JP3964982B2 - ヘパラン硫酸6−o硫酸基転移酵素のポリペプチド及びそれをコードするdna - Google Patents

ヘパラン硫酸6−o硫酸基転移酵素のポリペプチド及びそれをコードするdna Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリコサミノグリカン硫酸基転移酵素(グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼ)及びそれをコードする塩基配列を有するDNAに関するものである。より詳しくはヘパラン硫酸又はCDSNS−ヘパリン等の硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基を選択的に硫酸化するヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素のポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNA及びそのDNAによってコードされるポリペプチドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘパラン硫酸は、ヘキスロン酸(HexA)残基(D−グルクロン酸(GlcA)残基又はL−イズロン酸(IdoA)残基)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の二糖の繰り返し構造(4GlcAβ1/IdoAα1→4GlcNAcα1)を基本骨格とし、そのヘキスロン酸残基の2位の一部及びN−アセチルグルコサミン残基の2位と6位の一部のそれぞれに硫酸基を有するグリコサミノグリカンの一種である。
【0003】
グリコサミノグリカン硫酸基転移酵素の遺伝子がクローニングされることにより、硫酸基受容体となるグリコサミノグリカンに対する該酵素の基質特異性についての情報を得ることが可能となり、グリコサミノグリカンの構造と機能の関係を研究する上で有用なアプローチが提供されると考えられる。グリコサミノグリカンの生合成、その中でもヘパリン/ヘパラン硫酸の生合成には多くの硫酸化のプロセスがあることが知られており(木幡陽、箱守仙一郎、永井克孝編、グリコテクノロジー▲5▼、57(1994)、講談社サイエンティフィク発行)、この硫酸化には様々なグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素が関与しているものと考えられる。ヘパリン/ヘパラン硫酸に硫酸基を転移するグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素としては、ヘパラン硫酸N−硫酸基転移酵素(以下「HSNST」と略記することもある)、ヘパラン硫酸2−O−硫酸基転移酵素(以下「HS2ST」と略記することもある)及びヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素(以下「HS6ST」と略記することもある)が単離されており、上記硫酸基転移酵素のうちのHSNST及びHS2STのcDNAのクローニングがされている。
【0004】
本発明者らは既に硫酸基供与体である3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸から、硫酸基受容体であるヘパラン硫酸に含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基に硫酸基を選択的に転移するヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素をチャイニーズハムスター、マウス及びヒト由来の培養細胞から精製した(J. Biol. Chem.,270,4172-4179(1995))。しかしながら、該酵素のcDNAのクローニングはまだなされていなかった。また、マウス及びニワトリ由来の該酵素はこれまでに得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ヘパラン硫酸に含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位の水酸基に選択的に硫酸基を転移する酵素を大量に得ることはヘパラン硫酸の構造解析研究において重要な手段を提供することになるので、当該酵素のcDNAのクローニングは非常に重要である。すなわち、本発明は当該酵素のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするcDNAをクローニングすることにより、当該酵素を簡便な方法により大量に入手する手段を提供し、それにより硫酸化多糖の構造−機能の関係の解明に寄与することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヘパラン硫酸又はCDSNS−ヘパリンのN−硫酸化グルコサミン残基の6位の水酸基を選択的に硫酸化するグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素、すなわちHS6STのポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAを鋭意検索し、該酵素のポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAのクローニングに成功し、該DNAによりHS6STが発現することを確認して本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、以下の性質を有する硫酸基転移酵素のポリペプチド及びそれをコードする塩基配列を有するDNAを提供する。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から、硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基へ硫酸基を選択的に転移する。硫酸基供与体は好ましくは3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸である。
▲2▼基質特異性:
ヘパラン硫酸又はCDSNS−ヘパリンのN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基には硫酸基を転移するが、コンドロイチン及びコンドロイチン−4−硫酸の上記水酸基には硫酸基を転移しない。
▲3▼至適反応pH:
pH6〜7
▲4▼至適イオン強度:
塩化ナトリウムを用いた場合、0.1〜0.3M。
▲5▼阻害及び活性化:
ジチオスレイトール、アデノシン-3',5'-ジリン酸で酵素活性が阻害され、プロタミンにより酵素活性が上がる。
【0008】
上記DNAは好ましくは、チャイニーズハムスター、マウス、ニワトリ又はヒト由来である。
また、本発明は以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNAを提供する。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転移したアミノ酸配列からなり、かつ硫酸基供与体から硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基に硫酸基を転移する酵素活性を有するポリペプチド。
【0009】
本発明のDNAとして具体的には、配列番号2のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列もしくはその部分配列、配列番号4のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列もしくはその部分配列、配列番号5のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列もしくはその部分配列、配列番号7のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列もしくはその部分配列又は配列番号9アミノ酸配列の全てをコードする塩基配列もしくはその部分配列を有するDNAが挙げられる。
【0010】
