JP4023848B2 - 硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の新規な製造方法に関し、詳しくは、ラクトサミンオリゴ糖から酵素反応により硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラクトサミンを骨格とする糖鎖は、セレクチンファミリーに属する細胞接着分子への結合能を持つリガンド糖鎖として、生体内では重要な生理活性を発現している。細胞表面におけるこれらの糖鎖の発現は、異種細胞間の特異的な接着に関与していることが明かとなり、これら糖鎖を利用した機能賦活剤や抑制剤は、有用な薬物になると期待されている。すなわち、その中心的な化合物であるシアリルルイスX(SLex)およびその類似体によってセレクチン分子をブロックし、リンパ球と内皮細胞との接着を阻害することによって、炎症を伴う種々の疾患の軽減に役立つと考えられている。また、これらの糖鎖は、がん細胞が血行性転移をする場合の内皮細胞への接着や微生物がターゲット細胞へ感染する際の接着に関与するとも考えられており、これらの疾病防御の薬剤開発の素材として重視されている。
【0003】
また、リンパ球のホーミング、炎症初期に起こる白血球のローリングに関与しているL-セレクチン(リンパ球上に発現している)のリガンドの一つと考えられている「GlyCAM-1(highly glycosylated cell adhesion molecule-1、glycosylation-dependent cell adhesion molecule-1;血管内皮上に発現している)」は、その70%以上を糖鎖が占めており、糖鎖の基本骨格(NeuAc-Gal(6S)-(Fuc-)GlcNAc-R(NeuAcはN−アセチルノイラミン酸残基を、Galはガラクトース残基を、(6S)は6位が硫酸化されていることを、Fucはフコース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、-はグリコシド結合を、Rは水素原子または糖鎖をそれぞれ表す:以下、「GlyCAM-1糖鎖基本骨格」ともいう)とともに最近非常に注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
GlyCAM-1及びその糖鎖基本骨格は、新規な薬剤の開発や生体内の生理活性に関する研究において重要な役割を果たすことが期待されており、安定した供給が望まれるが、現在これらはGlyCAM-1を発現する動物から得られるのみであり、その量は微量である。GlyCAM-1及びその糖鎖基本骨格の合成的製造は困難であり、GlyCAM-1糖鎖基本骨格に導き得る硫酸化ラクトサミンオリゴ糖をスルホトランスフェラーゼを用いて製造する方法も知られていない。
【0005】
本発明は上記観点からなされたものであり、GlyCAM-1糖鎖基本骨格を得るために、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を製造する新規な方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ラクトサミンオリゴ糖に、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼを作用させることにより、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、ラクトサミンオリゴ糖に、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の製造方法である。
【0008】
本明細書中で「ラクトサミン」という用語には、ラクトサミン(ガラクトース残基とグルコサミン残基とがグリコシド結合した物質;Gal-GlcNで表される)に加えて、N−アセチルラクトサミン(ガラクトース残基とN−アセチルグルコサミン残基とがグリコシド結合した物質;Gal-GlcNAcで表される)の意味も包含される。なお、本明細書中に記載している式において、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、GlcNはグルコサミン残基を、SAはシアル酸残基を、NeuAcはN−アセチルノイラミン酸残基を、Fucはフコース残基を、(6S)は6位が硫酸化されていることを、-はグリコシド結合をそれぞれ表す。
【0009】
また本明細書中における「ラクトサミン」という用語は、シアル酸残基及び/又はフコース残基を含有するラクトサミンを包含する。本明細書中で「ラクトサミンオリゴ糖」とは、ラクトサミンを少なくとも1つ含むオリゴ糖をいい、ラクトサミン自体、ラクトサミンを少なくとも1つ含むオリゴ糖、ラクトサミンの繰返し構造を基本骨格とするオリゴ糖等を包含する。また、前記「ラクトサミンオリゴ糖」には、グルコサミン残基(またはN−アセチルグルコサミン残基)及び/又はガラクトース残基が硫酸化されたものを含んでいても、6位が硫酸化されていないガラクトース残基を有するラクトサミンを少なくとも1つ含むラクトサミンオリゴ糖であれば、包含される。また、本明細書中で「硫酸化ラクトサミンオリゴ糖」とは、前記ラクトサミンオリゴ糖中の硫酸化されていないガラクトース残基の6位の一部または全部に硫酸基が付加された物質を意味する。なお、本明細書中で単に「ラクトサミン」といった場合には、ラクトサミン自体、およびラクトサミンオリゴ糖中のラクトサミン構造(骨格)の意味をも包含する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を示す。
本発明の方法に用いるスルホトランスフェラーゼとしては、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼであれば特に制限されないが、グリコサミノグリカン中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼが好ましく、ケラタン硫酸中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼがより好ましく、本発明者らによって、無血清培地で培養したニワトリの軟骨細胞の培養上清から精製されたスルホトランスフェラーゼ(Habuchi, O., Matsui, Y., Kotoya, Y., Aoyama, Y., Yasuda, Y., and Noda, M. (1993) J. Biol. Chem. 268, 21968-21974)が特に好ましい。この特に好ましいスルホトランスフェラーゼ(以下、「コンドロイチン 6−スルホトランスフェラーゼ」又は「C6ST」ともいう)は、下記理化学的性質を有する。
▲1▼作用:
硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基の6位に転移する。
なお、本明細書中において「6位」とは、「6位の水酸基」を意味する。
▲2▼基質特異性:
コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、ケラタン硫酸には硫酸基を転移するが、コンドロイチン硫酸E、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸には硫酸基を実質的に転移しない。なお、ここでの好ましいコンドロイチンはイカの皮由来のものであり、同じくコンドロイチン硫酸Aはクジラの軟骨由来のものであり、同じくコンドロイチン硫酸Cはサメ軟骨由来のものであり、同じくケラタン硫酸はウシの角膜由来のものである。また、ここでの好ましいコンドロイチン硫酸Eはイカの軟骨由来のものであり、同じくデルマタン硫酸はブタの皮由来のものであり、同じくヘパラン硫酸はウシの腎臓由来のものである。またC6STはニワトリ胚軟骨由来のコンドロイチン硫酸にも硫酸基を転移する。
