JP3672359B2 - ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素 - Google Patents

ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素 Download PDF

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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/13Transferases (2.) transferring sulfur containing groups (2.8)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な硫酸基転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)に関し、詳しくはヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の2位の水酸基へ選択的に硫酸基を転移するヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、グリコサミノグリカンに属する多糖である。ヘパリンとヘパラン硫酸の基本的糖鎖骨格は類似しており、両者ともN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)とグルクロン酸(GlcA)が1→4結合した鎖が合成された後、プロセッシングによって生成するが、そのプロセッシングの程度が異なる。すなわち両者ともに陰性に強く荷電しているが、ヘパリンの方がN−硫酸化グルコサミンおよび6−O−硫酸化グルコサミン並びに2−O−硫酸化イズロン酸をより多く含む。ヘパラン硫酸とヘパリンは、他のグリコサミノグリカンと同じく、糖鎖がコアタンパク質に共有結合したプロテオグリカンの形で組織中に存在する。
【0003】
ヘパリンプロテオグリカンは、肥満細胞や好塩基性細胞の分泌顆粒中に見いだされており、ヒスタミンや塩基性プロテアーゼのパッケージングに関与していると考えられる。また、ヘパラン硫酸プロテオグリカンは、細胞外マトリックス、細胞表面などに非常に広く分布しており、細胞の分化、増殖、移動、血液凝固防止など種々の機能を持つことが知られてきている。
【0004】
ところで、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)は、血管系、結合組織系、脳神経系、免疫系など極めて広範な細胞の増殖を強く促進する蛋白質である。また、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)は、脳や網膜などの神経系に多く見いだされる蛋白質である。aFGFはbFGFと共通の細胞表面レセプターに結合することから、両者の作用機構は本質的に同じものと考えられている。
【0005】
aFGFとbFGFは、組織の細胞外マトリックスあるいは基底膜に組み込まれているヘパラン硫酸プロテオグリカンの糖鎖部分と強く結合していることが明らかにされてきた。最近、bFGFが高親和性の受容体へ結合するにはヘパリンやヘパラン硫酸鎖が必須であることが示唆された(Yayon, A.ら、Cell, 64, 841-848 (1991); Rapraeger, A. C., Science, 252, 1705-1708 (1991))。さらには、これらの糖鎖の高親和性受容体自体への結合もbFGF活性に必要であることが示唆されている(Kan, M.ら、Science, 259, 1918-1921 (1993);Guimond, S. ら,J. Biol. Chem., 268, 23906-23914 (1993))。本発明者らは、ヘパラン硫酸鎖上にbFGFとの結合に関与する特異な構造ドメインが存在すること、またbFGFのヘパラン硫酸鎖への結合はbFGFの代謝に大きく影響することなどを示した(Habuchi, H.ら (1992) Biochem. J., 285, 805-813)。bFGFの結合には、ヘパラン硫酸鎖中のイズロン酸残基の2−O−硫酸基とN−硫酸化グルコサミン残基の存在が必要であることが知られている(Habuchi, H.ら、 Biochem. J., 285, 805-813 (1992);Turnbull, J. E.ら、 J. Biol. Chem., 267, 10337-10341 (1992))。
【0006】
また、高度に組織化した基底膜形成にかかわるヘパラン硫酸は、グルコサミン残基の6位の硫酸化度が高いことが報告されている(Nakanishi, H.,ら、 Biochem. J., 288, 215-224 (1992))。また、ヘパリンのフィブロネクチンに対する親和力は、ヘパリンの分子量と硫酸含量に伴って増加するという報告もある(Ogamo, A.,ら、Biochim. Biophys. Acta, 841, 30-41 (1985))。また、高転移能を持つLewis-lung-carcinoma由来の細胞株のクローンほど、合成するヘパラン硫酸中の6−O−硫酸含量が増加すること(Nakanishi. H., Biochem. J., 288, 215-224 (1992))、がん化に伴って、ヘパラン硫酸の硫酸化度が下がることも知られている。このようなことから、ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現には、硫酸化が重要な役割を果たしていると考えられる。
【0007】
ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、ヘパリンやヘパラン硫酸の特異的な部位を硫酸化する方法は、ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性の解析や機能改変に必須であると考えられる。化学的にN−およびO−に選択的に硫酸基を導入する方法はすでに報告されているが(新生化学実験講座3 糖質II p324 東京化学同人刊)、処理操作が煩雑で、必要な試薬の種類も多く、また時間もかかるため、酵素的に硫酸基を導入する方法が望まれる。グルコサミン(GlcN)残基のN−選択的に硫酸基を導入する酵素としてはヘパラン硫酸(GlcN)2−N−硫酸基転移酵素が単離精製されている(新生化学実験講座3 糖質II p194 東京化学同人刊)。ヘパリンやヘパラン硫酸中のイズロン酸(IdoA)残基の2位選択的に硫酸基を転移する酵素(ヘパラン硫酸(IdoA)2−O−硫酸基転移酵素)の単離精製も試みられてきたが、高度に精製してもヘパラン硫酸(GlcN)6−O−硫酸基転移酵素(ヘパリンやヘパラン硫酸中のグルコサミン残基の6位選択的に硫酸基を転移する酵素。