さらに、本発明は、上記DNAの塩基配列によってコードされるグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素のポリペプチドの全部又は部分からなるポリペプチドを提供する。
【0011】
なお、本発明DNAが有する塩基配列がコードするポリペプチドを含むグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素を便宜的にヘパラン硫酸6−O硫酸基転移酵素又はヘパラン硫酸6−O−スルホトランスフェラーゼと称することもあるが、これは該酵素の基質がヘパラン硫酸に限られることを意味するものではない。例えば本酵素は、CDSNS−ヘパリン中のN−硫酸化グルコサミン残基の6位の水酸基にも選択的に硫酸基を転移する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
<1>本発明のグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素のポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNA(本発明DNA)
本発明DNAが有する塩基配列によってコードされるポリペプチドを含むグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素は、例えば、本発明者らによってチャイニーズハムスターの卵巣由来細胞(CHO細胞:ATCC CCL61等)、マウス乳癌由来細胞(FM3A細胞:国立衛生試験所JCRB細胞バンク JCRB0701等)及びヒト骨肉腫由来細胞(MG63:ATCC CRL1427等)等の培養細胞から精製されたヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素(特開平8−33483号公報)であり、下記のような理化学的性質を有する。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から、硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基へ硫酸基を選択的に転移する。すなわち、上記硫酸基受容体のN−硫酸化グルコサミンの6位の水酸基以外には実質的に硫酸基を転移しない。硫酸基供与体としては活性硫酸(3’ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸;以下「PAPS」とも記載する)が好適には挙げられる。ヘキスロン酸残基には実質的に硫酸基を転移しない。
▲2▼基質特異性:
ヘパラン硫酸又はCDSNS−ヘパリン(Completely Desulfated, N-Sulfated Heparin:完全脱硫酸化後、グルコサミン残基をN−硫酸化したヘパリン)のN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基には硫酸基を転移するが、コンドロイチン及びコンドロイチン−4−硫酸の上記水酸基には硫酸基を転移しない。また、一般にNDS−ヘパリン(N-Desulfated Heparin:N−脱硫酸化したヘパリン)のように、グルコサミンの2位に硫酸基を有しないヘパリン又はヘパラン硫酸には硫酸基をほとんど転移しない。したがって、本発明酵素の硫酸基受容体としては、グリコサミノグリカンのグルコサミン残基の2位が硫酸化されたN−硫酸化グルコサミン(元々、N−硫酸基を有するヘパラン硫酸に含まれるものを含む)が必要であると考えられる。
▲3▼至適反応pH:
本酵素はpH6.0〜7.0の範囲、特にpH6.3付近で高い硫酸基転移活性を有する。pH4.7以下ではほとんど活性を有しない。
▲4▼至適イオン強度:
本酵素の活性は、反応環境下のイオン強度の変化に伴って変化し、NaClの場合、0.1〜0.3M、特に0.15M付近で最も高い活性を示す。この範囲を超えてNaCl濃度が増加すると活性は徐々に低下し、0.5Mでは活性は極めて低くなる。
▲5▼阻害及び活性化:
本酵素の活性は、ジチオスレイトール(DTT)、アデノシン−3’,5’−ジリン酸(3’,5’−ADP)で阻害され、プロタミンにより上がる。一般に、DTT1mM存在下で活性は半減し、約0.025mg/ml以上のプロタミンにより、プロタミン非存在下と比して10倍程度活性が上がる。
【0013】
また、本酵素は一般に下記の理化学的性質も有する。
▲6▼ミカエリス定数:
CHO細胞由来の本酵素は、本酵素に対して、硫酸基の受容体としてヘパラン硫酸を、供与体としてPAPSを用いたときのPAPSに対するミカエリス定数(Km)は、約4.4×10-7Mである。
▲7▼その他:
CHO細胞の培養液から得られる本酵素の活性画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析すると、45kDa及び52kDaの分子量のバンドが認められる。また、本酵素をN−グリカナーゼ処理したものをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した結果、38kDa及び43kDaの分子量のバンドが認められる。
【0014】
上記の理化学的性質は、J. Biol. Chem. 270, 4172-4179(1995)に記載の方法に従って測定することができる。
本発明DNAは、本発明により初めて単離されたDNAであり、以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードしているのであればその塩基配列は特に限定はされない。
(a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)アミノ酸配列(a)においてに1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転移したアミノ酸配列からなり、かつ硫酸基供与体から硫酸基を硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位の水酸基に転移する酵素活性を有するポリペプチド。
【0015】
すなわち、配列番号2のアミノ酸配列は、硫酸基供与体から、硫酸基受容体であるグリコサミノグリカンに含まれるN−硫酸化グルコサミン残基の6位水酸基に硫酸基を選択的に転移する活性を実質的に害さない1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を有していてもよく、そのようなアミノ酸配列の置換、欠失、挿入又は転位を有するポリペプチドをコードする、塩基配列の置換、欠失、挿入及び転位を有するDNAのいずれもが本発明DNAに包含される。本明細書における「アミノ酸の数個」とは該酵素の活性が失われない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、例えば400アミノ酸残基からなるポリペプチドの場合、20程度以下の数を示す。また、好ましくは、相同性が85%以上、さらに好ましくは90%以上となる程度の数を示す。該酵素の活性の測定方法は公知であり(例えば、J. Biol. Chem. 270, 4172-4179(1995))、当業者であれば、目的とする酵素活性の有無を指標として、該活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を容易に選択することができる。DNAの塩基配列の置換、欠失、挿入又は転位は、両末端に制限酵素切断末端を持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未変異DNAが有する塩基配列の相当する部分と入れ換えることにより、DNAに導入することができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and Frits, H. J., Meth. in Enzymol., 154, 350(1987);Kunkel,T.A. et al., Meth. in Enzymol.,154,367(1987))などの方法によっても、DNAに置換、欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0016】