▲3▼至適反応pH:6.4付近
▲4▼阻害及び活性化:プロタミン又はMnCl2により活性化される。
▲5▼分子量:
還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により推定される分子量:約75キロダルトン。
【0011】
上記C6STは、軟骨細胞等、それを発現する培養細胞から、通常のタンパク質の精製方法、及び通常のスルホトランスフェラーゼの精製方法を組み合わせることによって精製することができる。具体的には、J. Biol. Chem. 268,(29),21968-21974,(1993)に記載された方法に従って行うことが好ましい。すなわち、例えば無血清培地で培養したニワトリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)の培養上清から、ヘパリン−セファロースCL−6B(ファルマシアLKBバイオテクノロジー社から購入できる)、コムギ胚芽アグルチニン−アガロース(生化学工業(株)から購入できる)、及び3',5'-ADP-アガロース(シグマ(Sigma)社から購入できる)によるアフィニティークロマトグラフィーによって、実質的に均一なC6STが得られる。
【0012】
また、本発明で用いることができるスルホトランスフェラーゼの遺伝子を公知の方法に従ってクローニングし、適当な宿主に導入して、発現させることによっても該スルホトランスフェラーゼを得ることができる。例えばラクトサミンオリゴ糖やグリコサミノグリカン(好ましくはケラタン硫酸)中のガラクトース残基の6位への特異的硫酸基転移活性を指標に用い、本発明で用いることができるスルホトランスフェラーゼを有する生物のDNAライブラリーから、該スルホトランスフェラーゼをコードするDNAを単離し、これを遺伝子組換え技術によりベクターに入れ、宿主細胞に導入し、そこで発現させることにより該スルホトランスフェラーゼを得ることができる。またクローニングを、該スルホトランスフェラーゼに特異的な抗体を作製し、これを用いて行うこともできる。またスルホトランスフェラーゼのN末端のアミノ酸配列を決定し、この配列から推定されるヌクレオチド配列を有するDNAをプローブとしてクローニングを行うこともできる。発現した酵素は、通常の酵素の抽出、精製方法によって得ることができる。抽出方法として具体的にはホモジナイズ、音波処理、浸透ショック法、凍結融解法等の細胞破砕による抽出、界面活性剤抽出等や、これらの組合わせ等の処理操作が挙げられる。また精製方法として具体的には、例えば硫安や硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外ろ過法、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過法、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等や、これらの組合わせ等の処理操作が挙げられる。
【0013】
尚、スルホトランスフェラーゼ活性の測定法、及び硫酸基を転移する位置を調べる方法は、実施例に詳述した。
本発明の方法に用いることができるラクトサミンオリゴ糖は、ラクトサミン、ラクトサミンを少なくとも1つ含むオリゴ糖、ラクトサミンの繰返し構造を基本骨格とするオリゴ糖等、少なくとも1個のラクトサミンを含むオリゴ糖である。これらの中でもラクトサミン自体、またはラクトサミンの繰返し構造を基本骨格とするオリゴ糖が好ましい。ラクトサミンの繰返し構造を基本骨格とするオリゴ糖の場合、好ましくはラクトサミン構造が2〜10単位、より好ましくは2〜7単位、極めて好ましくは2単位からなるものである。
【0014】
ラクトサミンを少なくとも1つ含むオリゴ糖の場合、ラクトサミンが当該オリゴ糖の非還元末端に存在しているものが好ましい。またラクトサミンを少なくとも1つ含むオリゴ糖の場合、ラクトサミン以外の糖残基間結合様式は特に限定されない。
【0015】
なお、ラクトサミンおよびラクトサミンオリゴ糖中のアミノ糖残基は、グルコサミン残基またはN−アセチルグルコサミン残基であるが、N−アセチルグルコサミン残基が好ましい。
【0016】
またラクトサミンオリゴ糖の糖残基数は、2〜20糖残基程度が好ましく、2〜15糖残基がより好ましく、2〜5糖残基が極めて好ましい。
ラクトサミン中のアミノ糖残基がN−アセチルグルコサミン残基の場合、ラクトサミンにおけるガラクトース残基からN−アセチルグルコサミン残基へのグリコシド結合は、β−グリコシド結合であるものが好ましく、β1→4グリコシド結合(すなわちGalβ1-4GlcNAc)であるものがより好ましい。また、ラクトサミンの繰返し構造を基本骨格とする場合には、N−アセチルグルコサミン残基からガラクトース残基へのグリコシド結合(すなわち隣接する2つのラクトサミンにおいて、非還元末端側のラクトサミンから還元末端側のラクトサミンへのグリコシド結合)は、β−グリコシド結合であるものが好ましく、β1→3グリコシド結合(すなわちGlcNAcβ1-3Gal)であるものがより好ましい。
【0017】
尚、ラクトサミンは、シアル酸残基及び/又はフコース残基を含有していてもよい。すなわち、シアリル化及び/又はフコシル化されていてもよい。シアリル化されているラクトサミンの場合、シアル酸残基がα−グリコシド結合によりガラクトース残基へ結合しているものが好ましく、シアル酸残基がα2→3グリコシド結合によりガラクトース残基へ結合しているもの(すなわちSAα2-3Gal)がより好ましい。なおシアル酸としてはN−アセチルノイラミン酸やN−グリコリルノイラミン酸等が挙げられるが、N−アセチルノイラミン酸が好ましい。フコシル化されているラクトサミンの場合、フコース残基はα−グリコシド結合によりN−アセチルグルコサミン残基へ結合しているものが好ましく、フコース残基がα1→3グリコシド結合によりN−アセチルグルコサミン残基に結合しているもの(すなわちFucα1-3GlcNAc)がより好ましい。
【0018】
また、ラクトサミン中のN−アセチルグルコサミン残基は硫酸化されていてもよく、かつ好ましい。さらに、ガラクトース残基が硫酸化されたラクトサミンを含むオリゴ糖であっても、6位が硫酸化されていないガラクトース残基を有するラクトサミンを少なくとも1個含んでいれば、本発明に用いることができる。
【0019】
ラクトサミンオリゴ糖のうち、非還元末端にシアル酸残基を有するラクトサミンオリゴ糖は、シアル酸残基を含有しないラクトサミンオリゴ糖よりも、やや硫酸化されやすい傾向がある。さらに、6位が硫酸化されていないガラクトース残基の還元末端側に隣接するN−アセチルグルコサミン残基が硫酸化されているラクトサミンオリゴ糖は、6位が硫酸化されていないガラクトース残基の還元末端側に隣接するN−アセチルグルコサミン残基が硫酸化されていないラクトサミンオリゴ糖よりも、硫酸化されやすい傾向がある。よって、硫酸基を転移(導入)したいラクトサミンオリゴ糖中の6位が硫酸化されていないガラクトース残基の還元末端側に隣接するN−アセチルグルコサミン残基は硫酸化(好ましくは6位が硫酸化)されているものが好ましい。
【0020】
