JPH0928374A - ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素 - Google Patents

ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素

Info

Publication number
JPH0928374A
JPH0928374A JP7187577A JP18757795A JPH0928374A JP H0928374 A JPH0928374 A JP H0928374A JP 7187577 A JP7187577 A JP 7187577A JP 18757795 A JP18757795 A JP 18757795A JP H0928374 A JPH0928374 A JP H0928374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfate
heparan sulfate
sulfotransferase
enzyme
heparin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7187577A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3672359B2 (ja
Inventor
Masa Kobayashi
政 小林
Hiroko Hanebuchi
弘子 羽渕
Osami Hanebuchi
脩躬 羽渕
Hiroharu Kimata
弘治 木全
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP18757795A priority Critical patent/JP3672359B2/ja
Priority to DE69633094T priority patent/DE69633094T2/de
Priority to EP96305410A priority patent/EP0756004B1/en
Priority to US08/685,659 priority patent/US5817487A/en
Publication of JPH0928374A publication Critical patent/JPH0928374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3672359B2 publication Critical patent/JP3672359B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/13Transferases (2.) transferring sulfur containing groups (2.8)

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘパリンおよびヘパラン硫酸のイズロン酸残
基の2位に選択的に硫酸基を導入するヘパラン硫酸2−
O−硫酸基転移酵素を提供する。 【解決手段】 CHO細胞等から、下記性質を有するヘ
パラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を採取する。 作用:硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の
2位の水酸基に選択的に転移する。 基質特異性:ヘパラン硫酸もしくはCDSNS−ヘパ
リンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンド
ロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には
硫酸基を転移しない。 至適反応pH:pH5〜6.5付近 至適イオン強度:50〜200mM付近(塩化ナトリ
ウムの場合) 阻害及び活性化:プロタミンにより活性化される。ア
デノシン-3',5'-ジリン酸(3',5'−ADP)により阻害
される。10mM以下のジチオスレイトール(DTT)
によってはほとんど活性に影響を受けない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硫酸基転移
酵素(スルホトランスフェラーゼ)に関し、詳しくはヘ
パリンおよびヘパラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の
2位の水酸基へ選択的に硫酸基を転移するヘパラン硫酸
2−O−硫酸基転移酵素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヘパリンおよびヘパラン硫酸は、グリコ
サミノグリカンに属する多糖である。ヘパリンとヘパラ
ン硫酸の基本的糖鎖骨格は類似しており、両者ともN−
アセチルグルコサミン(GlcNAc)とグルクロン酸(GlcA)が
1→4結合した鎖が合成された後、プロセッシングによ
って生成するが、そのプロセッシングの程度が異なる。
すなわち両者ともに陰性に強く荷電しているが、ヘパリ
ンの方がN−硫酸化グルコサミンおよび6−O−硫酸化
グルコサミン並びに2−O−硫酸化イズロン酸をより多
く含む。ヘパラン硫酸とヘパリンは、他のグリコサミノ
グリカンと同じく、糖鎖がコアタンパク質に共有結合し
たプロテオグリカンの形で組織中に存在する。
【0003】ヘパリンプロテオグリカンは、肥満細胞や
好塩基性細胞の分泌顆粒中に見いだされており、ヒスタ
ミンや塩基性プロテアーゼのパッケージングに関与して
いると考えられる。また、ヘパラン硫酸プロテオグリカ
ンは、細胞外マトリックス、細胞表面などに非常に広く
分布しており、細胞の分化、増殖、移動、血液凝固防止
など種々の機能を持つことが知られてきている。
【0004】ところで、塩基性繊維芽細胞増殖因子(b
FGF)は、血管系、結合組織系、脳神経系、免疫系な
ど極めて広範な細胞の増殖を強く促進する蛋白質であ
る。また、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)は、脳
や網膜などの神経系に多く見いだされる蛋白質である。
aFGFはbFGFと共通の細胞表面レセプターに結合
することから、両者の作用機構は本質的に同じものと考
えられている。
【0005】aFGFとbFGFは、組織の細胞外マト
リックスあるいは基底膜に組み込まれているヘパラン硫
酸プロテオグリカンの糖鎖部分と強く結合していること
が明らかにされてきた。最近、bFGFが高親和性の受
容体へ結合するにはヘパリンやヘパラン硫酸鎖が必須で
あることが示唆された(Yayon, A.ら、Cell, 64, 841-8
48 (1991); Rapraeger, A. C., Science, 252, 1705-1
708 (1991))。さらには、これらの糖鎖の高親和性受容
体自体への結合もbFGF活性に必要であることが示唆
されている(Kan, M.ら、Science, 259, 1918-1921 (19
93);Guimond,S. ら,J. Biol. Chem., 268, 23906-239
14 (1993))。本発明者らは、ヘパラン硫酸鎖上にbF
GFとの結合に関与する特異な構造ドメインが存在する
こと、またbFGFのヘパラン硫酸鎖への結合はbFG
Fの代謝に大きく影響することなどを示した(Habuchi,
H.ら (1992) Biochem. J., 285, 805-813)。bFGF
の結合には、ヘパラン硫酸鎖中のイズロン酸残基の2−
O−硫酸基とN−硫酸化グルコサミン残基の存在が必要
であることが知られている(Habuchi, H.ら、 Biochem.
J., 285, 805-813 (1992);Turnbull, J. E.ら、 J. B
iol. Chem., 267, 10337-10341 (1992))。
【0006】また、高度に組織化した基底膜形成にかか
わるヘパラン硫酸は、グルコサミン残基の6位の硫酸化
度が高いことが報告されている(Nakanishi, H.,ら、 B
iochem. J., 288, 215-224 (1992))。また、ヘパリン
のフィブロネクチンに対する親和力は、ヘパリンの分子
