JP3818676B2 - ヘパラン硫酸6−o−硫酸基転移酵素 - Google Patents

ヘパラン硫酸6−o−硫酸基転移酵素 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な硫酸基転移酵素に関し、詳しくはヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるN−スルホグルコサミンの6位の水酸基に対して選択的に硫酸基を転移するヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、グリコサミノグリカンに属する多糖である。ヘパリンとヘパラン硫酸の基本的糖鎖骨格は類似しており、両者ともN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)とグルクロン酸(GlcA)が1→4結合した鎖が合成された後、プロセッシングによって生成するが、そのプロセッシングの程度が異なる。すなわち両者ともに陰性に強く荷電しているが、ヘパリンの方がN−硫酸化グルコサミンおよび6−O−硫酸化グルコサミン並びに2−O−硫酸化イズロン酸をより多く含む。ヘパラン硫酸とヘパリンは、他のグリコサミノグリカンと同じく、糖鎖がコアタンパク質に共有結合したプロテオグリカンの形で組織中に存在する。
【0003】
ヘパリンプロテオグリカンは、肥満細胞や好塩基性細胞の分泌顆粒中に見いだされており、ヒスタミンや塩基性プロテアーゼのパッケージングに関与していると考えられる。また、ヘパラン硫酸プロテオグリカンは、細胞外マトリックス、細胞表面などに非常に広く分布しており、細胞の分化、増殖、移動、血液凝固防止など種々の機能を持つことが知られてきている。
【0004】
ところで、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)は、血管系、結合組織系、脳神経系、免疫系など極めて広範な細胞の増殖を強く促進する蛋白質である。また、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)は、脳や網膜などの神経系に多く見いだされる蛋白質である。aFGFはbFGFと共通の細胞表面レセプターに結合することから、両者の作用機構は本質的に同じものと考えられている。
【0005】
aFGFとbFGFは、組織の細胞外マトリックスあるいは基底膜に組み込まれているヘパラン硫酸プロテオグリカンの糖鎖部分と強く結合していることが明らかにされてきた。最近、bFGFが高親和性の受容体へ結合するにはヘパリンやヘパラン硫酸鎖が必須であることが示唆された(Yayon, A.ら、Cell, 64, 841-848 (1991); Rapraeger, A. C., Science, 252, 1705-1708 (1991))。さらには、これらの糖鎖の高親和性受容体自体への結合もbFGF活性に必要であることが示唆されている(Kan, M.ら、Science, 259, 1918-1921 (1993);Guimond, S. ら,J. Biol. Chem., 268, 23906-23914 (1993))。本発明者らは、ヘパラン硫酸鎖上にbFGFとの結合に関与する特異な構造ドメインが存在すること、またbFGFのヘパラン硫酸鎖への結合はbFGFの代謝に大きく影響することなどを示した(Habuchi, H.ら (1992) Biochem. J., 285, 803-815)。bFGFの結合には、ヘパラン硫酸鎖上のイズロン酸残基の2−O−硫酸基とN−硫酸化グルコサミン残基の存在が必要であることが知られている(Habuchi, H.ら、 Biochem. J., 285, 805-813 (1992);Turnbull, J. E.ら、 J. Biol. Chem., 267, 10287-10293 (1992))。
【0006】
また、高度に組織化した基底膜形成にかかわるヘパラン硫酸は、グルコサミン残基の6位の硫酸化度が高いことが報告されている(Nakanishi, H.,ら、 Biochem. J., 288, 215-224 (1992))。また、ヘパリンのフィブロネクチンに対する親和力は、ヘパリンの分子量と硫酸含量に伴って増加するという報告もある(Ogamo, A.,ら、Biochim. Biophys. Acta, 841, 30-41 (1985))。また、高転移能を持つLewis-lung-carcinoma由来の細胞株のクローンほど、合成するヘパラン硫酸中の6−O−硫酸含量が増加すること(Nakanishi. H., Biochem. J., 288, 215-224 (1992))、がん化に伴って、ヘパラン硫酸の硫酸化度が下がることも知られている。このようなことから、ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現には、硫酸化が重要な役割を果たしていると考えられる。
【0007】
ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、ヘパリンやヘパラン硫酸の特異的な部位を硫酸化する方法は、ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性の解析や機能改変に必須であると考えられる。化学的にN−およびO−に選択的に硫酸基を導入する方法はすでに報告されているが(新生化学実験講座3 糖質II p324 東京化学同人刊)、処理操作が煩雑で、必要な試薬の種類も多く、また時間もかかるため、酵素的に硫酸基を導入する方法が望まれる。N−選択的に硫酸基を導入する酵素としてはヘパラン硫酸(GlcN)2−N−硫酸基転移酵素が単離精製されている(新生化学実験講座3 糖質II p194 東京化学同人刊)。ヘパラン硫酸のグルコサミンの6位選択的に硫酸基を転移する酵素(ヘパラン硫酸(GlcNAc)6−O−硫酸基転移酵素)の単離精製も試みられてきたが、高度に精製してもイズロン酸(IdoA)2−O−硫酸基転移酵素が混在しており、両者の分離は困難であったことが報告されている(Wald, H.