JP2008278761A - 新規β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素 - Google Patents

新規β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素 Download PDF

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崇一 辻
Yoshie Takagi
淑江 高木
Yoko Okada
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Abstract

【課題】基質特異性の範囲が狭くなったβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素を提供すること
【解決手段】末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン構造をもつ糖鎖のみを
基質とし、ラクトース((Galβ1,4Glc))および末端にガラクトースβ1,3N−アセチ
ルグルコサミン構造をもつ糖鎖を基質とはしない基質特異性を有しており、該糖鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式でシアル酸を転移することを特徴とするβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素およびこれと機能的に等価なタンパク質である。該酵素をコードする遺伝子、これを含む組換えベクターなども提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は新規の糖鎖合成酵素および該酵素をコードするDNAに関するものである。詳し
くは、オリゴ糖などの糖鎖のうち、末端にGalβ1,4GlcNAc(Gal:ガラクトース、GlcNAc:N−アセチルグルコサミン)構造をもつ糖鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式で
シアル酸を効率良く転移する酵素および該酵素をコードするDNAに関するものである。
シアル酸は、たとえば細胞一細胞間伝達、細胞基質相互作用、細胞接着などの重要な生理作用を司る物質である。発生、分化の過程に特異的な、または臓器特異的なシアル酸含有糖鎖の存在が知られている。シアル酸は糖タンパク質および糖脂質の糖鎖部分の末端位置に存在しており、これらの部位へのシアル酸の導入は、酵素的にドナー基質であるCMP
−Siaからの転移によってなされる。このシアル酸の酵素的導入(シアル酸転移)を担う
酸素は、シアル酸転移酵素(Sialyltransferase)と呼ばれるグリコシルトランスフェラ
ーゼ類である。
哺乳類では現在までに20種類のシアル酸転移酵素の存在が知られているが、これらはシアル酸の転移様式から次の4つのファミリに大別される(非特許文献1)。すなわち、(i)
α2,3の結合様式でガラクトースにシアル酸を転移するβ−ガラクトシドα2,3−シア
ル酸転移酵素(ST3Gal−ファミリ)、(ii) α2,6の結合様式でガラクトースにシアル酸
を転移するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素(ST6Gal-ファミリ)、(iii) α2,6の結合様式でN−アセチルガラクトサミンにシアル酸を転移するGalNAcα2,6−シアル酸転移酵素(ST6GalNAc−ファミリ)、および(iv) α2,8の結合様式でシアル酸にシアル酸を転移するα2,8−シアル酸転移酵素(ST8Sia−ファミリ)である。本発明者らは、このうちST6GalNAc−ファミリに属すシアル酸転移酵素で、糖鎖合成における伸長の問題を解決した新規酵素を既に開示した(特許文献1)。さらに上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素については、現在までに2種類の酵素(ST6Gal-I, ST6Gal-II)についてcDNAクローニングを行ってその酵素学的諸性質も明らかにしている(非特許文献2、3)。
ST6Gal-Iは糖タンパク質、オリゴ糖またはガングリオシドなどの糖鎖部分にGalβ1,4GlcNAc構造(Gal:ガラクトース、GlcNAc:N−アセチルグルコサミン)を持つものに対して活性を示すが、Galβ1,4GlcNAc構造のほかにラクトース(Galβ1,4Glc)や場合によってはGalβ1,3GlcNAc構造でも基質にすることができる基質特異性の広い酵素である。基質特異性が広いデメリットとしては、例えばST6Gal-Iを利用した機能性オリゴ糖などの合成の際に、原材料に不純物が混入していると、それらも基質となって副産物が生じてしまう可能性が考えられる。したがってこの間題を解決するためには、基質特異性に関してより選択性の高い酵素が要求される。ST6Gal-IIはST6Gal-Iに比べ特異性が狭いが、Galβ1,3GlcNAc構造に活性があり、特異性の高い酵素が必要である。しかし、現在までにβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性をもち、基質特異性に関してより選択性の高い哺乳動物由来の酵素は知られていなかった。
特開平7-289254号公報 Tsuji,S.(1996)J.Biochem.120,1−13 Hamamoto,T.and Tsuji,S.(2001)ST6Gal-I in Handbook of Glycosyltransferases and Related Genes(Taniguchi,N.et al.Eds.)pp295−300, Takashima, S., Tsuji, S. and Tsujimoto, M., J. Biol. Chem. 277, 45719-45728 (2002))
哺乳動物で今までに知られているβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は2種類
(ST6Gal-I、ST6Gal-II)だけである。これは糖タンパク質、オリゴ糖またはガングリオ
シドなどの糖鎖部分にGalβ1,4GlcNAc構造をもつものに対して活性を示すが、Galβ1,4GlcNAc構造のほかにラクトース(Galβ1,4Glc)や場合によってはGalβ1,3GlcNAc構造
でも基質にすることができる基質特異性の広い酵素である。本発明は、この基質特異性が広いことに関係する上記問題点を解決し、オリゴ糖上のGalβ1,4GlcNAc構造に対してよ
り選択性の高い基質特異性を示す新規β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素および該酵素をコードするDNAを提供することを解決すべき課題とした。