量と硫酸含量に伴って増加するという報告もある(Ogam
o, A.,ら、Biochim. Biophys. Acta, 841, 30-41 (198
5))。また、高転移能を持つLewis-lung-carcinoma由来
の細胞株のクローンほど、合成するヘパラン硫酸中の6
−O−硫酸含量が増加すること(Nakanishi. H., Bioch
em. J., 288, 215-224 (1992))、がん化に伴って、ヘ
パラン硫酸の硫酸化度が下がることも知られている。こ
のようなことから、ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性
発現には、硫酸化が重要な役割を果たしていると考えら
れる。
【0007】ヘパリンやヘパラン硫酸の生理活性発現に
おける硫酸化の重要性を考えると、ヘパリンやヘパラン
硫酸の特異的な部位を硫酸化する方法は、ヘパリンやヘ
パラン硫酸の生理活性の解析や機能改変に必須であると
考えられる。化学的にN−およびO−に選択的に硫酸基
を導入する方法はすでに報告されているが(新生化学実
験講座3 糖質II p324 東京化学同人刊)、処理操
作が煩雑で、必要な試薬の種類も多く、また時間もかか
るため、酵素的に硫酸基を導入する方法が望まれる。グ
ルコサミン(GlcN)残基のN−選択的に硫酸基を導入する
酵素としてはヘパラン硫酸(GlcN)2−N−硫酸基転移酵
素が単離精製されている(新生化学実験講座3 糖質II
p194 東京化学同人刊)。ヘパリンやヘパラン硫酸
中のイズロン酸(IdoA)残基の2位選択的に硫酸基を転移
する酵素(ヘパラン硫酸(IdoA)2−O−硫酸基転移酵
素)の単離精製も試みられてきたが、高度に精製しても
ヘパラン硫酸(GlcN)6−O−硫酸基転移酵素(ヘパリン
やヘパラン硫酸中のグルコサミン残基の6位選択的に硫
酸基を転移する酵素。以下、単に「ヘパラン硫酸 6−
スルホトランスフェラーゼ」ともいう)が混在してお
り、両者の分離は困難であったことが報告されている
(Wald, H.ら, Glycoconjugate J., 8, 200-201 (199
1))。本発明者らは最近、ヘパラン硫酸6−O−硫酸基
転移酵素の単離精製に成功した(J. Biol. Chem. 270,
4712-4719 (1995))。しかし、ヘパラン硫酸(IdoA)2−
O−硫酸基転移酵素の単離精製はなされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ヘパリンやヘパラン硫
酸の生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、
ヘパリンやヘパラン硫酸に硫酸基を転移する方法の開発
は、ヘパリンやヘパラン硫酸の機能解析の研究のみなら
ず、ヒトに好ましい生理活性を有する医薬品の創造を目
的としたヘパリンもしくはヘパラン硫酸を提供するため
にも非常に重要である。特に、ヘパラン硫酸(GlcN)2−
N−硫酸基転移酵素およびヘパラン硫酸(GlcN)6−O−
硫酸基転移酵素が単離されている今、ヘパラン硫酸(Ido
A)2−O−硫酸基転移酵素の単離精製が待たれていた。
本発明は上記観点からなされたものであり、ヘパリンお
よびヘパラン硫酸のイズロン酸残基の2位の水酸基に選
択的に硫酸基を導入するヘパラン硫酸 2−O−硫酸基
転移酵素を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヘパリン
およびヘパラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の2位の
水酸基に選択的に硫酸基を転移する酵素であるヘパラン
硫酸 2−O−硫酸基転移酵素(以下、「ヘパラン硫酸
2−O−スルホトランスフェラーゼ」、「ヘパラン硫酸
2−スルホトランスフェラーゼ」または「本発明酵
素」ということもある)を鋭意検索し、該酵素の単離精
製に成功し、該酵素が、ヘパリンおよびヘパラン硫酸の
イズロン酸残基の2位の水酸基に選択的に硫酸基を転移
することを確認し、本発明に到達した。
【0010】すなわち本願発明は、下記の理化学的性質
を有するヘパラン硫酸 2−O−スルホトランスフェラ
ーゼである。 作用:硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の
2位の水酸基に選択的に転移する。 基質特異性:ヘパラン硫酸もしくはCDSNS−ヘパ
リンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンド
ロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には
硫酸基を転移しない。 至適反応pH:pH5〜6.5付近 至適イオン強度:50〜200mM付近(塩化ナトリ
ウムの場合) 阻害及び活性化:プロタミンにより活性化される。
3',5'−ADPにより阻害される。10mM以下のジチ
オスレイトール(DTT)によってはほとんど活性に影
響を受けない。
【0011】また本願発明は、チャイニーズハムスター
卵巣組織由来の培養細胞を好適な培地で培養し、この培
養物からヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を採取
することを特徴とするヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転
移酵素の製造方法を提供する。
【0012】尚、本発明酵素を便宜的にヘパラン硫酸
2−O−硫酸基転移酵素、ヘパラン硫酸 2−O−スル
ホトランスフェラーゼまたはヘパラン硫酸 2−スルホ
トランスフェラーゼと呼ぶが、これは該酵素の基質がヘ
パラン硫酸に限られることを意味するものではない。例
えば本発明酵素は、N、O−脱硫酸化したヘパリンを再
度N−硫酸化することにより得られる化学修飾ヘパリン
(N、O−脱硫酸化再N−硫酸化ヘパリン。本明細書に
おいて「CDSNS−ヘパリン」ともいう)のイズロン酸残
基の2位の水酸基にも硫酸基を転移する。また無修飾の
ヘパリンは、イズロン酸残基の2位のほとんどに硫酸基
を有しているが、わずかに水酸基を有するものがあり、
本発明酵素はこのようなヘパリンのイズロン酸残基の2
位の水酸基にも硫酸基を転移する。本明細書においては
CDSNS−ヘパリンのような修飾ヘパリンも併せて、単に
ヘパリンということがある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。 <1>本発明のヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェ
ラーゼ 本発明酵素は、本発明により初めて単離された酵素であ
り、以下の理化学的性質を有する。 作用 硫酸基供与体から、イズロン酸残基の2位の水酸基に選
択的に硫酸基を転移する。硫酸基供与体としては、活性
硫酸(3'-ホスホアデノシン5'-ホスホ硫酸;以下、「PA
PS」ともいう)が好適に挙げられる。グルコサミン残基
にはほとんど硫酸基を転移しない。 基質特異性 ヘパラン硫酸もしくはCDSNS-ヘパリンには硫酸基を転移
するが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマ
タン硫酸およびケラタン硫酸には硫酸基を転移しない。 至適反応pH 本発明酵素は、pH5〜6.5の範囲、特にpH5.5
付近で高い硫酸基転移活性を有する。 至適イオン強度 本発明酵素の活性はイオン強度の増加にともなって増加
し、NaClの場合、 50〜200mM、特に100mM
付近で最も高い活性を示す。この範囲を越えてNaCl濃度
が増加すると活性は徐々に低下し、500mMでは活性
は極めて低くなる。 阻害及び活性化 本発明酵素はプロタミンにより活性化される。約0.013
mg/ml以上のプロタミンにより、プロタミン非存在下に
比べて3倍程度活性が上昇する。
【0014】また本発明酵素の活性は、アデノシン-3',
5'-ジリン酸(3',5'-ADP)で阻害される。なお本発
明酵素の活性は、10mM以下のジチオスレイトール(DTT)
によってはほとんど影響を受けない。 ミカエリス定数 硫酸基の受容体としてCDSNS-ヘパリンを、硫酸基の供与