また、フコシル化されていないラクトサミンオリゴ糖は、N−アセチルグルコサミン残基がフコシル化されたラクトサミンオリゴ糖よりも、硫酸化されやすい傾向がある。特に6位が硫酸化されていないガラクトース残基の還元末端側に隣接したN−アセチルグルコサミン残基がフコシル化されている場合(すなわち、例えば Gal-(Fuc-)GalNAc)は、該ガラクトース残基は硫酸化されにくい。したがって、フコシル化された硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を得たい場合には、フコシル化されていないラクトサミンオリゴ糖を用いて硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を得た後に、フコシルトランスフェラーゼを用いてフコシル化することが好ましい。
【0021】
なお、本発明で用いるラクトサミンオリゴ糖は、目的とする硫酸化ラクトサミンオリゴ糖に応じて当業者が適宜選択できるものである。
本発明で用いるラクトサミンオリゴ糖として具体的には、例えば下記一般式で表されるオリゴ糖が好ましい。
【0022】
【化5】
Gal-GlcNAc-R・・・(1)
Gal-GlcNAc(6S)-R・・・(2)
SA-Gal-GlcNAc-R・・・(3)
SA-Gal-GlcNAc(6S)-R・・・(4)
(上記の各式において、Rは水素原子または1〜17糖の糖鎖であり、好ましいRは水素原子または1〜12糖の糖鎖であり、極めて好ましいRは水素原子または1〜2糖の糖鎖である)
【0023】
なおRが糖鎖の場合、RはGal-GlcNAcの繰り返し構造を基本骨格とするものが好ましい。この場合、該基本骨格にはシアル酸残基、フコース残基、硫酸基等が付加していてもよい。
【0024】
本発明に用いるラクトサミンオリゴ糖として、下記式で表されるオリゴ糖がより好ましい。
【0025】
【化6】
Gal-GlcNAc・・・(5)
Gal-GlcNAc-Gal-GlcNAc・・・(6)
Gal-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)・・・(7)
SA-Gal-GlcNAc・・・(8)
SA-Gal-GlcNAc-Gal-GlcNAc・・・(9)
SA-Gal-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)・・・(10)
【0026】
上記(1)〜(10)の各式において、シアル酸としてはN−アセチルノイラミン酸やN−グリコリルノイラミン酸等が挙げられるが、N−アセチルノイラミン酸が好ましい。
【0027】
これら本発明に用いることができるラクトサミンオリゴ糖の由来は特に限定されず、天然物から抽出・精製したもの、化学的合成により製造したもの、化学的分解により製造したもの、糖分解酵素を用いて製造したもの、糖転移酵素を用いて製造したもの等、いずれの方法により得たラクトサミンオリゴ糖をも用いることができる。また市販されているものを利用しても良い。
【0028】
例えば糖分解酵素を用いて製造する場合、具体的にはケラタン硫酸、好ましくはサメなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の軟骨、骨や角膜等から得ることができるケラタン硫酸を、例えばエンド−β−ガラクトシダーゼ型酵素(例えばエンド−β−ガラクトシダーゼやケラタナーゼ;いずれも生化学工業株式会社より販売)やエンド−β−グルコサミニダーゼ型酵素(例えばケラタナーゼII;生化学工業株式会社より販売)によって分解することにより、本発明で用いることができるラクトサミンオリゴ糖を製造することができる。
【0029】
ラクトサミンオリゴ糖に、硫酸基供与体の共存下で、ラクトサミンオリゴ糖中のラクトサミン中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼを作用させると、硫酸基供与体から、ラクトサミンオリゴ糖中のラクトサミン中のガラクトース残基の6位に硫酸基が転移し、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖が生成する。本発明の方法により得られる硫酸化ラクトサミンオリゴ糖としては、例えば下記式で表される硫酸化ラクトサミンオリゴ糖が挙げられ、かつ好ましい。
【0030】
【化7】
Gal(6S)-GlcNAc-R・・・(11)
Gal(6S)-GlcNAc(6S)-R・・・(12)
SA-Gal(6S)-GlcNAc-R・・・(13)
SA-Gal(6S)-GlcNAc(6S)-R・・・(14)
(上記の各式において、Rは水素原子または1〜17糖の糖鎖であり、好ましいRは水素原子または1〜12糖の糖鎖であり、極めて好ましいRは水素原子または1〜2糖の糖鎖である)
【0031】
なおRが糖鎖の場合、RはGal-GlcNAcの繰り返し構造を基本骨格とするものが好ましい。この場合、該基本骨格にはシアル酸残基、フコース残基、硫酸基等が付加していてもよい。
【0032】
これらの中でも、下記式で表される硫酸化ラクトサミンオリゴ糖が好ましい。
【0033】
【化8】
Gal(6S)-GlcNAc・・・(15)
Gal(6S)-GlcNAc-Gal-GlcNAc・・・(16)
Gal-GlcNAc-Gal(6S)-GlcNAc・・・(17)
Gal(6S)-GlcNAc-Gal(6S)-GlcNAc・・・(18)
Gal(6S)-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)・・・(19)
SA-Gal(6S)-GlcNAc・・・(20)
SA-Gal(6S)-GlcNAc-Gal-GlcNAc・・・(21)
SA-Gal-GlcNAc-Gal(6S)-GlcNAc・・・(22)
SA-Gal(6S)-GlcNAc-Gal(6S)-GlcNAc・・・(23)
SA-Gal(6S)-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)・・・(24)
【0034】
上記(11)〜(24)の各式において、シアル酸としてはN−アセチルノイラミン酸やN−グリコリルノイラミン酸等が挙げられるが、N−アセチルノイラミン酸が好ましい。
【0035】
硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(11)はラクトサミンオリゴ糖(1)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(12)はラクトサミンオリゴ糖(2)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(13)はラクトサミンオリゴ糖(3)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(14)はラクトサミンオリゴ糖(4)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(15)はラクトサミンオリゴ糖(5)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(16)、(17)、(18)はラクトサミンオリゴ糖(6)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(19)はラクトサミンオリゴ糖(7)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(20)はラクトサミンオリゴ糖(8)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(21)、(22)、(23)はラクトサミンオリゴ糖(9)から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖(24)はラクトサミンオリゴ糖(10)からそれぞれ得られる。