β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の基質特異性をより狭くすることは、シアル酸残基を受容する基質(糖タンパク質)が結合する酵素部位(「基質結合部位」)における3次元的構造および化学的性質(極性)の適合要件がより厳格であると想定されるが、これを酵素タンパク質のアミノ酸残基の変更、すなわち置換、欠失、付加または修飾により実現するには、その酵素タンパク質分子またはその活性部位の立体構造が不明であることから、試行錯誤で探索するしかない。具体的には、変更すべきアミノ酸残基の種類、個数、配列上での位置などについて、個別に基質特異性の変化を測定し、その効果を評価しなければならない。本発明者は、かかる困難な作業に代わる方策を案出して上記の課題を解決すべく鋭意検討した。
先ず、マウスシアル酸転移酵素ST6Gal-Iのアミノ酸配列を用いて、基質結合部位の形成に参与していると推定されるシアリルモチーフS,L内の疎水性アミノ酸をより疎水性の強いものに置き換えた変異体をコードするDNA断片を作成した。該クローンによりコードされるタンパク質がβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性を有していることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。なお、シアリルモチーフS、Lに糖供与体CMP-Sia結合部位の存在が推定されることは報告されている(Datta,A.K. and Paulson, J.C., J. Biol. Chem. 270, 1497-1500(1995), Datta,A.K., Sinha, A. and Paulson, J.C. J. Biol. Chem. 273, 9608-9614(1998))。しかしながら本発明者らは、本研究を進める過程で同モチーフに基質結合部位の一部が存在していることを発見した(未発表データ)。本発明は、これに基づいて完成されたものである。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は、末端にガラクトースβ1,4N
−アセチルグルコサミン構造をもつ糖鎖のみを基質とし、該糖鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式でシアル酸を転移することを特徴としている。
本発明の酵素は、下記の何れかのアミノ酸配列;
(1)配列番号1のアミノ酸配列、または
(2)配列番号1のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、かつβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列
を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素でもある。
シアル酸転移酵素のシアリルモチーフL内部に含まれる保存配列Ala-Valを配列Val-Ileに置換することによって、末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン構造をも
つ糖鎖のみを基質とする、変更された基質特異性を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素である。
さらに、上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のアミノ酸配列をコードする
β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子が本発明に含まれる。
本発明の遺伝子は
下記の何れかの塩基配列;
(1)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列、または
(2)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列において、1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、β−ガ
ラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子である。
本発明の別の態様によれば上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子を含む組換えベクターが提供される。その組換えベクターは、好ましくは発現ベクターである。
上記組換えベクターにより形質転換された形質転換体も本発明に含まれる。
本発明によりその形質転換体を培養して得た培養物から、上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素を採取することを特徴とする該酵素の製造方法が提供される。
本発明には、
下記の何れかのアミノ酸配列;
(1)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列、または
(2)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列
を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性ドメインからなるタンパク質が含まれる。
さらに上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型のタンパク質であって、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質も本発明に含まれる。
さらに本発明の別の態様によれば上記タンパク質をコードする遺伝子が提供される。当該遺伝子を含む組換えベクター、好ましくは発現ベクターである組換えベクターも本発明に含まれる。さらにその組換えベクターにより形質転換された形質転換体も本発明に含まれ、その形質転換体を培養して得た培養物から上記タンパク質を採取することを特徴とする、本発明のタンパク質の製造方法が提供される。
また、β-ガラクトシドα2,6-シアル酸転移酵素の基質結合部位の形成に参与している
と推定されるシアリルモチーフS、L内の保存配列Ala-Valから、配列Val-Ileならびにこの配列と当該部位の構造を変えない残基の大きさと同じ極性のアミノ酸配列に置換することにより、酵素活性を保持しつつ基質特異性を狭くする方法も本発明の方法である。
本発明により新規酵素としてのβ-ガラクトシドα2,6-シアル酸転移酵素、および活性
部位を有し細胞外に分泌される新規タンパク質、これらのタンパク質をコードする(組換え)遺伝子が提供される。本発明の酵素タンパク質は、基質特異性が極めて厳格なβ-ガ
ラクトシドα2,6-シアル酸転移活性を有するため、Galβ1,4GlcNAc構造をもつオリゴ糖などのガラクトース上にα2,6の結合様式でシアル酸をより選択的に導入することが可能と
なる。
本発明のβ-ガラクトシドα2,6-シアル酸転移酵素ST6Gal-I-L2は、本酵素が合成する特異的な糖鎖を遺伝性疾患の治療薬として、また、癌転移抑制、ウイルス感染防止、炎症反応抑制、神経細胞賦活効果を有する薬剤として、あるいは糖鎖にシアル酸を付加することにより生理作用を増加させたり、糖鎖分解酵素の分解活性を阻害する研究用試薬などとして有用である。