体としてPAPSを用いたときの、本発明酵素のPAPSに対す
るミカエリス定数(Km)は、約0.20μMである。 その他 CHO細胞の培養物から得られた本発明酵素の活性画分
をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS-PAGE)により分析した結果、44KDaと47KDa付
近に、近接した幅広い2本のバンドが認められた。これ
らの蛋白質のいずれが本発明酵素であるか、あるいは両
者ともに本発明酵素であるかは明かではない。いずれに
しても上記の本発明酵素の理化学的性質は、この44KDa
と47KDaの幅広いバンドの蛋白質を含む酵素画分を用い
て決定されたものである。尚、これらの両蛋白の電気泳
動上の易動度は、メルカプトエタノールの存在により影
響されなかった。
【0015】本発明酵素をN-グリカナーゼ(ジェンザ
イム(Genzyme)社製)で処理したものをSDS-PAGEにより
分析したところ、上記44KDaと47KDaの幅広いバンドは消
えて、新たに34KDaと38KDaのバンドが出現したことか
ら、これらの蛋白は19%以上の糖を含む糖蛋白質である
ことが示唆された。
【0016】また本発明酵素は、スーパーロース 12
(ファルマシア-LKB社製)ゲルクロマトグラフィーにお
いて、分子量約130,000付近に溶出された。本発明酵素
の硫酸基転移活性は、[35S]PAPSを硫酸基供与体とし、
ヘパリンまたはヘパラン硫酸を硫酸基受容体として、こ
れらに本発明酵素を作用させ、ヘパリンまたはヘパラン
硫酸に取り込まれた[35S]の放射活性を計測することに
より測定することができる。なお硫酸基受容体としてCD
SNS-ヘパリンを用いると、ヘパラン硫酸 O−スルホト
ランスフェラーゼ活性を測定することができる。また本
発明酵素であるヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェ
ラーゼは10mM DTTでは阻害されず、公知の酵素であるヘ
パラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼは10mM DTT
で阻害される。よって[35S]PAPS、CDSNS-ヘパリン、及
びスルホトランスフェラーゼを含む酵素反応液に10mM D
TTを添加し、ヘパラン硫酸 6−スルホトランスフェラ
ーゼ活性を阻害することによって、ヘパラン硫酸 2−
スルホトランスフェラーゼ活性のみを測定することがで
きる。本発明酵素の反応を行う際、酵素反応液のpHを
5〜6.5、イオン強度を50〜200mM程度とし、
さらにプロタミンを0.025mg/ml以上添加しておくことが
好ましい。具体的には、例えば、2.5 μmolイミダゾー
ル塩酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、25 nmol CD
SNS-ヘパリン(Completely desulfated and N-resulfat
ed heparin:N,O−硫酸基を脱硫酸後、再N−硫酸化し
たヘパリン)、50 pmol[35S]PAPS(およそ5×105cpm)
及び酵素を含む50μlの酵素反応液を37℃で20分保温
後、100℃で1分加熱して反応を止める。この後、キャ
リアーとして0.1 μmolのコンドロイチン硫酸Aを加え
てから、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを
反応液の3倍量加えて35S標識されたグリコサミノグリ
カンを沈澱させる。さらに[35S]PAPSとその分解物を脱
塩により除き、液体シンチレーターを加え、液体シンチ
レーションカウンタを用いて[35S]の放射活性を測定す
る。本発明においては、上記条件で、1分間に1pmol
の硫酸基を転移する活性を、1ユニット(U)の酵素量
と定義した。
【0017】<2>本発明酵素の製造法 上記性質を有する本発明酵素は、動物由来の培養細胞、
例えばチャイニーズハムスター卵巣組織由来の培養細
胞、具体的にはCHO細胞(例えば、ATCC CCL61等)等
の培養細胞を好適な培地で培養し、この培養物から採取
することにより得られる。培養に用いる培養細胞として
はCHO細胞が好ましい。また、上記した以外の培養細
胞からも本発明酵素が得られると考えられるが、増殖性
がよく、浮遊細胞による大量培養が可能なことから、上
記培養細胞が好ましい。また、培養後の培地から本発明
酵素を抽出することもできる。また本発明酵素は、他の
硫酸基転移酵素活性を含まない場合、もしくは夾雑する
他の硫酸基転移酵素活性を効果的に抑制できる場合は、
粗酵素として使用してもよい。
【0018】上記培養細胞の培養に用いる培地は特に制
限されないが、大量の細胞を効率よく得るには、スピナ
ーフラスコなどによる浮遊細胞に適したものが望まし
い。具体的にはCHO細胞の浮遊培養用として開発され
たCHO−S−SFMII培地(ギブコ製)等の市販の培
地を用いても良い。
【0019】また、微生物の生育を防ぐために、ペニシ
リンやストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加す
ることが好ましい。上記のような培地を用い、ローラボ
トルやディシュ等を使用して通常の培養細胞と同様にし
て培養すると、培養物中、特に培養細胞中に本発明酵素
が蓄積がされる。
【0020】培養後の培養物から細胞を遠心分離などに
よって収集し、ホモジナイズや超音波処理や浸透圧ショ
ック処理などにより細胞を破砕し、その細胞破砕液を遠
心分離することにより得られる遠心上清等を出発物質と
して、本発明酵素の精製をおこなうことができる。本発
明酵素の精製は、ヘパリン-セファロースCL-6B(ファル
マシア社製)カラム、3',5'-ADP-アガロースカラム等を
用いたアフィニティークロマトグラフィー、スーパーロ
ース 12(Superose 12)カラム(ファルマシア社製)を用
いたゲル濾過クロマトグラフィーによって行うことがで
きる。その他、必要に応じてイオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過法、電気泳動法、疎水性クロマトグラフ
ィー、塩析など公知の酵素精製法により精製することが
できる。
【0021】また、上記培養細胞から、本発明酵素をコ
ードする遺伝子を単離し、これを他の培養細胞あるいは
微生物細胞等に導入して得られる形質転換細胞を用いて
も、本発明酵素が得られる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。なお、
本実施例において使用した試薬及び試料等の入手先、入
手方法を以下に示す。
【0023】[35S]H2SO4は日本アイソトープ協会から購
入した。CHO−S−SFMII培地はギブコ(Gibco)
社から購入した。PAPS、3',5'-ADP-アガロース及び
ヘパリンはシグマ(Sigma)社から購入した。Cosmedium
-001培地はコスモ・バイオ(株)から購入した。ポリエ
チレングリコール#20000はナカライテスクから購入し
た。高速脱塩カラム(Fast desalting column)、ヘパ
リン−セファロース CL-6B、スーパーロース 12 カラ
ム、スーパーディクス30pgカラムはファルマシア-LKB
(Pharmacia-LKB)社から購入した。PAMNカラム(ポリ
アミンを結合したシリカカラム)はYMC社から購入し
た。Partisil-10 SAXカラムはワットマン(Whatman)社か
ら購入した。コンドロイチナーゼABC、ヘパリチナー
ゼI、II、III、コンドロイチン硫酸A(サメ軟骨由
来、4S/6S:80/20))、CDSNS−ヘパリン(Completely
desulfated and N-resulfated heparin:N,O−硫酸基を
脱硫酸後、再N−硫酸化したヘパリン)、コンドロイチ
ン硫酸C、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸及びグリコサ
ミノグリカン由来の不飽和二糖キットは、生化学工業
(株)から購入した。[35S]PAPSは、Delfert, D. M. an