【0036】
ラクトサミンオリゴ糖に、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼを作用させる反応は、該スルホトランスフェラーゼ、硫酸基供与体及びラクトサミンオリゴ糖を共存させることにより行うことができる。この時のpHは、当該スルホトランスフェラーゼの活性が保持されている限りにおいて特に限定されないが、当該スルホトランスフェラーゼの至適反応pH付近のpH条件下で反応を行うことが好ましく、該pH下で緩衝作用を有する緩衝液中で反応を行うことがより好ましい。当該スルホトランスフェラーゼを作用させる反応時の温度も、当該スルホトランスフェラーゼの活性が保持されている限りにおいて特に限定されないが、当該スルホトランスフェラーゼの至適温度付近であることが好ましい。また、当該スルホトランスフェラーゼの活性を増加させる物質がある場合は、その物質を添加しても良い。反応時間は用いるラクトサミンオリゴ糖、硫酸基供与体及び当該スルホトランスフェラーゼの量、並びにその他の反応条件に応じて当業者が適宜決定できる。スルホトランスフェラーゼとして例えばC6STを用いる場合、pH6.4付近で、温度は30〜40℃付近、特に37℃付近で反応させることが好ましい。また反応の際にプロタミン及び/又はMnCl2を共存させても良い。
【0037】
スルホトランスフェラーゼを作用させる反応に用いる硫酸基供与体としては、活性硫酸(3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸;以下、「PAPS」という)が好適に挙げられる。
【0038】
少量生産であれば、ラクトサミンオリゴ糖および硫酸基供与体の共存下に、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有するスルホトランスフェラーゼを存在させて該酵素を作用させれば良いが、大量生産する場合、適当な固相(ビーズ等)に当該スルホトランスフェラーゼを結合させた固定化酵素や、限外ろ過膜、透析膜等を用いる膜型のリアクター等を用いて連続的に酵素を作用させることもできる。また、硫酸基供与体を再生(合成)するバイオリアクターを組合わせて用いても良い。
【0039】
反応液から硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を回収するには、通常の糖鎖の分離、精製の手法を用いることができる。例えば吸着クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過法、ゲル浸透クロマトグラフィー、濾紙電気泳動法、濾紙クロマトグラフィー、有機溶媒(例えばアルコール、アセトン等が好ましい)による分画、あるいはこれらの組合わせ等の操作により行うことができるが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の方法で製造した硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を含む反応液に例えば0.2M程度となるようにNaClを添加し、陰イオン交換カラムにアプライして非吸着画分を除去し、吸着画分を例えば2.5M程度のNaClで溶出させることにより、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を回収することもできる。なおこの場合、NaClの濃度勾配により吸着画分(硫酸化ラクトサミンオリゴ糖)を溶出させてもよく、その条件等は当業者が適宜決定することができる。
【0040】
得られた硫酸化ラクトサミンオリゴ糖は、GlyCAM-1糖鎖基本骨格製造の中間体として利用され得る。その際、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖のガラクトース残基がシアリル化されていないもの(例えば前記式(11)、(12)、(15)〜(19))を用いる場合には、シアリルトランスフェラーゼを用いることにより、ガラクトース残基にシアル酸を付加することができる。また、N−アセチルグルコサミン残基がフコシル化されていない硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を用いる場合には、フコシルトランスフェラーゼを用いてフコースを付加すればよい。
【0041】
尚、GlyCAM-1及びその糖鎖基本骨格は、抗炎症剤として利用できることが期待されている。
【0042】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、この実施例は本発明の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0043】
はじめに、本実施例中で使用した試薬類の入手先、コンドロイチン 6−スルホトランスフェラーゼ(C6ST)の取得例、及び本実施例中で用いた手法を以下に示す。
【0044】
(1)試薬類の入手先
・H2 35SO4(デュポン/NEN)
・[3H]NaBH4(16.3GBq/mmol)(アマシャム)
・PAPS(シグマ)
・高速脱塩カラム(Fast Desalting Column)HR 10/10(ファルマシア)
・ハイロード・スーパーデックス(Hiload Superdex) 30 16/60(ファルマシア)
・コンドロイチナーゼACII(生化学工業(株))
・ストレプトコッカス由来ノイラミニダーゼ(生化学工業(株))
・ストレプトコッカス由来β−ガラクトシダーゼ(生化学工業(株))
・Partisil 10-SAXカラム(ワットマン)
・NeuAcα2-3Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc(SLex)(フナコシ)
・NeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAc(SLN)(フナコシ)
・Galβ1-4GlcNAc(LN)(フナコシ)
・ウシ角膜由来ケラタン硫酸(生化学工業(株))
・NeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)(SL2L4)(生化学工業(株))
・NeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAc(SL1L1)(生化学工業(株))
・Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAc(L1L1)(生化学工業(株))
・[35S]PAPS(Delfert,D.M. and Conrad,H.E.(1985) Anal. Biochem.148,303-310に従って得た。)
・Partisil 10-SAXカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の標準物質として用いる[3H]Gal(6S)β1-4AManRと[3H]Galβ1-4AManR(6S)(本明細書中では「標準硫酸化二糖」ともいう; AManRは 2,5-アンヒドロ-D-マンノースのアルジトールを意味する)は、ケラタン硫酸からN-脱アセチル化(N-deacetylation)、脱アミノ分解(deaminative cleavage)、NaB3H4還元により調製した[3H]Gal(6S)β1-4AManR(6S)を、部分的酸加水分解(0.1M HCl、100℃、40分間)することにより得た(Shaklee,P.N.and Conrad,H.E.(1986) Biochem.J.235,225-236参照)。また、[3H]Gal(6S)β1-4AManRと[3H]Galβ1-4AManR(6S)は、上記加水分解産物から濾紙クロマトグラフィー(展開溶媒:1-ブタノール/酢酸/1M NH3=3:2:1(v/v/v))及び濾紙電気泳動により精製した。
