以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の参考例)図1は、本発明の主旨を理解するのに役立つ第1の参考例の電圧測定装置の構成を示す回路図である。
図1において、電圧測定装置は、フライングキャパシタ方式電圧測定装置として構成され、高圧電源11の電圧検出端子に接続されたマルチプレクサ12、単極性のコンデンサ13、サンプル電圧計測スイッチ14、I/F(インターフェース)回路15、電圧計測手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16、ダイオード17a,17b,18a,18bおよび補正手段としての補正回路19−1,19−2を含む。
高圧電源11は、直列接続されたN個(この形態では、たとえばN=5)の電圧源(たとえば、単電池)11a〜11eを含む。各電圧源11a〜11eは、(N+1)個(この形態では、たとえば6個)の電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続されている。
マルチプレクサ12は、各電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続された(N+1)個(この形態では、たとえば6個)の電圧サンプルスイッチ12a〜12fを含む。また、電圧サンプルスイッチ12a〜12fのうちの奇数番目の電圧サンプルスイッチ12a,12c,12eは、それぞれ、ダイオード17aを介して、コンデンサ13の一方の端子(たとえば、+端子)に接続されている。ダイオード17aは、電圧サンプルスイッチ12a,12c,12eからコンデンサ13へ導通する極性で、すなわち、そのアノードが各電圧サンプルスイッチ12a,12c,12e側にかつカソードがコンデンサ13側になるように接続されている。
また、奇数番目の電圧サンプルスイッチ12a,12c,12eは、それぞれ、ダイオード18aを介して、コンデンサ13の他方の端子(たとえば、−端子)に接続されている。ダイオード18aは、コンデンサ13から各電圧サンプルスイッチ12a,12c,12eへ導通する極性で、すなわち、そのアノードがコンデンサ13側にかつカソードが各電圧サンプルスイッチ12a,12c,12e側になるように接続されている。
また、電圧サンプルスイッチ12a〜12fのうちの偶数番目の電圧サンプルスイッチ12b,12d,12fは、それぞれ、ダイオード17bを介して、コンデンサ13の一方の端子(+端子)に接続されている。ダイオード17bは、電圧サンプルスイッチ12b,12d,12fからコンデンサ13へ導通する極性で、すなわち、そのアノードが各電圧サンプルスイッチ12b,12d,12f側にかつカソードがコンデンサ13側になるように接続されている。
また、偶数番目の電圧サンプルスイッチ12b,12d,12fは、それぞれ、ダイオード18bを介して、コンデンサ13の他方の端子(−端子)に接続されている。ダイオード18bは、コンデンサ13から電圧サンプルスイッチ12b,12d,12fへ導通する極性で、すなわち、そのアノードがコンデンサ13側にかつカソードが各電圧サンプルスイッチ12b,12d,12f側になるように接続されている。
サンプル電圧計測スイッチ14は、コンデンサ13の+端子に接続されたスイッチ14aと、コンデンサ13の−端子に接続されたスイッチ14bを含む。また、スイッチ14aおよび14bは、I/F回路15の入力側に接続されている。
I/F回路15は、抵抗15a〜15cから構成される分圧回路からなる。抵抗15aは、スイッチ14aとマイコン16の入力ポートA/D1の間に接続され、抵抗15bは、スイッチ14bと接地の間に接続され、抵抗15cは、抵抗15aおよび入力ポートA/D1の接続点と接地との間に接続されている。
マイコン16は、その電源ポートVccに電源+Vccからの電圧が供給され、入力ポートA/D2およびA/D3には、それぞれ、補正回路19−1および19−2が接続されている。補正回路19−1は、+Vcc電源に直列接続された抵抗19a−1とダイオード19b−1および19c−1とを含み、抵抗19a−1とダイオード19b−1の接続点がマイコン16の入力ポートA/D2に接続されている。同様に、補正回路19−2は、+Vcc電源に直列接続された抵抗19a−2とダイオード19b−2および19c−2とを含み、抵抗19a−2とダイオード19b−2の接続点がマイコン16の入力ポートA/D3に接続されている。