以下、本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。本明細書で「遺伝子」または「組換え遺伝子」とは、オープンリーディングフレームを含み、かつ、少なくとも1つのエクソンと(必要に応じて)イントロン配列を含む核酸分子を指す。遺伝子は化学的実体としてRNAまたはDNAのいずれかであり得る。遺伝子はコード領域の前およびその後の領域を含み得る。
「糖鎖」とは、少なくとも2個以上の糖がグリコシド結合で鎖状に連結された分子で、
特にタンパク質、脂質などに結合している構造をいう。さらに「基質」は、特異的な酵素の触媒作用を受けて変化する物質であるが、本明細書では主にシアル酸残基を受容する糖タンパク質(またはその糖鎖構造)を指す。
本発明の酵素、タンパク質、遺伝子は、精製または単離された酵素、タンパク質、遺伝子を言うが、「精製、単離」は絶対的な純度を要求するものではなく相対的な意味であるとする。
(1)本発明の酵素およびタンパク質
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は、以下の作用および基質特異性を有することを特徴とする。
(a)作用;
末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン(Galβ1,4GlcNAc)構造をもつ糖
鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式でシアル酸を転移する。
(b)基質特異性;
末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン構造をもつ糖鎖のみを基質とし、
ラクトース((Galβ1,4Glc))および末端にガラクトースβ1,3N−アセチルグルコサ
ミン(Galβ1,3GlcNAc)構造をもつ糖鎖を基質としない。
上記の作用および基質特異性は、本明細書に記載の実施例で取得されたヒト大腸由来のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素について実証された性質である。本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は、上記のように基質特異性が厳密化され、天然型酵素の場合に比べて著しく狭くなっている。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の由来はヒト由来のものに限定されるものではなく、同型のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素が他の噛乳類の組織に存在し、かつ、それらのβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素が互いに高度の相同性を有していることは当業者に容易に理解される。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素と機能的に等価である、すなわち上記の作用および基質特異性を有することを特徴とする酵素のタンパク質、ポリペプチドは、すべて本発明の範囲に属するものである。「機能的に等価」であるポリペプチドは、アミノ酸配列において単一または複数のアミノ酸の欠失、置換および/または付加(挿入)により修飾されたアミノ酸配列を有するか、あるいは、そのアミノ酸配列において、例えばリン酸化もしくは脱リン酸化、グルコシル化もしくは脱グルコシル化などにより化学的にアミノ酸残基の側鎖が修飾された配列であるが、それにも拘らず、上記β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素と実質的に同等の作用(活性を含む)および基質特異性が維持されていることに対応している。このような酵素としては、哺乳類組織由来の天然型酵素やその機能的に等価な変異体(天然の生物学的変異として発生することがあり、あるいは公知技術を利用して製造することもできる。例えば、特定部位の突然変異誘発、不特定部位の突然変異誘発、またはアミノ酸の酵素的開裂および/または連結反応などの公知技術を用いて製造することができる。)、またはβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒し、遺伝子組換え技術により製造された細胞外分泌型タンパク質などを挙げることができるが、これらはいずれも本発明の範囲に包含されるものである。
したがって、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の一例としては、下記の何れかのアミノ酸配列を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素が挙げられる。
(1)配列番号1のアミノ酸配列;または
(2)配列番号1のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列:
上記の酵素は、実施例において詳細に記載するようにマウスのシアル酸転移酵素のシアリルモチーフL内部に含まれる保存配列Ala-Valを配列Val-Ileに置換することによって、末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン構造をもつ糖鎖のみを基質とする、
変更された基質特異性を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素である。このように本発明者らは、天然酵素のアミノ酸配列で、保存配列Ala-Valを配列Val-Ileに置換するという2個のアミノ酸の置換によって、基質特異性をより厳密にすることに初めて成功した(図2)。酵素タンパク質におけるアミノ酸残基の置換は酵素の安定化を企図して行われるが、結果としてその基質特異性が厳格になったことは、本発明者にとり予想外の発見であった。
このことからシアリルモチーフS、L内のアミノ酸配列において基質結合や基質特異性に関わる部位が存在することが見出されたので、かかる知見に基づいて基質結合部位の形成に参与していると推定されるシアリルモチーフS、L内のアミノ酸残基を酵素の構造を大きく変えないような「大きさ」と「同じ極性」を持ったアミノ酸との置換により、依然としてβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性を有するタンパク質について、基質特異性の広狭を検討すればよい。
具体的には実施例に示す手法により、アミノ酸を置き換えた変異体をコードするDNA断片を作製し、発現クローニング法を行なう。また変異部位を含む特異的なプライマーを合成し、これを用いたPCRを利用してクローニングを行い、該クローンによりコードされるタンパク質のうち、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性を有しているものを同定する。このような手法が試行錯誤の労力を著しく軽減し、しかも極めて有望であることは、上記の発見と成功例に依拠する戦略の有効性を評価すれば、当業者には理解されることである。
