JPH1033168A - ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びそれをコードするdna - Google Patents
ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド及びそれをコードするdnaInfo
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Abstract
ンスフェラーゼのポリペプチド及びそれをコードするD
NAを提供する。 【解決手段】 ニワトリ由来のグリコサミノグリカンス
ルホトランスフェラーゼのcDNA断片をプローブとす
るハイブリダイゼーションによりヒト由来cDNAライ
ブラリーからグリコサミノグリカンスルホトランスフェ
ラーゼの完全長cDNAを得る。また、該DNAを保持
する細胞を用いてポリペプチドを得る。
Description
サミノグリカンスルホトランスフェラーゼ(グリコサミ
ノグリカン硫酸基転移酵素)のポリペプチド、及びそれ
をコードするDNAに関するものである。
ムコ多糖(グリコサミノグリカン)である。コンドロイ
チン硫酸プロテオグリカン(CSPG)は軟骨に豊富に
存在し、軟骨細胞(chondrocyte)の表現型の発現および
維持に寄与していると考えられている(Tsukahara, T.,
Okamura, M., Suzuki, S., Iwata, H., Miura, T., and
Kimata, K. (1991) J. Cell Sci. 100, 387-395)。CS
PGは、また軟骨以外のさまざまな組織中に存在してお
り、細胞間相互作用に重要な役割を果たしていると考え
られる(Kjellen, L., and Lindahl, U. (1991) Annu. R
ev. Biochem. 60, 443-475)。
ドロイチン硫酸は、アセチルガラクトサミン残基の6位
または4位に硫酸基を有している。6−硫酸化/4−硫
酸化の割合については、次のような知見が得られてい
る。軟骨の最終分化に伴い、コンドロイチン6−硫酸
/コンドロイチン4−硫酸の比(6/4比)が増加す
る。ラットの皮膚においては、出生後の日齢とともに
CSPGで6/4比が減少する。アテローム性動脈硬
化症に抵抗性と感受性のハトの品種から得られた各々の
動脈平滑筋細胞を比較した結果、CSPG、デルマタン
硫酸プロテオグリカン(DSPG)いずれにおいても抵
抗性品種ではコンドロイチン4−硫酸が主成分である
が、感受性品種ではコンドロイチン6−硫酸が主であ
る。単球性白血病細胞(M1)において、培養条件を細胞
増殖、高密度での増殖阻害、マクロファージへの分化誘
導が起きる条件へと変化させてみると、増殖、増殖阻
害、分化誘導と変化するにつれてCSPGにおける6/
4比が減少し、分化誘導状態ではほとんどコンドロイチ
ン4−硫酸が合成される。ヒト正常結腸組織とヒト結
腸癌組織を比較した結果、癌組織のPGでは正常組織に
比べてコンドロイチン6−硫酸とコンドロイチンが増加
する。マウス骨芽細胞において、石灰化が起きる前後
で比較した結果、石灰化後は石灰化前に比べてDSPG
の6/4比が減少する。サル動脈平滑筋細胞の培養培
地に血小板由来増殖因子(PDGF)を添加すると、バ
ーシカン様CSPGにおける6/4比がPDGF無添加
の対照よりも増加する(グリコバイオロジーシリーズ
糖鎖の多様な世界 講談社 第164、166頁)。
の繰り返し2糖単位あたり2つの硫酸基の存在も報告さ
れている。例えば、GlcAβ1→3GalNAc(4,6-bisS)は、継
代培養したニワトリ胚軟骨細胞、マウス脾臓細胞を培養
して得たコンディションドメディウム添加培地で培養す
ることにより骨髄細胞から分化したマウス肥満細胞、ラ
ット糸球体、器官培養したヒト結腸粘膜の培養液、ラッ
ト漿膜肥満細胞、ヒト肺肥満細胞の分泌顆粒、ホルボー
ルミリステートアセテートで活性化されたヒト単球およ
び単球由来のマクロファージ、マウス骨芽細胞、ラット
糸球体脈管膜細胞、ナマコ体壁から見つかっている。ま
た非還元末端GalNAc(4,6-bisS)が、ニワトリ胚骨端軟骨
およびラット剣状突起軟骨、ニワトリ胚軟骨細胞を培養
したときの細胞層から、また非還元末端GalNAc(4,6-bis
S)β1→4GlcAβ1→3GalNAc(4,6-bisS)が、ウサギ肺から
抽出精製したトロンボモジュリンから見つかっている。
さらに、GlcA(2S)-GalNAc(6S)は、マウスリンパ節由来
の肥満細胞から見つかっている(グリコバイオロジーシ
リーズ 糖鎖の多様な世界 講談社 第166頁)。
パターンの多様性は、コンドロイチン硫酸の機能の分子
的な基盤を反映していると思われる。また、コンドロイ
チン硫酸の生理活性発現には、硫酸化が重要な役割を果
たしていると考えられる。コンドロイチン硫酸の生理活
性発現における硫酸化の重要性を考えると、コンドロイ
チン硫酸の特異的な部位を硫酸化する方法は、コンドロ
イチン硫酸の生理活性の解析や機能改変に必須であると
考えられる。グリコサミノグリカンの糖残基の特異的な
部位の硫酸化は、その部位に特異的なスルホトランスフ
ェラーゼにより触媒される。
ェラーゼ遺伝子がクローニングされれば、受容体の基質
特異性についての情報が得られ、グリコサミノグリカン
の構造-機能関係の研究に有用なアプローチを提供する
と思われる。グリコサミノグリカンの合成には、さまざ
まなグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼが
関与しているようである。しかしながら、スルホトラン
スフェラーゼのcDNAのクローニングは困難なものであ
り、ラットの肝臓、ヘパリン産生細胞系(cell line)、
及びマウスの肥満細胞腫からのN-スルホトランスフェラ
ーゼ/N-デアセチラーゼのcDNAがクローニングされてい
るのみである。
5'-ホスホ硫酸からコンドロイチン等のグリコサミノグ
リカンのN-アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基
を転移するコンドロイチン6−スルホトランスフェラー
ゼ(以下「C6ST」と略記することもある)を、無血
清培地で培養したニワトリの軟骨細胞の培養上清から見
かけ上均一に精製した(Habuchi, O., Matsui, Y., Koto
ya, Y., Aoyama, Y., Yasuda, Y., and Noda, M. (199
3) J. Biol. Chem. 268, 21968-21974)。更に、その部
分アミノ酸配列よりオリゴヌクレオチドプライマーを作
成し、ニワトリのcDNAをクローニングし、そのDN
Aから得られたポリペプチドがC6ST活性を発現する
ことも証明した。また、該酵素が、ケラタン硫酸のガラ
クトース残基の6位にも硫酸基を転移する活性も有する
ことを見い出した(Fukuta, M., Uchimura. K.,Nakashi
ma, K., Kato, M., Kimata, K., Shinomura, T., and H
abuchi, O. (1995) J. Biol. Chem. 270, 18575-1858
0)。
由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの
ポリペプチドをコードするDNAについては、いまだ知
られていない。
生理活性発現における硫酸化の重要性を考えると、コン
ドロイチン硫酸に硫酸基を転移する酵素は、コンドロイ
チン硫酸の機能解析の研究のみならず、ヒトに好ましい
生理活性を有する医薬品の創造を目的としたコンドロイ
チン硫酸を提供するためにも非常に重要である。さら
に、ヒト由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェ
ラーゼ(C6ST)のポリペプチドやそれをコードする
DNAが得られれば、コンドロイチン硫酸のN−アセチ
ルガラクトサミン残基の6位低硫酸化(本明細書中で、
「低硫酸化」とは硫酸化度が低いことを意味する)、及
びケラタン硫酸のガラクトース残基の6位低硫酸化等に
起因するヒトの疾患に対する、遺伝子治療を含む医薬あ
るいは診断薬としての利用が期待される。
は、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフ
ェラーゼのポリペプチド及びその部分ポリペプチド、並
びにヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフ
ェラーゼの少なくとも一部をコードするDNAを提供す
ることである。
由来のコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼを
コードするcDNAをクローニングし、該cDNAに由
来する断片を用いて、ヒトのcDNAライブラリーより
該酵素をコードするcDNAのクローニングに成功し、
ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラ
ーゼのポリペプチド及びその部分ポリペプチド(以下、
まとめて「本発明ポリペプチド」ともいう)、並びにヒ
ト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラー
ゼの少なくとも一部をコードするDNA(以下、「本発
明DNA」ともいう)を提供するに至った。
質を有する、ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホト
ランスフェラーゼのポリペプチドを含む。 作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリ
カンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクト
ース残基に転移する。
セチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移
する。
トン
に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有し、硫酸基供
