JP4571242B2 - ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びそれをコードするdna - Google Patents

ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びそれをコードするdna Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼ(グリコサミノグリカン硫酸基転移酵素)のポリペプチド、及びそれをコードするDNAに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンドロイチン硫酸は、代表的な硫酸化ムコ多糖(グリコサミノグリカン)である。コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)は軟骨に豊富に存在し、軟骨細胞(chondrocyte)の表現型の発現および維持に寄与していると考えられている(Tsukahara, T., Okamura, M., Suzuki, S., Iwata, H., Miura, T., and Kimata, K. (1991) J. Cell Sci. 100, 387-395)。CSPGは、また軟骨以外のさまざまな組織中に存在しており、細胞間相互作用に重要な役割を果たしていると考えられる(Kjellen, L., and Lindahl, U. (1991) Annu. Rev. Biochem. 60, 443-475)。
【0003】
ほ乳類や鳥類の組織に見られる主要なコンドロイチン硫酸は、アセチルガラクトサミン残基の6位または4位に硫酸基を有している。6−硫酸化/4−硫酸化の割合については、次のような知見が得られている。▲1▼軟骨の最終分化に伴い、コンドロイチン6−硫酸/コンドロイチン4−硫酸の比(6/4比)が増加する。▲2▼ラットの皮膚においては、出生後の日齢とともにCSPGで6/4比が減少する。▲3▼アテローム性動脈硬化症に抵抗性と感受性のハトの品種から得られた各々の動脈平滑筋細胞を比較した結果、CSPG、デルマタン硫酸プロテオグリカン(DSPG)いずれにおいても抵抗性品種ではコンドロイチン4−硫酸が主成分であるが、感受性品種ではコンドロイチン6−硫酸が主である。▲4▼単球性白血病細胞(M1)において、培養条件を細胞増殖、高密度での増殖阻害、マクロファージへの分化誘導が起きる条件へと変化させてみると、増殖、増殖阻害、分化誘導と変化するにつれてCSPGにおける6/4比が減少し、分化誘導状態ではほとんどコンドロイチン4−硫酸が合成される。▲5▼ヒト正常結腸組織とヒト結腸癌組織を比較した結果、癌組織のPGでは正常組織に比べてコンドロイチン6−硫酸とコンドロイチンが増加する。▲6▼マウス骨芽細胞において、石灰化が起きる前後で比較した結果、石灰化後は石灰化前に比べてDSPGの6/4比が減少する。
▲7▼サル動脈平滑筋細胞の培養培地に血小板由来増殖因子(PDGF)を添加すると、バーシカン様CSPGにおける6/4比がPDGF無添加の対照よりも増加する(グリコバイオロジーシリーズ▲1▼ 糖鎖の多様な世界 講談社 第164、166頁)。
【0004】
またコンドロイチン硫酸においては、1つの繰り返し2糖単位あたり2つの硫酸基の存在も報告されている。例えば、GlcAβ1→3GalNAc(4,6-bisS)は、継代培養したニワトリ胚軟骨細胞、マウス脾臓細胞を培養して得たコンディションドメディウム添加培地で培養することにより骨髄細胞から分化したマウス肥満細胞、ラット糸球体、器官培養したヒト結腸粘膜の培養液、ラット漿膜肥満細胞、ヒト肺肥満細胞の分泌顆粒、ホルボールミリステートアセテートで活性化されたヒト単球および単球由来のマクロファージ、マウス骨芽細胞、ラット糸球体脈管膜細胞、ナマコ体壁から見つかっている。また非還元末端GalNAc(4,6-bisS)が、ニワトリ胚骨端軟骨およびラット剣状突起軟骨、ニワトリ胚軟骨細胞を培養したときの細胞層から、また非還元末端GalNAc(4,6-bisS)β1→4GlcAβ1→3GalNAc(4,6-bisS)が、ウサギ肺から抽出精製したトロンボモジュリンから見つかっている。さらに、GlcA(2S)-GalNAc(6S)は、マウスリンパ節由来の肥満細胞から見つかっている(グリコバイオロジーシリーズ▲1▼ 糖鎖の多様な世界 講談社 第166頁)。
【0005】
このようなコンドロイチン硫酸の硫酸化のパターンの多様性は、コンドロイチン硫酸の機能の分子的な基盤を反映していると思われる。また、コンドロイチン硫酸の生理活性発現には、硫酸化が重要な役割を果たしていると考えられる。コンドロイチン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、コンドロイチン硫酸の特異的な部位を硫酸化する方法は、コンドロイチン硫酸の生理活性の解析や機能改変に必須であると考えられる。グリコサミノグリカンの糖残基の特異的な部位の硫酸化は、その部位に特異的なスルホトランスフェラーゼにより触媒される。
【0006】
グリコサミノグリカンのスルホトランスフェラーゼ遺伝子がクローニングされれば、受容体の基質特異性についての情報が得られ、グリコサミノグリカンの構造-機能関係の研究に有用なアプローチを提供すると思われる。グリコサミノグリカンの合成には、さまざまなグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼが関与しているようである。しかしながら、スルホトランスフェラーゼのcDNAのクローニングは困難なものであり、ラットの肝臓、ヘパリン産生細胞系(cell line)、及びマウスの肥満細胞腫からのN-スルホトランスフェラーゼ/N-デアセチラーゼのcDNAがクローニングされているのみである。
【0007】
本発明者らは、既に3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸からコンドロイチン等のグリコサミノグリカンのN-アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移するコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ(以下「C6ST」と略記することもある)を、無血清培地で培養したニワトリの軟骨細胞の培養上清から見かけ上均一に精製した(Habuchi, O., Matsui, Y., Kotoya, Y., Aoyama, Y., Yasuda, Y., and Noda, M. (1993) J. Biol. Chem. 268, 21968-21974)。更に、その部分アミノ酸配列よりオリゴヌクレオチドプライマーを作成し、ニワトリのcDNAをクローニングし、そのDNAから得られたポリペプチドがC6ST活性を発現することも証明した。また、該酵素が、ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位にも硫酸基を転移する活性も有することを見い出した(Fukuta, M., Uchimura. K.,Nakashima, K., Kato, M., Kimata, K., Shinomura, T., and Habuchi, O. (1995) J. Biol. Chem. 270, 18575-18580)。
【0008】
しかし、医薬品への応用が期待できるヒト由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼのポリペプチドをコードするDNAについては、いまだ知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
コンドロイチン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、コンドロイチン硫酸に硫酸基を転移する酵素は、コンドロイチン硫酸の機能解析の研究のみならず、ヒトに好ましい生理活性を有する医薬品の創造を目的としたコンドロイチン硫酸を提供するためにも非常に重要である。さらに、ヒト由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ(C6ST)のポリペプチドやそれをコードするDNAが得られれば、コンドロイチン硫酸のN−アセチルガラクトサミン残基の6位低硫酸化(本明細書中で、「低硫酸化」とは硫酸化度が低いことを意味する)、及びケラタン硫酸のガラクトース残基の6位低硫酸化等に起因するヒトの疾患に対する、遺伝子治療を含む医薬あるいは診断薬としての利用が期待される。
【0010】
すなわち本発明が解決しようとする課題は、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びその部分ポリペプチド、並びにヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼの少なくとも一部をコードするDNAを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ニワトリ由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼをコードするcDNAをクローニングし、該cDNAに由来する断片を用いて、ヒトのcDNAライブラリーより該酵素をコードするcDNAのクローニングに成功し、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びその部分ポリペプチド(以下、まとめて「本発明ポリペプチド」ともいう)、並びにヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼの少なくとも一部をコードするDNA(以下、「本発明DNA」ともいう)を提供するに至った。
【0012】
本発明ポリペプチドは、下記の理化学的性質を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含む。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
【0013】
▲2▼ 基質特異性:
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
【0014】
▲3▼分子量:
約50000〜55000ダルトン
【0015】
