JP4451036B2 - 新規コンドロイチン合成酵素 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なコンドロイチン合成酵素、これをコードするDNA、このDAを含むベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、前記コンドロイチン合成酵素の製造方法、GalNAc又はGlcNAcを含有する糖鎖の製造方法、及び前記コンドロイチン合成酵素に関するハイブリダイゼーション用プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本明細書において共通して用いる記号や略称等は以下の通りである。
GalNAc:N-アセチル-D-ガラクトサミン
GlcUA:D-グルクロン酸
GlcNAc:N-アセチル-D-グルコサミン
Gal:ガラクトース
Xyl:キシロース
UDP:ウリジン 5'-二リン酸
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
Ser:セリン
GAG(またはGAGs):グリコサミノグリカン
GalNAcT:コンドロイチンβ1,4-N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ
GlcAT:β1,3-グルクロニルトランスフェラーゼ
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
MES:2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸
【0003】
コアタンパク質に少なくとも1つのGAG鎖が共有結合したコンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカンは、結合組織の細胞外マトリクスに広く存在する構成成分であり、多くの細胞種の細胞表面や細胞内の分泌顆粒にも存在している。GAG鎖は、組織特異的に、また発生学的に調節された発現を示し、細胞増殖、細胞分化および組織の形態の調節および維持にも関係している(文献1〜3)。特に、最近のコンドロイチン/デルマタン硫酸鎖の研究により、発生中の哺乳類の脳における神経ネットワークの形成に重要な役割を果たしていることが示されてきており、注目されている(文献4および5)。
【0004】
コンドロイチン/デルマタン硫酸は、ヘパリン/ヘパラン硫酸と同様に、いわゆるGAG−タンパク質リンケージ部位(コアタンパク質のSer残基に結合したGlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-;コンドロイチン/デルマタン硫酸およびヘパリン/ヘパラン硫酸を含むGAGsに共通する)において合成される(文献6および7)。リンケージ部位の合成は、SerへのXylの付加に始まり、2つのGal残基の付加がこれに続き、GlcUAの付加によって完了するがそれぞれの反応は、それぞれ特異的なグリコシルトランスフェラーゼによって触媒されている(文献6および7)。GAGsは、このリンケージ部位にN−アセチルヘキソサミンおよびGlcUAが交互に付加することによって構築される。コンドロイチン/デルマタン硫酸は、前記の共通のリンケージ部位にGalNAcが最初に転移されることによって合成され、ヘパリン/ヘパラン硫酸は、GlcNAcが最初に転移されることによって合成される。よって、最初のヘキソサミンの転移は、コンドロイチン/デルマタン硫酸およびヘパリン/ヘパラン硫酸鎖が共通のリンケージ部位に選択的に構築されるための決定的なステップであると考えられている。しかしこの生合成メカニズムは、長い間、従来の構造的、酵素学的な研究に基づいて提唱されてきているものであり(文献7)、この役割を果たすグリコシルトランスフェラーゼは分子的にクローニングされていなかった。特に、異なる種類のGAG鎖の、選択的な鎖の生合成の基礎となる分子メカニズムは、ヘパリン/ヘパラン硫酸については最近関係するグリコシルトランスフェラーゼのcDNAクローニングによって明らかにされたものの(文献8)、長い間謎のままとされていた。
【0005】
ヘパリン/ヘパラン硫酸の生合成に関与するグリコシルトランスフェラーゼのcDNAクローニングによって、EXT遺伝子ファミリーがその生合成に関与していることが示された(文献8)。ヒトEXT1およびEXT2タンパク質の両方が、GlcUAおよびGlcNAcを交互に重合させるヘパラン硫酸共重合酵素であることが示されており(文献9〜11)、ヒトEXTL1タンパク質はヘパラン硫酸鎖の延長に関与するGlcNAcトランスフェラーゼIIであり(文献12)、ヒトEXTL2タンパク質は、共通するGAG−タンパク質リンケージ部位におけるヘパラン硫酸合成を決定づけ、開始させるGlcNAcトランスフェラーゼIであり(文献13)、ヒトEXTL3タンパク質は、GlcNAcトランスフェラーゼIとIIの両方の活性を有することが示されている(文献12)。
【0006】
これに対し、コンドロイチン硫酸鎖の構築のメカニズムは完全には明らかにされていない。我々は最近、コンドロイチン硫酸の繰返し二糖単位の生合成を担うGlcUAトランスフェラーゼII(GlcAT-II)およびGalNAcトランスフェラーゼII(GalNAcT-II)活性を有するコンドロイチン合成酵素(以下、この酵素を「コンドロイチン合成酵素1」という)をコードするcDNAをクローニングした(文献15)。2つのグリコシルトランスフェラーゼ活性を有する単一のタンパク質は、EXT1およびEXT2によってコードされるヘパラン硫酸共重合酵素を想起させるものである。しかしながら、組換えヒトコンドロイチン合成酵素の受容体基質特異性の解析により、この酵素は共通のGAG−タンパク質リンケージ部位におけるコンドロイチン硫酸合成を決定づけ、開始させるGalNAcトランスフェラーゼI(GalNAcT-I)ではなく(文献16)、ヒトゲノム中にはGalNAcT-Iをコードする少なくともあと1つの他の遺伝子が存在すると考えられた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンドロイチンの生合成の引き金となる新規なコンドロイチン合成酵素、これをコードするDNAを含むベクター、このベクターによって形質転換された形質転換体、前記コンドロイチン合成酵素の製造方法、GalNAc又はGlcNAcを含有する糖鎖の製造方法、及び前記コンドロイチン合成酵素に関するハイブリダイゼーション用プローブを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者はデータベースを鋭意検索することにより、コンドロイチン/デルマタン硫酸鎖の選択的な生合成(すなわち開始および延長)を担うキーエンザイムであるGalNAcトランスフェラーゼ(ヒト由来の新規なコンドロイチン合成酵素)をコードするDNAの候補を見出すのに成功した。そして候補DNAを実際に発現させることにより、候補DNAがコンドロイチン生合成の引き金となるコンドロイチン合成酵素をコードするDNAであることを確認し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)下記(A)又は(B)のタンパク質(以下、「本発明タンパク質」または「コンドロイチン合成酵素2」という。)。
(A)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)上記(A)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質。
(イ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を実質的に有しない。(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を示す。)
(2)前記(イ)及び(ロ)に加え、さらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有することを特徴とする、(1)に記載のタンパク質。
(ハ)α−トロンボモジュリンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ニ)GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を、Galはガラクトース残基を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を、Cbzはベンジルオキシカルボニル基を示す。)
(3)前記(A)のタンパク質が、配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、(1)又は(2)に記載のタンパク質。
(4)前記(A)のタンパク質が、配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質である、(1)又は(2)に記載のタンパク質。
(5)前記(A)のタンパク質が、配列番号2におけるアミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、(1)又は(2)に記載のタンパク質。
(6)タンパク質が可溶性のタンパク質である、(1)〜(5)のいずれか1つに記載のタンパク質。
(7)下記(a)〜(c)のいずれかのDNAを保持するベクター(以下、本発明ベクターという)。
(a)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(イ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を実質的に有しない。(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を示す。)
(8)前記(イ)及び(ロ)に加え、さらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するタンパク質をコードするDNAを保持することを特徴とする、(7)に記載のベクター。
(ハ)α−トロンボモジュリンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ニ)GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を、Galはガラクトース残基を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を、Cbzはベンジルオキシカルボニル基を示す。)
(9)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAである、(7)又は(8)に記載のベクター。
(10)アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAである、(9)に記載のベクター。
(11)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAである、(7)又は(8)に記載のベクター。