与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチル
ガラクトサミン残基及び/またはガラクトース残基に転
移する活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基
の置換、欠失または挿入を有していてもよいヒト由来の
グリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリ
ペプチドを含む。好ましくは、好ましくは、配列番号2
に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有するヒト由来
のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポ
リペプチドである。
リペプチドの部分を含むポリペプチドを含む。本発明D
NAは、上記グリコサミノグリカンスルホトランスフェ
ラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードするD
NAである。好ましくは、配列番号2においてアミノ酸
番号1〜479またはアミノ酸番号20〜479で表さ
れるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、さらに
好ましくは、配列番号1に示す塩基配列の少なくとも一
部またはすべてを有する。
チド、本発明DNAの順に詳細に説明する。 <1>本発明ポリペプチド 本発明ポリペプチドは、下記の理化学的性質を有する、
ヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラ
ーゼのポリペプチドを含む。
コサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基ま
たはガラクトース残基に転移する。
セチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移
する。
トン
スホアデノシン 5’−ホスホ硫酸が好ましい。また、
本発明ポリペプチドはII型膜タンパク質であることが好
ましい。
た、ポリペプチドの推定分子量である。この酵素は天然
では糖タンパク質であると予想され、糖鎖の付加により
上記分子量よりも分子量が増加すると考えられる。
側に疎水性の膜貫通ドメインがあり、カルボキシル末端
側がゴルジ膜内腔に突き出された形状で生合成されるタ
ンパク質を意味する。
加え、さらにアミノ酸残基が460〜479残基であ
る。また、本発明のポリペプチドは、上記の理化学的性
質の基質特異性において、コンドロイチンのN−アセ
チルガラクトサミン残基の6位のみでなく、4位にも硫
酸基を転移する活性を持ち、コンドロイチンのN−アセ
チルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する活性
(C6ST活性)と、4位に硫酸基を転移する活性(C4ST活
性)との比の値(C6ST活性/C4ST活性)は、15〜20
程度である。
2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を有し、硫酸基
供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチ
ルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移す
る活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ酸残基の置
換、欠失または挿入を有していてもよいヒト由来のグリ
コサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプ
チドを含む。好ましくは、アミノ酸残基の置換、欠失ま
たは挿入を含まない、配列番号2に示すアミノ酸配列の
少なくとも一部を有するヒト由来のグリコサミノグリカ
ンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドである。
は挿入は、配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも
一部をコードするDNAに1つ又は2以上のアミノ酸残
基の置換、欠失又は挿入を起こすようなヌクレオチドの
置換、欠失又は挿入を導入して得られるDNAを発現さ
せることによって得ることができる。DNA配列へのヌ
クレオチドの置換、欠失又は挿入は、両末端に制限酵素
切断末端を持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未
変異DNA配列の相当する部分と入れ換える事により、
導入することができる。また、部位特異的変異法(Kram
er,W. and Frits,H.J.,Meth. in Enzymol.,154,350 (19
87); Kunkel,T.A. et al.,Meth. in Enzymol.,154,367
(1987))などの方法によっても、DNA配列に置換、挿
入又は欠失を導入することができる。硫酸基供与体から
硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラクト
サミン残基またはガラクトース残基に転移する活性は、
例えば、後記の酵素活性測定法によって測定することが
でき、当業者は活性を実質的に害さない1つ以上のアミ
ノ酸残基の置換、欠失または挿入を容易に識別すること
ができる。
酸番号20にメチオニンが含まれており、アミノ酸番号
1のメチオニンと共に、いずれも本発明ポリペプチドの
N末端となる可能性がある。従って、本発明ポリペプチ
ドには、配列番号2に示すアミノ酸配列においてアミノ
酸番号1〜479及びアミノ酸番号20〜479で表さ
れるアミノ酸配列を有するグリコサミノグリカンスルホ
トランスフェラーゼのポリペプチドが包含され、かつ好
ましい。さらに、配列番号2に示すアミノ酸配列には、
見かけ上NH2-ターミナルシグナルペプチド配列は含まれ
ていないが、NH 2-ターミナルシグナルペプチド配列の存
在が完全に排除されるものではない。いずれのメチオニ
ンがN末端であるにしても、また、NH2-ターミナルシグ
ナルペプチド配列の存在の有無に拘わらず、配列番号2
に示すアミノ酸配列は、グリコサミノグリカンスルホト
ランスフェラーゼのポリペプチドを含んでいる。
ミノ酸配列の少なくとも一部を有する」とは、これらの
観点から、スルホトランスフェラーゼ活性を有する必要
かつ最小のポリペプチドのアミノ酸配列を有することを
意味するものである。
のポリペプチドの部分を含むポリペプチドを含む。ここ
で、「部分」とは、好ましくは、スルホトランスフェラ
ーゼ活性を有する、抗原性を有する等の何らかの活性な
いし機能を有する部分を意味する。このような部分を識
別することは当業者であれば容易である。
のポリペプチドでなくてもよく、必要により、融合タン
パク質の一部となっていてもよい。例えば、本発明ポリ
ペプチドと、発現に必要な他のポリペプチドを含む融合
ポリペプチドが例示される。
明DNAを用いて得ることができる。すなわち、本発明
DNAを保持する細胞を、好適な培地で培養し、グリコ
サミノグリカンスルホトランスフェラーゼを培地中に生
成蓄積させ、その培地からグリコサミノグリカンスルホ
トランスフェラーゼを採取することによって、グリコサ
ミノグリカンスルホトランスフェラーゼを製造すること
ができる。本発明のDNAの発現は、通常タンパク質の
製造に用いられる宿主−ベクター系を使用することがで
きるが、COS−7細胞等の哺乳類細胞が好ましい。発
現は、本発明のDNAを直接発現させてもよいし、他の
タンパク質との融合タンパク質として発現させてもよ
い。また、本発明のDNAは全長を発現させてもよい
し、一部を部分ペプチドとして発現させてもよい。
グリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドもし
くはその部分ポリペプチドまたはこれらと他のタンパク
質との融合タンパク質を用いて、グリコサミノグリカン
スルホトランスフェラーゼに結合する抗体を調製するこ
とができる。抗体の調製は、通常の抗体の調製と同様に
して行えばよい。また、常法によってグリコサミノグリ
カンスルホトランスフェラーゼに結合するモノクローナ
ル抗体を調製することもできる。
来のDNAであり、上記のヒト由来のグリコサミノグリ
カンスルホトランスフェラーゼのポリペプチドの少なく
とも一部をコードしている。
的性質を有するヒト由来のグリコサミノグリカンスルホ
トランスフェラーゼのポリペプチドの少なくとも一部を
コードしているDNAを含む。
コサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基ま
たはガラクトース残基に転移する。
セチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移する。
ケラタン硫酸のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移
する。
トン
スホアデノシン 5’−ホスホ硫酸が好ましい。
であることが好ましい。また上記ポリペプチドは、上記
〜の理化学的性質に加え、さらにアミノ酸残基が4
60〜479残基であるものが好ましい。
化学的性質の基質特異性において、コンドロイチンの
N−アセチルガラクトサミン残基の6位のみでなく、4
位にも硫酸基を転移する活性を持ち、コンドロイチンの
N−アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転移
する活性(C6ST活性)と、4位に硫酸基を転移する活性
(C4ST活性)との比の値(C6ST活性/C4ST活性)は、1
5〜20程度である。
リコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼは、コン
ドロイチンのN−アセチルグルコサミン残基の6位に硫