以下、単に「ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼ」ともいう)が混在しており、両者の分離は困難であったことが報告されている(Wald, H.ら, Glycoconjugate J., 8, 200-201 (1991))。本発明者らは最近、ヘパラン硫酸6−O−硫酸基転移酵素の単離精製に成功した(J. Biol. Chem. 270, 4712-4719 (1995))。しかし、ヘパラン硫酸(IdoA)2−O−硫酸基転移酵素の単離精製はなされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、ヘパリンやヘパラン硫酸に硫酸基を転移する方法の開発は、ヘパリンやヘパラン硫酸の機能解析の研究のみならず、ヒトに好ましい生理活性を有する医薬品の創造を目的としたヘパリンもしくはヘパラン硫酸を提供するためにも非常に重要である。特に、ヘパラン硫酸(GlcN)2−N−硫酸基転移酵素およびヘパラン硫酸(GlcN)6−O−硫酸基転移酵素が単離されている今、ヘパラン硫酸(IdoA)2−O−硫酸基転移酵素の単離精製が待たれていた。本発明は上記観点からなされたものであり、ヘパリンおよびヘパラン硫酸のイズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を導入するヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を転移する酵素であるヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素(以下、「ヘパラン硫酸 2−O−スルホトランスフェラーゼ」、「ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼ」または「本発明酵素」ということもある)を鋭意検索し、該酵素の単離精製に成功し、該酵素が、ヘパリンおよびヘパラン硫酸のイズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を転移することを確認し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本願発明は、下記の理化学的性質を有するヘパラン硫酸 2−O−スルホトランスフェラーゼである。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に転移する。
▲2▼基質特異性:
ヘパラン硫酸もしくはCDSNS−ヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には硫酸基を転移しない。
▲3▼至適反応pH:
pH5〜6.5付近
▲4▼至適イオン強度:
50〜200mM付近(塩化ナトリウムの場合)
▲5▼阻害及び活性化:
プロタミンにより活性化される。3',5'−ADPにより阻害される。10mM以下のジチオスレイトール(DTT)によってはほとんど活性に影響を受けない。
【0011】
また本願発明は、チャイニーズハムスター卵巣組織由来の培養細胞を好適な培地で培養し、この培養物からヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を採取することを特徴とするヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素の製造方法を提供する。
【0012】
尚、本発明酵素を便宜的にヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素、ヘパラン硫酸 2−O−スルホトランスフェラーゼまたはヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼと呼ぶが、これは該酵素の基質がヘパラン硫酸に限られることを意味するものではない。例えば本発明酵素は、N、O−脱硫酸化したヘパリンを再度N−硫酸化することにより得られる化学修飾ヘパリン(N、O−脱硫酸化再N−硫酸化ヘパリン。本明細書において「CDSNS−ヘパリン」ともいう)のイズロン酸残基の2位の水酸基にも硫酸基を転移する。また無修飾のヘパリンは、イズロン酸残基の2位のほとんどに硫酸基を有しているが、わずかに水酸基を有するものがあり、本発明酵素はこのようなヘパリンのイズロン酸残基の2位の水酸基にも硫酸基を転移する。本明細書においてはCDSNS−ヘパリンのような修飾ヘパリンも併せて、単にヘパリンということがある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
<1>本発明のヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼ
本発明酵素は、本発明により初めて単離された酵素であり、以下の理化学的性質を有する。
▲1▼作用
硫酸基供与体から、イズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を転移する。硫酸基供与体としては、活性硫酸(3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸;以下、「PAPS」ともいう)が好適に挙げられる。グルコサミン残基にはほとんど硫酸基を転移しない。
▲2▼基質特異性
ヘパラン硫酸もしくはCDSNS-ヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には硫酸基を転移しない。
▲3▼至適反応pH
本発明酵素は、pH5〜6.5の範囲、特にpH5.5付近で高い硫酸基転移活性を有する。
▲4▼至適イオン強度
本発明酵素の活性はイオン強度の増加にともなって増加し、NaClの場合、 50〜200mM、特に100mM付近で最も高い活性を示す。この範囲を越えてNaCl濃度が増加すると活性は徐々に低下し、500mMでは活性は極めて低くなる。
▲5▼阻害及び活性化
本発明酵素はプロタミンにより活性化される。約0.013 mg/ml以上のプロタミンにより、プロタミン非存在下に比べて3倍程度活性が上昇する。
【0014】
また本発明酵素の活性は、アデノシン-3',5'-ジリン酸(3',5'-ADP)で阻害される。
なお本発明酵素の活性は、10mM以下のジチオスレイトール(DTT)によってはほとんど影響を受けない。
▲6▼ミカエリス定数
硫酸基の受容体としてCDSNS-ヘパリンを、硫酸基の供与体としてPAPSを用いたときの、本発明酵素のPAPSに対するミカエリス定数(Km)は、約0.20μMである。
▲7▼その他
CHO細胞の培養物から得られた本発明酵素の活性画分をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析した結果、44KDaと47KDa付近に、近接した幅広い2本のバンドが認められた。これらの蛋白質のいずれが本発明酵素であるか、あるいは両者ともに本発明酵素であるかは明かではない。いずれにしても上記の本発明酵素の理化学的性質は、この44KDaと47KDaの幅広いバンドの蛋白質を含む酵素画分を用いて決定されたものである。尚、これらの両蛋白の電気泳動上の易動度は、メルカプトエタノールの存在により影響されなかった。