さらに、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメイン、あるいはそのアミノ酸配列の一部を改変または修飾して得られるβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性を有するタンパク質はすべて本発明の範囲に包含されることを理解すべきである。このような活性ドメインの好ましい例としては、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403により特定されるβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインを挙げることができる。また、配列番号1のアミノ酸配列の27〜108前後までの
配列は「ステム」と呼ばれる領域なので活性には必ずしも必須ではないと考えられる。したがって、配列番号1のアミノ酸配列の109〜403の領域をβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の「活性ドメイン」として使用してもよい。
すなわち本発明によれば、下記の何れかのアミノ酸配列を有するβ−ガラクトシドα2
,6−シアル酸転移酵素活性ドメインからなるタンパク質が提供される。
(1)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列;または
(2)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列:
本明細書で言う「1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミ
ノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ま
しくは1から3個程度を意味する。
配列番号1に示されるアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、置換および/または付加といった変異を導入するには、例えば部位特異的突然変異/PCR法などの周知の技術(S. N. Hoら,Gene 77,51(1989);西郷薫と佐野弓子共訳,Current protocolsコンパクト版,分子生物学実験プロトコールI,1997年6月,丸善)を用いることによって可能である。置換の例としては、疎水性アミノ酸(Ala、Val、Leu、Ile)間の置換、SerおよびThr間の置換、AspおよびGlu間の置換、AsnおよびGln間の置換、LysおよびArg間の置換、PheおよびTyr間の置換が挙げられる。付加の例としては、細菌性宿主での発現産物で認められる成熟タンパク質のN末端へのMetの付加、成熟型タンパク質に誘導し易くするためのN末端へのHisタグやMet−LysもしくはMet−Arg配列の付加などが挙げられる。また、酵素活性の喪失に導かない範囲で、タンパク質のカルボキシル末端又はアミノ末端側の幾つかのアミノ酸残基をトランケートすることも可能である。
本発明の酵素またはタンパク質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組換えタンパク質でもよい。
組換えタンパク質を作製する場合には、まず当該タンパク質をコードするDNAを入手す
ることが必要である。本明細書の配列番号1のアミノ酸配列、および配列番号2の塩基配列の情報を利用することにより適当なプライマーを設計し、それらを用いて適当なcDNAライブラリーを鋳型にしてPCRを行うことにより、本発明の酵素をコードするDNAを取得することができる。
例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵
素をコードするcDNAを単離する方法は以下の実施例に詳細に説明されている。もっとも、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素をコードするcDNAの単離方法はこれらの方法に限定されることはなく、当業者は下記の実施例に記載された方法を参照しつつ、この方法を適宜修飾ないし変更することにより、容易に目的のcDNAを単離することができる。
また、本発明の酵素をコードするDNAの一部の断片を上記したPCRにより得た場合には、作製したDNA断片を順番に遺伝子組換え技術により連結することによって、所望の酵素を
コードする組換え遺伝子DNAを得ることができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明の酵素を産生することができる。選択された発現系での発現については本明細書において後記する。
さらに、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型のタンパク質であって、β−ガ
ラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質も本発明に含まれる。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は、発現後に細胞内に留まり、細胞外に分泌されない場合がある。また、細胞内濃度が一定以上になると、酵素の発現量が低下するという可能性がある。上記のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移活性を有効に利用するために、本酵素の活性を維持し、かつ発現時に細胞から分泌される可溶性形態のタンパク質を製造することができる。このようなタンパク質としては、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性に関与するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型のタンパク質であって、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒するタンパク質を挙げることができる。例えば、マウス免疫グロブリンIgMのシグナルペプチドや、プロテインAとの融合タンパク質は本発明の分泌型タンパク質の好ましい態様である。
これまでにクローニングされたシアル酸転移酵素は、他のグリコシルトランスフェラーゼと同様のドメイン構造を有している。すなわち、NH2末端の短い細胞質中の尾部、疎水
性のシグナルアンカードメイン、タンパク質分解感受性を有するステム(stem)領域、およびCOOH-末端の大きな活性ドメインを有する(Paulson,J.C.and Colley,K.J.,J
.Biol.Chem.,264,17615−17618,1989)。本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シア