酸基を転移する作用をもつことから、「コンドロイチン
6−スルホトランスフェラーゼ」とも呼ばれることもあ
り、本明細書中でも「コンドロイチン6−スルホトラン
スフェラーゼ」または単に「C6ST」と略記すること
もある。
性質を有するグリコサミノグリカンスルホトランスフェ
ラーゼのポリペプチドの少なくとも一部をコードしてい
れば、その塩基配列は特に限定されない。
ミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド
の少なくとも一部をコードするDNAであって、配列番
号2に示すアミノ酸配列の全部または一部をコードする
DNAを含む。
来のスルホトランスフェラーゼのポリペプチドは、硫酸
基供与体から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセ
チルガラクトサミン残基またはガラクトース残基に転移
する活性を実質的に害さないアミノ酸残基の置換、欠
失、挿入を有するものであってもよい。
号2においてアミノ酸番号1〜479または20〜47
9で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有す
るDNAが挙げられ、かつ好ましい。また本発明DNA
としてより具体的には、配列番号1に示される塩基配列
の少なくとも一部またはすべてを有するDNAが挙げら
れ、かつ特に好ましい。配列番号1に示す塩基配列に
は、20番目のアミノ酸に対応する位置にもメチオニン
コドン(ATG)が含まれている。これらのメチオニンコド
ンのうち、最初のメチオニンコドンが開始コドンである
可能性が強いが、他のメチオニンコドンが開始コドンで
ある可能性も残っている。従って、このようなDNAと
して具体的には、配列番号1に示す塩基配列における1
47位〜1583位の塩基配列を有するDNA、及び配
列番号1に示す塩基配列における204位〜1583位
の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
配列のDNAも本発明のDNAに包含されることは、当
業者であれば容易に理解されるところである。これらの
DNAのいずれもが本発明DNAに包含される。
ンスルホトランスフェラーゼ遺伝子は、コード領域にイ
ントロンを含むことが予想されるが、そのようなイント
ロンで分断されているDNA断片であっても、グリコサ
ミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポリペプチド
の少なくとも一部をコードする限り、本発明のDNA断
片に含まれる。すなわち、本明細書において「コードす
る」とは、転写時にプロッセッシング等を受けて最終的
に目的のポリペプチドを生じ得る塩基配列を有すること
も包含すると理解されたい。
少なくとも一部をコードする」とは、好ましくは、スル
ホトランスフェラーゼ活性を有する、抗原性を有する等
の何らかの活性ないし機能を有する部分、あるいは、そ
の部分に相当する塩基配列がそのグルコサミノグリカン
スルホトランスフェラーゼに特異的であってプライマー
やプローブとして使用できる部分をコードすることを意
味する。
なDNAまたはRNAが包含される。さらに本発明のD
NAは、C6STをコードするコード鎖のみの一本鎖で
あってもよいし、この一本鎖及びこれと相補的な配列を
有するDNA鎖またはRNA鎖とからなる二本鎖であっ
てもよい。
コードするコード領域全長を有していてもよいし、C6
STの一部のペプチドをコードするものであってもよ
い。本発明のDNAは、その塩基配列が本発明により明
らかにされたので、その配列に基づいて合成し、あるい
はその配列に基づいて作成したオリゴヌクレオチドプラ
イマーを用いるPCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リ
アクション法)によってヒト染色体DNAあるいはmR
NAから本発明DNAを増幅することによって、取得す
ることも可能である。なお、本発明DNAは、後記実施
例に示すように、以下に示す各工程からなるcDNAク
ローニングによって、初めて得られたものである。
をコードするcDNAのクローニング ニワトリ胚軟骨細胞から精製したC6STの部分アミ
ノ酸配列の決定 そのアミノ酸配列に基づいたPCR用オリゴヌクレオ
チドプライマーの作製 ニワトリ胚の軟骨細胞由来のポリ(A)+RNAからのC6
ST部分cDNAのPCR法による増幅 ニワトリ胚の軟骨細胞由来のcDNAライブラリーか
らのC6ST完全長cDNAの選択
をコードするcDNAのクローニング 上記(1)で単離されたcDNAの塩基配列解析結
果に基づくヒトcDNAライブラリーのスクリーニング
用プローブの作製 そのプローブを用いた、ヒト由来のC6STをコード
するcDNAクローンのスクリーニング 得られたcDNAの塩基配列解析
限定されるものではなく、上記のPCR法や、他の公知
のcDNAクローニングの手法によっても本発明DNA
を製造することができる。
的に説明する。 (1)ニワトリC6STの部分アミノ酸配列の決定及び
PCR用プライマーの調製 ニワトリC6STの精製 コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼは、ニワ
トリ胚由来の軟骨細胞等、コンドロイチン6−スルホト
ランスフェラーゼを発現する培養細胞から、通常のタン
パク質の精製方法、及び通常のスルホトランスフェラー
ゼの精製方法を組み合わせることによって精製すること
ができる。具体的には、J. Biol. Chem.268,(29),21968
-21974,(1993)に記載された方法に従って行うことが好
ましい。尚、スルホトランスフェラーゼ活性の測定法、
及び硫酸基を転移する位置を調べる方法は、実施例中の
酵素活性測定法に詳述した。
決定 精製したC6STには糖鎖が結合していることが知られ
ているので、この糖鎖を除去するために精製C6STを
N−グリカナーゼ等の糖鎖分解酵素で消化する。これに
より脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE(SDS-ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動)等に付して分離し、ポ
リビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride; PV
DF)膜やニトロセルロース膜等に転写する。この膜をク
マシー・ブリリアント・ブルーやアミドブラック等のタ
ンパク質を染色する色素で染色し、N−グリカナーゼ消
化後に形成したタンパク質バンドを切り出して、脱グリ
コシル化されたC6STのアミノ酸配列決定に用いる。
また、C6STの内部アミノ酸配列を決定する場合は、
脱グリコシル化されたC6STをSDS-PAGE等に付して分
離し、ゲルをクマシー・ブリリアント・ブルーやアミド
ブラックのようなタンパク質を染色する色素で染色し、
N−グリカナーゼ消化後に形成したタンパク質バンドを
切り出して断片化に用いる。
テアーゼV8(protease V8、sequencing grade, ベーリ
ンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)製)等のタンパ
ク質分解酵素を用いることが好ましい。また、切り出し
たゲルをタンパク質分解酵素に接触させ、その後SDS-PA
GE等で分離しても良い。簡便な操作としては、Clevelan
d, D. W., Fischer, S. G., Kirshner, M. W., and Lae
mmli, U. K.(1977) J.Biol. Chem. 252, 1102-1106 の
方法がある。すなわち、タンパク質バンドを切り出して
別のゲルのウェルに挿入し、タンパク質分解酵素を含む
緩衝液を、挿入したゲルにのせてSDS-PAGEを行い、色素
の先端が分離ゲルに入る前に電源を切ることによって泳
動を一時中止し、約30分間酵素消化を行い、その後電気
泳動を再開するという方法である。この方法によれば酵
素消化と消化後のペプチド断片の分離がワンステップで
できるので便利である。プロテアーゼ消化により形成し
たペプチドはPVDF膜やニトロセルロース膜等に転写す
る。この膜をクマシー・ブリリアント・ブルーやアミド
ブラック等のタンパク質を染色する色素で染色した後、
ペプチドバンドを切り出す。タンパク質分解酵素消化後
に生じたペプチドを含むPVDF膜やニトロセルロース膜等
は、公知の方法でペプチドのアミノ末端配列決定を行う
ことができる。
ミノ酸配列に基づいてPCR用オリゴヌクレオチドプラ
イマーを作製することができる。アミノ酸配列のうち、
なるべくコドンの縮重の少ない部位を用いるとよい。
中の表2に示すような、センスプライマー(プライマー
1s,プライマー2s)およびアンチセンスプライマー
(プライマー3a)があげられる。尚、センスプライマ
ー1sはHindIII部位を含む配列を、アンチセンスプラ
イマー3aはEcoRI部位を含む配列を、それぞれ5’末
端に有する。これは、PCRにより増幅されたDNA断
片をベクターに挿入する操作を簡便にするためである。
Tの部分的アミノ酸配列の決定とオリゴヌクレオチドプ
ライマーの作成は例えば J. Biol. Chem. 270, 18575-1
8580(1995) に記載されている。
rent Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Un
it 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Int
erscience, New York 等)で得ることができる。材料
は、コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼのm
RNAを発現している材料であれば限定されないが、取
扱いの容易さ、および増殖可能な点で培養細胞が好まし
い。培養細胞の中でも特にニワトリ胚の軟骨細胞(chond
rocyte)が好ましい。軟骨細胞は、公知の方法(Kim, J.