なお、ダイオードは、少なくとも2素子入りのダイオードアレイとしての多端子(この実施形態では4端子)パッケージ品を使用し、その1個を電圧測定ライン用とし、残りの1個を補正回路用とする。たとえば、ダイオード17aおよびダイオード19b−1の組み合わせ、ダイオード18bおよびダイオード19c−1の組み合わせ、ダイオード17bおよびダイオード19b−2の組み合わせ、ダイオード18aおよびダイオード19c−2の組み合わせを、それぞれ同一パッケージ品とする。
次に、上述の構成を有するフライングキャパシタ方式電圧測定装置の動作(測定手順)について説明する。まず、動作(測定手順)の概略を述べると、測定を行いたい電圧源の両端に接続されている電圧検出端子に対応する電圧サンプルスイッチを閉じることにより、コンデンサ13に当該電圧源の電圧が充電され、その後、閉じた電圧サンプルスイッチを開いた後、サンプル電圧計測スイッチを閉じることにより、高圧電源とその後段の測定処理側との絶縁状態を維持したまま、測定処理側すなわちマイコン16へ、電圧源の電圧を正確にかつ各電圧源の電圧をマルチプレックスした状態で伝えることができる。
以下、この装置の動作(測定手順)を詳述する。まず、マルチプレクサ12の電圧サンプルスイッチ12a〜12fおよびサンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14a,14bが全て開いている状態から電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを閉じると、電圧源11a、電圧検出端子T1、電圧サンプルスイッチ12a、ダイオード17a、コンデンサ13、ダイオード18b、電圧サンプルスイッチ12bおよび電圧検出端子T2により閉回路が形成される。それにより、電圧源11aの電圧Vaが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D(アナログ/デジタル)変換され、その値が、電圧源11aの電圧Vaを示すデジタル値として読み込まれる。
次に、図示しないリセットスイッチ等によってコンデンサ13に充電された電圧が充分に放電された後、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを閉じると、電圧源11b、電圧検出端子T2、電圧サンプルスイッチ12b、ダイオード17b、コンデンサ13、ダイオード18a、電圧サンプルスイッチ12cおよび電圧検出端子T3により閉回路が形成される。それにより、電圧源11bの電圧Vbが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D変換され、その値が電圧源11bの電圧Vbを示すデジタル値としてマイコン16で読み込まれる。
以下同様に、電圧サンプルスイッチ12cおよび12d、12dおよび12e、12eおよび12fの組み合わせにより、それぞれ、電圧源11c、11dおよび11eの各電圧Vc、VdおよびVeを示すデジタル値が、マイコン16で読み込まれる。
なお、上述の説明は、1個の電圧源の電圧を測定する場合について説明したが、この装置では、これに限らず、奇数番目の電圧サンプルスイッチのいずれかと偶数番目の電圧サンプルスイッチのいずれかとの2個の電圧サンプルスイッチの任意の組み合わせの開閉により、3個以上の奇数個の電圧源の直列接続状態での電圧を測定することもできる。たとえば、1番目の電圧サンプルスイッチ12aと4番目の電圧サンプルスイッチ12dの組み合わせにより、電圧検出端子T1とT4間の電圧、すなわち、3つの電圧源11a、11bおよび11cの直列電圧を測定することができる。また、たとえば、電圧サンプルスイッチの12bおよび12eの組み合わせにより、電圧検出端子T2とT5間の電圧、すなわち、3つの電圧源11b、11cおよび11dの直列電圧を測定することができる。
また、2つの電圧サンプルスイッチの組み合わせを閉じて閉回路が形成されたとき、2つのダイオード17aおよび18b、または17b及び18aの順方向電圧降下による電圧損失分が発生するが、この電圧損失分は、補正回路19−1および19−2で補正される。
すなわち、電圧測定のための閉回路にダイオード17aおよび18bが含まれる場合は、マイコン16は、入力ポートA/D1に供給され測定された電圧のデジタル値に対して、入力ポートA/D2に供給される、補正回路19−1の2つのダイオード19b−1および19c−1の順方向電圧降下に相当する電圧をA/D変換して読み込んだデジタル値で、上述の損失分を相殺するように補正を行う。この補正は、たとえば、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D2に供給された電圧を加算する演算をマイコン16で行うことによってなされる。