d Conrad, E. H. (1985) Anal. Biochem. 148, 303-310
に記載の方法により、コンドロイチン(イカの皮由
来)は、Habuchi, O. and Miyata, K. (1980) Biochim.
Biophys. Acta 616, 208-217に記載の方法により調製
した。p-トシル-L-リシン-クロロメチルケトンはアルド
リッチ(Aldrich)社から、フェニルメチルスルホニル
フルオライド、N-トシル-L-フェニルアラニン-クロロメ
チルケトンはシグマ社から、ペプスタチンは和光純薬工
業(株)から、それぞれ購入した。また、マウスのEHS
(Engelbreth-Holm-Swarm)腫瘍由来のヘパラン硫酸、ブ
タ大動脈由来のヘパラン硫酸、ウシ肝臓由来のヘパラン
硫酸はいずれも生化学工業(株)から入手した。
【0024】<1>スルホトランスフェラーゼ酵素活性
の測定法 (1)スルホトランスフェラーゼ活性の測定 ヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼの精製工
程、酵素の性質の分析等において、酵素活性は以下に示
す方法によって測定した。
【0025】酵素反応液は、2.5 μmolイミダゾール塩
酸(pH 6.8)、3.75 μgプロタミン塩酸、ヘキソサミン量
として25 nmolのCDSNS-ヘパリン、50 pmol[35S]PAPS
(およそ5×105 cpm)及び酵素を含む50μlとした。こ
の反応液を、37℃で20分保温後、100℃で1分加熱して
反応を止めた。この後、グルクロン酸量として0.1 μmo
lのコンドロイチン硫酸Aをキャリアーとして加えてか
ら、1.3% 酢酸カリウムを含む冷たいエタノールを反応
液の3倍量加えて35S-グリコサミノグリカンを沈澱さ
せた。さらに[35S]PAPSとその分解物を、Habuchi, O. e
t al., (1993) J. Biol. Chem., 268, 21968-21974 に
記載された方法で高速脱塩カラム(Fast desalting col
umn)を用いて完全に分離した。これに液体シンチレー
ター(Ready Safeシンチレーター:ベックマン社製)を
混合して、液体シンチレーションカウンタにより放射能
を測定し、転移された硫酸基の量を算出した。上記条件
で、1分間に1pmol の硫酸基を転移する活性を1ユニ
ット(U)の酵素量と定義した。
【0026】このように硫酸基受容体としてCDSNS-ヘパ
リンを用いることで、ヘパラン硫酸O−スルホトランス
フェラーゼ活性を測定した。なお必要に応じて、上記酵
素反応液に10mM DTTを添加することでヘパラン硫酸 6-
スルホトランスフェラーゼ活性を阻害することによっ
て、ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性を
測定した。
【0027】(2)グリコサミノグリカン中のガラクト
サミンとグルコサミン含量の測定 グリコサミノグリカン中のガラクトサミンとグルコサミ
ン含量は、グリコサミノグリカンを6 M HCl中で100℃で
4時間加水分解後、Elson-Morgan法で測定した。<2>
培養CHO細胞におけるヘパラン硫酸 6-スルホトラン
スフェラーゼとヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラ
ーゼの分布 培養CHO細胞におけるヘパラン硫酸 6-スルホトラン
スフェラーゼとヘパラン硫酸(HexA) 2-スルホトランス
フェラーゼ(ヘキスロン酸(HexA)残基の2位の水酸基に
硫酸基を転移する)の分布を調べるために、以下の実験
を行った。
【0028】CHO細胞(ATCC CCL61)をCosmedium-00
1培地中で48時間培養後、培地と細胞抽出液(0.15M
NaClを含む緩衝液A(10 mM Tris-HCl, pH7.2、10 mM M
gCl 2、2 mM CaCl2、20% グリセロール、0.1% Triton X-
100)で細胞をホモジナイズ後、Triton X-100濃度を0.5
%に上げ、1時間撹拌抽出後、10,000×gで30分間遠心
した上清)のスルホトランスフェラーゼ活性を、基質と
してCDSNS−ヘパリン、硫酸基供与体として[35S]PAPSを
用いて測定した。その結果、表1に示した通りヘパラン
硫酸(HexA) 2-スルホトランスフェラーゼの95%以上
が細胞内に存在し、わずか5%以下が培地中に存在し
た。なお表1においては、ヘパラン硫酸(HexA) 2-スル
ホトランスフェラーゼを単に「2-スルホトランスフェ
ラーゼ」と示してある。
【0029】
【表1】
【0030】一方、ヘパラン硫酸 6-スルホトランスフ
ェラーゼは、既に発明者らによって報告されているよう
に90%以上が培地中に存在した。これらの観察から、
本発明酵素であるヘパラン硫酸 2−スルホトランスフ
ェラーゼの精製は、CHO細胞の抽出液から出発すると
良いことが示された。
【0031】<3>CHO細胞が産生するヘパラン硫酸
2−スルホトランスフェラーゼの精製 (1)CHO細胞の培養と粗抽出液の調製 CHO細胞(ATCC CCL61)を2×106細胞/100mmディッ
シュの細胞密度で、50μg/ml のストレプトマイシン
と、50単位のペニシリン1mlを含む10mlのCH
O−S−SFMII培地にまき、4日間培養した。その後
3.0×105細胞/mlの細胞密度で500 mlのCHO−S−S
FMII培地に播種し、スピナーフラスコ(Techne社製)
中で4日間、90rpmで撹拌しながら、浮遊培養した。培
養液を1,000×gで5分間遠心して、細胞を集めた後、
冷たいリン酸緩衝溶液(PBS(-))で洗浄した。細胞
からスルホトランスフェラーゼを抽出するために、1×
109細胞あたり55mlの抽出緩衝液(10mM Tris-HCl,pH 7.
2、0.5% w/v Triton X-100、10mM MgCl2、2mM CaC
l2、0.15M NaCl、20% v/v グリセロール、4種類のプ
ロテアーゼインヒビター(5μM p-トシル-L-リシン-ク
ロロメチルケトン、3μM N-トシル-L-フェニルアラニン
-クロロメチルケトン、30μM フェニルメチルスルホニ
ルフルオライド、3μM ペプスタチン))を加えた。こ
の抽出緩衝液中の細胞をガラスホモジナイザーで10回ホ
モジナイズした後、4℃で1時間撹拌した。抽出液を1
0,000×gで30分間遠心し、上清を得た。これを粗抽出
液として1.8Lをプールし、精製を始めるまで−20℃で
保存した。
【0032】(2)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフ
ェラーゼの精製 以下の全ての操作は、4℃で行った。 第1段階:1回目のヘパリン−セファロース CL−
6Bクロマトグラフィー 上記のように調製された粗抽出液の3分の1(600 ml)
を4種のプロテアーゼインヒビター(p-トシル-L-リシ
ン-クロロメチルケトン(5μM)、N-トシル-L-フェニルア
ラニン-クロロメチルケトン(3μM)、フェニルメチルス
ルホニルフルオライド(30μM)、ペプスタチン(3μM))
および0.15 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したヘパリ
ン−セファロースCL-6Bのカラム(30×70 mm, 50 m
l)にかけた。流速は76 ml/時間で行った。カラムに吸
着しない画分を、4種のプロテアーゼインヒビターと0.
15 M NaClを含む緩衝液A(カラム容積の10倍量)で洗
浄後、4種類のプロテアーゼインヒビターとNaClを含む
緩衝液A中のNaCl濃度を、0.15Mから1.2Mまで上げた直
線濃度勾配(全体積1000ml)で吸着部分を溶出し、13ml
づつ集めた。各溶出画分の蛋白濃度、10mM DTT存在下で
のスルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 2-ス
ルホトランスフェラーゼ活性)およびDTT非存在下での
スルホトランスフェラーゼ活性(ヘパラン硫酸 O−ス
ルホトランスフェラーゼ活性)を測定した(図1)。ス
ルホトランスフェラーゼ活性を含む画分(図1で太線で