J., and Conrad, H. E. (1976) J. Biol. Chem. 251,
6210-6217、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1977) J.
Biol. Chem. 252, 8292-8299、Kim, J. J., and Conra
d, H. E. (1980) J. Biol. Chem. 255, 1586-1597等)で
培養することができる。培地としては、培養細胞が生育
可能な培地であれば特に限定されないが、ダルベッコ改
変イーグル培地等が通常の培養で良く用いられ、入手も
容易であり、なおかつ該培養細胞が生育可能であること
から好ましい。培地のpHは中性域、特にpH7.0に調整す
ることが好ましい。培地には2g/l程度のD-グルコース
を加えることが好ましい。また、微生物の生育を防ぐた
め、ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質を培
地に添加することが好ましい。また、培地に10%のウシ
胎仔血清を加えることが好ましい。
ガラス製あるいはプラスチック製の培養皿を使用して通
常の培養細胞と同様にして培養すれば良い。培養は、炭
酸ガスインキュベーター中で行うことが好ましく、イン
キュベーター中の炭酸ガス濃度が5〜7%、空気が97
〜93%となるように調整することが好ましい。また、
温度は36〜38℃程度に調整することが好ましい。
胞から通常用いられる全RNAの調製方法により得るこ
とができるが、グアニジンチオシアネート/CsCl法(Kin
gston, R. E., (1991) in Current Protocols in Molec
ular Biology, Suppl. 14, Unit 4.2, Greene Publishi
ng Associates and Wiley Interscience, New York)で
調製するのが好ましい。
オリゴdT(oligo-(dT))セルロースカラムクロマトグラ
フィーなどによって精製することができる。
の増幅 上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプラ
イマーを用いた逆転写PCR(ポリメラーゼチェインリ
アクション)により、C6ST部分的cDNAを増幅す
ることができる。PCRは、通常の方法と同様にして行
えばよいが、具体的方法を示せば以下の通りである。1
μgのポリ(A)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3
a、それぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド
三リン酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(G
ibco BRL))、1mM ジチオスレイトール、120単位のR
Naseインヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液(終
体積20μl)を、37℃で60分間インキュベートし、cD
NA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転写反応混合液
10μl、オリゴヌクレオチドプライマー(センス、アン
チセンスそれぞれ50pmol)、それぞれ100μMの4種類
のデオキシヌクレオシド三リン酸、2.5単位のTaqポリメ
ラーゼを含む反応液(終体積100μl)に対し、94℃1
分間、45℃1分間、55℃3分間からなる反応サイクルを
30サイクル行う。
は、cDNAライブラリーから完全長cDNA(コード
領域全長を含むcDNA)をスクリーニングするための
ハイブリダイゼーションプローブとして用いられる。
り合成することができる。市販のcDNA合成用キットを用
いるのが便利である。例えばTimeSaver cDNA synthesis
kit(ファルマシアLKBバイオテクノロジー)を用いる
と、cDNAの合成、およびcDNAをクローニングベクター
(例えばEcoRI消化したλgt11)に連結させること
ができる。本発明においてもEcoRI消化したλgt11
を用いることが好ましい。なお、逆転写酵素反応のプラ
イマーとしては、ランダムオリゴヌクレオチドプライマ
ーを用いることが好ましい。cDNAをクローニングベクタ
ーに結合させることによって得られた組換えDNAは、
宿主細菌細胞中に導入(トランスフェクション)する。
用いる宿主細菌細胞は、用いるクローニングベクターに
より選択する必要があるが、通常は大腸菌(エシェリキ
ア・コリ:Escherichia coli(E. coli))を宿主とする
クローニングベクターと大腸菌との組み合わせが頻用さ
れている。
NAと30mM塩化カルシウムの存在下で細胞膜の透過性を
変化させた大腸菌とを混合することにより行われる。λ
gt11のようなλファージベクターの場合、組換えD
NAを直接塩化カルシウム処理した大腸菌に導入できる
が、あらかじめ試験管中でファージ外殻に入れて(invi
troパッケージングという)、大腸菌に効率よく感染さ
せる方法が一般に使用されており、そのためのキットも
市販されている(Gigapack II packaging extract、ス
トラタジーン(Stratagene) 製等)。本発明でもこの方法
を用いることが好ましい。in vitroパッケージングした
組換えDNAは、大腸菌にトランスフェクションする
が、用いるクローニングベクターによって用いる大腸菌
株を選択する必要がある。すなわち、抗生物質耐性遺伝
子を含むクローニングベクターを用いる場合は、大腸菌
に抗生物質に耐性の性質があってはいけない。また、β
−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)等の遺伝子を含
むクローニングベクターを用いる場合は、β−ガラクト
シダーゼ活性を発現しない大腸菌を選択する必要があ
る。このことは、組換えDNAがトランスフェクション
された大腸菌をスクリーニングするために必要なことで
ある。例えば、クローニングベクターにλgt11を用
いる場合、E. coli Y1088等のβ−ガラクトシダーゼ活
性を発現しない大腸菌株を選択すれば良い。組換えベク
ターが導入された大腸菌は、抗生物質に対する耐性の獲
得や、β−ガラクトシダーゼ活性の獲得等によりスクリ
ーニングできる。具体的には、大腸菌を寒天培地にま
き、生育したコロニーを選択すれば良い。生育した大腸
菌(組換えDNAがトランスフェクションされた大腸
菌)は、cDNAライブラリーを構成する。ベクターに
λgt11を用いた場合は、指示菌とともに軟寒天培地
に懸濁し、寒天培地上に重層してプラークを形成させれ
ばよい。DNA断片が挿入されたベクターを保持するフ
ァージプラークは、β−ガラクトシダーゼ活性を発現し
ないので、容易に選択することができる。
から、C6ST完全長cDNAを有するファージクロー
ンを、C6ST部分的cDNAをプローブとしてハイブ
リダイゼーションにより選択することができる。ハイブ
リダイゼーションは、通常の方法に従って行えばよい。
NAを調製し、適当な制限酵素で切断することによっ
て、C6STcDNAを切り出すことができる。得られ
たcDNAは、そのまま、あるいは適当なプラスミドに
サブクローニングして、塩基配列を決定する。
をコードするcDNAのクローニング ハイブリダイゼーション用プローブの作成 上記のようにして得られたヒト以外の生物由来のC6S
TのcDNAを用いて、ランダムプライマーラベル法に
より[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリース
クリーニングのための放射性プローブを作成できる。す
なわち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dC
TP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダム
ラベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダム
オリゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random ol
igonucleotide-primed labelingmethod(Feinberg, A.