ら, Glycoconjugate J., 8, 200-201 (1991))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、ヘパリンやヘパラン硫酸に硫酸基を転移する方法の開発は、ヘパリンやヘパラン硫酸の機能解析の研究のみならず、ヒトに好ましい生理活性を有する医薬品の創造を目的としたヘパリンもしくはヘパラン硫酸を提供するためにも非常に重要である。特に、ヘパラン硫酸(GlcN)2−N−硫酸基転移酵素が単離されている今、ヘパラン硫酸(GlcN)6−O−硫酸基転移酵素の単離精製が待たれていた。本発明は上記観点からなされたものであり、ヘパリンおよびヘパラン硫酸のグルコサミンの6位に選択的に硫酸基を導入するヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるN−スルホグルコサミンの6位の水酸基に選択的に硫酸基を転移する酵素、ヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素(以下、「ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ」または本発明酵素という)を鋭意検索し、該酵素の単離精製に成功し、該酵素が、ヘパリンおよびヘパラン硫酸のN−スルホグルコサミンの6位の水酸基に選択的に硫酸基を転移することを確認し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本願発明は、下記の理化学的性質を有するヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼである。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンのN−スルホグルコサミン残基の6位へ選択的に転移する。
▲2▼基質特異性:
ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチンおよびコンドロイチン−4−硫酸には硫酸基を転移しない。
▲3▼至適反応pH:
pH 6〜7
▲4▼至適イオン強度:
0.1〜0.3M(塩化ナトリウムの場合)
▲5▼阻害及び活性化:
ジチオスレイトール、アデノシン-3',5'-ジリン酸で阻害され、プロタミンにより活性化される。
【0011】
また本願発明は、チャイニーズハムスター卵巣組織由来の繊維芽細胞、マウス乳癌由来細胞またはヒトの骨肉腫由来細胞から選ばれる培養細胞を好適な培地で培養し、この培地に上記のヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素を分泌、蓄積させ、この培地からヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素を採取することを特徴とするヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素の製造方法を提供する。
【0012】
尚、本発明酵素を便宜的にヘパラン硫酸 6−O−硫酸基転移酵素またはヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼと呼ぶが、これは該酵素の基質がヘパラン硫酸に限られることを意味するものではなく、グルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンに対しても硫酸基転移活性を有する。また、無修飾のヘパリンは、グルコサミン残基の6位のほとんどに硫酸基を有しているが、わずかに水酸基を有するものがあり、本発明酵素はこのようなヘパリンのグルコサミン残基の6位にも硫酸基を転移する。したがって、本明細書においては、グルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有する修飾ヘパリンも併せて、単にヘパリンということがある。
【0013】
<1>本発明のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ
本発明酵素は、本発明により初めて単離された酵素であり、以下の理化学的性質を有する。
【0014】
▲1▼作用
硫酸基供与体から、ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンを受容体とし、これらのN−スルホグルコサミン残基の6位へ選択的に硫酸基を転移し、ウロン酸残基にはほとんど転移しない。硫酸基供与体としては、活性硫酸(3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸;以下、「PAPS」という)が好適に挙げられる。
【0015】
▲2▼基質特異性
ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチンおよびコンドロイチン−4−硫酸には硫酸基を転移しない。また、NDS-ヘパリン(N-desulfated ヘパリン)のように、グルコサミンの2位に硫酸基を有しないヘパリンまたはヘパラン硫酸には硫酸基をほとんど転移しない。したがって、本発明酵素の硫酸基受容体としては、ムコ多糖類のグルコサミン残基の2位が硫酸化されていることが必要であると考えられる。
【0016】
▲3▼至適反応pH
本発明酵素は、pH 6〜7の範囲、特にpH 6.3付近で高い硫酸基転移活性を有する。pH 4.7以下ではほとんど活性を有しない。
【0017】
▲4▼至適イオン強度
本発明酵素の活性は、イオン強度の増加にともなって増加し、NaClの場合、0.1〜0.3 M、特に0.15 M付近で最も高い活性を示し、この範囲を越えてNaCl濃度が増加すると、活性は徐々に低下し、0.5 Mでは活性は極めて低くなる。
【0018】
▲5▼阻害及び活性化
本発明酵素の活性は、ジチオスレイトール(DTT)、アデノシン-3',5'-ジリン酸(3',5'-ADP)で阻害され、プロタミンにより活性化される。DTT 1 mM存在下で活性は半減する。約0.025 mg/ml以上のプロタミンにより、プロタミン非存在下に比べて10倍程度活性が上昇する。
【0019】
▲6▼ミカエリス定数
本発明酵素に対して、硫酸基の受容体としてヘパラン硫酸を、供与体としてPAPSを用いたときのPAPSに対するミカエリス定数(Km)は、4.4 × 10-7 Mである。
【0020】
▲7▼その他