ル酸転移酵素の膜貫通ドメインの位置を調べるためには、カイトおよびドゥーリトル(Kyte,J.and Doolittle,R.F.,J.Mol.Bio1.,157,105−132,1982)の方法に従って作成した疎水性分布図を利用することができる。また、活性ドメイン部分の推定には、各種のフラグメントを導入した組換えプラスミドを作成して利用することができる。このような方法の一例は、例えばPCT/JP94/02182号の明細書に詳細に記載されているが、膜貫通ドメインの位置の確認や活性ドメイン部分の推定方法は、この方法に限定されることはない。
β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型タンパク質の製造のためには、例えばシグナルペプチドとして免疫グロブリンシグナルペプチド配列を用い、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインに対応する配列を該シグナルペプチドにインフレーム融合させればよい。このような方法としては、例えば、ジョプリンの方法(Jdbling,S.A.and Gehrke,L.,Nature(Lond.),325,622−625,1987)を利用することができる。
また、本明細書の実施例に詳細に説明されているように、マウス免疫グロブリンIgMのシグナルペプチドやプロテインAとの融合タンパク質を製造してもよい。もっとも、シグナ
ルペプチドの種類やシグナルペプチドと活性ドメインの結合方法、または可溶化の方法は上記方法に限定されることはなく、当業者は、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分を適宜選択することができるし、それらを利用可能な任意のシグナルペプチドと適宜の方法により結合することにより細胞外分泌型のタンパク質を製造することができる。
(2)本発明の遺伝子
本発明によれば、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子が提供される。本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子の具体例としては、下記の何れかの塩基配列を有する遺伝子が挙げられる。
(a)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列;または
(b)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、β−ガラ
クトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質をコードする塩基配列:
本明細書で言う「1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列
」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から60個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、さらに好ましくは1から10個、さらに好ましく
は1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子の塩基配列と「相同」である配列を有する核酸(DNA,RNAなど)も本発明の範囲に含まれる。すなわち、「相同」である配列とは、本発明の遺伝子塩基配列と少なくとも70%以上、より好ましくは80%以上、例えば85%、特に好ましくは90%以上、例えば95%、97%の配列同一性を有する配列をいう。「相同性」および「同一性」は同じ意味で用いられることも多い。「実質的に相同な」とは、少なくとも60%以上、好ましくは70%、より好ましくは80%の相同性を有するか、相同性または同一性がより少ないパーセンテージであっても酵素の活性または機能が保存されていることを意味する。
機能的に等価な対立遺伝子変異体の配列、および単一または複数の塩基の欠失、置換および/または付加により修飾された関連配列も本発明の範囲内に包含される。「機能的に等価」とは、本酵素と同様の作用を示すポリペプチドに対応することを意味する。
図面1-1〜1-3に示される配列番号2または上記の定義のように相同な配列あるいは
機能的に等価な配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる核酸分子もまた、本発明の範囲内に含まれるものとする。ストリンジェントな条件については、J. Sambrookら,Molecular Cloning:A laboratory Manua1,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989、特に11.45節“Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes”に記載されており、ここに記載の条件を使用し得る。
さらに、本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインから成るタンパク質、並びに該活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型のタンパク質であって、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も本発明の範囲に属する。
本発明の遺伝子の取得方法は上述した通りである。また、所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤または放射線への露出などの公知の
技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。このよう
な公知の技術は、例えば、Molecular Cloning:A laboratory Manua1,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989、ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology,Supplement l〜38,John Wiley&Sons(1987−1997)に記載されている。
(3)本発明の組換えベクタ一
本発明の遺伝子は適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミドなど)でもよく、あるいは宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体とともに複製されるものであってもよい。
好ましくは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。発現ベクターにおいて本発明の遺伝子は、転写に必要な要素(例えば、プロモータなど)が機能的に連結されている。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて
適宜選択することができる。