P., and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132,
6-13)を用いて放射性標識DNAプローブを得ることが
できる。
全RNAからpoly(A)+RNAを調製し、該poly(A)+RN
Aを鋳型とした逆転写酵素反応により、ヒト由来cDN
Aは合成することができる。これらは全て、遺伝子工学
分野で通常用いられている方法により行うことができ
る。具体的には、前記(2)及び(3)に記載したのと
同様に行ええばよい。
る。クローニングベクターは特に限定されないが、例え
ばEcoRI消化したλgt11を用いることが好ましい。
なお、市販されているクローニングベクターに連結され
たヒトcDNAを用いてもよい。具体的には、ラムダベ
クターλgt11が組み込まれたヒト胎児脳cDNAラ
イブラリー(Clontech)が好ましい。
Aクローンのスクリーニング 上記のようにして得られたヒト由来cDNAライブラリ
ーから、C6ST完全長cDNAを有するファージクロ
ーンを上記で作成した[32P]dCTPで標識した放
射性プローブを用いたハイブリダイゼーションにより選
択することができる。ハイブリダイゼーションは遺伝子
工学分野で通常用いられる手法、例えばプラークハイブ
リダイゼーション等により行うことができる。プローブ
とハイブリッドを形成したプラークは、プローブに結合
した標識物質を検出することにより、陽性クローンとし
て単離することができる。
し、適当な制限酵素で切断することによって、C6ST
cDNAを切り出すことができる。得られたcDNA
は、そのまま、あるいは適当なプラスミドにサブクロー
ニングして、塩基配列を決定することができる。
STをコードするcDNAの塩基配列のオープンリーデ
ィングフレーム部分を配列番号1に、アミノ酸配列を配
列番号2に示す。最初のATGコドンで始まる単一のオー
プンリーディングフレームからは、479アミノ酸残基か
らなり、分子量 54,610 のタンパク質が予想される。
DNAによってコードされるC6STが、硫酸基供与体
から硫酸基をグリコサミノグリカンのN−アセチルガラ
クトサミン残基の6位に転移する活性を実質的に害され
ない限り、1つ又は2以上のアミノ酸残基の置換、欠失
又は挿入を起こすようなヌクレオチドの置換、欠失又は
挿入を有していてもよい。DNA配列へのヌクレオチド
の置換、欠失又は挿入は、両末端に制限酵素切断末端を
持ち、変異点の両側を含む配列を合成し、未変異DNA
配列の相当する部分と入れ換える事により、導入するこ
とができる。また、部位特異的変異法(Kramer,W. and
Frits,H.J.,Meth. in Enzymol.,154,350(1987); Kunke
l,T.A. et.al.,Meth. in Enzymol.,154,367(1987))な
どの方法によっても、DNA配列に置換、挿入又は欠失
を導入することができる。硫酸基供与体から硫酸基をグ
リコサミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基
及び/またはガラクトース残基に転移する活性は、例え
ば、前記の酵素活性測定法によって測定することがで
き、当業者は活性を実質的に害さない1つ以上のアミノ
酸残基の置換、欠失または挿入を容易に識別することが
できる。
説明するが、この実施例は本発明の一例を示すものであ
り、これに限定されるものではない。はじめに、実施例
中で共通して用いる方法に関して説明する。なお、特記
しない限り「%」は重量%である。
た。反応液組成は以下の通りとした。2.5μmolのイミダ
ゾール−塩酸,pH6.8,1.25μgのプロタミン塩酸、0.1
μmolのジチオスライトール、25nmol(グルクロン酸の
量として)のコンドロイチン(生化学工業(株))、50
pmolの[35S]PAPS(アデノシン3’-リン酸,5’-ホス
ホ硫酸)、及び酵素を含む50μl。
に対する活性は、コンドロイチンの代わりに、25nmol
(コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸についてはガ
ラクトサミンの量として、ヘパラン硫酸及びケラタン硫
酸についてはグルコサミンの量として)のグリコサミノ
グリカンを用いて測定した。
た後、反応チューブを沸騰水に1分浸けることによって
反応を停止させた。反応停止後、0.1μmol(グルクロン
酸の量として)のコンドロイチン硫酸Aをキャリアとし
て加え、1.3%酢酸カリウムを含むエタノールを3体積加
えて、35S-標識された多糖類を沈澱させた。混合液を1
0,000×gで10分遠心し、得られた沈澱を70μlの水に溶
解させた。この溶液50μlを0.1M NH4HCO3で平衡化した
脱塩カラムに注入し、35S-標識された多糖類を含む溶出
分画を集めた。得られた分画の200μlにシンチレーショ
ンカクテル(クリアゾル(Clearsol)、ナカライテスク社
製)1mlを加え、35S放射活性を測定することにより、
多糖類への35Sの取り込みを測定した。
ウムを含むエタノール800μlを加えて混合した。混合液
を30分氷上に置いた後、10,000×gで10分遠心して35S-
多糖類を沈澱させた。沈澱を0.1mg/mlのBSA、0.05Mトリ
ス−酢酸,pH7.5、10ミリユニットのコンドロイチナー
ゼACII(アースロバクター・アウレッセンス(Arthrobac
ter aurescens)由来、生化学工業(株))を含む緩衝液25
μlに溶解し、37℃で2時間反応させた。反応物を、0.1
μmolづつの2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O-(β-D-グ
ルコ-4-エンピラノシルロン酸)-6-O-スルホ-D-ガラクト
ース(△Di-6S)、及び2-アセトアミド-2-デオキシ-3-O
-(β-D-グルコ-4-エンピラノシルロン酸)-4-O-スルホ-D
-ガラクトース(△Di-4S)(いずれも生化学工業(株)
製)とともに、ワットマン(Whatman)No.1濾紙にスポッ
トし、1-ブタノール/酢酸/1M 水酸化アンモニウム
(2:3:1(V/V/V))で20時間展開した。
で調べ、それぞれの部位を濾紙から切り出し、1Lのト
ルエンにジフェニルオキサゾール5g、ジメチル1,4−
ビス(2-(5-フェニルオキサゾール))ベンゼン0.25gを溶
解させたシンチレーターに入れ、放射活性を測定した。
コンドロイチナーゼACIIで消化した試料では、濾紙の原
点に残った放射活性はスポットした放射活性の1%以下で
あった。△Di-6S及び△Di-4Sへの35Sの取り込みから、
それぞれコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ
活性及びコンドロイチン4−トランスフェラーゼ活性を
算出した。1pmol硫酸基/分の転移を触媒する活性を1
ユニットとした。
ーゼ活性を測定したところ、以下の実施例の<1>で得
られたコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ
(C6ST)は、コンドロイチン、ニワトリ胚軟骨由来
のコンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸A、コンド
ロイチン硫酸C、角膜由来のケラタン硫酸には硫酸基を
転移するが、コンドロイチン硫酸E、デルマタン硫酸、
ヘパラン硫酸には硫酸基をわずかにしか転移しないこと
が示された。なお、本C6STは、コンドロイチン、コ
ンドロイチン硫酸には、そのN−アセチルガラクトサミ
ン残基の6位に硫酸基を転位し、ケラタン硫酸の場合
は、そのガラクトース残基の6位に硫酸基を転移するこ
とが本発明者らにより確認されている。
ンスフェラーゼの調製およびアミノ酸配列分析 (1)コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼの
調製 ニワトリ胚の軟骨細胞を、培養皿に5.6×104 個細胞/
皿となるように接種し、2g/LのD−グルコース、1
00ユニット/mlのペニシリン、50μg/mlのス
トレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むp
H7.0に調整したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)
中で、7 vol%CO2、93 vol%空気、38℃の条件下で11
日間培養した。培養開始から2、4、7、9、10日目
に、pH7.4の新鮮な培地に交換した。
製した熱不活化血清を10%含む培地を用いた。11日目
には5.0×106 個細胞/皿にまで生育した。それ以後
は、50μg/mlのアスコルビン酸ナトリウムを添加
したコスメディウム(Cosmedium)−001(コスモバイ
オ社から購入)を用い、毎日培地を交換しながら10日
間培養を続けた。
00×gで10分遠心し、上清の組成が10mM Tris-HCl,pH7.