CHO細胞の培養液から得られた本発明酵素の活性画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した結果、45 kDa及び52 kDaの分子量のバンドが認められた。これらの蛋白のN末端のアミノ酸配列を決定した結果を、それぞれ配列番号1、2に示す。その結果、これらの蛋白のN末端配列は非常によく類似していることがわかり、関連性を有することが示唆された。しかしながら、これらの蛋白のいずれが本発明酵素であるか、あるいは両者ともに本発明酵素であるかは明らかではない。いずれにしても、上記の本発明酵素の理化学的性質は、これらの45 kDa及び52 kDaの両方の蛋白を含む酵素画分を用いて決定されたものである。尚、これらの両蛋白の電気泳動上の易動度は、メルカプトエタノールの存在により影響されなかった。
【0021】
本発明酵素をN-グリカナーゼ処理したものをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析したところ、上記45 kDa及び52 kDaのバンドは消えて、新たに38 kDa及び43 kDaのバンドが出現したことから、これらの蛋白は15 %以上の糖を含む糖蛋白であることが示唆された。
【0022】
本発明酵素の硫酸基転移活性は、[35S]PAPSを硫酸基供与体とし、ヘパリンまたはヘパラン硫酸を硫酸基受容体として、これらに本発明酵素を作用させ、ヘパリンまたはヘパラン硫酸に取り込まれた[35S]の放射活性を計測することにより測定することができる。この際、反応液のpHを6〜7、イオン強度を0.15 M程度とし、さらにプロタミンを0.025 mg/ml以上添加しておくことが好ましい。具体的には、例えば、2.5 μmolイミダゾール塩酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、25 nmol CDSNS-ヘパリン(Completely desulfated and N-resulfated heparin:N,O−硫酸基を脱硫酸後、再N−硫酸化したヘパリン)、50 pmol[35S]PAPS(およそ5×105 cpm)及び酵素を含む50μlの反応液を37℃で20分保温後、100℃で1分加熱して反応を止める。この後、キャリアーとして0.1 μmolのコンドロイチン硫酸Aを加えてから、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを反応液の3倍量加えて35S-グリコサミノグリカンを沈澱させる。さらに[35S]PAPSとその分解物を脱塩により除き、液体シンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンタを用いて[35S]の放射活性を測定する。本発明においては、上記条件で、1分間に1pmol の硫酸基を転移する活性を、1ユニット(U)の酵素量と定義した。
【0023】
<2>本発明酵素の製造法
上記性質を有する本発明酵素は、動物由来の培養細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣組織由来の繊維芽細胞、マウス乳癌由来細胞またはヒトの骨肉腫由来細胞、具体的にはCHO細胞(例えば、ATCC CCL61等)、FM3A細胞(国立衛生試験所JCRB細胞バンク JCRB0701等)、あるいはMG63細胞(例えば、ATCC CRL1427等)等の培養細胞を好適な培地で培養し、この培地に該酵素を生成、蓄積させ、この培地から採取することにより得られる。これらの培養細胞の中では、本発明酵素の収率の点からはCHO細胞が好ましい。また、上記した以外の培養細胞からも本発明酵素が得られると考えられるが、増殖性がよく、無血清培地での培養が可能なことから、上記培養細胞が好ましい。また、培養細胞自体から本発明酵素を抽出することもできる。また、本発明酵素は、夾雑する他の硫酸基転移酵素活性を効果的に抑制できる場合は、粗酵素として使用してもよい。
【0024】
上記培養細胞の培養に用いる培地は特に制限されないが、無血清培地を用いることが好ましい。無血清培地での培養が可能であると、培地中の蛋白濃度を極めて低くすることができ、培地からの本発明酵素の精製が容易となる。無血清培地として、Cosmedium-001培地(コスモ・バイオ(株))等の市販の無血清培地を用いてもよい。
【0025】
上記のCHO細胞等を培養するに際しては、ダルベッコ改変イーグル培地等を用いて必要とする細胞数まで増殖させた後、培地を無血清培地に変えて培養してもよい。
【0026】
また、本発明においては、例えば、隔日毎に培地を交換しながら培養細胞を10日以上培養し、これらの培地を併せて本発明酵素を採取することが好ましい。したがって、培地を交換する際に細胞がディシュなどの培養器から剥がれないように、細胞接着物質であるコラーゲンの合成、沈着を高めるために50 μg/ml程度のアスコルビン酸を加えることが好ましい。さらに、微生物の生育を防ぐために、ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加することが好ましい。上記のような培地を用い、ローラボトルやディシュを使用して通常の培養細胞と同様にして培養すると、培地中に本発明酵素が分泌される。
【0027】
培地からの本発明酵素の精製は、ヘパリン-セファロースCL-6B(ファルマシア社製)カラム、3',5'-ADP-アガロースカラム等を用いたアフィニティークロマトグラフィー、あるいはリソース(Resource)Q(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィーによって行うことができる。特に、3',5'-ADP-アガロースカラムクロマトグラフィーが有効である。その他、必要に応じてイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法、電気泳動法、塩析など公知の酵素精製法により精製することができる。
【0028】
上記培養細胞から、本発明酵素をコードする遺伝子を単離し、これを他の培養細胞あるいは微生物細胞に導入して得られる形質転換細胞を用いても、本発明酵素が得られる。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