(12)アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAと他のペプチド又はポリペプチドをコードするDNAとの連結物である、(11)に記載のベクター。
(13)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAである、(7)又は(8)に記載のベクター。
(14)アミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250で示されるDNAである、(13)に記載のベクター。
(15)タンパク質が、可溶性のタンパク質である、(7)〜(14)のいずれか1つに記載のベクター。
(16)発現ベクターである、(7)〜(15)のいずれか1つに記載のベクター。
(17)(7)〜(16)のいずれか1つに記載のベクターによって宿主が形質転換された形質転換体(以下、本発明形質転換体という)。
(18)(17)に記載の形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法(以下、本発明酵素製造方法という)。
(19)(1)〜(6)のいずれか1つに記載のタンパク質を含有する、N−アセチルガラクトサミン含有糖鎖合成用試薬(以下、本発明試薬という)。
(20)(19)に記載の試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(2)で示される糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法1という)。
GlcUA-GalNAc-R1 (1)
GalNAc-GlcUA-GalNAc-R1 (2)
(各式中、GlcUA及びGalNAcは、いずれも前記と同義である。 - はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
(21)(19)に記載の試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(3)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(4)で示される糖鎖の製造方法(以下、本発明糖鎖製造方法2という。また、本発明糖鎖製造方法1及び2を合わせて「本発明糖鎖製造方法」という)。
GlcUA-Gal-R1 (3)
GalNAc-GlcUA-Gal-R1 (4)
(各式中、GlcUA、GalNAc及びGalは、いずれも前記と同義である。 - はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
(22)配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250で示される塩基配列又はその一部に相補的な配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ(以下、本発明プローブという)。
(23)下記(A)又は(B)のタンパク質(以下、「コンドロイチン合成酵素3」ともいう)。
(A)配列番号6におけるアミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)上記(A)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質。
(イ)下記で示されるコンドロイチン7糖に、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を有する。
GalNAc-(GlcUAβ1-3GalNAc)3
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を実質的に有しない。(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(24)前記(A)のタンパク質が、配列番号6におけるアミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、(23)に記載のタンパク質。
(25)前記(A)のタンパク質が、配列番号6におけるアミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質である、(23)に記載のタンパク質。
(26)前記(A)のタンパク質が、配列番号6におけるアミノ酸番号1〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である、(23)に記載のタンパク質。
(27)タンパク質が可溶性のタンパク質である、(23)〜(26)のいずれか1つに記載のタンパク質。
(28)下記(a)〜(c)のいずれかのDNAを保持するベクター。
(a)配列番号6におけるアミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号2におけるアミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(イ)下記で示されるコンドロイチン7糖に、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を有する。
GalNAc-(GlcUAβ1-3GalNAc)3
(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GlcUAはグルクロン酸残基を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を実質的に有しない。(UDPはウリジン 5'-二リン酸を、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン残基を示す。)
(29)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAである、(28)に記載のベクター。
(30)アミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが、配列番号5におけるヌクレオチド番号1685〜3829で示されるDNAである、(29)に記載のベクター。
(31)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAである、(28)に記載のベクター。
(32)アミノ酸番号58〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号1685〜3829で示されるDNAと他のペプチド又はポリペプチドをコードするDNAとの連結物である、(31)に記載のベクター。
(33)前記(a)のDNAが、アミノ酸番号1〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAである、(28)に記載のベクター。
(34)アミノ酸番号1〜772で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが、配列番号5におけるヌクレオチド番号1514〜3829で示されるDNAである、(33)に記載のベクター。
(35)タンパク質が、可溶性のタンパク質である、(28)〜(34)のいずれか1つに記載のベクター。
(36)発現ベクターである、(28)〜(35)のいずれか1項に記載のベクター。
(37)(28)〜(36)のいずれか1つに記載のベクターによって宿主が形質転換された形質転換体。
(38)(37)に記載の形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法。
(39)(23)〜(27)のいずれか1つに記載のタンパク質を含有する、グルクロン酸含有糖鎖合成用試薬。
(40)(39)に記載の試薬を、GlcUA供与体及び下記一般式(5)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(6)で示される糖鎖の製造方法。
GalNAc-R1 (5)
GlcUA-GalNAc-R1 (6)
(各式中、GlcUA及びGalNAcは、いずれも前記と同義である。 - はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
(41)配列番号5におけるヌクレオチド番号1514〜3829で示される塩基配列又はその一部に相補的な配列を有するハイブリダイゼーション用プローブ。
【0010】
【発明の実施の形態】
<1>本発明タンパク質
本発明タンパク質は、下記(A)又は(B)のタンパク質である。
(A)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質。
(B)上記(A)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質。
(イ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を実質的に有しない。
【0011】
ここで、コンドロイチンはGlcUAとGalNAcの繰り返し二糖単位からなるポリマーであり、その非還元末端がGlcUAであるものとGalNAcであるものとの双方を含んでいる。そしてGalNAcの転移は、非還元末端がGlcUAであるコンドロイチンに対するものであるといえる。
【0012】
後記実施例に記載したように、配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質は、コンドロイチン合成酵素の酵素活性を有することが確認されている。また配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜41で示されるアミノ酸配列の部分は、膜貫通領域を含むと考えられる。よって、アミノ酸番号1〜41で示されるアミノ酸配列を含まないタンパク質とすることにより、可溶性の本発明タンパク質(コンドロイチン合成酵素)とすることができる。可溶性のタンパク質とは、通常には膜貫通ドメインを有さないタンパク質であり、発現させたときに水や緩衝液などの水性溶媒等に可溶なタンパク質を意味する。可溶性のタンパク質は精製が容易なことから好ましいものである。
【0013】
本発明タンパク質は、このような可溶性のタンパク質であることが好ましい。なかでも、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であることが好ましい。
【0014】