・Galβ1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)(L2L4)は、SL2L4をノイラミニダーゼ消化することによって調製した。ノイライミニダーゼ消化物はPartisil 10-SAXカラムにアプライし、25mMから500mMのKH2PO4の濃度勾配により溶出させた。カラムから溶出されたピーク画分は、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdex 30クロマトグラフィー)でさらに精製し、凍結乾燥した。
【0045】
(2)コンドロイチン 6−スルホトランスフェラーゼ(C6ST)の取得
コンドロイチン 6−スルホトランスフェラーゼは、ニワトリ軟骨細胞の無血清培地から公知の方法(Habuchi, O., Matsui, Y., Kotoya, Y., Aoyama, Y., Yasuda, Y., and Noda, M. (1993) J. Biol. Chem. 268, 21968-21974)で精製した。
【0046】
ニワトリ胚の軟骨細胞を、培養皿に5.6×104個細胞/皿となるように接種し、2g/LのD−グルコース、100ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むpH7.0に調整したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、7%CO2、93%空気、38℃の条件下で11日間培養した。培養開始から2、4、7、9、10日目に、pH7.4の新鮮な培地に交換した。
【0047】
10日目に、FBSを60℃で60分加熱して調製した熱不活化血清を10%含む培地を用いた。11日目には5.0×106個細胞/皿にまで生育した。それ以後は、50μg/mlのアスコルビン酸ナトリウムを添加したコスメディウム(Cosmedium)−001(コスモバイオ社から購入)を用い、毎日培地を交換しながら10日間培養を続けた。
【0048】
使用したコスメディウム−001培地を集め、10,000×gで10分遠心し、上清の組成が10mM Tris-HCl,pH7.2、0.1% Triton X-100、20mM MgCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、20%グリセロールとなるように調製した。
【0049】
上記培養上清を、0.15M NaClを含む緩衝液A(10mM Tris-HCl,pH7.2、0.1% Triton X-100、20mM MgCl2、2mM CaCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、20%グリセロール)で平衡化したヘパリン−セファロースCL−6Bカラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー社製、2.2×28cm)にアプライした。カラムを0.15M NaClを含む緩衝液Aで洗浄した後、0.45MのNaClを含む緩衝液Aで溶出し、分画した。
【0050】
スルホトランスフェラーゼ活性を有する分画を集め、0.15MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化したコムギ胚芽アグルチニン−アガロースカラム(生化学工業(株)製、1.2×15cm)にアプライした。カラムを0.15MのNaClを含む緩衝液A200mlで洗浄した後、0.15MのNaCl及び0.3MのN−アセチルグルコサミンを含む緩衝液A200mlで溶出した。溶出分画を集め、0.05MのNaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0051】
上記溶出分画を、0.05MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロースカラム(シグマ社製、1.2×11.8cm、1.9μmol 3',5'-ADP/mlゲル)にアプライした。カラムを0.05MのNaClを含む緩衝液A150mlで洗浄した後、0〜0.2mMの3',5'-ADPを含む0.05M NaClを含む緩衝液Aの直線グラジエント300mlで溶出した。スルホトランスフェラーゼ活性を有する分画を集め、1M NaClを含む緩衝液A、続いて0.05M NaClを含む緩衝液Aに対して透析した。
【0052】
上記精製工程において、スルホトランスフェラーゼ活性は次のようにして測定した。反応液組成は以下の通りとした。2.5μmolイミダゾール−塩酸,pH6.8,1.25μgのプロタミン塩酸、0.1μmolジチオスライトール、25nmol(グルクロン酸の量として)のコンドロイチン(生化学工業(株))、50pmol[35S]PAPS(アデノシン3’-リン酸,5’-ホスホ硫酸)、及び酵素を含む50μl。
【0053】
基質として種々のグリコサミノグリカンに対する活性は、コンドロイチンの代わりに、25nmol(コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸についてはガラクトサミンの量として、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸についてはグルコサミンの量として)のグリコサミノグリカンを用いて測定した。
【0054】
反応液を37℃で20分インキュベートした後、反応チューブを沸騰水に1分浸けることによって反応を停止させた。反応停止後、0.1μmol(グルクロン酸の量として)のコンドロイチン硫酸Aをキャリアとして加え、1.3%酢酸カリウムを含むエタノールを3体積加えて、35S-標識された多糖類を沈澱させた。混合液を10,000×gで10分遠心し、得られた沈澱を70μlの水に溶解させた。この溶液50μlを0.1M NH4HCO3で平衡化した脱塩カラムに注入し、35S-標識された多糖類を含む溶出分画を集めた。得られた分画の200μlにシンチレーションカクテル(クリアゾル(Clearsol)、ナカライテスク社製)1mlを加え、35S放射活性を測定することにより、多糖類への35Sの取り込みを測定した。
【0055】
残りの溶液から400μl取り、1.3%酢酸カリウムを含むエタノール800μlを加えて混合した。混合液を30分氷上に置いた後、10,000×gで10分遠心して35S-多糖類を沈澱させた。沈澱を0.1mg/mlのBSA、0.05Mトリス−酢酸,pH7.5、10ミリユニットのコンドロイチナーゼACII(アースロバクター・アウレッセンス(Arthrobacter aurescens)由来、生化学工業(株))を含む緩衝液25μlに溶解し、37℃で2時間反応させた。反応物を、0.1μmolづつの2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(β-D-グルコ-4-エンピラノシルロン酸)-6-O-スルホ-D-ガラクトース(ΔDi-6S)、及び2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(β-D-グルコ-4-エンピラノシルロン酸)-4-O-スルホ-D-ガラクトース(ΔDi-4S)(いずれも生化学工業(株)製)とともに、ワットマン(Whatman)No.1濾紙にスポットし、1-ブタノール/酢酸/1M 水酸化アンモニウム(2:3:1(V/V/V))で20時間展開した。