<1>試薬等およびヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ酵素活性の測定法
【0030】
(1)試薬等
本実施例において使用した試薬及び試料等の入手先、入手方法を以下に示す。
[35S]H2SO4は日本アイソトープ協会から購入した。ダルベッコ改変イーグル培地、トリプシン(ウシ脾臓由来 III型)、PAPS、3',5'-ADP-アガロース及びヘパリンはシグマ(Sigma)社から購入した。Cosmedium-001培地はコスモ・バイオ(株)から購入した。高速脱塩カラム(Fast desalting column)、ヘパリン−セファロース CL-6BカラムはPharmacia-LKB社から購入した。PAMNカラム(ポリアミンを結合したシリカ カラム)はYMC社から購入した。コンドロイチナーゼABC、ヘパリチナーゼI、II、III、コンドロイチン硫酸A(サメ軟骨由来、4S/6S:80/20))、CDSNS−ヘパリン(Completely desulfated and N-resulfated heparin:N,O−硫酸残基を脱硫酸後、再N−硫酸化したヘパリン)、及びグリコサミノグリカン由来の不飽和2糖キットは、生化学工業(株)から購入した。
[35S]PAPSは、Delfert, D. M. and Conrad, E. H. (1985) Anal. Biochem. 148, 303-310 に記載の方法により、コンドロイチン(イカの皮由来)は、Habuchi, O. and Miyata, K. (1980) Biochim. Biophys. Acta 616, 208-217 に記載の方法により調製した。
【0031】
(2)ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼ活性の測定
ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼの精製工程、酵素の性質の分析等において、酵素活性は以下に示す方法によって測定した。
【0032】
酵素反応液は、2.5 μmolイミダゾール塩酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、25 nmol CDSNS-ヘパリン、50 pmol[35S]PAPS(およそ5×105 cpm)及び酵素を含む50μlとした。この反応液を、37℃で20分保温後、100℃で1分加熱して反応を止めた。この後、キャリアーとして0.1 μmolのコンドロイチン硫酸Aを加えてから、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを反応液の3倍量加えて35S-グリコサミノグリカンを沈澱させた。さらに[35S]PAPSとその分解物を、以前述べたように(Habuchi, O. et al., (1993) J. Biol. Chem., 268, 21968-21974)高速脱塩カラム(Fast desalting column)を用いて完全に分離した。これに液体シンチレーター(Ready Safeシンチレーター:ベックマン社製)を混合して、液体シンチレーションカウンタにより放射能を測定し、転移された硫酸基の量を算出した。上記条件で、1分間に1pmol の硫酸基を転移する活性を、1ユニット(U)の酵素量と定義した。
【0033】
コンドロイチンスルホトランスフェラーゼ活性も同様にして測定した。
【0034】
(3)グリコサミノグリカンのガラクトサミンとグルコサミン含量の測定
グリコサミノグリカンのガラクトサミンとグルコサミン含量は、グリコサミノグリカンを6 M HCl中で100℃で4時間加水分解後、Elson-Morgan法で測定した。
【0035】
<2>各種培養細胞が分泌するヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼの分析
CHO細胞(ATCC CCL61)、FM3A細胞(JCRB 0701)、及びMG63細胞(ATCC CRL1427)を、それぞれ3×106個細胞/ディシュの密度で接種し、10% ウシ胎児血清、10 mM HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸)、pH 7.2、50 単位/mlのペニシリンと50 μg/mlのストレプトマイシンを含む10 mlのダルベッコ改変イーグル培地で2日間培養した。その後、50 μg/mlアスコルビン酸と10 mM HEPES、pH 7.2を含む100 mlのCosmedium-001培地を用いて48時間培養した。各培地を、0.15 M NaClを含む緩衝液A(10 mM Tris-HCl, pH7.2、10 mM MgCl2、2 mM CaCl2、20% グリセロール、0.1% Triton X-100)で平衡化したヘパリン−セファロース カラム(1 ml)にかけて、0.15 M NaClを含む緩衝液Aで洗浄後、1.0 M NaClを含む緩衝液Aで溶出した。この溶出画分をヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼの粗酵素とし、受容体としてCDSNS-ヘパリンを用いて測定した。各細胞2×107個当たりのヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性を表1に示す。その結果、CHO細胞の培養液が、最も高いスルホトランスフェラーゼ活性を示した。
【0036】
【表1】
Figure 0003818676
【0037】
また、CDSNS-ヘパリン、[35S]PAPS及び粗酵素を含む反応液を保温して得られた反応産物を、以下に示すヘパリチナーゼI,II,IIIを含む混合液(反応産物 〜25 nmol、50 mM Tris-HCl (pH 7.2)、1 mM CaCl2、2 μg ウシ血清アルブミン(BSA)、5 mU ヘパリチナーゼI、0.5 mU ヘパリチナーゼII、5 mU ヘパリチナーゼIIIを含む50 μl)で、37℃で2時間消化した。
【0038】