また、本発明ポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基及び/またはガラクトース残基に転移する活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を有していてもよいヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含む。好ましくは、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有するヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドである。
【0016】
さらに、本発明ポリペプチドは、上記のポリペプチドの部分を含むポリペプチドを含む。
本発明DNAは、上記グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードするDNAである。好ましくは、配列番号2においてアミノ酸番号1〜479またはアミノ酸番号20〜479で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、さらに好ましくは、配列番号1に示す塩基配列の少なくとも一部またはすべてを有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、本発明ポリペプチド、本発明DNAの順に詳細に説明する。
<1>本発明ポリペプチド
本発明ポリペプチドは、下記の理化学的性質を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含む。
【0018】
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
【0019】
▲2▼ 基質特異性:
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
【0020】
▲3▼分子量:
約50000〜55000ダルトン
【0021】
なお、上記硫酸基供与体としては3’−ホスホアデノシン 5’−ホスホ硫酸が好ましい。
また、本発明ポリペプチドはII型膜タンパク質であることが好ましい。
【0022】
上記の分子量は、アミノ酸配列から計算した、ポリペプチドの推定分子量である。この酵素は天然では糖タンパク質であると予想され、糖鎖の付加により上記分子量よりも分子量が増加すると考えられる。
【0023】
また、II型膜タンパク質とは、アミノ末端側に疎水性の膜貫通ドメインがあり、カルボキシル末端側がゴルジ膜内腔に突き出された形状で生合成されるタンパク質を意味する。
【0024】
好ましくは、上記▲1▼〜▲4▼の理化学的性質に加え、さらにアミノ酸残基が460〜479残基である。
また、本発明のポリペプチドは、上記の理化学的性質▲2▼の基質特異性において、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位のみでなく、4位にも硫酸基を転移する活性を持ち、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する活性(C6ST活性)と、4位に硫酸基を転移する活性(C4ST活性)との比の値(C6ST活性/C4ST活性)は、15〜20程度である。
【0025】
さらに、本発明ポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を有していてもよいヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含む。好ましくは、アミノ酸残基の置換、欠失または挿入を含まない、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有するヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドである。
【0026】
このようなアミノ酸残基の置換、欠失または挿入は、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部をコードするDNAに1つ又は2以上のアミノ酸残基の置換、欠失又は挿入を起こすようなヌクレオチドの置換、欠失又は挿入を導入して得られるDNAを発現させることによって得ることができる。DNA配列へのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入は、両末端に制限酵素切断末端を持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未変異DNA配列の相当する部分と入れ換える事により、導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits,H.J.,Meth. in Enzymol.,154,350 (1987); Kunkel,T.A. et al.,Meth. in Enzymol.,154,367(1987))などの方法によっても、DNA配列に置換、挿入又は欠失を導入することができる。硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する活性は、例えば、後記の酵素活性測定法によって測定することができ、当業者は活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を容易に識別することができる。
【0027】
配列番号2に示すアミノ酸配列にはアミノ酸番号20にメチオニンが含まれており、アミノ酸番号1のメチオニンと共に、いずれも本発明ポリペプチドのN末端となる可能性がある。従って、本発明ポリペプチドには、配列番号2に示すアミノ酸配列においてアミノ酸番号1〜479及びアミノ酸番号20〜479で表されるアミノ酸配列を有するグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドが包含され、かつ好ましい。さらに、配列番号2に示すアミノ酸配列には、見かけ上NH2-ターミナルシグナルペプチド配列は含まれていないが、NH2-ターミナルシグナルペプチド配列の存在が完全に排除されるものではない。いずれのメチオニンがN末端であるにしても、また、NH2-ターミナルシグナルペプチド配列の存在の有無に拘わらず、配列番号2に示すアミノ酸配列は、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含んでいる。
【0028】
本明細書において、「配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有する」とは、これらの観点から、スルホトランスフェラーゼ活性を有する必要かつ最小のポリペプチドのアミノ酸配列を有することを意味するものである。
【0029】
さらにまた、本発明ポリペプチドは、上記のポリペプチドの部分を含むポリペプチドを含む。ここで、「部分」とは、好ましくは、スルホトランスフェラーゼ活性を有する、抗原性を有する等の何らかの活性ないし機能を有する部分を意味する。このような部分を識別することは当業者であれば容易である。
【0030】
なお、本発明ポリペプチドは必ずしも単独のポリペプチドでなくてもよく、必要により、融合タンパク質の一部となっていてもよい。例えば、本発明ポリペプチドと、発現に必要な他のポリペプチドを含む融合ポリペプチドが例示される。
【0031】
上記の本発明ポリペプチドは、後記の本発明DNAを用いて得ることができる。すなわち、本発明DNAを保持する細胞を、好適な培地で培養し、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼを培地中に生成蓄積させ、その培地からグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼを採取することによって、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼを製造することができる。本発明のDNAの発現は、通常タンパク質の製造に用いられる宿主−ベクター系を使用することができるが、COS−7細胞等の哺乳類細胞が好ましい。発現は、本発明のDNAを直接発現させてもよいし、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させてもよい。また、本発明のDNAは全長を発現させてもよいし、一部を部分ペプチドとして発現させてもよい。
【0032】
上記のようにして製造されたグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドもしくはその部分ポリペプチドまたはこれらと他のタンパク質との融合タンパク質を用いて、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼに結合する抗体を調製することができる。抗体の調製は、通常の抗体の調製と同様にして行えばよい。また、常法によってグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼに結合するモノクローナル抗体を調製することもできる。
【0033】
<2>本発明DNA
本発明DNAは、本発明により初めて単離されたヒト由来のDNAであり、上記のヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードしている。
【0034】
すなわち、本発明DNAは、下記の理化学的性質を有するヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードしているDNAを含む。
【0035】
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
【0036】
▲2▼ 基質特異性:
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
【0037】
▲3▼分子量:
約50000〜55000ダルトン
【0038】
なお、上記硫酸基供与体としては3’−ホスホアデノシン 5’−ホスホ硫酸が好ましい。
【0039】
またこのポリペプチドはII型膜タンパク質であることが好ましい。
また上記ポリペプチドは、上記▲1▼〜▲4▼の理化学的性質に加え、さらにアミノ酸残基が460〜479残基であるものが好ましい。
【0040】