2、0.1% Triton X-100、20mM MgCl2、10mM 2-メルカプ
トエタノール、20%グリセロールとなるように調製し
た。
A(10mM Tris-HCl,pH7.2、0.1% Triton X-100、20mM M
gCl2、2mM CaCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、20%
グリセロール)で平衡化したヘパリン−セファロースC
L6Bカラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー
社製、2.2×28cm)にアプライした。カラムを0.15M NaC
lを含む緩衝液Aで洗浄した後、0.15〜0.75MのNaCl
を含む緩衝液Aの直線グラジエント1Lで溶出し、12ml
/フラクションで分画した。
画を集め、0.15MのNaClを含む緩衝液Aで平衡化したコ
ムギ胚芽アグルチニン−アガロースカラム(生化学工業
(株)製、1.2×15cm)にアプライした。カラムを0.15M
のNaClを含む緩衝液A200mlで洗浄した後、0.15MのNaCl
及び0.3MのN−アセチルグルコサミンを含む緩衝液A20
0mlで溶出した。溶出分画を集め、0.05MのNaClを含む緩
衝液Aに対して透析した。
液Aで平衡化した3',5'-ADP-アガロースカラム(シグマ
社製、1.2×11.8cm、1.9μmol 3',5'-ADP/mlゲル)に
アプライした。カラムを0.05MのNaClを含む緩衝液A150
mlで洗浄した後、0〜0.2mMの3',5'-ADPを含む0.05M Na
Clを含む緩衝液Aの直線グラジエント300mlで溶出し
た。スルホトランスフェラーゼ活性を有する分画を集
め、1M NaClを含む緩衝液A、続いて0.05M NaClを含む
緩衝液Aに対して透析した。
法に記載した方法で、スルホトランスフェラーゼ活性を
測定した。その結果、コンドロイチン6−スルホトラン
スフェラーゼの比活性は4.3×105ユニット/mgであり、
コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ活性/コ
ンドロイチン6−トランスフェラーゼ活性の比は0.02で
あった。
還元条件下でのSDS−PAGEで単一バンドを形成
し、分子量は75,000と決定された。また、スーパロース
12 HR10/30ゲル濾過クロマトグラフィー(溶出液:10mM
Tris-HCl,pH7.2、2M NaCl、20mM MgCl2、2mM CaCl2、
0.1% Triton X-100、20%グリセロール)で測定したと
ころ、160,000であった。このことから、2M NaCl存在下
ではダイマーを形成していることが示唆された。
Cl2により活性化された。上記測定系におけるC6ST
の至適反応pHはおよそ6.4であった。
配列分析 精製したC6STをN−グリカナーゼで消化した。すな
わち、1ml(タンパク質として10μg)のC6ST
溶液に200μlのトリクロロ酢酸を加え、氷上に30
分置いた後、10,000×gで20分遠心分離した。
沈澱を1mlのアセトンで2回洗浄し、真空デシケータ
で乾燥した。乾燥されたC6STタンパク質を0.5%
SDSを含む0.15M トリス−塩酸(pH7.8)
10μlに溶解し、100℃で3分加熱した後、冷却
し、5μlの7.5%(w/v)ノニデットP−40,
1.2μlの0.25M EDTA(pH8),0.3
μlのフェニルメタンスルホフォニルフルオライド,1
0.5μlの水,及び3μl(0.75単位)のリコン
ビナントN−グリカナーゼ(ジェンザイム(Genzyme)社
製)を加えた。混合液を37℃で12時間インキュベー
トし、脱グリコシル化反応を行った。
後、ゲルを染色せずにポリビニリデンフルオリド(polyv
inylidene fluoride; PVDF)膜に転写した。この膜をク
マシーブルーで染色した。N−グリカナーゼ消化後のタ
ンパク質のバンド(49および47kDa)および未消化のタ
ンパク質のバンド(75kDa)を膜から切り出して、アミ
ノ酸配列決定に用いた。
するため、プロテアーゼで部分消化したC6STペプチ
ドの調製を行った。これは、クリーブランドらの方法
(Cleveland, D. W., Fischer, S. G., Kirshner, M.
W., and Laemmli, U. K.(1977)J. Biol. Chem. 252, 11
02-1106)に従って行った。すなわち、精製したタンパ
ク質(30μg)を10%ゲルによるSDS-PAGEで分離した。
ゲルをクマシーブルーで染色した後、75kDaのタンパク
質バンドを切り出して、別の16%ゲルのウェルに挿入し
た。このウェルに、プロテアーゼV8(protease V8、se
quencing grade,ベーリンガーマンハイム製)を0.05μg
/μg精製タンパク質の比で含む緩衝液を重層し、SDS-
PAGEを開始した。色素の先端が分離ゲルの端に到達した
時に電源を切った。30分後、電気泳動を再開した。プロ
テアーゼ消化により形成したペプチドは、PVDF膜にトラ
ンスブロットした。この膜をクマシーブルーで染色した
後、19kDaのペプチドバンドを切り出した。
ーゼ消化後に生じたタンパク質、完全なタンパク質、プ
ロテアーゼV8消化後に生じたペプチドをPVDFフィルタ
ーに固定化し、アミノ末端のアミノ酸配列を決定した。
結果を表1に示す。
NAのPCRによる増幅 (1)PCR用プライマーの作製 上記のようにして決定されたアミノ酸配列に基づいて、
cDNAライブラリーからC6STcDNAクローンを
PCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドプライ
マーを作製した(表2)。2種類のセンスプライマー
(プライマー1s及び2s)は完全なニワトリ胚C6S
Tタンパク質(75kDa)から得られたアミノ配列(配列
番号5)に基づいてデザインし、アンチセンスプライマ
ー(プライマー3a)はプロテアーゼ消化で得られたペプ
チド(19kDa)から得られたアミノ酸配列(配列番号
6)に基づいてデザインし、各ヌクレオトドプライマー
を合成した。
III認識配列を含むヌクレオチド配列を、プライマー3
aの5’末端にはEcoRI認識配列を含むヌクレオチド配
列を導入した。
(1976) J. Biol. Chem. 251, 6210-6217、Kim, J. J.,
and Conrad, H. E. (1977) J.Biol. Chem. 252, 8292-8
299、Kim, J. J., and Conrad, H. E. (1980) J. Biol.