示した部分)をプールし、透析チューブに入れ、これに
ポリエチレングリコール#20000の粉末をまぶして約100
mlまで濃縮した。Triton X-100の濃度を1%に調整後、
次の精製段階のために0.05M NaClを含む緩衝液Aに対し
て透析した。
【0033】上記操作により、ヘパラン硫酸 2-スルホ
トランスフェラーゼ活性は約1.9倍に増加した。この原
因としては、PAPSの分解酵素やヘパラン硫酸 2-スルホ
トランスフェラーゼ活性を阻害する物質が、カラムクロ
マトグラフィーによって除かれたということが考えられ
る。
【0034】第2段階:3',5'-ADP-アガロースクロマ
トグラフィー 上記第1段階で得られた透析液を、0.05 M NaClを含む
緩衝液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロースのカラム
(14×90 mm, 15 ml)に通した。流速は13 ml/時間で
行った。カラムに吸着しない画分を、0.05 M NaClを含
む緩衝液A(カラムの8倍量)で洗浄後、0.05 M NaCl
と0.2mM 3',5'-ADPを含む緩衝液A(カラムの5倍量)
で吸着画分を溶出した。この画分にNaClの終濃度が0.15
Mになるように1 M NaClを含む緩衝液Aを加えた。
【0035】第1段階と第2段階の組み合わせを3回繰
り返し、3回分の活性画分をプールした。プールした画
分の一部を小さなヘパリン-セファロースカラム(ベッ
ド体積(bed volume): 0.6ml)にかけ、0.15 M NaClを含
む緩衝液Aで洗浄後、1.0 MNaClを含む緩衝液Aで溶出
し、この画分の活性を測定し、この段階で精製された酵
素の総活性を求めた。
【0036】上記操作により、ヘパラン硫酸 2-スルホ
トランスフェラーゼの比活性は、一挙に44倍となり、本
酵素の精製に極めて有効な方法であることが明らかにな
った。
【0037】第3段階:2回目のヘパリン-セファロ
ース CL-6Bクロマトグラフィー 第2段階のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ
活性画分を、0.15 M NaClを含む緩衝液Aで平衡化した
ヘパリン−セファロース CL-6Bカラム(16×50 mm,
10 ml)にかけた。0.15 M NaClを含む緩衝液A(カラ
ム容積の5倍量)でカラムを洗浄した後、緩衝液中のNa
Cl濃度を0.15 Mから1.0 Mまで上げた直線濃度勾配(全
体積300 ml)で吸着部分を溶出した。各溶出画分の蛋白
濃度、10mM DTT存在下でのスルホトランスフェラーゼ活
性(ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活性)
およびDTT非存在下でのスルホトランスフェラーゼ活性
(ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活性)
を測定した。結果を図2に示す。
【0038】上記のようにして得られたヘパラン硫酸
2-スルホトランスフェラーゼ活性を含む画分の中、図
2で太線で示した画分を集め、Triton X-100濃度を1%
に上げた後、1M NaClを含む緩衝液Aに対して透析し、
それから 0.05 M NaClを含む緩衝液Aに対して透析し
た。
【0039】第4段階:2回目の3',5'-ADP-アガロー
スクロマトグラフィー 3段階目の画分を、3',5'-ADP-アガロースカラムに1回
目と同様にかけて、クロマトグラフィーを行った。この
クロマトグラフィーにより精製度は11倍増加し、この段
階で比活性は26,700倍になった。0.2mM 3',5'-ADPと0.0
5M NaClを含む緩衝液Aで溶出した画分のNaCl濃度を0.1
5Mに調整した後、前記と同様にポリエチレングリコール
で8mlまで濃縮した。0.1M NaClを含む緩衝液Aに対し
て透析後、小さいヘパリン−セファロースカラム(bed
volume 0.6ml)にかけ、0.1M NaClを含む緩衝液B(Tri
ton X-100の濃度のみを0.02%にかえた緩衝液A)で洗
浄後、1M NaClを含む緩衝液B(2.5ml)で溶出した。こ
の溶出液をさらに0.5mlまで濃縮し、次の精製段階に使
用した。
【0040】第5段階:スーパーロース 12 ゲルクロ
マトグラフィー 2M NaClを含む緩衝液Aで平衡化したスーパーロース 12
カラムに4段階目の画分をかけ、0.25ml/分の流速で
クロマトグラフィーを行い、0.25mlづつ分画した。各溶
出画分の、10mM DTT存在下でのスルホトランスフェラー
ゼ活性(ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼ活
性)およびDTT非存在下でのスルホトランスフェラーゼ
活性(ヘパラン硫酸 O−スルホトランスフェラーゼ活
性)を測定した。スルホトランスフェラーゼの主たる活
性は、分子量130,000付近(図3中の高分子量側のピー
ク(ピークI))に溶出された。一方、分子量42,000付
近(低分子量側のピーク(ピークII))にDTTで阻害さ
れる小さな活性が溶出された。ヘパラン硫酸 2−スル
ホトランスフェラーゼはDTTにより阻害されないが、ヘ
パラン硫酸 6−スルホトランスフェラーゼはDTTにより
阻害されるので、分子量42,000付近のピークはヘパラン
硫酸 6−スルホトランスフェラーゼと思われる。ま
た、この分子量は発明者らによる既報論文のヘパラン硫
酸 6−スルホトランスフェラーゼの分子量とよく一致
する。さらにピークIIの画分によって35S標識されたCD
SNS−ヘパリンのヘパリチナーゼ消化物は、ΔDi-(N,6)d
iSが主たる成分であった。DTTで阻害されないスルホト
ランスフェラーゼ活性を含む画分(図3の太線部分)を
プールし、0.15M NaClを含む緩衝液Aに対して透析後、
−20℃で保存した。
【0041】以上、5段階の精製操作により、ヘパラン
硫酸 2-スルホトランスフェラーゼは、粗抽出液から約
51,700倍に精製され、後述するようにSDS-PAGEでほぼ均
一な2本のバンドを与えた(図4)。各段階における精
製の度合いを表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】(3)精製酵素のSDS-PAGEによる分析 上記のようにして得られたヘパラン硫酸 2-スルホトラ
ンスフェラーゼの精製酵素及び精製の各段階における試
料のSDS-PAGEを、Laemmliの方法(Laemmli, U.K. (197
0) Nature, 227, 680-685)に従って10% ゲルを用いて
行った。蛋白のバンドは、銀染色により検出した。精製
酵素のSDS-PAGEの結果を図4に、精製の各段階における
試料のSDS-PAGEの結果を図5に示す。スーパーロース 1
2 ゲルクロマトグラフィー画分には、近接した約44KDa
と約47KDaの幅広いバンドが主に認められた(図4)。
酵素活性の溶出パターンから考えると、分子量約44KDa
と47KDaの非常に近接した2つのバンドがヘパラン硫酸
2−スルホトランスフェラーゼに一致するようである。
【0044】次に、ヘパラン硫酸 2−スルホトランス
フェラーゼ蛋白質における糖鎖の有無を調べた。0.15
μgの蛋白を含むヘパラン硫酸2-スルホトランスフェラ
ーゼ溶液にTCA(トリクロロ酢酸)を終濃度10 %になる
ように加えて酵素蛋白を沈殿させ、遠心分離により沈殿
を回収した。この沈殿をアセトンで洗浄乾燥後、以下に
示す反応液中で37℃で16時間保温した。
【0045】0.5% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含
む0.05 M Tris-HCl, pH 7.8(10 μl)/7.5%(w/v) Noni
det P-40 (5 μl)/0.25 M EDTA (1.2 μl)/フェニル
メチルスルフォニルフルオライド(0.3 μl)/0.5 ユニ
ットのN-グリカナーゼ(recombinant N-glycanase:ジ
ェンザイム(Genzyme)社製)を含む反応液。
【0046】上記反応液をSDS-PAGEで分析したところ、