同様に、電圧測定のための閉回路にダイオード17bおよび18aが含まれる場合は、マイコン16は、入力ポートA/D1に供給され測定された電圧のデジタル値に対して、入力ポートA/D3に供給される、補正回路19−2の2つのダイオード19b−2および19c−2の順方向電圧降下に相当する電圧をA/D変換して読み込んだデジタル値で、上述の損失分を相殺するように補正を行う。この補正は、たとえば、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D3に供給された電圧を加算する演算をマイコン16で行うことによってなされる。
この第1の参考例では、ダイオード17aおよびダイオード19b−1の組み合わせ、ダイオード18bおよびダイオード19c−1の組み合わせ、ダイオード17bおよびダイオード19b−2の組み合わせ、ダイオード18aおよびダイオード19c−2の組み合わせは、それぞれ同一パッケージ品とされているので、製造上同一ロットばかりか、同一ウェハ上のしかも同一地点の素子となるため、ほぼ同じ特性を示し、かつ、周囲温度により変動する順方向電圧降下特性も、全く同じ影響を受けることになるため同じとなり、電圧損失分の理想的な補正が可能となり、電圧源の電圧の検出精度を向上させることができる。
前述の従来例では、測定する電圧源が直列接続の奇数番目か偶数番目かにより、コンデンサに充電される電圧の極性が反転するため、後段で信号処理を行うためには、極性切り替えスイッチを別に設けての極性補正、差動アンプ回路等を設けての絶対値変換を行う必要があり、コストがかかっていた。
この第1の参考例では、電圧サンプルスイッチに接続したダイオードの特性により、測定される電圧源に接続される2つの電圧サンプルスイッチに印加される電圧が高い方の電圧検出端子がコンデンサのプラス(+)側に、低い方がコンデンサのマイナス(−)側に自動的に接続されることになるため、コンデンサに単極性のものを使用できるため、従来の極性補正手段、差動アンプ回路等が不要になる。このため、コストダウンを実現しながら、従来の問題点を改善することができる。
(第2の参考例)次に、図2は、本発明の主旨を理解するのに役立つ第2の参考例の電圧測定装置の構成を示す回路図である。
図2において、電圧測定装置は、フライングキャパシタ方式電圧測定装置として構成され、高圧電源11の電圧検出端子に接続されたマルチプレクサ12、コンデンサ13、サンプル電圧計測スイッチ14、I/F(インターフェース)回路15、電圧計測手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16、ダイオード17a〜17f,18a〜18fおよび補正手段としての補正回路19を含む。
高圧電源11は、直列接続されたN個(この形態では、たとえばN=5)の電圧源(たとえば、単電池)11a〜11eを含む。各電圧源11a〜11eは、(N+1)個(この形態では、たとえば6個)の電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続されている。
マルチプレクサ12は、各電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続された(N+1)個(この形態では、たとえば6個)の電圧サンプルスイッチ12a〜12fを含む。また、電圧サンプルスイッチ12a〜12fは、それぞれ、(N+1)個(この形態では、たとえば6個)のダイオード17a〜17fを介して、コンデンサ13の一方の端子(たとえば、+端子)に接続されている。各ダイオード17a〜17fは、それぞれ、電圧サンプルスイッチ12a〜12fからコンデンサ13へ導通する極性で、すなわち、そのアノードが各電圧サンプルスイッチ12a〜12f側にかつカソードがコンデンサ13側になるように接続されている。
また、電圧サンプルスイッチ12a〜12fは、それぞれ、(N+1)個(この形態では、たとえば6個)のダイオード18a〜18fを介して、コンデンサ13の他方の端子(たとえば、−端子)に接続されている。各ダイオード18a〜18fは、それぞれ、コンデンサ13から電圧サンプルスイッチ12a〜12fへ導通する極性で、すなわち、そのアノードがコンデンサ13側にかつカソードが各電圧サンプルスイッチ12a〜12f側になるように接続されている。
サンプル電圧計測スイッチ14は、コンデンサ13の+端子に接続されたスイッチ14aと、コンデンサ13の−端子に接続されたスイッチ14bを含む。また、スイッチ14aおよび14bは、I/F回路15の入力側に接続されている。
I/F回路15は、抵抗15a〜15cから構成される分圧回路からなる。抵抗15aは、スイッチ14aとマイコン16の入力ポートA/D1の間に接続され、抵抗15bは、スイッチ14bと接地の間に接続され、抵抗15cは、抵抗15aおよび入力ポートA/D1の接続点と接地との間に接続されている。