Chem. 255, 1586-1597)で10%ウシ胎仔血清を含むダル
ベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で11日間培養したニワ
トリ胚の軟骨細胞(chondrocyte)から、グアニジンチオ
シアネート/CsCl法(Kingston, R. E., (1991) in Curr
ent Protocols in Molecular Biology, Suppl. 14, Uni
t 4.2, Greene Publishing Associates and Wiley Inte
rscience, New York)により調製した。得られた全RNAか
らポリ(A)+RNAを、オリゴ(dT)セルロースカラムクロマ
トグラフィーにより精製した。
をプライマーとして用いた逆転写反応によりcDNA一
次鎖を合成した。逆転写反応は、終体積20μlに1μg
のポリ(A)+RNA、50pmolのオリゴヌクレオチド3a、そ
れぞれ500μMの4種類のデオキシヌクレオシド三リン
酸、200単位のM-MLV逆転写酵素(ギブコBRL(Gibco BRL)
製)、1mM ジチオスレイトール、120単位のRNase イン
ヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩衝液を、37℃で60分間
インキュベートすることにより行った。
μl、オリゴヌクレオチド1s及び3aをそれぞれ50pm
ol、それぞれ100μMの4種類のデオキシヌクレオシド
三リン酸、2.5単位のTaqポリメラーゼ(AmpliTaq polym
erase、パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)製)を含む反
応液(終体積100μl)中で行った。増幅反応は、94℃
1分間、45℃1分間、55℃3分間からなる反応サイクル
を30サイクル行った。
DNAの取得 (1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製 上記PCR増幅断片を回収し、HindIIIおよびEcoRIで消
化し、プラスミドベクターであるブルースクリプト(Blu
escript、ストラタジーン(Stratagene)製)のこれらの制
限酵素切断部位にサブクローニングした。サブクローン
はT3プライマー(T3 primer)もしくはM13-20プライマ
ーを用いた配列決定により確認した。
放射性プローブは、上記のPCR生成物を、[α-32P]
dCTP(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラ
ベリングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオ
リゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random olig
onucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P.,
and Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-1
3)を用いて放射性標識することによって得た。
ために、ラムダベクターλgt11を用いてcDNAク
ローニングを行った。
胚の軟骨細胞(chondrocyte)からポリ(A)+RNAを調製し、
これを鋳型として二本鎖cDNAを合成し、EcoRI消化
したλgt11(EcoRI-digested λgt11、ファルマ
シア(Pharmacia)社製)に連結した。cDNAの合成とベ
クターへの連結には、cDNA合成キット(TimeSaver
cDNA synthesis kit、ファルマシア社製)を使用した。
逆転写反応のプライマーには、ランダムオリゴヌクレオ
チドプライマーを用いた。
ターは、インビトロパッケージングキット(Gigapack I
I packaging extract、ストラタジーン製)を用いてフ
ァージ粒子にパッケージした。このファージ粒子を、Es
cherichia coli Y1088に感染させ、プレートに重層し、
プラークを形成させた。こうして得られたファージライ
ブラリーはさらに増幅させることなしに、cDNAスクリー
ニングに用いた。
ーニング 上記のようにして得られたλgt11cDNAライブラリー
のプラーク約5×10 5 個について、スクリーニングを
行った。プラークを市販のナイロン膜(HybondN+ nylon
membrane、アマシャム社製)に転写し、製品に添付され
ている説明書中で推奨されているアルカリ固定法により
ファージDNAをナイロン膜に固定した。
ムアミド、5×SSPE(1×SSPEの組成:10mM NaH2PO4(p
H7.4), 150mM NaCl, 1mM EDTA)、5×Denhardt's solu
tion(1×Denhardt's solutionの組成:0.02%フィコー
ル400、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02% BSA)、
0.5% SDS、0.04mg/mlの変性サケ精子DNA、0.004mg/m
lの E. coli DNAを含む溶液中で、3.5時間、42℃でプレ
ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、32P
標識したプローブを含む上記と同じ緩衝液中で16時間、
42℃で行った。続いて、フィルターを1×SSPE、0.1%
SDS中、次いで0.1×SSPE、0.1% SDS中で、55℃で洗浄
した後、オートラジオグラフィーによりハイブリダイゼ
ーション陽性クローンを検出した。5×105個のプラー
クから約90個の陽性クローンが得られた。
塩基配列解析 ハイブリダイゼーション陽性λgt11クローンから16
個の独立クローンを選択し、各々ファージDNAを調製
し、ベクターDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り
出すEcoRIで切断した。これらのcDNA断片をブルー
スクリプトにサブクローニングした。これらのcDNA
断片のうち、もっとも長い断片(2.3kb)のヌクレオチド
配列を決定した。
ニングした組換えプラスミドから、欠失クローンをDNA
deletion kit(宝酒造(株)製)を用いて既知の方法(H
enikoff, S.(1984) Gene 28, 351-359、Yanisch-Perro
n, C., Viera, J., and Messing, J. (1985) Gene 33,
103-109)により調製した。その際、3'-突出末端を残す
制限酵素、及び5'-突出末端を残す制限酵素として、そ
れぞれSacI及びXbaIを用いた。
P]dCTP及びT7DNAポリメラーゼ(Sequenase、U.
S.バイオケミカル(U.S. Biochemical)製)を用いたジデ
オキシチェーンターミネーション法(Sanger, F., Nickl
ens, S., and Coulson, A. R.(1977) Proc. Natl. Aca
d. Sci. U.S.A. 74, 5463-5467)により、両方の鎖のヌ
クレオチド配列を独立に決定した。
ニング (1)ハイブリダイゼーション用プローブの作製 前記<3>(4)で得られた、ニワトリ胚由来CS6T
のcDNAをランダムプライマーラベル法により
[32P]dCTPで標識した cDNAライブラリースクリ
ーニングのための放射性プローブを作成した。すなわ
ち、上記のニワトリcDNAを、[α-32P]dCTP
(アマシャム(Amersham)製)およびDNAランダムラベ
リングキット(宝酒造(株)製)を用いたランダムオリ
ゴヌクレオチドプライムドラベリング法(random oligon
ucleotide-primed labeling method(Feinberg, A.P., a
nd Vogelstein, B. (1983) Anal. Biochem. 132, 6-13)
を用いて放射性標識することによって得た。
めに、ラムダベクターλgt11が組み込まれたヒト胎
児脳cDNAライブラリー(Clontech)を用いた。
ターは、インビトロパッケージングキット(Gigapack I
I packaging extract、ストラタジーン製)を用いてフ
ァージ粒子にパッケージした。このファージ粒子を、Es
cherichia coli Y1088に感染させ、プレートに重層し、
プラークを形成させた。こうして得られたファージライ
ブラリーはさらに増幅させることなしに、cDNAスクリー
ニングに用いた。
ーニング cDNAクローニングは前記<3>(3)と同様にし
て、λgt11cDNAライブラリーのプラークから行っ
た。すなわち、プラークを市販のナイロン膜(Hybond N+
nylon membrane、アマシャム社製)に転写し、アルカリ
固定法によりファージDNAをナイロン膜に固定した。
ムアミド、5×SSPE、5×Denhardt's solution、0.5%
SDS、0.04mg/mlの変性サケ精子DNA、0.004mg/mlの
E. coli DNAを含む溶液中で、3.5時間、42℃でプレハイ
ブリダイズした。ハイブリダイゼーションは、32P標識
したプローブを含む上記と同じ緩衝液中で16時間、42℃
で行った。続いて、フィルターを1×SSPE、0.1% SDS
中、次いで0.1×SSPE、0.1% SDS中で、55℃で洗浄した
後、オートラジオグラフィーによりハイブリダイゼーシ
ョン陽性クローンを検出した。
ローンを選択し、各々ファージDNAを調製し、ベクタ
ーDNAからcDNA挿入断片を単一断片で切り出すEcoRI
で切断した。これらのcDNA断片をブルースクリプト
にサブクローニングした。
ニングした組換えプラスミドから、欠失クローンをDNA
deletion kit(宝酒造(株)製)を用いて既知の方法(H
enikoff, S.(1984) Gene 28, 351-359、Yanisch-Perro