また、本発明のポリペプチドは、上記の理化学的性質▲2▼の基質特異性において、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位のみでなく、4位にも硫酸基を転移する活性を持ち、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する活性(C6ST活性)と、4位に硫酸基を転移する活性(C4ST活性)との比の値(C6ST活性/C4ST活性)は、15〜20程度である。
【0041】
なお、本発明のDNAがコードしているグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼは、コンドロイチンのN−アセチルグルコサミン残基の6位に硫酸基を転移する作用をもつことから、「コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ」とも呼ばれることもあり、本明細書中でも「コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ」または単に「C6ST」と略記することもある。
【0042】
本発明DNAの塩基配列は、前記理化学的性質を有するグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードしていれば、その塩基配列は特に限定されない。
【0043】
また本発明DNAは、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードするDNAであって、配列番号2に示すアミノ酸配列の全部または一部をコードするDNAを含む。
【0044】
そして、本発明DNAがコードするヒト由来のスルホトランスフェラーゼのポリペプチドは、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する活性を実質的に害さないアミノ酸残基の置換、欠失、挿入を有するものであってもよい。
【0045】
本発明のDNAとして具体的には、配列番号2においてアミノ酸番号1〜479または20〜479で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましい。また本発明DNAとしてより具体的には、配列番号1に示される塩基配列の少なくとも一部またはすべてを有するDNAが挙げられ、かつ特に好ましい。配列番号1に示す塩基配列には、20番目のアミノ酸に対応する位置にもメチオニンコドン(ATG)が含まれている。これらのメチオニンコドンのうち、最初のメチオニンコドンが開始コドンである可能性が強いが、他のメチオニンコドンが開始コドンである可能性も残っている。従って、このようなDNAとして具体的には、配列番号1に示す塩基配列における147位〜1583位の塩基配列を有するDNA、及び配列番号1に示す塩基配列における204位〜1583位の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
【0046】
なお、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列のDNAも本発明のDNAに包含されることは、当業者であれば容易に理解されるところである。これらのDNAのいずれもが本発明DNAに包含される。
【0047】
さらに、染色体由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼ遺伝子は、コード領域にイントロンを含むことが予想されるが、そのようなイントロンで分断されているDNA断片であっても、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードする限り、本発明のDNA断片に含まれる。すなわち、本明細書において「コードする」とは、転写時にプロッセッシング等を受けて最終的に目的のポリペプチドを生じ得る塩基配列を有することも包含すると理解されたい。
【0048】
また、本明細書において「ポリペプチドの少なくとも一部をコードする」とは、好ましくは、スルホトランスフェラーゼ活性を有する、抗原性を有する等の何らかの活性ないし機能を有する部分、あるいは、その部分に相当する塩基配列がそのグルコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼに特異的であってプライマーやプローブとして使用できる部分をコードすることを意味する。
【0049】
なお、本発明には、本発明DNAに相補的なDNAまたはRNAが包含される。さらに本発明のDNAは、C6STをコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよいし、この一本鎖及びこれと相補的な配列を有するDNA鎖またはRNA鎖とからなる二本鎖であってもよい。
【0050】
また、本発明のDNAは、C6ST全体をコードするコード領域全長を有していてもよいし、C6STの一部のペプチドをコードするものであってもよい。
本発明のDNAは、その塩基配列が本発明により明らかにされたので、その配列に基づいて合成し、あるいはその配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法)によってヒト染色体DNAあるいはmRNAから本発明DNAを増幅することによって、取得することも可能である。なお、本発明DNAは、後記実施例に示すように、以下に示す各工程からなるcDNAクローニングによって、初めて得られたものである。
【0051】
(1)ニワトリのC6STのポリペプチドをコードするcDNAのクローニング
▲1▼ニワトリ胚軟骨細胞から精製したC6STの部分アミノ酸配列の決定
▲2▼そのアミノ酸配列に基づいたPCR用オリゴヌクレオチドプライマーの作製
▲3▼ニワトリ胚の軟骨細胞由来のポリ(A)+RNAからのC6ST部分cDNAのPCR法による増幅
▲4▼ニワトリ胚の軟骨細胞由来のcDNAライブラリーからのC6ST完全長cDNAの選択
【0052】
(2)ヒト由来のC6STのポリペプチドをコードするcDNAのクローニング
▲1▼上記(1)▲4▼で単離されたcDNAの塩基配列解析結果に基づくヒトcDNAライブラリーのスクリーニング用プローブの作製
▲2▼そのプローブを用いた、ヒト由来のC6STをコードするcDNAクローンのスクリーニング
▲3▼得られたcDNAの塩基配列解析
【0053】
しかし本発明のDNAの製造方法はこれに限定されるものではなく、上記のPCR法や、他の公知のcDNAクローニングの手法によっても本発明DNAを製造することができる。
【0054】
以下に、本発明のDNAを得る方法を具体的に説明する。
(1)ニワトリC6STの部分アミノ酸配列の決定及びPCR用プライマーの調製
▲1▼ニワトリC6STの精製
コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼは、ニワトリ胚由来の軟骨細胞等、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼを発現する培養細胞から、通常のタンパク質の精製方法、及び通常のスルホトランスフェラーゼの精製方法を組み合わせることによって精製することができる。具体的には、J. Biol. Chem. 268,(29),21968-21974,(1993)に記載された方法に従って行うことが好ましい。
尚、スルホトランスフェラーゼ活性の測定法、及び硫酸基を転移する位置を調べる方法は、実施例中の酵素活性測定法に詳述した。
【0055】
▲2▼ニワトリC6STの部分アミノ酸配列の決定
精製したC6STには糖鎖が結合していることが知られているので、この糖鎖を除去するために精製C6STをN−グリカナーゼ等の糖鎖分解酵素で消化する。これにより脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等に付して分離し、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride; PVDF)膜やニトロセルロース膜等に転写する。この膜をクマシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラック等のタンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを切り出して、脱グリコシル化されたC6STのアミノ酸配列決定に用いる。また、C6STの内部アミノ酸配列を決定する場合は、脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE等に付して分離し、ゲルをクマシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラックのようなタンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを切り出して断片化に用いる。
【0056】
断片化の方法は特に限定されないが、プロテアーゼV8(protease V8、sequencing grade, ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)製)等のタンパク質分解酵素を用いることが好ましい。また、切り出したゲルをタンパク質分解酵素に接触させ、その後SDS-PAGE等で分離しても良い。簡便な操作としては、Cleveland, D. W., Fischer, S. G., Kirshner, M. W., and Laemmli, U. K.(1977) J. Biol. Chem. 252, 1102-1106 の方法がある。すなわち、タンパク質バンドを切り出して別のゲルのウェルに挿入し、タンパク質分解酵素を含む緩衝液を、挿入したゲルにのせてSDS-PAGEを行い、色素の先端が分離ゲルに入る前に電源を切ることによって泳動を一時中止し、約30分間酵素消化を行い、その後電気泳動を再開するという方法である。この方法によれば酵素消化と消化後のペプチド断片の分離がワンステップでできるので便利である。プロテアーゼ消化により形成したペプチドはPVDF膜やニトロセルロース膜等に転写する。この膜をクマシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラック等のタンパク質を染色する色素で染色した後、ペプチドバンドを切り出す。タンパク質分解酵素消化後に生じたペプチドを含むPVDF膜やニトロセルロース膜等は、公知の方法でペプチドのアミノ末端配列決定を行うことができる。
【0057】
▲3▼オリゴヌクレオチドプライマーの合成
C6STの部分的アミノ酸配列が決定されたら、そのアミノ酸配列に基づいてPCR用オリゴヌクレオチドプライマーを作製することができる。アミノ酸配列のうち、なるべくコドンの縮重の少ない部位を用いるとよい。