消化物を、標準不飽和2糖と一緒にHPLC(高速液体クロマトグラフィー、カラム:ポリアミンを結合したシリカ カラム(PAMNカラム))を用いた既知の方法(Habuchi, H. et al., (1992) Biochem. J., 285, 805-813)で分離し、0.6 mlずつ分画し、3 mlの液体シンチレーター(Ready Safeシンチレーター:ベックマン社製)を混合して、液体シンチレーションカウンタにより放射能を測定した。尚、ヘパリチナーゼは、ヘパラン硫酸のα-N-アセチル/-スルホ-D-グルコサミニル(1→4)ウロン酸結合を脱離反応的に切断し、Δ4-ヘキスロン酸を非還元末端に持つオリゴ糖を生成する酵素である。
【0039】
結果を、図1(A:CHO細胞、B:FM3A細胞)に示す。図1中、1〜5の符号は、以下に示す不飽和二糖残基を表す(化1式及び表2参照)。尚、ΔDiHSは、ヘパリンがヘパリチナーゼにより分解されて生成する不飽和二糖を、6、Nはグルコサミンの硫酸化の位置を、及びUはウロン酸の2位が硫酸化されていることを示す。
【0040】
1:ΔDiHS−6S
2:ΔDiHS−NS
3:ΔDiHS−di(6,N)S
4:ΔDiHS−di(U,N)S
5:ΔDiHS−tri(U,6,N)S
【0041】
【化1】
Figure 0003818676
【0042】
【表2】
Figure 0003818676
【0043】
図1から明らかなように、[35S]PAPSから硫酸基が転移されたCDSNS-ヘパリンがヘパリチナーゼにより消化されて生成する不飽和2糖成分は、主として△DiHS-di(6,N)Sであり、△DiHS-di(U,N)Sが微量に含まれていた。この結果から、CHO細胞が産生、分泌するヘパラン硫酸 スルホトランスフェラーゼ活性の大部分は、ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼ活性であり、イズロン酸 2−スルホトランスフェラーゼ活性は殆ど含まないことが明らかとなった。
<3>CHO細胞が産生するヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼの精製
(1)CHO細胞の培養と培養液画分の調製
CHO細胞(ATCC CCL61)をローラボトル(In vitro Science Product, INC製)に3.3×107細胞/ボトルの密度で接種し、10% ウシ胎児血清、10 Mm HEPES、pH 7.2、50単位/mlのペニシリンと50 μg/mlのストレプトマイシンを含む100 mlのダルベッコ改変イーグル培地で2日間培養した。その後 50 μg/mlアスコルビン酸と10 mM HEPES、pH 7.2を含む100 mlのCosmedium-001培地を用いて、隔日毎に培養液を回収し、新鮮な培地を加えて培養した。
【0044】
培養を10日間続け、回収した培養液を集め、1000×gで5分遠心して浮遊細胞を除いた。この上清に、MgCl2, CaCl2, Tris-HCl,pH 7.2, グリセロール、Triton X-100をそれぞれ10 mM, 2 mM, 10 mM, 20%, 0.1%になるように加えて緩衝化培養液とし、酵素の精製を始めるまで−20℃で保存した。
【0045】
(2)ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼの精製
以下の全ての操作は、4℃で行った。
【0046】
▲1▼第1段階:1回目のヘパリン−セファロース CL−6Bクロマトグラフィー上記のように調製された緩衝化培養液16 Lを、0.15 M NaClを含む緩衝液A(10 mM Tris-HCl, pH7.2、10 mM MgCl2、2 mM CaCl2、20% グリセロール、0.1% Triton X-100)で平衡化したヘパリン−セファロースCL-6Bカラム(20×65 mm, 20 ml)に10回にわけて通した。流速は70 ml/時間で行った。カラムに吸着しない画分を、カラム容積の10倍量の0.25 M NaClを含む緩衝液Aで洗浄後、カラム容積の5倍量の1 M NaClを含む緩衝液Aで吸着画分を溶出した。同じ操作を10回行い、各々の溶出液を一緒にして透析チューブに入れ、これにポリエチレングリコール#20,000の粉末をまぶして4℃で放置することにより100 mlまで濃縮した。この濃縮液を0.05 M NaClを含む緩衝液Aに対して徹底的に透析した。
【0047】
上記操作により、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性は約1.6倍に増えた。この原因としては、PAPSの分解酵素やヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性を阻害する物質が、カラムクロマトグラフィーによって除かれたということが考えられる。
【0048】
▲2▼第2段階:3',5'-ADP-アガロースクロマトグラフィー
上記第1段階で得られた透析液を、0.05 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロース カラム(14×90 mm, 15 ml)に2回に分けて通した。流速は13 ml/時間で行った。カラムに吸着しない画分を、カラムの8倍量の0.05 M NaClを含む緩衝液Aで洗浄後、0.05 M NaClを含む緩衝液A中の3',5'-ADPの濃度を0から0.2 mMまで上げた直線的濃度勾配(全体積150 ml)で吸着画分を溶出した。尚、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、0.05 M NaCl中では不安定だということがわかったので、前もって各画分を分取した試験管に、NaClの終濃度が0.15 Mになるように1 M NaClを含む緩衝液Aを加えた。
【0049】
各溶出画分の蛋白濃度とヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性を測定した。蛋白濃度は、BSA(ウシ血清アルブミン)をスタンダードとして、BCAキット(Pierce)で測定した。結果を図2に示す。活性画分(図2で太線で示した部分)を集めた。また、溶出液の一部を小さなヘパリン-セファロースカラムにかけ、0.25 M NaClを含む緩衝液Aで洗浄後、1.0 M NaClを含む緩衝液Aで溶出し、この画分の活性を測定し、この段階で精製された酵素の総活性を求めた。
【0050】