n, C., Viera, J., and Messing, J. (1985) Gene 33,
103-109)により調製した。
P]dCTP及びT7DNAポリメラーゼ(Sequenas
e、U.S.バイオケミカル(U.S. Biochemical)製)を用い
たジデオキシチェーンターミネーション法(Sanger, F.,
Nicklens, S., and Coulson,A. R. (1977) Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A. 74, 5463-5467)により、両方の
鎖のヌクレオチド配列を独立に決定した。こうして決定
されたヒトC6ST cDNAのオープンリーディング
フレーム(open reading frame)に相当するヌクレオチド
配列を配列番号1に、アミノ酸配列を配列番号2に示し
た。
クス コンピュータープログラム(Gene Works computer
programs、インテリジェネティクス(IntelliGenetics)
製)を用いて解析した。C6STcDNAのオープンリ
ーディングフレームの5’末端部には、2つのイン・フ
レームのATGコドンが含まれている。最初のATGコドンで
始まる単一のオープンリーディングフレーム(open read
ing frame)からは、479アミノ酸残基からなり、分子量
54,610 のタンパク質が予測される。前記ニワトリC6
STとのアミノ酸配列の相同性は74%であった。特に
本発明で得られたヒトC6STにはニワトリ由来のC6
STにはみられなかった親水性に富む17アミノ酸より
なる特異な挿入配列が存在していた(配列番号2のアミ
ノ酸番号114〜130 のアミノ酸配列)。
構築 ヒトC6STcDNAを発現させるために、発現ベクタ
ーにcDNA断片を挿入し、組換えプラスミドを構築し
た。発現ベクターには、哺乳類細胞用発現ベクターpC
XN2(東京大学の宮崎純一博士により構築され(Niwa,
H., Yamamura,K., and Miyazaki, J. (1991) Gene 10
8, 193-200)、東京都臨床医学総合研究所の橋本康弘博
士より恵与された)を用いた。pCXN2は、ストレプ
トマイシン耐性遺伝子及びペニシリン耐性遺伝子を有
し、EcoRI部位に挿入されたDNA断片をβ−アクチン
遺伝子プロモーターにより発現させることができるベク
ターである。pCXN2のEcoRI部位へ2354bpのcDNA断
片(配列番号1に示す塩基配列を含む)を連結させた。
E. coli JM109を、この連結反応液を用いて形質転換
し、アンピシリンを含むLB プレートに塗布した。形質
転換体から組換えプラスミドを回収し、3回のCsCl/エ
チジウムブロマイド平衡遠心により精製した。ベクター
のプロモーターの向きとcDNAの向きが一致している
組換えプラスミドをpCXNhC6ST、cDNAが逆
向きに挿入されている組換えプラスミドをpCXNhC
6ST2と名付けた。cDNAの向きは、BamHIを用い
た制限マッピングにより解析した。
cDNAの一過性な発現 ヒトC6STcDNAの発現の宿主にはCOS−7細胞
を用いた。COS−7細胞(理研細胞バンク(筑波)から
入手した)を8×105 細胞/皿の密度で直径100 mmの
培養皿にまいた。培養液には、ペニシリン(100単位/m
l)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%ウシ胎仔
血清(ギブコBRL製)を含むダルベッコ改変イーグル培地
(DMEM)を培養皿1枚当たり10ml用い、5vol%CO2、95
vol%空気中で37℃で培養した。
hC6STもしくはpCXNhC6ST2でトランスフ
ェクトした。トランスフェクションは、DEAE-デキスト
ラン法(Aruffo, A.(1991) in Current Protocols in Mo
lecular Biology, Suppl. 14, Unit 16.13, Greene Pub
lishing Associates and Wiley Interscience, New Yor
k)により行った。10%のNu serum(低タンパク質濃度の
血清代用品:コラボレーティブ・バイオメディカル・プ
ロダクツ(Collaborative Biomedical Products))を含
む予め加温しておいた5mlのDMEMを、10mg/ml DEAE-デ
キストランと2.5mMクロロキン(chloroquine)溶液を含む
0.2ml のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)と混合した。
この溶液と15μgの組換えプラスミドを混合し、その混
合液を細胞懸濁液に添加した。上記細胞を、CO2イン
キュベーター中で4時間インキュベートした後、培養液
を5mlの10%ジメチルスルホキシドを含むPBS溶液で
置換した。この細胞を室温で2分間放置した後、ジメチ
ルスルホキシド溶液をアスピレートにより除去し、ペニ
シリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(50μg/m
l)及び10%ウシ胎仔血清を含む25mlのDMEMを加えた。こ
の細胞を67時間インキュベートした後、DMEMのみで洗浄
した。細胞を集めて、培養皿1枚分の細胞当たり1.5ml
の0.25Mスクロース、10mM Tris-HCl,pH7.2、及び0.5%
Triton X-100中でダウンスホモジナイザー(Dounce homo
genizer)によりホモジナイズした。得られたホモジネー
トを10,000×gで20分間遠心し、上清分画中のC6ST
活性、コンドロイチン4−スルホトランスフェラーゼ
(C4ST)活性及びケラタン硫酸スルホトランスフェ
ラーゼ(KSST)活性を測定した。これらの活性は、
硫酸基受容体としてのコンドロイチンまたはケラタン硫
酸の存在下または非存在下で測定した。また、発現プラ
スミドでトランスフェクトしてないCOS−7細胞につ
いても同様に行った。結果を表3に示す。
DNAを正しい方向で発現させる発現ベクターを保持す
る細胞のC6ST活性及びKSST活性は、cDNAが
逆向きに挿入された発現ベクターを保持する細胞のそれ
ぞれ約16倍、約20倍であった。これに対して、トランス
フェクション細胞のC4ST活性はわずかに増加しただ
けであった。これらの結果から、単離されたcDNAが
C6ST活性およびKSST活性を持つタンパク質をコ
ードしていることが証明された。
ンのN-アセチルガラクトサミン残基の6位に硫酸基を転
移するコンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ
(C6ST)をコードするDNA、および該DNA由来
のDNA断片から発現されるポリペプチドが得られる。
ドするDNAが得られたので、ヒト由来C6STを工業
的に使用可能な程度まで大量生産できることが期待され
る。このヒト由来C6STのDNA及びC6ST酵素蛋
白を用いた医薬用途への利用が期待される。
Claims (13)
- 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する、ヒト由来
のグリコサミノグリカンスルホトランスフェラーゼのポ
リペプチド。 作用:硫酸基供与体から硫酸基を、グリコサミノグリ
カンのN−アセチルガラクトサミン残基またはガラクト
ース残基に転移する。 基質特異性:コンドロイチンのN−アセチルガラク
トサミン残基の6位に硫酸基を転移する。ケラタン硫酸
のガラクトース残基の6位に硫酸基を転移する。 分子量:約50000〜55000ダルトン - 【請求項2】 II型膜タンパク質である請求項1に記
載のポリペプチド。 - 【請求項3】 配列番号2に示すアミノ酸配列の少な
くとも一部を有し、硫酸基供与体から硫酸基をグリコサ
ミノグリカンのN−アセチルガラクトサミン残基または
ガラクトース残基に転移する活性を実質的に害さない1
つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失または挿入を有して
いてもよいヒト由来のグリコサミノグリカンスルホトラ
ンスフェラーゼのポリペプチド。 - 【請求項4】 配列番号2に示すアミノ酸配列の少なく
とも一部を有するヒト由来のグリコサミノグリカンスル
ホトランスフェラーゼのポリペプチド。 - 【請求項5】 配列番号2においてアミノ酸番号1〜4
79で表されるアミノ酸配列を有する請求項1〜4のい
ずれか1項に記載のポリペプチド。 - 【請求項6】 配列番号2においてアミノ酸番号20〜
479で表されるアミノ酸配列を有する請求項1〜4の
いずれか1項に記載のポリペプチド。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポ
リペプチドの部分を含むポリペプチド。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポ
リペプチドと、発現に必要な他のポリペプチドを含む融
合ポリペプチド。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポ
リペプチドの少なくとも一部をコードするDNA。 - 【請求項10】 配列番号2においてアミノ酸番号1〜
479で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を
有する請求項9に記載のDNA。 - 【請求項11】 配列番号2においてアミノ酸番号20
〜479で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列
を有する請求項9に記載のDNA。 - 【請求項12】 配列番号1において塩基番号147〜
1583で表される塩基配列の少なくとも一部またはす
べてを有する請求項9〜11のいずれか1項に記載のD
NA。 - 【請求項13】 配列番号1において塩基番号204〜
1583で表される塩基配列の少なくとも一部またはす
べてを有する請求項9〜11のいずれか1項に記載のD
NA。
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