【0058】
このようなプライマーの例として、実施例中の表2に示すような、センスプライマー(プライマー1s,プライマー2s)およびアンチセンスプライマー(プライマー3a)があげられる。尚、センスプライマー1sはHindIII部位を含む配列を、アンチセンスプライマー3aはEcoRI部位を含む配列を、それぞれ5’末端に有する。これは、PCRにより増幅されたDNA断片をベクターに挿入する操作を簡便にするためである。
【0059】
以上のニワトリ胚の軟骨細胞由来のC6STの部分的アミノ酸配列の決定とオリゴヌクレオチドプライマーの作成は例えば J. Biol. Chem. 270, 18575-18580 (1995) に記載されている。
【0060】
(2)C6ST部分的cDNAの調製
▲1▼全RNAの調製
全RNAは、公知の方法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York 等)で得ることができる。材料は、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼのmRNAを発現している材料であれば限定されないが、取扱いの容易さ、および増殖可能な点で培養細胞が好ましい。培養細胞の中でも特にニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)が好ましい。軟骨細胞は、公知の方法(Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1976) J. Biol. Chem. 251, 6210-6217、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1977) J.Biol. Chem. 252, 8292-8299、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1980) J. Biol. Chem. 255, 1586-1597等)で培養することができる。培地としては、培養細胞が生育可能な培地であれば特に限定されないが、ダルベッコ改変イーグル培地等が通常の培養で良く用いられ、入手も容易であり、なおかつ該培養細胞が生育可能であることから好ましい。
培地のpHは中性域、特にpH7.0に調整することが好ましい。培地には2g/l程度の D-グルコースを加えることが好ましい。また、微生物の生育を防ぐため、ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加することが好ましい。また、培地に10%のウシ胎仔血清を加えることが好ましい。
【0061】
上記のような培地を用い、ローラボトルやガラス製あるいはプラスチック製の培養皿を使用して通常の培養細胞と同様にして培養すれば良い。培養は、炭酸ガスインキュベーター中で行うことが好ましく、インキュベーター中の炭酸ガス濃度が5〜7%、空気が97〜93%となるように調整することが好ましい。また、温度は36〜38℃程度に調整することが好ましい。
【0062】
全RNAは、前述のように培養した培養細胞から通常用いられる全RNAの調製方法により得ることができるが、グアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)で調製するのが好ましい。
【0063】
▲2▼poly(A)+RNAの調製
poly(A)+RNAは、上記のようにして得られた全RNAから、オリゴdT(oligo-(dT))セルロースカラムクロマトグラフィーなどによって精製することができる。
【0064】
▲3▼PCR法によるC6ST部分的cDNAの増幅
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーを用いた逆転写PCR(ポリメラーゼチェインリアクション)により、C6ST部分的cDNAを増幅することができる。PCRは、通常の方法と同様にして行えばよいが、具体的方法を示せば以下の通りである。1μgのポリ(A)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3a、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL))、1mM ジチオスレイトール、120単位のRNaseインヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液(終体積20μl)を、37℃で60分間インキュベートし、cDNA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転写反応混合液10μl、オリゴヌクレオチドプライマー(センス、アンチセンスそれぞれ50pmol)、それぞれ100μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、2.5単位のTaqポリメラーゼを含む反応液(終体積100μl)に対し、94℃1分間、45℃1分間、55℃3分間からなる反応サイクルを30サイクル行う。
【0065】
このようにして得られた部分的cDNAは、cDNAライブラリーから完全長cDNA(コード領域全長を含むcDNA)をスクリーニングするためのハイブリダイゼーションプローブとして用いられる。
【0066】
(3)cDNAライブラリーの作製
▲1▼cDNAの合成と組換えDNAの作製
cDNAは、poly(A)+RNAを鋳型とした逆転写酵素反応により合成することができる。市販のcDNA合成用キットを用いるのが便利である。例えばTimeSaver cDNA synthesis kit(ファルマシアLKBバイオテクノロジー)を用いると、cDNAの合成、およびcDNAをクローニングベクター(例えばEcoRI消化したλgt11)に連結させることができる。本発明においてもEcoRI消化したλgt11を用いることが好ましい。なお、逆転写酵素反応のプライマーとしては、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いることが好ましい。cDNAをクローニングベクターに結合させることによって得られた組換えDNAは、宿主細菌細胞中に導入(トランスフェクション)する。用いる宿主細菌細胞は、用いるクローニングベクターにより選択する必要があるが、通常は大腸菌(エシェリキア・コリ:Escherichia coli(E. coli))を宿主とするクローニングベクターと大腸菌との組み合わせが頻用されている。
【0067】
トランスフェクションは、通常、組換えDNAと30mM塩化カルシウムの存在下で細胞膜の透過性を変化させた大腸菌とを混合することにより行われる。λgt11のようなλファージベクターの場合、組換えDNAを直接塩化カルシウム処理した大腸菌に導入できるが、あらかじめ試験管中でファージ外殻に入れて(in vitroパッケージングという)、大腸菌に効率よく感染させる方法が一般に使用されており、そのためのキットも市販されている(Gigapack II packaging extract、ストラタジーン(Stratagene) 製等)。本発明でもこの方法を用いることが好ましい。
in vitroパッケージングした組換えDNAは、大腸菌にトランスフェクションするが、用いるクローニングベクターによって用いる大腸菌株を選択する必要がある。すなわち、抗生物質耐性遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、大腸菌に抗生物質に耐性の性質があってはいけない。また、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)等の遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、β−ガラクトシダーゼ活性を発現しない大腸菌を選択する必要がある。このことは、組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌をスクリーニングするために必要なことである。例えば、クローニングベクターにλgt11を用いる場合、E. coli Y1088等のβ−ガラクトシダーゼ活性を発現しない大腸菌株を選択すれば良い。組換えベクターが導入された大腸菌は、抗生物質に対する耐性の獲得や、β−ガラクトシダーゼ活性の獲得等によりスクリーニングできる。具体的には、大腸菌を寒天培地にまき、生育したコロニーを選択すれば良い。生育した大腸菌(組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌)は、cDNAライブラリーを構成する。ベクターにλgt11を用いた場合は、指示菌とともに軟寒天培地に懸濁し、寒天培地上に重層してプラークを形成させればよい。DNA断片が挿入されたベクターを保持するファージプラークは、β−ガラクトシダーゼ活性を発現しないので、容易に選択することができる。
【0068】
▲2▼C6ST完全長cDNAクローニング
次に、上記のようにして得られたcDNAライブラリーから、C6ST完全長cDNAを有するファージクローンを、C6ST部分的cDNAをプローブとしてハイブリダイゼーションにより選択することができる。ハイブリダイゼーションは、通常の方法に従って行えばよい。
【0069】
選択された陽性クローンから、ファージDNAを調製し、適当な制限酵素で切断することによって、C6STcDNAを切り出すことができる。得られたcDNAは、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクローニングして、塩基配列を決定する。
【0070】
(4)ヒト由来のC6STのポリペプチドをコードするcDNAのクローニング
▲1▼ハイブリダイゼーション用プローブの作成
上記のようにして得られたヒト以外の生物由来のC6STのcDNAを用いて、ランダムプライマーラベル法により[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリースクリーニングのための放射性プローブを作成できる。すなわち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligonucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)を用いて放射性標識DNAプローブを得ることができる。
【0071】
▲2▼ヒト由来cDNAライブラリーの作成