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(Bacillus stearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子(Bacilluslichenifornis alpha−amylase gene)、バチルス・アミロリケフアチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciensBANamylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus subtilis alkalineproteasegene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子(Bacilluspumilusxylosidase gene)のプロモータ、またはファージ・ラムダのPR若しくはPLプロモータ、大腸菌のlac、trp若しくはtacプロモータなどが挙げられる。
噛乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロ
チオネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主後期プロモータなどがある。
昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、ポリへドリンプロモータ、PlOプロモー
タ、オートグラフア・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモータなどがある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドログナーゼ遺伝子プロモータ、TPIlプロモータ、ADH2−4Cプロモータなどが挙げられる。
糸状菌細胞で作動可能なプロモータの例としては、ADH3プロモータまたはtpiAプロモータなどがある。
また、本発明のDNAは必要に応じて、例えばヒト成長ホルモンターミネータまたは真菌
宿主についてはTPHターミネータ若しくはADH3ターミネータのような適切なターミネータ
に機能的に結合されてもよい。本発明の組換えベクターは更に、ポリアデニレーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5Elb領域由来のもの)、転写エンハンサ配列(例えばSV40エンハンサ)および翻訳エンハンサ配列(例えばアデノウイルスVA RNAをコードするもの)のような要素を有していてもよい。
本発明の組換えベクターはさらに、該ベクターが宿主細胞内で複製することを可能にするDNA配列を具備してもよく、その一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が噛乳類細胞の
とき)が挙げられる。
本発明の組換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾサッカロマイセス・ボンベTPI遺伝子などのようなその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシンもしくはハイグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。
本発明のDNA、プロモータ、および所望によりターミネータおよび/または分泌シグナ
ル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
(4)本発明の形質転換細胞およびそれを用いたタンパク質の構造
本発明のDNAまたは組換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作
製することができる。
本発明のDNAまたは組換えベクターを導入される宿主細胞は、本発明のDNA構築物を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞などが挙げられる。
細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセスなどのグラム陽性菌または
大腸菌などのグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞などが挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現
させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法などを用いることができる。
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevislae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)などが挙げられる。酵母宿主への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法などを挙げることができる。
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポ
ラ(Neurospora)、フザリウム(Fusarium)、またはトリコデルマ(Trichoderma)に属
する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込
んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染
色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、タンパク質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors,A Laboratory Manual;およびカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology,6,47(1988)などに記載)。
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラフア・カリフオルニカ・ヌクレア一・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclearpOlyhedrosis virus)などを用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュ一・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H.Freeman and Company)、ニューヨーク(NewYork)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)などを用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法またはリボフェクション法などを挙げることができる。
上記の形質転換体は、導入されたDNA構築物の発現を可能にする条件下で適切な栄養培