上記操作により、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼの比活性は、一挙に35倍となり、本酵素の精製に極めて有効な方法であることが明らかになった。
【0051】
▲3▼第3段階:2回目のヘパリン-セファロース CL-6Bクロマトグラフィー
第2段階のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性画分を、0.15 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したヘパリン−セファロース CL-6Bカラム(16×35 mm, 5 ml)にかけた。カラム容積の5倍量の0.25 M NaClを含む緩衝液Aでカラムを洗浄した後、緩衝液中のNaCl濃度を0.25 Mから1.2 Mまで上げた直線的濃度勾配(全体積150 ml)で吸着部分を溶出した。各溶出画分の蛋白濃度、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性、及びコンドロイチン スルホトランスフェラーゼ活性を測定した。
【0052】
結果を図3に示す。コンドロイチンスルホトランスフェラーゼはヘパラン硫酸6-スルホトランスフェラーゼより低塩濃度で溶出され、この段階で除去された。尚、このコンドロイチン スルホトランスフェラーゼは、コンドロイチンまたはコンドロイチン硫酸中のN-アセチルガラクトサミンの4位へ硫酸基を転移し、N-アセチルガラクトサミンの6位へは転移しなかった。
【0053】
上記のようにして得られたヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性を含む画分の中、図3で太線で示した画分を集め、0.15 M NaClを含む緩衝液Aに透析した。こうして得られた精製酵素は、−20℃で保存した。
以上、3段階の精製操作により、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、緩衝化培養液から約10,700倍に精製され、後述するようにSDS-PAGEでほぼ均一な2本のバンドを与えた(図4)。各段階における精製の度合いを表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003818676
【0055】
(3)精製酵素のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析
上記のようにして得られたヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼの精製酵素及び精製の各段階における試料のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を、Laemmli(Laemmli, U.K. (1970) Nature, 227, 680-685)の方法に従って10% ゲルを用いて行った。蛋白のバンドは、銀染色もしくはクマシーブリリアントブルー染色により検出した。結果を、図5に示す。2回目のヘパリン-セファロース画分には、52 kDaと45 kDaの2つのバンドが銀染色により主に認められた。この画分を5 %メルカプトエタノールで還元したものを、クマシーブリリアントブルーで染色したものが図5のレーン5であり、還元前後で2つのバンドの分子量の変化は認められなかった。
【0056】
次に、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ蛋白の糖鎖の有無を調べた。0.15 μgの蛋白を含むヘパラン硫酸6-スルホトランスフェラーゼ溶液にTCA(トリクロロ酢酸)を終濃度10 %になるように加えて酵素蛋白を沈殿させ、遠心分離により沈殿を回収した。この沈殿をアセトンで洗浄乾燥後、以下に示す反応液中で37℃で16時間保温した。
10 μlの0.5% SDSを含む0.15 M Tris-HCl, pH 7.8/5 μlの7.5% (w/v)Nonidet P-40/1.2 μlの0.25 M EDTA/0.3 μlのフェニルメチルスルフォニルフルオライド/0.5 ユニットのN-グリカナーゼ(recombinant N-glycanase:ジェンザイム社製)を含む反応液。
【0057】
上記反応液をSDS-PAGEで分析したところ、52 kDaと45 kDaの蛋白バンドが消えて、43 kDaと38 kDaの蛋白バンドが出現した(図6)。この結果は、両バンドの蛋白が、15 %以上の糖を含む糖蛋白であることを示している。
【0058】
(4)ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼのN末端アミノ酸分析
精製されたヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ蛋白のN末端アミノ酸配列を求めるため、10 mM CAPS(シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸)緩衝液(10 %メタノールを含む10 mM CAPS, pH 11)中で40Vで16時間、PVDF(ポリビニリデンジフルオリド)膜(アプライドバイオシステムズ社)にエレクトロブロットによりゲルから蛋白を転写した。PVDF膜に酵素蛋白をブロットした試料の気相シークエンサーによるアミノ酸配列決定を行った。
【0059】
その結果、45 kDaの蛋白はN末端16残基の配列が明らかになり、プロリンに富む領域であることが示された。このことは、ゴルジ体の糖転移酵素のステムドメインは、一般にプロリンに富むという知見とよく一致する。一方、52 kDaのバンドは、11残基のうち同定できなかった3残基を除いて45 kDaの配列と一致したことから、2つのバンドはどちらも非常に関連のある蛋白と思われる。
【0060】
45 kDa及び52 kDaの蛋白のN末端アミノ酸配列を、各々配列番号1及び配列番号2に示す。尚、配列番号1において、6番目のアミノ酸はLeu又はAla、11番目のアミノ酸はPro又はAla、14番目のアミノ酸はArg又はPheである確率が高い。また、9、12、13、15及び16番目のアミノ酸は不明確であるが可能性の高いアミノ酸を示してある。同様に、配列番号2において、2、6及び9〜11番目のアミノ酸は、不明確であるが可能性の高いアミノ酸を示してある。