ヒト由来の組織あるいは細胞から全RNAを調製し、該全RNAからpoly(A)+RNAを調製し、該poly(A)+RNAを鋳型とした逆転写酵素反応により、ヒト由来cDNAは合成することができる。これらは全て、遺伝子工学分野で通常用いられている方法により行うことができる。具体的には、前記(2)及び(3)に記載したのと同様に行ええばよい。
【0072】
cDNAはクローニングベクターに連結する。クローニングベクターは特に限定されないが、例えばEcoRI消化したλgt11を用いることが好ましい。なお、市販されているクローニングベクターに連結されたヒトcDNAを用いてもよい。具体的には、ラムダベクターλgt11が組み込まれたヒト胎児脳cDNAライブラリー(Clontech)が好ましい。
【0073】
▲3▼ヒト由来のC6STをコードするcDNAクローンのスクリーニング
上記のようにして得られたヒト由来cDNAライブラリーから、C6ST完全長cDNAを有するファージクローンを上記▲1▼で作成した[32P]dCTPで標識した放射性プローブを用いたハイブリダイゼーションにより選択することができる。ハイブリダイゼーションは遺伝子工学分野で通常用いられる手法、例えばプラークハイブリダイゼーション等により行うことができる。プローブとハイブリッドを形成したプラークは、プローブに結合した標識物質を検出することにより、陽性クローンとして単離することができる。
【0074】
▲4▼cDNAの塩基配列解析
選択された陽性クローンから、ファージDNAを調製し、適当な制限酵素で切断することによって、C6STcDNAを切り出すことができる。得られたcDNAは、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクローニングして、塩基配列を決定することができる。
【0075】
上記のようにして決定されたヒト由来C6STをコードするcDNAの塩基配列のオープンリーディングフレーム部分を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に示す。最初のATGコドンで始まる単一のオープンリーディングフレームからは、479アミノ酸残基からなり、分子量 54,610 のタンパク質が予想される。
【0076】
上記のようにして得られるDNAは、このDNAによってコードされるC6STが、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に転移する活性を実質的に害されない限り、1つ又は2以上のアミノ酸残基の置換、欠失又は挿入を起こすようなヌクレオチドの置換、欠失又は挿入を有していてもよい。DNA配列へのヌクレオチドの置換、欠失又は挿入は、両末端に制限酵素切断末端を持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未変異DNA配列の相当する部分と入れ換える事により、導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits,H.J.,Meth. in Enzymol.,154,350 (1987); Kunkel,T.A. et.al.,Meth. in Enzymol.,154,367(1987))などの方法によっても、DNA配列に置換、挿入又は欠失を導入することができる。硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基及び/またはガラクトース残基に転移する活性は、例えば、前記の酵素活性測定法によって測定することができ、当業者は活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を容易に識別することができる。
【0077】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、この実施例は本発明の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。はじめに、実施例中で共通して用いる方法に関して説明する。なお、特記しない限り「%」は重量%である。
【0078】
1.酵素活性測定法
スルホトランスフェラーゼ活性は次のようにして測定した。反応液組成は以下の通りとした。2.5μmolのイミダゾール−塩酸,pH6.8,1.25μgのプロタミン塩酸、0.1μmolのジチオスライトール、25nmol(グルクロン酸の量として)のコンドロイチン(生化学工業(株))、50pmolの[35S]PAPS(アデノシン3’-リン酸,5’-ホスホ硫酸)、及び酵素を含む50μl。
【0079】
基質としての種々のグリコサミノグリカンに対する活性は、コンドロイチンの代わりに、25nmol(コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸についてはガラクトサミンの量として、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸についてはグルコサミンの量として)のグリコサミノグリカンを用いて測定した。
【0080】
反応液を37℃で20分インキュベートした後、反応チューブを沸騰水に1分浸けることによって反応を停止させた。反応停止後、0.1μmol(グルクロン酸の量として)のコンドロイチン硫酸Aをキャリアとして加え、1.3%酢酸カリウムを含むエタノールを3体積加えて、35S-標識された多糖類を沈澱させた。混合液を10,000×gで10分遠心し、得られた沈澱を70μlの水に溶解させた。この溶液50μlを0.1M NH4HCO3で平衡化した脱塩カラムに注入し、35S-標識された多糖類を含む溶出分画を集めた。得られた分画の200μlにシンチレーションカクテル(クリアゾル(Clearsol)、ナカライテスク社製)1mlを加え、35S放射活性を測定することにより、多糖類への35Sの取り込みを測定した。
【0081】
残りの溶液から400μl取り、1.3%酢酸カリウムを含むエタノール800μlを加えて混合した。混合液を30分氷上に置いた後、10,000×gで10分遠心して35S-多糖類を沈澱させた。沈澱を0.1mg/mlのBSA、0.05Mトリス−酢酸,pH7.5、10ミリユニットのコンドロイチナーゼACII(アースロバクター・アウレッセンス(Arthrobacter aurescens)由来、生化学工業(株))を含む緩衝液25μlに溶解し、37℃で2時間反応させた。反応物を、0.1μmolづつの2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(β-D-グルコ-4-エンピラノシルロン酸)-6-O-スルホ-D-ガラクトース(△Di-6S)、及び2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(β-D-グルコ-4-エンピラノシルロン酸)-4-O-スルホ-D-ガラクトース(△Di-4S)(いずれも生化学工業(株)製)とともに、ワットマン(Whatman)No.1濾紙にスポットし、1-ブタノール/酢酸/1M 水酸化アンモニウム(2:3:1(V/V/V))で20時間展開した。
【0082】
△Di-6S及び△Di-4Sの位置を紫外線ランプで調べ、それぞれの部位を濾紙から切り出し、1Lのトルエンにジフェニルオキサゾール5g、ジメチル1,4−ビス(2-(5-フェニルオキサゾール))ベンゼン0.25gを溶解させたシンチレーターに入れ、放射活性を測定した。コンドロイチナーゼACIIで消化した試料では、濾紙の原点に残った放射活性はスポットした放射活性の1%以下であった。△Di-6S及び△Di-4Sへの35Sの取り込みから、それぞれコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ活性及びコンドロイチン4−トランスフェラーゼ活性を算出した。1pmol硫酸基/分の転移を触媒する活性を1ユニットとした。
【0083】
様々な基質に対してスルホトランスフェラーゼ活性を測定したところ、以下の実施例の<1>で得られたコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ(C6ST)は、コンドロイチン、ニワトリ胚軟骨由来のコンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、角膜由来のケラタン硫酸には硫酸基を転移するが、コンドロイチン硫酸E、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸には硫酸基をわずかにしか転移しないことが示された。なお、本C6STは、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸には、そのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転位し、ケラタン硫酸の場合は、そのガラクトース残基の6位に硫酸基を転移することが本発明者らにより確認されている。
【0084】
次に、本発明DNAの製造例を説明する。
<1>ニワトリ胚由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの調製およびアミノ酸配列分析
(1)コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの調製
ニワトリ胚の軟骨細胞を、培養皿に5.6×104 個細胞/皿となるように接種し、2g/LのD−グルコース、100ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むpH7.0に調整したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、7 vol%CO2、93 vol%空気、38℃の条件下で11日間培養した。培養開始から2、4、7、9、10日目に、pH7.4の新鮮な培地に交換した。
【0085】
10日目に、FBSを60℃で60分加熱して調製した熱不活化血清を10%含む培地を用いた。11日目には5.0×106 個細胞/皿にまで生育した。それ以後は、50μg/mlのアスコルビン酸ナトリウムを添加したコスメディウム(Cosmedium)−001(コスモバイオ社から購入)を用い、毎日培地を交換しながら10日間培養を続けた。
【0086】
使用したコスメディウム培地を集め、10,000×gで10分遠心し、上清の組成が10mM Tris-HCl,pH7.2、0.1% Triton X-100、20mM MgCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、20%グリセロールとなるように調製した。