【0015】
本発明酵素をN-グリカナーゼ(ジェンザイム(Genzyme)社製)で処理したものをSDS-PAGEにより分析したところ、上記44KDaと47KDaの幅広いバンドは消えて、新たに34KDaと38KDaのバンドが出現したことから、これらの蛋白は19%以上の糖を含む糖蛋白質であることが示唆された。
【0016】
また本発明酵素は、スーパーロース 12 (ファルマシア-LKB社製)ゲルクロマトグラフィーにおいて、分子量約130,000付近に溶出された。
本発明酵素の硫酸基転移活性は、[35S]PAPSを硫酸基供与体とし、ヘパリンまたはヘパラン硫酸を硫酸基受容体として、これらに本発明酵素を作用させ、ヘパリンまたはヘパラン硫酸に取り込まれた[35S]の放射活性を計測することにより測定することができる。なお硫酸基受容体としてCDSNS-ヘパリンを用いると、ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性を測定することができる。また本発明酵素であるヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼは10mM DTTでは阻害されず、公知の酵素であるヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼは10mM DTTで阻害される。よって[35S]PAPS、CDSNS-ヘパリン、及びスルホトランスフェラーゼを含む酵素反応液に10mM DTTを添加し、ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼ活性を阻害することによって、ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼ活性のみを測定することができる。本発明酵素の反応を行う際、酵素反応液のpHを5〜6.5、イオン強度を50〜200mM程度とし、さらにプロタミンを0.025mg/ml以上添加しておくことが好ましい。具体的には、例えば、2.5 μmolイミダゾール塩酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、25 nmol CDSNS-ヘパリン(Completely desulfated and N-resulfated heparin:N,O−硫酸基を脱硫酸後、再N−硫酸化したヘパリン)、50 pmol[35S]PAPS(およそ5×105 cpm)及び酵素を含む50μlの酵素反応液を37℃で20分保温後、100℃で1分加熱して反応を止める。この後、キャリアーとして0.1 μmolのコンドロイチン硫酸Aを加えてから、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを反応液の3倍量加えて35S標識されたグリコサミノグリカンを沈澱させる。さらに[35S]PAPSとその分解物を脱塩により除き、液体シンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンタを用いて[35S]の放射活性を測定する。本発明においては、上記条件で、1分間に1pmol の硫酸基を転移する活性を、1ユニット(U)の酵素量と定義した。
【0017】
<2>本発明酵素の製造法
上記性質を有する本発明酵素は、動物由来の培養細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣組織由来の培養細胞、具体的にはCHO細胞(例えば、ATCC CCL61等)等の培養細胞を好適な培地で培養し、この培養物から採取することにより得られる。培養に用いる培養細胞としてはCHO細胞が好ましい。また、上記した以外の培養細胞からも本発明酵素が得られると考えられるが、増殖性がよく、浮遊細胞による大量培養が可能なことから、上記培養細胞が好ましい。また、培養後の培地から本発明酵素を抽出することもできる。また本発明酵素は、他の硫酸基転移酵素活性を含まない場合、もしくは夾雑する他の硫酸基転移酵素活性を効果的に抑制できる場合は、粗酵素として使用してもよい。
【0018】
上記培養細胞の培養に用いる培地は特に制限されないが、大量の細胞を効率よく得るには、スピナーフラスコなどによる浮遊細胞に適したものが望ましい。具体的にはCHO細胞の浮遊培養用として開発されたCHO−S−SFMII培地(ギブコ製)等の市販の培地を用いても良い。
【0019】
また、微生物の生育を防ぐために、ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加することが好ましい。上記のような培地を用い、ローラボトルやディシュ等を使用して通常の培養細胞と同様にして培養すると、培養物中、特に培養細胞中に本発明酵素が蓄積がされる。
【0020】
培養後の培養物から細胞を遠心分離などによって収集し、ホモジナイズや超音波処理や浸透圧ショック処理などにより細胞を破砕し、その細胞破砕液を遠心分離することにより得られる遠心上清等を出発物質として、本発明酵素の精製をおこなうことができる。本発明酵素の精製は、ヘパリン-セファロースCL-6B(ファルマシア社製)カラム、3',5'-ADP-アガロースカラム等を用いたアフィニティークロマトグラフィー、スーパーロース 12(Superose 12)カラム(ファルマシア社製)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによって行うことができる。その他、必要に応じてイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法、電気泳動法、疎水性クロマトグラフィー、塩析など公知の酵素精製法により精製することができる。
【0021】
また、上記培養細胞から、本発明酵素をコードする遺伝子を単離し、これを他の培養細胞あるいは微生物細胞等に導入して得られる形質転換細胞を用いても、本発明酵素が得られる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本実施例において使用した試薬及び試料等の入手先、入手方法を以下に示す。
【0023】