近接した44KDaと47KDaの蛋白バンドが消えて、34KDaと3
8KDaの蛋白バンドが出現した(図6)。この結果から、
両バンドの蛋白が、19%以上の糖を含む糖蛋白質である
ことが示唆される。 (4)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの基
質特異性と作用 本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフェラーゼの
基質特異性を調べるために、精製酵素を用いて種々の基
質(25 nmol)を受容体とした[35S]PAPSからの 35S-硫酸
基の転移活性を測定した。結果を表3に示した。表中の
( )内の数字はCDSNS-ヘパリンを受容体としたときの
硫酸基転移活性を100としたときの、各受容体に対す
る硫酸基転移活性を表す。
【0047】
【表3】
【0048】本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランス
フェラーゼは、CDSNS-ヘパリンとEHS腫瘍由来のヘパラ
ン硫酸に硫酸基を転移し、ブタ大動脈由来およびウシ肝
臓由来のヘパラン硫酸により弱く硫酸基を転移したが、
コンドロイチン、コンドロイチン硫酸AおよびC、デル
マタン硫酸、ケラタン硫酸には硫酸基の転移が認められ
なかった。
【0049】CDSNS-ヘパリン及びEHS腫瘍由来のヘパラ
ン硫酸を受容体とし、[35S]-PAPSを硫酸基の供与体とし
たときに、本発明のヘパラン硫酸 2-スルホトランスフ
ェラーゼによって転移される硫酸基の位置を調べるた
め、転移反応生成物を、以下に示すヘパリチナーゼI,I
I,IIIを含む混合液(反応産物 〜25 nmol、50 mM Tris-
HCl (pH 7.2)、1 mM CaCl2、2 μg ウシ血清アルブミン
(BSA)、10 mU ヘパリチナーゼI、1 mU ヘパリチナー
ゼII、10 mU ヘパリチナーゼIIIを含む50 μl)で、3
7℃で2時間消化した。
【0050】消化物を、標準不飽和二糖と一緒にHPL
C(高速液体クロマトグラフィー、カラム:ポリアミン
を結合したシリカ カラム(PAMNカラム))を用いた既知
の方法(Habuchi, H. et al., (1992) Biochem. J., 28
5, 805-813)で分離し、0.6mlずつ分画し、3 mlの液体
シンチレーター(Ready Safeシンチレーター:ベックマ
ン社製)を混合して、液体シンチレーションカウンタに
より放射能を測定した。尚、ヘパリチナーゼは、ヘパラ
ン硫酸のα-N-アセチル/-スルホ-D-グルコサミニル
(1→4)ウロン酸結合を脱離反応的に切断し、Δ4-ヘ
キスロン酸を非還元末端に持つオリゴ糖を生成する酵素
である。
【0051】結果を、図7(A:基質としてCDSNS−ヘ
パリン、B:基質としてEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸)
に示す。図7中、1〜5の符号を付した矢印は、以下に
示す不飽和二糖の溶出位置を表す(化1式及び表4参
照)。尚、ΔDiHSは、ヘパリンおよびヘパラン硫酸
がヘパリチナーゼにより分解されて生成する不飽和二糖
を、6、Nはグルコサミンの硫酸化の位置を、及びUは
ウロン酸の2位が硫酸化されていることを示す。
【0052】1:ΔDiHS−6S 2:ΔDiHS−NS 3:ΔDiHS−di(6,N)S 4:ΔDiHS−di(U,N)S 5:ΔDiHS−tri(U,6,N)S
【0053】
【化1】
【0054】
【表4】
【0055】その結果、CDSNS-ヘパリンを受容体とした
ときは、大部分の放射能はスタンダードのΔDiHS-di(U,
N)Sの溶出位置と一致した(図7A)。一方、EHS腫瘍由
来のヘパラン硫酸を受容体としたときも同様に、大部分
の放射能はスタンダードのΔDiHS-di(U,N)Sと一致した
(図7B)。
【0056】さらに上記の35Sで標識されたCDSNS−ヘ
パリン及びEHS腫瘍由来のヘパラン硫酸を、pH 1.5で亜
硝酸分解後 NaBH4で還元して得られた二糖画分を Parti
sil-10SAXカラムを用いてHPLCで分析した。CDSNS−ヘパ
リン由来の二糖画分の分析結果を図8A、EHS腫瘍由来
のヘパラン硫酸由来の二糖画分の分析結果を図8Bにそ
れぞれ示す。図8A・B中、1〜5の符号を付した矢印
は、以下に示す二糖の溶出位置を表す。尚、AManはアン
ヒドロマンノース(2,5-anhydro-D-mannose)を示し、R
はNaBH4により還元して得られるアルジトールを示す。
また、(2SO4)、(6SO4)は、それぞれ2位が硫酸化されて
いること、6位が硫酸化されていることを示す。
【0057】1:HexA−AManR 2:GlcA(2SO4)−AManR 3:GlcA−AManR(6SO4) 4:IdoA−AManR(6SO4) 5:IdoA(2SO4)−AManR
【0058】その結果、どちらを受容体にしても大部分
の放射能は IdoA(2SO4)-AManRの溶出位置と一致した。
これらの結果から、本発明のヘパラン硫酸 2−スルホ
トランスフェラーゼは、N-スルホグルコサミン残基に隣
接するイズロン酸残基の2位の水酸基へ硫酸基を転移す
ることが示された。また、本発明酵素によるグルコサミ
ン残基の硫酸化は認められなかった。
【0059】(6)ヘパラン硫酸 2-スルホトランスフ
ェラーゼのその他の酵素学的性質 至適pH 本発明酵素の至適pHの測定を行った。緩衝液として
は、50 mM Tris-HCl、50mM イミダゾール-HCl、50 mM M
ES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸:ナカライテスク社製)、及
び 50 mM 酢酸カリウム緩衝液を用い、種々のpHで酵素
活性を測定した。pH 6.8のイミダゾール-HCl緩衝液中に
おける酵素活性に対する各々の相対活性を図9に示し
た。その結果、本発明酵素はpH 5〜6.5付近で高い酵素
活性を示した。また、最大活性はpH 5.5付近であった。
【0060】至適イオン強度 本発明酵素の活性に対するイオン強度の影響を調べるた
めに、NaClを種々の濃度で酵素反応液に添加し、酵素活
性を調べた。結果を図10に示す。その結果、本発明酵
素は50〜200 mM NaCl 付近で高い酵素活性を示した。ま
た、最大活性は100 mM NaCl付近に見られた。この性質
はNaCl濃度依存的に活性が阻害されるN-スルホトラン
スフェラーゼとは異なる。
【0061】本発明酵素の阻害及び活性化 本発明酵素の活性に対するジチオスレイトール(DTT)
の影響を調べるために、DTTを種々の濃度で反応液に添
加し、酵素活性を測定した(図11)。DTTは、10mMま
でほとんど活性を阻害せず、この点はヘパラン硫酸 6
−スルホトランスフェラーゼと非常に異なっている。
【0062】本発明酵素の酵素活性に対するプロタミン
の影響を調べた。結果を図12に示す。ヘパラン硫酸
2−スルホトランスフェラーゼは、コンドロイチン4-
スルホトランスフェラーゼやコンドロイチン6−スルホ
トランスフェラーゼやヘパラン硫酸 6-スルホトランス
フェラーゼと同様にプロタミンによって著しく活性化さ
れた。
【0063】また、本発明酵素の酵素活性に対する3',
5'-ADPの影響を調べたところ、他のスルホトランス
フェラーゼ同様に強い阻害作用を示した。
【0064】ミカエリス定数の測定 本発明酵素に対して、硫酸基の受容体としてCDSNS-ヘパ
リンを、供与体としてPAPSを用いたときのミカエリス定
数(Km)を求めた。0.19ユニットの本発明酵素とヘキソサ
ミン量として25 nmolのCDSNS-ヘパリンを含む反応液50
μlに0.125〜5μMのPAPSを加え、37℃で20分間反応させ
て、反応初速度を測定した。Lineweaver-Burkプロット
を作成し、ミカエリス定数を算出した結果、本発明酵素
のPAPSに対するKmは2.0×10-7 Mであった。
【0065】
【発明の効果】本発明の酵素により、ヘパリンおよびヘ
パラン硫酸に含まれるイズロン酸残基の2位の水酸基に
選択的に硫酸基を導入することが酵素的に可能になっ
た。このヘパラン硫酸 2−スルホトランスフェラーゼ