また、配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質は、このタンパク質と、マーカーペプチド、シグナルペプチドなどのペプチドや、他の機能を有するポリペプチドとの融合タンパク質であってもよい。例えばマーカーペプチドとの融合タンパク質は、本発明タンパク質を精製等する場合には特に好ましい。このようなマーカーペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えばプロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となり、インスリンシグナル配列等と融合させれば酵素を細胞外(培地等)に分泌させることができる。また、他の機能を有するポリペプチドとの融合タンパク質とすることにより、本発明タンパク質が有するコンドロイチン合成酵素としての機能と、他のポリペプチドの機能とを併せ持ったタンパク質とすることができる点でも好ましい。他のポリぺプチドとしては、例えばコンドロイチン合成酵素1、コンドロイチン合成酵素3、硫酸基転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。またウロン酸のエピメラーゼ(C5エピメラーゼ)との融合タンパク質とすると、デルマタン硫酸の製造にも応用することもできる。
【0015】
このように、前記(A)のタンパク質は、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質であることが好ましい。
【0016】
もちろん本発明タンパク質は、必要に応じてアミノ酸番号1〜41で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質としてもよい。すなわち、前記(A)のタンパク質として、アミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質を採用してもよい。
【0017】
また、天然に存在するタンパク質には、それをコードするDNAの多形や変異の他、生成後のタンパク質の細胞内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理学的・生物学的活性を示すものがあることが知られている。このように構造的に若干の差違があってもその機能については大きな違いが認められないタンパク質も、本発明タンパク質に包含される。人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。
【0018】
また、アミノ酸配列中におけるアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位を引き起こすために、人工的にDNAの塩基配列中の塩基を置換、欠失、挿入又は転位させることもできる。
【0019】
このような、DNAの塩基列中の塩基の置換、欠失、挿入又は転位は、例えば、変異点を含んでおりかつ両端に制限酵素切断末端を有する配列を合成し、未変異のDNAが有する塩基配列の対応する部分と入れ換えることによって導入することができる。また、部位特異的変異法(Kremer, W. and Frits, H. J., Meth. In Enzymol., 154, 350(1987); Kunkel, T.A. et al., Meth. In Enzymol., 154, 367(1987))などの方法によっても、DNAに塩基の置換、欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0020】
また、ある種のタンパク質では、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、または活性型タンパク質への転換に際して除去される。このようなタンパク質は、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するタンパク質である。このようなタンパク質として上記(B)のタンパク質が挙げられる。
【0021】
なお本明細書における「数個のアミノ酸」とは、後述する(イ)及び(ロ)の触媒活性が失われない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、例えば600アミノ酸残基程度からなるタンパク質の場合、3〜30程度、好ましくは3〜15、より好ましくは3〜8の数を示す。
【0022】
前記(イ)及び(ロ)の触媒活性は、グリコシルトランスフェラーゼの一般的なアッセイ方法によって検出することができる。
具体的には、後記実施例に示すように、UDP-GalNAcを供与体として用い、コンドロイチンへのGalNAcの転移反応を利用した測定方法によって測定できる。よって当業者であれば、これらの転移活性の有無を指標として、当該活性を実質的に害さない1つ以上の、特に1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を容易に選択することができる。
【0023】
なお、ここで用いるコンドロイチンには、非還元末端がGlcUAであるものとGalNAcであるものとの双方が含まれること、および本発明タンパク質の作用によってGalNAcが転移されるコンドロイチンは、非還元末端がGlcUAであるコンドロイチンであることは、前記した通りである。
【0024】
また、前記(B)のタンパク質は、前記(イ)及び(ロ)に加えて、さらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有することが好ましい。
(ハ)α−トロンボモジュリンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。なお、α−トロンボモジュリンには、GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylからなる4糖が含まれている。
(ニ)GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
【0025】
前記(ハ)及び(ニ)の触媒活性も、前記と同様にグリコシルトランスフェラーゼの一般的なアッセイ方法によって検出することができる。詳細は実施例を参照されたい。
【0026】
本発明タンパク質は、本明細書によってそのアミノ酸配列や性質等が開示されたので、これをもとに遺伝子工学的手法や化学合成法などの種々の方法により製造することができる。なかでも、後述する本発明製造方法によることが簡便であり、好ましい。
【0027】
<2>本発明ベクター
本発明ベクターは、下記(a)〜(c)のいずれかのDNAを保持するベクターである。
(a)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または転位したアミノ酸配列を含み、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)上記(a)に記載のDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ下記(イ)及び(ロ)の性質を有するタンパク質をコードするDNA。
(イ)コンドロイチンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(ロ)コンドロイチンに、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を実質的に有しない。
【0028】
ここで、本発明ベクターに保持される上記(a)〜(c)のDNAとして、遺伝暗号の縮重による種々の異なった塩基配列を有するDNAが存在することは、当業者であれば容易に理解されるところである。
【0029】
上記(a)のDNAによってコードされるタンパク質の説明は、前記の「<1>本発明タンパク質」における(A)のタンパク質の説明と同じである。
【0030】
また、上記(b)及び(c)のDNAは、(a)のDNAによってコードされるタンパク質と一次構造的には異なるが、同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAを包含せしめる趣旨である。(b)及び(c)のDNAによってコードされるタンパク質に関する説明は、前記の「<1>本発明タンパク質」における(B)のタンパク質の説明と同様である。
【0031】
なお、上記(c)における「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等参照)。「ストリンジェントな条件」として具体的には、50%ホルムアミド、4×SSC、50mMHEPES(pH7.0)、10×Denhardt's solution、100μg/mlサケ精子DNAを含む溶液中、42℃でハイブリダイズさせ、次いで室温で2×SSC、0.1%SDS溶液、50℃下で0.1×SSC、0.1%SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
【0032】
例えば、このようなストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAの中から前記(イ)及び(ロ)の触媒活性を有するタンパク質をコードするDNAを容易に選択することができる。前記(イ)及び(ロ)の触媒活性の検出方法については、「<1>本発明タンパク質」における説明と同じである。
【0033】
また、上記(b)及び(c)のDNAによってコードされるタンパク質は、前記(イ)及び(ロ)に加え、さらに下記(ハ)及び(ニ)の性質を有するタンパク質であることが好ましい。
(ハ)α−トロンボモジュリンに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
(ニ)GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzに、UDP-GalNAcからGalNAcを転移する触媒活性を有する。
【0034】
上記(ハ)及び(ニ)の触媒活性の検出方法については、「<1>本発明タンパク質」における説明と同じである。
また「<1>本発明タンパク質」で説明した通り、本発明タンパク質は可溶性のタンパク質であることが好ましいことから、上記(a)、(b)及び(c)のDNAによってコードされるタンパク質(本発明タンパク質)も、可溶性のタンパク質であることが好ましい。具体的には、前記(a)のDNAは、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAであることが好ましく、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAであることがより好ましい。
【0035】
また、「<1>本発明タンパク質」で説明した通り、本発明タンパク質はこのアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と、マーカーペプチド、シグナルペプチドなどのペプチドや、他の機能を有するポリペプチドとの融合タンパク質であってもよいことから、上記(a)、(b)及び(c)のDNAによってコードされるタンパク質(本発明タンパク質)は、このような融合タンパク質であってもよい。具体的には、前記(a)のDNAは、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAであることが好ましく、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAと他のペプチド又はポリペプチドをコードするDNAとの連結物であることが好ましい。融合させることができる「他のペプチド又はポリペプチド」についての説明は、「<1>本発明タンパク質」における説明と同じである。
