しないが、上記第1の実施形態において詳述した説明が適宜適用される。また、図7〜図11において図6と同じ部材については同じ符号を付した。
【0137】
図7に示す本発明の第1吸収性物品の第2の好ましい実施形態としての生理用ナプキン100においては、吸収層は、上記第1吸収性シート100のみから成っており、該第1吸収性シート100の側面部及び底面部が上記防漏層3によって被覆されている。そして、上記第1吸収性シート100と上記防漏層3との組合せ体のすべての面を上記表面層1が被覆している。なお、本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が上記表面層1の側に位置するように配置することが好ましい。
【0138】
かかる生理用ナプキン300は、それを構成する部材の数が少なく、しかもそれぞれの部材は薄いので、極めて薄い生理用ナプキンとすることができる。更に、上記第1吸収性シート100には多量の高吸収性ポリマーが保持されているので、薄いにもかかわらず、液体の保持容量は大きい。また、上記高吸収性ポリマーは上記第1吸収性シート上に三次元状に分散されているのでゲルブロッキングが起きず、高吸収性ポリマー本来の吸収性能が効率的に発現でき、従来と同量の高吸収性ポリマーを使用しても一層向上した吸収性能を得ることができる。その結果、快適な装着感を有すると共に、液体の保持容量が大きく且つ吸収性能が一層向上した生理用ナプキンが得られる。
【0139】
図8に示す本発明の第1吸収性物品の第3の好ましい実施形態としての生理用ナプキン300においては、吸収層は、上記第1吸収性シート100のみから成っており、該第1吸収性シート100は、C字状に折り曲げられている。そして、上記第1吸収性シート100は、その側面部及び底面部が上記防漏層3によって被覆されている。更に、上記第1吸収性シート100と上記防漏層3との組合せ体のすべての面を上記表面層1が被覆している。なお、本実施形態においては、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が上記表面層1の側に位置するように折り曲げて配置することが好ましい。
【0140】
かかる生理用ナプキン300は、上記第1吸収性シート100がC字状に折り曲げられている分だけ、図7に示す生理用ナプキンよりも厚くなるが、それでも、吸収層2にフラッフパルプを用いた図6に示す生理用ナプキンよりも薄くすることができる。しかも、上記第1吸収性シート100がC字状に折り曲げられているので、液体の保持容量は大きい。その結果、快適な装着感を有すると共に、液体の保持容量の大きな生理用ナプキンが得られる。
【0141】
図9に示す本発明の第1吸収性物品の第4の好ましい実施形態としての生理用ナプキン300においては、吸収層は、上記第1吸収性シート100、100、・・が複数枚重ねられて成る(図9においては3枚重ね)。そして、重ねられた上記第1吸収性シート100、100、・・は、その側面部及び底面部が上記防漏層3によって被覆されている。更に、上記第1吸収性シート100、100、・・と上記防漏層3との組合せ体のすべての面を上記表面層1が被覆している。なお、本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が上記表面層1の側に位置するように配置することが好ましい。
【0142】
かかる生理用ナプキン300は、上記第1吸収性シート100が複数枚重ねられている分だけ、図7に示す生理用ナプキンよりも厚くなるが、それでも、吸収層2にフラッフパルプを用いた図6に示す生理用ナプキンよりも薄くすることができる。しかも、上記第1吸収性シート100が複数枚重ねられているので、液体の保持容量は大きい。その結果、快適な装着感を有すると共に、液体の保持容量の大きな生理用ナプキンが得られる。
【0143】
図10に示す本発明の第1吸収性物品の第5の好ましい実施形態としての生理用ナプキン300においては、上記第1吸収性シート100が、液体吸収可能な表面層と液体保持性の吸収層との機能を兼用している(つまり、吸収性物品が、液体保持性の吸収層と液体不透過性の防漏層とを具備する)。即ち、本実施形態の生理用ナプキン300は、液体吸収可能な表面層と液体保持性の吸収層が一体化されて成る第1吸収性シート100を具備して成り、上記第1吸収性シート100の側面部及び底面部を上記防漏層3によって被覆して成るものである。なお、本実施形態においては、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が肌に接する側に位置するように配置することが特に好ましい。
【0144】
かかる生理用ナプキン300は、構成部材の数が少なくなり、しかも、厚さを一層薄くすることができる。その結果、快適な装着感を有すると共に、簡便なプロセスで且つ低コストで製造できる生理用ナプキンが得られる。
【0145】