[35S]H2SO4は日本アイソトープ協会から購入した。CHO−S−SFMII培地はギブコ(Gibco)社から購入した。PAPS、3',5'-ADP-アガロース及びヘパリンはシグマ(Sigma)社から購入した。Cosmedium-001培地はコスモ・バイオ(株)から購入した。ポリエチレングリコール#20000はナカライテスクから購入した。高速脱塩カラム(Fast desalting column)、ヘパリン−セファロース CL-6B、スーパーロース 12 カラム、スーパーディクス30pgカラムはファルマシア-LKB(Pharmacia-LKB)社から購入した。PAMNカラム(ポリアミンを結合したシリカカラム)はYMC社から購入した。Partisil-10 SAXカラムはワットマン(Whatman)社から購入した。コンドロイチナーゼABC、ヘパリチナーゼI、II、III、コンドロイチン硫酸A(サメ軟骨由来、4S/6S:80/20))、CDSNS−ヘパリン(Completely desulfated and N-resulfated heparin:N,O−硫酸基を脱硫酸後、再N−硫酸化したヘパリン)、コンドロイチン硫酸C、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸及びグリコサミノグリカン由来の不飽和二糖キットは、生化学工業(株)から購入した。[35S]PAPSは、Delfert, D. M. and Conrad, E. H. (1985) Anal. Biochem. 148, 303-310 に記載の方法により、コンドロイチン(イカの皮由来)は、Habuchi, O. and Miyata, K. (1980) Biochim. Biophys. Acta 616, 208-217 に記載の方法により調製した。p-トシル-L-リシン-クロロメチルケトンはアルドリッチ(Aldrich)社から、フェニルメチルスルホニルフルオライド、N-トシル-L-フェニルアラニン-クロロメチルケトンはシグマ社から、ペプスタチンは和光純薬工業(株)から、それぞれ購入した。また、マウスのEHS(Engelbreth-Holm-Swarm)腫瘍由来のヘパラン硫酸、ブタ大動脈由来のヘパラン硫酸、ウシ肝臓由来のヘパラン硫酸はいずれも生化学工業(株)から入手した。
【0024】
<1>スルホトランスフェラーゼ酵素活性の測定法
(1)スルホトランスフェラーゼ活性の測定
ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼの精製工程、酵素の性質の分析等において、酵素活性は以下に示す方法によって測定した。
【0025】
酵素反応液は、2.5 μmolイミダゾール塩酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、ヘキソサミン量として25 nmolのCDSNS-ヘパリン、50 pmol[35S]PAPS(およそ5×105 cpm)及び酵素を含む50μlとした。この反応液を、37℃で20分保温後、100℃で1分加熱して反応を止めた。この後、グルクロン酸量として0.1 μmolのコンドロイチン硫酸Aをキャリアーとして加えてから、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを反応液の3倍量加えて35S-グリコサミノグリカンを沈澱させた。さらに[35S]PAPSとその分解物を、Habuchi, O. et al., (1993) J. Biol. Chem., 268, 21968-21974 に記載された方法で高速脱塩カラム(Fast desalting column)を用いて完全に分離した。これに液体シンチレーター(Ready Safeシンチレーター:ベックマン社製)を混合して、液体シンチレーションカウンタにより放射能を測定し、転移された硫酸基の量を算出した。上記条件で、1分間に1pmol の硫酸基を転移する活性を1ユニット(U)の酵素量と定義した。
【0026】
このように硫酸基受容体としてCDSNS-ヘパリンを用いることで、ヘパラン硫酸O−スルホトランスフェラーゼ活性を測定した。なお必要に応じて、上記酵素反応液に10mM DTTを添加することでヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼ活性を阻害することによって、ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性を測定した。
【0027】
(2)グリコサミノグリカン中のガラクトサミンとグルコサミン含量の測定
グリコサミノグリカン中のガラクトサミンとグルコサミン含量は、グリコサミノグリカンを6 M HCl中で100℃で4時間加水分解後、Elson-Morgan法で測定した。<2>培養CHO細胞におけるヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼとヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの分布
培養CHO細胞におけるヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼとヘパラン硫酸(HexA) 2-スルホトランスフェラーゼ(ヘキスロン酸(HexA)残基の2位の水酸基に硫酸基を転移する)の分布を調べるために、以下の実験を行った。
【0028】
CHO細胞(ATCC CCL61)をCosmedium-001培地中で48時間培養後、培地と細胞抽出液(0.15M NaClを含む緩衝液A(10 mM Tris-HCl, pH7.2、10 mM MgCl2、2 mM CaCl2、20% グリセロール、0.1% Triton X-100)で細胞をホモジナイズ後、Triton X-100濃度を0.5%に上げ、1時間撹拌抽出後、10,000×gで30分間遠心した上清)のスルホトランスフェラーゼ活性を、基質としてCDSNS−ヘパリン、硫酸基供与体として[35S]PAPSを用いて測定した。その結果、表1に示した通りヘパラン硫酸(HexA) 2-スルホトランスフェラーゼの95%以上が細胞内に存在し、わずか5%以下が培地中に存在した。なお表1においては、ヘパラン硫酸(HexA) 2-スルホトランスフェラーゼを単に「2-スルホトランスフェラーゼ」と示してある。
【0029】
【表1】
Figure 0003672359
【0030】
一方、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼは、既に発明者らによって報告されているように90%以上が培地中に存在した。これらの観察から、本発明酵素であるヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼの精製は、CHO細胞の抽出液から出発すると良いことが示された。
【0031】
<3>CHO細胞が産生するヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼの精製
(1)CHO細胞の培養と粗抽出液の調製