【0036】
また「<1>本発明タンパク質」で説明した通り、本発明タンパク質は、必要に応じてアミノ酸番号1〜41で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質としてもよいことから、前記(a)のDNAによってコードされるタンパク質は、このようなタンパク質であってもよい。具体的には、前記(a)のDNAは、アミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAであることが好ましく、配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250で示されるDNAであることがより好ましい。
【0037】
また、本発明ベクターは後述するコンドロイチン合成酵素の製造方法に好ましく用いられることから、発現ベクターであることが好ましい。
【0038】
例えば、アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列をコードするDNA(アミノ酸番号1〜41で示されるアミノ酸配列をコードする配列を含まない)を保持する発現ベクターは、以下の手法により調製することができる。
【0039】
<A>ベクターに組み込むDNAの調製
ヒト由来の細胞(例えば、G361ヒトメラノーマ細胞(ATCC CRL−1424))の全RNAを鋳型とし、BamHI部位を含む5'-プライマー(5'-CGGGATCCCAGCTGGCACTGCCCAGG-3')(配列番号3)と、停止コドンの58bp下流側に位置するBamHI部位を含む3'-プライマー(5'-CGGGATCCCATCTCTGACCCATCAGTCC-3')(配列番号4)とを用いた逆転写−PCRを行う。
【0040】
PCR反応は一般的な方法を用いることができるが、例えば5%(v/v)ジメチルスルホキシド中で、Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラホヤ、カリフォルニア州)を用いて、94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で180秒のサイクルを30サイクル行うことにより実施することができる。
【0041】
<B>ベクターへのDNA断片の導入
上記手法によって得られたDNAを公知のベクターに導入することで本発明ベクターを製造することができる。
【0042】
上記DNAを導入するベクターとしては、例えば、導入したDNAを発現させることが可能な適当な(好ましくは、プロモーター等の調節配列を含む)発現ベクター(ファージベクター或いはプラスミドベクター等)を使用することができ、本発明ベクターを組み込む宿主細胞で上記DNAを発現することが可能なベクターを適宜選択する。このような宿主−ベクター系としては、COS細胞、3LL-HK46細胞などの哺乳類細胞と、pGIR201(Kitagawa, H., and Paulson, J. C. (1994) J. Biol. Chem. 269, 1394-1401)、pEF-BOS(Mizushima, S., and Nagata, S. (1990) Nucleic Acid Res. 18, 5322)、pCXN2(Niwa, H., Yamanura, K. and Miyazaki, J. (1991) Gene 108, 193-200)、pCMV-2(イーストマン コダック(Eastman Kodak)製)、pCEV18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1990))又はpSVL(ファルマシア バイオテック社製)等の哺乳類細胞用発現ベクターの組み合わせ、大腸菌(E. coli)と、pTrcHis(インビトロゲン社製)、pGEX(ファルマシア バイオテック社製)、pTrc99(ファルマシア バイオテック社製)、pKK233-3(ファルマシア バイオテック社製)、pEZZZ18(ファルマシア バイオテック社製)、pCH110(ファルマシア バイオテック社製)、pET(ストラタジーン社製)、pBAD(インビトロゲン社製)、pRSET(インビトロゲン社製)、及びpSE420(インビトロゲン社製)等の原核細胞用の発現ベクターとの組み合わせの他、宿主細胞として昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示され、これらに対応する各種ベクターが例示される。上述の宿主−ベクター系の中でも特に哺乳類細胞とpEF-BOSとの組み合わせが好ましい。
【0043】
また、上記DNAを組み込むベクターは、組み込んだDNAがコードするタンパク質とマーカーペプチドやシグナルペプチドとの融合タンパク質を発現するように構築されたものを用いることもでき、本発明ベクターを用いて発現される本発明タンパク質(コンドロイチン合成酵素)を精製等する場合には特に好ましい。上記ペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合タンパク質)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。プロテインAと融合させれば容易にアフィニティー精製することが可能となり、インスリンシグナル配列等と融合させれば酵素を細胞外(培地等)に分泌させることができる。
【0044】
いずれのベクターを用いる場合であっても常法に従って、上記DNAとベクターとを連結することが可能なように制限酵素などによって処理し、必要に応じて平滑化や粘着末端の連結を行った後、前記DNAとベクターとの連結をすることができる。
【0045】
具体的には、例えば上記<A>で得られたDNA(PCR断片)をBamHIで消化し、これをpGIR201protA(J. Biol. Chem., 269, 1394-1401 (1994))ベクターのBamHI部位にサブクローニングし、上記<A>で得られたDNAによってコードされるDNAと、ベクター中のインスリンシグナル配列およびプロテインA配列とを融合させる。この融合タンパク配列を含むNheI断片を、発現ベクターpEF-BOS(Nucleic Acid Res., 18, 5322 (1990))のXbaI部位に挿入することにより、インスリンシグナル配列及びプロテインAと融合した本発明タンパク質を発現する発現ベクターを得ることができる。
【0046】
<3>本発明形質転換体
本発明形質転換体は、本発明ベクターによって宿主が形質転換された形質転換体である。
【0047】
ここでいう「宿主」は、本発明ベクターによる組換えが可能なものであればよいが、本発明ベクターの保持するDNA又はそのDNAを組み込んだ組換えベクターの機能を発揮できるものが好ましい。宿主としては、動物細胞、植物細胞、微生物細胞(菌体)が包含され、COS細胞(COS-1細胞、COS-7細胞等)、3LL-HK46細胞などの哺乳類細胞、大腸菌(E. coli)、昆虫細胞、酵母、枯草菌などが例示される。宿主は、本発明ベクターにあわせて適宜選択することができるが、例えばpEF-BOSをベースとする本発明ベクターを用いる場合には哺乳類由来の細胞を選択することが好ましく、中でもCOS細胞が好ましい。
【0048】
宿主の本発明ベクターによる形質転換は、常法によって行うことができる。例えば、市販のトランスフェクション用試薬を用いる方法や、DEAE-デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子銃による方法等によって本発明ベクターを宿主に導入し、形質転換を行うことができる。
【0049】
このようにして得られる本発明形質転換体は、後述する通り、本発明タンパク質の製造等に用いることができる。
【0050】
<4>本発明酵素製造方法
本発明酵素製造方法は、本発明形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素(本発明タンパク質)を採取することを特徴とする。
【0051】
ここで「生育」とは、本発明形質転換体である細胞や微生物自体の増殖、本発明形質転換体である細胞を組み込んだ動物、昆虫等の生育を含む概念である。また、ここでいう「生育物」とは、本発明形質転換体を生育させた後の培地(培養液の上清)及び培養された宿主細胞、分泌物、排出物等を包含する概念である。
【0052】
生育の条件(培地や培養条件等)は、用いる宿主に合わせて適宜選択される。
この製造方法によれば、用いる形質転換体に応じて種々の形態のコンドロイチン合成酵素を産生させることができる。
例えば本発明ベクターとして、配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列をコードするDNAを保持する発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、可溶性のコンドロイチン合成酵素が産生される。
【0053】
また、配列番号2におけるアミノ酸番号1〜532で示されるアミノ酸配列をコードするDNAを保持する発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、不溶性(膜結合性)のコンドロイチン合成酵素が産生される。
【0054】
さらに、マーカーペプチドやシグナルペプチド等の他のペプチドとの融合タンパク質を発現するよう構築された発現ベクターによって形質転換された形質転換体を生育させれば、上記他のペプチドと融合したコンドロイチン合成酵素が産生される。
【0055】
生育物からのコンドロイチン合成酵素の採取は、産生されるコンドロイチン合成酵素の形態に応じて、公知のタンパク質の抽出・精製方法によって行うことができる。
【0056】
例えばコンドロイチン合成酵素が、培地(培養液の上清)中に分泌される可溶性の形態で産生される場合には、培地を採取し、これをそのままコンドロイチン合成酵素として用いてもよい。またコンドロイチン合成酵素が細胞質中に分泌される可溶性の形態、又は不溶性(膜結合性)の形態で産生される場合には、窒素キャビテーション装置を用いる方法、ホモジナイズ、ガラスビーズミル法、音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出、またはこれらの組み合わせ等の処理操作によってコンドロイチン合成酵素を抽出することができ、抽出物をそのままコンドロイチン合成酵素として用いてもよい。
【0057】
これらの培地や抽出物から、コンドロイチン合成酵素をさらに精製することもでき、かつ好ましい。精製は、不完全な精製(部分精製)であっても、完全な精製であってもよく、コンドロイチン合成酵素の使用目的等に応じて適宜選択することができる。
【0058】
精製方法として具体的には、例えば硫酸アンモニウム(硫安)や硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外ろ過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過法、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組み合わせ等の処理操作が挙げられる。