【0087】
上記培養上清を、0.15M NaClを含む緩衝液A(10mM Tris-HCl,pH7.2、0.1% Triton X-100、20mM MgCl2、2mM CaCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、20%グリセロール)で平衡化したヘパリン−セファロースCL6Bカラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー社製、2.2×28cm)にアプライした。カラムを0.15M NaClを含む緩衝液Aで洗浄した後、0.15〜0.75MのNaClを含む緩衝液Aの直線グラジエント1Lで溶出し、12ml/フラクションで分画した。
【0088】
スルホトランスフェラーゼ活性を有する分画を集め、0.15MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化したコムギ胚芽アグルチニン−アガロースカラム(生化学工業(株)製、1.2×15cm)にアプライした。カラムを0.15MのNaClを含む緩衝液A200mlで洗浄した後、0.15MのNaCl及び0.3MのN−アセチルグルコサミンを含む緩衝液A200mlで溶出した。溶出分画を集め、0.05MのNaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0089】
上記溶出分画を、0.05MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロースカラム(シグマ社製、1.2×11.8cm、1.9μmol 3',5'-ADP/mlゲル)にアプライした。カラムを0.05MのNaClを含む緩衝液A150mlで洗浄した後、0〜0.2mMの3',5'-ADPを含む0.05M NaClを含む緩衝液Aの直線グラジエント300mlで溶出した。スルホトランスフェラーゼ活性を有する分画を集め、1M NaClを含む緩衝液A、続いて0.05M NaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0090】
上記精製工程において、前記酵素活性測定法に記載した方法で、スルホトランスフェラーゼ活性を測定した。
その結果、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの比活性は4.3×105ユニット/mgであり、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ活性/コンドロイチン6−トランスフェラーゼ活性の比は0.02であった。
【0091】
上記のようにして精製されたC6STは、還元条件下でのSDS−PAGEで単一バンドを形成し、分子量は75,000と決定された。また、スーパロース12 HR 10/30ゲル濾過クロマトグラフィー(溶出液:10mM Tris-HCl,pH7.2、2M NaCl、20mM MgCl2、2mM CaCl2、0.1% Triton X-100、20%グリセロール)で測定したところ、160,000であった。このことから、2M NaCl存在下ではダイマーを形成していることが示唆された。
【0092】
また、本C6STは、プロタミンおよびMnCl2により活性化された。
上記測定系におけるC6STの至適反応pHはおよそ6.4であった。
【0093】
(2)ニワトリ胚由来C6STのアミノ酸配列分析
精製したC6STをN−グリカナーゼで消化した。すなわち、1ml(タンパク質として10μg)のC6ST溶液に200μlのトリクロロ酢酸を加え、氷上に30分置いた後、10,000×gで20分遠心分離した。沈澱を1mlのアセトンで2回洗浄し、真空デシケータで乾燥した。乾燥されたC6STタンパク質を0.5% SDSを含む0.15M トリス−塩酸(pH7.8)10μlに溶解し、100℃で3分加熱した後、冷却し、5μlの7.5%(w/v)ノニデットP−40,1.2μlの0.25M EDTA(pH8),0.3μlのフェニルメタンスルホフォニルフルオライド,10.5μlの水,及び3μl(0.75単位)のリコンビナントN−グリカナーゼ(ジェンザイム(Genzyme)社製)を加えた。混合液を37℃で12時間インキュベートし、脱グリコシル化反応を行った。
【0094】
アミノ酸配列分析のためには、SDS-PAGE後、ゲルを染色せずにポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride; PVDF)膜に転写した。この膜をクマシーブルーで染色した。N−グリカナーゼ消化後のタンパク質のバンド(49および47kDa)および未消化のタンパク質のバンド(75kDa)を膜から切り出して、アミノ酸配列決定に用いた。
【0095】
一方、C6STの内部アミノ酸配列を決定するため、プロテアーゼで部分消化したC6STペプチドの調製を行った。これは、クリーブランドらの方法(Cleveland, D. W., Fischer, S. G., Kirshner, M. W., and Laemmli, U. K.(1977) J. Biol. Chem. 252, 1102-1106)に従って行った。すなわち、精製したタンパク質(30μg)を10%ゲルによるSDS-PAGEで分離した。ゲルをクマシーブルーで染色した後、75kDaのタンパク質バンドを切り出して、別の16%ゲルのウェルに挿入した。このウェルに、プロテアーゼV8(protease V8、sequencing grade, ベーリンガーマンハイム製)を0.05μg/μg精製タンパク質の比で含む緩衝液を重層し、SDS-PAGEを開始した。色素の先端が分離ゲルの端に到達した時に電源を切った。30分後、電気泳動を再開した。プロテアーゼ消化により形成したペプチドは、PVDF膜にトランスブロットした。この膜をクマシーブルーで染色した後、19kDaのペプチドバンドを切り出した。
【0096】
上記のようにして調製した、N−グリカナーゼ消化後に生じたタンパク質、完全なタンパク質、プロテアーゼV8消化後に生じたペプチドをPVDFフィルターに固定化し、アミノ末端のアミノ酸配列を決定した。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0004571242
【0098】
<2>ニワトリ胚由来のC6ST部分cDNAのPCRによる増幅
(1)PCR用プライマーの作製
上記のようにして決定されたアミノ酸配列に基づいて、cDNAライブラリーからC6STcDNAクローンをPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを作製した(表2)。2種類のセンスプライマー(プライマー1s及び2s)は完全なニワトリ胚C6STタンパク質(75kDa)から得られたアミノ配列(配列番号5)に基づいてデザインし、アンチセンスプライマー(プライマー3a)はプロテアーゼ消化で得られたペプチド(19kDa)から得られたアミノ酸配列(配列番号6)に基づいてデザインし、各ヌクレオトドプライマーを合成した。
【0099】
【表2】
Figure 0004571242
【0100】
なお、プライマー1sの5’末端にはHindIII認識配列を含むヌクレオチド配列を、プライマー3aの5’末端にはEcoRI認識配列を含むヌクレオチド配列を導入した。
【0101】
(2)ポリ(A)+RNAの調製
全RNAは、公知の方法(Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1976) J. Biol. Chem. 251, 6210-6217、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1977) J.Biol. Chem. 252, 8292-8299、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1980) J. Biol. Chem. 255, 1586-1597)で10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で11日間培養したニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)から、グアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)により調製した。得られた全RNAからポリ(A)+RNAを、オリゴ(dT)セルロースカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0102】
(3)PCR反応
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチド3aをプライマーとして用いた逆転写反応によりcDNA一次鎖を合成した。逆転写反応は、終体積20μlに1μgのポリ(A)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3a、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL)製)、1mM ジチオスレイトール、120単位のRNase インヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液を、37℃で60分間インキュベートすることにより行った。
【0103】
PCR反応は、上記の逆転写反応混合液10μl、オリゴヌクレオチド1s及び3aをそれぞれ50pmol、それぞれ100μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、2.5単位のTaqポリメラーゼ(AmpliTaq polymerase、パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)製)を含む反応液(終体積100μl)中で行った。増幅反応は、94℃1分間、45℃1分間、55℃3分間からなる反応サイクルを30サイクル行った。
【0104】
<3>ニワトリ胚由来C6STの完全長cDNAの取得
(1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製