本発明DNAとして具体的には配列番号2のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分配列、配列番号4のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分配列、配列番号5のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分配列、配列番号7のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分配列、又は配列番号9のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部分配列をコードするDNAが挙げられ、かつ好ましいがこれに限定はされない。上記の「部分配列を有するDNA」とは、例えばHS6STのポリペプチドをコードするDNAとハイブリダイズしHS6STのDNAを検出するためのプローブとして使用することができる又はそれによってコードされるポリペプチドがHS6ST活性を有するあるいはHS6STと同様の抗原性を有するDNAを示す。上記ハイブリダイズの条件は、後記実施例記載の1次スクリーニング又は2次スクリーニングと実質的に同一の条件である。なお、配列番号5のアミノ酸配列においては、それぞれ、アミノ酸番号18のアミノ酸はチロシン又はアスパラギン、アミノ酸番号132のアミノ酸はセリン又はプロリン、アミノ酸番号134のアミノ酸はアラニン又はグリシン、アミノ酸番号137のアミノ酸はスレオニン又はセリン、アミノ酸番号145のアミノ酸はスレオニン又はイソロイシン、アミノ酸番号147のアミノ酸はロイシン又はバリンであることが好ましい。
【0017】
本発明DNAが有する塩基配列としてより具体的には、配列番号1又は配列番号3に示す全塩基配列又はその部分配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましい。このようなDNAとして具体的には、配列番号1における塩基番号112〜1341及び配列番号3における塩基番号2〜709の塩基配列からなるDNAが挙げられる。
【0018】
配列番号1に示す塩基配列においては、HS6STcDNAのオープンリーディングフレームの5’末端部には3つのイン・フレームのATGコドンが含まれている。第1番目のATGコドンの周囲の塩基配列は、Kozakの知見(Kozak, M. (1986)Cell, 44,283-292)による真核細胞の翻訳開始部位の共通配列(TCC(A又はG)CCATGG)と比較すると、4個の塩基が保存されている。第2番目のATGコドンの周囲の塩基配列は、上記配列の塩基が7個、第3番目のATGコドンの周囲の塩基配列は6個保存されている。
【0019】
ところで、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、フレーム内に2つのATGコドンを含むことが知られている(Nakazawa, K. et al. (1988) J. Biochem, 104, 165-168、Shaper, N. et al. (1988) J. Biol. Chem., 263, 10420-10428)。また、Shaperらは、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、2箇所からの翻訳開始の結果、長いものと短いものとの両方の形態が合成されることを示している。さらに、Lopezらは、長い形態のものは原形質膜を優先的に標的とし、短い形態のものは主としてゴルジ体内に存在することを示唆する証拠を示している(Lopez, L. et al. (1991) J. Biol. Chem., 266, 15984-15591)。同様に、HS6STについても、複数のATGコドンが開始コドンとして機能する可能性はあるが、定かではない。しかし、いずれのATGコドンが開始コドンであっても、上記の硫酸基転移酵素のポリペプチドをコードする点では同じであり、第2番目、第3番目のATGコドンから始まる塩基配列を有するDNAも本発明に包含されるものである。
【0020】
配列番号1の最初のATGコドンで始まる単一のオープンリーディングフレームからは、410アミノ酸残基からなり、分子量48,243Da、N−結合グリコシレーション部位である可能性がある2カ所の部位を有するタンパク質が予測される。このアミノ酸配列から作成したハイドロパシープロット(図2)から、N末端から17〜31番目のアミノ酸残基に渡る長さ15残基の1つの顕著な疎水性部分が認められ、トランスメンブレン(膜貫通)ドメインを有することが予想される。
【0021】
尚、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配列を有するDNAも本発明DNAに包含されることは、当業者であれば容易に理解されるところである。
また、本発明DNAには、本発明DNAに相補的なDNA又はRNAも包含される。さらに本発明DNAは、HS6STをコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよく、この一本鎖およびこれと相補的な配列を有するDNA鎖又はRNA鎖からなる二本鎖であってもよい。
【0022】
また、本発明DNAは、HS6STのポリペプチド全体をコードするコード領域全長の塩基配列を有していてもよく、またHS6STのポリペプチドの一部分をコードする塩基配列を有するものであってもよい。
【0023】
ところで、一般にグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素では、チャイニーズハムスターとヒトとの間でアミノ酸配列に高い相同性を有することが知られており、本発明DNAがコードするポリペプチドも、種間におけるアミノ酸配列の相同性は約70%以上と想定される。従って、本発明で具体的に開示しているDNAがコードするポリペプチドと高い相同性を有するポリペプチド及びそれをコードするDNAも本発明に包含される。上述のようにHS6STのポリペプチドは膜貫通領域を有するが、膜内の末端にあたるN末端部から当該膜貫通領域を含む領域を欠失したHS6STのポリペプチドの部分もまた本発明に包含される。このようなポリペプチドを具体的に例示すると、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号34〜410などが挙げられる。
【0024】
<2>本発明DNAの製造方法
以下、本発明DNAを得る方法について説明する。本発明によりHS6STのポリペプチドの一部のアミノ酸配列が明らかにされたので、その配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法)によって染色体DNAあるいはmRNAから本発明のDNAを増幅することによって取得することも可能であり、また、特に、以下の各工程からなるcDNAクローニングにより製造することも可能である。
(1)精製したヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素のポリペプチドの一部のアミノ酸配列を決定する。
(2)上記アミノ酸配列に基づいて対応する塩基配列のオリゴヌクレオチドプライマーを作製する。
(3)培養細胞より抽出したRNAから上記プライマーを用いてPCR法によりcDNAを増幅することによって前記硫酸基転移酵素の1次プローブを製造する。
(4)上記1次プローブによって培養細胞又は生体組織由来のcDNAライブラリーをスクリーニングしてcDNA断片を得る。
(5)上記cDNA断片を2次プローブとして培養細胞又は生体組織由来のcDNAライブラリーをスクリーニングする。
【0025】
スクリーニングによって、通常には、上記硫酸基転移酵素の完全長cDNAを選択する。
しかし、本発明のDNAの製造方法はこれに限定されるものではなく、上記PCR法や、他の公知のcDNAクローニングの手法によっても本発明DNAを製造することができる。
【0026】
以下に、本発明のDNAを製造する方法の一例を具体的に説明する。
(1)ヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素(HS6ST)のアミノ酸配列の決定