マイコン16は、その電源ポートVccに電源+Vccからの電圧が供給され、入力ポートA/D2には、補正回路19が接続されている。補正回路19は、+Vcc電源に直列接続された抵抗19aとダイオード19bおよび19cとを含み、抵抗19aとダイオード19bの接続点がマイコン16の入力ポートA/D2に接続されている。
次に、上述の構成を有するフライングキャパシタ方式電圧測定装置の動作(測定手順)について詳述する。まず、マルチプレクサ12の電圧サンプルスイッチ12a〜12fおよびサンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14a,14bが全て開いている状態から電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを閉じると、電圧源11a、電圧検出端子T1、電圧サンプルスイッチ12a、ダイオード17a、コンデンサ13、ダイオード18b、電圧サンプルスイッチ12bおよび電圧検出端子T2により閉回路が形成される。それにより、電圧源11aの電圧Vaが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D変換され、その値が、電圧源11aの電圧Vaを示すデジタル値として読み込まれる。
次に、図示しないリセットスイッチ等によってコンデンサ13に充電された電圧が充分に放電された後、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを閉じると、電圧源11b、電圧検出端子T2、電圧サンプルスイッチ12b、ダイオード17b、コンデンサ13、ダイオード18c、電圧サンプルスイッチ12cおよび電圧検出端子T3により閉回路が形成される。それにより、電圧源11bの電圧Vbが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D(アナログ/デジタル)変換され、その値が電圧源11bの電圧Vbを示すデジタル値としてマイコン16で読み込まれる。
以下同様に、電圧サンプルスイッチ12cおよび12d、12dと12e、12eおよび12fの組み合わせにより、それぞれ、電圧源11c、11dおよび11eの各電圧Vc、VdおよびVeを示すデジタル値が、マイコン16で読み込まれる。
なお、上述の説明は、1個の電圧源の電圧を測定する場合について説明したが、この装置では、これに限らず、2個の電圧サンプルスイッチの任意の組み合わせの開閉により、2個以上の電圧源の直列接続状態での電圧を測定することもできる。たとえば、電圧サンプルスイッチ12aおよび12cの組み合わせにより、電圧検出端子T1とT3間の電圧、すなわち、2つの電圧源11aおよび11bの直列電圧を測定することができる。また、たとえば、電圧サンプルスイッチの12bおよび12fの組み合わせにより、電圧検出端子T2とT6間の電圧、すなわち、電圧源11bから11eまでの直列電圧を測定することができる。
したがって、この第2の参考例では、電圧検出端子の奇数番目と偶数番目間の電圧測定に限らず、奇数番目−奇数番目間や、偶数番目−偶数番目間の電圧測定も可能となる。
また、2つの電圧サンプルスイッチの組み合わせを閉じて閉回路が形成されたとき、閉回路中に挿入される2つのダイオードの順方向電圧降下による電圧損失分が発生するが、この電圧損失分は、補正回路19で補正される。
すなわち、この補正回路19により、マイコン16は、入力ポートA/D1に供給され測定された電圧のデジタル値に対して、入力ポートA/D2に供給される、補正回路19の2つのダイオード19bおよび19cの順方向電圧降下に相当する電圧をA/D変換して読み込んだデジタル値で、上述の損失分を相殺するように補正を行う。この補正は、たとえば、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D2に供給された電圧を加算する演算をマイコン16で行うことによってなされる。
このように、第2の参考例においても、従来の極性補正手段、差動アンプ回路等が不要になる。このため、コストダウンを実現しながら、従来の問題点を改善することができる。
また、第2の参考例による付加価値として、従来方式では実現できなかった新機能として、電圧源接続部の劣化状態判定機能と、電圧サンプルスイッチのショート故障発生時の安全性向上機能(二次故障の誘発防止機能)も実現可能となり、以下に説明する。