CHO細胞(ATCC CCL61)を2×106細胞/100mmディッシュの細胞密度で、50μg/ml のストレプトマイシンと、50単位のペニシリン1mlを含む10mlのCHO−S−SFMII培地にまき、4日間培養した。その後3.0×105細胞/mlの細胞密度で500 mlのCHO−S−SFMII培地に播種し、スピナーフラスコ(Techne社製)中で4日間、90rpmで撹拌しながら、浮遊培養した。培養液を1,000×gで5分間遠心して、細胞を集めた後、冷たいリン酸緩衝溶液(PBS(-))で洗浄した。細胞からスルホトランスフェラーゼを抽出するために、1×109細胞あたり55mlの抽出緩衝液(10mM Tris-HCl,pH 7.2、0.5% w/v Triton X-100、10mM MgCl2、2mM CaCl2、0.15M NaCl、20% v/v グリセロール、4種類のプロテアーゼインヒビター(5μM p-トシル-L-リシン-クロロメチルケトン、3μM N-トシル-L-フェニルアラニン-クロロメチルケトン、30μM フェニルメチルスルホニルフルオライド、3μM ペプスタチン))を加えた。この抽出緩衝液中の細胞をガラスホモジナイザーで10回ホモジナイズした後、4℃で1時間撹拌した。抽出液を10,000×gで30分間遠心し、上清を得た。これを粗抽出液として1.8Lをプールし、精製を始めるまで−20℃で保存した。
【0032】
(2)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの精製
以下の全ての操作は、4℃で行った。
▲1▼第1段階:1回目のヘパリン−セファロース CL−6Bクロマトグラフィー上記のように調製された粗抽出液の3分の1(600 ml)を4種のプロテアーゼインヒビター(p-トシル-L-リシン-クロロメチルケトン(5μM)、N-トシル-L-フェニルアラニン-クロロメチルケトン(3μM)、フェニルメチルスルホニルフルオライド(30μM)、ペプスタチン(3μM))および0.15 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したヘパリン−セファロースCL-6Bのカラム(30×70 mm, 50 ml)にかけた。流速は76 ml/時間で行った。カラムに吸着しない画分を、4種のプロテアーゼインヒビターと0.15 M NaClを含む緩衝液A(カラム容積の10倍量)で洗浄後、4種類のプロテアーゼインヒビターとNaClを含む緩衝液A中のNaCl濃度を、0.15Mから1.2Mまで上げた直線濃度勾配(全体積1000ml)で吸着部分を溶出し、13mlづつ集めた。各溶出画分の蛋白濃度、10mM DTT存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性)およびDTT非存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性)を測定した(図1)。スルホトランスフェラーゼ活性を含む画分(図1で太線で示した部分)をプールし、透析チューブに入れ、これにポリエチレングリコール#20000の粉末をまぶして約100mlまで濃縮した。Triton X-100の濃度を1%に調整後、次の精製段階のために0.05M NaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0033】
上記操作により、ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性は約1.9倍に増加した。この原因としては、PAPSの分解酵素やヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性を阻害する物質が、カラムクロマトグラフィーによって除かれたということが考えられる。
【0034】
▲2▼第2段階:3',5'-ADP-アガロースクロマトグラフィー
上記第1段階で得られた透析液を、0.05 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロースのカラム(14×90 mm, 15 ml)に通した。流速は13 ml/時間で行った。カラムに吸着しない画分を、0.05 M NaClを含む緩衝液A(カラムの8倍量)で洗浄後、0.05 M NaClと0.2mM 3',5'-ADPを含む緩衝液A(カラムの5倍量)で吸着画分を溶出した。この画分にNaClの終濃度が0.15 Mになるように1 M NaClを含む緩衝液Aを加えた。
【0035】
第1段階と第2段階の組み合わせを3回繰り返し、3回分の活性画分をプールした。プールした画分の一部を小さなヘパリン-セファロースカラム(ベッド体積(bed volume): 0.6ml)にかけ、0.15 M NaClを含む緩衝液Aで洗浄後、1.0 M NaClを含む緩衝液Aで溶出し、この画分の活性を測定し、この段階で精製された酵素の総活性を求めた。
【0036】
上記操作により、ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの比活性は、一挙に44倍となり、本酵素の精製に極めて有効な方法であることが明らかになった。
【0037】
▲3▼第3段階:2回目のヘパリン-セファロース CL-6Bクロマトグラフィー第2段階のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性画分を、0.15 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したヘパリン−セファロース CL-6Bカラム(16×50 mm, 10 ml)にかけた。0.15 M NaClを含む緩衝液A(カラム容積の5倍量)でカラムを洗浄した後、緩衝液中のNaCl濃度を0.15 Mから1.0 Mまで上げた直線濃度勾配(全体積300 ml)で吸着部分を溶出した。各溶出画分の蛋白濃度、10mM DTT存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性)およびDTT非存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性)を測定した。結果を図2に示す。
【0038】
上記のようにして得られたヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性を含む画分の中、図2で太線で示した画分を集め、Triton X-100濃度を1%に上げた後、1M NaClを含む緩衝液Aに対して透析し、それから 0.05 M NaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0039】
▲4▼第4段階:2回目の3',5'-ADP-アガロースクロマトグラフィー
3段階目の画分を、3',5'-ADP-アガロースカラムに1回目と同様にかけて、クロマトグラフィーを行った。このクロマトグラフィーにより精製度は11倍増加し、この段階で比活性は26,700倍になった。0.2mM 3',5'-ADPと0.05M NaClを含む緩衝液Aで溶出した画分のNaCl濃度を0.15Mに調整した後、前記と同様にポリエチレングリコールで8mlまで濃縮した。0.1M NaClを含む緩衝液Aに対して透析後、小さいヘパリン−セファロースカラム(bed volume 0.6ml)にかけ、0.1M NaClを含む緩衝液B(Triton X-100の濃度のみを0.02%にかえた緩衝液A)で洗浄後、1M NaClを含む緩衝液B(2.5ml)で溶出した。この溶出液をさらに0.5mlまで濃縮し、次の精製段階に使用した。