(i)ヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の精製
HS6STは、例えばチャイニーズハムスター、マウス又はヒト由来の培養細胞、ヒト脳組織等HS6STを発現する細胞又は組織から、通常のタンパク質の精製方法、および本酵素の基質又は阻害剤を用いたアフィニティークロマトグラフィーを組み合わせることによって精製することが可能である。具体的には、J. Biol. Chem. 270,(8),4172-4179,(1995)に記載された方法に従って行うことができる。
【0027】
(ii)ヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列の決定
精製したHS6STには糖鎖が結合していることが知られているので、この糖鎖を除去するために精製HS6STをN−グリカナーゼなどの糖鎖分解酵素で消化し、脱グリコシル化されたHS6STをSDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等で分離し、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride; PVDF)膜やニトロセルロース膜などに転写する。この膜をクマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)やアミドブラックなどのタンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを切り出して断片化に用いる。
【0028】
断片化の方法は特に限定はされないが、上記タンパク質バンドにタンパク質分解酵素を接触させるなど、公知の方法でタンパク質を断片化することができる。具体的なタンパク質分解酵素の例としてはエンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼAsp−Nなどが挙げられる。ゲルからバンドを切り出し、タンパク質分解酵素に接触させ、その後SDS−PAGEなどで分離してもよい。簡便な操作としては、Clevel and, D. W., Fischer, S. G., Kirshner, M. W., and Laemmli, U. K.(1977) J. Biol. Chem. 252, 1102-1106 の方法がある。すなわち、タンパク質バンドを切り出して別のゲルのウェルに挿入し、タンパク質分解酵素を含む緩衝液を、挿入したゲルに乗せてSDS−PAGEを行い、色素マーカーの先端が分離ゲルにはいる直前に電源を切ることによって泳動を一時中断し、約30分間酵素消化を行い、その後電気泳動を再開するという方法である。この方法によれば酵素消化と消化後のペプチド断片の分離が単一工程でできるため好ましい。断片化によって生じたペプチドをPVDF膜やニトロセルロース膜などに転写した後、CBB又はアミドブラックなどを用いてペプチドを染色し、ペプチドのバンドを切り出す。タンパク質分解酵素消化後に生じたペプチドを含むPVDF膜やニトロセルロース膜などは、公知の方法でペプチドのアミノ末端配列決定を行うことが可能である。具体的にはモデル476Aプロテインシークエンサー(アプライド バイオシステムス(Applied Biosystems)社製)などを用いてアミノ酸の配列を分析することが好ましいがこれに限定はされない。なお、業者に依頼してアミノ酸配列を決定してもらうことも可能である。
【0029】
(iii)オリゴヌクレオチドプライマーの合成
HS6STの部分的アミノ酸配列に基づき、PCR用オリゴヌクレオチドプライマーを作成する。アミノ酸配列のうち、なるべくコドンの縮重が少ない部位を用いることが好ましい。このようなプライマーの例を、図1に示す(センスプライマー:配列番号15、17;アンチセンスプライマー:配列番号16、18)。
【0030】
(2)HS6STcDNAの調製とプローブの作成
▲1▼全RNAは、公知の方法(Kingston, R. S., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New Yorkなど)で得ることができる。材料は、HS6STのmRNAを発現している材料であれば限定はされないが、取り扱いの容易さ、および増殖可能な点で例えばチャイニーズハムスター由来のCHO細胞(例えばATCC CCL61等)、マウス由来のFM3A細胞(例えば国立衛生試験所JCRB細胞バンク JCRB0701等)、ヒト由来のMG63細胞(例えばATCC CCL1427等)等の培養細胞が好ましい。培養細胞の中でも特にCHO細胞が本酵素が強く発現し、酵素活性も比較的高いため好ましい。上記培養細胞の培養に用いる培地は特に制限されないが、大量の細胞を効率よく得るには、スピナーフラスコなどによる浮遊細胞の培養に適した培地が好ましい。具体的にはCHO細胞を使用する場合には浮遊培養用のCHO−S−SFMII培地(ギブコ製)などの市販の培地を用いてもよい。上記のような培地を用いてスピナーフラスコを使用して通常の培養細胞と同様にして培養すればよい。培養は、炭酸ガスインキュベーター中で行うことが好ましく、インキュベーター中の炭酸ガス濃度が5〜7%、空気が95〜93%となるように調整することが好ましい。また、温度は37〜38℃程度に調整することが好ましい。
【0031】
全RNAは、前述のように培養した培養細胞から通常用いられる全RNAの調製方法により得ることができるが、グアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)で調製することが好ましい。
【0032】
▲2▼ポリ(A)+RNAの調製
ポリ(A)+RNAは、上記のようにして得られた全RNAから、オリゴdT(oligo-(dT))セルロースカラムクロマトグラフィーなどによって精製することができる。
【0033】
▲3▼PCR法によるHS6ST部分的cDNAの増幅
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーを用いた逆転写PCRにより、HS6ST部分的cDNAを増幅することができる。PCRは、通常の方法と同様にして行えばよいが、具体的方法を示すならば以下の通りである。1μlのポリ(A)+RNA、それぞれ100pmolのオリゴdTとランダムオリゴヌクレオチドプライマー、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM−MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL))、1mMジチオスレイトール(DTT)、120単位のRNase(リボヌクレアーゼ)インヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液(終体積20μl)を50℃で60分間インキュベートし、cDNA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転写反応混合液5μl、各100pmolの前述のオリゴヌクレオチドプライマー、それぞれ250μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、1.25単位のTaqポリメラーゼを含む反応液(終体積50μl)に対し、95℃1分、46〜62℃1分、72℃2分を35サイクル繰り返して行う。
【0034】
このようにして得られた部分的cDNAは、cDNAライブラリーからcDNA(コード領域全長を含むcDNA)断片をスクリーニングするためのハイブリダイゼーションプローブ(1次プローブ)として用いられる。また、このPCR産物は通常の方法によりpBluescriptIIベクター(ストラタジーン製)へサブクローニングして塩基配列の決定を行うことが好ましい。
【0035】
(3)cDNAライブラリーの作成
(i)cDNAの合成と組換えDNAの作成