(電圧源接続部の劣化状態判定機能)図3は、第2の参考例の電圧測定装置による電圧源接続部の劣化状態判定機能を実行する劣化判定方法を説明する図である。第2の参考例では、電圧検出端子の奇数番目−奇数番目間や偶数番目−偶数番目間の電圧測定も可能となるため、任意の2つの電圧源間の接続部の劣化状態を監視することができる。
たとえば、奇数番目の電圧検出端子T1および偶数番目の電圧検出端子T2間の電圧(すなわち、奇数番目の電圧源11aの電圧Va)と、偶数番目の電圧検出端子T2および奇数番目の電圧検出端子T3間の電圧(すなわち、偶数番目の電圧源11bの電圧Vb)を、それぞれ、上述の測定手順により測定した後、奇数番目の電圧検出端子T1と奇数番目の電圧検出端子T3間の電圧(Vtとする)を、同様に上述の測定手順により測定し、CPU16で、この個別に測定した電圧Vtと、電圧Vaおよび電圧Vbの和(Va+Vb)との差分{Vt−(Va+Vb)}を求めることにより、差分の大きさに応じて電圧源11aと電圧源11bの接続部Pの劣化状態を判定することができ、たとえば、その差分がなければ、接続部Pの劣化なしと判定し、差分が大きければ、劣化が大きいと判定することができる。
(電圧サンプルスイッチのショート故障発生時の安全性向上機能(二次故障の誘発防止機能))図4は、第2の参考例の電圧測定装置による電圧サンプルスイッチのショート故障発生時の安全性向上機能(二次故障の誘発防止機能)を説明する図である。第2の参考例の電圧測定装置では、任意の電圧サンプルスイッチのショート故障時に二次故障の誘発防止をすることができる。
たとえば、電圧源11aに接続された電圧検出端子T1に対応する電圧サンプルスイッチ12aにショート故障が発生した場合に、電圧源11bの電圧を測定すべく、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを閉じたとき、図8の従来装置では同様のショート故障が発生した場合電圧源がショート状態となって回路が破壊してしまうが、第2の参考例の電圧測定装置では、電圧サンプルスイッチ12a、12bおよび12cが閉じたことによって形成される閉回路は必ずコンデンサ13を通るので、マイコン16で読み込まれる測定電圧が異常となるだけで、二次故障は誘発せず、かつ読み込まれる異常電圧値から、ショート故障が発生している電圧サンプルスイッチを自ら検出することができる。
このように、第2の参考例によれば、従来装置で必要としていた測定処理側の極性補正手段等が不要となるため、コストダウンが可能である。また、電圧サンプルスイッチのショート故障時も二次故障は発生しないので、安全性が向上する。また、電圧サンプルスイッチの故障検出が可能となる。また、コンデンサに単極性のものを使用できるため、コストダウン、設計の自由度拡大が可能となる。さらに、奇数−偶数電圧源間の接続部の劣化状態もモニタ可能となる。
(本発明の実施形態)次に、図5は、本発明の実施形態に係る電圧測定装置の構成を示す回路図である。概略すると、この実施形態の構成は、図2に示す第2の参考例と同じであるが、ダイオード18aおよび17fが削除されている点と、補正回路の構成が異なる点が相違している。
図5において、電圧測定装置は、フライングキャパシタ方式電圧測定装置として構成され、高圧電源11の電圧検出端子に接続されたマルチプレクサ12、コンデンサ13、サンプル電圧計測スイッチ14、I/F(インターフェース)回路15、電圧計測手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16、ダイオード17a〜17e,18b〜18fおよび補正手段としての補正回路19−1〜19−5を含む。
高圧電源11は、直列接続されたN個(この形態では、たとえばN=5)の電圧源(たとえば、単電池)11a〜11eを含む。各電圧源11a〜11eは、(N+1)個(こ
の形態では、たとえば6個)の電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続されている。
マルチプレクサ12は、各電圧検出端子T1〜T6にそれぞれ接続された(N+1)個(この形態では、たとえば6個)の電圧サンプルスイッチ12a〜12fを含む。また、1番目から5番目までの電圧サンプルスイッチ12a〜12eは、それぞれ、5個のダイオード17a〜17eを介して、コンデンサ13の一方の端子(たとえば、+端子)に接続されている。各ダイオード17a〜17eは、それぞれ、電圧サンプルスイッチ12a〜12eからコンデンサ13へ導通する極性で、すなわち、そのアノードが各電圧サンプルスイッチ12a〜12e側にかつカソードがコンデンサ13側になるように接続されている。