【0040】
▲5▼第5段階:スーパーロース 12 ゲルクロマトグラフィー
2M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したスーパーロース 12 カラムに4段階目の画分をかけ、0.25ml/分の流速でクロマトグラフィーを行い、0.25mlづつ分画した。各溶出画分の、10mM DTT存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性)およびDTT非存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性)を測定した。スルホトランスフェラーゼの主たる活性は、分子量130,000付近(図3中の高分子量側のピーク(ピークI))に溶出された。一方、分子量42,000付近(低分子量側のピーク(ピークII))にDTTで阻害される小さな活性が溶出された。ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼはDTTにより阻害されないが、ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼはDTTにより阻害されるので、分子量42,000付近のピークはヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼと思われる。また、この分子量は発明者らによる既報論文のヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼの分子量とよく一致する。さらにピークIIの画分によって35S標識されたCDSNS−ヘパリンのヘパリチナーゼ消化物は、ΔDi-(N,6)diSが主たる成分であった。DTTで阻害されないスルホトランスフェラーゼ活性を含む画分(図3の太線部分)をプールし、0.15M NaClを含む緩衝液Aに対して透析後、−20℃で保存した。
【0041】
以上、5段階の精製操作により、ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼは、粗抽出液から約51,700倍に精製され、後述するようにSDS-PAGEでほぼ均一な2本のバンドを与えた(図4)。各段階における精製の度合いを表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0003672359
【0043】
(3)精製酵素のSDS-PAGEによる分析
上記のようにして得られたヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの精製酵素及び精製の各段階における試料のSDS-PAGEを、Laemmliの方法(Laemmli, U.K. (1970) Nature, 227, 680-685)に従って10% ゲルを用いて行った。蛋白のバンドは、銀染色により検出した。精製酵素のSDS-PAGEの結果を図4に、精製の各段階における試料のSDS-PAGEの結果を図5に示す。スーパーロース 12 ゲルクロマトグラフィー画分には、近接した約44KDaと約47KDaの幅広いバンドが主に認められた(図4)。酵素活性の溶出パターンから考えると、分子量約44KDaと47KDaの非常に近接した2つのバンドがヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼに一致するようである。
【0044】
次に、ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼ蛋白質における糖鎖の有無を調べた。0.15 μgの蛋白を含むヘパラン硫酸2-スルホトランスフェラーゼ溶液にTCA(トリクロロ酢酸)を終濃度10 %になるように加えて酵素蛋白を沈殿させ、遠心分離により沈殿を回収した。この沈殿をアセトンで洗浄乾燥後、以下に示す反応液中で37℃で16時間保温した。
【0045】
0.5% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.05 M Tris-HCl, pH 7.8(10 μl)/7.5%(w/v) Nonidet P-40 (5 μl)/0.25 M EDTA (1.2 μl)/フェニルメチルスルフォニルフルオライド(0.3 μl)/0.5 ユニットのN-グリカナーゼ(recombinant N-glycanase:ジェンザイム(Genzyme)社製)を含む反応液。
【0046】
上記反応液をSDS-PAGEで分析したところ、近接した44KDaと47KDaの蛋白バンドが消えて、34KDaと38KDaの蛋白バンドが出現した(図6)。この結果から、両バンドの蛋白が、19%以上の糖を含む糖蛋白質であることが示唆される。
(4)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの基質特異性と作用
本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの基質特異性を調べるために、精製酵素を用いて種々の基質(25 nmol)を受容体とした[35S]PAPSからの35S-硫酸基の転移活性を測定した。結果を表3に示した。表中の( )内の数字はCDSNS-ヘパリンを受容体としたときの硫酸基転移活性を100としたときの、各受容体に対する硫酸基転移活性を表す。
【0047】
【表3】
Figure 0003672359
【0048】
本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼは、CDSNS-ヘパリンとEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸に硫酸基を転移し、ブタ大動脈由来およびウシ肝臓由来のヘパラン硫酸により弱く硫酸基を転移したが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸AおよびC、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸には硫酸基の転移が認められなかった。
【0049】