は、極めて厳密にヘパリンおよびヘパラン硫酸のイズロ
ン酸残基の2位選択的に硫酸基を導入するため、ヘパリ
ンやヘパラン硫酸の機能解析などの研究に有用な試薬へ
の活用が期待される。
【0066】また本発明酵素を用いてヘパラン硫酸のイ
ズロン酸残基の2位へ選択的に硫酸基を導入することに
より、現在知られていない新たな生理活性を有するヘパ
リンやヘパラン硫酸の創出、さらに医薬品としての応用
を考えると、ヒトに好ましい生理活性を有するヘパリン
もしくはヘパラン硫酸の創出が期待できる。また、がん
化に伴ってヘパラン硫酸の硫酸化度が下がることが知ら
れているので、本発明の酵素に対する抗体を作出し、組
織中の本発明の酵素を検出することによって、該酵素量
と細胞のがん化との関連付けが可能になることも期待さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明酵素の1回目のヘパリン−セファロー
ス CL-6Bクロマトグラフィーの結果を示す図。●はヘパ
ラン硫酸 O-スルホトランスフェラーゼ活性(DTT非存
在下で活性測定を行った)、○はヘパラン硫酸 2-スル
ホトランスフェラーゼ活性(10 mM DTT存在下で活性測
定を行った)、■は蛋白濃度、破線はNaCl濃度を示す。
【図2】 本発明酵素の2回目のヘパリン-セファロース
CL-6Bクロマトグラフィーの結果を示す図。図中の
●、○、■はいずれも図1と同じである。
【図3】 スーパーロース12ゲルクロマトグラフィーの
結果を示す図。図中の●、○はいずれも図1および2と
同じである。矢印は標準タンパク質の溶出位置を示す。
図中の1、2及び3はいずれも標準蛋白質の溶出位置で
ある。1はBSA(67KDa)、2はオブアルブミン(43KDa)、
3はキモトリプシノーゲン(25KDa)である。
【図4】 スーパーロース12ゲルクロマトグラフィーで
分画されたフラクションのSDS-PAGEの結果を示す図。図
上部の数字はフラクション番号を表す。Mは分子量マー
カーを示す。
【図5】 各精製段階における本発明酵素画分のSDS-PAG
Eの結果を示す図。Mは分子量マーカー、レーン1は粗
抽出液、レーン2は1回目のヘパリン−セファロース C
L-6Bにおいて図1で水平線(太線)で示した部分の画
分、レーン3は1回目の3',5'-ADP-アガロースの吸着画
分、レーン4は2回目のヘパリン−セファロース CL-6B
クロマトグラフィーにおいて図2で示した水平線(太
線)の部分の画分、レーン5は2回目の3',5'-ADP-アガ
ロースの吸着画分を、それぞれ示す。
【図6】 N-グリカナーゼ処理及び無処理の本発明酵素
のSDS-PAGEの結果を示す図。Mは分子量マーカー、レー
ン1は無処理の本発明酵素、レーン2はN−グリカナー
ゼ処理した本発明酵素、レーン3はN−グリカナーゼを
それぞれ示す。
【図7】 本発明酵素によるCDSNS-ヘパリン(A)及びE
HS腫瘍由来のヘパラン硫酸(B)への硫酸基転移反応産
物のヘパリチナーゼ消化物のHPLCクロマトグラムを示す
図。
【図8】 本発明酵素によるCDSNS-ヘパリン(A)及びE
HS腫瘍由来のヘパラン硫酸(B)への硫酸基転移反応産
物を、pH 1.5で亜硝酸分解し、NaBH4で還元することに
より生成した二糖の Partisil-10 SAXカラムによるHPLC
クロマトグラムを示す図。
【図9】 本発明酵素の至適pHを示すpH−酵素活性
曲線。○はTris-HCl緩衝液、●はイミダゾール−HCl緩
衝液、□はMES緩衝液、■は酢酸カリウム緩衝液を各々
示す。
【図10】 本発明酵素の至適NaCl濃度を示すNaCl濃度
−酵素活性曲線。
【図11】 本発明酵素に対するDTTの影響を示すDTT濃
度−酵素活性曲線。
【図12】 本発明酵素に対するプロタミンの影響を示
すプロタミン濃度−酵素活性曲線。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年11月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】 スーパーロース12ゲルクロマトグラフィーで
分画されたフラクションのSDS-PAGEの結果を示す図(電
気泳動写真)。図上部の数字はフラクション番号を表
す。Mは分子量マーカーを示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】 各精製段階における本発明酵素画分のSDS-PAG
Eの結果を示す図(電気泳動写真)。Mは分子量マーカ
ー、レーン1は粗抽出液、レーン2は1回目のヘパリン
−セファロース CL-6Bにおいて図1で水平線(太線)で
示した部分の画分、レーン3は1回目の3',5'-ADP-アガ
ロースの吸着画分、レーン4は2回目のヘパリン−セフ
ァロース CL-6Bクロマトグラフィーにおいて図2で示し
た水平線(太線)の部分の画分、レーン5は2回目の
3',5'-ADP-アガロースの吸着画分を、それぞれ示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】 N-グリカナーゼ処理及び無処理の本発明酵素
のSDS-PAGEの結果を示す図(電気泳動写真)。Mは分子
量マーカー、レーン1は無処理の本発明酵素、レーン2
はN−グリカナーゼ処理した本発明酵素、レーン3はN
−グリカナーゼをそれぞれ示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するヘパラン硫
    酸 2−O−硫酸基転移酵素。 作用:硫酸基供与体から硫酸基を、イズロン酸残基の
    2位の水酸基に選択的に転移する。 基質特異性:ヘパラン硫酸もしくはCDSNS−ヘパ
    リンには硫酸基を転移するが、コンドロイチン、コンド
    ロイチン硫酸、デルマタン硫酸およびケラタン硫酸には
    硫酸基を転移しない。 至適反応pH:pH5〜6.5付近 至適イオン強度:50〜200mM付近(塩化ナトリ
    ウムの場合) 阻害及び活性化:プロタミンにより活性化される。ア
    デノシン-3',5'-ジリン酸(3',5'−ADP)により阻害
    される。10mM以下のジチオスレイトール(DTT)
    によってはほとんど活性に影響を受けない。
  2. 【請求項2】 前記硫酸基供与体が、3’−ホスホアデ
    ノシン5’−ホスホ硫酸である請求項1記載のヘパラン
    硫酸 2−O−硫酸基転移酵素。
  3. 【請求項3】 チャイニーズハムスター卵巣組織由来の
    培養細胞を好適な培地で培養し、この培養物からヘパラ
    ン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素を採取することを特徴
    とするヘパラン硫酸 2−O−硫酸基転移酵素の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記培養細胞が、CHO細胞(ATCC CCL6
    1)である請求項3記載のヘパラン硫酸 2−O−硫酸基
    転移酵素の製造方法。
JP18757795A 1995-07-24 1995-07-24 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素 Expired - Fee Related JP3672359B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18757795A JP3672359B2 (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素
DE69633094T DE69633094T2 (de) 1995-07-24 1996-07-23 Heparansulfat 2-0-Sulfotransferase
EP96305410A EP0756004B1 (en) 1995-07-24 1996-07-23 Heparan sulfate 2-0-sulfotransferase
US08/685,659 US5817487A (en) 1995-07-24 1996-07-24 Heparan sulfate 2-0-sulfotransferase