【0059】
例えば、コンドロイチン合成酵素をプロテインAとの融合タンパク質として産生させれば、IgGを結合させた固相を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、Hisとの融合タンパク質として産生させれば、磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、FLAGとの融合タンパク質として産生させれば抗FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる。さらにインスリンシグナルと融合させることにより、細胞破砕等の抽出操作が不要となる。
【0060】
精製されたコンドロイチン合成酵素の製造は、アミノ酸配列、作用、基質特異性等を分析することによって確認できる。
【0061】
<5>本発明試薬
本発明試薬は、本発明タンパク質を含有するN−アセチルガラクトサミン含有糖鎖合成用試薬である。本発明タンパク質については、前記の「<1>本発明タンパク質」で説明した通りである。
【0062】
本発明試薬は、本発明タンパク質(コンドロイチン合成酵素)が有する「GalNAcの転移作用」を、N−アセチルガラクトサミン含有糖鎖の合成試薬として応用したものである。
【0063】
ここで「N−アセチルガラクトサミン含有糖鎖」には、例えばコンドロイチンをはじめとするあらゆるN−アセチルガラクトサミン含有糖鎖が含まれるが、コンドロイチンであることが好ましい。
【0064】
なお本明細書において「コンドロイチンの合成」あるいは「コンドロイチン合成」とは、コンドロイチンに糖を転移・付加して、コンドロイチンの糖鎖を延長することを含む概念である。
【0065】
本発明試薬の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態のいずれの形態であってもよい。またコンドロイチン合成酵素の活性に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。さらに本発明試薬には、本発明タンパク質に加えて、他の1又は2以上の酵素タンパク質を含有させてもよい。このような酵素タンパク質としては、例えばコンドロイチン合成酵素1、コンドロイチン合成酵素3、硫酸基転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、ウロン酸のエピメラーゼ(C5エピメラーゼ)等を含有させると、デルマタン硫酸合成用試薬とすることもできる。さらに他の酵素タンパク質を含有しない本発明試薬と、このような他の酵素タンパク質とを組み合わせて用いてもよい。
【0066】
<6>本発明糖鎖製造方法
本発明糖鎖製造方法は、いずれも本発明試薬を用いるものであり、使用する受容体基質に応じて、本発明糖鎖製造方法1と本発明糖鎖製造方法2に分けられる。
<6−1>本発明糖鎖製造方法1
本発明糖鎖製造方法1は、本発明試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(2)で示される糖鎖の製造方法である。
【0067】
GlcUA-GalNAc-R1 (1)
GalNAc-GlcUA-GalNAc-R1 (2)
(各式中、- はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
【0068】
一般式(1)で示される糖鎖として具体的には、コンドロイチンのポリマーや、コンドロイチンのオリゴマー(例えば6糖など)が好ましい。また一般式(2)で示される糖鎖として具体的には、非還元末端にGalNAcが付加されたコンドロイチンのポリマーや、コンドロイチンのオリゴマー(例えば7糖など)が好ましい。
【0069】
<6−2>本発明糖鎖製造方法2
本発明糖鎖製造方法2は、本発明試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(3)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(4)で示される糖鎖の製造方法である。
GlcUA-Gal-R1 (3)
GalNAc-GlcUA-Gal-R1 (4)
(各式中、- はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
【0070】
一般式(3)で示される糖鎖として具体的には、GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzや、α-トロンボモジュリンに含まれるリンケージ部分の4糖(GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xyl)が好ましい。また一般式(4)で示される糖鎖として具体的には、非還元末端にGalNAcが付加されたGlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzや、非還元末端にGalNAcが付加されたリンケージ部分の4糖(GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xyl)が好ましい。
【0071】
本発明糖鎖製造方法において用いるGalNAc供与体としては、ヌクレオシドジリン酸−GalNAcが好ましく、UDP-GalNAcが特に好ましい。
【0072】
「接触」のさせ方は、本発明試薬中に含まれる本発明タンパク質並びに供与体及び受容体(糖鎖)の分子が相互に接触して酵素反応が生ずる限りにおいて特に限定されない。例えばこれら三者が溶解した溶液中で接触させてもよい。また本発明試薬中に含まれる本発明タンパク質を適当な固相(ビーズ等)に結合させた固定化酵素や、限外ろ過膜、透析膜等を用いる膜型リアクター等を用いて連続的に酵素反応させることもできる。また、PCT国際公開パンフレットWO00/27437号に記載された方法と同様に、受容体を固相に結合させて酵素反応させることもできる。さらに、供与体を再生(合成)するバイオリアクターを組み合わせて用いてもよい。
【0073】
酵素反応させる条件は、本発明タンパク質(コンドロイチン合成酵素)が作用する条件である限りにおいて特に限定されないが、中性pH付近(例えばpH6.5程度)で反応させることが好ましく、当該pH下で緩衝作用を有する緩衝液中で反応を行うことがより好ましい。またこのときの温度も本発明タンパク質の活性が保持されている限りにおいて特に限定されないが、30〜40℃程度(例えば37℃)が例示される。また本発明タンパク質の活性を増加させる物質がある場合には、その物質を添加してもよい。例えばMn2+等を共存させることが好ましい。反応時間は、使用する本発明試薬、供与体及び受容体の量、並びにその他の反応条件に応じて当業者が適宜決定することができる。
【0074】
生成物からのコンドロイチンの単離等は、公知の方法によって行うことができる。
また、本発明試薬(コンドロイチン合成酵素)と、硫酸基転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)とを組み合わせて用いることによって、コンドロイチン硫酸を製造することもできる。
【0075】
例えば、上記の糖鎖の製造方法(コンドロイチンの製造方法)において、さらに硫酸基供与体(3'-ホスホアデノシン 5'-ホスホ硫酸(PAPS)など)と硫酸基転移酵素を共存せしめ、コンドロイチンの生成と硫酸基の転移とを同時に行うことにより、コンドロイチン硫酸を製造することができる。硫酸基転移酵素は、前記と同様に適当な固相(ビーズ等)に結合させた固定化酵素として用いてもよく、限外ろ過膜、透析膜等を用いる膜型リアクターを用いて、連続的に反応させてもよい。この際、硫酸基供与体を再生(合成)するバイオリアクターを組み合わせて用いてもよい。
【0076】
また、本発明ベクターで形質転換された宿主(本発明形質転換体)において、直接コンドロイチンを生成させることにより、コンドロイチンを製造することもできる。
【0077】
さらに、本発明ベクターと硫酸基転移酵素をコードするcDNAとを共に宿主に導入し、宿主(硫酸基転移酵素をコードするcDNAを含有する本発明形質転換体)において、コンドロイチン合成酵素と硫酸基転移酵素とを同時に発現させ、宿主において直接コンドロイチン硫酸を製造することができる。
【0078】
ここで用いることができる硫酸基転移酵素(又はそれをコードするcDNA)は、コンドロイチンに硫酸基を転移する酵素(又はそれをコードするcDNA)であればよく、所望のコンドロイチン硫酸のタイプに応じて、公知のものから適宜選択することができる。また、硫酸基の転移位置が異なる2種類以上の硫酸基転移酵素(又はそれをコードするcDNA)を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
硫酸基転移酵素の一例として、例えばコンドロイチン6−O−硫酸基転移酵素(J. Biol. Chem., 275(28), 21075-21080 (2000))を挙げることができるが、これに限定されず、他の酵素を用いることもできる。
【0080】
<7>本発明プローブ
本発明プローブは、配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250、好ましくは778〜2250で示される塩基配列又はその一部に相補的な配列を有するハイブリダイゼーション用プローブである。
【0081】
本発明プローブは、配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250、好ましくは778〜2250で示される塩基配列又はその一部に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを作成し、これをハイブリダイゼーションに適した標識(例えば、放射性同位体)で標識することにより得ることができる。
【0082】
オリゴヌクレオチドの長さは、本発明プローブを用いるハイブリダイゼーションの条件によって適宜選定される。
【0083】
本発明プローブは、本発明タンパク質をコードするDNAやRNAの検出や定量に用いることができ、コンドロイチン硫酸の生物学的機能を調べる有用な道具となることが期待される。コンドロイチン硫酸は、広く発現し、かつ、多くの組織、特に脳において重要な役割を果たしているからである。このプローブはさらに、遺伝子と疾患との関連を探るのにも有用と考えられる。
また、コンドロイチン合成酵素3については、後述の実施例で詳述する。
【0084】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<1>材料と方法
(1)本実施例で用いた材料等