CDSNS-ヘパリン及びEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸を受容体とし、[35S]-PAPSを硫酸基の供与体としたときに、本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼによって転移される硫酸基の位置を調べるため、転移反応生成物を、以下に示すヘパリチナーゼI,II,IIIを含む混合液(反応産物 〜25 nmol、50 mM Tris-HCl (pH 7.2)、1 mM CaCl2、2 μg ウシ血清アルブミン(BSA)、10 mU ヘパリチナーゼI、1 mU ヘパリチナーゼII、10 mU ヘパリチナーゼIIIを含む50 μl)で、37℃で2時間消化した。
【0050】
消化物を、標準不飽和二糖と一緒にHPLC(高速液体クロマトグラフィー、カラム:ポリアミンを結合したシリカ カラム(PAMNカラム))を用いた既知の方法(Habuchi, H. et al., (1992) Biochem. J., 285, 805-813)で分離し、0.6 mlずつ分画し、3 mlの液体シンチレーター(Ready Safeシンチレーター:ベックマン社製)を混合して、液体シンチレーションカウンタにより放射能を測定した。尚、ヘパリチナーゼは、ヘパラン硫酸のα-N-アセチル/-スルホ-D-グルコサミニル(1→4)ウロン酸結合を脱離反応的に切断し、Δ4-ヘキスロン酸を非還元末端に持つオリゴ糖を生成する酵素である。
【0051】
結果を、図7(A:基質としてCDSNS−ヘパリン、B:基質としてEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸)に示す。図7中、1〜5の符号を付した矢印は、以下に示す不飽和二糖の溶出位置を表す(化1式及び表4参照)。尚、ΔDiHSは、ヘパリンおよびヘパラン硫酸がヘパリチナーゼにより分解されて生成する不飽和二糖を、6、Nはグルコサミンの硫酸化の位置を、及びUはウロン酸の2位が硫酸化されていることを示す。
【0052】
1:ΔDiHS−6S
2:ΔDiHS−NS
3:ΔDiHS−di(6,N)S
4:ΔDiHS−di(U,N)S
5:ΔDiHS−tri(U,6,N)S
【0053】
【化1】
Figure 0003672359
【0054】
【表4】
Figure 0003672359
【0055】
その結果、CDSNS-ヘパリンを受容体としたときは、大部分の放射能はスタンダードのΔDiHS-di(U,N)Sの溶出位置と一致した(図7A)。一方、EHS腫瘍由来のヘパラン硫酸を受容体としたときも同様に、大部分の放射能はスタンダードのΔDiHS-di(U,N)Sと一致した(図7B)。
【0056】
さらに上記の35Sで標識されたCDSNS−ヘパリン及びEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸を、pH 1.5で亜硝酸分解後 NaBH4で還元して得られた二糖画分を Partisil-10 SAXカラムを用いてHPLCで分析した。CDSNS−ヘパリン由来の二糖画分の分析結果を図8A、EHS腫瘍由来のヘパラン硫酸由来の二糖画分の分析結果を図8Bにそれぞれ示す。図8A・B中、1〜5の符号を付した矢印は、以下に示す二糖の溶出位置を表す。尚、AManはアンヒドロマンノース(2,5-anhydro-D-mannose)を示し、RはNaBH4により還元して得られるアルジトールを示す。また、(2SO4)、(6SO4)は、それぞれ2位が硫酸化されていること、6位が硫酸化されていることを示す。
【0057】
1:HexA−AManR
2:GlcA(2SO4)−AManR
3:GlcA−AManR(6SO4
4:IdoA−AManR(6SO4
5:IdoA(2SO4)−AManR
【0058】
その結果、どちらを受容体にしても大部分の放射能は IdoA(2SO4)-AManRの溶出位置と一致した。
これらの結果から、本発明のヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼは、N-スルホグルコサミン残基に隣接するイズロン酸残基の2位の水酸基へ硫酸基を転移することが示された。また、本発明酵素によるグルコサミン残基の硫酸化は認められなかった。
【0059】
(6)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼのその他の酵素学的性質
▲1▼至適pH
本発明酵素の至適pHの測定を行った。緩衝液としては、50 mM Tris-HCl、50 mM イミダゾール-HCl、50 mM MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸:ナカライテスク社製)、及び 50 mM 酢酸カリウム緩衝液を用い、種々のpHで酵素活性を測定した。pH 6.8のイミダゾール-HCl緩衝液中における酵素活性に対する各々の相対活性を図9に示した。その結果、本発明酵素はpH 5〜6.5付近で高い酵素活性を示した。また、最大活性はpH 5.5付近であった。
【0060】
▲2▼至適イオン強度
本発明酵素の活性に対するイオン強度の影響を調べるために、NaClを種々の濃度で酵素反応液に添加し、酵素活性を調べた。結果を図10に示す。その結果、本発明酵素は50〜200 mM NaCl 付近で高い酵素活性を示した。また、最大活性は100 mM NaCl付近に見られた。この性質はNaCl濃度依存的に活性が阻害されるN-スルホトランスフェラーゼとは異なる。
【0061】
▲3▼本発明酵素の阻害及び活性化
本発明酵素の活性に対するジチオスレイトール(DTT)の影響を調べるために、DTTを種々の濃度で反応液に添加し、酵素活性を測定した(図11)。DTTは、10mMまでほとんど活性を阻害せず、この点はヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼと非常に異なっている。
【0062】
本発明酵素の酵素活性に対するプロタミンの影響を調べた。結果を図12に示す。ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼは、コンドロイチン4-スルホトランスフェラーゼやコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼやヘパラン硫酸 6-スルホトランスフェラーゼと同様にプロタミンによって著しく活性化された。
【0063】
また、本発明酵素の酵素活性に対する3',5'-ADPの影響を調べたところ、他のスルホトランスフェラーゼ同様に強い阻害作用を示した。
【0064】
▲4▼ミカエリス定数の測定