cDNAは、ポリ(A)+RNAを鋳型とした逆転写酵素反応により通常の方法を用いて合成することができる。合成する際は市販のcDNA合成用キットを用いるのが便利である。例えばTimeSaver cDNA synthesis kit(ファルマシアLKBバイオテクノロジー)を用いると、cDNAの合成およびcDNAをクローニングベクターに連結することもできる。また、市販のcDNAライブラリーを用いることにより、より簡便にcDNAを得ることも可能である。本発明実施例においてもCHO細胞及びヒト胎児脳由来のλgt11ライブラリーを用いている。クローニングベクターに結合した状態のこれらの組換えDNAを宿主細菌細胞中に導入(トランスフェクション)する。用いる宿主細菌細胞は、用いるクローニングベクターにより選択する必要があるが、通常は大腸菌(エシェリキア・コリ:Escherichia coli(E. coli))を宿主とするクローニングベクターと大腸菌との組み合わせが頻用されているがこれに限定はされない。トランスフェクションは通常、組換えDNAと30mM塩化カルシウムの存在下で細胞膜の透過性を変化させた大腸菌とを混合することにより行われる。λgt11のようなλファージベクターの場合、組換えDNAを直接塩化カルシウム処理した大腸菌に導入もできるが、予め試験管中でファージ外殻に入れて(in vitroパッケージングという)、大腸菌に効率よく感染させる方法が一般に使用されており、市販されているパッケージング用のキット(Gigapack II packaging extract、ストラタジーン(Stratagene)製等)を用いてパッケージングを行うことも可能である。パッケージングした組換えDNAは、大腸菌にトランスフェクションするが、用いるクローニングベクターによって用いる大腸菌株を選択する必要がある。すなわち、抗生物質耐性遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、大腸菌に抗生物質に対する耐性の性質があってはならず、また、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)等の遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、β−ガラクトシダーゼ活性を発現しない大腸菌を選択する必要がある。このことは、組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌をスクリーニングするために必要なことである。例えば、λgt11クローニングベクターを用いる場合、E.coli Y1088等の大腸菌株を選択すればよい。組換えDNAや組換えプラスミドが導入された大腸菌は抗生物質に対する耐性の獲得や、β−ガラクトシダーゼ活性の獲得等によりスクリーニングすることが可能である。具体的には、大腸菌を寒天培地にまき、生育したコロニーを選択すればよい。生育した大腸菌(組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌)は、cDNAライブラリーを構成する。プラスミドにブルースクリプトを用いた場合は、指示菌とともに軟寒天培地に懸濁し、寒天培地上に重層してプラークを形成させればよい。DNA断片が挿入されたプラスミドを保持するファージプラークはβ−ガラクトシダーゼ活性を発現しないので、容易に選択することができる。
【0036】
(ii)HS6STcDNA断片クローニング
次に上記のようにして得られたcDNAライブラリーを、上記1次プローブを用いてハイブリダイゼーションにより選択することができる。ハイブリダイゼーションは、通常の方法に従って行えばよい(1次スクリーニング)。選択された陽性クローンからファージDNAを調製し、適当な制限酵素で切断することによりHS6STcDNA断片を切り出すことができる。当該cDNA断片は、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクローニングして、塩基配列を決定することができるが、HS6STの場合、後記実施例に示すように、オープンリーディングフレームの全領域をコードするものを得ることが極めて難しいことが判明している。しかしながら、当該cDNA断片を上記1次プローブの作成と同様な手法を用いて例えば放射線又は蛍光標識し、再度、2次プローブとして以下の2次スクリーニングにより完全長cDNAを得ることが可能である。このようなcDNA断片の例として、CHO細胞のcDNAライブラリーから得られるHS6STcDNA断片の塩基配列及びこの塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号3に、アミノ酸配列のみを配列番号4に示す。本明細書中における部分的cDNAとは、上記cDNA断片のように、プローブを用いてスクリーニングを行って得られたDNAのうち、塩基配列を決定するとオープンリーディングフレームの全領域をコードしておらず、更に当該DNAをプローブとして他のDNAを得るためにプローブとして使用することができるDNAを指称する。
【0037】
(iii)HS6ST完全長cDNAクローニング
前述のようにして得られたcDNAライブラリーから、HS6ST完全長cDNAを有するファージクローンを、2次プローブを用いてハイブリダイゼーションにより選択することができる(2次スクリーニング)。ハイブリダイゼーションは、通常の方法に従って行えばよいが、使用するcDNAライブラリーは1次スクリーニングで使用したものと同じである必要はない。選択された陽性クローンから、ファージDNAを調製し、適当な制限酵素で切断することによりHS6STcDNAを切り出すことができる。得られたcDNAは、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクローニングして、塩基配列を決定する。
【0038】
例えば、上述の1次スクリーニングにより得られたCHOのHS6STcDNA断片を2次プローブとして用いて、ヒト胎児脳のcDNAを保持するλgt11ライブラリーをスクリーニングすることにより得られ、決定されたヒト由来のHS6STcDNAの塩基配列及びこの塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号1に、アミノ酸配列のみを配列番号2に示す。上記の様にある生物種のHS6STcDNA断片を2次プローブとして使用し、別の生物種のcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって別の生物種のHS6ST完全長cDNAを得ることが可能である。また、同種の生物種のcDNAライブラリーを用いることによりその生物のHS6ST完全長cDNAを得ることも当然可能である。
【0039】
<3>本発明DNAの塩基配列によってコードされるグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素のポリペプチドの全部又は部分からなるポリペプチド
本発明は、上記の本発明DNAによってコードされるグリコサミノグリカン硫酸基転移酵素のポリペプチドの全部又は部分からなるポリペプチドも提供する。本明細書において、上記のポリペプチドの「部分」とは、HS6ST活性を有する、抗原性を有するなどの何らかの活性ないし機能を有する部分を意味する。本ポリペプチドは単独であってもよいし、他のポリペプチドと融合していてもよい。
【0040】
ところで、哺乳類の生体内で発現しているHS6STはその構造中に糖鎖を有するため、HS6STのポリペプチドとHS6STは明確に区別される。
このようなポリペプチドは、例えば、後記のポリペプチドの製造方法によって得ることができ、また、上記の活性ないし機能の有無を判定することは当業者に公知の方法(例えばJ. Biol. Chem., 270(8),4172-4179(1995))によって行うことができる。
【0041】
<4>本発明DNAを利用したHS6STのポリペプチド又はHS6STの製造方法
上記本発明DNAで形質転換された細胞を、好適な培地で培養し、本発明DNAがコードするポリペプチドを培養物中に生成蓄積させ、その培養物から本発明ポリペプチドを採取することによって、HS6STのポリペプチド又はHS6STを製造することができる。
【0042】
本発明DNAで形質転換された細胞は、公知の発現ベクターに本発明DNAの断片を挿入して組換えプラスミドを構築し、この組換えプラスミドを用いて形質転換を行うことによって得ることができる。細胞としては大腸菌等の原核細胞や、哺乳類細胞等の真核細胞が例示される。大腸菌などの原核細胞を用いた際は、本発明DNAの発現によって生じるHS6STのポリペプチドに糖鎖の付加が起こらないため、純粋にHS6STのポリペプチドのみを得ることが可能であり、また、哺乳類細胞等の真核細胞を用いた際は、本発明DNAの発現によって生じるHS6STのポリペプチドに糖鎖の付加がなされる。そのため、糖鎖も含むHS6STの形態で得ることが可能である。