【0056】
ΔDi-6S及びΔDi-4Sの位置を紫外線ランプで調べ、それぞれの部位を濾紙から切り出し、1Lのトルエンにジフェニルオキサゾール5g、ジメチル1,4−ビス(2-(5-フェニルオキサゾール))ベンゼン0.25gを溶解させたシンチレーターに入れ、放射活性を測定した。コンドロイチナーゼACIIで消化した試料では、濾紙の原点に残った放射活性はスポットした放射活性の1%以下であった。ΔDi-6S及びΔDi-4Sへの35Sの取り込みから、それぞれコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ活性及びコンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ活性を算出した。1pmol硫酸基/分の転移を触媒する活性を1ユニットとした。その結果、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの比活性は4.3×105ユニット/mgであり、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ活性/コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ活性の比は0.02であった。
【0057】
上記のようにして精製されたC6STは、還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で単一バンドを形成し、分子量は約75,000と決定された。また、スーパロース12 HR 10/30ゲル濾過クロマトグラフィー(溶出液:10mM Tris-HCl,pH7.2、2M NaCl、20mM MgCl2、2mM CaCl2、0.1% Triton X-100、20%グリセロール)で測定したところ、約160,000であった。このことから、2M NaCl存在下ではダイマーを形成していることが示唆された。
【0058】
様々な基質に対してスルホトランスフェラーゼ活性を測定したところ、上記のようにして得られたC6STは、イカの皮由来のコンドロイチン、ニワトリ胚軟骨由来のコンドロイチン硫酸、クジラ軟骨由来のコンドロイチン硫酸A、サメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸C、ウシ角膜由来のケラタン硫酸には硫酸基を転移するが、イカの軟骨由来のコンドロイチン硫酸E、ブタの皮由来のデルマタン硫酸、ウシの腎臓由来のヘパラン硫酸には硫酸基をわずかにしか転移しないことが示された。なお、上記C6STは、ケラタン硫酸の場合、ガラクトース残基の6位に硫酸基を転移することが本発明者らにより確認されている。
【0059】
また、本C6STは、プロタミンおよびMnCl2により活性化された。
上記、測定系におけるC6STの至適反応pHはおよそ6.4であった。
【0060】
(3)本実施例中で用いた手法
(3-1)ノイラミニダーゼとβ−ガラクトシダーゼによる分解
ノイラミニダーゼ消化は、35SO4が転移されたオリゴ糖、2.5μmol 酢酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、0.25μmol CaCl2、10mU ノイラミニダーゼを含有する反応混合液(25μl)を用いて行った(Kiyohara,T. et al.(1974) Arch.Biochem.Biophs. 164, 575-582参照)。この反応混合液は37℃で60分間インキュベートした。
【0061】
β−ガラクトシダーゼ消化は、シアル酸が除去され、35S04が転移されたオリゴ糖、50nmol L1L1またはL2L4、2.5μmol 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)、10mUβ−ガラクトシダーゼを含有する反応混合液(50μl)を用いて行った(Kiyohara, T. et al.(1976) J.Biochem. 80, 9-17参照)。この反応混合液は37℃で60分間インキュベートした。
【0062】
(3-2)ゲルろ過クロマトグラフィー及び濾紙電気泳動
ゲルろ過クロマトグラフィーは、ハイロード・スーパーデックス 30 16/60(Hiload Superdex 30 16/60)カラムを用いて行った。カラムは、0.2M NH4HCO3で平衡化し、流速は 1ml/分で行った。1mlまたは0.5mlの分画を集め、4mlのクリアゾル(Clearsol;ナカライテスク)と混合し、放射活性を定量した。オリゴ糖は210nmの吸収でモニターした。
【0063】
濾紙電気泳動は、ピリジン/酢酸/水(1:10:400(v/v/v)、pH4)中でワットマン No.3濾紙(Whatman No.3 paper; 2.5cmx57cm)を用いて30V/cmで40分間または80分間行った。乾燥させた濾紙を1.25cmの小片に切り、トルエン1L中に5gのジフェニルオキサゾール、0.25gのジメチル 1,4-bis(2-(5-フェニルオキサゾール))ベンゼンを含有するシンチレーション溶液を用いて、液体シンチレーションカウンティングによって放射活性を分析した。
【0064】
(3-3)グルコサミンとシアル酸の定量
オリゴ糖中のグルコサミン含量は、グリコサミノグリカンを6M HCl中、100℃で4時間加水分解した後、Stromingerらによるエルソン−モーガン法(Elson-Morgan method)の一部改変方法(Strominger,J.L. et al.(1959) J.Biol.Chem., 234, 3263-3268)により定量した。
【0065】
シアル酸は、0.1M H2SO4中、80℃で60分間加水分解した後、チオバルビツール酸法(thiobarbituric acid method; Aminoff, D. (1961) Biochem.J.,81,384-392)により定量した。
【0066】
【実施例1】
スルホトランスフェラーゼを用いた、各種ラクトサミンオリゴ糖への硫酸基の転移反応
本明細書中で使用するラクトサミンオリゴ糖の構造と略語を表1に示した。
【0067】
スルホトランスフェラーゼを用いた、各種ラクトサミンオリゴ糖への硫酸基(硫酸化を確認するために、ここでは硫酸基として35SO4を用いる)の転移反応は、具体的には次の方法で行った。終体積50μl中に2.5μmolのイミダゾール−HCl(pH6.8)、0.25μmolのCaCl2、0.1μmolのジチオスレイトール、0.025μmolの各種ラクトサミンオリゴ糖、25pmolの[35S]PAPS(約2.5x105cpm)、0.09μgの精製コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼを含む溶液を標準反応混合液とした。反応混合液は37℃で60分間反応させ、反応チューブを沸騰水中に1分間浸すことによって反応を停止させた。反応停止後、35SO4が転移されたラクトサミンオリゴ糖(硫酸化ラクトサミンオリゴ糖)をゲルろ過クロマトグラフィーによって遊離の35SO4及び[35S]PAPSから分離し、1mlの画分を集め、放射活性を測定した。
【0068】