本発明酵素に対して、硫酸基の受容体としてCDSNS-ヘパリンを、供与体としてPAPSを用いたときのミカエリス定数(Km)を求めた。0.19ユニットの本発明酵素とヘキソサミン量として25 nmolのCDSNS-ヘパリンを含む反応液50 μlに0.125〜5 μMのPAPSを加え、37℃で20分間反応させて、反応初速度を測定した。Lineweaver-Burkプロットを作成し、ミカエリス定数を算出した結果、本発明酵素のPAPSに対するKmは2.0×10-7 Mであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の酵素により、ヘパリンおよびヘパラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を導入することが酵素的に可能になった。このヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼは、極めて厳密にヘパリンおよびヘパラン硫酸のイズロン酸残基の2位選択的に硫酸基を導入するため、ヘパリンやヘパラン硫酸の機能解析などの研究に有用な試薬への活用が期待される。
【0066】
また本発明酵素を用いてヘパラン硫酸のイズロン酸残基の2位へ選択的に硫酸基を導入することにより、現在知られていない新たな生理活性を有するヘパリンやヘパラン硫酸の創出、さらに医薬品としての応用を考えると、ヒトに好ましい生理活性を有するヘパリンもしくはヘパラン硫酸の創出が期待できる。また、がん化に伴ってヘパラン硫酸の硫酸化度が下がることが知られているので、本発明の酵素に対する抗体を作出し、組織中の本発明の酵素を検出することによって、該酵素量と細胞のがん化との関連付けが可能になることも期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明酵素の1回目のヘパリン−セファロース CL-6Bクロマトグラフィーの結果を示す図。●はヘパラン硫酸 O-スルホトランスフェラーゼ活性(DTT非存在下で活性測定を行った)、○はヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性(10 mM DTT存在下で活性測定を行った)、■は蛋白濃度、破線はNaCl濃度を示す。
【図2】 本発明酵素の2回目のヘパリン-セファロース CL-6Bクロマトグラフィーの結果を示す図。図中の●、○、■はいずれも図1と同じである。
【図3】 スーパーロース12ゲルクロマトグラフィーの結果を示す図。図中の●、○はいずれも図1および2と同じである。矢印は標準タンパク質の溶出位置を示す。図中の1、2及び3はいずれも標準蛋白質の溶出位置である。1はBSA(67KDa)、2はオブアルブミン(43KDa)、3はキモトリプシノーゲン(25KDa)である。
【図4】 スーパーロース12ゲルクロマトグラフィーで分画されたフラクションのSDS-PAGEの結果を示す図(電気泳動写真)。図上部の数字はフラクション番号を表す。Mは分子量マーカーを示す。
【図5】 各精製段階における本発明酵素画分のSDS-PAGEの結果を示す図(電気泳動写真)。Mは分子量マーカー、レーン1は粗抽出液、レーン2は1回目のヘパリン−セファロース CL-6Bにおいて図1で水平線(太線)で示した部分の画分、レーン3は1回目の3',5'-ADP-アガロースの吸着画分、レーン4は2回目のヘパリン−セファロース CL-6Bクロマトグラフィーにおいて図2で示した水平線(太線)の部分の画分、レーン5は2回目の3',5'-ADP-アガロースの吸着画分を、それぞれ示す。
【図6】 N-グリカナーゼ処理及び無処理の本発明酵素のSDS-PAGEの結果を示す図(電気泳動写真)。Mは分子量マーカー、レーン1は無処理の本発明酵素、レーン2はN−グリカナーゼ処理した本発明酵素、レーン3はN−グリカナーゼをそれぞれ示す。
【図7】 本発明酵素によるCDSNS-ヘパリン(A)及びEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸(B)への硫酸基転移反応産物のヘパリチナーゼ消化物のHPLCクロマトグラムを示す図。
【図8】 本発明酵素によるCDSNS-ヘパリン(A)及びEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸(B)への硫酸基転移反応産物を、pH 1.5で亜硝酸分解し、NaBH4で還元することにより生成した二糖の Partisil-10 SAXカラムによるHPLCクロマトグラムを示す図。
【図9】 本発明酵素の至適pHを示すpH−酵素活性曲線。○はTris-HCl緩衝液、●はイミダゾール−HCl緩衝液、□はMES緩衝液、■は酢酸カリウム緩衝液を各々示す。
【図10】 本発明酵素の至適NaCl濃度を示すNaCl濃度−酵素活性曲線。
【図11】 本発明酵素に対するDTTの影響を示すDTT濃度−酵素活性曲線。
【図12】 本発明酵素に対するプロタミンの影響を示すプロタミン濃度−酵素活性曲線。

Claims (6)

  1. 下記の理化学的性質を有するヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素。
    (1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に転移する。
    (2)基質特異性:ヘパラン硫酸もしくはCDSNS−ヘパリンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には硫酸基を転移しない。
    (3)至適反応pH:pH5.5付近
    (4)至適イオン強度:100mM付近(塩化ナトリウムの場合)
    (5)阻害及び活性化:プロタミンにより活性化される。アデノシン−3',5'−ジリン酸(3',5'−ADP)により阻害される。10mM以下のジチオスレイトール(DTT)によってはほとんど活性に影響を受けない。
    (6)分子量:SDS−PAGEにおいて、約44kDa又は約47kDaの分子量を示す。
  2. 前記硫酸基供与体が、3'−ホスホアデノシン5'−ホスホ硫酸である請求項1記載のヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素。
  3. 請求項1又は2記載のヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を含む酵素画分であって、硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に転移する活性を有する酵素画分。
  4. 前記酵素の比活性が1.06×10 4 U/mg以上である請求項3記載の酵素画分。
  5. チャイニーズハムスター卵巣組織由来の培養細胞を培養し、この培養物からヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を採取することを特徴とするヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素の製造方法。
  6. 前記培養細胞が、CHO細胞(ATCC CCL61)である請求項5記載のヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素の製造方法。
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