上記PCR増幅断片を回収し、HindIIIおよびEcoRIで消化し、プラスミドベクターであるブルースクリプト(Bluescript、ストラタジーン(Stratagene)製)のこれらの制限酵素切断部位にサブクローニングした。サブクローンはT3プライマー(T3 primer)もしくはM13-20プライマーを用いた配列決定により確認した。
【0105】
cDNAライブラリースクリーニングのための放射性プローブは、上記のPCR生成物を、[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligonucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)を用いて放射性標識することによって得た。
【0106】
(2)cDNAライブラリーの構築
次に、C6STのコード領域全長を含むcDNAを得るために、ラムダベクターλgt11を用いてcDNAクローニングを行った。
【0107】
前記<2>(2)と同様にして、ニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)からポリ(A)+RNAを調製し、これを鋳型として二本鎖cDNAを合成し、EcoRI消化したλgt11(EcoRI-digested λgt11、ファルマシア(Pharmacia)社製)に連結した。cDNAの合成とベクターへの連結には、cDNA合成キット(TimeSaver cDNA synthesis kit、ファルマシア社製)を使用した。逆転写反応のプライマーには、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いた。
【0108】
cDNAが挿入された組換えファージベクターは、インビトロパッケージングキット(Gigapack II packaging extract、ストラタジーン製)を用いてファージ粒子にパッケージした。このファージ粒子を、Escherichia coli Y1088に感染させ、プレートに重層し、プラークを形成させた。こうして得られたファージライブラリーはさらに増幅させることなしに、cDNAスクリーニングに用いた。
【0109】
(3)C6STcDNAクローンのスクリーニング
上記のようにして得られたλgt11cDNAライブラリーのプラーク約5×105 個について、スクリーニングを行った。プラークを市販のナイロン膜(Hybond N+ nylon membrane、アマシャム社製)に転写し、製品に添付されている説明書中で推奨されているアルカリ固定法によりファージDNAをナイロン膜に固定した。
【0110】
ファージDNAを固定した膜を、50%ホルムアミド、5×SSPE(1×SSPEの組成:10mM NaH2PO4(pH7.4), 150mM NaCl, 1mM EDTA)、5×Denhardt's solution(1×Denhardt's solutionの組成:0.02%フィコール400、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02% BSA)、0.5% SDS、0.04mg/mlの変性サケ精子DNA、0.004mg/mlの E. coli DNAを含む溶液中で、3.5時間、42℃でプレハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、32P標識したプローブを含む上記と同じ緩衝液中で16時間、42℃で行った。続いて、フィルターを1×SSPE、0.1% SDS中、次いで0.1×SSPE、0.1% SDS中で、55℃で洗浄した後、オートラジオグラフィーによりハイブリダイゼーション陽性クローンを検出した。5×105個のプラークから約90個の陽性クローンが得られた。
【0111】
(4)ニワトリ胚由来C6STcDNAの塩基配列解析
ハイブリダイゼーション陽性λgt11クローンから16個の独立クローンを選択し、各々ファージDNAを調製し、ベクターDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り出すEcoRIで切断した。これらのcDNA断片をブルースクリプトにサブクローニングした。これらのcDNA断片のうち、もっとも長い断片(2.3kb)のヌクレオチド配列を決定した。
【0112】
ブルースクリプトにcDNAをサブクローニングした組換えプラスミドから、欠失クローンをDNA deletion kit(宝酒造(株)製)を用いて既知の方法(Henikoff, S.(1984) Gene 28, 351-359、Yanisch-Perron, C., Viera, J., and Messing, J. (1985) Gene 33, 103-109)により調製した。その際、3'-突出末端を残す制限酵素、及び5'-突出末端を残す制限酵素として、それぞれSacI及びXbaIを用いた。
【0113】
得られた欠失クローンを用いて、[α-32P]dCTP及びT7DNAポリメラーゼ(Sequenase、U.S.バイオケミカル(U.S. Biochemical)製)を用いたジデオキシチェーンターミネーション法(Sanger, F., Nicklens, S., and Coulson, A. R. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74, 5463-5467)により、両方の鎖のヌクレオチド配列を独立に決定した。
【0114】
<4>ヒト由来C6STcDNAのクローニング
(1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製
前記<3>(4)で得られた、ニワトリ胚由来CS6TのcDNAをランダムプライマーラベル法により[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリースクリーニングのための放射性プローブを作成した。すなわち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligonucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)を用いて放射性標識することによって得た。
【0115】
(2)ヒト由来cDNAライブラリー
ヒトC6STのコード領域全長を含むcDNAを得るために、ラムダベクターλgt11が組み込まれたヒト胎児脳cDNAライブラリー(Clontech)を用いた。
【0116】
cDNAが挿入された組換えファージベクターは、インビトロパッケージングキット(Gigapack II packaging extract、ストラタジーン製)を用いてファージ粒子にパッケージした。このファージ粒子を、Escherichia coli Y1088に感染させ、プレートに重層し、プラークを形成させた。こうして得られたファージライブラリーはさらに増幅させることなしに、cDNAスクリーニングに用いた。
【0117】
(3)C6STcDNAクローンのスクリーニング
cDNAクローニングは前記<3>(3)と同様にして、λgt11cDNAライブラリーのプラークから行った。すなわち、プラークを市販のナイロン膜(Hybond N+ nylon membrane、アマシャム社製)に転写し、アルカリ固定法によりファージDNAをナイロン膜に固定した。
【0118】
ファージDNAを固定した膜を、50%ホルムアミド、5×SSPE、5×Denhardt's solution、0.5% SDS、0.04mg/mlの変性サケ精子DNA、0.004mg/mlの E. coli DNAを含む溶液中で、3.5時間、42℃でプレハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、32P標識したプローブを含む上記と同じ緩衝液中で16時間、42℃で行った。続いて、フィルターを1×SSPE、0.1% SDS中、次いで0.1×SSPE、0.1% SDS中で、55℃で洗浄した後、オートラジオグラフィーによりハイブリダイゼーション陽性クローンを検出した。
【0119】
(4)C6STcDNAの塩基配列解析
上記により得られた陽性λgt11クローンから独立クローンを選択し、各々ファージDNAを調製し、ベクターDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り出すEcoRIで切断した。これらのcDNA断片をブルースクリプトにサブクローニングした。
【0120】
ブルースクリプトにcDNAをサブクローニングした組換えプラスミドから、欠失クローンをDNA deletion kit(宝酒造(株)製)を用いて既知の方法(Henikoff, S.(1984) Gene 28, 351-359、Yanisch-Perron, C., Viera, J., and Messing, J. (1985) Gene 33, 103-109)により調製した。
【0121】
得られた欠失クローンを用いて、[α-32P]dCTP及びT7DNAポリメラーゼ(Sequenase、U.S.バイオケミカル(U.S. Biochemical)製)を用いたジデオキシチェーンターミネーション法(Sanger, F., Nicklens, S., and Coulson, A. R. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74, 5463-5467)により、両方の鎖のヌクレオチド配列を独立に決定した。こうして決定されたヒトC6ST cDNAのオープンリーディングフレーム(open reading frame)に相当するヌクレオチド配列を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に示した。
【0122】
決定されたDNA配列について、ジーンワークス コンピュータープログラム(Gene Works computer programs、インテリジェネティクス(IntelliGenetics)製)を用いて解析した。C6STcDNAのオープンリーディングフレームの5’末端部には、2つのイン・フレームのATGコドンが含まれている。最初のATGコドンで始まる単一のオープンリーディングフレーム(open reading frame)からは、479アミノ酸残基からなり、分子量 54,610 のタンパク質が予測される。前記ニワトリC6STとのアミノ酸配列の相同性は74%であった。特に本発明で得られたヒトC6STにはニワトリ由来のC6STにはみられなかった親水性に富む17アミノ酸よりなる特異な挿入配列が存在していた(配列番号2のアミノ酸番号114〜130 のアミノ酸配列)。
【0123】
(5)ヒト由来C6ST発現プラスミドの構築