【0043】
本製造方法においては、タンパク質の製造に通常用いられる宿主−ベクター系を使用することができ、例えば、COS−7細胞等の哺乳類由来の培養細胞とpCXN2(Niwa, H., Yamanura, K. and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193-200)又はpFLAG−CMV−2(イーストマン コダック(Eastman Kodak)製)等の哺乳類細胞用発現ベクターとの組み合わせを採用することが好ましい。培地や培養条件は、用いる宿主すなわち細胞に合わせて適宜選択される。
【0044】
本発明DNAは直接発現させてもよいし、他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとして発現させてもよい。また、本発明DNAは全長を発現させてもよいし、一部を部分ペプチドとして発現させてもよい。
【0045】
培養物からの本発明ポリペプチドの採取は、公知のポリペプチドの精製方法によって行うことができる。なお培養物には、培地および当該培地中の細胞が包含される。
【0046】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<1>チャイニーズハムスターのヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の調製およびアミノ酸配列の分析
J. Biol. Chem.,270,4172-4179(1995)に記載の方法により精製したHS6STを得た。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を行うために、28μgのHS6STを10%トリクロロ酢酸により沈殿させ、アセトンで2回洗浄した。この沈殿は、5%(V/V)の2−メルカプトエタノールを含むローディングバッファーで100℃、3分間還元およびSDS化した後、Laemmli(Laemmli, U. K.(1970) Nature 227, 680-685)の方法に従って10%のポリアクリルアミドゲルを用いてSDS−PAGEを行った。SDS−PAGEで分離されたタンパク質を、10%メタノールを含有するpH11の10mM 3−シクロヘキシルアミノ−1−プロパンスルフォン酸(CAPS)溶液中、200mAで2時間30分、ProBlottのPVDF膜(アプライド バイオシステム製)に転写した。転写したタンパク質をAebersoldらの方法(Aebersold, R.H., Leavitt, J., Saavedra, R.A., Hood, L.E., and Kent, S.B.H.(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84,6970-6974)に従ってPonceau Sで染色した。45kDaの領域のバンドを切り出し、Iwamatsuの方法(Iwamatsu, A.(1992) Electrophoresis 13, 142-147)を改変した方法によってPVDF膜上で変性させS−カルボキシメチル化した。膜に転写されたタンパク質は、0.5M Tris−HCl、pH8.8、5%(V/V)アセトニトリル、1mg ジチオスレイトール(DTT)を含む8M グアニジン塩酸塩溶液300μl中で室温で1時間還元した。そこに3mgのヨード酢酸を含む1N NaOH溶液12μlを加え、暗所に15分間置いた。この膜を蒸留水で洗浄し、その後0.1% SDSを含有する2%アセトニトリルで洗浄した。膜上のS−カルボキシメチル化したタンパク質は、1mgのメチオニンを含む100mMの酢酸に溶解した0.5% ポリビニルピロリジン(PVP−40) 300μl中で室温で30分間インキュベートし、10%(V/V) アセトニトリルで洗浄した。膜を細かく切断し、50μlのTris−HCl(pH7.5)に溶解した0.3UのN−グリカナーゼで37℃15時間処理した。その後、in situ逐次的消化を、10%(V/V) アセトニトリルを含むpH9.0の20mM Tris−HCl中に酵素:基質(mol:mol)が1:50となるように溶解したエンドプロテイナーゼLys−Cにより37℃で15時間行い、続いて10%(V/V) アセトニトリルを含むpH7.5の20mM 炭酸水素アンモニウムと25mM CaCl2を含むpH7.8の反応液中に酵素:基質(mol:mol)が1:50となるように溶解したエンドプロテイナーゼAsp−Nにより40℃で24時間行うことにより行った。この消化産物を回収してフィルターにかけ、凍結乾燥した。1%(V/V) アセトニトリルを含む移動相A(0.06%(V/V) トリフルオロ酢酸(TFA))18μlにこの凍結乾燥物を溶解し、逆相カラム(0.3×150mm)でキャピラリーHPLCを行った。ペプチドの溶出は流速3.3μl/min、100分間で2%〜100%までの移動相B(0.052% TFAを含む80% アセトニトリル)の濃度勾配により行った。ペプチドの画分は214nmの吸光度をモニターしながら手作業で回収し、PVDF膜の小片にブロットした。アミノ酸配列決定はモデル476Aプロテインシークエンサー(アプライド バイオシステムス(Applied Biosystems))で行った。表1に結果を示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003964982
【0048】
<2>HS6ST部分的cDNAのPCRによる増幅
(1)PCR用プライマーの作成
上記ペプチドの1と2に基づいて、末端および内部のプライマーのデオキシイノシン置換を有する縮重オリゴヌクレオチド(図1)を作成した(鋳型DNA配列を持つプライマー2s(配列番号15)、5s(配列番号17)、鋳型の相補的配列を持つプライマー2a(配列番号16)、5a(配列番号18))。
【0049】
(2)PCR反応
CHO細胞からオリゴdT(oligo-(dT))セルロースクロマトグラフィーを使用する常法により採取したポリ(A)+RNAを逆転写反応の鋳型として、オリゴdT及びランダムヌクレオチドプライマーを用いてcDNAの一本鎖を合成し、これをPCRの鋳型として使用した。PCRは、各100pmolのプライマー2sと5aの混合物(又は2aと5s)、5μlの逆転写反応液、それぞれ0.25mMの4種類のデオキシヌクレオチド三リン酸、および1.25UのAmpliTaqポリメラーゼ(パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)製)を含む混合液50μlで行った。増幅は以下のように行った。解離反応は95℃で1分、アニーリングは46〜62℃で1分、伸長反応は72℃で2分とし、3サイクルごとに48℃までアニーリングの温度のみを2℃ずつ低くし、最終的にはアニーリングの温度が46℃の条件で11サイクル行った。その後、さらに15分間伸長反応を行った。この操作によって生じた増幅物質をアガロースゲル電気泳動により解析すると、増幅された約330bpのDNAのバンドが検出された。330bpのPCR産物を常法によりアガロースゲル電気泳動し、HS6ST部分的cDNAとしてDNA断片を回収した。
【0050】
<3>チャイニーズハムスターのHS6STcDNA断片の取得
(1)ハイブリダイゼーション用プローブの作成
2sと5aをプライマーとしてPCRを行って得られた、1次プローブとするDNA断片はJetsorb(ゲノメッド(Genomed)製)を使って回収した。T4 DNAポリメラーゼを使い平滑化し、T4ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したこのDNAを、アルカリホスファターゼ処理をしたブルースクリプト(Bluescript)プラスミド(ストラタジーン(Strategene)製)DNAのEcoRV消化断片と結合し、JM109を用いて、青と白の色による選択によりサブクローン化した。サブクローンは配列決定により確認した。その結果、このPCR産物にはペプチド2及び5の他にペプチド4がコードされることが明らかとなった。