また、2番目から6番目までの電圧サンプルスイッチ12b〜12fは、それぞれ、5個のダイオード18b〜18fを介して、コンデンサ13の他方の端子(たとえば、−端子)に接続されている。各ダイオード18b〜18fは、それぞれ、コンデンサ13から電圧サンプルスイッチ12b〜12fへ導通する極性で、すなわち、そのアノードがコンデンサ13側にかつカソードが各電圧サンプルスイッチ12b〜12f側になるように接続されている。
サンプル電圧計測スイッチ14は、コンデンサ13の+端子に接続されたスイッチ14aと、コンデンサ13の−端子に接続されたスイッチ14bを含む。また、スイッチ14aおよび14bは、I/F回路15の入力側に接続されている。
I/F回路15は、抵抗15a〜15cから構成される分圧回路からなる。抵抗15aは、スイッチ14aとマイコン16の入力ポートA/D1の間に接続され、抵抗15bは、スイッチ14bと接地の間に接続され、抵抗15cは、抵抗15aおよび入力ポートA/D1の接続点と接地との間に接続されている。
マイコン16は、その電源ポートVccに電源+Vccからの電圧が供給され、入力ポートA/D2〜A/D6には、それぞれ、補正回路19−1〜19−5が接続されている。補正回路19−1は、+Vcc電源に直列接続された抵抗19a−1とダイオード19b−1および19c−1とを含み、抵抗19a−1とダイオード19b−1の接続点がマイコン16の入力ポートA/D2に接続されている。同様に、補正回路19−5は、+Vcc電源に直列接続された抵抗19a−5とダイオード19b−5および19c−5とを含み、抵抗19a−5とダイオード19b−5の接続点がマイコン16の入力ポートA/D6に接続されている。(なお、入力ポートA/D3〜A/D5にも、それぞれ、同様の構成の補正回路19−2〜19−4が接続されているが、ここでは図示していない。)
なお、ダイオードは2素子入り4端子パッケージ品を使用し、その1個を電圧測定ライン用とし、残りの1個を補正回路用とする。たとえば、ダイオード17aおよびダイオード19b−1の組み合わせ、ダイオード18bおよびダイオード19c−1の組み合わせ、ダイオード17eおよびダイオード19b−5の組み合わせ、ダイオード18fおよびダイオード19c−5の組み合わせを、それぞれ同一パッケージ品とする。(なお、図示していない補正回路19−2〜19−4におけるダイオードも、前述と同様の組み合わせ方による同一パッケージ品とされる。)
次に、上述の構成を有するフライングキャパシタ方式電圧測定装置の動作(測定手順)について詳述する。まず、マルチプレクサ12の電圧サンプルスイッチ12a〜12fおよびサンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14a,14bが全て開いている状態から電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを閉じると、電圧源11a、電圧検出端子T1、電圧サンプルスイッチ12a、ダイオード17a、コンデンサ13、ダイオード18b、電圧サンプルスイッチ12bおよび電圧検出端子T2により閉回路が形成される。それにより、電圧源11aの電圧Vaが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D変換され、その値が、電圧源11aの電圧Vaを示すデジタル値として読み込まれる。
次に、図示しないリセットスイッチ等によってコンデンサ13に充電された電圧が充分に放電された後、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを閉じると、電圧源11b、電圧検出端子T2、電圧サンプルスイッチ12b、ダイオード17b、コンデンサ13、ダイオード18c、電圧サンプルスイッチ12cおよび電圧検出端子T3により閉回路が形成される。それにより、電圧源11bの電圧Vbが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを開いて、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bを所定期間閉じ、コンデンサ13の両端電圧をサンプル電圧計測スイッチ14およびI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D(アナログ/デジタル)変換され、その値が電圧源11bの電圧Vbを示すデジタル値としてマイコン16で読み込まれる。
以下同様に、電圧サンプルスイッチ12cおよび12d、12dと12e、12eおよび12fの組み合わせにより、それぞれ、電圧源11c、11dおよび11eの各電圧Vc、VdおよびVeを示すデジタル値が、マイコン16で読み込まれる。