UDP-[U-14C]GlcUA(285.2mCi/mmol)およびUDP-[3H]GalNAc(10Ci/mmol)は、NENライフサイエンスプロダクツから購入した。未標識のUDP-GlcUAおよびUDP-GalNAcは、シグマ社から入手した。コンドロイチン(クジラ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Aを化学的に脱硫酸化したもの)、Acremonium sp.由来のα-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(EC 3.2.1.49)、およびArthrobacter aurescens 由来のコンドロイチナーゼAC-II(EC 4.2.2.5)は生化学工業株式会社から購入した。精製されたα-トロンボモジュリン(文献17)は、第一製薬株式会社の研究所から提供を受けた。α-トロンボモジュリンにはリンケージ部分の4糖(GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xyl)が含まれている(文献18)。化学的に合成されたリンケージ部分の4糖−セリン(GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-SerおよびGlcUAβ1-3Gal(4-O-硫酸)β1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser(文献19)は、理化学研究所のT.Ogawa博士から恵与された。GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzは鳥取大学の田村純一博士から恵与された。コンドロ6糖(GlcUAβ1-3GalNAc)3 は、文献20に記載の方法で調製した。SuperdexTM Peptide HR10/30カラムはアマシャム・ファルマシア・バイオテク社から購入した。
【0085】
(2)ヒトのコンドロイチン合成酵素2のインシリコ・クローニング(in silico cloning)
ヒトのコンドロイチン合成酵素1の配列(文献15)のGenBankTMデータベースのtBLASTn解析により、2つの新たなクローンが見つかった。1つのクローン(GenBankTM アクセッション番号:AX092340)の解析によって、ヒトコンドロイチン合成酵素1のカルボキシル末端側と有意に高い配列相同性を有する単一のオープンリーディングフレームが示された。さらに、最近利用できるようになったヒトゲノムプロジェクトのデーターベースサーチによって、このcDNA配列と同じゲノム配列が示された(アクセッション番号:NT 029338.1)。このcDNAとゲノム配列の比較により、コンドロイチン合成酵素2遺伝子のゲノム構成が示された。
【0086】
(3)可溶性のコンドロイチン合成酵素2の構築
コンドロイチン合成酵素2において、N-末端の最初の41個のアミノ酸を欠いたコンドロイチン合成酵素2のcDNA断片を、G361ヒトメラノーマ細胞(ATCC CRL−1424)由来の全RNAを鋳型とし、インフレームBamHI部位を含む5'-プライマー(5'-CGGGATCCCAGCTGGCACTGCCCAGG-3')(配列番号3)と、停止コドンの58bp下流側に位置するBamHI部位を含む3'-プライマー(5'-CGGGATCCCATCTCTGACCCATCAGTCC-3')(配列番号4)とを用いた逆転写−PCRによって増幅した。PCR反応は、5%(v/v)ジメチルスルホキシド中で、Pfuポリメラーゼ(Stratagene社、ラホヤ、カリフォルニア州)を用いて、94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で180秒のサイクルを30サイクル行った。このPCR断片を、pGIR201protAのBamHI部位にサブクローニングし(文献21)、GalNAcトランスフェラーゼと、ベクター中のインスリンシグナル配列およびプロテインA配列とを融合させた。上記の融合タンパク質配列を含むNheI断片を、発現ベクターpEF-BOS(文献22)のXbaI部位に挿入した。増幅されたcDNAのヌクレオチド配列は、377DNAシークエンサー(PE アプライド・バイオシステムズ)を用いて決定した。
【0087】
(4)可溶性のコンドロイチン合成酵素2の発現および酵素アッセイ
FuGENETM6(Roche Molecular Biochemicals、東京)を用い、メーカーの説明書に従って、発現プラスミド(6.7 μg)を100 mmプレート上でCOS-1細胞にトランスフェクトさせた。トランスフェクションから2日後に、培養液1 mlを採取して、10 μlのIgG-セファロース(Amersham Pharmacia Biotech)と共に4°Cで1時間インキュベートした。遠心して回収したIgG-セファロースのビーズをアッセイ緩衝液で洗浄し、同じ緩衝液に再懸濁して、GalNAcトランスフェラーゼおよびGlcUAトランスフェラーゼ活性のアッセイに用いた。
【0088】
GalNAcトランスフェラーゼ活性測定の受容体としては、コンドロイチンのポリマー(167 μg)、コンドロイチン6糖(GlcUAβ1-3GalNAc)3(10nmol)、α-トロンボモジュリン(1 nmol)、GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbz(1,10,または100nmol)、GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser(1 nmol)またはGlcUAβ1-3Gal(4-O-硫酸)β1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser(1nmol)を用いた。
【0089】
また、GlcUAトランスフェラーゼ活性測定の受容体としては、コンドロイチンのポリマー(167 μg)を用いた。
【0090】
GalNAcトランスフェラーゼアッセイの混合物として、全容量30 μl中に、再懸濁したビーズ10 μl、受容体基質 8.57μM UDP-[3H]GalNAc (3.60 x 105 dpm)、50 mM MES緩衝液、pH 6.5、10 mM MnCl2、およびATPのナトリウム塩171 μMを含有するものを用いた(文献23,24)。
【0091】
GlcAT-IIのアッセイの混合物としては、全容量は30 μl中に、再懸濁したビーズ10 μl、167 μgのコンドロイチンのポリマー、14.3 μM UDP-[14C]GlcUA (1.46 x 105 dpm)、50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH 5.6、および10 mM MnCl2を含有するものを用いた(文献25)。
【0092】
反応混合物を37°Cで1時間インキュベートし、放射標識された生成物を、セファデックスG-25(スーパーファイン)を充填したシリンジカラムまたはスーパーデックスペプチド・カラムを用いたゲルろ過によって、またはNova-Pak(商標名) C18カラム(3.9 x 150mm;ウォーターズ)を用いて、UDP-[3H]GalNAcまたはUDP-[14C]GlcUAから分離した(文献13および文献25〜28)。回収した標識生成物を、液体シンチレーション分光法によって定量した。
【0093】
(5)酵素反応生成物の特定
コンドロイチンのポリマーを受容体とした、GalNAcトランスフェラーゼ反応の生成物の単離を、0.25M NH4HCO3/7% 1-プロパノールで平衡化したスーパーデックスペプチド・カラムを用いたゲルろ過によって行った。各酵素反応生成物を含む放射能ピークをプールして蒸発乾燥させた。この単離したGalNAcトランスフェラーゼ反応生成物(約120 μg)を、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 6.0 を含む30 μlの反応液中で、37°Cで一晩、100 mIUのコンドロイチナーゼAC-II(EC4.2.2.5)で消化した。酵素消化物は、前記と同じスーパーデックスペプチド・カラムを用いて分析した。
【0094】
GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzを用いたGalNAcトランスフェラーゼ反応生成物の単離は、LC-10Aシステム(島津製作所製)にNova-Pak(商標名) C18カラム(3.9 x 150mm;ウォーターズ)を組み合わせたHPLCにより行った。カラムは水を用いて室温で15分間、流速1.0ml/分でイソクラチックに展開し、その後メタノール濃度0〜100%の直線勾配を5分間にわたってかけ、その後カラムを100%メタノールで40分間イソクラチックに展開した。酵素反応生成物に含まれる放射活性ピークをプールして蒸発乾燥させた。この単離した生成物(約74 pmol)を、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 6.0 を含む30 μlの反応液中で、37°Cで一晩、100 mIUのコンドロイチナーゼAC-IIで消化し、または50 mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 4.5 を含む30 μlの反応液中で、37°Cで一晩、40mIUのα-N-アセチルガラクトサミニダーゼ消化した(文献13)。酵素消化物は、前記の通りNova-Pak(商標名) C18カラムを用いて解析した。
【0095】
(6)ノーザンブロットおよびエクスプレッション・アレイ解析
市販のヒト・12レーン・マルチプル・ティッシュ・ノーザン・ブロット(クローンテック製)メンブレンおよびヒト・マルチプル・ティッシュ・エクスプレッション・アレイ(クローンテック製)を用いた。メンブレンは、ゲルで精製して放射化(>1x109 cpm/μg)したコンドロイチン合成酵素2のcDNA(Genbank アクセッション番号:AB071403)のヌクレオチド番号698〜1597に対応する0.95kbの コンドロイチン合成酵素2に特異的な断片、または、ゲルで精製して放射化(>1x109 cpm/μg)したKIAA0990 cDNA(Genbank アクセッション番号:AB023207)のヌクレオチド番号631〜1469に対応する0.84kbのコンドロイチン合成酵素に特異的な断片(文献15)のそれぞれをプローブとして検出した。
【0096】
<2>結果
(1)ヒトのコンドロイチン合成酵素2のインシリコ・クローニング(in silico cloning)