図11に示す本発明の第1吸収性物品の第6の好ましい実施形態としての生理用ナプキン300においては、上記第1吸収性シートが、液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層の3つの機能を兼用している。即ち、本実施形態の生理用ナプキン300は、液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層が一体化されて成る。更に詳細には、上記第1吸収性シート100及び該吸収性シートの液体を吸収する面とは反対の面に接合・一体化した液体不透過性のシート3’を具備して成る。なお、本実施形態においては、上記第1吸収性シート100を、上記吸収表面を有する繊維集合体が液体を吸収する側に位置するように配置させ且つ該吸収表面とは反対の面に上記液体不透過性のシート3’を接合させることが特に好ましい。
【0146】
かかる生理用ナプキン300は、構成部材の数が少なくなり、しかも、厚さを更に一層薄くすることができる。その結果、一層快適な装着感を有すると共に、一層簡便なプロセスで且つ低コストで製造できる生理用ナプキンが得られる。なお、本実施形態の第1吸収性物品は、図11に示すような生理用ナプキンに加えて、母乳パッドやハイジーンパッドのような液体を吸収する量の少ない吸収性物品としても好適である。
【0147】
次に、本発明の第2吸収性物品の好ましい実施形態について説明する。
本発明の第2吸収性物品の好ましい実施形態は、上記第1吸収性物品に関して説明した上記第1〜第6の実施形態(図6〜図11)において、上記第1吸収性シートに代えて上記第2吸収性シートを用いたものである。即ち、図6〜図11に示される生理用ナプキン300における第1吸収性シート100に代えて、第2吸収性シートを用いた吸収性物品が上記第2吸収性物品に相当する。従って、上記第2吸収性物品の詳細に関しては、上記第1吸収性物品に関して詳述した説明及び図6〜図11の記載が適宜適用される。
【0148】
以上、本発明の第1吸収性物品及び第2吸収性物品をその好ましい実施形態として生理用ナプキンを例にとり説明したが、上記第1吸収性物品及び第2吸収性物品は、ハイジーンパッド、紙おむつ、メディカル用パッド及び母乳パッド等の他の吸収性物品としても同様に適用することができる。また、本発明の要件を逸脱しない範囲内であれば、吸収性物品の構成素材及び製造方法等は、従来技術の範囲内で自由に改変可能である。
【0149】
【実施例】
次に、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
先ず、実施例及び比較例で用いられる、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維の製造について説明する。なお、以下の記載において「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0150】
〔製造例1〕
嵩高性のセルロース繊維の製造
繊維粗度が0.36mg/mであり、そして繊維断面の真円度が0.80であるマーセル化パルプ〔ITT RAYONIER INC. 製の「POROSANIER−J」(商品名)〕100gを、5%のジメチロールジヒドロキシエチレン尿素〔架橋剤、住友化学工業(株)製の「Sumitex Resin NS-19 」(商品名)〕及び3%の金属塩触媒〔住友化学工業(株)製の「Sumitex Accelerator X-110 」(商品名)〕を含んだ水溶液1000gに分散させて、上記マーセル化パルプに上記架橋剤を含浸させた。
次いで、上記マーセル化パルプに対する上記架橋剤水溶液の量が200%になるまで、上記マーセル化パルプから上記架橋剤水溶液を離脱させた後、電気乾燥機中135℃で10分間加熱し、上記マーセル化パルプ中のセルロースを架橋させ、マーセル化架橋パルプを得た。これをセルロース繊維(A)とする。
【0151】
〔製造例2〕
嵩高性のセルロース繊維の製造
繊維粗度が0.32mg/mであり、そして繊維断面の真円度が0.30である架橋パルプ〔Weyerhauser Paper 製の「High Bulk Additive HBA−S」(商品名)〕を用意した。これをセルロース繊維(B)とする。
【0152】
〔製造例3〕
嵩高性のセルロース繊維の製造
繊維粗度が0.36mg/mであり、そして繊維断面の真円度が0.80であるマーセル化パルプ〔ITT RAYONIER INC. 製の「POROSANIER−J」(商品名)〕を用意した。これをセルロース繊維(C)とする。なお、セルロース繊維(C)は架橋されていない。
【0153】
〔製造例4〕
嵩高性のセルロース繊維の製造
繊維粗度が0.24mg/mであり、そして繊維断面の真円度が0.34である針葉樹クラフトパルプ〔MacMillan Bloedel Ltd.製の「HARMAC-R」(商品名)〕を用意した。これをセルロース繊維(D)とする。なお、セルロース繊維(D)は架橋されていない。
【0154】
〔製造例5〕
嵩高性のセルロース繊維の製造
繊維粗度が0.35mg/mであり、そして繊維断面の真円度が0.28である針葉樹クラトパルプ〔PT Inti Indorayon Utama 製の「INDORAYON 」(商品名)〕を用意した。これをセルロース繊維(E)とする。なお、セルロース繊維(E)は架橋されていない。
【0155】
上記セルロース繊維(A)〜(E)の繊維粗度及び繊維断面の真円度を下記に示す方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0156】
<繊維粗度の測定>