【0051】
cDNAライブラリーのスクリーニングに使用した放射線ラベルした一次プローブは、プライマー2sおよび5a、鋳型としてサブクローン化された約330bpのDNA、ならびに[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)を含む最終量25μlの溶液で増幅したPCR産物から調製した。PCRは、95℃で1分、50℃で1分、72℃で1分のサイクルを30回繰り返し、最終のサイクルではさらに72℃での伸長時間を15分延長することにより行った。
【0052】
(2)HS6STcDNAクローンの1次スクリーニング
CHO細胞のcDNAライブラリーであるλgt11 cDNAライブラリーを構築した。具体的には、RNA抽出キット(ファルマシア製)を使用し、培養したCHO細胞から全RNAを調製し、オリゴdT−ラテックス(Oligotex dT30、ロシュ製)を使用してポリA−RNAを調製した。cDNAの合成とcDNAのEcoRI消化したλgt11(ファルマシア製)への結合はTimeSaver cDNA合成キット(ファルマシア製)で行った。逆転写反応はランダムオリゴヌクレオチドプライマー及びoligodTを使用して行った。結合したDNAはStratagene Gigapack II(ストラタジーン製)を用いてファージにパッケージングした。宿主のE.coli Y1088細胞に上記で調製したcDNAを保持するファージを感染させた。プレート1枚当たり2〜4×104個のプラークが形成されるようにまき、約8×105個のプラークをスクリーニングした。λgt11ライブラリーから生じたプラークを転写したHybond N+ナイロン膜をアルカリ固定法により固定し、50%ホルムアミド、5×SSPE(塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム/EDTA緩衝液)、5×デンハルト溶液(Denhardt's solution)、0.5% SDSと50μg/mlの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中、42℃で3時間プレハイブリダイズした。32Pラベルした1次プローブを上記バッファー中に加え、50℃で16時間ハイブリダイズした。フィルターを、55℃で1×SSPE、1% SDS、さらに0.1×SSPE、0.1% SDSにより洗浄し、オートラジオグラフィーにより1個の陽性クローンを検出した(1次スクリーニング)。
【0053】
(3)チャイニーズハムスター由来のHS6STcDNA断片の塩基配列
1個の陽性クローンからのブルースクリプト プラスミドを、ExAssistヘルパーファージとE.coli SOLRを使用するストラタジーンのin vivo DNA切り出し法(Stratagene in vivo excision protocol)により切り出した。SOLRに導入されたブルースクリプトプラスミドDNAをQIAGENプラスミドキットを用いて精製した。導入されたcDNAのうち、0.7kbpのクローンの塩基配列が決定された(EcoRIで処理して得られる断片の塩基配列を配列番号3に示す)。塩基配列はSequenaseバージョン2.0を含むdGTP/deazaGTPキット(U.S.バイオケミカル(Biochemical)製)を使用して確かめた。塩基配列はコンピュータソフトウェアのジェネティックス-マック(GENETYX-MAC:ソフトウェアデベロプメント社製)により編集、解析した。このクローンはオープンリーディングフレームの一部を有していることが明らかとなった。
【0054】
<4>ヒトHS6STcDNAクローニングと塩基配列の決定
上記CHO細胞から得られたHS6STcDNA断片をEcoRIで処理して得られた断片を2次プローブとして上記と同様の手法を用いてヒト胎児脳のλgt11cDNAライブラリーを導入したE.coli Y1088をスクリーニングした。その結果、17個の陽性クローンが検出された(2次スクリーニング)。
【0055】
1.7kbpと2.0kbpの2つのクローンの塩基配列を決定し(配列番号1)、さらにこの配列からコードされたアミノ酸配列を予測した(配列番号2)。アミノ末端の配列に4つのイン・フレームのATGコドンが含まれた。最初のATGコドンの上流域−6の場所に終止コドンのTGA配列が存在した。最初のATGコドンから開始するオープンリーディングフレームからは410アミノ酸残基の48,243Daで2カ所の糖結合可能域を持つタンパク質が予想された。このアミノ酸配列のハイドロパシープロットにより、HS6STアミノ末端領域の17番目から31番目までの15アミノ酸残基が明確な疎水領域であるタイプIIの膜タンパク質であることが判明した(図2)。このアミノ酸配列を上記チャイニーズハムスター由来のHS6STの部分アミノ酸配列とその相当する部分で比較すると、その相同性は、97.4%であった(図3)。チャイニーズハムスター由来のHS6ST断片との相同性のある部分はヒトのHS6STの膜貫通領域よりも細胞外寄りに位置し、この位置(アミノ酸番号34)から塩基配列で終止コドンまでの領域の分子量を算出すると、44,389Daとなった。この数値は、チャイニーズハムスター由来のHS6STをN−グリカナーゼ処理した際の分子量とほぼ一致する。
【0056】
<5>マウスHS6STcDNAクローニングと塩基配列の決定
上記CHOのcDNAライブラリーから得られた2.0kbpのHS6STcDNAを2次プローブとして上記と同様の手法を用いてマウス脳のλgt11cDNAライブラリーを導入したE.coli Y1088をスクリーニングした。その結果、2個の陽性クローンが検出された(2次スクリーニング)。
【0057】
1.7kbpと2.1kbpの2つのクローンの塩基配列から、マウスHS6STの全塩基配列を決定し(配列番号6)、さらにこの配列からコードされたアミノ酸配列を予測した(配列番号7)。このアミノ酸配列を上記ヒト由来のHS6STの部分アミノ酸配列とその相当する部分で比較すると、その相同性は、90%以上であった。
【0058】
<6>ニワトリHS6STcDNAクローニングと塩基配列の決定
上記ヒト胎児脳のcDNAライブラリーから得られた2.0kbpのHS6STcDNAを2次プローブとして上記と同様の手法を用いてニワトリ胚肢芽のλgt11cDNAライブラリーを導入したE.coli Y1088をスクリーニングした。その結果、11個の陽性クローンが検出された(2次スクリーニング)。
【0059】
陽性クローンのうち、1.6kbpと1.7kbpの2つのクローンの塩基配列から、ニワトリHS6STの全塩基配列を決定し(配列番号8)、さらにこの配列からコードされたアミノ酸配列を予測した(配列番号9)。このアミノ酸配列を上記チャイニーズハムスター由来のHS6STの部分アミノ酸配列とその相当する部分で比較すると、その相同性は、90%以上であった。
【0060】
また、既に知られているCHO由来のHS2STのcDNA(J. Biol. Chem.,272,21, 13980-13985(1997))をプローブとして使用し、上記手法と同様にマウス脳のcDNAライブラリーから、HS2STのcDNAの取得を試みた。マウス脳のλgt11cDNAライブラリーを導入したE.coli Y1088をスクリーニングした結果、4個の陽性クローンが検出され(2次スクリーニング)、1.9kbp、1.2kbp、1.3kbp及び1.4kbpのそれぞれのクローンの塩基配列からマウスのHS2STの全塩基配列を決定した(配列番号19)。
【0061】
またさらに、ヒト由来のHS2STのcDNA(日本結合組織学会 1997年6月5,6日)をプローブとして使用し、上記手法と同様にニワトリ胚肢芽のcDNAライブラリーからHS2STのcDNAの取得を試みた。ニワトリ胚肢芽のλgt11cDNAライブラリーを導入したE.coli Y1088をスクリーニングした結果、8個の陽性クローンが検出され(2次スクリーニング)、陽性クローンのうち、1.8kbpと2.3kbpの2つのクローンの塩基配列からニワトリのHS2STの全塩基配列を決定した(配列番号20)。マウス及びニワトリのHS2STは、CHO及びヒト由来のHS2STと塩基配列で80%以上、アミノ酸配列で90%以上の高い相同性を示した。