地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明の酵素を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、本発明の酵素が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機などにより細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、すなわち溶媒抽出法、硫安などによる塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジェチルアミノエチル(DEAE)セファロースなどのレジンを用いた陰イオ
ン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(R)(ファルマシア社製)などのレジン
を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファローズなどのレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子節を用いたゲルろ過法、アフイニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動などの電気泳動法などの手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
なお、本明細書において上記の配列番号1〜6の配列は、添付の図面1-1〜1-3および図面2に表示されている。また配列番号7〜10の塩基配列は下記のとおりである。
配列番号7:変異プライマーの配列(センス), 38 mer
5'-GATAATCATGATGTGATCCTGAGGTTTAATGGGGCACC-3'
配列番号8:変異プライマーの配列(アンチセンス), 38 mer
5'-GGTGCCCCATTAAACCTCAGGATCACATCATGATTATC-3'
配列番号9:膜貫通ドメイン直下流の配列とEcoR Iプライマーの配列, 31 mer
5'- GTGTGGGAATTCGGGAGCGACTATGAGGCTC -3'
配列番号10:ストップコドンを含む下流部位とXho Iプライマーの配列, 40 mer
5'- GGATGCTCGAGCCTGGCTCAACAGCGATTGTTCCGGAAGC -3'
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例中で用いる装置名、および使用材料の濃度、使用量、処理時間、処理温度などの数値的条件、処理方法などはこの発明の範囲内の好適例にすぎない。
・材料および試料
本発明の実施例に用いた試薬、試料類およびそれらの入手先は以下の通りである。Lacto-N-neotetraose, Lacto-N-tetraose, Lactose, Galβ1,3GlcNAcは、SIGMA-ALDRICH, Inc.から、またGalβ1,4GlcNAc, Galβ1,3GalNAcは、Toronto Research Chemicals, Inc.か
ら購入した。CMP-[3H]-NeuAc (32.7 Ci/mmol) は、PerkinElmer Life Science, Inc.から購入した。
配列番号3〜6に示された、シアル酸転移酵素ST6Gal-IのシアリルモチーフL内部のアミ
ノ酸配列のうち、マウス、ラット、ヒト、ニワトリでよく保存されたアミノ酸Ala-Val(
アミノ酸番号204-205)を、より疎水性の側鎖をもつアミノ酸Val-Ileに置換するため、マウスの配列をもとに以下に示す方法により変異を導入し(図2)、作成したアミノ酸置換体タンパク質をST6Gal-I-L2 (L2)と命名した。
ST6Gal-IシアリルモチーフL内部の目的位置に変異を導入するため、変異部位を含む前
後38merのセンスプライマー、アンチセンスプライマーを合成した(配列番号7, 8)。こ
れらプライマー各0.25μM、鋳型としてST6Gal-I全長を含んだプラスミド5 ng、0.25 mM dNTP mix、Pyrobest DNA polymerase (Takara)を用いてPCR反応(95℃1 分、58℃ 30 秒、
68℃8分を20 サイクル)を行った。反応産物に制限酵素Dpn I(BioLabs, Inc.)を加え37℃で1時間加温することにより、メチル化された鋳型DNAを分解した後、大腸菌へのト
ランスフォーメーションに用いた。得られたST6Gal-I-L2を含むプラスミドをDNAシークエンサー(ABI PRISM 310 Genetic analyzer, Applied Biosystems)で確認後、分泌型タンパク質の製造を行うため、ST6Gal-I膜貫通ドメイン直下流にEcoR Iサイトを、またストップコドン下流にXho Iサイトを導入したプライマー(配列番号9, 10)を用いてST6Gal-I-L2
ステム領域と活性ドメインをコードするEcoR I、Xho I断片を調製した。これを哺乳動物
発現ベクターpCDSAのEcoR I、Xho Iサイトに挿入し、再びDNAシークエンサーで確認した
。この発現ベクターをpCDSA- ST6Gal-I-L2と命名した。これは、マウス免疫グロブリンIgMのシグナルペプチドとStaphylococcus aureus proteinA、およびST6Gal-I-L2のアミノ酸番号29〜403の領域からなる分泌型融合タンパク質をコードする。このpCDSA-ST6Gal-I-L2とFugene 6 (Invitrogen) を用いてCOS-7細胞でその一過性発現を行った。(Kojima, N. et al. (1995) FEBS Lett. 360, 1-4)。ここでpCDSA-ST6Gal-1-L2を導入した細胞から細胞外に分泌された本発明のタンパク質をPA-ST6Gal-I-L2と命名した。PA-ST6Gal-I-L2はIgG-Sepharose (Amersham Pharmacia Biotech)に吸着させて培地より回収した。
シアル酸転移酵素の活性測定は、高島らの方法に準じて以下のように行った(Takashima, S. et al. (2003) J.Biochem 134, 287-296)。50 mM MES buffer (pH6.0)、 1 mM MgCl2、 1 mM CaCl2、 0.5% Triton CF-76、 100 μM CMP-[3H]-NeuAc、 基質オリゴ糖10 μg、およびPA-ST6Gal-I-L2を吸着したIgG-Sepharose懸濁液を含む反応液を37℃で3〜20時間、加温した後、60HPTLCプレート(Merck)にスポットし、エタノール:ピリジン:n-ブタノール:酢酸:水=100 : 10 : 10 : 3 : 30の展開溶媒で展開した。これらの放射活性をAR-2000 (BIOSCAN) で可視化し定量した。表1にPA-ST6Gal-I-L2 (L2)の基質特異性を調べた結果を示す。
Figure 2008278761