結果を図1に示す。ラクトサミンオリゴ糖としてLNを用いた結果をA、SLNを用いた結果をB、SLexを用いた結果をC、L1L1を用いた結果をD、SL1L1を用いた結果をE、L2L4を用いた結果をF、SL2L4を用いた結果をGにそれぞれ示す。なおA〜Cについて、○は精製コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼを100℃で2分間処理して熱不活化したもの(コントロール)を、●は精製コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼをそれぞれ用いた時の結果を示す。またD〜Gにおいて●は精製コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼを用いた時の値から、精製コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼを100℃で2分間処理して熱不活化したものを用いた時(コントロール)の値を差し引いた値を示す。
【0069】
硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の保持時間は、使用したラクトサミンオリゴ糖(硫酸化前のラクトサミンオリゴ糖(受容体))の保持時間(図1中の矢印で示してある)よりも2〜3分早かった。SLexを受容体として用いた場合、硫酸化されたSLexの保持時間は83〜84分と予想されるが、その保持時間付近には放射活性は検出されなかった。これらのラクトサミンオリゴ糖への硫酸基の取り込みを表1に示した。なお硫酸化されたLNのピークは、遊離の35SO4と[35S]PAPSのピークと一部重複する。LNから生成した産物の放射活性ピーク(図1A中の水平なバーで示した)を濾紙電気泳動にかけたところ、硫酸化されたLNは、35SO4と[35S]PAPSから分離された。よってLNへの硫酸基(35SO4)の取り込みは、濾紙電気泳動後に算出した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より、SLexには硫酸基の転移(取り込み)が検出されなかったが、LN、SLN、L1L1、SL1L1、L2L4、SL2L4には硫酸基の取り込みが見られた。非還元末端にシアル酸を有するオリゴ糖への取り込みは、シアル酸を含有しないオリゴ糖への取り込みに比べてやや多かった。これらのオリゴ糖の中では、硫酸基の取り込みはSL2L4で最も高く、このことからGal残基の還元末端側に隣接するGlcNAc(6S)残基の硫酸基((6S))が、Gal残基への硫酸基の取り込みを増加させることが示唆される。また、SLexには硫酸基の取り込みが見られなかったことから、Gal残基の還元末端側に隣接するGlcNAc残基に結合したFuc残基は、コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼによるGal残基への硫酸基の転移反応を抑制することが示唆された。
【0072】
【実施例2】
ラクトサミンオリゴ糖の硫酸化の位置の検討
硫酸化ラクトサミンオリゴ糖において、硫酸基が転移された位置を決定するために、硫酸化されたSLNをノイラミニダーゼ消化、N-脱アセチル化、脱アミノ化とNaBH4還元の順番で反応を行い、分解産物を標準硫酸化二糖と比較した。具体的には次の通り行った。
【0073】
硫酸基(35SO4)が転移されたSLN(硫酸化SLN)は、上記反応混合液中の[35S]PAPS濃度を4倍にし、インキュベーションを16時間行うこと以外は、実施例1に記載された転移反応に従って調製した。35SO4が転移されたSLNをゲルろ過カラム(Superdex 30カラム)にアプライした。カラムから溶出された硫酸化SLNは凍結乾燥し、濾紙紙電気泳動により精製し、前述した通りノイラミニダーゼで消化した。
【0074】
ノイラミニダーゼ消化したサンプルは、濾紙電気泳動による分離後、ヒドラジン分解した。ヒドラジン分解は、Guo,Y.and Conrad,H.E.(1989) Anal.Biochem.176,96-104 に記載された方法で行った。脱シアリル化されたサンプルを100μlのバイアル(Reacti-Vial:Pierce製)に移し、N2流中で乾燥し、最終的に0.2mgのヒドラジン硫酸を含む70%ヒドラジン100μlに溶解した。サンプルに蓋をして、95℃の砂浴中で6時間放置した。冷却したサンプルをN2流中で乾燥し、少量の水に溶解して、大部分のヒドラジンを除去するために凍結乾燥した。
【0075】
こうして得られた脱アセチル化された材料は、ゲルろ過クロマトグラフィー及び濾紙電気泳動によって精製し、亜硝酸によって脱アミノ化した。脱アミノ化は、Shaklee,P.N.and Conrad,H.E.(1986) Biochem. J. 235, 225-236 に記載された方法に基づいて、具体的には次の通り行った。脱アセチル化された材料を20μlのHNO2溶液(pH4)(250μlの5.5M NaNO2と100μlの1M H2SO4を混合することにより調製)に溶解した。サンプルを室温で30分間放置し、次いで氷中で冷却し、7μlの1M Na2CO3でpH8.5に調整し、0.2M Na2CO3(pH10.2)に溶解した0.5M NaBH4 10μlと混合した(NaBH4還元)。過剰なNaBH4は、5μlの3M 酢酸を添加することにより分解し、サンプルをN2流中で乾燥し、再度水に溶解し、再度乾燥した。最終的にサンプルを60μlの水に溶解し、ゲルろ過クロマトグラフィーと濾紙電気泳動により精製した。
【0076】
上記のそれぞれの段階で得られた反応産物を濾紙電気泳動して、放射活性を測定した結果を図2に示す。なお、図2においてAは35SO4が転移されたSLNを、Bは、Aのピーク画分をノイラミニダーゼ消化したものを、Cは、Bのピーク画分をヒドラジン分解(N-脱アセチル化)したものを、Dは、C中の遅く移動するピーク(図2C中の水平なバーで示した)画分を脱アミノ化後、NaBH4還元したものをそれぞれ示す。なお、A及びBについては40分間、C及びDについては80分間電気泳動を行った結果である。
【0077】
図2C中の速く移動するピーク(図2C中の水平なバーで示されていないピーク)は、不完全なN-脱アセチル化による未反応物質であると思われる。
脱アミノ化とNaBH4還元後に得られた物質のピーク(図2D中の水平なバーで示した)を標準硫酸化二糖と混合し、5mM KH2PO4で平衡化したWhatman Partisil 10-SAXカラム(4.5x25cm)を用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。カラムは5mM KH2PO4によって展開した。流速は1ml/分で、カラム温度は40℃で行った。0.5mlづつ分画し、4mlのクリアゾルと混合し、放射活性を定量した。この結果を図3に示す。図3中、○は3Hの放射活性を、●は35Sの放射活性をそれぞれ示す。また、ピーク1及び2はそれぞれ[3H]Gal(6S)β1-4AManR及び[3H]Galβ1-4AManR(6S)(標準硫酸化二糖)である(Shaklee,P.N.and Conrad,H.E.(1986) Biochem. J. 235, 225-236 )。
【0078】
図3より、主要な35S-放射活性は[3H]Gal(6S)β1-4AManRと共に溶出されるが、[3H]Galβ1-4AManR(6S)の位置には35Sの放射活性ピークは検出されないことが示された。このことから、コンドロイチン 6-スルホトランスフェラーゼによって、硫酸基はGal残基の6位に転移されるが、GlcNAc残基の6位には転移されないことが示された。
【0079】
【実施例3】
35SO4が転移されたSL1L1及び35SO4が転移されたSL2L4の、β-ガラクトシダーゼ消化に対する感受性