ヒトC6STcDNAを発現させるために、発現ベクターにcDNA断片を挿入し、組換えプラスミドを構築した。発現ベクターには、哺乳類細胞用発現ベクターpCXN2(東京大学の宮崎純一博士により構築され(Niwa, H., Yamamura, K., and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193-200)、東京都臨床医学総合研究所の橋本康弘博士より恵与された)を用いた。pCXN2は、ストレプトマイシン耐性遺伝子及びペニシリン耐性遺伝子を有し、EcoRI部位に挿入されたDNA断片をβ−アクチン遺伝子プロモーターにより発現させることができるベクターである。pCXN2のEcoRI部位へ2354bpのcDNA断片(配列番号1に示す塩基配列を含む)を連結させた。E. coli JM109を、この連結反応液を用いて形質転換し、アンピシリンを含むLB プレートに塗布した。形質転換体から組換えプラスミドを回収し、3回のCsCl/エチジウムブロマイド平衡遠心により精製した。ベクターのプロモーターの向きとcDNAの向きが一致している組換えプラスミドをpCXNhC6ST、cDNAが逆向きに挿入されている組換えプラスミドをpCXNhC6ST2と名付けた。cDNAの向きは、BamHIを用いた制限マッピングにより解析した。
【0124】
(6)COS−7細胞中でのヒトC6STcDNAの一過性な発現
ヒトC6STcDNAの発現の宿主にはCOS−7細胞を用いた。COS−7細胞(理研細胞バンク(筑波)から入手した)を8×105 細胞/皿の密度で直径100 mmの培養皿にまいた。培養液には、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%ウシ胎仔血清(ギブコBRL製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を培養皿1枚当たり10ml用い、5vol%CO2、95vol%空気中で37℃で培養した。
【0125】
培養48時間後、COS−7細胞をpCXNhC6STもしくはpCXNhC6ST2でトランスフェクトした。トランスフェクションは、DEAE-デキストラン法(Aruffo, A.(1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 16.13, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)により行った。10%のNu serum(低タンパク質濃度の血清代用品:コラボレーティブ・バイオメディカル・プロダクツ(Collaborative Biomedical Products))を含む予め加温しておいた5mlのDMEMを、10mg/ml DEAE-デキストランと2.5mMクロロキン(chloroquine)溶液を含む0.2ml のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)と混合した。この溶液と15μgの組換えプラスミドを混合し、その混合液を細胞懸濁液に添加した。
上記細胞を、CO2インキュベーター中で4時間インキュベートした後、培養液を5mlの10%ジメチルスルホキシドを含むPBS溶液で置換した。この細胞を室温で2分間放置した後、ジメチルスルホキシド溶液をアスピレートにより除去し、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%ウシ胎仔血清を含む25mlのDMEMを加えた。この細胞を67時間インキュベートした後、DMEMのみで洗浄した。細胞を集めて、培養皿1枚分の細胞当たり1.5mlの0.25M スクロース、10mM Tris-HCl,pH7.2、及び0.5% Triton X-100中でダウンスホモジナイザー(Dounce homogenizer)によりホモジナイズした。得られたホモジネートを10,000×gで20分間遠心し、上清分画中のC6ST活性、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ(C4ST)活性及びケラタン硫酸スルホトランスフェラーゼ(KSST)活性を測定した。これらの活性は、硫酸基受容体としてのコンドロイチンまたはケラタン硫酸の存在下または非存在下で測定した。また、発現プラスミドでトランスフェクトしてないCOS−7細胞についても同様に行った。結果を表3に示す。
【0126】
【表3】
Figure 0004571242
【0127】
表3に示したように、上記で単離されたcDNAを正しい方向で発現させる発現ベクターを保持する細胞のC6ST活性及びKSST活性は、cDNAが逆向きに挿入された発現ベクターを保持する細胞のそれぞれ約16倍、約20倍であった。これに対して、トランスフェクション細胞のC4ST活性はわずかに増加しただけであった。これらの結果から、単離されたcDNAがC6ST活性およびKSST活性を持つタンパク質をコードしていることが証明された。
【0128】
【発明の効果】
本発明により、ヒト由来のコンドロイチンのN-アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移するコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ(C6ST)をコードするDNA、および該DNA由来のDNA断片から発現されるポリペプチドが得られる。
【0129】
本発明により、ヒト由来のC6STをコードするDNAが得られたので、ヒト由来C6STを工業的に使用可能な程度まで大量生産できることが期待される。
このヒト由来C6STのDNA及びC6ST酵素蛋白を用いた医薬用途への利用が期待される。
【0130】
【配列表】
Figure 0004571242
Figure 0004571242
Figure 0004571242
Figure 0004571242
Figure 0004571242
【0131】
Figure 0004571242
Figure 0004571242
Figure 0004571242
【0132】
Figure 0004571242
【0133】
Figure 0004571242
【0134】
Figure 0004571242
【0135】
Figure 0004571242
【0136】
Figure 0004571242
【0137】
Figure 0004571242
【0138】
Figure 0004571242

Claims (11)

  1. 下記の理化学的性質を有する、ヒト胎児脳由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド。
    (1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
    (2)基質特異性:コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
    (3)分子量:約50000〜55000ダルトン
    (4)アミノ末端側に疎水性の膜貫通ドメインを有する。
  2. 配列番号2においてアミノ酸番号1〜479で表されるアミノ酸配列を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する作用を有し、且つコンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移し、ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する活性を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド。
  3. 配列番号2においてアミノ酸番号20〜479で表されるアミノ酸配列を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する作用を有し、且つコンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移し、ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する活性を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド。
  4. 配列番号2に示すアミノ酸番号1〜479又はアミノ酸番号20〜479で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する作用を有し、且つコンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移し、ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する基質特異性を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド。
  5. さらにコンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の4位に硫酸基を転移する活性を有し、且つN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する活性の、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の4位に硫酸基を転移する活性に対する比が15〜20程度である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. II型膜タンパク質である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドと、発現に必要な他のポリペプチドを含む融合ポリペプチド。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  9. 配列番号1において塩基番号147〜1583で表される塩基配列を有する請求項8に記載のDNA。
  10. 配列番号1において塩基番号204〜1583で表される塩基配列を有する請求項8に記載のDNA。
  11. 配列番号2に示す塩基番号147〜1583又は塩基番号204〜1583において、1又は数個のアミノ酸残基の置換、欠失又は挿入を起こすヌクレオチドの置換、欠失又は挿入を有する塩基配列を有する請求項8に記載のDNA。
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