PA-ST6Gal-I-L2はオリゴ糖に対しては、非還元末端にGalβ1,4GlcNAc構造をもつものに対してのみ活性を示した。これは、ST6Gal-Iが、Galβ1,4GlcNAc以外の構造(Galβ1,4GlcやGalβ1,3GlcNAc、Galβ1,3GalNAc)に対しても活性をもつのに対し、L2は、より選択性が強いことを意味する。これらの結果は、シアリルモチーフ内の2アミノ酸をより疎水性のアミノ酸に置換する事で得られた結果であり、基質結合や特異性に関わる部位として新たな知見となりうる。
本発明はオリゴ糖などの糖鎖のうち、末端にGalβ1,4GlcNAc(Gal:ガラクトース、GlcNAc:N−アセチルグルコサミン)構造をもつ糖鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式でシアル酸を効率良く転移する新規酵素および該酵素をコードするDNAに関するものである。
糖鎖の化学合成が複雑な保護と脱保護の過程を必要とし、反応の選択性も低い。これに対して、酵素的手法による場合、糖鎖の大量合成を現実的なものとする。本発明の酵素は、基質特異性が狭いために糖鎖末端に特異的にシアル酸を付加することができ、より選択的な糖鎖の合成を可能とする。さらに所望するように糖鎖構造を操作することも容易であり、組換え糖タンパク質の様々な性質(薬物動態、物理化学的性質、抗原性など)を改良することが可能である。
本発明のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素は、癌転移抑制、ウイルス感染防止、炎症反応抑制、神経細胞賦活効果を有する薬剤として、あるいは糖鎖にシアル酸を付
加することにより生理作用を増加させるための試薬、末端にGalβ1,4GlcNAc構造を持つ
糖鎖の検索、その他、酵素阻害剤などとして有用である。
図1-1は、配列番号1のアミノ酸配列(1〜72番)および配列番号2の塩基配列(1〜216番)を示す。 図1-2は、配列番号1のアミノ酸配列(73〜270番)および配列番号2の塩基配列217〜810番)を示す。 図1-3は、配列番号1のアミノ酸配列(271〜403番)および配列番号(811〜1212番)の塩基配列を示す。 図2は、配列番号3〜6のアミノ酸配列を示すとともに、マウス(Mus)、ラット(Rat)、ヒト(Human)、ニワトリ(Chick)でのシアリルモチーフLの配列(Mus;配列番号3、Rat;配列番号4、Human;配列番号5、Chick;配列番号6)の比較を表わす。本酵素の変異に用いた部位を下線で示す(MusのAla-Val; アミノ酸番号204-205に相当)

Claims (15)

  1. 末端にガラクトースβ1,4N−アセチルグルコサミン構造をもつ糖鎖のみを基質とし、
    該糖鎖のガラクトース部分にα2,6の結合様式でシアル酸を転移することを特徴とするβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素。
  2. 下記の何れかのアミノ酸配列;
    (1)配列番号1のアミノ酸配列、または
    (2)配列番号1のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、かつβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列
    を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素。
  3. 請求項2のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素のアミノ酸配列をコードするβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子。
  4. 下記の何れかの塩基配列;
    (1)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列、または
    (2)配列番号2の塩基配列中の塩基番号1番目から1209番目で特定される塩基配列において、1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、β−ガ
    ラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
    を有する、請求項3に記載のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子。
  5. 請求項3または4に記載のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素遺伝子を含む組換えベクター。
  6. 発現ベクターである、請求項5に記載の組換えベクター。
  7. 請求項5または6に記載の組換えベクターにより形質転換された形質転換体。
  8. 請求項7に記載の形質転換体を培養して得た培養物から、請求項1または2に記載のβ
    −ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素を採取することを特徴とする該酵素の製造方法。
  9. 下記の何れかのアミノ酸配列;
    (1)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列、または
    (2)配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜403から成るアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するアミノ酸配列
    を有するβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素活性ドメインを含むタンパク質。
  10. 請求項1または2に記載のβ−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移酵素の活性ドメインであるポリペプチド部分とシグナルペプチドとを含む細胞外分泌型のタンパク質であって、β−ガラクトシドα2,6−シアル酸転移を触媒する活性を有するタンパク質。
  11. 請求項9または10に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  12. 請求項11に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  13. 発現ベクターである、請求項12に記載の組換えベクター
  14. 請求項12または13に記載の組換えベクターにより形質転換された形質転換体。
  15. 請求項14に記載の形質転換体を培養して得た培養物から請求項9または10に記載のタン
    パク質を採取することを特徴とする、請求項9または10に記載のタンパク質の製造方法。
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