【0061】
(5)ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼの基質特異性
本発明のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼの基質特異性を調べるために、粗酵素又は精製酵素を用い、種々の基質(25 nmol)を受容体とした[35S]PAPSからの35S-硫酸基の転移活性を測定した。結果を表4に示した。表中の( )内の数字はCDSNS-ヘパリンを受容体としたときの硫酸基転移活性を100としたときの、各受容体に対する硫酸基転移活性を表す。
【0062】
【表4】
Figure 0003818676
【0063】
本発明のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、CDSNS-ヘパリンとヘパラン硫酸(ブタ大動脈由来)に硫酸基を転移し、NDS-ヘパリン(N-desulfated heparin)にわずかに転移したが、コンドロイチン、コンドロイチン-4-硫酸には転移が認められなかった。
【0064】
CDSNS-ヘパリン及びヘパラン硫酸を受容体とし、[35S]-PAPSを硫酸基の供与体としたときに、本発明のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼによって転移される硫酸基の位置を調べるため、転移反応生成物を、前記と同様にしてヘパリチナーゼで消化し、PAMNカラムを用いてHPLCにより分析した。結果を図7に示す。図中の符号は図1と同様である。
【0065】
その結果、CDSNS-ヘパリンを受容体としたときは、大部分の放射能はスタンダードのΔDiHS-di(6,N)Sの溶出位置と一致し、わずかにΔDiHS-tri(U,6,N)Sの位置にも存在した(図7A)。一方、ヘパラン硫酸を受容体としたときは、ΔDiHS-di(6,N)SとΔDiHS-tri(U,6,N)Sの位置にほぼ同じ放射能が存在した(図7B)。尚、ヘパラン硫酸を受容体としたときは、CDSNS-ヘパリンに比べてピーク5の含量が高くなっているが、これは反応に用いたヘパラン硫酸中のウロン酸2位に硫酸基を有するユニットの含量が、CDSNS-ヘパリンのそれよりも高いことが原因であると考えられる。
【0066】
これらの結果は、本発明のヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、グリコサミノグリカンにあるN-スルホグルコサミンの6位へ硫酸基を転移する活性を有し、恐らく隣のヘキスロン酸は硫酸化されていてもいなくても硫酸基の受容体になるらしいことを示した。
【0067】
(6)ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼのその他の酵素学的性質
▲1▼至適pH
本発明酵素の至適pHの測定を行った。緩衝液としては、50 mM Tris-HCl、50 mM イミダゾール-HCl、50 mM MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸:ナカライテスク社製)、及び 50 mM 酢酸カリウム緩衝液を用い、種々のpHで酵素活性を測定した。pH 6.3のイミダゾール-HCl緩衝液中における活性に対する各々の相対活性を図8に示した。その結果、最大活性はpH 6.3付近であった。
【0068】
▲2▼本発明酵素の阻害及び活性化
本発明酵素の活性に対するジチオスレイトール(DTT)及びプロタミンの影響を調べるために、DTT又はプロタミンを種々の濃度で反応液に添加し、酵素活性を測定した。DTTを加えないときの活性に対する相対活性を図9に示す。DTTは、濃度が高くなるにつれて酵素活性を阻害し、2 mM DTTで42 %、10 mM DTTで19 % まで酵素活性が減少した。
【0069】
本発明酵素の酵素活性に対するプロタミンの影響を調べた。最大活性に対する相対活性を図10に示す。ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、コンドロイチン4-スルホトランスフェラーゼやコンドロイチン6-スルホトランスフェラーゼと同様にプロタミンによって著しく活性化された。
【0070】
次に、酵素活性に対するNaClの影響を調べた。DTTの存在下または非存在下で、NaClを種々の濃度で酵素反応液に添加し、酵素活性を調べた。結果を図11に示す。最大活性はDTTを加えない場合は、150 mM NaCl付近に、2 mM DTTを添加した場合は100 mM NaCl付近に見られた。この性質はNaCl濃度依存的に活性が阻害されるN-スルホトランスフェラーゼとは異なる。
【0071】
本発明酵素の酵素活性に対する3',5'-ADPの影響を調べたところ、他のスルホトランスフェラーゼ同様に強い阻害作用を示した。
【0072】
▲3▼ミカエリス定数の測定
本発明酵素に対して、硫酸基の受容体としてヘパラン硫酸を、供与体としてPAPSを用いたときのミカエリス定数(Km)を求めた。0.19ユニットの酵素とヘキソサミンとして25 nmolのCDSNS-ヘパリンを含む反応液50 μlに0.125〜5 μMのPAPSを加え、37℃で20分間反応させて、反応初速度を測定した。Lineweaver-Burkプロットを作成し(図12参照)、ミカエリス定数を算出した結果、本発明酵素のPAPSに対するKmは4.4 × 10-7 Mであった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の酵素により、ヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるN−スルホグルコサミンの6位に選択的に硫酸基を導入することが酵素的に可能になった。このヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、極めて厳密にヘパリンおよびヘパラン硫酸のN−スルホグルコサミンの6位選択的に硫酸基を導入するため、ヘパリンやヘパラン硫酸の機能解析などの研究に有用な試薬への活用が期待される。
【0074】
また本発明酵素を用いて、現在知られていない新たな生理活性を有するヘパリンやヘパラン硫酸の創出、さらに医薬品としての応用を考えると、ヒトに好ましい生理活性を有するヘパリンもしくはヘパラン硫酸の創出が期待できる。また、がん化に伴ってヘパラン硫酸の硫酸化度が下がることが知られているので、本発明の酵素に対する抗体を作出し、組織中の本発明の酵素を検出することによって、該酵素量と細胞のがん化との関連付けが可能になることも期待される。
【0075】
【配列表】
Figure 0003818676
【0076】
Figure 0003818676
【0077】
【図面の簡単な説明】
【図1】 CHO細胞(A)、FM3A細胞(B)が分泌するヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼによるCDSNS-ヘパリンへの硫酸基転移反応産物のヘパリチナーゼ消化物のHPLCクロマトグラムを示す図。
【図2】 本発明酵素の3',5'-ADP-アガロースクロマトグラフィーの結果を示す図。●はヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性、○は蛋白濃度、破線は3',5'-ADP濃度を示す。
【図3】 本発明酵素の2回目のヘパリン-セファロース CL-6Bクロマトグラフィーの結果を示す図。●はヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性、○はコンドロイチンスルホトランスフェラーゼ活性、破線はNaCl濃度を各々示す。
【図4】 2回目のヘパリン-セファロース CL-6Bクロマトグラフィーで分画されたフラクションのSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図。図上部の数字はフラクション番号を表す。
【図5】 各精製段階における本発明酵素画分及び5 %メルカプトエタノール処理した精製酵素のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図。レーン1は緩衝化培養液成分、レーン2は1回目のヘパリン−セファロース CL-6Bの吸着画分、レーン3は3',5'-ADP-アガロースの吸着画分、レーン4は2回目のヘパリン−セファロース CL-6Bクロマトグラフィーにおいて図3で示した水平線(太線)の部分の画分、レーン5はレーン4と同じ画分を5%メルカプトエタノールで還元したもの。
【図6】 N-グリカナーゼ処理及び無処理の本発明酵素のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図。レーン1は無処理の本発明酵素、レーン2はN−グリカナーゼ処理した本発明酵素、レーン3はN−グリカナーゼ。
【図7】 本発明酵素によるCDSNS-ヘパリン(A)及びヘパラン硫酸(B)への硫酸基転移反応産物のヘパリチナーゼ消化物のHPLCクロマトグラムを示す図。
【図8】 本発明酵素の至適pHを示すpH−酵素活性曲線。○はTris-HCl緩衝液、●はイミダゾール−HCl緩衝液、□はMES緩衝液、■は酢酸カリウム緩衝液を各々示す。
【図9】 本発明酵素に対するDTTの影響を示すDTT濃度−酵素活性曲線。
【図10】 本発明酵素に対するプロタミンの影響を示すプロタミン濃度−酵素活性曲線。
【図11】本発明酵素の至適NaCl濃度を示すNaCl濃度−酵素活性曲線。●はDTT無添加、○は2 mM DTTを添加したものを各々示す。
【図12】本発明酵素のKmを算出するためのLineweaver-Burkプロット。

Claims (6)

  1. 下記の理化学的性質を有するヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素。
    (1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンのN−スルホグルコサミン残基の6位へ選択的に転移する。
    (2)基質特異性:ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチンおよびコンドロイチン−4−硫酸には硫酸基を転移しない。
    (3)至適反応pH:pH 6〜7
    (4)至適イオン強度:0.1〜0.3M(塩化ナトリウムの場合)
    (5)阻害及び活性化:ジチオスレイトール、アデノシン−3',5'−ジリン酸で阻害され、プロタミンにより活性化される。
    (6)分子量:SDS−PAGEにおいて、約45kDa又は約52kDaの分子量を示す。
  2. 前記硫酸基供与体が、3'−ホスホアデノシン5'−ホスホ硫酸である請求項1記載のヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素。
  3. 請求項1又は2記載のヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素を含む酵素画分であって、硫酸基供与体から硫酸基を、ヘパラン硫酸もしくはグルコサミン残基の2位に硫酸基と6位に水酸基を有するヘパリンのN−スルホグルコサミン残基の6位へ選択的に転移する活性を有する酵素画分。
  4. 前記酵素の比活性が0.433×10 4 U/mg以上である請求項3記載の酵素画分。
  5. チャイニーズハムスター卵巣組織由来の繊維芽細胞、マウス乳癌由来細胞およびヒトの骨肉腫由来細胞からなる群から選ばれる培養細胞を培養し、この培地に請求項1記載のヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素を分泌、蓄積させ、この培地からヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素を採取することを特徴とするヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の製造方法。
  6. 前記培養細胞が、CHO細胞(ATCC CCL61)、FM3A細胞(JCRB 0701)またはMG63細胞(ATCC CRL1427)から選ばれることを特徴とする請求項5記載のヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の製造方法。
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