我々は、最近ヒトコンドロイチナーゼ合成酵素を同定し(文献15)、今回コンドロイチン合成酵素1と命名した。National Center for Biotechnology Information (National Institutes of Health)のデータベースと、ヒトコンドロイチン合成酵素1の推定アミノ酸配列を用いたスクリーニングにより、654bpの5'-非翻訳領域と、2カ所のN−グリコシル化可能部位(図1)を有する532アミノ酸からなるタンパク質(配列番号2)をコードする1596bpからなる単一のオープンリーディングフレーム(配列番号1におけるヌクレオチド番号655〜2250)と、4つの推定上のポリアデニル化シグナルを有する1.6kbの3'-非翻訳領域を含むクローン(Genbank アクセッション番号:AX092340)が同定された。ノーザンブロット分析を行ったところ、ヒトの種々の組織におけるmRNA長は約4.0kbであり、このことは、cDNAがほぼ全長であることを示唆している。推定されたアミノ酸配列は、61350Daのポリペプチドに相当した。予測される翻訳開始部位は、Kozakのコンセンサス配列(文献27)に適合し、インフレームストップコドンは、開始ATGコドンの上流に存在した。Kyte-Doolittleハイドロパシー分析(文献28)によって、NH−末端領域に20アミノ酸残基長からなる1つの顕著な疎水性領域が示され、このことからこのタンパク質は、今までにクローニングされているグリコシルトランスフェラーゼのタイプIIトランスメンブレントポロジーを有していることが予測された。データベースサーチにより、そのアミノ酸配列はコンドロイチン合成酵素1に対して27%の相同性を有しており(図1)、ヒトUDP-Gal:GlcNAcβ-R β1,4-GalトランスフェラーゼII(Genbank アクセッション番号:AB024434)に対して弱い配列相同性が見られ、COOH-末端触媒ドメインに高い同一性がみられた。注目すべきは、それぞれのタンパク質は、多くのグリコシルトランスフェラーゼに見られるDXDモチーフ(文献29)に対応する保存されたDVDを有していることである(図1)。こうして、同定されたタンパク質の配列特性から、同定された遺伝子産物はβ1,4-GalNAcトランスフェラーゼ(GalNAcT-Iおよび/または-II)活性を有していることが示唆された。興味深いことに、同定されたヒト遺伝子のホモログがショウジョウバエ(Drosophila)に見出されたが、Caenorhabditis elegansゲノムには見出されなかったことである。ヒトの配列は、Drosophilaに対して38%の同一性を有していた。
【0097】
(2)ゲノム構成と染色体位置
同定されたcDNA配列をヒトゲノムプロジェクト・データベースにあるゲノム配列と比較した結果、この遺伝子の構造と染色体における局在が示された。その遺伝子は280kb以上におよび、この遺伝子のコード領域は、図2に示す通り独立した7つのエクソンに分けられている。このイントロン/エクソン結合はGT/AGルールに従っており(文献30)、周囲は保存領域によってかためられている。この遺伝子は、ヒトの8番染色体に存在している。
【0098】
(3)可溶性形態のグリコシルトランスフェラーゼの発現およびコンドロイチン合成酵素2の性質
GalNAcトランスフェラーゼ(コンドロイチン合成酵素2)の機能解析を容易にするために、可溶性形態のタンパク質を、前記の方法によって、グリコシルトランスフェラーゼの最初の41アミノ酸(配列番号2におけるアミノ酸番号1〜41)を、切断可能なインスリンシグナルとプロテインA IgG-結合ドメインに置換し、可溶性のグリコシルトランスフェラーゼをCOS−1細胞中でプロテインA IgG結合ドメインと結合した組換酵素として発現させることにより製造した。グリコシルトランスフェラーゼ/プロテインAの融合を含む発現プラスミドをCOS−1細胞中で発現させることにより、IgGを用いたウエスタンブロッティングによって約95kDaとして示されるタンパク質が分泌された。融合タンパク質の見かけの分子量は、N−グリコシダーゼ処理によって約85kDaに減少した。このことは、2カ所のN−グリコシル化可能部位のいずれもが利用されていることを示唆している。培養液中で発現された融合酵素を、内在性のグリコシルトランスフェラーゼを除去するためにIgG-セファロースビーズに吸着させ、酵素が結合したビーズを酵素源として用いた。結合した融合タンパク質を、種々の受容体と、UDP-GalNAcまたはUDP-GlcUAを供与体基質として用いてグリコシルトランスフェラーゼ活性のアッセイに付した。GalNAcT-I反応の受容体基質として用いたGlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzは、GAG−タンパク質リンケージ部位の4糖における2糖を含有している。表1に示す通り、顕著なGalNAcトランスフェラーゼ活性は、コンドロイチンのポリマー、コンドロイチン6糖(GlcUAβ1-3GalNAc)3、天然のコアタンパク質に存在するリンケージ部位の4糖(GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1)を含んでいるα−トロンボモジュリン(文献18)またはGlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzを受容体基質として用いた場合に見られ、4糖-セリンである、GlcUAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-SerまたはGlcUAβ1-3Gal(4-O-硫酸)β1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Serを受容体基質として用いた場合には見られなかった。
【0099】
これに対して、コンドロイチンのポリマーを用いた場合、GlcUAトランスフェラーゼ活性は見られなかった。検出できなかったグリコシルトランスフェラーゼ活性は、コントロールのpEF-BOSトランスフェクションサンプルからのアフィニティー精製によっては、グリコシルトランスフェラーゼ活性は回収されなかった。これらの知見は、発現されたタンパク質がGalNAcトランスフェラーゼであることを明らかに示している。
【0100】
【表1】
Figure 0004451036
【0101】
なお表1中に示した活性の結果は2つの独立した実験の平均値である。またNDは、検出限界以下(<0.01 pmol/ml培地/時間)であったことを示す。
【0102】
GalNAcトランスフェラーゼ反応生成物を同定するために、代表的な受容体基質であるコンドロイチンのポリマーおよびGlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzの各々を、UDP-[3H]GalNAcを供与体基質、酵素結合ビーズを酵素源として用いた個々のトランスフェラーゼ反応によってラベルした。両方のラベルされた生成物を、β1,4-N-アセチルガラクトサミニド結合を脱離的に分解するコンドロイチナーゼAC-IIによって完全に消化し、ゲルろ過(図3A)又は疎水性HPLC(図3B)に付したところ、フリーの[3H]GalNAcの位置に3H-ラベルされたピークとして定量的に産生された。またこの反応生成物は、EXTL2(文献13)によって触媒されるα1,4-GalNAcトランスフェラーゼ反応の反応生成物とは対照的に、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼの反応に対しては不活性であった。これらの知見から、GalNAc残基はコンドロイチンのポリマー又はGlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzの非還元末端のGlcUAに真に転移され、β1-4結合することが示された。これらの結果から、今回同定されたタンパク質が、コンドロイチン/デルマタン硫酸の生合成の開始および延長に関与する新規かつユニークなβ1,4-GalNAcトランスフェラーゼ I/IIであることが示された。このGalNAcトランスフェラーゼのアミノ酸配列が、コンドロイチン合成酵素1と有意な相同性を有することから(図1)、今回の酵素をコンドロイチン合成酵素2と命名することとした。
【0103】
(4)コンドロイチン合成酵素2の発現パターン
mRNAのノーザンブロット解析により、今回調べた全てのヒトの組織において〜4.0kbの単一のバンドが示された(図4)。この遺伝子は今回調べたヒトの組織において広く発現していたが、その程度は異なっていた。発現パターンがコンドロイチン合成酵素1と同様である点が注目される。
【0104】
アレイ解析によっても、この遺伝子は今回調べた全てのヒトの組織において発現していることが示された(図5)。図5における記号は以下の通りである。
【0105】
A1.全脳、B1.大脳皮質、C1.前頭葉、D1.頭頂葉、E1.後頭葉、F1.側頭葉、G1.大脳皮質の中心傍回、H1.橋。
【0106】
A2.左小脳、B2.右小脳、C2.脳梁、D2.扁桃、E2.尾状核、F2.海馬、G2.延髄、H2.被殻。
【0107】
B3.側座核、C3.視床。
【0108】
A4.心臓、B4.大動脈、C4.左心房、D4.右心房、E4.左心室、F4.右心室、G4.心室間中核、H4.心尖。
【0109】
A5.食道、B5.胃、C5.十二指腸、D5.空腸、E5.回腸、F5.回盲腸、G5.垂、H5.上行結腸。
【0110】
A6.横行結腸、B6.下行結腸、C6.直腸。
【0111】
A7.腎臓、B7.骨格筋、C7.脾臓、D7.胸腺、E7.末梢血白血球、F7.リンパ腺、G7.骨髄、H7.気管。
【0112】
A8.肺、B8.胎盤、C8.膀胱、D8.子宮、E8.前立腺、F8.睾丸、G8.卵巣。
【0113】
A9.肝臓、B9.膵臓、C9.副腎、D9.甲状腺、E9.唾液腺。
【0114】
A10.前骨髄球性白血病由来 HL-60細胞、B10.子宮頸癌由来 HeLa S3細胞、C10.慢性骨髄性白血病由来 K-562細胞、D10.リンパ性白血病由来 MOLT-4細胞、E10.バーキットリンパ腫由来 Raji細胞、F10.バーキットリンパ腫由来 Daudi細胞、G10.大腸癌由来 SW480細胞、H10.肺癌
A11.胎児脳、B11.胎児心臓、C11.胎児腎臓、D11.胎児肝臓、E11.胎児脾臓、F11.胎児胸腺、G11.胎児肺。
【0115】
A12.酵母全RNA、B12.酵母tRNA、C12.大腸菌rRNA、D12.大腸菌DNA、E12.ポリアデニル酸、F12.ヒト C0t-1 DNA、G12.ヒトDNA 100 ng、H12.ヒトDNA 500 ng。
【0116】
図5から、最も強いシグナルは胎盤、甲状腺、膀胱、前立腺および副腎に見られた。これらの知見は、コンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカンが、多くの細胞の表面と、ほとんど全ての組織の細胞外マトリクスに分布するという知見と一致した。
【0117】
<3>更なる新たなコンドロイチン合成酵素(コンドロイチン合成酵素3)のクローニングと活性解析
前記した「コンドロイチン合成酵素1」(公知)や「コンドロイチン合成酵素2」(本発明)とは異なる、新たなコンドロイチン合成酵素(以下、「コンドロイチン合成酵素3」という)のクローニングを試みた。
【0118】
(1)コンドロイチン合成酵素3のクローニング
ヒトのESTクローン KIAA1402(かずさDNA研究所(千葉県)のHUGEプロテインデータベース(HYPERLINK http://www.kazusa.or.jp/huge/))(GenBankアクセション番号:AB037823)(配列番号5)を用いて、下記の要領でクローニングした。
【0119】