繊維粗度計FS−200(KAJAANI ELECTRONICS LTD.製)を用いて測定した。先ず、セルロース繊維の真の重量を求めるために、セルロース繊維を真空乾燥機内にて100℃で1時間乾燥させ、セルロース繊維中に存在している水分を除去する。
素早くセルロース繊維を±0.1mg精度において約1g正確に計りとる。次にセルロース繊維に損傷を与えないように、セルロース繊維を繊維粗度計に付属のミキサーで150mlの水中で完全に離解させ、これを5000mlになるまで水で薄め、得られた希釈液から50mlを正確に計りとり、これを繊維粗度測定溶液とし、上記繊維粗度計の操作手順に従って繊維粗度を求めた。
【0157】
<繊維断面の真円度の測定>
セルロース繊維断面の真円度の測定は、先ず、セルロース繊維の断面を面積が変化しないように、セルロース繊維を断面方向に垂直にスライスし、電子顕微鏡により断面写真をとり、該断面写真を画像解析装置〔日本アビオニクス社製の「Avio EXCEL」(商品名)〕により解析し、下記に示す式を用いてセルロース繊維断面の真円度を求めた。なお、該真円度は、任意のセルロース繊維断面を100点測定し、その平均値とした。
【0158】
【数1】
Figure 0003644737
【0159】
【表1】
Figure 0003644737
【0160】
〔製造例6〕
親水性の微細繊維の製造
繊維粗度が0.18mg/mで、繊維断面の真円度が0.32である針葉樹クラフトパルプ〔Skeena Cellulose Co.製の「SKEENA PRIME」(商品名)〕を用意した。これを親水性の微細繊維(F)とする。
【0161】
〔実施例1〕
吸収性シートの製造
セルロース繊維(B)60部と、親水性の微細繊維(F)35部と、太さ1.1デニールで平均繊維長5mmのポリエチレンテレフタレート繊維〔熱溶融性接着繊維;以下、PETと称する、帝人(株)製の「TMOTNSB 」(商品名)〕5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第一の抄紙機を用いてワイヤー上に拡散層を形成した。
上記拡散層とは別に、セルロース繊維(B)95部と、PET繊維5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第二の抄紙機を用いてワイヤー上に透過層を形成した。
上記拡散層及び上記透過層をそれぞれワイヤーから取り上げ、重ね合わせて、図5に示す複合吸収紙である繊維ウエブを得た。なお、該繊維ウエブは、乾燥時の全坪量が70g/m2 であり、上記拡散層及び上記透過層の乾燥時の坪量は、それぞれ35g/m2 である。該繊維ウエブは、その透過層側では液体の透過性が高く、一方その拡散層側では液体の拡散性が高いという、液体の拡散勾配を有するものである。
次いで、サクションボックスにより、上記繊維ウエブを乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分率200部になるまで脱水し、引き続き、プレスパート直前で、脱水後の湿潤した上記繊維ウエブの上記透過層上に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を散布坪量50g/m2 でほぼ均一に散布した。
上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリマーを散布した面に予め以下の配合で抄紙しておいた坪量30g/m2 の繊維集合体を重ね合わせ、かかる繊維ウエブと繊維集合体との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、130℃の温度にて、乾燥、一体化することにより、図1に示す、内部に高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シートを得た。これを吸収性シート(A)とする。
予め抄紙した繊維集合体は、下記の方法で製造した。即ち、セルロース繊維(A)を95部、及び上記PET繊維を5部配合し、これらを水中に均一に分散させてスラリーを得た。このスラリーを金網抄紙ワイヤー上に散布し、該金網抄紙ワイヤー上に紙層を形成させた。サクションボックスを用いて、この紙層を脱水・乾燥し、坪量30g/m2 の繊維集合体を製造した。
【0162】
〔実施例2〕
吸収性シートの製造
表2に示す配合から、実施例1と同様の操作により吸収性シートを得た。これを吸収性シート(B)とする。
【0163】
〔実施例3〕
吸収性シートの製造
セルロース繊維(B)を95部、上記PET繊維を5部配合し、これらを水中に均一に分散させてスラリーを得た。このスラリーを金網抄紙ワイヤー上に散布し、該金網抄紙ワイヤー上に紙層を形成させた。サクションボックスを用いて、この紙層を脱水し、乾燥時の坪量が30g/m2 になるように繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブは、該繊維ウエブ100部に基づき、上記セルロース繊維(B)95部、PET繊維5部を含有していた。
次いで、サクションボックスにより、上記繊維ウエブを乾燥繊維ウエブ100部に基づき水分率200部になるまで脱水し、引き続き、プレスパート直前で、脱水後の湿潤した上記繊維ウエブ上に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を散布坪量50g/m2 でほぼ均一に散布した。
上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリマーを散布した面に予め以下の配合で抄紙しておいた坪量70g/m2 の繊維集合体を重ね合わせ、かかる繊維ウエブと繊維集合体との重ね合わせ体をドライヤーに導入し、130℃の温度にて、乾燥、一体化することにより、図2に示す、内部に高吸収性ポリマーが固定されている一枚の吸収性シートを得た。これを吸収性シート(C)とする。なお、吸収性シート(C)においては、上記繊維ウエブと、上記繊維集合体における後述する拡散層とが接するように重ね合わせられている。
予め抄紙した繊維集合体は、透過層と拡散層とからなる複合吸収紙であり、下記の方法で製造した。
即ち、セルロース繊維(C)95部と、PET繊維5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第一の抄紙機を用いてワイヤー上に上記透過層を形成した。
上記透過層とは別に、セルロース繊維(C)70部と、親水性の微細繊維(F)25部と、PET繊維5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第二の抄紙機を用いてワイヤー上に上記拡散層を形成した。
上記拡散層及び上記透過層をそれぞれワイヤーから取り上げ、重ね合わせて、図5に示す複合吸収紙である繊維集合体を得た。なお、該繊維集合体は、全坪量が70g/m2 であり、上記拡散層及び上記透過層の坪量は、それぞれ35g/m2 である。該繊維集合体は、その透過層側では液体の透過性が高く、一方その拡散層側では液体の拡散性が高いという、液体の拡散勾配を有するものである。
【0164】
〔実施例4〕
吸収性シートの製造
表2に示す配合から、実施例1と同様の操作により吸収性シートを得た。これを吸収性シート(D)とする。
【0165】
〔比較例1〕
吸収性シートの製造
まず、以下の配合から、乾燥した繊維ウエブを製造した。
詳細には、セルロース繊維(D)を95部、PVA繊維を5部配合し、これらを水中に均一に分散させたスラリーを実施例3と同様の操作により抄紙して、坪量30g/m2 の乾燥した繊維ウエブを得た。
上記繊維ウエブの上に、該繊維ウエブ(乾燥)100部に基づき10部になるまで水を散布する。次いで、湿潤した上記繊維ウエブの上に高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を散布坪量50g/m2 でほぼ均一に散布した。
上記繊維ウエブのうち、上記高吸収性ポリマーを散布した面に予め以下の配合で抄紙しておいた坪量70g/m2 の繊維集合体を重ね合わせ、かかる繊維ウエブと繊維集合体との重ね合わせ体を、縦及び横方向に5mmの区間で仕切られた格子エンボスロールに通してエンボス圧着・一体化した後、130℃のドライヤーで乾燥し、全坪量150g/m2 の吸収性シートを得た。これを吸収性シート(E)とする。吸収性シート(E)における、高吸収性ポリマーを散布した時の繊維ウエブは、十分に湿潤した繊維ウエブの状態ではなく、パルプ繊維が互いに強く拘束されたものであり、しかも、上記繊維ウエブと上記繊維集合体との間に高吸収性ポリマーがエンボスにより圧着されたものである。なお、吸収性シート(E)においては、上記繊維ウエブと、上記繊維集合体における後述する拡散層とが接するように重ね合わせられている。
予め抄紙した繊維集合体は、透過層と拡散層とからなる複合吸収紙であり、下記の方法で製造した。
即ち、セルロース繊維(D)60部と、親水性の微細繊維(F)35部と、PVA繊維5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第一の抄紙機を用いてワイヤー上に拡散層を形成した。
上記拡散層とは別に、セルロース繊維(D)95部と、PVA繊維5部とをそれぞれ水中に分散混合し、第二の抄紙機を用いてワイヤー上に透過層を形成した。
上記拡散層及び上記透過層をそれぞれワイヤーから取り上げ、重ね合わせて、脱水・乾燥し、繊維集合体を得た。該繊維集合体は、嵩高性のセルロース繊維を含んでいないために拡散勾配は有していない。
なお、上記繊維集合体は、全坪量が70g/m2 であり、上記拡散層及び上記透過層の坪量は、それぞれ35g/m2 である。
【0166】
〔比較例2〕
吸収性シートの製造
エアーレイド法により形成した坪量45g/m2 のパルプシートの間に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を坪量50g/m2 になるように散布し、次いでケミカルバインダーでパルプを固定させた吸収性シートを製造した。この吸収性シートを吸収性シート(F)とする。
【0167】
〔比較例3〕
吸収性シートの製造
合成パルプ及び高吸収性ポリマーを含む乾式吸収性シートを製造した。
即ち、ポリエチレンの合成パルプ25部、及び化学パルプ75部からなるパルプシートをハンマーミルで解繊し、坪量100g/m2 の乾式吸収性シートを形成する際に、高吸収性ポリマー〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を50g/m2 になるように原料中に混合し、その後熱風処理により、ポリエチレン合成パルプを融着させ、一体化させた。この乾式吸収性シートは、全坪量150g/m2 であり、その表面にも高吸収性ポリマーが存在するものである。この吸収性シートを吸収性シート(G)とする。
なお、上記化学パルプは、嵩高でなく且つ微細でもない一般的なセルロース繊維(針葉樹クラフトパルプ)である。
【0168】
〔比較例4〕
吸収性シートの製造
表3に示す配合から、実施例1と同様の操作により吸収性シートを得た。これを吸収性シート(H)とする。
【0169】
実施例1〜4における吸収性シート(A)〜(D)及び比較例1〜4における吸収性シート(E)〜(H)の配合組成及び製造方法を表2及び表3に示す。
【0170】
【表2】
Figure 0003644737
【0171】
【表3】
Figure 0003644737
【0172】
実施例1〜4における吸収性シート(A)〜(D)及び比較例1〜4における吸収性シート(E)〜(H)について、高吸収性ポリマー固定化能及び吸収性能を評価するために、下記に示す方法によって厚み、高吸収性ポリマーの脱落試験、飽和吸収量、吸収速度、及び液戻り量を測定した。それぞれの結果を表4に示す。
【0173】
<厚み>
適当な大きさに切断した吸収性シートの上面に2.5g/cm2 の荷重をかけ、その厚みを測定した。計10点の平均値をとって、その厚みとした。
【0174】
<高吸収性ポリマーの脱落試験>
70×200mmに切り出した吸収性シートの重量を測定した後、これを長さ280mm×幅200mmのチャック付きのポリ袋に入れ、この状態で50回手で振りながら振動を与える。試験終了後、吸収性シートの重量変化を測定するとともに、ポリ袋中に脱落した高吸収性ポリマーが肉眼でよく観察できるよう、青色一号で染色した色水(0.3g/水100ml)をポリ袋中に加え、高吸収性ポリマーを膨潤させ、目視で脱落の程度を判定する。
○・・・高吸収性ポリマーの脱落が殆ど認められない。
△・・・高吸収性ポリマーの脱落が多少認められる。
×・・・高吸収性ポリマーの脱落がかなり認められる。
測定は10回の試験を行い、その平均値をもって脱落量とした。
【0175】
<飽和吸収量>
5cm角の吸収性シートを不織布で作製した袋に入れ、袋ごとイオン交換水に10分間浸漬した。袋をイオン交換水から取り出した後、空気中に1時間吊るし、付着している水を落とした後、重量を測定し、吸収性シート1g当たりの重量の増加分を飽和吸収量(g/g)とした。
【0176】
<吸収速度>
図13に示すように、15cm角の吸収性シート100の中央に、直径1cmの孔をあけた10cm角の透明なアクリル板20及び重り22を乗せ、吸収性シート100に5g/cm2 の荷重をかけた状態で、上記孔を通して生理食塩水20mlを注入し、生理食塩水の吸収に要する時間を吸収速度とした。なお、吸収速度の測定は2回行ったが、2回目の注入(再吸収速度)は1回目の測定から1分後に行った。
【0177】
<液戻り量の測定>
吸収速度を測定後、10分経過した吸収性シート上に、図14に示すように、15cm角の濾紙24(東洋濾紙TYPE2)を10枚重ね、更にその上に15cm角のアクリル板26と重り22を、50g/cm2 の荷重となる様に1分間かけ、その後濾紙24を取り出し、濾紙24に吸収された生理食塩水の重量を液戻り量とした。
【0178】
【表4】
Figure 0003644737
【0179】
〔実施例5〕
吸収性物品の作製
図8に示す構成の生理用ナプキンを製造した。
即ち、吸収性シート100として、長さ175mm、幅145mmの吸収性シート(A)を両側縁部が吸収体のほぼ中央で相対するようにC字状に折り曲げ圧縮し、幅73mmにした。この吸収性シート(A)を吸収体として使用した。
防漏層3として防水紙(湿式吸収紙にポリエチレンをラミネートした紙、長さ205mm、幅95mm)を用い、かかるポリラミ防水紙で、得られた吸収性シートの側面部及び底面部を被覆した。この吸収性シートとポリラミ防水紙との組み合わせ体の全ての面を後述する液体吸収可能な表面層1(長さ205mm、幅172mm)により被覆し、且つ固定剤6として用いたホットメルト粘着剤によってこれらの部材を固定した。更に上記表面材1の反対面側に坪量30g/m2 、幅20mm、長さ115mmのホットメルト粘着剤を粘着部4として2本塗工した。このようにして、図8に示す構成の生理用ナプキンを得た。
なお、上記表面層1としては、ポリエチレン開孔フィルムを用いた。この表面層1は、坪量30g/m2 のポリエチレンフィルムに開孔を施したものであり、一つの開孔径が0.5mmで開孔面積率として20%開孔しているものである。
【0180】
〔実施例6〜8〕
吸収性物品の作製
実施例5で用いた吸収性シート(A)の代わりに、吸収性シート(B)、(C)及び(D)をそれぞれ用いる以外は、実施例5と同様にして、図8に示す構成の生理用ナプキンを得た。
【0181】
〔比較例5〕
吸収性物品の作製
図15に示す構成の生理用ナプキンを製造した。
即ち、坪量300g/m2 で厚み4.5mmに調整した、長さ175mm、幅73mmのフラップパルプ2aの上に、少量の水を散布した後、高吸収性ポリマー2e〔日本触媒(株)製、アクアリックCAW-4 (商品名)〕を幅60mm、長さ175mmの面積に約0.53gほぼ均一に散布して散布坪量を坪量50g/m2 とした。この上に、坪量18g/m2 で長さ175mm、幅73mmの木材パルプからなる湿式吸収紙2bを重ね、これらの組合せ体の全ての面を、坪量18g/m2 で長さ175mm、幅130mmの木材パルプからなる湿式吸収紙2cで被覆して一体化した吸収層2を作製した。その後は、実施例5と同様にして図15に示す構成の生理用ナプキンを作製した。
【0182】
吸収性物品の作製
〔比較例6〜9〕
実施例5で用いた吸収性シート(A)の代わりに、吸収性シート(E)〜(H)をそれぞれ用いる以外は、実施例4と同様にして、図8に示す構成の生理用ナプキンを得た。
【0183】
実施例5〜8及び比較例5〜9における生理用ナプキンについて、ポリマー固定化能及び吸収性能を評価するため、下記に示す方法によってポリマー脱落試験、製品厚み、吸収時間、動的液戻り量、漏れ試験を各生理用ナプキンについて行った。それぞれの結果を下記表5に示す。
【0184】
<高吸収性ポリマーの脱落試験>
実施例5〜8及び比較例5〜9の生理用ナプキンの重量を測定した後、これを長さ280mm×幅200mmのチャック付きのポリ袋に入れ、この状態で50回手で振りながら振動を加える。試験終了後、生理用ナプキンの重量変化を測定するとともに、ポリ袋中に脱落した高吸収性ポリマーが肉眼でよく観察できるよう、青色一号で染色した色水(0.3g/水100ml)をポリ袋中に加え、高吸収性ポリマーを膨潤させ、目視で脱落の程度を判定する。
○・・・高吸収性ポリマーの脱落が殆ど認められない。
△・・・高吸収性ポリマーの脱落が多少認められる。
×・・・高吸収性ポリマーの脱落がかなり認められる。
測定は10回行い、その平均値をもって脱落量とする。
【0185】
<製品厚さの測定>
図16に示すが如く、生理用ナプキンを10枚重ね合わせ、その上方より重さ500gのアクリル板を載せて10枚分の厚さを測定し、1枚あたりの製品厚さを求めた。
【0186】
<吸収時間(5g)、再吸収時間(10g)、動的液戻り量の測定>
図13に示す吸収速度の測定装置を使用した。即ち、図13に示す吸収性シート100に代えて、実施例5〜8及び比較例5〜9で得られた生理用ナプキンを水平に置き、直径1cmの注入口のついたアクリル板20を載せ、この上に重り22を載せて生理用ナプキンに5g/cm2 の荷重がかかるようした。
次いで、注入口から脱繊維馬血〔日本バイオテスト研究所(株)製〕5gを注入し、脱繊維馬血が完全に吸収されるまでの吸収時間(秒)を求める。脱繊維馬血が完全に吸収されてから、20分間そのまま放置し、再び脱繊維馬血5gを注入し、再吸収時間(10g)を求め、同様に20分間放置した。
その後、坪量30g/m2 で長さ195mm、幅75mmの針葉樹クラフトパルプからなる吸収紙を10枚、生理用ナプキンの上面(肌当接面側)に置き、図17に示す可動式女性腰部モデル90に、図18に示すように生理用ナプキン80を装着したショーツをはかせた後、100秒/分(50m/分)の歩行速度で1分間歩行させた。
歩行終了後、生理用ナプキン80及び吸収紙10枚を取り出し、吸収紙に吸収された脱繊維馬血の重量を液戻り量(g)として求めた。各々5点について測定し、それぞれの平均値を求め、吸収時間、再吸収時間及び動的液戻り量とした。
【0187】
<漏れ試験(漏れ発生回数)>
実施例5〜8及び比較例5〜9で得られた生理用ナプキン80を、図18に示す如く、可動式女性腰部モデル90に装着させ、ショーツをはかせた後、100歩/分(50m/分)の歩行速度で10分間歩行させた。
次いで、歩行させながら、チューブ91によって脱繊維馬血を生理用ナプキン80に5g注入した後、同じ速度で20分間歩行させた時点(5g吸収)、及びその後更に脱繊維馬血5gを注入した後同じ速度で20分間歩行させた時点(10g吸収)、それぞれの時点でサンプル数10枚中のうち、漏れが発生した枚数を数えた。
【0188】
【表5】
Figure 0003644737
【0189】
表4及び表5に示す結果から明らかな様に、特定の吸収性シートを用いる本発明の吸収性物品は、従来の吸収性シート(水散布やエンボス一体化や接着剤による一体化で得られる吸収性シート)を有する吸収性物品に比べ、高吸収性ポリマーの固定性に優れ、且つ極薄の1mm以下の厚みの吸収性シートを用いた場合でも、吸収速度や液戻り量等の吸収特性に優れていることがわかる。また、比較例4に示すように、嵩高性のセルロース繊維を用いずに一般のセルロース繊維を用い、湿式抄紙プロセスで製造した吸収性シートは、高吸収性ポリマーの固定性には優れるものの、該吸収性シートを構成する繊維ウエブが密になってしまい高吸収性ポリマーの分散性に劣り、また繊維集合体も高密度になるので吸収性シートの吸収速度や液戻り性が悪くなってしまう。特に、比較例3で得られた吸収性シートを用いた吸収性物品においては、粘度の高い液体、例えば血液等を吸収する場合に、吸収速度や液戻り性の悪化が一層顕著であり、漏れ発生回数も多い。
また、本発明の吸収性物品は、非常に簡単な構成であるにも拘わらず、液体の吸収時間が速く、液戻り量も少なく、しかも、漏れ発生回数の少ない、極めて高性能なものである。これは、本発明の吸収性物品に使用される吸収性シートが、その単一の構造に液体の吸収拡散勾配を有しているが故に、液体を素早く吸収し、吸収性シート中をスムーズに液体が透過し、しかも、液体が十分に拡散することによるものである。
【0190】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、高吸収性ポリマーがシート内に確実に固定され、高吸収性ポリマーの脱落がほとんどなく、且つ高吸収性ポリマーのゲルブロッキングが起こり難い吸収性シートが得られる。該吸収性シートは、単一の構造中に液体の透過/拡散/保持という3つの機能を有し、吸収速度及び吸収力共に優れたものとなる。
【0191】
また、本発明の吸収性シートを製造するための好ましい方法によれば、従来の吸収性シートの製造方法に比して、製造プロセスが非常に高速化される。また、高吸収性ポリマーを固定するための複雑な加工プロセスが不要となり、製造プロセスが極めて簡略化される。
【0192】
また、上記製造方法によれば、高吸収性ポリマーを吸収性シートの全体に散布するのみでなく、長手方向に筋状に部分散布したり、或いは長手方向に間欠散布することもできるので、用途に応じて高吸収性ポリマーを散布する範囲を設定でき、より経済的に吸収性シートを製造できる。
【0193】
更に、本発明によれば、極めて薄いにもかかわらず、多量の高吸収性ポリマーが固定された極薄の吸収性物品を提供することができる。その上、該吸収性物品は、液体の吸収速度が高く、液戻り量が少なく、しかも漏れ発生数も少ないものである。特に、上記吸収性シートのみで吸収層を構成する場合には、1枚の吸収性シートのみをカットするだけで吸収性物品を製造することができ、極めて簡略な製造工程で吸収性物品を高速生産できる。また、上記吸収性シートは、一体化した構造を有しているので、該吸収性シートを具備する吸収性物品を着用して激しい運動等をした場合であっても高吸収性ポリマーが吸収性シートから分離して吸収性能が低下することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1吸収性シートの断面を示す模式図である。
【図2】本発明の第2吸収性シートの断面を示す模式図である。
【図3】本発明の第1吸収性シートを製造するために好ましく用いられる装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第2吸収性シートを製造するために好ましく用いられる装置を示す概略図である。
【図5】抄紙ワイヤー上に形成された繊維ウエブの断面を示す模式図である。
【図6】本発明の第1吸収性物品の第1の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図7】本発明の第1吸収性物品の第2の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図8】本発明の第1吸収性物品の第3の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図9】本発明の第1吸収性物品の第4の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図10】本発明の第1吸収性物品の第5の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図11】本発明の第1吸収性物品の第6の実施形態としての生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図12】従来の吸収性シートの断面を示す模式図である。
【図13】吸収時間の測定を表す模式図である。
【図14】液戻り量の測定を表す模式図である。
【図15】従来の生理用ナプキンの断面を示す概略図である。
【図16】生理用ナプキンの厚さの測定を表す模式図である。
【図17】可動式女性腰部モデルを表す図である。
【図18】可動式女性腰部モデルの股部に生理用ナプキンを装着した状態を表す模式図である。
【符号の説明】
100 第1吸収性シート
200 第2吸収性シート
300 第1吸収性物品
102、202 吸収表面
105、205 繊維集合体
106、206 高吸収性ポリマー
107、207 透過層
108、208 繊維ウエブ
109、209 拡散層

Claims (13)

  1. 少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、
    上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
    上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体としており、
    上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、且つ上記透過層側で上記繊維集合体に隣接しており、
    上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性シート。
  2. 少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートであって、
    上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
    上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、
    上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とし、且つ上記繊維集合体の拡散層に隣接しており、
    上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性シート。
  3. 上記高吸収性ポリマーが、上記繊維ウエブ中に含まれている、請求項1又は2記載の吸収性シート。
  4. 上記透過層が上記嵩高性のセルロース繊維50〜98重量部と熱溶融性接着繊維2〜50重量部とを含んでなり、上記拡散層が上記嵩高性のセルロース繊維20〜80重量部と、上記親水性の微細繊維80〜20重量部と、熱溶融性接着繊維0〜30重量部とを含んでなる、請求項1又は2記載の吸収性シート。
  5. 上記嵩高性のセルロース繊維の繊維断面の真円度が0.5〜1である、請求項1又は2記載の吸収性シート。
  6. 上記嵩高性のセルロース繊維が、架橋セルロース繊維である、請求項1、2又は5記載の吸収性シート。
  7. 上記親水性の微細繊維の繊維断面の真円度が0.5未満である、請求項1又は2記載の吸収性シート。
  8. 請求項1に記載の吸収性シートの製造方法であって、
    繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる湿潤した繊維ウエブにおける上記透過層上に高吸収性ポリマーを散布し、
    その上に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする繊維集合体を重ね合わせ、そして
    これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする吸収性シートの製造方法。
  9. 請求項2に記載の吸収性シートの製造方法であって、
    繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする湿潤した繊維ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、
    その上に、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接すると共に繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とからなる繊維集合体を、上記繊維ウエブと上記拡散層とが隣接するように重ね合わせ、そして
    これらを乾燥し、一体化する工程を含むことを特徴とする吸収性シートの製造方法。
  10. 上記繊維ウエブが、上記透過層と上記拡散層との漉き合わせにより抄造されたものである、請求項8又は9記載の方法。
  11. フォーミングパートで上記繊維ウエブを形成し、サクション脱水工程で該繊維ウエブを脱水し、プレスパート直前で該繊維ウエブ上に上記高吸収性ポリマーを散布すると共にその上に上記繊維集合体を重ね合わせ、次いで、ドライヤーでこれらを乾燥し一体化する工程を含む、請求項8又は9記載の方法。
  12. 液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
    上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートが含まれており、
    上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
    上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体としており、
    上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、且つ上記透過層側で上記繊維集合体に隣接しており、
    上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性物品。
  13. 液体吸収可能な表面層、液体保持性の吸収層及び液体不透過性の防漏層を有する吸収性物品において、
    上記表面層若しくは上記吸収層又は上記防漏層の上記吸収層側には、少なくとも高吸収性ポリマー、嵩高性のセルロース繊維及び親水性の微細繊維を含む吸収性シートが含まれており、
    上記吸収性シートは繊維集合体及び繊維ウエブから構成されていると共に、該繊維集合体と該繊維ウエブとは一体化しており、
    上記繊維集合体は、吸収表面を有すると共に該吸収表面側には上記高吸収性ポリマーを含まず、且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とする透過層と、該透過層に隣接し且つ繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維及び繊維粗度0.2mg/m未満の親水性の微細繊維を含む拡散層とから構成されており、
    上記繊維ウエブは、繊維粗度0.3mg/m以上の嵩高性のセルロース繊維を主体とし、且つ上記繊維集合体の拡散層に隣接しており、
    上記高吸収性ポリマーは、上記吸収性シートの内部に含まれていると共に該吸収性シートを構成する繊維に接着していることを特徴とする吸収性物品。
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