【0062】
<7>ヒト由来のHS6STcDNAの発現
(1)HS6ST発現プラスミドの構築
HS6STcDNAを発現させるために、発現ベクターにcDNA断片を挿入し、組換えプラスミドを構築した。単離したヒト由来のオープンリーディングフレームを含むcDNAを哺乳動物の発現ベクターpFLAG−CMV−2(イーストマン コダック製)のHindIII/EcoRI部位に導入した組換えプラスミドであるpFLAG−CMV−2hHS6STを構築した。このプラスミドは酵素などの活性を有さないタグとしての配列であるFLAGとHS6STの融合タンパク質を発現するように構築されている。
【0063】
(2)COS−7細胞中でのHS6STcDNAのトランジェント(一過性)な発現
HS6STcDNAの発現の宿主にはCOS−7細胞を用いた。
【0064】
pFLAG−CMV−2hHS6STをトランスフェクトした細胞を67時間培養し、この細胞からHabuchi, H., Habuchi, O., and Kimata, K. (1995) J. Biol. Chem. 270, 4172-4179に記載の方法に従って細胞抽出液を調製した。この細胞抽出液を30分間4℃、10,000×gで遠心処理した後、上清画分のHS6ST及びHS2ST活性を調べた。対照としてcDNAを含まないpFLAG−CMV−2をトランスフェクトしたCOS−7細胞と何もトランスフェクトしないCOS−7細胞を用いた。単離したヒト由来のcDNAを含むベクターをトランスフェクトすると、HS6ST活性は何もトランスフェクトしない対照の約7倍に上がっていた(表2)。なお、これらの活性の測定はHabuchi, H., Habuchi, O., and Kimata, K. (1995) J. Biol. Chem. 270, 4172-4179及びKobayashi, M., Habuchi, H., Habuchi, O., Saito, M., and Kimata, K. (1996) J. Biol. Chem. 271, 7645-7653に記載の方法に従って行った。
【0065】
【表2】
Figure 0003964982
【0066】
表で示したように、上記で単離されたcDNAを発現させるベクターを保持する細胞のHS6ST活性は対照のcDNAを保持しないプラスミドを導入した細胞の約7.5倍であった。これに対してHS2ST活性の増加は起こらなかった。これらの結果から、単離されたcDNAがHS6ST活性を持つタンパク質をコードしていることが証明された。また、HS6STを導入した細胞を培養した後の培地中のHS6ST活性は、対照と比較して約3.7倍に増加していた。しかし、この培地のFLAGに対するアフィニティカラムへの吸着画分にはHS6ST活性が見られなかった。従って、上記培地中にはFLAGとの融合タンパク質の形態ではなく、細胞膜貫通領域で切断され、FLAGを結合していないHS6STの細胞外領域のみが、HS6ST活性を有する遊離体として可溶化された形態となっていることが示唆された。
【0067】
<8>チャイニーズハムスター卵巣細胞ポリ(A)+RNAのノザンブロットによるHS6ST発現の解析
チャイニーズハムスター卵巣由来培養細胞株CHOから抽出したポリ(A)+RNAをpH7.0の50% ホルムアミド(V/V)、6% ホルムアルデヒド(V/V)、20mM MOPSバッファーで65℃、10分間変性し、6%ホルムアルデヒド(V/V)を含む1.2%アガロースゲルで電気泳動を行った。50mMのNaOHで20分間処理した後、20×SSC(酢酸ナトリウム/塩化ナトリウム緩衝液)で45分間中和し、ゲル中のRNAをHybond N+ナイロン膜に一晩転写し、50mMのNaOHで5分間固定した。膜上に固定されたRNAを42℃で3時間、50% ホルムアルデヒド、5×SSPE、5×デンハルト溶液(Denhardt's solution)、0.5% SDS、100μg/mlの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中でプレハイブリダイズした。ハイブリダイズは32Pラベルしたプローブ(1×106cpm/ml(上記<3>で得られたチャイニーズハムスター由来のHS6ST部分的cDNAをEcoRI処理して得られた断片))を含む上記緩衝液で行った。この膜は50℃で1×SSPE、0.1% SDSにより洗浄した後、同温度で0.1×SSPE、0.1% SDSにより洗浄した。この膜を−80℃で14時間、増感膜を用いてX線フィルムに感光させた。その結果、4.0kbのバンドが得られた。
【0068】
<9>インシチュハイブリダイゼーションによるニワトリ胚におけるHS6ST発現の確認
孵卵2〜5日のニワトリ胚を4%のパラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝生理食塩水で常法に従って固定した。配列番号6記載の塩基配列のうち、PstI-EcoRI断片(塩基番号945〜塩基番号1679からなる断片)を鋳型としてRNAポリメラーゼを用いて転写を行い、デゴキシジェニンで標識したRNAを合成してプローブとした。このプローブを発生段階の異なるニワトリ胚にハイブリダイズさせた後、アルカリホスファターゼを付加した抗ディオキシジェニン抗体を反応させ、更にアルカリホスファターゼの基質を添加して発色させることによりmRNAの発現部位を観察した。
【0069】
その結果、HS6ST遺伝子は脳の神経上皮、頭部の神経冠細胞、肢芽、尾芽などで強く発現していることが判明した。
【0070】
【発明の効果】
本発明により、ヘパラン硫酸及びヘパリンに含まれる6位が硫酸化されていないN−硫酸化グルコサミン残基の6位の水酸基に硫酸基を選択的に転移するヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素(HS6ST)のポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAが得られる。また更に該DNA由来のDNA断片から発現されるポリペプチドが得られる。
【0071】
本発明により、HS6STのポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAが得られたので、HS6STを工業的に使用可能な程度まで大量生産できることが期待される。
【0072】
【配列表】
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【0073】
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【0074】
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【0075】
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【0076】
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【0077】
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【0080】
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【0091】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 HS6STを酵素処理して得られたペプチド断片とそれを基に合成されたオリゴヌクレオチドプライマー。
【図2】 ヒト由来のHS6STのアミノ酸配列から作成したハイドロパシープロット。
【図3】 1次スクリーニングで得られたチャイニーズハムスター由来のHS6STcDNA断片とヒト由来のHS6ST完全長cDNAの相当部分との比較。両配列間の記号の「*」及び「.」はそれぞれ一致及び相違することを示す。

Claims (1)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
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