プライマーとして5'-agagctcggctagaccaaag-3'(5'プライマー;配列番号7)と 5'-ccatcttgccttgcccttcc-3'(3'プライマー;配列番号8)を用いたPCR法により、KIAA1402の可溶性の形態のもの(配列番号6におけるアミノ酸番号58〜772)を増幅させた。これを前記と同様にpEF-BOSに組み込み、発現ベクターとした。これらのクローニングの手法は、前記と同様である。
【0120】
(2)GlcAT-II活性の検出
上記(1)で調製した発現ベクターを、前記と同様に発現させ、発現されたタンパク質についてGlcAT-II活性を測定した。GlcAT-II活性の測定方法は、文献15に記載の方法と同様である。
【0121】
受容体基質として GalNAcβ1-4GlcUAβ1-3GalNAcβ1-4GlcUAβ1-3GalNAcβ1-4GlcUAβ1-3GalNAc(コンドロイチン7糖ともいう)(調製方法は Kitagawa et al., Glycobiology 7, 905-911, 1997参照)を5 nmol使用し 37℃で一晩インキュべーションした。反応生成物についてスーパーデックス・ペプチドを用いたゲルろ過を行い、液体シンチレーションで測定した(図6)。その結果約2500dpmの取り込みが見られた(図6の左端のピーク)。このピーク(反応生成物)はβ−グルクロニダーゼで切断される可能性が高いことから、ここで発現されたタンパク質は、コンドロイチンに、UDP-GlcUAからGlcUAを転移する触媒活性を有する酵素である可能性が高い。
【0122】
また、ここで発現されたタンパク質は、GlcNAcT-I及びGlcNAcT-IIとのホモロジーが低いことから(図7)、GalNAcT-I及びGalNAcT-II活性を有していないものと考えられる。文献15に記載の方法で、受容体基質としてα-トロンボモジュリンを1 nmol用いてGalNAcT-I活性を測定した結果、この発現されたタンパク質(KIAA1402)は GalNAcT-I活性を有しないと思われた。このことから、この発現タンパク質は、GalNAcT-II活性についても有していない可能性がある。
【0123】
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30. Breathnach, R., and Chambon, P. (1981) Annu. Rev. Biochem. 50, 349-383
【0124】
【発明の効果】
本発明タンパク質(コンドロイチン合成酵素2)は、特定のコンドロイチン合成酵素活性を有する新規なタンパク質であり、本発明試薬などに利用できることから極めて有用である。本発明ベクターは、本発明形質転換体の製造に利用することができることから極めて有用である。本発明形質転換体は、本発明酵素製造方法に利用できることから極めて有用である。本発明酵素製造方法は、本発明タンパク質を効率よく大量に生産できることから極めて有用である。本発明試薬は、試薬商品としてあるいは本発明糖鎖製造方法に利用できることから極めて有用である。本発明糖鎖製造方法は、コンドロイチンその他のGalNAc含有糖鎖の製造に利用できることから極めて有用である。本発明プローブは、本発明タンパク質をコードするDNAやRNAの検出・定量用試薬や、遺伝子と疾患との関連を探る有用なツールとして利用しうることから、極めて有用である。また本発明プローブは、DNAチップのマイクロアレイに使用することもでき、極めて有用である。
またコンドロイチン合成酵素3も、上記と同様に極めて有用である。
【0125】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト由来のコンドロイチン合成酵素2(chondroitin synthase 2)と、ヒト由来のコンドロイチン合成酵素1 (chondroitin synthase 1)の推定アミノ酸配列の比較を示す。これらの推定アミノ酸配列は、GENETYX-MAC(バージョン10)コンピュータプログラムを用いて解析した。黒のボックスは、アミノ酸が両者間で一致していることを示す。一致の程度を最も高くするために導入したギャップを破線で示す。予測される膜貫通ドメインを四角の枠で囲んだ。保存されたDXDモチーフは下線で示した。ヒト由来のコンドロイチン合成酵素2のN−グリコシル化可能部位として考えられる2ヶ所を星印でマークした。
【図2】コンドロイチン合成酵素2遺伝子のゲノム構成を示す。エキソン領域をボックスで示した。黒のボックスはコード配列を示し、白のボックスは、5'-および3'-未翻訳配列を示す。翻訳開始コドン(ATG)と終止コドン(TGA)も併せて示した。黒の横線は、イントロンを示す。
【図3】コンドロイチン合成酵素2反応生成物の同定の結果を示す。縦軸は放射活性(3H-Radioactivity)を、横軸は画分番号(Fraction number)を示す。
(A)コンドロイチンのポリマーを受容体基質として得られた3H-ラベルされたGalNAcトランスフェラーゼII反応生成物を、実施例に記載の方法でコンドロイチナーゼAC-II消化した。コンドロイチナーゼAC-II消化物(黒の丸)または未消化物(黒の三角)を、スーパーデックスペプチド・カラム(1.0 x 30cm)にアプライし、それぞれの溶出画分(各0.4 ml)について、実施例に記載の方法で放射活性を分析した。矢印は遊離のGalNAcの溶出位置を示す。(B)GlcUAβ1-3Galβ1-O-C2H4NHCbzを受容体基質として得られた3H-ラベルされたGalNAcトランスフェラーゼI反応生成物を、実施例に記載の方法でコンドロイチナーゼAC-IIまたはα-N-アセチルガラクトサミニダーゼで消化した。コンドロイチナーゼAC-II消化物(黒の丸)、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ消化物(黒の四角)又は未消化物(黒の三角)を、実施例に記載の方法で、Nova-Pak(商標名) C18カラムを用いたHPLCで分析し、それぞれの溶出画分(各2ml)について、放射活性を分析した。矢印は遊離のGalNAcの溶出位置を示す。
【図4】ヒトの組織におけるコンドロイチン合成酵素2とコンドロイチン合成酵素1のノーザンブロット分析の結果を示す。各種ヒト組織由来のRNAに対し、コンドロイチン合成酵素2(図の上段)またはコンドロイチン合成酵素1(図の下段)のプローブを用いて、実施例に記載の方法でハイブリダイゼーションを行った。レーン1は脳、レーン2は心臓、レーン3は骨格筋、レーン4は結腸、レーン5は胸腺、レーン6は脾臓、レーン7は腎臓、レーン8は肝臓、レーン9は小腸、レーン10は胎盤、レーン11は肺、レーン12は末梢血白血球である。
【図5】コンドロイチン合成酵素2およびコンドロイチン合成酵素1のRNAドットブロット解析の結果を示す。ヒト・マルチプル・ティッシュ・エクスプレッション・アレイ(クローンテック製)を、コンドロイチン合成酵素2(図の上段)又はコンドロイチン合成酵素1(図の下段)のプローブを用いて、実施例に記載の方法でハイブリダイゼーションを行った。
【図6】コンドロイチン合成酵素3の反応生成物の同定の結果を示す。縦軸は放射活性(14C-Radioactivity)を、横軸は画分番号(Fraction number)を示す。
【図7】ヒト由来のコンドロイチン合成酵素1(chondroitin synthase 1)、ヒト由来のコンドロイチン合成酵素2 (chondroitin synthase 2)及び、ヒト由来のコンドロイチン合成酵素3(chondroitin synthase 3)の推定アミノ酸配列の比較を示す。解析は図1と同様に行った。黒のボックスは、アミノ酸が両者間で一致していることを示す。一致の程度を最も高くするために導入したギャップを破線で示す。また保存されたDXDモチーフを四角の枠で囲んだ。

Claims (12)

  1. 配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
  2. 配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質とプロテインA又はインスリンシグナル配列との融合タンパク質。
  3. 配列番号2におけるアミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを保持するベクター。
  4. アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAである、請求項3に記載のベクター。
  5. アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質とプロテインA又はインスリンシグナル配列との融合タンパク質をコードするDNAを保持するベクター。
  6. アミノ酸番号42〜532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質とプロテインA又はインスリンシグナル配列との融合タンパク質をコードするDNAが、配列番号1におけるヌクレオチド番号778〜2250で示されるDNAとプロテインA又はインスリンシグナル配列をコードするDNAとの連結物である、請求項5に記載のベクター。
  7. 発現ベクターである、請求項4〜6のいずれか1項に記載のベクター。
  8. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のベクターによって宿主が形質転換された形質転換体。
  9. 請求項8に記載の形質転換体を生育させ、その生育物からコンドロイチン合成酵素を採取することを特徴とする、コンドロイチン合成酵素の製造方法。
  10. 請求項1又は2に記載のタンパク質を含有する、N−アセチルガラクトサミン含有糖鎖合成用試薬。
  11. 請求項10に記載の試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(1)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(2)で示される糖鎖の製造方法。
    GlcUA-GalNAc-R1 (1)
    GalNAc-GlcUA-GalNAc-R1 (2)
    (各式中、GlcUAはグルクロン酸残基を、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン残基を示す。−はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
  12. 請求項10に記載の試薬を、GalNAc供与体及び下記一般式(3)で示される糖鎖に接触させる工程を少なくとも含む、下記一般式(4)で示される糖鎖の製造方法。
    GlcUA-Gal-R1 (3)
    GalNAc-GlcUA-Gal-R1 (4)
    (各式中、GlcUAはグルクロン酸残基を、GalNAcはN-アセチルガラクトサミン残基を、Galはガラクトース残基を示す。−はグリコシド結合を、-R1は任意の基を示す。)
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