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18757795A JP3672359B2 (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0928374A true JPH0928374A (ja) 1997-02-04
JP3672359B2 JP3672359B2 (ja) 2005-07-20

Family

ID=16208541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18757795A Expired - Fee Related JP3672359B2 (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素

Country Status (4)

Country Link
US (1) US5817487A (ja)
EP (1) EP0756004B1 (ja)
JP (1) JP3672359B2 (ja)
DE (1) DE69633094T2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5773274A (en) * 1997-01-23 1998-06-30 Takara Shuzo., Ltd. Gene encoding sulfotransferase
JP2002327002A (ja) * 2000-08-07 2002-11-15 Seikagaku Kogyo Co Ltd 硫酸基を有するオリゴ糖
WO2004100961A1 (ja) 2003-05-19 2004-11-25 Seikagaku Corporation 硫酸基転移酵素阻害剤

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3672359B2 (ja) * 1995-07-24 2005-07-20 生化学工業株式会社 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素
US6066318A (en) * 1995-10-05 2000-05-23 G.D. Searle & Co. Multi-functional hematopoietic fusion proteins between sequence rearranged C-MPL receptor agonists and other hematopoietic factors
US20090197308A1 (en) * 2005-05-12 2009-08-06 Jian Liu Enzymatic synthesis of sulfated polysaccharides
US20090035787A1 (en) * 2007-07-23 2009-02-05 The University Of North Carolina At Chapel Hill Enzymatic synthesis of sulfated polysaccharides without iduronic acid residues
US11203772B2 (en) 2010-12-23 2021-12-21 The University Of North Carolina At Chapel Hill Chemoenzymatic synthesis of structurally homogeneous ultra-low molecular weight heparins
JP6670235B2 (ja) 2013-06-17 2020-03-18 ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒルThe University Of North Carolina At Chapel Hill 可逆的ヘパリン分子、その製法及びその使用方法
CN110446511B (zh) 2017-03-10 2024-04-02 北卡罗来纳大学查珀尔希尔分校 短效的基于肝素的抗凝血剂化合物和方法
US11993627B2 (en) 2017-07-03 2024-05-28 The University Of North Carolina At Chapel Hill Enzymatic synthesis of homogeneous chondroitin sulfate oligosaccharides
EP3691653A4 (en) 2017-11-03 2021-08-11 The University Of North Carolina At Chapel Hill SULPHATED OLIGOSACCHARIDES SHOWING ANTI-INFLAMMATORY ACTIVITY
US11633424B2 (en) 2018-06-20 2023-04-25 The University Of North Carolina At Chapel Hill Cell protective methods and compositions
WO2022015794A1 (en) 2020-07-14 2022-01-20 Optimvia, Llc Methods for synthesizing non-anticoagulant heparan sulfate
EP3911737A1 (en) 2019-01-15 2021-11-24 Optimvia, LLC Engineered aryl sulfate-dependent enzymes
CN114616340A (zh) 2019-07-09 2022-06-10 奥普蒂姆维亚有限公司 合成抗凝血多糖的方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3818676B2 (ja) * 1994-07-22 2006-09-06 生化学工業株式会社 ヘパラン硫酸6−o−硫酸基転移酵素
JP3672359B2 (ja) * 1995-07-24 2005-07-20 生化学工業株式会社 ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5773274A (en) * 1997-01-23 1998-06-30 Takara Shuzo., Ltd. Gene encoding sulfotransferase
US5965419A (en) * 1997-01-23 1999-10-12 Takara Shuzo Co., Ltd. Purified sulfotransferase
US6020467A (en) * 1997-01-23 2000-02-01 Takara Shuzo Co., Ltd. Antibodies against sulfotransferase
JP2002327002A (ja) * 2000-08-07 2002-11-15 Seikagaku Kogyo Co Ltd 硫酸基を有するオリゴ糖
WO2004100961A1 (ja) 2003-05-19 2004-11-25 Seikagaku Corporation 硫酸基転移酵素阻害剤
EP1627640A4 (en) * 2003-05-19 2007-05-23 Seikagaku Kogyo Co Ltd CHLORIDE GROUP TRANSFERASE INHIBITORS

Also Published As

Publication number Publication date
EP0756004A1 (en) 1997-01-29
JP3672359B2 (ja) 2005-07-20
DE69633094D1 (de) 2004-09-16
EP0756004B1 (en) 2004-08-11
DE69633094T2 (de) 2005-07-28
US5817487A (en) 1998-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3818676B2 (ja) ヘパラン硫酸6−o−硫酸基転移酵素
Robinson et al. Structure and properties of an under-sulfated heparan sulfate proteoglycan synthesized by a rat hepatoma cell line.
Kobayashi et al. Purification and Characterization of Heparan Sulfate 2-Sulfotransferase from Cultured Chinese Hamster Ovary Cells (∗)
Ernst et al. Enzymatic degradation of glycosaminogIycans
JP3672359B2 (ja) ヘパラン硫酸 2−o−硫酸基転移酵素
US8771995B2 (en) Enzymatic synthesis of sulfated polysaccharides
JP6670235B2 (ja) 可逆的ヘパリン分子、その製法及びその使用方法
US20090035787A1 (en) Enzymatic synthesis of sulfated polysaccharides without iduronic acid residues
Chen et al. Biosynthesis of 3-O-sulfated heparan sulfate: unique substrate specificity of heparan sulfate 3-O-sulfotransferase isoform 5
WO2004017910A2 (en) Total synthesis of heparin
Kitagawa et al. Characterization of serum β-glucuronyltransferase involved in chondroitin sulfate biosynthesis
US8067196B2 (en) 6-O sulfated polysaccharides and methods of preparation thereof
Habuchi et al. Biosynthesis of heparan sulfate and heparin how are the multifunctional glycosaminoglycans built up?
Tiedemann et al. The glucuronyl C5-epimerase activity is the limiting factor in the dermatan sulfate biosynthesis
JP4023848B2 (ja) 硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の製造方法
JP4415338B2 (ja) 硫酸基転移酵素調製物
JP4768936B2 (ja) 硫酸基を有するオリゴ糖
US20040043447A1 (en) Production of sulfated polysaccharides using glycosaminoglycan-specific sulfotransferases
Yamaguchi et al. Molecular cloning of squid N-acetylgalactosamine 4-sulfate 6-O-sulfotransferase and synthesis of a unique chondroitin sulfate containing E–D hybrid tetrasaccharide structure by the recombinant enzyme
JP4059565B2 (ja) 新規硫酸基転移酵素
Mourão et al. The effect of chondroitin sulfate molecular weight and degree of sulfation on the activity of a sulfotransferase from chicken embryo epiphyseal cartilages
JP3766487B2 (ja) ケラタン硫酸6−スルホトランスフェラーゼ及びそれをコードするdna
WO2023118313A1 (en) Improved heparan sulfate and methods of making the same
Duncan II Biological and chemoenzymatic synthesis of anticoagulant heparan sulfate
Rong Novel chemical and enzymatic routes to the generation of heparin-related polysaccharides

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050419

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080428

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees