JP4590434B2 - ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼを含有する硫酸基転移剤 - Google Patents
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Description
Annu. Rev. Biochem. 60, 443-475)。
するcDNAをクローニングし、該cDNAに由来する断片を用いて、ヒトのcDNAライブラリーより該酵素をコードするcDNAのクローニングに成功し、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びその部分ポリペプチド(以下、まとめて「本発明ポリペプチド」ともいう)、並びにヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼの少なくとも一部をコードするDNA(以下、「本発明DNA」ともいう)を提供するに至った。
(1)作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
約50000〜55000ダルトン
本発明DNAは、上記グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードするDNAである。好ましくは、配列番号2においてアミノ酸番号1〜479またはアミノ酸番号20〜479で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、さらに好ましくは、配列番号1に示す塩基配列の少なくとも一部またはすべてを有する。
<1>本発明ポリペプチド
本発明ポリペプチドは、下記の理化学的性質を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含む。
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
約50000〜55000ダルトン
また、本発明ポリペプチドはII型膜タンパク質であることが好ましい。
また、本発明のポリペプチドは、上記の理化学的性質(2)の基質特異性において、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位のみでなく、4位にも硫酸基を転移する活性を持ち、コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する活性(C6ST活性)と、4位に硫酸基を転移する活性(C4ST活性)との比の値(C6ST活性/C4ST活性)は、15〜20程度である。
れるものではない。いずれのメチオニンがN末端であるにしても、また、NH2-ターミナルシグナルペプチド配列の存在の有無に拘わらず、配列番号2に示すアミノ酸配列は、グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドを含んでいる。
本発明DNAは、本発明により初めて単離されたヒト由来のDNAであり、上記のヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードしている。
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
約50000〜55000ダルトン
また上記ポリペプチドは、上記(1)〜(4)の理化学的性質に加え、さらにアミノ酸残基が460〜479残基であるものが好ましい。
本発明のDNAは、その塩基配列が本発明により明らかにされたので、その配列に基づいて合成し、あるいはその配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法)によってヒト染色体DNAあるいはmRNAから本発明DNAを増幅することによって、取得することも可能である。なお、本発明DNAは、後記実施例に示すように、以下に示す各工程からなるcDNAクローニングによって、初めて得られたものである。
(i)ニワトリ胚軟骨細胞から精製したC6STの部分アミノ酸配列の決定
(ii)そのアミノ酸配列に基づいたPCR用オリゴヌクレオチドプライマーの作製
(iii)ニワトリ胚の軟骨細胞由来のポリ(A)+RNAからのC6ST部分cDNAのPCR法による増幅
(iv)ニワトリ胚の軟骨細胞由来のcDNAライブラリーからのC6ST完全長cDNAの選択
(i)上記(1)(iv)で単離されたcDNAの塩基配列解析結果に基づくヒトcDNAライブラリーのスクリーニング用プローブの作製
(ii)そのプローブを用いた、ヒト由来のC6STをコードするcDNAクローンのスクリーニング
(iii)得られたcDNAの塩基配列解析
(1)ニワトリC6STの部分アミノ酸配列の決定及びPCR用プライマーの調製
(i)ニワトリC6STの精製
コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼは、ニワトリ胚由来の軟骨細胞等、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼを発現する培養細胞から、通常のタンパク質の精製方法、及び通常のスルホトランスフェラーゼの精製方法を組み合わせることによって精製することができる。具体的には、J. Biol. Chem. 268,(29),21968-21974,(1993)に記載された方法に従って行うことが好ましい。尚、スルホトランスフェラーゼ活性の測定法、及び硫酸基を転移する位置を調べる方法は、実施例中の酵素活性測定法に詳述した。
精製したC6STには糖鎖が結合していることが知られているので、この糖鎖を除去するために精製C6STをN−グリカナーゼ等の糖鎖分解酵素で消化する。これにより脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等に付して分離し、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride; PVDF)膜やニトロセルロース膜等に転写する。この膜をクマシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラック等のタンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを切り出して、脱グリコシル化されたC6STのアミノ酸配列決定に用いる。また、C6STの内部アミノ酸配列を決定する場合は、脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE等に付して分離し、ゲルをクマシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラックのようなタンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを切り出して断片化に用いる。
C6STの部分的アミノ酸配列が決定されたら、そのアミノ酸配列に基づいてPCR用オリゴヌクレオチドプライマーを作製することができる。アミノ酸配列のうち、なるべくコドンの縮重の少ない部位を用いるとよい。
(i)全RNAの調製
全RNAは、公知の方法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York 等)で得ることができる。材料は、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼのmRNAを発現している材料であれば限定されないが、取扱いの容易さ、および増殖可能な点で培養細胞が好ましい。培養細胞の中でも特にニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)が好ましい。軟骨細胞は、公知の方法(Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1976) J. Biol. Chem. 251, 6210-6217、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1977) J.Biol. Chem. 252, 8292-8299、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1980) J. Biol. Chem. 255, 1586-1597等)で培養することができる。培地としては、培養細胞が生育可能な培地であれば特に限定されないが、ダルベッコ改変イーグル培地等が通常の培養で良く用いられ、入手も容易であり、なおかつ該培養細胞が生育可能であることから好ましい。培地のpHは中性域、特にpH7.0に調整することが好ましい。培地には2g/l程度の D-グルコースを加えることが好ましい。また、微生物の生育を防ぐため、ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加することが好ましい。また、培地に10%のウシ胎仔血清を加えることが好ましい。
in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)で調製するのが好ましい。
poly(A)+RNAは、上記のようにして得られた全RNAから、オリゴdT(oligo-(dT))セルロースカラムクロマトグラフィーなどによって精製することができる。
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーを用いた逆転写PCR(ポリメラーゼチェインリアクション)により、C6ST部分的cDNAを増幅することができる。PCRは、通常の方法と同様にして行えばよいが、具体的方法を示せば以下の通りである。1μgのポリ(A)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3a、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL))、1mM ジチオスレイトール、120単位のRNaseインヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液(終体積20μl)を、37℃で60分間インキュベートし、cDNA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転写反応混合液10μl、オリゴヌクレオチドプライマー(センス、アンチセンスそれぞれ50pmol)、それぞれ100μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、2.5単位のTaqポリメラーゼを含む反応液(終体積100μl)に対し、94℃1分間、45℃1分間、55℃3分間からなる反応サイクルを30サイクル行う。
(i)cDNAの合成と組換えDNAの作製
cDNAは、poly(A)+RNAを鋳型とした逆転写酵素反応により合成することができる。市販のcDNA合成用キットを用いるのが便利である。例えばTimeSaver cDNA synthesis kit(ファルマシアLKBバイオテクノロジー)を用いると、cDNAの合成、およびcDNAをクローニングベクター(例えばEcoRI消化したλgt11)に連結させることができる。本発明においてもEcoRI消化したλgt11を用いることが好ましい。なお、逆転写酵素反応のプライマーとしては、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いることが好ましい。cDNAをクローニングベクターに結合させることによって得られた組換えDNAは、宿主細菌細胞中に導入(トランスフェクション)する。用いる宿主細菌細胞は、用いるクローニングベクターにより選択する必要があるが、通常は大腸菌(エシェリキア・コリ:Escherichia coli(E. coli))を宿主とするクローニングベクターと大腸菌との組み合わせが頻用されている。