SL1L1及びSL2L4に転移された硫酸基の位置に関して情報を得るために、35SO4が転移されたSL1L1及び35SO4が転移されたSL2L4のβ-ガラクトシダーゼ消化に対する感受性を調べた。
【0080】
35SO4が転移されたSL1L1または35SO4が転移されたSL2L4を、末端のシアル酸を除去するためにノイラミニダーゼで消化し、脱シアリル化された物質を濾紙電気泳動で分離した。泳動後に、35SO4が転移されたSL1L1及び35SO4が転移されたSL2L4由来の脱シアリル化産物をそれぞれ濾紙から溶出させ、凍結乾燥し、それぞれ非放射性のL1L1及び非放射性のL2L4と混合し、β-ガラクトシダーゼで消化した。
【0081】
35SO4が転移された脱シアリル化産物と非放射性のオリゴ糖との混合物を、β-ガラクトシダーゼ消化の前もしくは後に、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。このゲルろ過カラムからの溶出物を、210nmの吸収および35Sの放射活性によってモニターした。35SO4が転移されたSL1L1の脱シアリル化産物と非放射性のL1L1との混合物の結果を図4に、35SO4が転移されたSL2L4の脱シアリル化産物と非放射性のL2L4との混合物の結果を図5に示す。なお図4及び図5において、A及びCはβ-ガラクトシダーゼ消化前の結果、B及びDはβ-ガラクトシダーゼ消化後の結果を示す。また図4及び図5において、C及びDは210nmの吸収を、A及びBは0.5ml分画の放射活性を示す。
【0082】
β-ガラクトシダーゼ消化前の結果において、35SO4が転移されたSL1L1及びSL2L4由来の脱シアリル化物は、硫酸化L1L1(図4A)及び硫酸化L2L4(図5A)の位置にそれぞれ溶出された。このことは、脱シアリル化が完全に進行したことを示している。
【0083】
35SO4が転移されたSL1L1の脱シアリル化物と非放射性のL1L1との混合物のβ-ガラクトシダーゼ消化後には、非放射性のL1L1に由来する210nmの吸収は、より遅い溶出位置に完全に移行した(図4D)。一方、約1/3の35Sの放射活性は、なお硫酸化L1L1の位置に溶出された(図4B)。これらの結果は、SL1L1に転移した約1/3の35SO4は非還元末端側のGal残基に位置していることを示唆している。
【0084】
35SO4が転移された硫酸化L1L1を調製し、β-ガラクトシダーゼ消化した結果、β-ガラクトシダーゼ耐性の35SO4が転移された物質の比率に有意な変化はなかった(本明細書中においてはデータは示さない)。これらの結果は、非還元末端のシアル酸は、転移された硫酸基の分布には影響しないことを示唆するものである。これに対し、35SO4が転移されたSL2L4由来の脱シアリル化物は、全般的にβ-ガラクトシダーゼに対して非感受性であり(図5B)、一方、非放射性のL2L4は完全に分解された(図5D)。この結果から、SL2L4に転移された全ての硫酸基は、非還元末端のGal残基に位置していることが示された。
【0085】
【発明の効果】
本発明により、ラクトサミンオリゴ糖から、硫酸化ラクトサミンオリゴ糖を製造することができる。本発明の方法により得られる硫酸化ラクトサミンオリゴ糖は、GlyCAM-1糖鎖基本骨格を得る中間体として利用できることが期待される。GlyCAM-1及びGlyCAM-1糖鎖基本骨格は、抗炎症剤として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各種ラクトサミンオリゴ糖から生成した35S標識されたオリゴ糖のSuperdex 30クロマトグラフィーの結果を示す図。
【図2】 SLNをノイラミニダーゼ消化、N-脱アセチル化、脱アミノ化とNaBH4還元を行った後の反応生成物の濾紙電気泳動の結果を示す図。
【図3】 SLNの脱アミノ化とNaBH4還元後に得られた物質のHPLCによる分離を示す図。
【図4】 硫酸化SL1L1の脱シアリル化物のβ−ガラクトシダーゼ消化前及び後のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図。
【図5】 硫酸化SL2L4の脱シアリル化物のβ−ガラクトシダーゼ消化前及び後のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図。
Claims (3)
- 下記一般式;
Gal-GlcNAc(6S)-R
SA-Gal-GlcNAc(6S)-R
で表されるオリゴ糖から選択されるフコシル化されていないラクトサミンオリゴ糖に、ラクトサミンオリゴ糖中のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する作用を有しかつ下記(1)〜(6)の理化学的性質;
(1)作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクトース残基の6位に転移する、
(2)基質特異性:コンドロイチン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、ケラタン硫酸には硫酸基を転移するが、コンドロイチン硫酸E、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸には硫酸基を実質的に転移しない、
(3)至適反応pH:6.4付近である、
(4)阻害及び活性化:プロタミン又は MnCl 2 により活性化される、
(5)分子量:還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により推定される分子量:約75キロダルトンである、及び、
(6)ニワトリ胚の軟骨細胞由来である
を有するスルホトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする、下記一般式;
Gal(6S)-GlcNAc(6S)-R
SA-Gal(6S)-GlcNAc(6S)-R
(上記各一般式において、 Gal はガラクトース残基を、 GlcNAc はN−アセチルグルコサミン残基を、 SA はシアル酸残基を、 (6S) は6位が硫酸化されていることを、 - はグリコシド結合を、 R は水素原子または1〜17糖の糖鎖をそれぞれ表す。)で表される硫酸化ラクトサミンオリゴ糖から選択されるフコシル化されていない硫酸化ラクトサミンオリゴ糖の製造方法。 - フコシル化されていないラクトサミンオリゴ糖が下記式;
Gal-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)
SA-Gal-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)
で表されるオリゴ糖から選択され、かつ、フコシル化されていない硫酸化ラクトサミンオリゴ糖が下記式;
Gal(6S)-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)
SA-Gal(6S)-GlcNAc(6S)-Gal(6S)-GlcNAc(6S)
(上記各一般式において、 Gal はガラクトース残基を、 GlcNAc はN−アセチルグルコサミン残基を、 SA はシアル酸残基を、 (6S) は6位が硫酸化されていることを、 - はグリコシド結合をそれぞれ表す。)で表される硫酸化ラクトサミンオリゴ糖から選択される、請求項1に記載の製造方法。 - シアル酸が、N−アセチルノイラミン酸である、請求項1または2に記載の製造方法。
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