なお、上述の説明は、1個の電圧源の電圧を測定する場合について説明したが、この装置では、これに限らず、2個の電圧サンプルスイッチの任意の組み合わせの開閉により、2個以上の電圧源の直列接続状態での電圧を測定することもできる。したがって、この第3の実施形態では、電圧検出端子の奇数番目と偶数番目間の電圧測定に限らず、奇数番目−奇数番目間や、偶数番目−偶数番目間の電圧測定も可能となる。
また、2つの電圧サンプルスイッチの組み合わせを閉じて閉回路が形成されたとき、閉回路中に挿入される2つのダイオードの順方向電圧降下による電圧損失分が発生するが、この電圧損失分は、補正回路19−1〜19−5で補正される。
すなわち、電圧測定のための閉回路にダイオード17aおよび18bが含まれる場合は、マイコン16は、入力ポートA/D1に供給され測定された電圧のデジタル値に対して、入力ポートA/D2に供給される、補正回路19−1の2つのダイオード19b−1および19c−1の順方向電圧降下に相当する電圧をA/D変換して読み込んだデジタル値で、上述の損失分を相殺するように補正を行う。この補正は、たとえば、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D2に供給された電圧を加算する演算をマイコン16で行うことによってなされる。
同様に、電圧測定のための閉回路にダイオード17eおよび18fが含まれる場合は、マイコン16は、入力ポートA/D1に供給され測定された電圧のデジタル値に対して、入力ポートA/D6に供給される、補正回路19−5の2つのダイオード19b−5および19c−5の順方向電圧降下に相当する電圧をA/D変換して読み込んだデジタル値で、上述の損失分を相殺するように補正を行う。この補正は、たとえば、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D6に供給された電圧を加算する演算をマイコン16で行うことによってなされる。
この実施形態では、ダイオード17aおよびダイオード19b−1の組み合わせ、ダイオード18bおよびダイオード19c−1の組み合わせ、ダイオード17eおよびダイオード19b−5の組み合わせ、ダイオード18fおよびダイオード19c−5の組み合わせ等が、それぞれ同一パッケージ品とされているので、製造上同一ロットばかりか、同一ウェハ上のしかも同一地点の素子となるため、ほぼ同じ特性を示し、かつ、周囲温度により変動する順方向電圧降下特性も、全く同じ影響を受けることになるため同じとなり、電圧損失分の理想的な補正が可能となり、電圧源の電圧の検出精度を向上させることができる。
このように、本発明の実施形態においても、従来の極性補正手段、差動アンプ回路等が不要になる。このため、コストダウンを実現しながら、従来の問題点を改善することができる。また、本発明の実施形態では、第2の参考例と同様に、電圧源接続部の劣化状態判定機能と、電圧サンプルスイッチのショート故障発生時の安全性向上機能(二次故障の誘発防止機能)も実現可能である。
このように、本発明の実施形態によれば、従来装置で必要としていた測定処理側の極性補正手段等が不要となるため、コストダウンが可能である。また、電圧サンプルスイッチのショート故障時も二次故障は発生しないので、安全性が向上する。また、電圧サンプルスイッチの故障検出が可能となる。また、コンデンサに単極性のものを使用できるため、コストダウン、設計の自由度拡大が可能となる。さらに、奇数−偶数電圧源間の接続部の劣化状態もモニタ可能となる。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
たとえば、上述の実施形態では、マルチプレクサ12の各電圧サンプルスイッチ12a〜12fと、サンプル電圧計測スイッチ14のスイッチ14aおよび14bとの開閉は、CPU16の制御により自動的に適宜なタイミングで行われるが、これに代えて手動で開閉しても良い。
また、上述の実施形態では、2個のダイオードの順方向電圧降下による電圧損失分が測定結果に影響を及ぼすような高い検出精度が求められる場合に、補正回路19を入力ポートA/D2に接続することによって補正しているが、他の実施例として補正回路19を接続することなく、マイコン16で入力ポートA/D1に供給された電圧値を算出する際、予め上述の損失分を見込んでおくようにしても良い。
また、上述の第1の参考例では、2つのダイオード17aおよび18b、または17b及び18aの順方向電圧降下による電圧損失分が、補正回路19−1および19−2で
補正され、この補正は、マイコン16で入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D2またはA/D3に供給された電圧とを加算する演算をすることによって行われるが、この加算に起因してA/D変換誤差自体も加算されて微小誤差が発生するという懸念がある場合には、図6の変形例に示すように、マイコン16の入力ポートA/D4に、上述の微小誤差を相殺して補正する補正回路20を追加的に接続することができる。補正回路20は、同一抵抗値の抵抗20aおよび20bを+Vcc電源に直列接続し手構成され、その直列接続点が入力ポートA/D4に接続される。補正回路20による補正は、マイコン16で、入力ポートA/D1に供給された電圧と入力ポートA/D2またはA/D3に供給された電圧とを加算し、さらに、加算結果から入力ポートA/D4に供給された電圧を減算することにより行われる。それにより、マイコン16の入力ポートのA/D変換部分自体のデバイス間誤差(A/D変換理論値に対して、実環境で実際に使用している時のそのA/D変換部の量子化誤差、オフセット誤差等の誤差要因)に伴う誤差要因をも補正できるため、より検出精度を向上させることができる。
また、上述の参考例及び実施形態の測定装置は、いずれもフライングキャパシタ方式電圧測定装置として構成されているが、変形例として、直接計測方式電圧測定装置として構成することもできる。
図7は、第1の参考例の変形例としての直接計測方式電圧測定装置の構成を示す回路図である。図7の直接計測方式電圧測定装置は、上述の図1の回路においてサンプル電圧計測スイッチ14を削除して構成されている。
次に、上述の構成を有する直接計測方式電圧測定装置の動作(測定手順)について説明する。まず、動作(測定手順)の概略を述べると、測定を行いたい電圧源の両端に接続されている電圧検出端子に対応する電圧サンプルスイッチを閉じることにより、コンデンサ13に当該電圧源の電圧を充電し、その後、閉じた電圧サンプルスイッチを開いて、I/F回路15からの分圧電圧を測定処理側すなわちマイコン16へ、電圧源の電圧を正確にかつ各電圧源の電圧をマルチプレックスした状態で伝えることができる。
以下、この装置の動作(測定手順)を詳述する。まず、マルチプレクサ12の電圧サンプルスイッチ12a〜12fが全て開いている状態から電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを閉じると、電圧源11a、電圧検出端子T1、電圧サンプルスイッチ12a、ダイオード17a、コンデンサ13、ダイオード18b、電圧サンプルスイッチ12bおよび電圧検出端子T2により閉回路が形成される。それにより、電圧源11aの電圧Vaが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12aおよび12bを開いて、コンデンサ13の両端電圧をI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D(アナログ/デジタル)変換され、その値が、電圧源11aの電圧Vaを示すデジタル値として読み込まれる。
次に、図示しないリセットスイッチ等によってコンデンサ13に充電された電圧が充分に放電された後、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを閉じると、電圧源11b、電圧検出端子T2、電圧サンプルスイッチ12b、ダイオード17b、コンデンサ13、ダイオード18a、電圧サンプルスイッチ12cおよび電圧検出端子T3により閉回路が形成される。それにより、電圧源11bの電圧Vbが、コンデンサ13に充電される。
次に、電圧サンプルスイッチ12bおよび12cを開いて、コンデンサ13の両端電圧をI/F回路15を介して、マイコン16の入力ポートA/D1に供給する。それにより、供給された両端電圧はA/D変換され、その値が電圧源11bの電圧Vbを示すデジタル値としてマイコン16で読み込まれる。
以下同様に、電圧サンプルスイッチ12cおよび12d、12dおよび12e、12eおよび12fの組み合わせにより、それぞれ、電圧源11c、11dおよび11eの各電圧Vc、VdおよびVeを示すデジタル値が、マイコン16で読み込まれる。
なお、上述の直接計測方式電圧測定装置では、I/F回路15の構成を分圧回路で構成しているが、これに代えて、差動増幅回路の構成とし、±差動増幅電位をマイコン16の入力ポートA/D1に入力するようにしても良い。
以上のように、直接計測方式電圧測定装置では、マイコン16におけるA/Dフルスケールでの奇数番目の電圧源、偶数番目の電圧源の電圧の測定が可能となる。
なお、図2および図5に示す第2の参考例及び本発明の実施形態に係るフライングキャパシタ方式電圧測定装置の構成を、同様に、直接計測方式電圧測定装置の構成に変更することも可能である。