in vitroパッケージングした組換えDNAは、大腸菌にトランスフェクションするが、用いるクローニングベクターによって用いる大腸菌株を選択する必要がある。すなわち、抗生物質耐性遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、大腸菌に抗生物質に耐性の性質があってはいけない。また、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)等の遺伝子を含むクローニングベクターを用いる場合は、β−ガラクトシダーゼ活性を発現しない大腸菌を選択する必要がある。このことは、組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌をスクリーニングするために必要なことである。例えば、クローニングベクターにλgt11を用いる場合、E. coli Y1088等のβ−ガラクトシダーゼ活性を発現しない大腸菌株を選択すれば良い。組換えベクターが導入された大腸菌は、抗生物質に対する耐性の獲得や、β−ガラクトシダーゼ活性の獲得等によりスクリーニングできる。具体的には、大腸菌を寒天培地にまき、生育したコロニーを選択すれば良い。生育した大腸菌(組換えDNAがトランスフェクションされた大腸菌)は、cDNAライブラリーを構成する。ベクターにλgt11を用いた場合は、指示菌とともに軟寒天培地に懸濁し、寒天培地上に重層してプラークを形成させればよい。DNA断片が挿入されたベクターを保持するファージプラークは、β−ガラクトシダーゼ活性を発現しないので、容易に選択することができる。
次に、上記のようにして得られたcDNAライブラリーから、C6ST完全長cDNAを有するファージクローンを、C6ST部分的cDNAをプローブとしてハイブリダイゼーションにより選択することができる。ハイブリダイゼーションは、通常の方法に従って行えばよい。
(i)ハイブリダイゼーション用プローブの作成
上記のようにして得られたヒト以外の生物由来のC6STのcDNAを用いて、ランダムプライマーラベル法により[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリースクリーニングのための放射性プローブを作成できる。すなわち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligonucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)を用いて放射性標識DNAプローブを得ることができる。
ヒト由来の組織あるいは細胞から全RNAを調製し、該全RNAからpoly(A)+RNAを調製し、該poly(A)+RNAを鋳型とした逆転写酵素反応により、ヒト由来cDNAは合成することができる。これらは全て、遺伝子工学分野で通常用いられている方法により行うことができる。具体的には、前記(2)及び(3)に記載したのと同様に行ええばよい。
上記のようにして得られたヒト由来cDNAライブラリーから、C6ST完全長cDNAを有するファージクローンを上記(i)で作成した[32P]dCTPで標識した放射性プローブを用いたハイブリダイゼーションにより選択することができる。ハイブリダイゼーションは遺伝子工学分野で通常用いられる手法、例えばプラークハイブリダイゼーション等により行うことができる。プローブとハイブリッドを形成したプラークは、プローブに結合した標識物質を検出することにより、陽性クローンとして単離することができる。
選択された陽性クローンから、ファージDNAを調製し、適当な制限酵素で切断することによって、C6STcDNAを切り出すことができる。得られたcDNAは、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクローニングして、塩基配列を決定することができる。
供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基及び/またはガラクトース残基に転移する活性は、例えば、前記の酵素活性測定法によって測定することができ、当業者は活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を容易に識別することができる。
スルホトランスフェラーゼ活性は次のようにして測定した。反応液組成は以下の通りとした。2.5μmolのイミダゾール−塩酸,pH6.8,1.25μgのプロタミン塩酸、0.1μmolのジチオスライトール、25nmol(グルクロン酸の量として)のコンドロイチン(生化学工業(株))、50pmolの[35S]PAPS(アデノシン3’-リン酸,5’-ホスホ硫酸)、及び酵素を含む50μl。
水酸化アンモニウム(2:3:1(V/V/V))で20時間展開した。
<1>ニワトリ胚由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの調製およびアミノ酸配列分析
(1)コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの調製
ニワトリ胚の軟骨細胞を、培養皿に5.6×104 個細胞/皿となるように接種し、2g/LのD−グルコース、100ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むpH7.0に調整したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、7 vol%CO2、93 vol%空気、38℃の条件下で11日間培養した。培養開始から2、4、7、9、10日目に、pH7.4の新鮮な培地に交換した。
その結果、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの比活性は4.3×105ユニット/mgであり、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ活性/コンドロイチン6−トランスフェラーゼ活性の比は0.02であった。
上記測定系におけるC6STの至適反応pHはおよそ6.4であった。
精製したC6STをN−グリカナーゼで消化した。すなわち、1ml(タンパク質として10μg)のC6ST溶液に200μlのトリクロロ酢酸を加え、氷上に30分置いた後、10,000×gで20分遠心分離した。沈澱を1mlのアセトンで2回洗浄し、真空デシケータで乾燥した。乾燥されたC6STタンパク質を0.5% SDSを含む0.15M トリス−塩酸(pH7.8)10μlに溶解し、100℃で3分加熱した後、冷却し、5μlの7.5%(w/v)ノニデットP−40,1.2μlの0.25M EDTA(pH8),0.3μlのフェニルメタンスルホフォニルフルオライド,10.5μlの水,及び3μl(0.75単位)のリコンビナントN−グリカナーゼ(ジェンザイム(Genzyme)社製)を加えた。混合液を37℃で12時間インキュベートし、脱グリコシル化反応を行った。
(1)PCR用プライマーの作製
上記のようにして決定されたアミノ酸配列に基づいて、cDNAライブラリーからC6STcDNAクローンをPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを作製した(表2)。2種類のセンスプライマー(プライマー1s及び2s)は完全なニワトリ胚C6STタンパク質(75kDa)から得られたアミノ配列(配列番号5)に基づいてデザインし、アンチセンスプライマー(プライマー3a)はプロテアーゼ消化で得られたペプチド(19kDa)から得られたアミノ酸配列(配列番号6)に基づいてデザインし、各ヌクレオトドプライマーを合成した。
全RNAは、公知の方法(Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1976) J. Biol. Chem. 251, 6210-6217、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1977) J.Biol. Chem. 252, 8292-8299、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1980) J. Biol. Chem. 255, 1586-1597)で10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で11日間培養したニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)から、グアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)により調製した。得られた全RNAからポリ(A)+RNAを、オリゴ(dT)セルロースカラムクロマトグラフィーにより精製した。
上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチド3aをプライマーとして用いた逆転写反応によりcDNA一次鎖を合成した。逆転写反応は、終体積20μlに1μgのポリ(A
)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3a、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL)製)、1mM ジチオスレイトール、120単位のRNase インヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液を、37℃で60分間インキュベートすることにより行った。
(1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製
上記PCR増幅断片を回収し、HindIIIおよびEcoRIで消化し、プラスミドベクターであるブルースクリプト(Bluescript、ストラタジーン(Stratagene)製)のこれらの制限酵素切断部位にサブクローニングした。サブクローンはT3プライマー(T3 primer)もしくはM13-20プライマーを用いた配列決定により確認した。
次に、C6STのコード領域全長を含むcDNAを得るために、ラムダベクターλgt11を用いてcDNAクローニングを行った。
上記のようにして得られたλgt11cDNAライブラリーのプラーク約5×105 個について、スクリーニングを行った。プラークを市販のナイロン膜(Hybond N+ nylon membrane、アマシャム社製)に転写し、製品に添付されている説明書中で推奨されているアルカリ固定法によりファージDNAをナイロン膜に固定した。
NaH2PO4(pH7.4), 150mM NaCl, 1mM EDTA)、5×Denhardt's solution(1×Denhardt's
solutionの組成:0.02%フィコール400、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02% BSA)、
0.5% SDS、0.04mg/mlの変性サケ精子DNA、0.004mg/mlの E. coli DNAを含む溶液中で、3.5時間、42℃でプレハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、32P標識したプローブを含む上記と同じ緩衝液中で16時間、42℃で行った。続いて、フィルターを1×SSPE、0.1% SDS中、次いで0.1×SSPE、0.1% SDS中で、55℃で洗浄した後、オートラジオグラフィーによりハイブリダイゼーション陽性クローンを検出した。5×105個のプラークから約90個の陽性クローンが得られた。
ハイブリダイゼーション陽性λgt11クローンから16個の独立クローンを選択し、各々ファージDNAを調製し、ベクターDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り出すEcoRIで切断した。これらのcDNA断片をブルースクリプトにサブクローニングした。これらのcDNA断片のうち、もっとも長い断片(2.3kb)のヌクレオチド配列を決定した。
(1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製
前記<3>(4)で得られた、ニワトリ胚由来CS6TのcDNAをランダムプライマーラベル法により[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリースクリーニングのための放射性プローブを作成した。すなわち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligonucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)を用いて放射性標識することによって得た。
ヒトC6STのコード領域全長を含むcDNAを得るために、ラムダベクターλgt11が組み込まれたヒト胎児脳cDNAライブラリー(Clontech)を用いた。
cDNAクローニングは前記<3>(3)と同様にして、λgt11cDNAライブラリーのプラークから行った。すなわち、プラークを市販のナイロン膜(Hybond N+ nylon membrane、アマシャム社製)に転写し、アルカリ固定法によりファージDNAをナイロン膜に固定した。
上記により得られた陽性λgt11クローンから独立クローンを選択し、各々ファージDNAを調製し、ベクターDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り出すEcoRIで切断した。これらのcDNA断片をブルースクリプトにサブクローニングした。
ヒトC6STcDNAを発現させるために、発現ベクターにcDNA断片を挿入し、組換えプラスミドを構築した。発現ベクターには、哺乳類細胞用発現ベクターpCXN2(東京大学の宮崎純一博士により構築され(Niwa, H., Yamamura, K., and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193-200)、東京都臨床医学総合研究所の橋本康弘博士より恵与された)を用いた。pCXN2は、ストレプトマイシン耐性遺伝子及びペニシリン耐性遺伝子を有し、EcoRI部位に挿入されたDNA断片をβ−アクチン遺伝子プロモーターにより発現させることができるベクターである。pCXN2のEcoRI部位へ2354bpのcDNA断片(配列番号1に示す塩基配列を含む)を連結させた。E. coli JM109を、この連結反応液を用いて形質転換し、アンピシリンを含むLB プレートに塗布した。形質転換体から組換えプラスミドを回収し、3回のCsCl/エチジウムブロマイド平衡遠心により精製した。ベクターのプロモーターの向きとcDNAの向きが一致している組換えプラスミドをpCXNhC6ST、cDNAが逆向きに挿入されている組換えプラスミドをpCXNhC6ST2と名付けた。cDNAの向きは、BamHIを用いた制限マッピングにより解析した。
ヒトC6STcDNAの発現の宿主にはCOS−7細胞を用いた。COS−7細胞(理研細胞バンク(筑波)から入手した)を8×105 細胞/皿の密度で直径100 mmの培養皿にまいた。培養液には、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%ウシ胎仔血清(ギブコBRL製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を培養皿1枚当たり10ml用い、5vol%CO2、95vol%空気中で37℃で培養した。
上記細胞を、CO2インキュベーター中で4時間インキュベートした後、培養液を5mlの10%ジメチルスルホキシドを含むPBS溶液で置換した。この細胞を室温で2分間放置した後、ジメチルスルホキシド溶液をアスピレートにより除去し、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%ウシ胎仔血清を含む25mlのDMEMを加えた。この細胞を67時間インキュベートした後、DMEMのみで洗浄した。細胞を集めて、培養皿1枚分の細胞当たり1.5mlの0.25M スクロース、10mM Tris-HCl,pH7.2、及び0.5% Triton
X-100中でダウンスホモジナイザー(Dounce homogenizer)によりホモジナイズした。得られたホモジネートを10,000×gで20分間遠心し、上清分画中のC6ST活性、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ(C4ST)活性及びケラタン硫酸スルホトランスフェラーゼ(KSST)活性を測定した。これらの活性は、硫酸基受容体としてのコンドロイチンまたはケラタン硫酸の存在下または非存在下で測定した。また、発現プラスミドでトランスフェクトしてないCOS−7細胞についても同様に行った。結果を表3に示す。
Claims (2)
- 下記の理化学的性質を有するヒト胎児脳由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの存在下、硫酸基供与体をグリコサミノグリカンに作用させることを特徴とする、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基の4位に対する硫酸基の転移方法;
(1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
(2)基質特異性:コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位及び4位に硫酸基を転移する。ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
(3)分子量:約50000〜55000ダルトン
(4)アミノ末端側に疎水性の膜貫通ドメインを有する。 - 下記の理化学的性質を有するヒト胎児脳由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの存在下、硫酸基供与体をグリコサミノグリカンに作用させるステップを少なくとも含む、N−アセチルガラクトサミン残基の4位に硫酸基が転移されたグリコサミノグリカンの製造方法;
(1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移する。
(2)基質特異性:コンドロイチンのN−アセチルガラクトサミン残基の6位及び4位に硫酸基を転移する。ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。
(3)分子量:約50000〜55000ダルトン
(4)アミノ末端側に疎水性の膜貫通ドメインを有する。
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